JP2000239285A - 燐酸エステルの製造方法 - Google Patents

燐酸エステルの製造方法

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JP2000239285A
JP2000239285A JP11192732A JP19273299A JP2000239285A JP 2000239285 A JP2000239285 A JP 2000239285A JP 11192732 A JP11192732 A JP 11192732A JP 19273299 A JP19273299 A JP 19273299A JP 2000239285 A JP2000239285 A JP 2000239285A
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washing
rinsing
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water
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Kazuhiro Matsubara
一博 松原
Yoshiyuki Tsunematsu
義之 恒松
Tetsuya Aiba
哲也 相羽
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性が良く酸価の低い縮合燐酸エステル
を得るための、触媒に用いた金属分を安定的に除去で
き、かつ精製工程に於いて製品の加水分解の起こらない
製造方法を提供する。 【解決手段】 金属塩化物触媒存在下にオキシ塩化燐と
フェノール類を反応させる反応工程、特定の撹拌動力下
にpH3以下の酸性水により触媒を除去する洗浄工程と
酸性分を洗い流す濯ぎ工程、及び蒸留乾燥工程からな
り、水とエステルが接触する洗浄工程と濯ぎ工程におけ
る滞留時間の総和を24時間以内とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性に優れ、難
燃剤、可塑剤など樹脂用の添加剤として有用な、オリゴ
マータイプのアリール燐酸エステルの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】燐酸エステルは、樹脂に混合して難燃効
果、可塑効果、酸化防止効果などの優れた性能を発現す
ることから、樹脂用の添加剤として広く使用されてい
る。このうち、下記一般式[2]で表されるオリゴマー
タイプのアリール燐酸エステルは、耐熱性に優れ、成形
加工時の揮散や樹脂表面へのしみ出し(ブリード)、金
型汚染等の問題を起こし難いことから、ポリエステル系
樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテ
ル系樹脂などの添加剤として注目されている。
【0003】
【化2】 (式中、nは1〜10の整数を表し、Ar1,Ar2,A
3,Ar4は、各々同一または異なる1価の芳香族基を
表し、Rは、2価の芳香族基を表す。)
【0004】例えば特公昭51−19858号及び特公
昭51−39271号公報などにはこれらの添加剤を含
むポリエステル系の難燃性樹脂組成物が、特開昭55−
118957号及び特公昭62−25706号公報など
にはポリフェニレンエーテル系の樹脂組成物が、そして
特公平2−18336号公報や米国特許5,061,7
45号明細書などにはポリカーボネート系の樹脂組成物
が記載されている。
【0005】オリゴマータイプのアリール燐酸エステル
の中でも、2価の芳香族基RがビスフェノールAの残基
である、下記一般式[1]で表される化合物は、耐熱性
と難燃性能に加え、耐加水分解性にも優れることが特開
平7−53876号公報及び特開平8−73654号公
報などに記載されており、特に重要である。
【0006】
【化3】 (n及びAr1〜Ar4は前記のとおりである)
【0007】一般式[1]のアリール燐酸エステルは通
常、ルイス酸触媒の存在下、オキシ塩化燐と、ビスフェ
ノールA及び1価フェノールの反応により合成される。
ルイス酸触媒としては、無水塩化マグネシウム、塩化ア
ルミニウム、塩化チタン、塩化鉄などの金属塩化物が好
適に用いられる。
【0008】しかしこれらの金属分は、高温下ではエス
テル交換や加水分解の触媒として作用する為、燐酸エス
テル中に残留すると、樹脂との押し出し成型時などに、
燐酸エステルのみならず樹脂自体のゲル化や分解を引き
起こして、樹脂組成物の物性を著しく低下させたり、又
金型を汚染して生産性を低下させたり、さらには金型腐
食の原因となることが知られている。従って、合成した
燐酸エステルから触媒金属分を除去する工程は、製造工
程全体の中でも特に重要である。
【0009】該アリール燐酸エステルは、沸点が高く蒸
留精製を行うことが出来ない為、熱水や酸性水、アルカ
リ水により金属分を水相に抽出する、洗浄精製法がもっ
ぱら行われている。
【0010】反応工程で得られる生成物は、原料等に由
来する水分の為、通常、一部に親水性の燐酸基を持つモ
ノエステル、ジエステルなどの親水性燐酸エステルを含
んでいる。また親水性燐酸エステルは、反応工程におい
てフェノール類が不足したり、反応が完結しない場合に
生じることもあり、さらに分子内に未反応の塩素を持つ
クロロ燐酸化合物が精製工程で加水分解されることによ
っても生じる。
【0011】これらの親水性燐酸エステルは、広いpH
の範囲で界面活性剤として作用する為、生成量が多いと
エマルジョンを形成しやすく、洗浄工程などにおける水
相とエステル相の分離が困難となる。この為、反応に用
いる原料に同伴される水分量には制限が必要なこと、及
び反応を完結させる為フェノール類を過剰に仕込むこと
が有効であることが、特開平10−17582号公報に
記載されている。
【0012】また、該親水性燐酸エステルは、触媒とし
