JPH1017510A - 新規ポリフェノール化合物及びその製造方法 - Google Patents

新規ポリフェノール化合物及びその製造方法

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JPH1017510A
JPH1017510A JP8165872A JP16587296A JPH1017510A JP H1017510 A JPH1017510 A JP H1017510A JP 8165872 A JP8165872 A JP 8165872A JP 16587296 A JP16587296 A JP 16587296A JP H1017510 A JPH1017510 A JP H1017510A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エポキシ樹脂硬化剤として、耐熱性及び耐水
性に優れたバランスを有するポリフェノール化合物及び
その製造方法の提供。 【解決手段】 1.下記一般式(I)で表わされるトリ
スフェノールを含有してなるポリフェノール化合物。 【化1】 (式中、Rはメチル基を表わし、Xは、炭素数1〜6の
アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン
原子を表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
また、m及びnは0〜2の整数である) 2.一般式(II)で表わされる脂環式不飽和アルデヒド
類と 【化2】 (式中、Rは、メチル基を表わし、nは0〜2の整数で
ある)一般式(III)で表わされるフェノール類とを 【化3】 (式中、Xは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜
6のアルコキシ基又はハロゲン原子を表わし、それぞれ
同一でも異なっていてもよい。また、mは0〜2の整数
である)酸触媒の存在下、縮合付加反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規ポリフェノー
ル化合物及びその製造方法に関する。詳しくは、本発明
は、特定の脂環式不飽和アルデヒド類とフェノール類と
を酸触媒の存在下に縮合付加反応させて得られる新規ポ
リフェノール化合物及びその製造方法に関する。本発明
によるポリフェノール化合物は、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂の原料及びエポキシ樹脂用硬化剤として有用で
あり、封止用材料、積層板用材料、注型材料、成形材料
及び電気絶縁材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】トリスフェノールを含有してなるポリフ
ェノール化合物又はその製造方法については、従来より
いろいろと提案がなされている。例えば、特開昭57−
34122号公報には、ヒドロキシベンズアルデヒド類
とフェノール類とを縮合反応させて得られるポリフェノ
ール化合物が提案されている。
【0003】また、特開昭63−182326号公報に
は、クロトンアルデヒド等の不飽和アルデヒド類とフェ
ノール類とをスルホン酸触媒の存在下で縮合反応させる
方法が提案されている。しかしながら、これらのポリフ
ェノール化合物を、例えば、エポキシ樹脂の硬化剤とし
て用いたエポキシ樹脂硬化物は、耐熱性に優れるが、非
常に水を吸いやすい。このため、このポリフェノール化
合物を半導体の封止材として用いたときには、パッケー
ジクラックの発生、及び電気絶縁材として用いた時の絶
縁性の低下等の点で問題を有している。
【0004】一方、特開平4−26642号公報には、
耐水性を向上させる目的で、テルペン等から得られる、
分子中に脂環構造を有するビスフェノールのノボラック
化物が提案されている。しかしながら、このポリフェノ
ール化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として用いたエポキ
シ樹脂硬化物は耐水性に優れるが、耐熱性及び難燃性が
低下してしまい高温信頼性という点で好ましくないとい
う問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
ポリフェノール化合物は、エポキシ樹脂の硬化剤として
用いた場合、耐水性又は耐熱性の面で問題点がある。本
発明の課題は、エポキシ樹脂硬化剤として耐熱性及び耐
水性に優れたバランスを有するポリフェノール化合物及
びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、特定の脂環式不飽
和アルデヒド類とフェノール類とを酸触媒の存在下に縮
合付加反応させて得られるポリフェノール化合物がエポ
キシ樹脂の硬化剤として用いた場合、耐熱性及び耐水性
