JPH10176287A - 成型後耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板 - Google Patents
成型後耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板Info
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- JPH10176287A JPH10176287A JP33842296A JP33842296A JPH10176287A JP H10176287 A JPH10176287 A JP H10176287A JP 33842296 A JP33842296 A JP 33842296A JP 33842296 A JP33842296 A JP 33842296A JP H10176287 A JPH10176287 A JP H10176287A
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Abstract
溶融アルミめっき鋼板を提供する。 【解決手段】 Al−Si系めっき層と、Al−Fe−
Si系合金層を有し、かつめっき原板と合金層の電位差
が、蟻酸100ppmを含有する溶液中において、0.
35V以下であるような溶融アルミめっき鋼板の表面に
有機樹脂皮膜を有する。めっき原板と合金層の電位差の
調節は、鋼中へのCr添加、またはめっき層へのSn,
Zn,Bi,Sb添加、もしくはNiプレめっき、ある
いはその複合によって得られる。 【効果】 合金層−鋼板の電位差が小さいことにより、
成型後のめっきのクラックからの原板腐食が進行しにく
く、燃料タンク内面環境において、良好な耐食性が得ら
れる。また表面の樹脂皮膜は溶接性、成型性に寄与し、
総合的に極めて優れた性能が得られる。
Description
ク用鋼板として優れたプレス成型性、成型後耐食性を兼
備する防錆鋼板を提供する。
に合わせて最後に設計されることが通常で、その形状は
近年益々複雑になる傾向にある。また燃料タンクは自動
車の重要保安部品であるため、この燃料タンクに使用さ
れる材料には、極めて優れた深絞り特性が、更には成型
後の衝撃による割れが無いことも要求される。これに加
えて、孔あき腐食やフィルター目詰まりに繋がる腐食生
成物の生成の無い材料で、しかも容易に安定して接合で
きる材料であることも重要である。
来よりターンシートと称されるPb−Sn合金めっき鋼
板、例えば(特公昭57−61833号公報)が主に使
用されてきた。この材料はガソリンに対して安定な化学
的性質を持ち、かつめっきが潤滑性に優れるためプレス
成形性に優れ、Pbが溶接電極のCuと反応し難いため
に溶接性にも優れている。これ以外にも亜鉛めっき鋼板
に厚クロメート処理を施した鋼板も使用されており、P
b−Sn合金程ではないが、やはり優れた加工性、耐食
性、溶接性を有している。しかし近年環境への負荷とい
う意味からPbを使用しない材料が希求されている。
料の候補材の一つが、アルミ(Al−Si)めっき鋼板
である。アルミはその表面に安定な酸化皮膜が形成され
るため、ガソリンを始めとして、アルコールやガソリン
等が劣化したときに生じる有機酸に対しても耐食性が良
好である。しかしながら、アルミめっき鋼板を燃料タン
ク材料として使用する際の課題が幾つかある。その一つ
はプレス成型性である。アルミめっき鋼板は被覆層と鋼
板の界面に生成する非常に硬質なFe−Al−Siの金
属間化合物層(以下合金層と称する)のため、アルミめ
っき層が無いものと比べて材質が低下する。このため、
厳しい加工により割れを発生しやすい。
めっきのクラックを生じやすいという欠点もある。めっ
きにクラックが発生すると、ここより内面からの腐食が
進行して、短期に孔あきに至る可能性があるため、成型
後の耐食性も大きな課題である。更にはAlは溶接電極
のCuと容易に反応するために電極寿命が短いという短
所もある。この中で成型後の耐食性に対して、本発明者
らは特願平7−329193号において、めっき後の冷
却速度、再加熱により解決できることを示した。しかし
この方法は工程増となるために、コスト増を伴う。
