JPH08176163A - 燐酸トリエステルの精製方法 - Google Patents

燐酸トリエステルの精製方法

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JPH08176163A
JPH08176163A JP32416794A JP32416794A JPH08176163A JP H08176163 A JPH08176163 A JP H08176163A JP 32416794 A JP32416794 A JP 32416794A JP 32416794 A JP32416794 A JP 32416794A JP H08176163 A JPH08176163 A JP H08176163A
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JP
Japan
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phosphoric acid
phosphate
acid triester
washing
alcohol
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JP32416794A
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English (en)
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Kazuhiro Matsubara
一博 松原
Muneaki Aminaka
宗明 網中
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 オキシ塩化燐と、アルコール類および/また
はフェノール類の脱塩化水素反応によって燐酸トリエス
テルを製造するにあたり、生成した粗燐酸トリエステル
から残留塩素分等を洗浄により除去精製する工程におい
て、洗浄液として、pH緩衝作用をもったpH3〜9の
水溶液を用いることを特徴とする。 【効果】 洗浄工程に於けるエマルジョンの形成防止
と、エステル相と水相の分離を促進する効果があるた
め、効率の良い洗浄を行うことができる。その結果、残
留塩素濃度の低い、高品質の燐酸トリエステルを容易に
製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂用の難燃剤、可塑
剤、酸化防止剤、潤滑油用の添加剤などとして汎用され
ている燐酸トリエステル(以下、燐酸エステルと略
す。)の洗浄精製方法に関する。さらに詳しくは、オキ
シ塩化燐と、アルコール類および/またはフェノール類
の脱塩化水素反応によって得られる粗生成物から、触媒
や塩素分を洗浄除去する工程において、エマルジョンの
形成を防止し、洗浄後の油水分離時間を短縮でき、高い
洗浄効率を得られる燐酸エステルの洗浄精製方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】燐酸エステルとは、例えば下記一般式
(2)(3)で表される化合物である。
【0003】
【化3】
【0004】
【化4】
【0005】(式中、R1 〜R4 はアルキル基、アルケ
ニル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、ア
ルキルアリール基、アリール基、アルコキシアリール
基、またはヒドロキシアリール基を表す。これらは各々
同一でも異なっていてもよい。R 5 は多価のアルコール
残基またはフェノール残基を表す。nは1以上概ね30
までの整数である。) 燐酸エステルの製造方法としては、例えば、オキシ塩化
燐とアルコール類および/またはフェノール類を、無触
媒下、または塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなど
のルイス酸触媒の存在下で加熱、脱塩化水素反応させる
方法が知られており、工業的に広く採用されている。
【0006】しかしながら、この方法では生成物中に塩
素分や触媒が残留し、例えば樹脂との混合時や成形加工
時に金型腐食や金型汚染などの原因となるなど、使用時
に支障をきたすため精製工程が不可欠である。従来、精
製工程としては、比較的低分子量の燐酸エステルには減
圧蒸留法が採用されている。しかし、アルキル燐酸エス
テルは熱分解温度が低く、アリール燐酸エステルは沸点
が高いので、いずれも加熱に伴う製品の変成が起こりや
すく、収率の低下を招く。
【0007】また、トリフェニルホスフェートなどの結
晶化する燐酸エステルについては、再結晶法による精製
も有効であるが、適用できる燐酸エステルが限られるう
え、製品の収率低下、廃棄溶媒の処理などの問題があ
る。一方、例えば一般式(3)で表されるポリ燐酸エス
テルなど沸点の高い燐酸エステルでは、通常、減圧蒸留
法は使用できず、もっぱら洗浄精製が行われている。し
かし、この洗浄工程では、モノエステル、ジエステルな
どの微量の副生物、およびこれら副生物と洗浄水に含ま
れるアルカリ、アルカリ土類金属などのイオンとが錯体
化した化合物が界面活性剤として作用するため、エマル
ジョン化が生じ、この工程を困難なものとしている。こ