て用いられる金属塩化物の金属成分と塩を形成する。こ
れらの塩形態の金属分は中性の熱水で抽出することが困
難である。一方アルカリ水による洗浄では、アルカリ金
属が塩形態の触媒金属と置き換わることで触媒金属成分
の除去が可能となるが、アルカリ金属の除去は困難であ
り、またアルカリ濃度が高いと生成したエステルの加水
分解が生じ、低いと金属分の除去が不十分となる上、エ
マルジョンを生成しやすくなる。
【0013】この問題に対して、特定のpH以下の酸性
水を用いて洗浄する技術が、特開平10−7689号公
報及び特開平10−17582号公報などに開示されて
いる。酸性水による洗浄では、撹拌中によりエステルが
液滴として水相に分散し、この状態で触媒金属成分は水
相側に抽出される。撹拌を停止するとエステルの液滴は
速やかに合一する。
【0014】従って、効果的な洗浄を行うためには攪拌
中のエステルの液滴径を適度にコントロールすることが
必要であるが、前述のごとく、界面活性剤として作用す
るエステル中の親水性成分の量により分散挙動が変化す
るため、安定的に金属分の除去が行える酸洗浄技術は確
立されていなかった。
【0015】また酸性水による洗浄では、エステルに酸
成分が残留すると熱安定性が著しく低下するため、酸成
分を除去する濯ぎ工程が必須となる。しかし、濯ぎによ
り水相のpHが中性に近づくに従い、水相へのエステル
の懸濁が顕著となり、複雑な排水処理が必要となる上、
製品の収率低下を引き起こす。この問題を解決するた
め、濯ぎ排水に酸成分を加えて洗浄水とし、エステル懸
濁物が排水に混入することを防止する方法については、
特開平10−7807号公報及び特開平10−1758
2号公報に記載されている。
【0016】しかしながら、水相のpHが中性に近づく
濯ぎ工程では、時として混合撹拌中の連続相が水からエ
ステルに逆転して混合撹拌が困難となったり、懸濁が顕
著となって液−液分離に長時間を要する事がある。また
このようなケースでは、排水中の燐濃度が上昇するとと
もに製品の酸価が上がっしてしまうことがあった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、触媒に用い
た金属分と洗浄に用いる酸成分を容易な操作で除去でき
て、樹脂との押し出し成型時などに問題を起こすことの
ないオリゴマータイプのアリール燐酸エステルを安定し
て得ることが出来、かつ1価フェノールやエステル類の
排水への混入が少ない、燐酸エステルの製造方法を提供
することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成すべく鋭意研究した結果、洗浄に供するエステル
に含まれ界面活性剤の役割を果たす親水性燐酸エステル
単量体の割合と、洗浄濯ぎ工程におけるエステルの粘度
及び撹拌強度を規定することで、高度な金属分除去と、
エマルジョン化の生じることがなくかつ速やかに水相と
エステル相の分離が可能な、安定した洗浄・濯ぎが達成
出来ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0019】すなわち、本発明は以下の通りである。 1.(1)金属塩化物触媒の存在下に、まずオキシ塩化
燐とビスフェノールAを反応させた後1価フェノールを
反応させる反応工程、(2)得られた反応生成物をpH
が3以下の酸性水と混合して金属分を水相に抽出せしめ
た後、水相を分離、除去する洗浄工程、(3)反応生成
物にさらに中性水を加えて混合し、酸成分を水相と共に
分離、除去する濯ぎ工程、及び(4)反応生成物を蒸留
し乾燥する蒸留乾燥工程を有する、下記一般式[1]で
表される燐酸エステルを製造する方法において、(2)
の洗浄工程終了後のエステルに含まれる親水性燐酸エス
テル単量体の割合が0.01重量%以上1重量%以下の
範囲であり、(2)の洗浄工程および(3)の濯ぎ工程
において燐酸エステルの粘度が10cP以上1000c
P以下の範囲となる加温条件下に、仕込み(反応生成物
と洗浄水又は濯ぎ水を合わせたもの)単位容積あたりの
攪拌動力が0.2kw/m3以上2.0kw/m3以下の
範囲で混合を行い、さらに(2)の洗浄工程と(3)の
濯ぎ工程における滞留時間の総和を24時間以内とする
ことを特徴とする燐酸エステルの製造方法。
【0020】
【化4】 (式中、nは1〜10の整数を表し、Ar1,Ar2,A
3,Ar4は、各々同一または異なる1価の芳香族基を
表す。)
【0021】2.(2)の洗浄工程及び(3)の濯ぎ工
程に於ける操作温度でのエステルの粘度が20cP以上
500cP以下の範囲で、仕込み単位容積あたりの攪拌
動力が0.75w/m3以上1.9kw/m3以下の範囲
である上記1記載の燐酸エステルの製造方法。
【0022】3.(1)の反応工程で用いる金属塩化物
触媒が無水塩化マグネシウム及び/又は塩化アルミニウ
ムであり、(2)の洗浄工程で使用する酸性水が、前回
の燐酸エステルの製造方法における(3)の濯ぎ工程で
生じる排水に酸成分を添加して調整したpH0.0〜
2.0の塩酸水、硫酸水、蓚酸水、燐酸水、又はそれら
の混合物であり、かつ(2)の洗浄工程及び(3)の濯
ぎ工程に於ける仕込み単位容積あたりの攪拌動力が0.
8w/m3以上1.3kw/m3以下の範囲である上記2
記載の燐酸エステルの製造方法。
【0023】4.(2)の洗浄工程における洗浄後のエ
ステルに含まれる親水性燐酸エステル単量体の割合を
0.01重量%以上1重量%以下の範囲とするための手
段が、(1)の反応工程において、金属塩化物触媒の水
分含量が0.1〜5重量%、1価フェノール及びビスフ
ェノールAの水分含量が各々10〜1000重量ppm
の範囲で、かつ仕込み総量に対する水分総量を10〜5
00重量ppmの範囲とし、かつ反応終了後のエステル
に1価フェノールが0.1重量%以上10重量%以下の
範囲で含有される様、過剰量の1価フェノールを用いる
方法である上記1又は2又は3記載の燐酸エステルの製