プレス成型性、成型後耐食性の課題を解決することで、
Pbを使用せず、タンク製造工程において今後増すと予
想される苛酷なプレス条件にも充分耐え得る優れたプレ
ス加工性を有し、しかも成型後の有機物に対する耐食性
も確保した新しい燃料タンク用防錆鋼板を提供するもの
である。
っき鋼板の成型後耐食性を改善するため種々検討した結
果、鋼成分、表層皮膜の最適化を行うことでこれを達成
したものである。本発明者らは、燃料タンクの内面環境
における腐食状況を詳細に調査し、次の知見を得た。す
なわち、内面環境の主要な腐食成分は燃料が分解して生
成する蟻酸である。めっき層、合金層のクラックを起点
として母材の腐食が始まり、母材と合金層の界面を腐食
が進行し、めっきが徐々に母材より浮き上がって全面的
な腐食に至る。母材と合金層の界面を腐食が進行するの
は、蟻酸存在下で合金層の電位が母材に比べて約0.4
V高く(貴と)なり、合金層近傍の母材腐食が促進され
るからである。かかる知見に基づき、合金層に沿った母
材の腐食を抑制すべく種々検討を加え、蟻酸100pp
m残部水分という環境で測定した、合金層と母材の電位
差が20℃において0.35V以下であれば、合金層−
母材界面の腐食を抑制でき、めっき層、合金層にクラッ
クが存在しても腐食の進行が緩やかとなるとの知見を得
た。
接性、プレス成型性等の課題を解決するために、最表層
に有機樹脂皮膜を付与するものとする。最表層の有機樹
脂は、溶接性、プレス成型性、耐食性に寄与し、めっき
クラック部からの腐食抑制効果とあわせて、タンク材と
して総合的に極めて優れた特性を付与する。この樹脂中
にクロメートを含有すると溶接性、耐食性が向上し、よ
り好ましい。合金層−母材の電位制御は鋼成分、めっき
浴の成分を調整する、あるいは溶融めっき前にプレめっ
きをすることで可能で、例えば鋼中にCrを添加する、
鋼の表面へCr系プレめっきを施す、あるいはクラッド
鋼を使用する、めっき浴にZn等を添加する等の手法が
可能である。
化合物層を有し、その表面にAlおよび不可避的不純物
またはSiを3〜13%含有し残部がAlおよび不可避
的不純物からなるめっき層を有し、かつ蟻酸100pp
mを含有し残部が水および不可避的不純物からなる溶液
に浸漬した場合の前記めっき原板と前記金属間化合物層
との浸漬電位の差が0.35V以下であるアルミ系めっ
き鋼板の表面を有することを特徴とする成型後耐食性に
優れた燃料タンク用防錆鋼板。
Si系金属間化合物層を有し、その表面にAlおよび不
可避的不純物またはSiを3〜13%含有し残部がAl
および不可避的不純物からなるめっき層を有し、かつ蟻
酸100ppmを含有し残部が水および不可避的不純物
からなる溶液に浸漬した場合の前記めっき原板と前記金
属間化合物層との浸漬電位の差が0.35V以下である
アルミ系めっき鋼板の表面に、さらに有機樹脂皮膜を有
することを特徴とする成型後耐食性に優れた燃料タンク
用防錆鋼板。
100mg/m2 のクロメートを含有することを特徴と
する前記(2)に記載の成型後耐食性に優れた燃料タン
ク用防錆鋼板。 (4)めっき原板の組成が重量%で、C:0.01%以
下、Si:0.1%以下、Mn:0.1〜1%、酸可溶
Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下、T
i,Nb合計で(C+N)の原子当量〜0.2%、C
r:0.5〜7%を含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなることを特徴とする前記(1)〜(3)に
記載の成型後耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板。
0.01%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.1〜
1%、酸可溶Al:0.01〜0.1%、N:0.01
%以下、Ti,Nb合計で(C+N)の原子当量〜0.
2%、Cr:0.5〜7%を含有し、さらにCu:0.
05〜0.5%、Ni:0.05〜0.5%、Mo:
0.05〜0.5%、B:0.0001〜0.0030
%の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不
