JPH1017582A - 燐酸エステルの製造方法 - Google Patents

燐酸エステルの製造方法

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JPH1017582A
JPH1017582A JP8169877A JP16987796A JPH1017582A JP H1017582 A JPH1017582 A JP H1017582A JP 8169877 A JP8169877 A JP 8169877A JP 16987796 A JP16987796 A JP 16987796A JP H1017582 A JPH1017582 A JP H1017582A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オリゴマータイプの燐酸エステルを製造する
に当たり、触媒に用いた金属成分を容易な操作で除去出
来て、樹脂との押し出し成形時などに問題を起こす事の
ない熱安定性に優れた製品が得られ、かつフェノール類
やエステル類の排水への混入が少ない、環境に優しい製
造方法を提供する。 【解決手段】 金属塩化物触媒存在下にオキシ塩化燐と
フェノール類を反応させる反応工程、pH3以下の酸性
水により触媒を除去する洗浄工程、酸成分を洗い流す濯
ぎ工程、及び蒸留乾燥工程を有し、反応工程で用いる触
媒及び原料に同伴される水分量を、仕込み総量に対して
10〜500ppmの範囲に調整し、かつ濯ぎ工程で生
じる排水に酸成分を添加して洗浄工程の酸性水として使
用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性に優れ、難
燃剤、可塑剤など樹脂用の添加剤として有用な、オリゴ
マータイプのアリール燐酸エステルの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】燐酸エステルは、樹脂に混合して難燃効
果、可塑効果、酸化防止効果などの優れた性能を発現す
ることから、樹脂用の添加剤として広く使用されてい
る。中でも、下記一般式[1]で表されるオリゴマータ
イプのアリール燐酸エステルは、耐熱性に優れ、成形加
工時の揮散や樹脂表面へのしみ出し(ブリード)、金型
汚染等の問題を起こし難いことから、ポリエステル系樹
脂やポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル
系樹脂などの添加剤として注目されている。
【0003】
【化2】
【0004】(式中、nは0〜10の整数で、Ar1,
Ar2,Ar3,Ar4は、各々同一または異なる1価
の芳香族基であり、Rは2価の芳香族基である。) 例えば特公昭51−19858号及び特公昭51−39
271号公報などにはこれらの添加剤を含むポリエステ
ル系の難燃性樹脂組成物、特開昭55−118957号
及び特公昭62−25706号公報などにはポリフェニ
レンエーテル系の樹脂組成物、特公平2−18336号
公報や米国特許第5061745号公報などにはポリカ
ーボネート系の樹脂組成物が記載されている。
【0005】一般式[1]のアリール燐酸エステルは、
通常、ルイス酸触媒の存在下、オキシ塩化燐と、2価フ
ェノール及び1価フェノールの反応により合成される。
ルイス酸触媒としては、無水塩化マグネシウム、塩化ア
ルミニウム、塩化チタン、塩化鉄などの金属塩化物が好
適に用いられる。しかし、これらの金属分は、高温下で
はエステル交換や加水分解の触媒として作用する為、燐
酸エステル中に残留すると、樹脂との押し出し成形時な
どに、燐酸エステルのみならず樹脂自体のゲル化や分解
を引き起こして、樹脂組成物の物性を著しく低下させた
り、金型を汚染して生産性を低下させたり、さらには金
型腐食の原因となることが知られている。従って、合成
した燐酸エステルから触媒金属分を除去する工程は、製
造工程全体の中でも特に重要である。
【0006】該アリール燐酸エステルは、沸点が高く蒸
留精製を行うことが出来ない為、熱水や酸性水、アルカ
リ水により金属分を水相に抽出する洗浄精製法がもっぱ
ら行われている。反応工程で得られる生成物は、通常、
クロロ燐酸化合物や、触媒や原料の水分含有量に由来す
る、親水性の燐酸基を持つモノエステル、ジエステルな
どの親水性燐酸エステルを含む組成物となる。これらの
親水性燐酸エステルは、広いpHの範囲で界面活性剤と
して作用する為、生成量が多いとエマルジョンを形成し
やすく、洗浄工程などにおける液液分離が困難となる。
特に、熱水や弱酸、弱塩基水よる洗浄を行うと、エマル
ジョン化が生じ易く、操作が困難となる上、どうしても
除去しきれない金属分が存在する為、燐酸エステル自体
や樹脂組成物全体について十分な耐熱性を得ることが出
来ない。
【0007】一方、特定のpH以上の強アルカリを用い
ると、金属分の水相への抽出とエマルジョン化の防止は
