JP3103026B2 - プレス加工性、耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板およびその製造法 - Google Patents

プレス加工性、耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板およびその製造法

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  • Laminated Bodies (AREA)
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  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のガソリン
タンクといった極めて苛酷な加工条件においても、プレ
ス割れが発生せず、また成形後の耐食性が良好で、かつ
ガソリンが酸化劣化した環境やメタノールやエタノール
などのアルコールを含む環境下で使用しても、孔あきや
循環系のフィルター目詰まりを生じることのない、優れ
た加工性、耐食性を有する燃料タンク用防錆鋼板の製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の自動車業界においては、従前にも
増して車体の機能性、デザイン性が重視される傾向にあ
る。自動車燃料タンクの設計は、車体のデザインに合わ
せて最後に設計されることが通常で、その形状は益々複
雑になっている。燃料タンクは自動車の重要保安部品で
あるため、この燃料タンクに使用される材料に要求され
る特性として、孔あき腐食を起こすことの無い高耐食性
がある。しかし最近では、それに加えて高度のプレス成
形に耐え得る加工性が重みを増している。
【0003】従来よりこの自動車燃料タンク用材料とし
ては、ターンシートと称されるPb−Sn合金めっき鋼
板(特公昭57−61833号公報)が主に使用されて
いる。この材料はガソリンに対して安定な化学的性質を
持ち、かつプレス成形性に優れ、まためっき皮膜が柔軟
で、成形後もめっきにクラック等が入ることがなく、従
って優れた加工後の耐食性を有している。これ以外にも
亜鉛めっき鋼板に厚クロメート処理を施した鋼板(特公
昭53−19981号公報)も使用されており、Pb−
Sn合金程ではないが、やはり優れた加工性、耐食性を
有している。しかし近年Pbの環境への影響が考慮さ
れ、環境への負荷という意味からもPbを使用しない材
料が希求されている。
【0004】また、近年の原油問題に関連したガソリン
不足を補うため、ガソリンに容易にブレンドでき、安価
で、燃焼させても有害なガスを生じないという利点を持
つメタノールやエタノールといったアルコール燃料の導
入率が年々拡大の傾向にある。しかしこれらのアルコー
ルやアルコール混合燃料を自動車用燃料に使用する際
に、これらの燃料はガソリンとは異なる腐食特性を持つ
ことから、従来のガソリンタンク用の材料は腐食のため
に使用できない可能性が強い。
【0005】具体的には、Pb−Sn合金めっき鋼板に
ついて言えば、Pb−Sn合金自体がメタノールやエタ
ノールなどのアルコールに非常に溶解しやすい特性を有
している点が問題である。一方亜鉛めっき鋼板に厚クロ
メート処理を施した材料については、亜鉛は鉄に比べて
卑な電位を持つ金属であるから、プレス加工部等のめっ
き層が損傷した箇所では亜鉛の犠牲防食作用で赤錆、孔
あきの発生は抑制されるが、亜鉛自身の溶出速度が大き
く、浮遊性の白色沈澱物を多量に生成して燃料循環系統
でフィルターの目詰まりを発生しやすい欠点を有する。
【0006】こういった背景から、Pbを使用せず、Z
nよりも耐食性に優れた材料が求められている。その候
補の一つが、アルミ(Al−Si)めっき鋼板である。
アルミはその表面に安定な酸化皮膜が形成されるため、
耐食性が良好で、アルコールやその混合ガソリン、ある
いはガソリン等が劣化したときに生じる有機酸に対して
も耐食性が良好である。従ってアルミめっき鋼板は、燃
料タンク材料として大変有望な材料であるといえる。実