造方法。
【0024】5.上記式[1]における1価の芳香族基
が、フェニル基、トリル基、キシリル基から選ばれる、
おのおの同一又は異なる置換基である上記4記載の燐酸
エステルの製造方法。
【0025】6.(4)の蒸留乾燥工程で未反応の1価
フェノール類を除去する上記4記載の燐酸エステルの製
造方法。
【0026】本発明の燐酸エステルの製造方法の最初の
工程である(1)の反応工程は、例えば米国特許第25
20090号明細書や特公昭62−25706号公報、
特開昭63−227632号公報などに記載されてい
る、金属塩化物触媒の存在下にオキシ塩化燐とビスフェ
ノールAを反応させた後、1価フェノールを反応させる
公知の技術である。反応条件等に特に制限はないが、ビ
スフェノールAを2倍モル以上のオキシ塩化燐と反応さ
せた後、未反応のオキシ塩化燐を除去し、さらに1価フ
ェノールを加えて反応を完結させる特開昭63−227
632号公報に記載の方法が燐酸トリアリールの副生が
少なく、また樹脂との相溶性の良い燐酸エステルを製造
できるので好ましい。
【0027】触媒として用いる金属塩化物は、ルイス酸
性を持つ公知の化合物で、例えば無水塩化マグネシウ
ム、塩化アルミニウム、塩化チタン、塩化錫、塩化亜
鉛、塩化鉄などが挙げられ、これらを単独、又は組み合
わせて用いることが出来る。特に無水塩化マグネシウム
及び塩化アルミニウムの単独又は組み合わせが、反応速
度と反応選択性、及び洗浄による除去の容易さの面から
好適に用いられる。
【0028】1価フェノールには特に制限はなく、例え
ば、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチ
ルフェノール、イソプロピルフェノール、ジ−t−ブチ
ルフェノール、ノニルフェノールなどのアルキルフェノ
ール類や、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、
クミルフェノール、ナフトール等を単独、又は組み合わ
せて用いることが出来る。中でも、フェノール、クレゾ
ール、キシレノールは本発明の効果が顕著である。
【0029】本発明における親水性燐酸エステル単量体
とは、燐酸フェニル、燐酸トリル、燐酸キシリルなどの
燐酸モノアリール、及び燐酸ジフェニル、燐酸ジトリ
ル、燐酸ジキシリル、燐酸フェニル−トリル、燐酸フェ
ニル−キシリルなどの燐酸ジアリールの総称である。
【0030】オキシ塩化燐に対してフェノール類が不足
したり、反応が完結しない場合、分子内に未反応の塩素
を持つクロロ燐酸化合物が生成し、これが洗浄工程で加
水分解されて分子内に燐酸基を持つ親水性のエステルと
なる。親水性燐酸エステルはまた、触媒や原料であるフ
ェノール類に同伴される水分の影響によっても生成す
る。
【0031】本発明者らの研究によると、この親水性エ
ステルのうち分子量の小さい燐酸モノアリールと燐酸ジ
アリールは界面活性剤としての効果が特に顕著であり、
洗浄後、すなわちクロロ燐酸化合物を加水分解した後の
エステル中での含有量が概ね1重量%を超えると、特に
濯ぎ工程でエマルジョン化を引き起こし易くなる。一方
で、親水性エステルが適当量存在すると界面活性剤とし
ての作用により洗浄工程や濯ぎ工程でのエステル相と水
相の接触効率が改善され、金属分や酸成分の除去が容易
となることが判明した。また、この成分は製品の酸価を
引き上げて成形加工時の樹脂のゲル化や、ノズルや金型
の腐食を引き起こす事が知られている。
【0032】従って、洗浄に供する燐酸エステルに含ま
れる親水性燐酸エステル単量体の割合を調節すること
は、製品の品質面に加え、安定した洗浄濯ぎ操作を行う
ためにも重要で、洗浄後のエステル中の濃度として0.
01〜1.0重量%、好ましくは0.05〜0.5重量
%の範囲とする。
【0033】親水性燐酸エステルの生成量の調節は、触
媒や原料に同伴される水分量をコントロールした上で、
反応を完結させる方法が容易である。すなわち、反応工
程における各原料について、金属塩化物触媒は0.1〜
5重量%の範囲の水分、1価フェノール及び2価フェノ
ールは各々10〜1000重量ppmの範囲の水分を含
有して、かつ仕込み総量に対する水分総量が10〜50
0重量ppmの範囲となるようコントロールする。好ま
しくは、触媒が0.2〜3重量%の範囲の水分、1価フ
ェノール及び2価フェノールが各々20〜300ppm
の範囲の水分を含有し、仕込み総量に対する水分総量が
50〜200ppmである。
【0034】反応を完結させるためには、原料の1価フ
ェノールを過剰に仕込んで反応することが必要で、反応
完結時に生成物が0.1〜10重量%、好ましくは1〜
5重量%の1価フェノールを含有するように仕込む。本
発明の製造方法では、反応工程におけるオキシ塩化燐と
ビスフェノールAの仕込み比率、及び未反応オキシ塩化
燐の除去条件を固定すれば、特定のnの分布と特定の燐
酸エステル単量体の割合を持つ燐酸エステル組成物を再
現性良く合成することが出来るので、仕込むべき1価フ
ェノールの量は、あらかじめ算出することが可能であ
る。
【0035】反応完結時の未反応1価フェノールの割合
が0.1重量%未満では反応の完結が困難であり、洗浄
操作後の親水性燐酸エステル単量体の濃度を1重量%以
下とすることが困難となる。一方、反応完結時の未反応
1価フェノールの割合が10重量%を越えても顕著な効
果の改善はないのみならず、排水への1価フェノールの
移行量が増加して好ましくない。
【0036】反応の完結には、充分な反応時間をとる方
法の他、反応が概ね80%以上終了した時点で系内を減
圧として発生する塩酸を強制的に除去し、反応を促進さ
せる方法が好適に用いられる。
【0037】得られた反応生成物は、最終製品の物性を
損なわない範囲で、減圧蒸留などにより、未反応の1価
フェノールの一部を除去しても良い。減圧蒸留は、反応
を完結させる上でも有効である。ただしこの反応生成物