達成できることが知られている。しかしこの場合、燐酸
エステルの加水分解が生じるため、製品の収率が低下す
る上、分解により生じる多量のフェノール類や有機燐化
合物などが水相に移行して排水処理が困難となり、水質
の汚染を引き起こしやすい。
【0008】また、特定のpH以下の強酸を用いると、
エマルジョン化を起こすことなく、金属分を水相に抽出
できることも知られている。この場合、エステルに酸成
分が残留すると熱安定性が著しく低下するため、酸性分
を除去する濯ぎ工程が必須となる。しかし、濯ぎにより
水相のpHが中性に近づくに従い、水相へのエステルの
懸濁が顕著となり、複雑な排水処理が必要となる上、製
品の収率低下を引き起こす。
【0009】さらに、合成の工程では、エステル化反応
を完結させ、モノエステル、ジエステル等の親水性燐酸
エステルの生成を抑える為に、通常、過剰量の1価フェ
ノールを仕込んで反応を行うことから、洗浄工程に供す
る反応生成物は未反応の1価フェノールを含んでいる。
これら1価フェノールは、洗浄及び濯ぎの工程で、親水
性燐酸エステルと共に水相に移行して排水処理の負荷を
上げる。
【0010】反応工程終了後、洗浄工程の前に1価フェ
ノールを蒸留などで除去できれば、排水への1価フェノ
ールの移行量を削減することが出来る。しかし、本発明
者らの研究によると、製品である燐酸エステルと1価フ
ェノールは極めて親和性が強い為、抽出などによる分離
は困難な上、蒸留分離するためには150℃以上の温度
と50torr以下の真空が必要である。しかも、触媒
と1価フェノールを含む反応生成物は、高温、高真空下
では激しい不均化反応を起こして、押し出し成形時の発
煙や金型汚染の原因となる燐酸トリアリールと、樹脂と
の相溶性が劣る高分子量のエステルを生じ、また水蒸気
蒸留を行うと加水分解を起こす。このため、反応終了後
に蒸留操作により1価フェノールをおおむね0.5重量
%以下まで除くことは、極めて困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、触媒に用い
た金属分を容易な操作で除去できて、樹脂との押し出し
成形時などに問題を起こすことのないオリゴマータイプ
のアリール燐酸エステルを収率良く得ることが出来、か
つ1価フェノールや燐酸エステル類の排水への混入が少
ない、燐酸エステルの製造方法を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成すべく鋭意研究した結果、洗浄工程における、1
価フェノール類及びモノ燐酸エステル、ジ燐酸エステル
等の親水性エステル類の、水相とエステル相への分配比
は一定であり、濯ぎ水を使い回ししても、水相に於ける
1価フェノール類及び親水性燐酸エステル類の濃度は変
化しないこと、及び燐酸エステルの懸濁した水に酸を加
えてpHを3以下にすると燐酸エステルの凝集が生じ、
水相が透明となることを見出した。さらに、反応工程で
生じる親水性燐酸エステルの量は、エステル化反応を完
結させる場合、触媒及び原料に含まれる水分に依存する
こと、親水性燐酸エステルは、製品の酸価を上げると共
に、熱安定性を低下させる一つの原因であり、多量に生
成することは好ましくないが、一方で、親水性燐酸エス
テルを少量含む事により反応生成物が水相と適度な親和
性を持つ様になり、洗浄効率が上がって金属分の除去が
容易になること、及び触媒金属を除去したエステルは不
均化反応および加水分解を起こしにくくなり、高温、高
真空での蒸留が可能であることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0013】すなわち、本発明は以下の通りである。 1. 下記一般式[1]で表される燐酸エステルを製造
するに当たり、(1)金属塩化物触媒の存在下に、オキ
シ塩化燐と、2価フェノール及び1価フェノールを反応
せしめる反応工程、(2)反応生成物をpH3以下の酸
性水と混合して金属分を水相に抽出せしめた後、水相を
分離、除去する洗浄工程、(3)さらに中性水を加えて
混合し、酸成分を水相と共に分離、除去する濯ぎ工程、
及び(4)蒸留乾燥工程を有し、(1)反応工程におい
て、使用する金属塩化物触媒が0.1〜5重量%、1価
フェノール及び2価フェノールが各々10〜1000重
量ppmの水分を含有し、仕込み総量に対する含有水分
総量が10〜500重量ppmの範囲であり、かつ
(2)洗浄工程に供する反応生成物が、未反応の1価フ
ェノールを0.1〜10重量%含有するように1価フェ
ノールをオキシ塩化燐に対して過剰量使用してエステル
化反応を完結させ、さらに(3)濯ぎ工程で生じる排水
に酸成分を添加して(2)洗浄工程の酸性水として使用
することを特徴とする、燐酸エステルの製造方法。
【0014】
【化3】
【0015】(式中、nは0〜10の整数で、Ar1,
Ar2,Ar3,Ar4は、各々同一または異なる1価
