JPH10168656A - ポリエチレンテレフタレート混繊糸および製造方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレート混繊糸および製造方法

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JPH10168656A
JPH10168656A JP33674196A JP33674196A JPH10168656A JP H10168656 A JPH10168656 A JP H10168656A JP 33674196 A JP33674196 A JP 33674196A JP 33674196 A JP33674196 A JP 33674196A JP H10168656 A JPH10168656 A JP H10168656A
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JP
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yarn
core
polymer
sheath
polyethylene terephthalate
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Application number
JP33674196A
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Takashi Ochi
隆志 越智
Yoshiji Funatsu
義嗣 船津
Mototada Fukuhara
基忠 福原
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 嵩高性、ソフト性、張り腰,染め斑に優れた
ポリエステル混繊糸を提供する。 【解決手段】 上記課題は、鞘ポリマが実質的にポリエ
チレンテレフタレート、芯ポリマがポリプロピレンまた
はポリエチレンである芯鞘複合糸であって、芯ポリマ複
合比が0〜30重量%であり、かつ該芯鞘複合糸の芯ポ
リマ複合比の異なる2種以上の糸条群からなるポリエチ
レンテレフタレート混繊糸により解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエチレンテレフ
タレート混繊糸および製造方法に関するものである。詳
しくは嵩高感、ソフト感にすぐれ、染め斑がないポリエ
チレンテレフタレート混繊糸である。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(以下PE
Tと略す)繊維は機械的特性にすぐれ、単繊維間、繊維
長手方向にわたって均一性が良いことから、一定の品質
を得ることにおいて天然繊維に比べ有利な立場にあっ
た。しかしながら近年衣料の多様化が進み、ファッショ
ン性が要求されるようになり、従来のプレーンなものよ
り、より天然ライクな複雑な変化を有する糸条が好ま
れ、微妙な色調、風合、外観の変化を持ったPET繊維
の開発が要求されている。これらの要請に対し、単繊維
間に繊度差、糸長差をもたせ、嵩高感、ソフト感にすぐ
れたPET混繊糸が従来から検討されてきた。
【0003】従来、このようなPET混繊糸を得るた
め、収縮差、伸度差、弾性率差等物性が相互に異なる2
種類以上のマルチフィラメントをそれぞれ別個に紡糸し
た後、延伸工程、仮撚工程、その他の工程にて適宜開
繊、合糸する方法が一般に行われている。これらの方法
はフィラメント間の糸長差を調整しやすい点ですぐれて
いるが、供給するための原糸をそれぞれ別個に準備する
必要があるため原糸段階でのコストがかかること、およ
び混繊のこなれが悪く風合も十分満足できないといった
問題がある。
【0004】この問題を改善する方法として紡糸混繊法
があり、これも従来より検討されている。紡糸混繊法は
異なる特性を持ったフィラメント群を同時に紡糸、引き
取りして得るものであり、主な手法として(1)化学構
造、粘度等の異なる複数のポリマを同時に紡糸する方
法、(2)フィラメント繊度の異なるフィラメント群を
同時に紡糸する方法、(3)紡出から引き取りまでの間
に工程差のあるフィラメント群を同時に紡糸する方法が
よく知られており、また(4)一部のフィラメント群に
異種ポリマを添加し、配向に差があるフィラメント群を
同時に紡糸する方法も知られている。
【0005】(1)の複数のポリマを同時に紡出する方