に優れたバランスを有することを見出し、本発明を完成
するに至った。即ち、本発明は、 1.下記一般式(I)で表わされるトリスフェノールを
含有してなるポリフェノール化合物、
【0007】
【化4】
【0008】(式中、Rはメチル基を表わし、Xは、炭
素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基
又はハロゲン原子を表わし、それぞれ同一でも異なって
いてもよい。また、m及びnは0〜2の整数である) 2.一般式(II)で表わされる脂環式不飽和アルデヒド
類と
【0009】
【化5】
【0010】(式中、Rは、メチル基を表わし、nは0
〜2の整数である)一般式(III)で表わされるフェノー
ル類とを
【0011】
【化6】
【0012】(式中、Xは、炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子を表
わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、m
は0〜2の整数である)酸触媒の存在下、縮合付加反応
させることを特徴とするポリフェノール化合物の製造方
法、にある。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。
【発明の実施の形態】
(1)ポリフェノール化合物 本発明のポリフェノール化合物は、一般式(I)
【0014】
【化7】
【0015】(式中、Rはメチル基を表わし、Xは、炭
素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基
又はハロゲン原子を表わし、それぞれ同一でも異なって
いてもよい。また、m及びnは0〜2の整数である)で
表わされるトリスフェノールを含有してなるものである
が、このトリスフェノールの他に、例えば、下記一般式
(IV)で表わされるトリスフェノールのオリゴマー成分
が含まれる。
【0016】
【化8】
【0017】(式中、R、X、m及びnは前記と同義で
あり、Zは水素原子又は
【0018】
【化9】
【0019】(式中、R、X、m及びnは前記と同義で
ある)を表わし、pは1〜5の整数である) 本発明によるポリフェノール化合物中に含まれる、トリ
スフェノールとトリスフェノールのオリゴマーとの量比
は、トリスフェノールが5〜100重量%、好ましくは
10〜90重量%の範囲内、トリスフェノールのオリゴ
マーが95〜0重量%、好ましくは90〜10重量%の
範囲内である。
【0020】トリスフェノールが5重量%未満である
と、ポリフェノール化合物を熱により、溶融させて取り
扱う時、溶融粘度の増加が起こり、作業性等が低下する
等の問題を生じるため好ましくない。 (2)ポリフェノール化合物の製造方法 本発明のポリフェノール化合物は、一般式(II)で表わ
される脂環式不飽和アルデヒド類と
【0021】
【化10】
【0022】(式中、Rは、メチル基を表わし、nは0
〜2の整数である)一般式(III)で表わされるフェノー
ル類とを
【0023】
【化11】
【0024】(式中、Xは、炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子を表
わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、m
は0〜2の整数である)酸触媒の存在下、縮合付加反応
させることにより製造される。
【0025】前記一般式(II)で表わされる脂環式不飽
和アルデヒド類としては、3−シクロヘキセン−1−カ
ルバルデヒド、1−メチル−3−シクロヘキセン−1−
カルバルデヒド、2−メチル−3−シクロヘキセン−1
−カルバルデヒド、3−メチル−3−シクロヘキセン−
1−カルバルデヒド、4−メチル−3−シクロヘキセン
−1−カルバルデヒド、6−メチル−3−シクロヘキセ
ン−1−カルバルデヒド、1,2−ジメチル−3−シク
ロヘキセン−1−カルバルデヒド等が挙げられる。これ
らの中で、3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒドが
フェノール類との反応性及び原料入手の容易さの点で、
特に好ましい。なお、3−シクロヘキセン−1−カルバ
ルデヒドは、例えばブタジエンとアクロレインとのディ
ールス・アルダー反応により合成することができる。
【0026】また、前記一般式(III)で表わされるフェ
ノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾー
ル、m−クレゾール、p−クレゾール、p−sec−ブ
チルフェノール、o−tert−ブチルフェノール、p
−tert−ブチルフェノール、2,5−キシレノー
ル、2,6−キシレノール、3−メチル−6−tert
−ブチルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メ