の芳香族基であり、Rは2価の芳香族基である。) 2. (1)反応工程で用いる金属塩化物触媒が無水塩
化マグネシウム及び/又は塩化アルミニウムであり、
(2)洗浄工程で使用する酸性水が、pH2.6以下の
塩酸水、硫酸水、蓚酸水、酢酸水、又はそれらの混合物
である上記1の燐酸エステルの製造方法。 3. 式[1]における1価の芳香族基Ar1,Ar
2,Ar3,Ar4が、フェニル基、トリル基、キシリ
ル基から選ばれる、各々同一または異なる置換基であ
り、2価の芳香族基Rがヒドロキノン、レゾルシノー
ル、ビスフェノールAの残基のいずれかである上記1ま
たは2の燐酸エステルの製造方法。 4. (4)蒸留乾燥工程で未反応の1価フェノール類
を除去する上記1の燐酸エステルの製造方法。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
燐酸エステルの製造方法の最初の工程である(1)反応
工程には、例えば米国特許第2520090号明細書
や、特公昭62−25706号公報、特開昭63−22
7632号公報などに記載されている、金属塩化物触媒
の存在下に、オキシ塩化燐と2価フェノール、及び1価
フェノールを反応させる、公知の技術を用いることが出
来る。反応条件や反応の順序等に特に制限はないが、オ
キシ塩化燐と2価フェノールを反応させた後、未反応の
オキシ塩化燐を除去し、さらに1価フェノールを加えて
反応を完結させる、特開昭63−227632号公報に
記載の方法が、燐酸トリアリールの副生が少なく、特に
好ましい。
【0017】触媒として用いる金属塩化物は、ルイス酸
性を持つ公知の化合物が用いられ、例えば無水塩化マグ
ネシウム、塩化アルミニウム、塩化チタン、塩化錫、塩
化亜鉛、塩化鉄などが挙げられ、これらを単独、又は組
み合わせて用いることが出来る。特に無水塩化マグネシ
ウム及び塩化アルミニウムの単独又は組み合わせが好適
に用いられる。
【0018】原料である2価フェノールには特に制限は
なく、例えばヒドロキノン、レゾルシノール、カテコー
ル、ビフェニル−3,3′ジオール、ビフェニル−4,
4′ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、
ビスフェノールF等を、単独又は組み合わせて用いるこ
とが出来る。中でも、反応性と製品の性能の面から、ヒ
ドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールAのいず
れかを用いることが好ましい。
【0019】もう一つの原料である1価フェノールにも
特に制限はなく、例えば、フェノール、クレゾール、キ
シレノール、トリメチルフェノール、イソプロピルフェ
ノール、ジ−t−ブチルフェノール、ノニルフェノール
などのアルキルフェノール類や、フェニルフェノール、
ベンジルフェノール、クミルフェノール、ナフトール等
を単独、又は組み合わせて用いることが出来る。中で
も、フェノール、クレゾール、キシレノールは、洗浄、
濯ぎ工程に於いて水相に移行しやすく、本発明の効果が
顕著である。
【0020】オキシ塩化燐に対してフェノール類が不足
したり、反応が完結しない場合、分子内に未反応の塩素
を持つクロロ燐酸化合物が生成し、これが洗浄工程で加
水分解されて分子内に燐酸基を持つ親水性の燐酸エステ
ルとなる。親水性燐酸エステルは、また、触媒や原料で
あるフェノール類に同伴される水分からも生成する。本
発明者らの研究によると、この親水性燐酸エステルは、
生成量が概ね1重量%を越えると、特に濯ぎ工程でエマ
ルジョン化を引き起こし易くなるほか、製品の酸価を引
き上げて成形加工時の樹脂のゲル化や、ノズルや金型の
腐食を引き起こす反面、驚くべきことに、概ね0.01
〜0.5重量%の範囲で存在すると、洗浄工程や濯ぎ工
程でエステル相と水相との接触効率が改善され、金属分
や酸成分の除去が容易となることが判明した。
【0021】反応生成物中の親水性燐酸エステルの生成
量の調節は、触媒や原料に同伴される水分量をコントロ
ールした上で、反応を完結させる方法が容易である。す
なわち、反応工程で使用する金属塩化物触媒が0.1〜
5重量%、1価フェノール及び2価フェノールが各々1
0〜1000重量ppmの水分を含有し、かつ仕込み総
量に対する水分総量が10〜500重量ppmの範囲と
なるようコントロールすれば良い。触媒が0.2〜3重
量%、1価フェノール及び2価フェノールが各々20〜
300ppmの水分を含有し、仕込み総量に対する水分
総量が50〜200ppmの範囲がさらに好ましい。
【0022】エステル化反応を完結させるためには原料
の1価フェノールを過剰に仕込んで反応する方法が有効
で、反応完結時に生成物が0.1〜10重量%、さらに
好ましくは0.5〜5重量%の1価フェノールを含有す
るように仕込む。0.1重量%未満では反応の完結が困