際に特公平4−68399号公報において、アルミめっ
き鋼板にクロメート処理を施したアルコール燃料用燃料
タンク用鋼板が提案されている。しかしながら、これま
でアルミめっき鋼板が燃料タンク材料として使用されて
こなかったのは、タンク材料として使用する上で幾つか
の弱点があるからである。
【0007】まず一般にアルミめっき鋼板の加工性はあ
まり良好ではない。これはアルミめっき層と鋼板の界面
に生じる合金層と呼ばれるFe−Al−Siの金属間化
合物層に起因するとされる。この層は非常に硬質な層で
厳しい加工をするとこの部分で破壊を生じてめっき剥離
を生じることになる。またもう一つの弱点は、アルミめ
っき層はAl−Si合金で、Pb−Sn合金ほど軟らか
く延性に富んだ金属ではないために、加工時にめっき層
に無数のクラックが生じやすいことである。しかもアル
ミは鉄に対して犠牲防食能がないためクラックからの鉄
の腐食が進行しやすく、一般に加工後の耐食性はあまり
良好とは言えず、孔あきに至りやすい。
【0008】そこで本出願人は、特開平6−12871
3号公報に示すように、溶融アルミめっき後に加熱処理
を行う方法を提案した。同公報は、ある程度以上の厚み
のアルミめっき層を施し、熱処理を行うことによってア
ルミめっき層を軟質化し、加工時の硬質なFe−Al−
Si系合金層からのクラック伝播を前記アルミめっき層
で停止し、結果として加工後耐食性を改善した塗装アル
ミめっき鋼板の製造法である。しかしこの方法は工程増
を伴うためにコスト増を意味する。また加工後の耐食性
はこの方法によりほぼクリアされるものの、厳しい加工
に耐えるめっき密着性の課題はなおも残るものであっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、前記
の加工後耐食性と密着性の課題を解決し、通常のガソリ
ンや酸化劣化したガソリンは勿論のこと、メタノール,
エタノール等のアルコール燃料あるいはこれらアルコー
ル混合ガソリンに対して優れた耐食性を発揮し、かつタ
ンク製造工程において今後増すと予想される苛酷なプレ
ス条件に対し充分に耐え得る優れたプレス加工性を有
し、加工後の耐食性の劣化も殆ど無く、しかもPbを使
用することの無い燃料タンク用防錆鋼板の製造法を提供
するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな防錆鋼板を開発すべく種々検討した結果、非加工の
耐食性についてはアルミめっきをベースとすれば十分
で、また密着性、加工後の耐食性についてはめっき層の
組成を最適化することで、優れたプレス加工性(密着性
と加工後耐食性)と耐食性を有する燃料タンク用防錆鋼
板とその製造法を完成させたものである。
【0011】次に本発明を詳細に説明する。本発明者ら
は溶融アルミめっき鋼板の諸特性に及ぼすめっき層及び
合金層の性質について種々実験を繰り返し、以下の知見
を得るに至った。すなわち、アルミめっき浴にMnとC
rを複合添加すると、これらの元素はめっき層に均一に
分散するのではなく、合金層へ顕著に濃化していくこと
を見いだした。これは当該元素を複合添加したときに初
めて観察される現象で、具体的にはめっき層中のこれら
元素の濃度は添加量の1/5〜1/10程度で、残りは
合金層中へ濃化する。これらの元素は合金層の上部、つ
まりめっき層と合金層界面に特に濃化する。更にかくな
る組成を有する溶融アルミめっき鋼板は従来の鋼板に比
べて、格段優れた耐食性、特に加工後耐食性を有するこ
とを見いだした。これは合金層のめっき層側に顕著に濃
化したMn、Cr等の元素の効果によるものであるもの
と推測される。
【0012】まためっき浴中のSn、Zn等はアルミめ
っき鋼板の耐食性を著しく阻害する元素である。このた
めMn、Crを上記のごとく含有し、かつ不純物中のS
n、Znを一定量以下に制限した溶融アルミめっき鋼板
は極めて優れた加工後耐食性を持つ。一方上記のめっき
鋼板はめっき浴中に特定量のMn、Cr、Fe、Siを
添加する事で、あるいはMn、Cr、Fe、Siを所定
量添加したうえで不純物のSn、Znを特定量に制限す
