JPH10168511A - 溶鋼の昇熱精錬方法 - Google Patents

溶鋼の昇熱精錬方法

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JPH10168511A
JPH10168511A JP33050796A JP33050796A JPH10168511A JP H10168511 A JPH10168511 A JP H10168511A JP 33050796 A JP33050796 A JP 33050796A JP 33050796 A JP33050796 A JP 33050796A JP H10168511 A JPH10168511 A JP H10168511A
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oxidizing gas
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ユカリ 田子
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Al23系酸化物の少ない溶鋼の昇熱精錬方法
を提供する。 【解決手段】Al含有溶鋼を不活性ガスで撹拌又は環流
しながら、上吹きランスを用いて、溶鋼面に酸化性ガス
を吹付けると同時に、溶鋼中へ酸化性ガスまたは不活性
ガスをキャリアガスとしてCaO系粉体を吹込んで昇熱
精錬し、引き続き撹拌又は環流処理を施す溶鋼の昇熱精
錬方法であって、粉体の吹込みを下記〜を満たす条
件で行う。 粒径:200μm以下。 ランスの先端と溶鋼面との距離:1〜3m。 粉体中のCaO純分供給速度Yと酸化性ガス中の酸素
純分供給速度Xとの比Y/X:0.2〜5。但し、Y、
Xの単位はkg/(t・min)。 【効果】短時間で高清浄鋼が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、清浄性に優れた鋼
を得るのに好適な溶鋼の昇熱精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】極低炭素鋼、低水素鋼、合金鋼等を製造
する場合には、精錬後、溶鋼を取鍋に移し、必要に応じ
てRH真空脱ガス装置(以下、単にRHという)などを
用いて脱炭、脱水素および合金添加などを行う真空処理
が採用されている。
【0003】これらの処理は熱ロスをともない、溶鋼温
度が低下するので、連続鋳造等の鋳造前に昇熱し熱補償
する必要がある。
【0004】量産鋼の昇熱方法としては、バブリング処
理またはRHを用いる環流処理などの溶鋼撹拌時に、溶
鋼中に金属Al(以下、単にAlという)を添加した
後、酸素ガス等の酸化性ガスを溶鋼に吹き付けまたは吹
き込み、Alの酸化反応熱を利用するAl昇熱法が一般
的である。
【0005】しかしながら、このようなAl昇熱法で
は、酸素供給時に多量の微細なAl23系酸化物が生成
し、このAl23が溶鋼中に分散して存在することにな
るた め、鋼の清浄性の悪化およびこれに起因する鋼材
製品の疵発生率の増加が起こり問題となる。
【0006】上記のAl23系酸化物を低減する手段と
して、昇熱処理の後、引き続き、バブリング処理または
RH環流処理を行い、Al23系酸化物を強制的に凝集
させ、その浮上分離を促進する方法がある。しかし、フ
ラックスを加えずに、Al23系酸化物だけをお互いに
凝集させて溶鋼から浮上分離させるためには多大な 処
理時間を要し、これに起因する耐火物の短命化と処理能
率の低下を引き起こすため、この方法は抜本的な解決策
とはならない。
【0007】Al23系酸化物は、精練過程における溶
鋼昇熱処理のほか、Al添加による脱酸処理、およびス
ラグ中に存在するFeOやMnOなどの低級酸化物と溶
鋼中のAlとの反応で生成するものであり、上記以外に
も、従来からこれを溶鋼から分離するための様々な方法
が検討されてきた。
【0008】例えば、特開平3−158412号公報で
は、溶鋼の脱酸処理に関して、スラグ中の低級酸化物と
溶鋼中のAlとの反応で生成したAl23系酸化物の溶
鋼からの分離除去を促進する方法として、スラグを改質
し、スラグのAl23吸収能を向上させる方法が提案さ
れている。この方法では具体的には、真空脱炭処理後の