難であり、10重量%を越えても顕著な効果の改善はな
いのみならず、排水への1価フェノールの移行量が増加
し、好ましくない。
【0023】得られた反応生成物は、最終製品の物性を
損なわない範囲で、減圧蒸留などにより、未反応の1価
フェノールの一部を除去しても良い。ただしこの反応生
成物は、高温、高真空の条件下で、燐酸トリアリールと
高分子量のエステルの生成する不均化反応を生じ、その
速度は未反応の1価フェノールの量に応じて増加する
為、例えば2重量%の未反応フェノールを、不均化反応
を起こすことなく0.5重量%以下まで留去する事は極
めて困難である。
【0024】本発明の(2)洗浄工程は、反応生成物に
含まれる触媒に由来する金属分を水相に抽出して除去す
る工程である。本工程に使用する装置は、一般的なミキ
サー/セトラー型の洗浄装置が好適に用いられる。反応
生成物と酸性水の混合には、例えば攪拌混合槽や、ライ
ンミキサーなどを用いることが出来る。
【0025】洗浄には、pH3以下、好ましくはpH
2.6以下、さらに好ましくはpH0〜2の範囲の酸性
水が用いられる。このpH範囲の洗浄水を用いれば、エ
ステルの加水分解を引き起こすことなく、金属分を完全
に水相に抽出できる上、洗浄後の油水分離が極めて容易
であり、短時間のうちに、懸濁物が無く1価フェノール
などの水溶性有機物の少ない、無色透明な洗浄排水が分
離できる。pHが3を越える酸性水を用いた場合、触媒
金属分が十分に除去できない上、燐酸エステルの懸濁や
エマルジョン化を生じる。また、pHの上昇に伴い、1
価フェノールや親水性燐酸エステルの水相への移行量が
増え、排水処理の負荷が増加する。
【0026】酸性水に使用する酸としては、例えば塩
酸、硫酸、硝酸、燐酸、ホウ酸、フッ酸などの無機酸
や、蟻酸、酢酸、蓚酸などの有機酸が挙げられる。特
に、塩酸、硫酸、蓚酸は、洗浄効率が高く、且つ濯ぎが
容易で好適に用いられる。酸の濃度としては、洗浄に用
いる酸性水が前述のpH範囲となればよいが、好ましい
範囲は概ね0.01〜2規定の範囲で、0.02〜1規
定の範囲がさらに好ましい。
【0027】洗浄する燐酸エステルに対する酸性水の割
合は、重量比で0.1〜5倍の範囲が適当であり、0.
2〜2倍の範囲が好ましい。0.1倍未満では金属分を
十分に除去できず、5倍を越えても洗浄効率は上がらな
いのみならず、フェノールや親水性エステルの水相への
移行量は分配比により決定されるため、水相の増分だけ
これらの移行量が増えて、排水処理の負荷が増加する。
【0028】本発明の(3)濯ぎ工程は、主に洗浄工程
で添加する酸性分の除去を目的とする工程で、反応工程
で残留した塩素分や、含有水分と共に残留する触媒金属
分も、同時に除去する。本工程に使用する装置は、基本
的に洗浄工程と同様のものであり、同一の装置で洗浄と
濯ぎを順次行っても良い。
【0029】濯ぎの方法は特に規定しないが、セトラー
/ミキサー型の装置を用いる場合、製品の熱安定性を確
保するために、金属分、塩素分、その他の酸成分を出来
るだけ除去するよう、操作を繰り返すことが好ましい。
一方で、濯ぎ操作の繰り返しにより操作時の水相のpH
が中性に近づくと、水相に燐酸エステルが懸濁すると共
に分離速度が低下し界面が不安定となる。この為、濯ぎ
の回数は1〜10回、さらに好ましくは2〜5回が適当
で、この回数で、金属分及び酸成分の濃度が各々概ね5
ppm以下となるよう濯ぎの条件を選定する。
【0030】本発明の燐酸エステルの製造方法の特徴の
一つは、濯ぎ工程で発生する排水に酸成分を加えて洗浄
工程に用いることである。洗浄水のpH条件下では、濯
ぎ工程で水相に懸濁した燐酸エステルが再度凝集する。
また、フェノール類と親水性燐酸エステルのエステル相
と水相への分配は平衡の関係にあり、しかも水相のpH
が低いほど平衡がエステル相側に傾く。このため、洗浄
排水には燐酸エステルの懸濁が無く、かつフェノール類
や親水性燐酸エステルの濃度は、純水に酸成分を添加し
た洗浄液を使用した場合の排水と実質的に同じで、中性
水及びアルカリ水による洗浄排水中の濃度より低くな
り、製品の損失が無くなると同時に、濯ぎ工程で発生す
る排水分の排水処理の負荷が軽減される。
【0031】濯ぎ工程を数回繰り返す場合には、例え
ば、濯ぎの工程を2回繰り返す場合、濯ぎの最終回であ
る2回目に清澄な濯ぎ水を用い、その濯ぎ排水をタンク
などに貯蔵して、次回の製造時の1回目の濯ぎに使用
し、さらにその排水に酸成分を添加して、その次の回の
製造時の洗浄工程に使用するごとく、濯ぎ排水をカウン
ターフロー的に使い回しし、最終的に酸成分を加えて洗
浄工程に用いることにより、濯ぎの回数に関わりなく、
排出されるフェノール分と親水性燐酸エステル分の総量
を、洗浄工程1回分に削減することが出来る。
【0032】濯ぎの最終回で用いる清澄な濯ぎ水とは、
アルカリ、及びアルカリ土類金属の含有量が概ね100
重量ppm以下のいわゆる上水の範疇のものであれば特