の問題を解決するため、モノエステル、ジエステルなど
の副生物を加水分解する方法が採られている。例えば特
開昭51−108021号公報には、副生物を酸化剤で
分解した後、アルカリ水によって洗浄する方法が記載さ
れている。しかしこの方法では、同時に製品の加水分解
が生じるため、反応の制御が難しく、製品の収率が低下
する。また、特開昭46−5514号公報には、洗浄改
良剤としてアミノアルキレンホスホン酸およびその塩を
用いる方法が記載されている。しかしこの洗浄改良剤は
入手が困難なうえ、水相と油相の両方に分配される結
果、廃水処理と製品の耐熱性低下の問題を引き起こす。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、洗浄工程に
おけるエマルジョンの形成を防止して、効率の良い洗浄
が行え、残留塩素濃度の低い、高品質の燐酸エステルを
容易に製造することができる洗浄精製方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、洗浄工程における洗浄
液と燐酸エステルの分離速度が、洗浄中の水相のpHに
よって大きく影響を受けることを明らかにした。そし
て、洗浄液としてpH緩衝作用のある水溶液(以下、緩
衝液と略す。)を用い、洗浄中を通して水相のpHを特
定の範囲内に制御することにより、エマルジョン化が防
止され、短時間で容易に燐酸エステルと洗浄液の分離が
生じる結果、高い洗浄効率が得られることを見出し、本
発明に完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は〔1〕オキシ塩化燐
と、アルコール類および/またはフェノール類の脱塩化
水素反応によって燐酸エステルを製造するにあたり、生
成した粗燐酸エステルから残留塩素分および触媒を洗浄
により除去精製する工程において、洗浄液として、pH
緩衝作用をもったpH3〜9の水溶液を用いることを特
徴とする燐酸エステルの精製方法、〔2〕該燐酸エステ
ルが、下記一般式(1)で表されるポリ燐酸エステルの
単独または混合物、あるいはポリ燐酸エステルと燐酸ト
リアリールの混合物であることを特徴とする〔1〕記載
の燐酸エステルの精製方法、
【0011】
【化5】
【0012】(式中、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4
はフェニル基、またはC1 〜C4 のアルキル基が1〜3
個置換したアリール基である。これらは各々同一または
異なっていてもよい。Rは、下記式で表される2価の芳
香族基である。nは1〜30の正数。)
【0013】
【化6】
【0014】(式中、Aは結合手、2価のS、スルホン
基、あるいはC1 〜C4 のアルキリデン基またはアルキ
レン基を示す。) 〔3〕該洗浄液がpH緩衝作用をもったpH4〜8.5
の水溶液であることを特徴とする〔1〕または〔2〕記
載の燐酸エステルの精製方法、〔4〕該洗浄液が燐酸2
水素ナトリウムおよび/または燐酸2水素カリウムと、
燐酸水素2ナトリウムおよび/または燐酸水素2カリウ
ムの混合水溶液であり、該混合水溶液中に含まれる燐酸
塩類の総和が10-4モル/リットル以上、2モル/リッ
トル以下であることを特徴とする〔1〕、〔2〕、また
は〔3〕記載の燐酸エステルの精製方法、を提供するも
のである。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられる燐酸エステルは、オキシ塩化燐と、アルコー
ル類および/またはフェノール類の脱塩化水素反応によ
って生成される燐酸エステルであれば、その種類に特に
制限はない。この粗燐酸エステルは、燐原子に結合した
未反応の塩素や製品に溶解した塩化水素、および塩化ア
ルミニウムや塩化マグネシウム等の触媒などに由来する
塩素分を通常100〜10,000ppm含んでいる。
このため、これらを純水で洗浄すると水相が強い酸性と
なり、pH3より酸性が強くなると、燐酸エステル中に
水滴の分散したエマルジョンが生成するため、エステル
相と水相の分離が困難となり、洗浄の効率が低下する。
本発明者らの研究によると、洗浄中に一度水相のpHが
3より低くなると、その後pH3〜9の範囲に調整して
も、エマルジョンを破壊できず、燐酸エステル相と水相
の分離速度はほとんどもしくは全く加速されない。
【0016】一方、pHが9をこえるアルカリ性の洗浄
液を用いると、未反応の塩素のもつモノエステル、ジエ
ステルなどの成分と、アルカリ、アルカリ土類金属など
のイオンが錯体化し、界面活性剤として作用し、水中に
エステルの分散する安定なエマルジョンを形成するた
め、燐酸エステル相と水相(洗浄液相)の分離はさらに
困難となる。この現象は、洗浄前のpHが9以上であれ
ば、たとえ洗浄後のpHが3〜9となった場合も同様で
ある。
【0017】すなわち、エマルジョンの形成を防止し、
洗浄後の燐酸エステル相と水相の分離を容易にするため
には、洗浄中を通して燐酸エステルと接触する水相のp
Hが3〜9の範囲を逸脱してはならず、特にpHが4〜
8.5の範囲にあることが好ましい。このためにはpH
緩衝作用をもった洗浄液を用いることが必須条件であ
る。すなわち、洗浄液としてpH3〜9の緩衝液を用い
ることで、洗浄中を通して水相のpHを3〜9の範囲に