法として、例えば高収縮成分としてPETに別の成分を
共重合させたポリエステル、低収縮成分としてPETを
用い、同時に紡糸する方法(特開昭53−134946
号公報)等がある。しかし全く同一条件の紡糸によって
大きな物性差が発現するようなポリマーの組合せは少な
く、また特殊なポリマを用いるとポリエステルのもつ風
合を損ねることにもなりかねないという問題がある。さ
らにポリマにより収縮特性が決定されてしまうため品質
の調整範囲が狭く、品種展開が難しいという問題もあ
る。
【0006】(2)の方法として、例えば孔径の異なる
孔から繊度の異なる繊維を押し出す方法(特開昭52−
63417号公報、特開昭52−63418号公報)が
あるが、太繊度フィラメントの冷却は細繊度フィラメン
トの冷却より遅れるため、太繊度成分は低配向高伸度成
分に、細繊度成分は高配向低伸度成分になる。このよう
なフィラメント群を仮撚加工処理した場合、細繊度成分
に強い張力がはたらくため加工糸の中心部に細繊度成分
が集まり、外層部に太繊度が浮いてくるため、織編物と
した際に固いタッチと弱い腰を有することになる。従っ
て一般にシルクライクあるいはウールライクとして必要
な柔らかなタッチと張りのある腰とは、全く異なる風合
になってしまい好ましくない。
【0007】(3)の方法は、前記した(1)または
(2)の方法と併用されることが多く、例えば一部のフ
ィラメント群の冷却固化後の熱処理温度を変えることで
異収縮率混繊糸を得る方法(特開昭62−191511
号公報)があるが、この方法ではポリマの吐出から引き
取りまでの紡糸線上に各種装置を配置するため製造コス
トがかかること、紡糸線が複雑となること、物性の異な
るフィラメント群を一度収束させその後混繊するため混
繊のこなれが不十分といった欠点がある。
【0008】(4)の方法は、例えばポリエステルにス
チレン系、メタクリレート系およびアクリレート系重合
体を添加し、低配向、高伸度化させたフィラメント群
を、別の吐出孔より紡糸されたポリエステルフィラメン
ト群と合糸する方法(特開昭57−61716号公報、
特開昭57−143522号公報、特開昭58−918
10号公報)がある。
【0009】この方法では低配向、高伸度化させたフィ
ラメント群とポリエステルからなるフィラメント群を同
時に紡糸できるため混繊のこなれが良く交絡などの工程
を簡素化できる、ポリマの吐出から引取りまでの紡糸線
上に特別な装置を必要としないため、製造コストをおさ
えられる等の点ですぐれているが、添加されたポリマに
よる悪影響があった。例えば、添加ポリマが繊維表面に
も存在するため、製品の白濁や染色品の発色性が不良と
なる。特にアウター分野では発色性は重要な要素となる
ため重大な欠点となる。また、ポリスチレンやポリメチ
ルメタクリレート等のポリエステルとは非相溶系ポリマ
を添加する場合には、繊維がフィブリル化しやすい等の
欠点がある。さらに、ポリスチレンのように低軟化点温
度を有するポリマを添加した場合、表層に存在する低軟
化点ポリマのために、高温の熱処理を必要とする仮撚り
加工等の処理を行うと融着が発生し、製品の品位や工程
通過性が著しく悪化したり、布帛にした場合擦過時の摩
擦熱により布帛の損傷が大きくなる欠点を有している。
その上、ポリスチレン等の耐薬品性に劣るポリマを使用
すると、繊維用油剤により添加ポリマが侵され、糸条の
接着が発生するため製品の品位が著しく損なわれるだけ
でなく工程通過性も悪化する場合がある。
【0010】また、ポリエステルに対し異種ポリマを少
量均一にブレンドするのは非常に難しいため、ブレンド
斑が生じ易く糸切れが多発したり、染斑の原因となる等
の問題点がある。特にフィラメント繊度が小さい場合に
は、製糸性の問題から添加量を大きくすることが難しい
ため、細繊度糸の配向を大きく低下させることは非常に
困難である。
【0011】さらに紡糸速度が低い場合は異種ポリマブ
レンド側の繊維構造があまりにも未発達であるため、延
伸仮撚加工時に未解撚や糸切れが多発する問題があり、
加工糸のふくらみ感やソフト感といった品質も満足でき
るレベルではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はこのよ
うな従来技術の欠点に鑑み、嵩高感、ソフト感にすぐ
れ、染め斑がないPET混繊糸を提供することにある。
また、製糸性にすぐれ、加工糸の構造制御が容易でかつ
幅広く、さらに従来の製造方法に比べプロセスの簡単な