に制限はないが、最後の濯ぎに用いる中性水は実質上金
属分を含まない、イオン交換水や蒸留水などのいわゆる
純水が好ましい。本発明の(4)蒸留乾燥工程は、触媒
金属を除去した燐酸エステルから、水分及び、1価フェ
ノールを除去して最終製品とする工程である。
【0033】最終製品は、樹脂との押し出し成形時の発
煙や悪臭、金型の汚染などの問題を起こさぬよう、1価
フェノールの含有量を0.5重量%以下にすることが好
ましく、0.3重量%以下にすることがさらに好まし
い。また、水分は押し出し成形時の発泡や樹脂の加水分
解を引き起こす原因となるため、0.5重量%以下にす
ることが好ましく、0.1重量%以下にすることがさら
に好ましい。一方、濯ぎ工程の終了した燐酸エステル
は、通常1〜10重量%の水分と、前述のごとく仕込み
組成に応じて0.1〜10重量%の1価フェノールを含
有している。従って、水分の除去は不可欠であり、多く
の場合、1価フェノールの除去も必要である。
【0034】本工程に供される燐酸エステルは、触媒が
除去されている為、不均化反応および加水分解が起こり
にくく、高温、高真空条件の必要な1価フェノールの蒸
留が可能となる。本発明者らの研究によると、水分の蒸
発は伝熱律速であり、容易に除去することが出来る。一
方1価フェノールの蒸留は蒸発表面積律速であるため、
蒸留釜を用いる場合、設備スケールに伴って蒸留操作に
要する時間が延びる問題がある。従って、乾燥工程で
は、蒸発面積の大きい、例えば薄膜蒸留装置などの装置
を用いることが好ましい。
【0035】また、水蒸気蒸留により1価フェノールを
留去した後、水分を除く方法も好適に用いられる。本発
明の方法により製造される燐酸エステルは、金属分を含
まず、熱安定性に優れており、そのまま、又は必要に応
じて脱色や酸価の低減処理を行った後、難燃剤や可塑剤
など樹脂用の添加剤として、好適に用いることが出来
る。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明する。まず、本発明で用いた分析方法を以下に
示す。 1.生成物の定量 縮合度nによる組成 : 東ソー GPC カラム 東ソー TSKgel G2000HXL 2本 東ソー TSKgel G3000HXL 1本 直列 溶媒 THF flow=1ml/分 検出器 UV λ=254nm 試料 THF1000倍希釈 50μl 絶対検量線法 1価フェノール及びジアリール燐酸の定量 : 島津 LC−1OA カラム 東ソー TSKgel ODS−80T 溶媒 メタノール/水=90/10 flow=0.5ml/分 検出器 UV λ=254nm 試料 メタノール 50倍希釈 10μl 絶対検量線法 金属分の定量 : ICP法 装置 セイコー社製 JYー38PII型 試料 MIBK 30倍希釈 絶対検量線法 水分の定量 : カールフィッシャー法 装置 三菱化成製 CA−05型微量水分測定装置 TGA熱安定性:300℃に於ける重量減少速度を指標とする 装置 Rigaku製 TAS−300 TG−DTA 試料 20±10mg D5mm*H2.5mmアルミ試料パン 測定条件 50℃→(昇温100℃/分)→300℃1時間 300℃到達後40〜60分の20分間の重量減少速度を、重量% /時間で表す
【0037】
【比較例1】 (1)反応工程 [燐酸エステル1]の合成 加熱乾燥により脱水したビスフェノールA9.10kg
(40モル、水分220重量ppm)、オキシ塩化燐1
5.39kg(100モル)、及び無水塩化マグネシウ
ム58g(0.6モル、水分1.3重量%)を、攪拌機
・還流管及び減圧蒸留設備の付属する30リットルGL
反応器に仕込み、窒素気流下70〜120℃にて6時間
反応させた。反応終了後、反応温度を維持しつつ、反応
器を50mmHgまで減圧し、未反応のオキシ塩化燐を
回収した。ついで反応器を70℃まで冷却し、フェノー
ル14.93kg(159モル、水分43重量ppm)
を加え、100〜150℃に加熱して7時間反応させ
た。そのままの温度で10mmHg以下まで徐々に減圧
し、未反応フェノールの一部を留去して26.8kgの
反応生成物を得た。生成物の代表的な構造式を表1、組
成を表2に示す。 (2)洗浄工程 バッフル、攪拌機、コーティングヒーター付きの2リッ
トルのセパラブルフラスコに、[燐酸エステル1]50
0gと0.1規定塩酸500gを仕込み、80℃で30
分間混合攪拌した後、攪拌を止めてそのままの温度で3
0分間静置分離し、水相を抜き出した。エステルと洗浄
水の分離状況、及びエステルと排水の分析値を表3に示
す。 (3)濯ぎ工程 エステルに蒸留水500gを加えて、80℃で30分間
混合攪拌した後、攪拌を止めそのままの温度で30分間
静置分離し、水相を抜き出した(濯ぎ1)。同様の操作
をさらに2回繰り返した(濯ぎ2、濯ぎ3)。各排水、
及び濯ぎ3終了後のエステルの分析値を表3に示す。