トキシフェノール、p−メトキシフェノール、o−エト
キシフェノール、クロルフェノール類及びブロモフェノ
ール類等が挙げられる。
【0027】本発明のポリフェノール化合物の製造に用
いる酸性触媒は、脱水縮合及び付加反応の触媒として作
用する。具体的には、(1)無機酸触媒、例えば硫酸、
無水硫酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸又は縮合リ
ン酸、(2)有機酸触媒、例えばp−トルエンスルホン
酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸又はメタンスル
ホン酸、及び(3)ヘテロポリ酸、例えばリンモリブデ
ン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン
酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングスト
バナジン酸、リンタングストバナジン酸、リンモリブド
ニオブ酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケ
イモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングストバ
ナジン酸、又はゲルマニウムタングステン酸が挙げられ
る。また、ヘテロポリ酸のプロトンの一部はアルカリ金
属、アルカリ土類金属等で置換したヘテロポリ酸塩類を
用いることも可能である。使用する酸触媒の量は、脂環
式不飽和アルデヒド1モルに対して、一般に0.000
01〜1モル、好ましくは0.0001〜0.5モル、
である。
【0028】本発明において、ポリフェノール化合物の
合成は、無溶媒、又は水に難溶で、水と共沸可能な有機
溶媒を用い、生成する水を連続的に系外へ留去させなが
ら反応することができる。有機溶媒としては、(1)芳
香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クメン又はメシチ
レン、(2)ハロゲン化炭化水素、例えば、クロロホル
ム、ジクロルメタン、トリクロルメタン、テトラクロル
エチレン、1,2−ジクロルエタン、クロルベンゼン、
ジクロルベンゼン又はクロルトルエン、(3)脂肪族及
び脂環式炭化水素、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オク
タン又はシクロヘキサン、(4)ケトン、例えば、メチ
ルイソプロピルケトン又はメチルイソブチルケトン等、
が挙げられる。
【0029】本発明のポリフェノール化合物の製造は、
前記一般式(II)で表わされる脂環式不飽和アルデヒド
類を1モルに対して、前記一般式(III)で表わされるフ
ェノール類を2〜70モル、好ましくは、3〜50モル
の範囲内、及び必要であれば適当な有機溶剤を加え、反
応温度40〜200℃、反応時間1〜20時間の条件
下、酸性触媒の存在下で脱水縮合および付加反応させる
ことにより製造することができる。
【0030】脂環式不飽和アルデヒド類を1モルに対し
て、フェノール類の使用量が2モル未満であると、ポリ
フェノール化合物中のトリスフェノールの割合が、5重
量部未満となり好ましくない。また、70モルを越える
と、得られるポリフェノール化合物の収量が極端に少な
くなるため、経済的に好ましくない。反応終了後、反応
液中に含まれる酸触媒を、水酸化ナトリウム等のアルカ
リを用いて中和した後、過剰のフェノール類を、温度8
0〜250℃、圧力0.1MPa〜10Paの範囲で留
去する。更に、より高純度を望む場合、水に難溶な有機
溶媒を用いて、または無溶媒で、生成したポリフェノー
ル化合物1重量部に対して、一般に0.1〜20重量
部、好ましくは0.5〜10重量部、の水を加えて、撹
拌洗浄した後、静置し、油水分離して酸触媒を除去する
のが好ましい。終了後、使用した溶媒等を、実質的に無
くなるまで、好ましくは、生成したポリフェノール化合
物中の低沸物残存量が、2重量%以下となるまで行う。
【0031】このようにして得られた溶融状態のポリフ
ェノール化合物は、一般に反応器の底部から抜き出さ
れ、固体化され製品化される。また、溶融状態のまま、
次の工程、例えばエポキシ化工程、に移すことも可能で
ある。
【0032】本発明のポリフェノール化合物をエポキシ
樹脂の硬化剤として用いる場合、触媒等を除去した高純
度のものが好ましい。エポキシ樹脂に対する添加量は、
エポキシ樹脂の種類により異なるが、一般的に、エポキ
シ樹脂100重量部に対し、ポリフェノール化合物を5
〜100重量部の割合で、両者を溶融状態で混合し、第
三級アミン類、イミダゾール類及びトリフェニルホスフ
ィン等のリン化合物等の触媒の存在下、100〜200
℃の温度で硬化し、強靱な硬化物を得ることができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を越えない限りこれらの