る事で製造することができる。
【0013】さらに特開平6−128713号公報に記
載されているように、めっき後焼鈍することでめっき層
中に固溶したFe、Siが析出してめっきが軟質化し、
加工の際のクラック発生が抑制される。めっき浴にM
n、Crを添加して、その後に焼鈍すると焼鈍の効果で
クラック発生が抑制され、さらに僅かに残存したクラッ
ク部の耐食性もMn、Cr添加により大幅に向上するた
め全体の加工後耐食性は更に向上する。
【0014】またもう一つのめっき密着性の方である
が、一般的にめっき皮膜の密着性は圧縮変形に弱い傾向
があり、引張変形のみの建材等の折曲げ加工においては
めっき剥離の懸念は殆ど無いが、燃料タンク材料のよう
な圧縮、引張が両方加わり、かつ摺動の加わるような厳
しい加工においては、めっきの密着性が重要な加工性の
指標となる。これについてもMn、Crの添加により大
幅に向上する。その理由はまだ定かではないが、合金層
に濃化したMn、Crの効果で若干合金層の延性が向上
しているものと推測している。
【0015】本発明の要旨とするところは以下の通りで
ある。 (1)鋼板の表面に、その平均組成が重量%でFe:2
5〜50%、Si:3〜18%、Mn:0.1〜5%、
Cr:0.05〜0.8%、残部がAlおよび不可避的
不純物からなり、かつ厚みが5μm以下である金属間化
合物被覆層を有し、前記金属間化合物被覆層の表面に、
重量%でSi:2〜12%、Fe:1%以下、Mn:
0.005〜0.3%、Cr:0.002〜0.08
%、残部が実質的にAlからなり、かつ不純物中のZ
n、Sn含有量が合計で1%以下である被覆層を有する
事を特徴とするプレス加工性、耐食性に優れた燃料タン
ク用防錆鋼板。
【0016】(2)鋼板に、Si:3〜12%、Fe:
0.5〜2.5%、Mn:0.05〜1.0%、Cr:
0.02〜0.15%、残部がAlおよび不可避的不純
物よりなり、かつ不純物中のZn、Sn含有量が合計で
1%以下であるめっき浴で溶融アルミめっきを施すこと
を特徴とする、プレス加工性、耐食性に優れた燃料タン
ク用防錆鋼板の製造法。 (3)めっき後に300〜500℃で5〜20hr焼鈍
処理を施すことを特徴とする請求項2に記載のプレス加
工性、耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板の製造法で
ある。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の限定理由について
説明する。まず被覆層の組成及び製造法の浴組成に関し
て説明する。 Si:溶融アルミめっき鋼板には前述したようにめっき
層と合金層が生成し、合金層は硬く脆いためにめっき密
着性を阻害する。この影響を少なくするために通常めっ
き浴中にSiを通常10%程度添加して、合金層の厚み
を抑制している。本発明においても同様の目的でSiを
添加する。この目的のためにはめっき浴中のSi量は最
低限3%は必要で、この時のめっき層中のSi量は2%
以上になる。一方Siを添加し過ぎると粗大な初晶Si
が生成して耐食性に悪影響を与えるため上限を12%と
する。この時のめっき層中Si量も12%程度である。
【0018】Fe:Feは被めっき鋼板あるいは浴中機
器より溶出してくるもので、本発明において特に積極的
に添加しようとするものではない。通常めっき層中にも
0.3〜0.8%程度含有されている。Feは耐食性に
悪影響を与えるため少ない方が好ましく、めっき層中上
限値を1%とする。本来的には少なければ少ないほど好
ましいが、前述したように不可避的に混入してくる元素
で完全に除去する事は困難である。また浴中においても
不可避的元素で、除去することは不可能に近い。無理に
除去すると浴中機器を溶損しやすくなるため、浴中の下
限値を0.5%とする。一方耐食性阻害あるいはドロス
起因の外観汚れがでることから浴中の上限値を2.5%
とする。
【0019】Mn:この元素は本発明において特に重要
である。合金層に濃化して耐食性に著しい効果のある元
素で、その効果を発揮するためにはめっき浴に最低0.