【0038】
【実施例1】 (2)洗浄工程、(3)濯ぎ工程 バッフル付きのパイレックス製300mlセパラブル
フラスコに、比較例1にて合成した[燐酸エステル1]
150g、および比較例1の”濯ぎ1”の水相に塩酸を
加えて0.1規定の濃度に調整した液150gを仕込
み、湯浴にて80℃に加温しながら、翼長30mmのテ
フロン製スクリュウ翼を用い、200rpmの速度で3
0分間混合攪拌した後、攪拌を止め、そのままの温度で
30分間静置した後、水相を抜き出した(洗浄)。フラ
スコに、比較例1の”濯ぎ2”の水相150gを加え、
80℃に加温しながら30分間混合攪拌した後、30分
間静置して水相を抜き出した(濯ぎ1)。次に、比較例
1の”濯ぎ3”の水相150gを加え、同様に混合攪拌
と水相の分離を行った(濯ぎ2)。さらに、蒸留水15
0gを加え、同様に混合攪拌と水相の分離を行った(濯
ぎ3)。
【0039】同様の装置に、[燐酸エステル1]13
0gと、の”濯ぎ1”の水相に塩酸を加えて0.1規
定の濃度に調整した液130gを仕込み、と同様の方
法で洗浄を行った。さらに比較例1の”濯ぎ2”、”濯
ぎ3”の水相の代わりに、の”濯ぎ2”、”濯ぎ3”
の水相を用い、水相の仕込量を各々130gとする以外
はと同様の方法により、3回の濯ぎを行った。
【0040】同様の装置に、[燐酸エステル1]11
0gと、の”濯ぎ1”の水相に塩酸を加えて0.1規
定の濃度に調整した液110gを仕込み、と同様の方
法で洗浄を行った。さらに比較例1の”濯ぎ2”、”濯
ぎ3”の水相の代わりに、の”濯ぎ2”、”濯ぎ3”
の水相を用い、水相の仕込量を各々110gとする以外
はと同様の方法により、3回の濯ぎを行った。
【0041】同様の装置に、[燐酸エステル1]10
0gと、の”濯ぎ1”の水相に塩酸を加えて0.1規
定の濃度に調整した液140gを仕込み、と同様の方
法で洗浄を行った。さらに比較例1の”濯ぎ2”、”濯
ぎ3”の水相の代わりに、の”濯ぎ2”、”濯ぎ3”
の水相を用い、水相の仕込量を各々100gとする以外
はと同様の方法により、3回の濯ぎを行った。
【0042】における排水(図1を参照)と、”濯ぎ
3”終了後のエステルの分析結果を表3に示す。洗浄、
濯ぎに於けるエステル相と水相の流れの説明図を図1に
示す。 (4)蒸留乾燥工程 濯ぎ工程の終了したエステル80gを、攪拌機、及び流
出管、トラップを経由して減圧設備に接続した200ml
4つ口フラスコに仕込み、170℃5mmHgで3時間
蒸留して水分とフェノールを留去した。結果を表5及び
表6に示す。
【0043】
【実施例2及び比較例2】 (1)反応工程 [燐酸エステル2]の合成 加熱乾燥により脱水したビスフェノールA456.4g
(2.0モル、水分120重量ppm)、オキシ塩化燐
768.1g(5.0モル)、及び無水塩化マグネシウ
ム2.8g(0.015モル、水分1.2重量%)を、
攪拌機・還流管付きの2000ml四つ口フラスコに仕
込み、窒素気流下70〜120℃にて5時間反応させ
た。反応終了後、反応温度を維持しつつ、フラスコを真
空ポンプにて50mmHgに減圧し、未反応のオキシ塩化燐
をトラップにて回収した。ついでフラスコを室温まで冷
却し、2,6−キシレノール488.5g(4.0モ
ル、水分180重量ppm)及び無水塩化アルミニウム
2.0g(0.015モル、水分0.7重量%)を加
え、100〜150℃に加熱して5時間反応させた。つ
いでフラスコを室温まで冷却し、フェノール375.9
g(4.0モル、水分130重量ppm)を加え、10
0〜150℃に加熱して5時間反応させた。そのままの
温度で10mmHg以下まで徐々に減圧し、未反応のフ
ェノールを一部溜去して1297gの反応生成物を得
た。生成物の代表的な構造式を表1、組成を表2に示
す。 (2)洗浄工程、(3)濯ぎ工程 実施例1及び比較例1と同様の装置、操作条件にて洗浄
及び濯ぎを実施した。結果を表4に示す。 (4)蒸留乾燥工程 180℃、0.5mmHgに設定した薄膜蒸発機(神鋼
パンテック社製 WIPRENE 2−03型)に、濯
ぎの終了したエステルを10g/分の速度で導入し、水
分とフェノールを留去した。結果を表5に示す。
【0044】
【実施例3及び比較例3】 (1)反応工程 [燐酸エステル3]の合成 加熱乾燥により脱水したレゾルシノール220.8g
(2.0モル、水分240重量ppm)、オキシ塩化燐
768.1g(5.0モル)、及び無水塩化マグネシウ
ム2.8g(0.015モル、水分1.2重量%)を、
流出管、トラップを経て減圧設備に接続した、攪拌機・
還流管付きの2000ml四つ口フラスコに仕込み、窒
素気流下70〜120℃にて5時間反応させた。反応終
了後、反応温度を維持しつつ、フラスコを50mmHgに減
圧し、未反応のオキシ塩化燐をトラップにて回収した。
ついでフラスコを室温まで冷却し、フェノール752.