保持することが必要である。pH4〜8.5の緩衝液を
用いて、洗浄中を通して水相のpHを4〜8.5の範囲
に保持することがさらに好ましい。
【0018】本発明において、洗浄液として用いる緩衝
液としては、例えば、燐酸2水素ナトリウムおよび/ま
たは燐酸2水素カリウムと燐酸水素2ナトリウムおよび
/または燐酸水素2カリウムの混合溶液、燐酸2水素ナ
トリウムおよび/または燐酸2水素カリウムと水酸化ナ
トリウムおよび/または水酸化カリウムの混合溶液、燐
酸水素2ナトリウムとクエン酸の混合溶液、クエン酸ナ
トリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液、4ほう酸ナト
リウムと塩酸の混合溶液、4ほう酸ナトリウムと燐酸2
水素カリウムの混合溶液、燐酸3ナトリウムとほう酸と
クエン酸の混合溶液、ジエチルバルビツル酸ナトリウム
と塩酸の混合溶液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノ
メタンと塩酸の混合溶液などがあるが、調製の容易さと
分離性能の面で、燐酸2水素ナトリウムおよび/または
燐酸2水素カリウムと燐酸水素2ナトリウムおよび/ま
たは燐酸水素2カリウムの混合溶液が特に好ましい。
【0019】洗浄液として用いる緩衝液の濃度は特に規
定しないが、高いと洗浄後の製品に緩衝液の成分が残留
し易くなり、低いと緩衝能が低下してpHの調整が困難
となるため、緩衝液に含まれる成分総量の濃度として1
-4モル/リットル以上2モル/リットル以下が好まし
く、10-3モル/リットル以上1モル/リットル以下が
さらに好ましい。
【0020】本発明の洗浄液を用いれば、混合後の燐酸
エステル相と水相の分離が速やかに生じる結果、重力沈
降分離などの簡単な方法により、短時間のうちに含水率
の低い燐酸エステルと、油滴の混入の少ない洗浄液を分
離することができる。本発明において、精製に供する粗
燐酸エステルの原料である1価アルコール類としては、
例えばn−プロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、イソブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、
イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、n
−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、2−
エチルヘキシルアルコール、イソオクチルアルコール、
ノニルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコ
ール、トリデシルアルコール、ヘキサデシルアルコー
ル、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、シ
クロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、
ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、
3−フェニルプロピルアルコール、メトキシエチルアル
コール、エトキシエチルアルコール、プロポキシエチル
アルコール、イソプロポキシエチルアルコール、ブトキ
シエチルアルコール、イソブトキシエチルアルコール、
アミロキシエチルアルコール、ヘキソキシエチルアルコ
ール、シクロヘキソキシエチルアルコール、オクトキシ
エチルアルコール、2−エチルヘキソキシエチルアルコ
ール、デシロキシエチルアルコール、ドデシロキシエチ
ルアルコール、ベンジルオキシエチルアルコール、メト
キシプロピルアルコール、エトキシプロピルアルコー
ル、ブトキシプロピルアルコール、シクロヘキソキシプ
ロピルアルコール、2−エチルヘキソキシプロピルアル
コール、オクトキシプロピルアルコール、メトキシブチ
ルアルコール、3−メトキシブチルアルコール、シクロ
ヘキソキシブチルアルコール、2−エチルヘキソキシブ
チルアルコール、ベンジルオキシブチルアルコール、メ
トキシシクロヘキシルアルコール、ブトキシシクロヘキ
シルアルコールなどが挙げられる。また、これらの化合
物の水素原子の一部または全部をハロゲン原子で置き換
えても構わない。
【0021】粗燐酸エステルの原料である1価フェノー
ル類としては、例えばフェノール、m−クレゾール、p
−クレゾール、2,6−キシレノール、2,4−キシレ
ノール、3,5−キシレノール、2,4,6−トリメチ
ルフェノール、4−エチルフェノール、2−メチル−4
−エチルフェノール、4−プロピルフェノール、4−イ
ソプロピルフェノール、4−ブチルフェノール、4−イ
ソブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、4−
ヘキシルフェノール、4−デシルフェノール、4−シク
ロヘキシルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノ
ール、1−ナフトール、2−ナフトール、5,6,7,
8−テトラヒドロ−2−ナフトール、m−フェニルフェ
ノール、p−フェニルフェノール、p−ベンジルフェノ