PET混繊糸の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、鞘ポリマが実質的にポリエチレンテレフタレート、
芯ポリマがポリプロピレンまたはポリエチレンである芯
鞘複合糸であって、芯ポリマ複合比が0〜30重量%で
あり、かつ該芯鞘複合糸の芯ポリマ複合比の異なる2種
以上の糸条群からなるポリエチレンテレフタレート混繊
糸により達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で最も重要なことは、鞘ポ
リマが実質的にPET、芯ポリマがポリプロピレン(以
下PPと略す)またはポリエチレン(以下PEと略す)
である芯鞘複合糸であって、芯ポリマ複合比が異なる2
種以上の糸条群からなる配向の程度に差がある混繊糸と
することにある。ここで挙げた芯ポリマは複合糸中のP
ETの配向を促進する作用があり、そのため芯ポリマ複
合比を調整することにより複合糸中のPETの配向を制
御することができる。これにより混繊糸中の各単糸の繊
維構造を制御することで嵩高感、ソフト感、染め斑に優
れたPET混繊糸を得ることができる。
【0015】本発明で言うPETとは0〜15mol%
の範囲で別の成分が共重合がなされていてもよいし、艶
消し剤、難燃剤、帯電防止剤、その他添加剤が含まれて
いてもよい。
【0016】またPEは高密度タイプ、低密度タイプど
ちらでも良いが製糸性の面から高密度タイプが好まし
い。PPおよびPEともエチレン、プロピレン、ブテ
ン、ヘキセン等のオレフィン類やアクリル酸またはその
エステル類、酢酸ビニル等オレフィン以外の成分が共重
合されていても良い。また、特殊な性能を付与するため
添加剤等が加えられていても良い。なお、PPとPEを
ブレンドして使用しても差し支えない。
【0017】本発明で言うPET混繊糸とは、鞘ポリマ
がPET、芯ポリマがPPまたはPEからなる複合糸に
おいて、少なくとも1本の単糸の芯ポリマ複合比が他の
単糸と異なればどのようなPET混繊糸でも良い。な
お、単糸間に芯ポリマ複合比の他に繊度差、断面形状
差、収縮率差等があっても良い。また、糸条とは単糸ま
たは単糸群のことを言うものとする。
【0018】芯ポリマ複合比は0〜30重量%の間で選
択すれば、充分嵩高感やソフト感、染め斑に優れた繊維
が得られる。しかも、この範囲であればPET繊維の優
れた機械的特性や耐熱性等が損なわれず好ましい。芯ポ
リマ複合比が15重量%以下であれば、PETの優れた
機械的特性を生かせるのでさらに好ましい。
【0019】また、芯ポリマ複合比の最大のものと最小
のものの差ΔRが2重量%以上であれば、充分な配向度
差が得られ嵩高感、ソフト感、染め斑に優れたPET混
繊糸となり好ましい。複合比差ΔRはより好ましくは5
重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。
【0020】さらに混繊糸中に芯ポリマ複合比が0重量
%、すなわちPET単独糸があれば、PET単独成分の
配向が複合糸の配向に比べ低くなるため、混繊糸の外側
に浮き出てくるので、さらに嵩高感やソフト感に優れ、
しかもPETの優れた機械的特性を生かした耐摩耗性に
優れた繊維が得られる。
【0021】本発明の混繊糸中の芯ポリマ複合比は2種
類以上あれば充分優れた嵩高混繊糸が得られるが、3種
類以上であれば反発感がさらに向上するものである。
【0022】混繊糸中でPETの粘度レベルに違いがあ
ればさらに嵩高感、ソフト感、張り腰が向上し好まし
い。特に複合比が高い成分に高粘度PETを使用すると
さらに好ましい。
【0023】また、混繊糸中の複合糸間に単糸繊度の違
いがあればより嵩高感、ソフト感に優れ、しかも張り腰
も強い混繊糸となり好ましい。特に、細繊度成分が、P
ET単独または芯ポリマ複合比が小の複合糸であれば細
繊度成分の配向が低くなるため混繊糸の外側に浮き、し
かも太繊度成分の配向が進んでいるため混繊糸の内部に
入るので、さらに好ましい。最大単糸繊度と最小単糸繊
度の比率DR=最大単糸繊度/最小単糸繊度は好ましく
は2以上、より好ましくは5以上である。また布帛にし
た段階での最小単糸繊度は好ましくは1.5dtex以
下、より好ましくは0.8dtex以下である。
【0024】本発明の混繊糸は例えば、鞘ポリマが実質
的にPET、芯ポリマがPEまたはPPである芯鞘複合
糸であって、芯ポリマ複合比が0〜30重量%であり、
かつ少なくとも1本の単糸の芯ポリマ複合比が他の単糸
とは異なるPET複合糸からなるPET混繊糸を紡糸速