可避的不純物からなることを特徴とする前記(1)〜
(3)に記載の成型後耐食性に優れた燃料タンク用防錆
鋼板。 (6)Al−Si系のめっき層の組成が、重量%で、S
i:3〜13%、Sn,Zn,Sb,Biの1種または
2種以上を合計で0.5〜5%含有し、残部がAlおよ
び不可避的不純物からなることを特徴とする前記(1)
〜(5)に記載の成型後耐食性に優れた燃料タンク用防
錆鋼板である。
き層は、Al−Si系とし、Siの含有量は3〜13%
とする。Siは、通常合金層を薄くする目的から10%
程度添加されている。前述したように溶融アルミめっき
で生成する合金層は非常に硬質で、かつ脆性であるため
に破壊の起点となりやすい。通常の2〜3μm程度の合
金層でもめっき密着性が劣化するほかに、めっきクラッ
クの起点ともなり、また母材の材質をも劣化させる。従
ってこの合金層は薄ければ薄いほど加工に対して有利に
働く。Siは3%以上存在しないとこの合金層低減の効
果が薄く、また13%を超えるとその効果が飽和するこ
とに加えてSiが電気化学的にカソードとなりやすいこ
とからめっき層の耐食性劣化につながる。このためSi
量は2〜13%に限定する。
は、0.35V以下とする。測定環境は、実際の燃料タ
ンク内の腐食環境に近い蟻酸を含有する環境が好まし
く、この環境で従来のアルミめっき鋼板は0.4V程度
の電位差を有していたが、この場合には前記したよう
に、合金層−めっき原板間で腐食が進行しやすい。電位
差は小さいとめっき層、合金層にクラックがあっても腐
食の進行は軽微となる。電位差がこの範囲内であれば、
合金層と原板のどちらが貴であっても構わないが、実際
的には合金層の方が卑になることはあまりないと思われ
る。
理由を説明する。前記したように、有機樹脂皮膜は溶接
性、プレス成型性、耐食性を目的としたもので、この有
機樹脂の中にクロメートを含有させるのは、一層溶接
性、耐食性を向上させるためである。クロメートが溶接
性に寄与する理由は不明確であるが、電極と鋼板との間
の反応を抑制するバリア皮膜を形成することが考えられ
る。また、当然耐食性にも寄与するが、これらの効果が
現れるには、金属Cr換算で、5mg/m2 以上のクロ
メートが必要で、一方、100mg/m2 を超えると効
果が飽和するためにこの値を上限とする。
明する。 C:本発明において、燃料タンクのような複雑な形状に
加工できるだけの高度な深絞り性を有する鋼板であるこ
とが必要である。この目的のためにはC量は少ないほど
好ましい。C量が0.01%を超えると所定の成型性が
得られなくなるためにこの値%を上限とする。しかし、
今後ますます複雑化するタンクの形状を考えると、より
望ましくは0.005%以下である。
アルミめっき工程で表面に安定な酸化皮膜を形成しやす
い。酸化皮膜が形成されるとめっき浴中でのAl−Fe
反応を阻害してアルミめっき時に不めっきと呼ばれるめ
っき欠陥を形成しやすくなる。またこの元素は鋼板を硬
化させる元素でもあるので、本発明のような高成型性を
要求される鋼板としては少ない方が好ましく、0.1%
以下とする。
であるが、本発明は軟質な鋼板を目的とするもので、少
ない方が好ましい。Mnが1%を超えると鋼が硬化して
延性に富んだ鋼板を製造することは困難であるために、
Mnは1%以下とする。また、Mnの通常の製鋼工程に
おける下限値の0.1%を下限値とする。 酸可溶Al:Alは製鋼段階で脱酸材として使用され
る。AlもSiと同様酸素との親和性が強く、酸可溶A
lが残存していると不めっきを生成しやすくなる。ま
た、加工性も劣化させる元素で、上限を酸可溶Alとし
て0.1%、下限を0.01%とする。 N:Cと同様の理由でNも少ない方が好ましく、成型性
確保の観点よりNの上限を0.01%とする。
する元素として知られ、これらの元素でC,Nを固定し
て実質的に固溶C,Nを無くした鋼板がIF鋼として知
られ、このようなIF鋼は軟質であるのは勿論、深絞り
性にも優れている。本発明においてもこの目的でこれら
元素を添加する。その添加量は(C+N)の原子当量以
上含有することが必要で、この値を下限とする。また、
添加量が多すぎても効果が飽和するとともに、特にTi
はAl−Fe反応を促進する元素のため、合金層成長を
促進して鋼板加工性を阻害しやすい。従って上限を0.