ール、p−クミルフェノール、m−メトキシフェノー
ル、m−ブトキシフェノール、m−シクロヘキソキシフ
ェノールなどが挙げられる。また、これらの化合物の水
素原子の一部または全部をハロゲン原子で置き換えても
構わない。
【0022】粗燐酸エステルの原料である多価アルコー
ル類としては、例えばエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、イソプロピレングリコール、ブチレングリ
コール、ヘキシレングリコール、シクロヘキシレングリ
コール、1,3,5−ヒドロキシペンチルトリオール、
トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、
ペンタエリスリトールなどが挙げられる。多価フェノー
ル類としては、例えばヒドロキノン、レゾルシノール、
カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビ
スフェノールS、ビフェニル−3,3’ジオール、ビフ
ェニル−4,4’ジオール、フロログルシノール、ヒド
ロキシヒドロキノン、1,3,6−ナフタレントリオー
ルなどが挙げられる。また、これらの多価アルコール類
および多価フェノール類の水素原子の一部または全部を
ハロゲン原子で置き換えても構わない。
【0023】これらのアルコール類および/またはフェ
ノール類とオキシ塩化燐との脱塩化水素反応によって得
られる燐酸エステルは、例えば下記一般式(2)
【0024】
【化7】
【0025】で表される燐酸トリエステルの他、下記一
般式(3)
【0026】
【化8】
【0027】で表されるオリゴマータイプのポリ燐酸エ
ステルなどを包含する。一般式(2)で表される燐酸ト
リエステルとしては、例えばトリブチルホスフェート、
トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリオク
チルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェ
ート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ
ス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリ
ブロモネオペンチル)ホスフェート、ジブチルフェニル
ホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)フェニルホス
フェート、ブチルジフェニルホスフェート、オクチルジ
フェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニル
ホスフェート、2−エチルヘキシルジクレジルホスフェ
ート、2−エチルヘキシル(o−クロロフェニル)ホス
フェート、ノニルジフェニルホスフェート、ブトキシエ
チルジフェニルホスフェート、オクトキシブチルジフェ
ニルホスフェート、ブトキシエチルジ(o−クロロフェ
ニル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリ
クレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニ
ルホスフェート、クロロフェニルジフェニルホスフェー
ト、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イ
ソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、トリス
(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロ
モフェニル)ホスフェート、ナフチルジフェニルホスフ
ェート、クミルフェニルジフェニルホスフェート、ビフ
ェニルジフェニルホスフェート、トリス(ビフェニル)
ホスフェートなどが挙げられる。
【0028】一般式(3)で表されるポリ燐酸エステル
は、一般式(2)で表される燐酸トリエステルの一部の
置換基を、多価アルコール類の残基、および/または多
価フェノール類の残基で置き換え架橋した化合物であ
る。例えば、エチレングリコールビス(ジブチルホスフ
ェート)、ブチレングリコールビス{ジ(2−エチルヘ
キシル)ホスフェート}、エチレングリコールビス(ジ
フェニルホスフェート)、P,P’ジフェノールビス
(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ
メチルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニ
ルホスフェート)、レゾルシノールビス{ジ(2,6−
キシリル)ホスフェート}、レゾルシノールビス{ジ
(p−クロロフェニル)ホスフェート}、ヒドロキノン
ビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビ
ス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス
(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールFビス
(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールSビス
(ジフェニルホスフェート)、テトラブロモビスフェノ
ールAビス(ジフェニルホスフェート)、ポリ(エチレ
ングリコール−ブチルホスフェート)、ポリ{ブチレン
グリコール−(2−エチルヘキシル)ホスフェート}、
ポリ(エチレングリコール−フェニルホスフェート)、
ポリ(レゾルシノール−フェニルホスフェート)、ポリ
(レゾルシノール−(2,6−キシリル)ホスフェー
ト}、ポリ{レゾルシノール−(p−クロロフェニル)
ホスフェート}、ポリ(ヒドロキノン−フェニルホスフ
ェート)、ポリ(ビスフェノールA−フェニルホスフェ
ート)、ポリ(ビスフェノールA−クレジルホスフェー
ト)、ポリ(ビスフェノールF−フェニルホスフェー
ト)、ポリ(ビスフェノールS−フェニルホスフェー
ト)などが挙げられる。
【0029】これらの燐酸エステルのうち、下記一般式
(1)で表される、単独または混合物であるポリ燐酸エ
ステル、あるいはポリ燐酸エステルと燐酸トリアリール
の混合物は、洗浄以外の精製方法が適用できないうえ、
従来の洗浄方法ではエマルジョンを生じやすいので、本
発明の精製方法が特に適している。
【0030】
【化9】
【0031】(式中、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4
はフェニル基、またはC1 〜C4 のアルキル基が1〜3
個置換したアリール基である。これらは各々同一または
異なっていてもよい。Rは、下記式で表される2価の芳
香族基である。nは1〜30の正数。)
【0032】
【化10】
【0033】(式中、Aは結合手、2価のS、スルホン
基、あるいはC1 〜C4 のアルキリデン基またはアルキ
レン基を示す。) 洗浄工程における粗燐酸エステルに対する洗浄液の仕込
み量の比は、特に規定しないが、仕込み量比が大きいと
洗浄設備が大きくなり、小さいと洗浄効率が低下する傾
向があるので、重量比で0.1〜10倍の範囲が好まし
く、0.3〜5倍の範囲がさらに好ましい。
【0034】本発明の燐酸エステルの精製方法には、公
知の洗浄装置、例えば攪拌機を備えた槽型の装置や、向
流の流通型の装置を用いることができる。また、槽型の
装置により複数回の洗浄を行う場合、後段で用いた洗浄
液を回収して前段に再使用し、洗浄液の使用量を軽減す
ることができる。洗浄後の燐酸エステルは、そのまま、
または必要に応じて純水などで緩衝液の成分を洗浄除去
後、脱水することにより、塩素分などの不純物の少ない
高純度の製品を高収率で得ることができる。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。燐酸エステルの塩素分は、試料0.01〜20gを
アセトンに溶解して200mlとし、氷酢酸4mlを加
え、硝酸銀により電位差滴定して求めた。洗浄後の燐酸
エステルの含水率は、真空乾燥による重量減少により求
め、5wt%以下のものについては、カールフィッシャ
ー法水分自動測定装置(三菱化成製)により測定した。
【0036】用いた洗浄液を表1に示した。また、洗浄
の程度の指標を[洗浄効率]として、下記の式で定義し
た。 [洗浄効率]=[洗浄前の塩素濃度]/[洗浄後の塩素
濃度]
【0037】
【参考例】
(燐酸エステルの合成)攪拌機、温度計、還流管と塩酸
吸収瓶、およびトラップと減圧度コントローラーを備え
た減圧ラインを設けた1リットル4ツ口フラスコに、オ
キシ塩化燐307g、ビスフェノールA228g、およ
び塩化マグネシウム5.1gを仕込み、乾窒素気流下1
00〜130℃まで徐々に昇温して反応を行った。反応
終了後、フェノール400gを加え、同様に150℃ま
で徐々に昇温して反応を完結させた。未反応フェノール
を留去して、淡黄色の粘稠液状の粗燐酸エステル682
gを得た。
【0038】生成物は、トリフェニルホスフェート(T
PP)と下記の構造をもつポリ燐酸エステルの混合物で
あった。
【0039】
【化11】
【0040】ゲルパーミエーションクロマトグラフ分析
による生成物の組成は、TPP;13wt%、n=1の
成分;54wt%、n≧2の成分;33wt%であっ
た。また、含有塩素量は3200ppmであった。
【0041】
【実施例1】上記参考例によって合成した粗燐酸エステ
ル60gを200mlトールビーカーに取り、80℃に
加温静置して、液面レベルを確認した。洗浄液−1を1
20g加えて温度を80℃に保ったまま、直径3cmの
プロペラ型攪拌機にて150rpmで30分間攪拌した
後、静置して油水界面の位置を測定した。30分後、液
を分液ロートに移し、燐酸エステル相を回収して、水分
と塩素濃度の測定を行った。結果を表2に示した。
【0042】
【実施例2】洗浄液−1のかわりに洗浄液−2を用いた
以外は、実施例1と同様の方法によって、精製を行っ
た。結果を表2に示した。
【0043】
【実施例3】洗浄液−1のかわりに洗浄液−3を用いた
以外は、実施例1と同様の方法によって、精製を行っ
た。結果を表2に示した。
【0044】
【実施例4】実施例1と同様の方法で洗浄、回収した燐
酸エステル相に対し、洗浄液−1を用いて、同様の精製
操作をさらに2度行った。脱水乾燥した燐酸エステルの
回収率は94.9wt%、含有塩素量は検出限界(0.