度2000〜4000m/分で同時に紡糸巻取りするこ
とにより得ることができる。
【0025】好ましくは、紡糸速度は2500〜350
0m/分であり、糸切れ等が減少し製糸安定性が向上す
る。紡糸温度、冷却、給油、巻取り条件等は通常のPE
T繊維の紡糸と同様の条件で紡糸することができる。さ
らにこの紡糸巻取り糸に延伸仮撚加工を施すことによ
り、さらに嵩高感、ソフト感に優れた品位の高い混繊糸
を得ることができる。また、紡糸巻取り糸または布帛に
した段階で熱処理を施すことでもさらに製品の品位を高
めることができる。
【0026】ここで、芯鞘複合糸とすることにより低軟
化点温度ポリマであるPP、PEを繊維表面に露出させ
ないため、異種ポリマブレンド系で問題となる延伸仮撚
加工時の融着による工程通過性の悪化や製品の品位の低
下を防ぐことができる。さらに繊維表面がPETである
ため、耐フィブリル特性、耐熱性に優れ摩擦等による布
帛の損傷を回避することができる。
【0027】また芯鞘複合であるためPP、PEの断面
積当たりの存在量の制御、すなわち配向制御管理が異種
ポリマブレンド系に比べはるかに安定、確実である。
【0028】本発明の混繊糸の製造方法においては、紡
糸線上で繊維構造制御の特別な処理を行う必要がない。
したがって、特別な装置を必要としないため製造コスト
を抑えることができる。ただし、配向の程度差をさらに
高める目的で紡糸線上に各種装置を配置してもかまわな
い。
【0029】そのときそれぞれの芯ポリマ複合比の異な
る糸条群は、別個の口金より吐出してもかまわないが、
混繊のこなれを良くするため1個の口金から吐出するこ
とが好ましい。さらに必要に応じてインターレースなど
の交絡を施すことは混繊のこなれをより高めるうえで好
ましい。このように、糸条が初めて収束される時点で糸
条群の混合ができるため、こなれがよい混繊糸を得るこ
とができる。
【0030】本発明の混繊糸の製造方法では芯ポリマ複
合比のほか紡糸速度を変えることによっても混繊糸の特
性を容易かつ広範囲にわたり制御することが可能であ
る。したがって、本発明の製造方法では少量多品種生産
が可能であり、多様な変化が求められる現代のニーズに
も迅速に対応できる。このことも本発明の大きな利点の
一つである。本発明において芯ポリマ複合比は例えばP
P、PEの吐出量を変更することにより容易に変更でき
る。
【0031】PETとPPまたはPEの複合紡糸により
PETの配向が促進されることは、例えば特開平7−1
97324号公報および繊維学会誌、Vol.51、4
08(1995)に開示されている。これらは熱接着性
の複合繊維をより低速で得ることを目的とし、低融点の
PP、PEが鞘ポリマとして紡糸されている。したがっ
て、本願における延伸仮撚加工に供することは不可能で
ある。
【0032】本発明で得られたPET混繊糸は加工糸と
して、衣料用途に好適に用いることができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
【0034】A.極限粘度[η] オルソクロロフェノール中25℃で測定した。
【0035】B.複合糸の複屈折率 複合糸の複屈折率とはPET部分の複屈折率をいうもの
とし、OLYMPUS社製BH−2偏光顕微鏡を用い以
下のように求めた(図1)。鞘ポリマと芯ポリマの界面
付近のレターデーションΓと鞘ポリマ部分の光路長dよ
り、複合糸のPET部分の複屈折率=Γ/dとした。な
お、dはレターデーション測定位置と繊維表層からの距
離bより計算した。なおPET単独糸の場合は繊維中心
でのΓと繊維径より求めた。
【0036】C.繊維の伸度 JIS L1013にしたがい、オリエンテック社製引
張試験機で試料長50mm、引張速度50mm/分の条
件で荷重−伸長曲線を求めた。荷重−伸長曲線の最大応
力点での伸びを初期試料長で割り伸度とした。
【0037】D.沸騰水収縮率 繊維をかせ取りし、98℃の沸騰水に15分間浸漬した
後、処理前後の寸法変化を測定し次の式から計算した。 沸騰水収縮率=[(処理前長−処理後長)/処理前長]
×100
【0038】E.風合特性(嵩高感、ソフト感、張り
腰、染め斑) 各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試
験を実施し、5段階評価した。それらを総合評価して最
も悪い場合は1級として1〜5段階で表した。なお、基
準試料には通常定番品種として用いられている仮撚加工
糸(167dtex、48フィラメント)を試料と同様