Al添加による脱酸処理の初期段階で取鍋内の溶鋼表面
のスラグ中へ、溶鋼中に発生する予測Al23量に対
し、(CaO)/(Al23)がモル比率で0.5〜
2.0の範囲になるようにCaO添加する。
【0009】しかし、本発明者らが特開平3−1584
12号公報の方法を試験検討した結果、鋼の清浄性の向
上は小さかった。
【0010】その理由として、Al23とCaOの接触
頻度の問題がある。脱酸剤として添加したAlは溶鋼中
の酸素と反応してAl23を形成し、取鍋内の溶鋼中全
体に分散する。一方、CaOは取鍋内の溶鋼上に浮上し
ているスラグに添加するだけであり、溶鋼中には分散し
ない。したがって、溶鋼中に分散したAl23とCaO
が接触するのはスラグ−溶鋼界面だけに限られ、この界
面に到達しない溶鋼中に分散したAl23はスラグには
吸収されず、その結果溶鋼の清浄性は向上しにくい。
【0011】また、特開平6−2028号公報では、溶
鋼の脱酸時に生成する脱酸生成物を迅速に除去する方法
として、Alなどの脱酸剤と脱酸生成物を吸着するため
のCaOなどの粉体とを、循環する溶鋼の下降流部分に
同時に、かつ同一場所に添加する方法が提案されてい
る。
【0012】しかし、本発明者らがこの方法をRHを用
いて試験検討した結果、溶鋼の清浄性はAl単独添加の
脱酸処理時と比較して大差なく、酸化物組成も一部にC
aO−Al23系のものがみられるものの、大半はAl
23系酸化物のままであり、変化していないことが判明
した。
【0013】この理由として、AlとCaO粉体とでは
溶鋼内への侵入速度に差があることが考えられる。つま
り、添加されたAlは速やかに溶鋼内へ侵入し、溶鋼中
の酸素と反応しAl23を生成するのに対し、CaO粉
体のほとんどは、まずは溶鋼表面に浮き、徐々に溶鋼流
に巻き込まれながら溶鋼中へ懸濁していく。このため、
溶鋼中のCaOとAl23との接触頻度は低く、CaO
のほとんどはAl23と反応することなく溶鋼内を浮上
し、スラグへ吸収されるのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、CaO
粉体の添加により溶鋼中のAl23系酸化物の分離を促
進するという従来技術の問題点は、生成したAl23
酸化物とその分離除去促進のために添加されるCaO粉
体との接触頻度が極めて低いところにある。
【0015】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものである。本発明の目的は、溶鋼昇熱時に生成する
Al23系酸化物とCaOとを効率良く合体させ、Al
23系酸化物の浮上分離の促進を図ることができる溶鋼
の昇熱精錬方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の溶鋼
の昇熱精練法にある。
【0017】Alを含有する溶鋼を不活性ガスで撹拌ま
たは環流しながら、上吹きランスを用いて、同一ノズル
から酸化性ガスをキャリアガスとしてCaOを主体とす
る粉体を吹き込むか、または異なったノズルから酸化性
ガスおよびキャリアガスとともにCaOを主体とする粉
体とを吹き込んで前記溶鋼を昇熱精錬処理し、引き続
き、不活性ガスで撹拌または環流処理を施す溶鋼の昇熱
精錬方法であって、前記粉体の吹き込みを下記〜を
満たす条件で行うことを特徴とする溶鋼の昇熱精錬方
法。
【0018】粉体の粒径:200μm以下 ランスの先端と溶鋼面との距離:1〜3m 粉体中のCaO純分供給速度Ykg/(溶鋼t・mi
n)と酸化性ガス中の酸素供給速度Xkg/(溶鋼t・
min)との比Y/X:0.2〜5 ここで、溶鋼tとは溶鋼の量(トン)を意味し、以下、
単にtと表示する。
【0019】上記の「酸化性ガス」は、酸素ガス、Ar
と酸素の混合ガスなどである。
【0020】上記の「CaOを主体とする粉体(以下、
CaO系粉体という)」は、CaOの含有量が50wt
%以上のものである。CaOの他に許容される含有物は
30wt%以下のCaF2、30wt%以下のAl
23、30wt%以下のMgO、30wt%以下のBa
Oなどの酸化物である。これらの酸化物の合計含有量が
50wt%未満であれば、適宜選択して複合含有させて
もよい。
【0021】上記方法は、大気下、雰囲気置換を行った