1ppm)以下であった。
【0045】
【比較例1】洗浄液−1のかわりに純水を用いた以外
は、実施例1と同様の方法によって、精製を行った。結
果を表2に示した。
【0046】
【比較例2】洗浄液−1のかわりに洗浄液−4を用いた
以外は、実施例1と同様の方法によって、精製を行っ
た。結果を表2に示した。
【0047】
【比較例3】洗浄液−1のかわりに洗浄液−5を用いた
以外は、実施例1と同様の方法によって、精製を行っ
た。結果を表2に示した。
【0048】
【比較例4】洗浄液−1のかわりに洗浄液−6を用いた
以外は、実施例1と同様の方法によって、精製を行っ
た。結果を表2に示した。
【0049】
【比較例5】洗浄液−1のかわりに洗浄液−7を用いた
以外は、実施例1と同様の方法によって、精製を行っ
た。混合物はエマルジョン化し、10時間静置後も白濁
した水相がわずかに分離したのみであった。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
オキシ塩化燐とアルコール類および/またはフェノール
類の脱塩化水素反応により得られる粗燐酸エステルを容
易に洗浄精製でき、残留塩素濃度の低い、高品質の燐酸
エステルを高収率で得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オキシ塩化燐と、アルコール類および/
    またはフェノール類の脱塩化水素反応によって燐酸トリ
    エステルを製造するにあたり、生成した粗燐酸トリエス
    テルから残留塩素分および触媒を洗浄により除去精製す
    る工程において、洗浄液として、pH緩衝作用をもった
    pH3〜9の水溶液を用いることを特徴とする燐酸トリ
    エステルの精製方法。
  2. 【請求項2】 該燐酸トリエステルが、下記一般式
    (1)で表されるポリ燐酸エステルの単独または混合
    物、あるいはポリ燐酸エステルと燐酸トリアリールの混
    合物であることを特徴とする請求項1記載の燐酸トリエ
    ステルの精製方法。 【化1】 (式中、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 はフェニル
    基、またはC1 〜C4 のアルキル基が1〜3個置換した
    アリール基である。これらは各々同一または異なってい
    てもよい。Rは、下記式で表される2価の芳香族基であ
    る。nは1〜30の正数。) 【化2】 (式中、Aは結合手、2価のS、スルホン基、あるいは
    1 〜C4 のアルキリデン基またはアルキレン基を示
    す。)
  3. 【請求項3】 該洗浄液がpH緩衝作用をもったpH4
    〜8.5の水溶液であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の燐酸トリエステルの精製方法。
  4. 【請求項4】 該洗浄液が燐酸2水素ナトリウムおよび
    /または燐酸2水素カリウムと、燐酸水素2ナトリウム
    および/または燐酸水素2カリウムの混合水溶液であ
    り、該混合水溶液中に含まれる燐酸塩類の総和が10-4
    モル/リットル以上、2モル/リットル以下であること
    を特徴とする請求項1、2、または3記載の燐酸トリエ
    ステルの精製方法。
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