05%は必要である。このめっき浴でめっきした場合、
めっき層には0.005%は含有されるためこの濃度を
めっき層中下限値とする。一方Mnのめっき浴中の溶解
度は、通常のめっき温度である650℃において約0.
6%である。Al−Mn二元系状態図ではMnの溶解度
は約1%とされているが、Siを約10%を含有する系
においては溶解度が下がるものと思われる。Mnを0.
6%以上溶かすには浴温を上げる必要があり、そうする
と合金層が厚く成長しやすくなってめっき密着性が劣化
するという問題を生じる。このため浴中Mn濃度の上限
は1%とする。この浴でめっきを行うときのめっき層中
Mn濃度は最大0.3%程度であり、これをもってめっ
き層中Mnの上限とする。
【0020】Cr:Mnと並んでやはり本発明に重要な
元素である。Crは特に耐食性への影響が大きく、また
Mnを合金層に濃化させる効果を有する。それらの効果
を期待するためにはめっき層中に0.002%以上必要
である。このためには浴中に0.02%以上の添加が必
要である。CrもMnと同様にめっき浴への溶解度が低
く、650℃で約0.1%で、これ以上溶解させようと
するとやはり浴温を上げなければならない。すると合金
層が厚く成長するため、0.15%を浴中Cr量上限値
とする。このときのめっき層中Cr量は0.08%程度
であるため、この値をめっき層中Cr量の上限とする。
状態図ではAl−Cr中Cr溶解度は0.4%である
が、Mnと同様の理由で溶解度は下がっていると思われ
る。
【0021】CrとMnを複合添加した際に両元素が合
金層に濃化する理由については現在のところまだ不明確
ではあるが、Cr−Mn−Fe(−Al−Si)系の安
定な金属間化合物が生成するためにFe濃度の高い原板
側にCr、Mnが移動していく事が考えられる。 Zn,Sn:これらは全てAlの耐食性を大きく阻害
し、白錆発生を早める不純物元素である。このためこれ
らの元素の和をめっき層中、浴中共に1%以下に限定す
る。
【0022】次に金属間化合物層(以後合金層と称す
る)組成の限定理由を説明する。 Si:前述したように合金層成長抑制の目的からめっき
浴中にSiを3〜12%添加している。このときの合金
層中のSi濃度は3〜18%である。故に合金層中Si
はこの範囲内に限定する。 Fe:合金層は主としてめっき浴のAlと原板のFeの
反応により生成する。このときの合金層中のFe濃度は
25〜50%になる。従って合金層中Feはこの範囲内
に限定する。
【0023】Mn:浴中に添加されたMnは前述したよ
うにCrの効果で合金層に濃化する。この効果により耐
食性、密着性等の諸性能が大幅に向上する。これらの効
果が現れるには最低0.1%のMnが必要である。一
方、やはり前述したように浴中Mn濃度には上限がある
ために合金層中Mn濃度も上限を持つ。これが5%であ
る。
【0024】Cr:Mnと同様Crも合金層に濃化す
る。Crも耐食性に効果があり、その効果は0.05%
以上で効力を発揮する。合金層中Crの上限値もめっき
浴に添加できるCr量に依存し、0.8%である。合金
層厚みについては、厚すぎるとめっき密着性を阻害する
ため上限を5μmとする。合金層はめっき密着性を阻害
するため薄い方が好ましいために特に下限は設けない。
通常の操業条件では合金層厚みは2〜3μmである。
【0025】次にめっき後の焼鈍条件について説明す
る。本発明はめっき層にMn、Crを含有するために燃
料タンク材として必要な加工後の耐食性、密着性を有し
ているが、めっき後に焼鈍処理をすることによりさらに
性能が向上する。これは焼鈍によりアルミめっき層に固
溶したFe、Siが析出して加工の際のクラック発生が
抑制されるためで、その条件としては300〜500
℃、5〜40hrに限定する。この理由は、300℃未
満ではFe、Siの析出速度が極めて遅く、非常に長時
間を要するため、また500℃超ではFe−Alの合金
化反応が進行して寧ろめっき密着性を阻害する方向に働
くため、5hr未満の焼鈍ではやはりFe、Siの析出
が十分に行われないため、40hr超の焼鈍は生産性、