に製編したものを用い、これを2級とした。
【0039】実施例1 極限粘度0.63のPETとPP(三井石化社製“ハイ
ポール”J−108N)をそれぞれ別々に溶融し、絶対
濾過径10μmのステンレス製不織布フィルタにより濾
過した後、PPを芯部、PETを鞘部の同心円状の芯鞘
複合にして、紡糸温度290℃で孔数80の口金から吐
出した。この時口金内の計量部絞り、吐出孔絞りを調整
し、PPの複合比Rが10.0重量%の複合糸が8本、
PPの複合比Rが0重量%すなわちPET単独糸が72
本となるようにした。また、それぞれの糸条の単糸繊度
は10.0重量%のものが10dtex(太繊度)、P
ET単独のものが1.0dtex(細繊度)となるよう
に3000m/分の速度で引き取った。これに、熱板温
度215℃、延伸倍率1.3倍、ツイスター回転数68
00rpm、加工速度700m/分の条件で延伸仮撚加
工を行った。この仮撚加工糸は細繊度成分が太繊度成分
に対し外側から包み込むようにからみつき、糸長差の発
生により細繊度糸が所々浮いた2層構造の繊維であっ
た。これを用い筒編み地を作製し風合特性を評価した
(No.1)。表1に示すように、嵩高感と張り腰、ソ
フト感を併せ持つ良好な風合いのものであり、染め斑も
極めて良好であった。また、紡糸巻取り糸の性質を表2
に示すが、太繊度糸の方がΔnが高く配向が進んでいる
ことがわかる。そのため、延伸仮撚加工において細繊度
糸に張力がかからず、外側にまわったことがわかる。
【0040】比較例1 細繊度側を芯部PP、鞘部PETでありR=10.0重
量%の芯鞘複合とした以外は実施例1と同様な条件で紡
糸巻取り、延伸仮撚を行った。しかしこれは表1に示す
ように、嵩高感、張り腰、ソフト感ともに満足できるレ
ベルではなかった(No.2)。この仮撚加工糸では実
施例1とは異なり、細繊度側が外側に充分回っているわ
けではなかった。これは紡糸巻取り糸において細繊度側
の配向が進んでいるためである(表2)。
【0041】実施例2 太繊度側の繊度を5.0dtex、13.0dtex
(No.3、4)と変化させた以外は実施例1と同様な
条件で紡糸巻取り、延伸仮撚を行った。筒編み地の風合
特性を表1に示す。この時も嵩高感と張り腰、ソフト感
を併せ持った良好な風合であり、染め斑も極めて良好で
あった。
【0042】実施例3 細繊度側の繊度を0.8dtex、0.5dtexとし
た以外は実施例1と同様な条件で紡糸巻取り、延伸仮撚
加工を行った(No.5、6)。筒編み地の風合特性を
表1に示す。この時も嵩高感と張り腰、ソフト感を併せ
持った良好な風合であり、染め斑も極めて良好であっ
た。
【0043】実施例4 紡糸速度を4000m/分とした以外は実施例1と同様
な条件で紡糸巻取りを行った。これに延伸倍率を1.1
倍とした以外は実施例1と同様な条件で延伸仮撚加工を
行った(No.7)。この時も嵩高感と張り腰、ソフト
感を併せ持った良好な風合となり、染め斑も良好であっ
た(表1)。
【0044】実施例5 太繊度側のPPの複合比を5.0、15.0、22.0
重量%とし、太繊度側繊度9dtex、細繊度側1.3
dtex、紡速を2800m/分とした以外は実施例1
と同様な条件で紡糸巻取りを行った(No.8、9、1
0)。これらに実施例1と同様な条件で延伸仮撚加工を
行った。いづれも実施例1と同様に細繊度糸が外側にま
わった2層構造の繊維となった。これらの筒編み地を作
成し、風合特性を評価した。この時も嵩高感と張り腰、
ソフト感を併せ持ったすぐれた風合が得られ、染め斑も
良好であった。
【0045】実施例6 細繊度側を芯ポリマPP、鞘ポリマPETで、芯ポリマ
複合比7.0重量%の芯鞘複合とした以外は実施例1と
同様な条件で紡糸巻取りを行った(No.11)。これ
に実施例1と同様な条件で延伸仮撚加工を行った。これ
も実施例1と同様に細繊度糸が外側にまわった2層構造
の繊維となった。これらの筒編み地を作成し、風合特性
を評価した。この時も嵩高感と張り腰、ソフト感を併せ
持ったすぐれた風合が得られ、染め斑も極めて良好であ
った。
【0046】比較例2 引取り速度を4500m/分とした以外は実施例1と同
様な条件で紡糸巻取りを行った。これの筒編み地を作成
した後、湿熱下で98℃の熱処理を施した(No.1
2)。これは表1に示すように、嵩高感と張り腰、ソフ
ト感を併せ持つ良好な風合いのものであり、染め斑も極
めて良好であった。しかし、紡糸安定性に劣り、断糸が
多発したため製品の収率が低下した。