は、高温、高真空の条件下で、燐酸トリアリールと高分
子量のエステルの生成する不均化反応を生じる。この
為、縮合燐酸エステルの組成を損なうことなく、0.1
重量%以下まで1価フェノールを留去する事は困難であ
り、洗浄工程に供するエステルに未反応1価フェノール
が残留することは避けられない。
【0038】(2)の洗浄工程は、反応生成物に含まれ
る触媒に由来する金属分を水相に抽出して除去する工程
である。本発明の特徴は、(1)の反応工程において、
洗浄工程時に界面活性剤として作用する親水性燐酸エス
テル単量体の生成量をコントロールした上で、操作温度
によりエステルの粘度を調節し、さらに攪拌の強度を規
定して水中に分散するエステルの粒径を調節する事によ
り、洗浄工程におけるエステル中の金属成分を水相に安
定かつ効率的に抽出することである。
【0039】攪拌槽内における分散液滴の平均粒径dP
が、ウエーバー数We(慣性力と界面張力の比)の関数
で表されることは広く知られている。
【0040】
【数1】 (式中、Dは攪拌翼のスパン、nは攪拌機の回転数、γ
は攪拌翼の形状による定数で多くの場合概ね0.6) この関係式と、単位体積当たりの攪拌強度PVの定義式
から、γ=0.6の場合、以下の関係が導かれる。
【0041】
【数2】 この式は、液滴を形成する流体の物性が決まれば、攪拌
によって生じる液滴の平均粒径dPは、単位体積当たり
の攪拌強度PVにより一義に決まることを示している。
【0042】本発明の製造方法の洗浄工程及び濯ぎ工程
においても、この関係が成立することが、本発明者らの
研究により判明した。すなわち、洗浄工程における撹拌
動力は、反応生成物と洗浄水を合わせた仕込み単位容積
あたり0.2〜2.0kW/m3、の範囲であることが
必要であり、0.75〜1.9kW/m3の範囲の強力
な攪拌を行うことが好ましく、0.8〜1.3kW/m
3の範囲がさらに好ましい。
【0043】0.2kW/m3未満の撹拌動力ではエス
テルの油滴を小さく分散出来ず、金属分を十分に水相に
抽出することが困難である。一方、攪拌動力が2.0k
W/m3を越えても洗浄効率に変化がない上、分離時に
水相の表面にエステルの油膜が生成したり水相に微細な
油滴が混入する現象が見られることがあり、好ましくな
い。
【0044】本発明の縮合燐酸エステルは、室温では通
常数千cP以上の高粘度であるが、耐加水分解性が高い
ので、効率的かつ安定的な洗浄が行えるよう、撹拌混合
に好ましい粘度となる温度まで加熱して操作することが
出来る。好ましい粘度の範囲は10cP以上1000c
P以下で、50cP以上500cP以下の範囲がさらに
好ましい。
【0045】エステルの粘度が1000cPを越えると
水中へのエステル液滴の分散が困難となり、十分な金属
の抽出が行えない。一方10cP以下の粘度としても洗
浄効率は変わらず、またこのような低粘度実現のために
は通常100℃以上の加熱が必要で、エステルの加水分
解が生じやすくなるため、好ましくない。エステルの粘
度が好ましい範囲となるよう、洗浄操作は通常60〜1
00℃、好ましくは70〜90℃の範囲で行う。
【0046】洗浄工程に使用する装置は、特に規定しな
いが、例えば撹拌機と槽内にバッフルを有する一般的な
ミキサー/セトラー型の洗浄装置や、撹拌槽が循環ライ
ンを有し、循環ラインにラインミキサーを設けたものな
どが好適に用いられる。
【0047】洗浄水には、pH3.0以下、好ましくは
2.5以下、さらに好ましくは0.0〜2.0の範囲の
酸性水が用いられる。このpH範囲の洗浄水を用いれ
ば、エステルの加水分解を引き起こすことなく、金属分
を完全に水相に抽出できる上、洗浄後の油水分離が極め
て容易であり、短時間のうちに、懸濁物が無くフェノー
ルなどの水溶性有機物の少ない、無色透明な洗浄排水が
分離できる。pHが3を越える酸性水を用いた場合、触
媒金属分が十分に除去できない上、エステルの懸濁やエ
マルジョン化を生じる。又、pHの上昇に伴い、フェノ
ールや親水性エステルの水相への移行量が増え、排水処
理の負荷が増加する。
【0048】洗浄水に使用する酸としては、例えば塩
酸、硫酸、硝酸、燐酸、ホウ酸、フッ酸などの無機酸
や、蟻酸、酢酸、蓚酸などの有機酸が挙げられる。特
に、塩酸、硫酸、蓚酸、酢酸は、洗浄効率が高く、又濯
ぎが容易で、好適に用いられる。酸の濃度としては、洗
浄水が前述のpH範囲となればよく、通常0.01〜2
規定の範囲で用いられる。
【0049】洗浄するエステルに対する洗浄液の割合
は、重量比で0.1〜5倍の範囲が適当であり、0.2
〜2倍の範囲が好ましい。0.1倍未満では金属分を十
分に除去できず、5倍を越えても洗浄効率は上がらない
のみならず、フェノールや親水性エステルの水相への移
行量は分配比により決定されるため、水相の増分だけこ
れらの移行量が増えて、排水処理の負荷が増加する。
【0050】洗浄後の水相とエステル相の分離方法に特
に制限はなく、一般的な非相溶二液相の分離方法、例え
ば重力沈降相や遠心分離器などを用いることが出来る。
本発明の(3)の濯ぎ工程は、主に洗浄工程で添加する
酸性分の除去を目的とする工程で、反応工程で残留した
塩素分や、洗浄工程で水相に抽出されながら除けなかっ
た残留水分中の触媒金属分も、同時に除去する。
【0051】濯ぎ工程においても、洗浄工程同様、攪拌
時の水中に分散するエステルの液滴径コントロールが重
要であり、エステルを所定の粘度とするための加温と単
位体積当たり所定の攪拌動力を用いねばならない。すな
わち、好ましい粘度の範囲は10cP以上1000cP
以下で、20cP以上500cP以下の範囲がさらに好
ましく、このため濯ぎ操作も通常50〜100℃、好ま
しくは60〜90℃の範囲で行う。
【0052】また、濯ぎ工程における撹拌動力は、反応
生成物と濯ぎ水を合わせた仕込み単位容積あたり0.2
〜2.0kW/m3の範囲であることが必要であり、好
ましくは0.75〜1.9kW/m3の範囲である。洗