実施例に限定されるものではない。 実施例1 温度計、攪拌機及び冷却管を付した1リットルの四つ口
フラスコ内に、フェノール564g(6モル)、3−シ
クロヘキセン−1−カルバルデヒド44g(0.4モ
ル)及びケイタングステン酸4.4gを仕込み、80℃
で7時間、反応を行った。反応終了後、24%の水酸化
ナトリウム1.8gを添加して、ケイタングステン酸を
中和した後、未反応のフェノールをロータリーエバポレ
ーターにて、バス温度160℃、減圧下で留去した。
【0034】次いで、メチルイソブチルケトン400g
を系内に加え溶解した後、純水300gで三回洗浄し無
機物を除去した。水洗後、メチルイソブチルケトンを温
度100℃〜160℃、減圧下で留去して、褐色ガラス
状固体のポリフェノール化合物129gを得た。ポリフ
ェノール化合物中のトリスフェノールとオリゴマーの組
成については、GPC(カラム:Shodex KF−
802、溶媒:THF 1ml/分、検出器:RI)に
て分析した。
【0035】得られたポリフェノール化合物の性状及び
組成を表−1に示す。得られた化合物が目的物であるか
どうかは、核磁気共鳴スペクトルにより確認した。得ら
れたスペクトルは図1に示す通りであり、各ピークは下
記のように帰属され、本発明のポリフェノール化合物が
得られたことが確認できた。
【0036】
【表1】
【0037】実施例2 フェノール339g(3.6モル)、3−シクロヘキセ
ン−1−カルバルデヒド44g(0.4モル)及びケイ
タングステン酸3.3gを仕込み、80℃で8時間、反
応を行った。その後の後処理は、実施例1と同様の操作
を行い、褐色ガラス状固体のポリフェノール化合物12
3gを得た。得られたポリフェノール化合物の性状を表
−1に示す。
【0038】実施例3〜4 フェノール類及び反応条件を表−1のように変えた以外
は、実施例1と同様の操作を行いポリフェノール化合物
を得た。得られたポリフェノール化合物の性状を表−1
に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、取り扱いが容易な新規
ポリフェノール化合物が高収率で得られ、エポキシ樹脂
用硬化剤、エポキシ樹脂用原料及びフェノール樹脂用原
料として使用可能であり、電子部品用材料としての用途
が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成したポリフェノール化合物の核
磁気共鳴スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08G 8/10 NBC C08G 8/10 NBC

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされるトリスフ
    ェノールを含有してなるポリフェノール化合物。 【化1】 (式中、Rはメチル基を表わし、Xは、炭素数1〜6の
    アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン
    原子を表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    また、m及びnは0〜2の整数である)
  2. 【請求項2】 前記トリスフェノールの含量が5〜10
    0重量%である請求項1に記載のポリフェノール化合
    物。
  3. 【請求項3】 前記トリスフェノールのオリゴマーの含
    量が10〜90重量%である請求項1又は2に記載のポ
    リフェノール化合物。
  4. 【請求項4】 一般式(II)で表わされる脂環式不飽和
    アルデヒド類と 【化2】 (式中、Rは、メチル基を表わし、nは0〜2の整数で
    ある)一般式(III)で表わされるフェノール類とを 【化3】 (式中、Xは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜
    6のアルコキシ基又はハロゲン原子を表わし、それぞれ
    同一でも異なっていてもよい。また、mは0〜2の整数
    である)酸触媒の存在下、縮合付加反応させることを特
    徴とするポリフェノール化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 脂環式アルデヒド類1モルに対してフェ
    ノール類を2〜70モル使用する請求項4に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 脂環式不飽和アルデヒド類として3−シ
    クロヘキセン−1−カルバルデヒドを用いる請求項4又
    は5のいずれか1項に記載の方法。
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