【0047】実施例7 太繊度側の芯ポリマをPE(三井石化社製“ハイゼック
ス”1300J)とした以外は実施例1と同様な条件で
紡糸巻取り、延伸仮撚加工を行った(No.13。これ
も表1に示すように、嵩高感と張り腰、ソフト感を併せ
持つ良好な風合いのものであり、染め斑も極めて良好で
あった。
【0048】実施例8 太繊度側の鞘PETの固有粘度を0.78とし、太繊度
側複合比を10重量%(4本)、5重量%(4本)とし
た以外は実施例1と同様な条件で紡糸巻取りを行った。
そして、延伸倍率1.2倍とした以外は実施例1と同様
な条件で延伸仮撚加工を行った(NO.14)。これも
表1に示すように、嵩高感と張り腰、ソフト感を併せ持
つ良好な風合いのものであり、染め斑も極めて良好であ
った。紡糸巻取り糸の性質を表2に示すが、太繊度側と
して10重量%複合糸は伸度72%、Δn93×1
-3、沸収7%、5重量%複合糸は伸度100%、Δn
60×10-3、沸収10%、細繊度側としてPET単独
糸は伸度194%、Δn35×10-3、沸収55%であ
った。
【0049】実施例9 太繊度側の芯ポリマ複合比を30重量%、紡速を200
0m/分とした以外は実施例1と同様な条件で紡糸巻取
りを行った。そして、延伸倍率1.2倍とした以外は実
施例1と同様な条件で延伸仮撚加工を行った(No.1
5)。これも表1に示すように、嵩高感と張り腰、ソフ
ト感を併せ持つ良好な風合いのものであり、染め斑も極
めて良好であった。
【0050】比較例3 PPを複合させる代わりにPPを添加した以外は実施例
1と同様な条件で紡糸巻き取り、延伸仮撚加工を行った
(No.16)。しかし、加工工程で融着が多発した。
そのため筒編み地も嵩高感、ソフト感に乏しいものであ
り、染め斑も大きいものであった。
【0051】
【表1】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明のPET混繊糸により嵩高感、ソ
フト感、張り腰、染め斑が良好な布帛を提供することが
できる。さらに、芯鞘複合紡糸とすることにより紡糸巻
取り時の配向の程度が容易に制御できることから、仮撚
加工および延伸仮撚加工または熱処理などの後加工を施
すことで嵩高感、ソフト感、張り腰にすぐれた加工糸を
安定に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 複屈折率の測定方法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D02G 3/04 D02G 3/04 // D01D 5/34 D01D 5/34

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鞘ポリマが実質的にポリエチレンテレフ
    タレート、芯ポリマがポリプロピレンまたはポリエチレ
    ンである芯鞘複合糸であって、芯ポリマ複合比が0〜3
    0重量%であり、かつ該芯鞘複合糸の芯ポリマ複合比の
    異なる2種以上の糸条群からなるポリエチレンテレフタ
    レート混繊糸。
  2. 【請求項2】 単糸繊度の異なる2種以上の糸条群から
    なる請求項1記載のポリエチレンテレフタレート混繊
    糸。
  3. 【請求項3】 最小単糸繊度の芯ポリマ複合比R1が、
    最大単糸繊度の芯ポリマ複合比R2よりも小さい請求項
    1または2記載のポリエチレンテレフタレート混繊糸。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のうちいずれか1項記載の
    ポリエチレンテレフタレート混繊糸を用いた延伸仮撚加
    工糸。
  5. 【請求項5】 鞘ポリマが実質的にポリエチレンテレフ
    タレート、芯ポリマがポリプロピレンまたはポリエチレ
    ンである芯鞘複合糸であって、芯ポリマ複合比が0〜3
    0重量%で、かつ該芯鞘複合糸の芯ポリマ複合比が異な
    る2種以上の糸条群を紡糸速度2000〜4000m/
    分で同時に紡糸するポリエチレンテレフタレート混繊糸
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114846073A (zh) * 2019-12-03 2022-08-02 菲伯维森斯有限公司 纤维、用该纤维形成的复合材料以及用于形成该复合材料的方法

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