大気圧下、減圧下および真空下のいずれの条件において
も用いることができる。
【0022】CaO系粉体は、適切な条件で溶鋼中へ吹
き込むことができれば、溶鋼中のAl23系酸化物と合
体し、低融点のCaO−Al23系酸化物を形成する。
この結果、Al23系酸化物の浮上分離の促進を図るこ
とができる。よって、CaO系粉体の供給条件として
は、CaOとAl23とをより効率よく合体させ得るも
のでなければならない。
【0023】本発明者らは、Al昇熱時に生成するAl
23系酸化物をCaOへ効率よく吸着させるため、次の
方法を試みた。すなわち、真空槽内に酸化性ガスおよび
粉体上吹き用のランスを備えたRHにおいて、溶鋼にA
lを添加した後、酸化性ガスを上吹きすると同時に、酸
化性ガスをキャリアガスとしてCaO系粉体を溶鋼中へ
高速で吹き込む試験を実施した。この結果、後述する実
施例に示すように溶鋼の清浄性が著しく向上することが
判明した。
【0024】さらに、Al23系酸化物とCaOとの合
体頻度を高めるための粉体上吹き最適条件を選択するた
め、CaO系粉体の粒径および供給速度ならびにランス
の先端と溶鋼面との距離(以下、ランス高さという)な
どについて試験検討を行い、上記発明を完成させた。
【0025】
【発明の実施の形態】図1〜図3により、本発明方法を
実施するための装置の構成例および実施方法を説明す
る。
【0026】図1は、雰囲気を置換した大気圧下で、ガ
ス撹拌下の溶鋼を昇熱精錬する場合の装置例を示す概略
縦断面図である。この装置は、取鍋1、取鍋内の雰囲気
を置換するためのシール用蓋3、この蓋を貫通させて取
りつけた上吹きランス4および同じく撹拌ガス吹き込み
用のインジェクションランス5を備えている。実施にあ
たっては、取鍋内の溶鋼2−1に予めAlを添加し、シ
ール用蓋を用いて取鍋内のAlを含有する溶鋼をカバー
し、取鍋内の雰囲気を不活性ガスで事前に置換する。次
いで、この蓋の上部からインジェクションランスを溶鋼
内に浸漬させ、Arガス6を吹き込んでAlを含有する
溶鋼を撹拌しながら、上吹きランスから酸化性ガス7を
キャリアガスとして溶鋼中へCaO系粉体8を吹き込ん
で昇熱精錬処理を行う。この終了後に、インジェクショ
ンランスからArガスのみを吹き込んで撹拌処理を行
う。
【0027】図2は、減圧下または真空下で、底吹きガ
スによる撹拌下の溶鋼を昇熱精錬する場合の装置例を示
す概略縦断面図である。この装置は、取鍋1、取鍋を収
納する真空容器9−1およびその蓋9−2、この蓋を貫
通して取りつけた上吹きランス4ならびに取鍋の底部に
ポーラス羽口10を備えている。実施にあたっては、取
鍋内の溶鋼2−1に予めAlを添加し、取鍋と溶鋼とを
真空容器内に収納して減圧または真空状態とする。次
に、ポーラス羽口からArガス6を吹き込んでAlを含
有する溶鋼を撹拌しながら、上吹きランスから酸化性ガ
ス7をキャリアガスとしてCaO系粉体8を吹き込んで
昇熱精錬処理を行う。この終了後に、ポーラス羽口およ
びArガスのみを吹き込んで撹拌処理を行う。
【0028】図3は、真空槽内に昇降可能な上吹きラン
スを設置したRHにより、環流下の溶鋼を昇熱精錬する
場合の装置例を示す概略縦断面図である。図3におい
て、符号4は上吹きランス、6はArガス、11は真空
槽、12は上昇管、13は下降管および14は還流用の
Arガスの吹き込み管である。実施にあたっては、取鍋
1内に転炉などで溶製した溶鋼2−1を収容し、上昇管
および下降管を溶鋼内に浸漬し、真空槽内を減圧して還
流用のArガスを吹き込みながら脱炭、脱ガスなどの処
理を行う。次に真空槽の上部に設けたバンカー(図示せ
ず)から真空槽内の溶鋼2−2に所定量のAlを添加し
た後、上吹きランス4から酸化性ガス7をキャリアガス
としてCaO系粉体8を吹き込んで昇熱精錬処理を行
う。この終了後に、吹き込み管からArガスのみ吹き込
んで環流処理を行う。ただし、いずれの場合も、上吹き
ランスを多孔ノズル型とし、一部のノズルから酸化性ガ
スを、他のノズルから酸化性ガスあるいは不活性ガスを
キャリアガスとしたCaO系粉体を吹き込むことも可能
である。
【0029】さらに、酸化性ガスの吹き込みと、酸化性
ガスあるいは不活性ガスをキャリアガスとしたCaO系