浄工程と濯ぎ工程の単位体積当たりの攪拌動力は、各々
指定の範囲内にあれば、同一であっても異なっていても
良く、複数回の濯ぎを行う場合、各々が同一であっても
異なっていても良い。
【0053】0.2kW/m3未満の撹拌動力ではエス
テルの油滴を小さく分散出来ず、水相とエステル相の混
合が不十分となり、金属分や塩素分などを十分に水相に
抽出することが困難である。一方、2.0kW/m3
越える撹拌動力を与えても、抽出性が改善されないのみ
ならず、エステルの懸濁が顕著となって相分離に多大の
時間を要したり、時として連続相が水相から油相に逆転
する現象が生じて撹拌が困難となり、濯ぎが不十分とな
って塩素分や金属分が残留したり、製品の酸価が上がっ
たり、製品の熱安定性が低下する等の現象が生じる。
【0054】また、2.0kW/m3を越える多大な撹
拌動力を用いることにより、相分離に必要な時間が伸び
る結果、洗浄排水と最終製品中の親水性エステル濃度が
上昇する傾向がみられる。同様の現象は、エステルを水
との共存下に60℃以上に加熱したまま放置した場合に
もみられ、特に洗浄工程、濯ぎ工程の滞留時間の総和が
24時間を超えると顕著である。
【0055】この現象は燐酸エステルの加水分解に起因
する。ビスフェノールAの残基で架橋されたオリゴマー
タイプの燐酸エステルは耐加水分解性の高いことが一つ
の特徴であるが、高温条件下に長時間水分と共存させる
と徐々に加水分解を生じ、まず酸価の上昇、続いてフェ
ノールや親水性燐酸エステルが発生し、しかも加水分解
の速度は親水性燐酸エステルの量により加速度的に増加
する事を本発明者らは確認した。従って、洗浄工程と濯
ぎ工程における高温条件下でのエステルと水の共存時間
の管理は重要で、加水分解を防ぐためには洗浄工程と濯
ぎ工程の滞留時間の総和を24時間以内とすることが必
要で、18時間以内とする事がさらに望ましい。
【0056】又、反応工程において、親水性燐酸エステ
ル単量体の生成量を1重量%以下とすることは、洗浄・
濯ぎ工程における加水分解の加速を防止する上でも重要
である。本工程に使用する装置は、基本的に洗浄工程と
同様のものであり、同一の装置で洗浄と濯ぎを順次行っ
ても良い。
【0057】濯ぎの方法は特に規定しないが、セトラー
/ミキサー型の装置を用いる場合、製品の熱安定性を確
保するために、金属分、塩素分、その他の酸成分を出来
るだけ除去するよう、操作を繰り返すことが好ましい。
一方で、濯ぎ操作の繰り返しにより操作時の水相のpH
が中性に近づくと、水相にエステルが懸濁すると共に分
離速度が低下し界面が不安定となる。又、前述のごとく
エステルの加水分解を防止するための時間制約がある。
この為、濯ぎの回数は1〜10回、さらに好ましくは2
〜5回が適当で、この回数で、金属分と酸成分の濃度が
各々概ね10ppm以下となるよう濯ぎの条件を選定す
る。
【0058】濯ぎ工程に用いる洗浄水は、アルカリ、及
びアルカリ土類金属の含有量が概ね100重量ppm以
下であれば特に制限はないが、実質上金属分を含まな
い、イオン交換水や蒸留水などのいわゆる純水が好まし
い。
【0059】廃水中のエステルやフェノールなどの成分
を抑えるには、濯ぎ工程で発生する排水に酸成分を加え
て洗浄工程に用いることが極めて有効である。洗浄水の
pH条件下では、濯ぎ工程で水相に懸濁したエステルが
再度凝集する上、フェノール類と親水性エステルのエス
テル相と水相への分配は平衡の関係にあり、しかも水相
のpHが低いほど平衡がエステル相側に傾く。このた
め、前述の攪拌動力の条件内で操作を行えば、洗浄排水
にはエステルの懸濁が無く、かつフェノール類や親水性
エステルの濃度は、純水に酸成分を添加した洗浄液を使
用した場合の排水と実質的に同じになり、濯ぎ工程で発
生する排水分の排水処理の負荷が軽減される。
【0060】濯ぎ工程を数回繰り返す場合には、例え
ば、濯ぎの工程を2回繰り返す場合、2回目の濯ぎ廃液
をタンクなどに貯蔵して、次回の製造時の1回目の濯ぎ
に使用し、さらにその廃液に酸成分を添加して、その次
の回の製造時の洗浄工程に使用するごとく、濯ぎ排水を
カウンターフロー的に使い回しし、最終的に酸成分を加
えて洗浄工程に用いることにより、濯ぎの回数に関わり
なく、排出されるフェノール分と親水性燐酸エステル分
の総量を、洗浄工程1回分に削減することが出来る。
【0061】本発明の(4)の蒸留乾燥工程は、触媒金
属を除去した燐酸エステルから、水分及び、1価フェノ
ールを除去して最終製品とする工程である。最終製品
は、樹脂との押し出し成型時の発煙や悪臭、金型の汚染
などの問題を起こさぬよう、1価フェノールの含有量を
1重量%以下にすることが好ましく、0.1重量%以下
にすることがさらに好ましい。又、水分は押し出し成型
時の発泡や樹脂の加水分解を引き起こす原因となるた
め、0.1重量%以下にすることが好ましく、0.05
重量%以下にすることがさらに好ましい。
【0062】一方、濯ぎ工程の終了した燐酸エステル
は、通常1〜10重量%の水分と、前述のごとく仕込み
組成に応じて通常0.1〜10重量%の1価フェノール
を含有している。従って、水分の除去は不可欠であり、
多くの場合、1価フェノールの除去も必要である。
【0063】触媒を除去することで、燐酸エステルの不
均化反応および加水分解が抑えられる結果、留去が困難
で高温・高真空条件の必要な1価フェノールの蒸留が可
能となる。
【0064】本発明者らの研究によると、水分の蒸発は
伝熱律速であり、容易に除去することが出来る。一方1
価フェノールの蒸留は蒸発表面積律速の割合が大きいた
め、蒸留釜を用いる場合、設備スケールに伴って蒸留操
作に要する時間が延びることがある。従って、乾燥工程
では、1価フェノールの留去が必要な場合、蒸発面積の
大きい、例えば薄膜蒸留装置などの装置を用いることが
好ましい。
【0065】本発明の方法により製造される燐酸エステ
ルは、金属分を含まず、熱安定性に優れており、そのま