1g(8.0モル、水分130重量ppm)を加え、1
00〜150℃に加熱して5時間反応させた。そのまま
の温度で10mmHg以下まで徐々に減圧し、未反応の
フェノールを一部留去して、1061gの反応生成物を
得た。生成物の代表的な構造式を表1、組成を表2に示
す。 (2)洗浄工程、(3)濯ぎ工程 操作温度を60℃とし、洗浄水を0.2規定に調整した
蓚酸水とする以外は、実施例1及び比較例1と同様の装
置、操作にて洗浄及び濯ぎを実施した。結果を表4に示
す。
【0045】
【実施例4及び比較例4】 (2)洗浄工程、(3)濯ぎ工程 [燐酸エステル1]を用い、洗浄水を0.005規定に
調製した塩酸とする以外は、実施例1及び比較例1と同
様の装置、操作条件にて洗浄及び濯ぎを実施した。結果
を表4に示す。 (4)蒸留乾燥工程 実施例1と同様の装置、操作条件にて水分とフェノール
を留去した。結果を表5及び表6に示す。
【0046】
【比較例5】 (2)洗浄工程、(3)濯ぎ工程 [燐酸エステル1]を用い、洗浄水を0.001規定に
調整した塩酸とする以外は、比較例1と同様の装置、操
作条件にて洗浄及び濯ぎを実施した。結果を表4に示
す。 (4)蒸留乾燥工程 実施例1と同様の装置、操作条件にて水分とフェノール
を留去した。結果を表5に示す。
【0047】
【比較例6】 (2)洗浄工程、(3)濯ぎ工程 [燐酸エステル1]を用い、洗浄水に蒸留水を用いる以
外は、比較例1と同様の装置、操作条件にて洗浄及び濯
ぎを実施した。濯ぎ3回目にエマルジョン化が生じ、エ
ステルと水相の分離が困難となった。
【0048】
【比較例7】 (1)反応工程 [燐酸エステル4]の合成 防湿処置を施さず保存していたビスフェノールA45
6.8g(2.0モル、水分1320重量ppm)、オ
キシ塩化燐768.1g(5.0モル)、及び無水塩化
マグネシウム2.8g(0.015モル、水分7.4重
量%)を、攪拌機・還流管付きの2000ml四つ口フ
ラスコに仕込み、窒素気流下70〜120℃にて5時間
反応させた。反応終了後、反応温度を維持しつつ、フラ
スコを真空ポンプにて50mmHgに減圧し、未反応のオキ
シ塩化燐をトラップにて回収した。ついでフラスコを室
温まで冷却し、フェノール752.4g(8.0モル、
水分1130重量ppm)を加え、100〜150℃に
加熱して5時間反応させた。そのままの温度で10mm
Hg以下まで徐々に減圧し、未反応のフェノールを一部
溜去して1301gの反応生成物を得た。生成物の代表
的な構造式を表1、組成を表2に示す。 (2)洗浄工程、(3)濯ぎ工程 比較例1と同様の装置、操作条件にて洗浄及び濯ぎを実
施した。結果を表4に示す。 (4)蒸留乾燥工程 実施例1と同様の装置、操作にて水分とフェノールを留
去した。結果を表5に示す。
【0049】
【比較例8】 (1)反応工程 [燐酸エステル5]の合成 減圧乾燥により脱水したビスフェノールA456.5g
(2.0モル、水分12重量ppm)、オキシ塩化燐7
68.1g(5.0モル)、及び無水塩化マグネシウム
2.8g(0.015モル、水分0.1重量%)を、窒
素ボックス内で攪拌機・還流管付きの2000ml四つ
口フラスコに仕込み、窒素気流下70〜120℃にて5
時間反応させた。反応終了後、反応温度を維持しつつ、
フラスコを真空ポンプにて50mmHgに減圧し、未反応の
オキシ塩化燐をトラップにて回収した。窒素ボックス内
でフラスコを室温まで冷却し、脱水剤を用いて蒸留乾燥
したフェノール752.0g(8.0モル、水分3重量
ppm)を加え、100〜150℃に加熱して5時間反
応させた。そのままの温度で10mmHg以下まで徐々
に減圧し、未反応のフェノールを一部溜去して1295
gの反応生成物を得た。生成物の代表的な構造式を表
1、組成を表2に示す。 (2)洗浄工程、(3)濯ぎ工程 比較例1と同様の装置、操作条件にて洗浄及び濯ぎを実
施した。結果を表4に示す。 (4)蒸留乾燥工程 実施例1と同様の装置、操作にて水分とフェノールを留
去した。結果を表5に示す。
【0050】
【比較例9】 [燐酸エステル1](未洗浄品)80gを、攪拌機、及
び流出管、トラップを経由して減圧設備に接続した20
0ml4つ口フラスコに仕込み、170℃5mmHgで3
時間蒸留して水分とフェノールを留去した。蒸留後のエ
ステルの組成を表6に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【発明の効果】本発明の方法によれば、触媒に用いた金
属分を容易に除去できる結果、得られたオリゴマータイ