粉体の吹き込みを、別々のランスから行うことも可能で
ある。その際には、CaO系粉体の加熱を促進させる観
点から、酸化性ガスの火点形成位置とCaO系粉体の吹
き込み位置を一致させるのが望ましい。
【0030】昇熱精錬処理を開始する前の取鍋内のスラ
グ量はできるだけ少なくするとともに、昇熱用に添加す
るAlとの反応を回避する観点から、事前にスラグ改質
材を添加してスラグ中の低級酸化物(FeO+MnO)
の濃度も低下させるのが望ましい。
【0031】添加するAl量と吹き込み酸素量は、目標
とする温度の上昇度によって決まるが、精錬処理を開始
する前の溶鋼中のAl含有量と供給する酸化性ガス中の
純酸素供給量Z(kg/t)の関係は、その調整の範囲
を溶鋼中Al含有量で(0.01+0.11・Z)〜
(0.10 +0.11・Z)wt%に調整するのが望
ましい。
【0032】酸化性ガス7は、酸素ガス、Arと酸素の
混合ガスなどである。
【0033】吹き込む粉体をCaO系粉体に限定するの
は、前述のとおり、CaOが酸化性ガスの供給に伴って
生成するAl23と反応して低融点のCaO−Al23
系酸化物を生成し、この結果、酸化物の浮上分離の促進
を図ることができるからである。
【0034】本発明方法では、CaO系粉体の吹き込み
は、前述の〜の条件を満たすようにして行う。
【0035】CaO系粉体の粒径:200μm以下 ランス高さ:1〜3m CaO系粉体中のCaO純分供給速度Ykg/(t・
min)と酸化性ガス中の酸素供給速度X kg/(t
・min)との比Y/X:0.2〜5 図4により、上記の粒径条件の限定理由を説明する。
図4は、CaO系粉体の着地効率(ランスより上吹きし
た粉体全量の内、溶鋼に到達したものの割合)に及ぼす
粉体粒径の影響を示す図である。図示するとおり、粒径
が10μm未満の場合は着地効率が低く、粉体の多くは
雰囲気中へ飛散し、安定して溶鋼へ供給するのが困難で
ある。一方、粒径が200μmを超えると着地効率が飽
和する上、溶鋼中に分散するAl23の粒径から見てC
aO系粉体の粒径が大きくなりすぎ、目的とする低融点
のCaO−Al23系酸化物の形成が起こりにくくな
る。以上の点から言えば、CaO系粉体の望ましい粒径
範囲は10〜200μmとなるが、実際にCaO系粉体
を下限粒径の10μmで篩い分けるのは多大なコスト増
加を伴い実用的でない。したがって、CaO系粉体の粒
径は200μmに限定する。
【0036】図5により、前記のランス高さの限定理
由を説明する。図5は、200μm以下の粒径のCaO
系粉体の着地効率に及ぼすランス高さの影響を示す図で
ある。図示するとおり、ランス高さが3mを超えると、
雰囲気中への飛散などにより粉体の安定供給は困難とな
る。一方、1m以上とする理由は、溶鋼スプラッシュに
よるランス溶損を防止するというコストおよび安全面か
らの配慮である。
【0037】図6により、前記の比Y/Xの限定理由
を説明する。図6は、昇熱精錬処理終了直後における溶
鋼中よりサンプリングした鋼中の5μm以上の介在物個
数に及ぼす前記比Y/Xの影響を示す図である。この介
在物個数は、ミクロ検鏡法によりカウントしたものであ
る。
【0038】図示するとおり、Y/Xが0.2未満で
は、溶鋼への酸素ガス供給により生成するAl23量に
対してこれと反応するCaO量が不足し、Al23のほ
とんどは溶鋼中に懸濁してしまい、十分な溶鋼の清浄効
果が得られない。一方、Y/Xが5を超えると、CaO
系粉体の吹き込みによる清浄効果は完全に飽和し、さら
には、CaO増加による熱ロスが大きくなり、本来の目
的である昇熱の効果が発揮できず得策でない。
【0039】以上のような条件に基づく本発明方法によ
り吹き込んだCaO系粉体は、溶鋼中へ侵入して効率よ
く溶鋼中のAl23系酸化物と合体し、低融点のCaO
−Al23系酸化物を形成する。この結果、Al23
酸化物の浮上分離の促進を図ることができる。
【0040】本発明方法は、大気下、雰囲気置換を行っ
た大気圧下、減圧下および真空下のいずれの条件におい
ても用いることができる。本発明方法の対象となる鋼種
は特に限定されない。
【0041】
【実施例】
(実施例1)RHによる脱炭操作で温度低下した溶鋼を
昇熱する場合の実施例である。
【0042】自動車用外装材向けの極低炭素鋼を転炉で