ま、又は必要に応じて脱色や酸価の低減処理を行った
後、難燃剤や可塑剤など樹脂用の添加剤として、好適に
用いることが出来る。
【0066】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明の実施
の形態を具体的に説明する。まず、本発明で用いた分析
方法等を以下に示す。 1.生成物の定量 縮合度nによる組成:東ソー GPC カラム 東ソー TSKgel G2000HXL 2本 東ソー TSKgel G3000HXL 1本 直列 溶媒 THF flow=1ml/分 検出器 UV λ=254nm 試料 THF1000倍希釈 5μl 絶対検量線法
【0067】 1価フェノール及び親水性燐酸エステル単量体の定量:島津 LC−1OA カラム 東ソー TSKgel ODS−80T 溶媒 メタノール/水=90/10 flow=0.5ml/分 検出器 UV λ=254nm 試料 メタノール 100倍希釈 10μl 絶対検量線法 金属分の定量:ICP法 装置 セイコー社製 JY−38PII型 試料 MIBK 50倍希釈 絶対検量線法
【0068】 酸価の測定:滴定法 JISK2501に準拠 燐酸エステルの粘度:B型粘度計 TGA熱安定性:300℃に於ける重量減少速度を指標とする 装置 Rigaku製 TAS−300 TG−DTA 試料 20±10mg 直径5mm*高さ2.5mmアルミ試料パン 測定条件 50℃→(昇温100℃/分)→300℃1時間
【0069】2.洗浄・すすぎ撹拌動力の計算 以下の式に従った。
【0070】
【数3】
【0071】
【実施例】実施例1 (1)反応工程(燐酸エステル1の合成) 加熱乾燥により脱水したビスフェノールA18.2kg
(80モル、水分120重量ppm)、オキシ塩化燐3
6.8kg(240モル)、及び無水塩化マグネシウム
116g(1.2モル、水分0.8重量%)を、かくは
ん機・還流器および減圧蒸留設備を有する70リットル
GL反応槽に仕込み、窒素気流下70〜120℃にて6
時間反応させた。反応終了後、反応温度を維持しつつ、
反応槽を真空ポンプにて50mmHgに減圧し、未反応
のオキシ塩化燐を回収した。
【0072】ついで反応槽を50℃まで冷却し、フェノ
ール32.0kg(340モル、水分130重量pp
m)を加え、100〜150℃に加熱して6時間反応さ
せた。そのままの温度で10mmHg以下まで徐々に減
圧し、未反応のフェノールを一部留去して55.4kg
の反応生成物を得た。生成物の代表的な構造式を表1、
組成を表2に示す。
【0073】(2)洗浄工程 トルクメーターと回転計を備えた撹拌機(東京理化器械
製マゼラZ−1000型、撹拌ペラは2枚パドルで、翼
径75mm)、バッフル、コーティングヒーター付きの
3リットルのパイレックス製洗浄槽に燐酸エステル1
1300gと0.1規定塩酸水1300gを仕込み、8
0℃に加温した。80℃における[燐酸エステル1]の
粘度は、120cPである。撹拌機を起動し、トルクが
0.45Kgf・cmとなる撹拌速度(=500rp
m)で30分間混合撹拌した。撹拌動力は1.0kw/
3である。撹拌を止めてそのままの温度で30分間静
置分離し、水相を抜き出した。エステル中の親水性燐酸
エステル単量体の割合を表2に示す。
【0074】(3)濯ぎ工程 引き続き、洗浄槽に80℃に加温した蒸留水1300g
を加え、上記洗浄工程と同じ撹拌速度で30分間混合撹
拌を行った後、撹拌を止め、そのままの温度で30分間
静置分離し、水相を抜き出した(濯ぎ1)。同様の操作
をさらに3回繰り返した(濯ぎ2〜4)。洗浄から濯ぎ
完了までの滞留時間の総和は8時間で、洗浄・濯ぎいづ
れの工程にも、撹拌および分離の問題は生じなかった。
【0075】(4)乾燥工程 濯ぎの終了したエステル相を、ジャケット温度220
℃、圧力0.2mmHgに設定した薄膜蒸発器(神鋼パ
ンテック製WIPRENE2−03型)に20ml/分
の速度で供給し、水分とフェノール分を除去した。得ら
れたエステルの分析値を表3に示す。
【0076】実施例2 燐酸エステル1を用い、洗浄および濯ぎ工程の撹拌動力
が0.28kw/m3となる条件(撹拌速度320rp
m、トルク0.2Kgf・cm)で混合撹拌を行い、静
置分離時間を1時間とする以外は実施例1と同じ条件
で、洗浄および濯ぎを実施した。洗浄から濯ぎ完了まで
の滞留時間の総和は8時間で、いずれの工程にも、撹拌
および分離の問題は生じなかった。実施例1と同じ乾燥
工程を経て得られたエステルの分析値を表3に示す。
【0077】実施例3 燐酸エステル1を用い、洗浄および濯ぎ工程での撹拌動
力が1.8kw/m3となる条件(撹拌速度680rp
m、トルク0.6Kgf・cm)で混合撹拌を行い、静
置分離時間を1時間とする以外は実施例1と同じ条件
で、洗浄および濯ぎを実施した。洗浄から濯ぎ完了まで
の滞留時間の総和は11時間で、いずれの工程にも、撹
拌および分離の問題は生じなかった。実施例1と同じ乾
燥工程を経て得られたエステルの分析値を表3に示す。
さらに、(2)(3)(4)の一連の操作を9回行い、
濯ぎ工程に於ける撹拌時の連続相が水からエステルへ逆
転する現象の発生の有無を確認した。結果を表4に示
す。
【0078】比較例1 燐酸エステル1を用い、洗浄および濯ぎ工程の撹拌動力
が0.08kw/m3となる条件(撹拌速度190rp
m、トルク0.10Kgf・cm)で混合撹拌を行う以
外は実施例1と同じ条件で、洗浄および濯ぎを実施し
た。洗浄から濯ぎ完了までの滞留時間の総和は8時間
で、いずれの工程にも、撹拌および分離の問題は生じな
かった。実施例1と同じ乾燥工程を経て得られたエステ
ルの分析値を表3に示す。
【0079】比較例2 燐酸エステル1を用い、洗浄および濯ぎ工程の撹拌動力
が2.4kw/m3となる条件(撹拌速度810rp
m、トルク0.7Kgf・cm)で混合撹拌を行う以外
は実施例2と同じ条件で、洗浄および濯ぎの一連の操作