プのトリアリール燐酸エステルは熱安定性が良く、ま
た、フェノール類や燐酸トリアリールなどの揮発成分の
含有量も少ないので、樹脂との押し出し成形時などに問
題を起こすこともない。しかもフェノール類やエステル
類の排水への混入が少ないことから、環境に優しい製造
方法であり、産業上、大いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の洗浄、濯ぎ工程に於ける、エステル
相と水相のフロー説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 恒松 義之 岡山県倉敷市潮通3丁目13番1 旭化成工 業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[1]で表される燐酸エステ
    ルを製造するに当たり、(1)金属塩化物触媒の存在下
    に、オキシ塩化燐と、2価フェノール及び1価フェノー
    ルを反応せしめる反応工程、(2)反応生成物をpH3
    以下の酸性水と混合して金属分を水相に抽出せしめた
    後、水相を分離、除去する洗浄工程、(3)さらに中性
    水を加えて混合し、酸成分を水相と共に分離、除去する
    濯ぎ工程、及び(4)蒸留乾燥工程を有し、(1)反応
    工程において、使用する金属塩化物触媒が0.1〜5重
    量%、1価フェノール及び2価フェノールが各々10〜
    1000重量ppmの水分を含有し、仕込み総量に対す
    る含有水分総量が10〜500重量ppmの範囲であ
    り、かつ(2)洗浄工程に供する反応生成物が、未反応
    の1価フェノールを0.1〜10重量%含有するように
    1価フェノールをオキシ塩化燐に対して過剰量使用して
    エステル化反応を完結させ、さらに(3)の濯ぎ工程で
    生じる排水に酸成分を添加して(2)の洗浄工程の酸性
    水として使用することを特徴とする、燐酸エステルの製
    造方法。 【化1】 (式中、nは0〜10の整数で、Ar1,Ar2,Ar
    3,Ar4は、各々同一または異なる1価の芳香族基で
    あり、Rは2価の芳香族基である。)
  2. 【請求項2】 (1)反応工程で用いる金属塩化物触媒
    が無水塩化マグネシウム及び/又は塩化アルミニウムで
    あり、(2)洗浄工程で使用する酸性水が、pH2.6
    以下の塩酸水、硫酸水、蓚酸水、又はそれらの混合物で
    ある請求項1記載の燐酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 式[1]における1価の芳香族基Ar
    1,Ar2,Ar3,Ar4が、フェニル基、トリル
    基、キシリル基から選ばれる、各々同一または異なる置
    換基であり、2価の芳香族基Rがヒドロキノン、レゾル
    シノール、ビスフェノールAの残基のいずれかである請
    求項1または2記載の燐酸エステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 (4)蒸留乾燥工程で未反応の1価フェ
    ノール類を除去する請求項1記載の燐酸エステルの製造
    方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001131191A (ja) * 1999-11-05 2001-05-15 Daihachi Chemical Industry Co Ltd 縮合燐酸エステルの製造方法
JP2010502625A (ja) * 2006-08-31 2010-01-28 スプレスタ エルエルシー オリゴマー状のビスホスフェート難燃剤およびこれを含有する組成物
JP4546011B2 (ja) * 1999-07-27 2010-09-15 大八化学工業株式会社 縮合型燐酸エステルの製造方法
KR101241148B1 (ko) * 2012-09-26 2013-03-11 곽승민 방향족 인산에스테르계 화합물을 포함한 방염제 및 그의 제조방법
WO2014051312A1 (ko) * 2012-09-26 2014-04-03 Kwak Seung Min 방향족 인산에스테르계 화합물을 포함한 방염제 및 그의 제조방법
CN112607946A (zh) * 2020-12-17 2021-04-06 浙江万盛股份有限公司 一种bdp废水中有机废物回收利用的方法

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