コストの面で不利なためである。
【0026】本発明においてめっき原板は特に規定する
ものではない。しかし述べてきたように複雑な加工を要
求される燃料タンク材であるため、その材質は深絞り
性、張り出し性に優れたもの、具体的にはTi−IF等
のIF鋼が望ましい。当然IF鋼でなくてもCが10p
pm以下というような超低炭素鋼であっても構わない。
また自動車燃料タンクの取付位置によっては自動車の走
行中に常に揺れ続けることになるために疲労強度にも優
れることが望ましく、B等の添加が有効である。次に本
発明を実施例でもって更に詳しく説明する。
【0027】
【実施例】通常の熱延、冷延工程を経た、表1に示すよ
うな鋼成分の冷延鋼板(板厚0.8mm)を材料とし
て、溶融アルミめっきを行った。溶融アルミめっきは無
酸化炉−還元炉タイプのラインを使用し、めっき後ガス
ワイピング法でめっき厚みを調節し、その後空冷により
冷却速度を調節した。この際のめっき浴組成としては基
本的にAl−2%Feとして、この中にSi、Mn、C
rを添加した。このときの浴中のFeは浴中のめっき機
器やストリップから供給されるものである。めっき外観
は不めっき等なく良好であった。さらにめっき後一部の
試料をボックス焼鈍炉を使用して空気中で焼鈍した。こ
の際の溶融アルミめっき条件と焼鈍条件を表2及び表3
に示す。このようにして製造した溶融アルミめっき鋼板
の燃料タンクとしての性能を評価した。このときの評価
方法は下に示した方法によった。
【0028】
【表1】
【0029】(1)めっき層、合金層組成、厚み分析方
法 めっき層:3%NaOH+1%AlCl3 ・6H2
中で電解剥離によりめっき層のみを剥離してめっき層組
成分析液として、各元素の定量分析を行った。 合金層:上記の電解剥離後、化成ソーダで合金層を剥
離して合金層組成分析液を得、各元素の定量分析を行っ
た。 合金層厚み:400倍の断面検鏡写真より合金層厚み
を測定した。
【0030】(2)プレス加工性評価 油圧成形試験機により、直径50mmの円筒ポンチを用
いて、絞り比2.3で成形試験を行った。このときのシ
ワ抑え圧は500kg/cm2 として行い、成形性の評
価は次の指標によった。 〔評価基準〕 ◎:成形可能で、めっき層の欠陥無し 〇:成形可能で、めっき層にひび割れ有り △:成形可能で、めっき層剥離有り ×:成形不可能(原板に割れが発生)
【0031】(3)加工後内面耐食性評価 上記の油圧成形試験機により、フランジ幅20mm、直
径50mm、深さ25mmの平底円筒絞り加工した試料
に、次に示す6種類の燃料20ccを入れ、シリコンゴ
ム製のリングを介してガラスで蓋をした。これを室温に
て3ケ月間放置した後に材料の腐食状況を観察した。燃
料を使用中に燃料が酸化劣化して有機酸が生成すること
が知られている。この状態を模擬するために、劣化ガソ
リンを作成した。作成方法は容器に酸素とガソリンを入
れ、100℃,7気圧で10hr保持するというもので
ある。また燃料タンク内の燃料が減少すると、燃料補給
時にタンク内に入った空気中の水分がタンクの気相部に
凝結して水分が燃料内に混入する事がある。この水分の
影響、ガソリン劣化の影響を把握するために、蒸留水を
添加した燃料での評価も行った。
【0032】〔使用燃料〕 ガソリン 劣化ガソリン90%+蒸留水10% メタノール15%+ガソリン85%+蒸留水10% 〔評価基準〕 ◎:赤錆発生0.1%未満及び変化なし 〇:赤錆発生0.1%以上1%未満あるいは白錆僅か △:赤錆発生1%以上5%未満あるいは白錆あり ×:赤錆発生5%以上15%未満あるいは白錆顕著 XX:全面に赤錆発生
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】表3にこれらの評価結果をまとめた。アル
ミめっき浴組成としてSiが少ない場合(比較例1)や
めっき後の焼鈍温度が高すぎる場合(比較例8)には、
合金層が厚く成長し過ぎてプレス成形時にめっき剥離を
引き起こす。またこのときには当然加工後の耐食性は非
常に劣化する。めっき浴中のSi量(比較例2)が多す