を10回を実施した。濯ぎ工程に於ける撹拌時の連続相
が水からエステルへ逆転する現象の発生の有無を確認し
た結果を表4に示す。また、連続相の逆転が起こった場
合の、代表的なエステルの分析値を表3に示す。
【0080】比較例3 燐酸エステル1を用い、洗浄および濯ぎ工程での撹拌動
力が3.2kw/m3となる条件(撹拌速度930rp
m、トルク0.8Kgf・cm)で混合撹拌を行う以外
は実施例2と同じ条件で、洗浄および濯ぎを実施した。
濯ぎ工程3回目でスラリーが相転移を起こしてエステル
が連続相となり、撹拌が困難となった。また静置による
分離に4時間を要した。また濯ぎ工程4回目では、水相
へのエステルの微分散が著しく、6時間静置後も明確な
エステル相/水相の界面が現れなかった。洗浄から濯ぎ
完了までの滞留時間の総和は20時間であった。実施例
1と同じ乾燥工程を経て得られたエステルの分析値を表
3に示す。
【0081】比較例4 燐酸エステル1を用い、操作温度を40℃とし、洗浄お
よび濯ぎ工程の撹拌動力が1.0kw/m3となる条件
で混合撹拌を行う以外は実施例1と同じ条件で、洗浄お
よび濯ぎを実施した。40℃における燐酸エステル1の
粘度は2500cPである。洗浄から濯ぎ完了までの滞
留時間の総和は8時間で、洗浄、濯ぎとも撹拌による混
合が不十分となった。実施例1と同じ乾燥工程を経て得
られたエステルの分析値を表3に示す。
【0082】比較例5 燐酸エステル1を用い、操作温度を100℃還流条件と
し、洗浄および濯ぎ工程の撹拌動力が1.0kw/m3
となる条件で混合撹拌を行う以外は実施例1と同じ条件
で、洗浄および濯ぎを実施した。100℃における燐酸
エステル1の粘度は8cPである。濯ぎ工程の2回目以
降エステルの懸濁が顕著となったため沈降分離の時間を
延長した結果、洗浄から濯ぎ完了までの滞留時間の総和
は10時間となった。実施例1と同じ乾燥工程を経て得
られたエステルの分析値を表3に示す。
【0083】比較例6 燐酸エステル1を用い、撹拌時間を2時間、静置分離時
間を3時間とする以外は実施例1と同じ条件で洗浄、濯
ぎを実施した。洗浄から濯ぎ完了までの滞留時間の総和
は26時間で、いずれの工程にも、撹拌および分離の問
題は生じなかった。実施例1と同じ乾燥工程を経て得ら
れたエステルの分析値を表3に示す。
【0084】比較例7 燐酸エステル1を用い、洗浄水として0.001規定の
塩酸(pH=3.1)を用いる以外は実施例1と同じ条
件で洗浄および濯ぎを実施した。濯ぎ2回目以降、静置
分離速度が低下したため、静置時間を2時間に延長し
た。洗浄から濯ぎ完了までの滞留時間の総和は13時間
であった。実施例1と同じ乾燥工程を経て得られたエス
テルの分析値を表3に示す。
【0085】実施例4 燐酸エステル1を用い、洗浄水として実施例1の濯ぎ1
の排水に塩酸を加えて0.1規定に調製した塩酸水を用
い、濯ぎ1〜3の濯ぎ水としてそれぞれ実施例1の濯ぎ
2〜濯ぎ4の排水を用いる以外は、実施例1と同じ条件
で洗浄、濯ぎ及び乾燥を行った。得られたエステルの分
析値を表3に示す。また、洗浄水と濯ぎ水の操作前後の
組成を表5に示す。
【0086】実施例5 (1)反応工程(燐酸エステル2の合成) 加熱乾燥により脱水したビスフェノールA456.8g
(2.0モル、水分120重量ppm)、オキシ塩化燐
1226.5g(8.0モル)及び無水塩化マグネシウ
ム2.8g(0.015モル、水分1.2重量%)を、
流出管・コールドトラップを経て減圧設備に接続した、
撹拌機、還流管付きの2000ml四つ口フラスコに仕
込み、窒素気流下70〜120℃にて5時間反応させ
た。反応終了後、反応温度を維持しつつフラスコを50
mmHgに減圧して、未反応のオキシ塩化燐を留去し
た。
【0087】ついでフラスコを室温まで冷却し、2,6
−キシレノール488.5g(4.0モル、水分165
重量ppm)及び無水塩化マグネシウム2.8g(0.
015モル、水分1.2重量%)を加え、100〜17
0℃に加熱して7時間反応させた。ついでフラスコを室
温まで冷却し、フェノール386.2g(4.1モル、
水分130重量ppm)を加え、100〜160℃に加
熱して6時間反応させた。そのままの温度で徐々に10
mmHgまで減圧し、未反応フェノールの一部を留去し
て、1303gの反応生成物を得た。生成物の代表的な
構造式を表1、組成を表2に示す。
【0088】(2)洗浄工程 トルクメーターと回転計を備えた撹拌機(東京理化器械
製マゼラZ−1000型、撹拌ペラは2枚パドルで、翼
径75mm)、バッフル、コーティングヒーター付きの
3リットルのパイレックス製洗浄槽に燐酸エステル2
1000gと0.1規定塩酸水1000gを仕込み、9
0℃に加温した。燐酸エステル2の90℃における粘度
は250cPである。撹拌機を起動し、撹拌動力1.0
kw/m 3で30分間混合撹拌した。撹拌を止めてその
ままの温度で30分間静置分離し、水相を抜き出した。
【0089】(3)濯ぎ工程 引き続き、洗浄槽に90℃に加温した蒸留水1000g
を加え、上記洗浄工程と同じ撹拌速度で30分間混合撹
拌を行った後、撹拌を止め、そのままの温度で30分間
静置分離し、水相を抜き出した(濯ぎ1)。同様の操作
をさらに3回繰り返した(濯ぎ2〜4)。洗浄から濯ぎ
完了までの滞留時間の総和は8時間で、洗浄・濯ぎいづ
れの工程にも、撹拌および分離の問題は生じなかった。
【0090】(4)乾燥工程 濯ぎの終了したエステル相を、ジャケット温度220
℃、圧力0.2mmHgに設定した薄膜蒸発器(神鋼パ
ンテック製WIPRENE2−03型)に20ml/分
の速度で供給し、水分とフェノール分を除去した。得ら
れたエステルの分析値を表3に示す。
【0091】比較例8 (1)反応工程:(燐酸エステル3の合成) 減圧乾燥により脱水したビスフェノールA456.3g
(2.0モル、水分7重量ppm)、オキシ塩化燐76
7.9g(5.0モル)及び無水塩化マグネシウム2.