2%とする。
で、この元素の添加により、合金層−原板の電位差を減
少させることができる。この効果のためには、0.5%
以上のCrが必要で、また、Cr量が7%を超えると溶
融めっき工程でCr系酸化物の表面濃化が著しく、通常
のプロセスではめっきが困難となる。このためこの値を
上限とする。
要に応じて添加することができる。Cu,Ni,Moは
耐食性向上に寄与する元素で、特にNi,Moは耐孔食
性を向上させる。またBは疲労強度を向上させ、車体の
下で振動を受けても破断しにくくなる。これらの効果が
発現されるにはCu,Ni,Moで0.05%以上、B
で0.0001%以上の添加が必要で、一方、添加しす
ぎるとCuの場合には熱延時のヘゲ疵発生を引き起こす
懸念がある。Ni,Mo,Bは添加しすぎても効果が飽
和するために、上限濃度を0.5%(Cu,Ni,M
o)、0.0030%(B)とする。
由を説明する。めっきはAl−Si系とし、これにS
n,Zn,Pb,Sb,Bi,Cdを合計で0.5〜5
%添加することができる。これらの元素はいずれも合金
層へ混入してこの層の電位を低下させる元素で、合計
0.5%以上添加することでその効果が現れる。また添
加しすぎるとめっき層の耐食性を阻害することから上限
を5%とする。アルミめっきのめっき付着量は本発明に
おいて特に限定しないが、性能への影響は大きい。付着
量が増加するほど耐食性が増し、一方でめっき密着性、
溶接性が劣化する傾向がある。厳しい成型、種々の溶接
を必要とする自動車燃料タンク材料としては片面当たり
50mg/m2 以下であることが望ましい。一方、合金
層厚みは前述したようにアルミめっき鋼板の延性に悪影
響を及ぼすために薄い方が好ましい。
樹脂被覆の他に、外観調整のためのゼロスパングル処
理、表面状態、材質の調整のための調質圧延等があり得
る。本発明においては特にこれらの処理は限定せず、行
っても行わなくても構わない。めっき原板の製造法は通
常の方法によるものとする。鋼成分は例えば転炉−真空
脱ガス処理により調節されて溶製され、鋼片は連続鋳造
法等で製造され,熱間圧延される。
明する。 (実施例1)表1に示す鋼(P:0.008%,S:
0.010%)を通常の転炉−真空脱ガス処理により溶
製し、鋼片とした後、加熱温度1140〜1180℃、
仕上げ温度800〜900℃、捲取温度620〜670
℃で熱延を、冷延率約80%で冷延を行い、板厚0.8
mmの冷延鋼帯を得た。これらを材料として、溶融アル
ミめっきを行った。溶融アルミめっきは無酸化炉−還元
炉タイプのラインを使用し、焼鈍もこの溶融めっきライ
ン内で行った。焼鈍温度は800〜850℃とした。め
っき後ガスワイピング法でめっき厚みを両面約60mg
/m2 に調節した。この際のめっき温度は660℃と
し、めっき浴組成としてはAl−9.4%Siとした。
浴中のFeは浴中のめっき機器やストリップから不純物
として供給されるものである。こうして製造したアルミ
めっき鋼板の一部にクロム酸−シリカゾル−リン酸−有
機樹脂(アクリル)系の下地処理を行い、更にその一部
は樹脂皮膜で被覆した。同時にクロメート処理の樹脂分
を増減させた鋼板も製造した。このような材料の燃料タ
ンクとしての性能を評価した。このときの評価方法は下
に示した方法により、めっき条件と性能評価結果を表2
および表3に示す。なお、めっき層組成の分析は、アル
ミめっき層のみを3%NaOH+1%AlCl・6H2
O中で電解剥離した溶液を採取し、酸処理後IPCで定
量分析し、めっき層中のSi組成を求めた。
っき有り (2)合金層、地鉄の電位差 アルミめっき層を3%NaOH+1%AlCl3 ・6H
2 O中で電解剥離することで合金層電位測定試料を、ま
た、20%NaOH中に浸漬してアルミめっき層、合金
層を剥離することで地鉄電位測定試料を得た。これらを
蟻酸100ppmを含有する20℃の溶液中で浸漬電位
を測定して電位差を測定した。なお、参照電極は飽和カ
ロメル電極を使用し、合金層が高い電位を示すときを+
で表示した。
いて、無塗油で絞り比2.2の成形試験を行った。この
ときのシワ抑え圧は500kgで、成形性の評価は次の
指標によった。 [評価基準] ◎:成形可能で、めっき層の大きな欠陥無し △:成形可能で、めっき層に目視可能なひび割れ有り ×:成形可能で、めっき層剥離有り −:成形不可能(原板に割れが発生)
油圧で押さえてビード引き抜きを行った。ビードは径4
mm、半円形で、加圧力は600kgfである。こうし
てビード引き抜きを行った試料をガラス性の容器に燃料
とともに封入して耐食性を評価した。試験液はガソリン
+蒸留水10%+蟻酸100ppm、期間は3ヶ月、温
度は室温(20℃)である。試験後の腐食状況を試験液
へのFe溶出量という形で評価した。 [評価基準] ○:Fe溶出2g/m2 未満 △:Fe溶出2〜5g/m2 ×:Fe溶出5g/m2 超 −:成型性不可のため評価せず
板−合金層の電位差が大きいとき(比較例23、24)
には、絞り性に優れてもめっき層の微細なクラックを起
点として鋼板の腐食が進行する。鋼中のCやNが高く、
Ti/(C+N)の原子当量が1未満になったり(比較
例18、22)、Mnが高く延性が不足したりするとき