ぎるときにはめっき層の延性が劣化して密着性が劣化
し、また耐食性自体も劣化し、その両方の効果で加工後
耐食性も劣化する。浴中のMn量、Cr量が少なすぎる
と(比較例3,5)、合金層へのこれら元素の濃化が不
十分で、加工後の耐食性も不十分である。
【0036】逆にこれらの元素が多すぎると(比較例
4,6)、浴温を上げないと溶解せず、そうすると合金
層が発達し過ぎて性能が落ちる。浴中のSn,Zn量が
多すぎても(比較例7)めっき層の耐食性が劣化する。
Pb−Sn合金めっき、亜鉛めっき等の従来の材料では
(比較例9,10)めっき層自体の耐食性が不足してや
はり性能が劣る。本発明例1〜16に示すように浴成分
条件が全て適当であると良好な加工性(密着性、加工後
耐食性)を示す。さらにこれに焼鈍を施すと更に性能が
向上する(本発明例17,18)。焼鈍温度が低い、焼
鈍時間が短い等焼鈍が不十分であると(本発明例19,
20)焼鈍による性能向上効果は不十分である。
【0037】
【発明の効果】本発明は、通常のガソリンや酸化劣化し
たガソリンは勿論のこと、メタノール,エタノール等の
アルコール燃料あるいはこれらアルコール混合ガソリン
に対して優れた耐食性を発揮し、かつタンク製造工程に
おいて今後増すと予想される苛酷なプレス条件に対し充
分に耐え得る優れたプレス加工性を有し、加工後の耐食
性の劣化も殆ど無く、さらにPbを使用せず環境への負
荷も少ない燃料タンク用防錆鋼板の製造法を提供するも
ので、産業の発展に貢献するところ甚大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 30/00 C23C 30/00 B (56)参考文献 特開 平6−293976(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/01 B65D 25/14 C22C 21/02 C23C 28/02 C23C 30/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の表面に、その平均組成が重量%で
    Fe:25〜50%、Si:3〜18%、Mn:0.1
    〜5%、Cr:0.05〜0.8%、残部がAlおよび
    不可避的不純物からなり、かつ厚みが5μm以下である
    金属間化合物被覆層を有し、前記金属間化合物被覆層の
    表面に、重量%でSi:2〜12%、Fe:1%以下、
    Mn:0.005〜0.3%、Cr:0.002〜0.
    08%、残部が実質的にAlからなり、かつ不純物中の
    Zn、Sn含有量が合計で1%以下である被覆層を有す
    る事を特徴とするプレス加工性、耐食性に優れた燃料タ
    ンク用防錆鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板に、Si:3〜12%、Fe:0.
    5〜2.5%、Mn:0.05〜1.0%、Cr:0.
    02〜0.15%、残部がAlおよび不可避的不純物よ
    りなり、かつ不純物中のZn、Sn含有量が合計で1%
    以下であるめっき浴で溶融アルミめっきを施すことを特
    徴とする、プレス加工性、耐食性に優れた燃料タンク用
    防錆鋼板の製造法。
  3. 【請求項3】 めっき後に300〜500℃で5〜20
    hr焼鈍処理を施すことを特徴とする請求項2に記載の
    プレス加工性、耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板の
    製造法。
JP07320684A 1995-05-18 1995-12-08 プレス加工性、耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板およびその製造法 Expired - Fee Related JP3103026B2 (ja)

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