8g(0.015モル、水分0.2重量%)を、流出管
・コールドトラップを経て減圧設備に接続した、撹拌
機、還流管付きの2000ml四つ口フラスコに仕込
み、窒素気流下70〜120℃にて5時間反応させた。
【0092】反応終了後、反応温度を維持しつつフラス
コを50mmHgに減圧して、未反応のオキシ塩化燐を
留去した。ついでフラスコを室温まで冷却し、蒸留脱水
したフェノール754.4g(8.0モル、水分1重量
ppm)を加え、100〜160℃に加熱して6時間反
応させた。そのままの温度で徐々に10mmHgまで減
圧し、未反応フェノールの一部を留去して、1297g
の反応生成物を得た。生成物の代表的な構造式を表1、
組成を表2に示す。
【0093】(2)洗浄工程(3)濯ぎ工程(4)乾燥
工程 実施例1と同一の装置、条件で実施した。燐酸エステル
3の80℃における粘度は150cPである。洗浄から
濯ぎ完了までの滞留時間の総和は8時間で、洗浄時にエ
ステルの分散不良が観測された。得られたエステルの分
析値を表3に示す。
【0094】比較例9 (1)反応工程:(燐酸エステル4の合成) ビスフェノールA456.4g(2.0モル、水分97
0重量ppm)、オキシ塩化燐768.1g(5.0モ
ル)及び無水塩化マグネシウム2.8g(0.015モ
ル、水分8.5重量%)を、流出管・コールドトラップ
を経て減圧設備に接続した、撹拌機、還流管付きの20
00ml四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下70〜1
20℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応温度を
維持しつつフラスコを50mmHgに減圧して、未反応
のオキシ塩化燐を留去した。
【0095】ついでフラスコを室温まで冷却し、フェノ
ール754.5g(8.0モル、水分1460重量pp
m)を加え、100〜160℃に加熱して6時間反応さ
せた。そのままの温度で徐々に10mmHgまで減圧
し、未反応フェノールの一部を留去して、1253gの
反応生成物を得た。生成物の代表的な構造式を表1、組
成を表2に示す。
【0096】(2)洗浄工程(3)濯ぎ工程(4)乾燥
工程 実施例1と同一の装置、条件で実施した。[燐酸エステ
ル4]の80℃における粘度は150cPである。濯ぎ
2回目以降エステルの懸濁が顕著となったため、静置分
離時間を延長した結果、洗浄開始から濯ぎ完了までの滞
留時間の総和は12時間となった。得られたエステルの
分析値を表3に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【発明の効果】実施例から明らかなように、本発明によ
れば、触媒に用いた金属分を安定的に除去でき、かつ精
製工程に於いて製品の加水分解が生じない結果、熱安定
性が良くかつ酸価の低い、樹脂との押し出し成型時など
に問題を起こすことのないオリゴマータイプのトリアリ
ール燐酸エステルを定常的に製造することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相羽 哲也 岡山県倉敷市潮通3丁目13番1 旭化成工 業株式会社内 Fターム(参考) 4H050 AA02 AD11 AD16 BA06 BA09 BA37 BB31 BC50 BC51 BC53 BD70 BE01 BE03 BE04 BE54 WA15 WA23

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)金属塩化物触媒の存在下にオキシ
    塩化燐とビスフェノールAを反応させた後1価フェノー
    ルを反応させる反応工程、(2)得られた反応生成物を
    pHが3以下の酸性水と混合して金属分を水相に抽出さ
    せた後、水相を分離、除去する洗浄工程、(3)反応生
    成物にさらに中性水を加えて混合し、酸成分を水相と共
    に分離、除去する濯ぎ工程、及び(4)反応生成物を蒸
    留し乾燥する蒸留乾燥工程を有する、下記一般式[1]
    で表される燐酸エステルを製造する方法において、
    (2)の洗浄工程終了後のエステルに含まれる親水性燐
    酸エステル単量体の割合が0.01重量%以上1重量%
    以下の範囲であり、(2)の洗浄工程および(3)の濯
    ぎ工程において燐酸エステルの粘度が10cP以上10
    00cP以下の範囲となる加温条件下で、仕込み(反応
    生成物と洗浄水又は濯ぎ水を合わせたもの)単位容積あ
    たりの攪拌動力が0.2kw/m3以上2.0kw/m3
    以下の範囲で混合を行い、さらに(2)の洗浄工程と
    (3)の濯ぎ工程における滞留時間の総和を24時間以
    内とすることを特徴とする燐酸エステルの製造方法。 【化1】 (式中、nは1〜10の整数を表し、Ar1,Ar2,A
    3,Ar4は、各々同一または異なる1価の芳香族基を
    表す。)
  2. 【請求項2】 (2)の洗浄工程及び(3)の濯ぎ工程
    に於ける操作温度でのエステルの粘度が20cP以上5
    00cP以下の範囲で、仕込み単位容積あたりの攪拌動
    力が0.75kw/m3以上1.9kw/m3以下の範囲
    である請求項1記載の燐酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 (1)の反応工程で用いる金属塩化物触
    媒が無水塩化マグネシウム及び/又は塩化アルミニウム
    であり、(2)の洗浄工程で使用する酸性水が、前回の
    燐酸エステルの製造方法における濯ぎ工程で生じる排水
    に酸成分を添加して調整したpH0.0〜2.0の塩酸
    水、硫酸水、蓚酸水、燐酸水、又はそれらの混合物であ
    り、かつ(2)の洗浄工程及び(3)の濯ぎ工程に於け
    る仕込み単位容積あたりの攪拌動力が0.8kw/m3
    以上1.3kw/m3以下の範囲である請求項2記載の
    燐酸エステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 (2)の洗浄工程における洗浄後のエス
    テルに含まれる親水性燐酸エステル単量体の割合を0.
    01重量%以上1重量%以下の範囲とするための手段
    が、(1)の反応工程において、金属塩化物触媒の水分
    含量が0.1〜5重量%、1価フェノール及びビスフェ
    ノールAの水分含量が各々10〜1000重量ppmの
    範囲で、かつ仕込み総量に対する水分総量を10〜50
    0重量ppmの範囲とし、かつ反応終了後のエステルに
    1価フェノールが0.1重量%以上10重量%以下の範
    囲で含有される様、過剰量の1価フェノールを用いる方
    法である請求項1又は2又は3記載の燐酸エステルの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の一般式[1]における1
    価の芳香族基が、フェニル基、トリル基、キシリル基か
    ら選ばれる、おのおの同一又は異なる置換基である請求
    項4記載の燐酸エステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 (4)の蒸留乾燥工程で未反応の1価フ
    ェノール類を除去する請求項4記載の燐酸エステルの製
    造方法。
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