(比較例20)には、プレス加工性に劣り、燃料タンク
のような深絞り加工は困難である。また、鋼中のSi等
の溶融アルミめっきを阻害する元素が高いときには(比
較例19)、不めっきが多く、不めっき部より腐食が進
行するため当然耐食性も劣化する。
21)や、アルミめっき中のSi量が少ないとき(比較
例25)には、合金層が厚く発達し、プレスの際にめっ
きが剥離しやすくなり、やはり耐食性が劣化する。一
方、めっき中のSiが多すぎても(比較例26)、耐食
性が劣化する。最表層に樹脂塗膜が無い(比較例27)
と、絞り性に劣り、また、ここでは評価していないが、
抵抗溶接性にも劣る。鋼成分、めっきの組成が適正であ
ると、外観、プレス成型性、外観、成型後耐食性の全て
に優れた溶融アルミめっき鋼板が得られる。
冷延鋼帯を原板として、溶融アルミめっきを行った。溶
融アルミめっきの条件は原則的にAl−9%Siとし、
これにSn,Zn等の元素を添加した。なお、めっき浴
(めっき層)中に不純物としてのFeが2%程度混入す
ることがある。また、一部の材料はアルミめっき前にN
i系のプレめっきを行った。プレめっきのめっき条件は
ワット浴、電流密度30A/dm2である。アルミめっ
き後は実施例1の表2の後処理を施した。これらの材
料の燃料タンクとしての性能を、実施例1の評価方法で
評価した。外観、プレス成型性はいずれの試料も良好で
あった。表4に示すように、Niプレめっき、あるいは
浴中添加元素により鋼−合金層電位差を制御した場合に
も同様の効果が得られ、成型後の耐食性は安定する。
必要なプレス成型性、成型後耐食性を兼備した溶融アル
ミめっき鋼板を提供するもので、今後Pb系材料が環境
問題で使用が困難となったときの新しい燃料タンク材と
して非常に有望であり、産業上の寄与は大きい。
Claims (6)
- 【請求項1】 めっき原板の表面に、Al−Fe−Si
系金属間化合物層を有し、その表面にAlおよび不可避
的不純物またはSiを3〜13%含有し残部がAlおよ
び不可避的不純物からなるめっき層を有し、かつ蟻酸1
00ppmを含有し残部が水および不可避的不純物から
なる溶液に浸漬した場合の前記めっき原板と前記金属間
化合物層との浸漬電位の差が0.35V以下であるアル
ミ系めっき鋼板の表面を有することを特徴とする成型後
耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板。 - 【請求項2】 めっき原板の表面に、Al−Fe−Si
系金属間化合物層を有し、その表面にAlおよび不可避
的不純物またはSiを3〜13%含有し残部がAlおよ
び不可避的不純物からなるめっき層を有し、かつ蟻酸1
00ppmを含有し残部が水および不可避的不純物から
なる溶液に浸漬した場合の前記めっき原板と前記金属間
化合物層との浸漬電位の差が0.35V以下であるアル
ミ系めっき鋼板の表面に、さらに有機樹脂皮膜を有する
ことを特徴とする成型後耐食性に優れた燃料タンク用防
錆鋼板。 - 【請求項3】 有機樹脂皮膜中に、Cr換算で5〜10
0mg/m2 のクロメートを含有することを特徴とする
請求項2に記載の成型後耐食性に優れた燃料タンク用防
錆鋼板。 - 【請求項4】 めっき原板の組成が重量%で、C:0.
01%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.1〜1
%、酸可溶Al:0.01〜0.1%、N:0.01%
以下、Ti,Nb合計で(C+N)の原子当量〜0.2
%、Cr:0.5〜7%を含有し、残部がFeおよび不
可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜3に
記載の成型後耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板。 - 【請求項5】 めっき原板の組成が重量%で、C:0.
01%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.1〜1
%、酸可溶Al:0.01〜0.1%、N:0.01%
以下、Ti,Nb合計で(C+N)の原子当量〜0.2
%、Cr:0.5〜7%を含有し、さらにCu:0.0
5〜0.5%、Ni:0.05〜0.5%、Mo:0.
05〜0.5%、B:0.0001〜0.0030%の
1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避
的不純物からなることを特徴とする請求項1〜3に記載
の成型後耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板。 - 【請求項6】 Al−Si系のめっき層の組成が、重量
%で、Si:3〜13%、Sn,Zn,Sb,Biの1
種または2種以上を合計で0.5〜5%含有し、残部が
Alおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請
求項1〜5に記載の成型後耐食性に優れた燃料タンク用
防錆鋼板。
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