溶製し、温度1670℃、溶鋼中C0.03wt%で未
脱酸のまま取鍋へ出鋼した。この際、スラグストッパー
を用いて流出スラグ量を溶鋼1t当たり約10kgに抑
制し、かつ、出鋼流にスラグ改質材(Al38wt%+
CaCO362wt%)を2kg/t添加してスラグ中
の低級酸化物(FeO+MnO)の濃度を約6wt%と
した。
【0043】次いで、図3に示す構成のRHを用い、真
空槽内圧力0.8Torrで環流処理を施し、溶鋼中C
を0.0025wt%まで脱炭した後、Alの添加によ
る脱酸処理を行い、溶鋼中のAlを0.03wt%とし
た。この時、溶鋼温度は1590℃まで降下した。
【0044】引き続き環流処理を行いながら、真空槽内
の圧力を80Torrとした状態で、昇熱精錬処理のた
め金属Alを0.6kg/t真空槽内の溶鋼へ添加し、
溶鋼中のAlを0.09wt%とした後、上吹きランス
と溶鋼表面間の距離を1.5mとして、上吹きランスか
ら 酸化性ガス(酸素80vol%−Ar20vol
%)を酸素純分で0.25kg/(t・min)の速度
で2分間真空層内の溶鋼表面に吹き付けた。その際同時
に、同一孔よりこの酸化性ガスをキャリアガスとして、
CaO95wt%−CaF25wt%の組成のCaO系
粉体(粒径:200μm以下)を、CaO純分供給速度
Yと酸素純分供給速度Xとの比Y/Xが2となるよう
に、CaO純分で0.5kg/(t・min)の速度で
真空槽内の溶鋼中へ吹き込んだ。
【0045】昇熱処理終了時の溶鋼温度は1600℃で
あった。
【0046】さらに、この昇熱精錬処理が終了した後、
上昇管の底部よりArガスを10Nl/(t・min)
の速度で5分間吹き込み、環流処理してAl23系酸化
物の浮上を図った。
【0047】(比較例1)昇熱精錬処理時にCaO系粉
体の吹き込みを行わなかった以外は、実施例1と全て同
じ条件とした。
【0048】実施例1および比較例1のいずれにおいて
も、昇熱精錬処理終了後の環流処理の間、溶鋼からサン
プリルを採取し、鋼中の5μm以上の介在物個数の経時
変化をミクロ検鏡法により調査した。
【0049】さらに、得られた溶鋼を同一条件の連続鋳
造に供し、得られた鋳片の定常部分からサンプルを採取
し、サンプル中の5μm以上の介在物個数をミクロ検鏡
法により調査した。評価は、昇熱精錬処理時にCaO系
粉体を吹き込まない比較例1の場合の上記介在物個数を
1とする介在物指数で行った。
【0050】図7は溶鋼からサンプリングした鋼中の5
μm以上の介在物個数の経時変化を示す図である。図示
するように実施例1では、介在物個数は、昇熱精錬処理
の終了時点で既に比較例1の還流処理終了時点と略々同
等値になるまで低下した。さらに、約5分間の環流処理
で介在物個数は約20個/10cm2にまで低下した。
これは、比較例1で約5分間の環流処理後の介在物物個
数の1/2以下の値である。
【0051】図8は鋳片サンプル中の介在物指数を示す
図である。図示するように、実施例1では約0.5であ
り、鋳片の清浄性も良好であった。
【0052】(実施例2)RH内での合金添加操作で温
度低下した溶鋼を昇熱する場合の実施例である。
【0053】自動車用ディスク材向けの中炭素鋼を転炉
で溶製し、温度1650℃、溶鋼中Cを0.1wt%で
取鍋に出鋼した。この際、Al添加による脱酸処理を施
し、溶鋼中Al濃度を0.03%とした。また、スラグ
ストッパーを用いて流出スラグ量を溶鋼1t当たり約1
0kgに抑制し、かつ、出鋼流にスラグ改質材(Al3
8wt%+CaCO362wt%)を2.5kg/t添
加してスラグ中の低級酸化物(FeO+MnO)の濃度
を約3wt%とした。
【0054】次いで、図3に示す構成のRHを用い、真
空槽内圧力80Torrで環流処理を施し、Mn添加に
よる成分調整を行った。この時、溶鋼温度は1570℃
まで降下した。
【0055】引き続き、溶鋼環流を継続した状態で、昇
熱精錬処理のためAlを1.0kg/t真空槽内の溶鋼
へ添加し、溶鋼中Alを0.13wt%とした後、上吹
きランス先端と溶鋼表面間距離を1.5mとして、上吹
きランスから酸化性ガス(酸素80vol%−Ar20
vol%)を酸素純分で0.25kg/(t・min)
の速度で4分間真空槽内の溶鋼表面に吹き付けた。その
際同時に、同一孔よりこの酸化性ガスをキャリアガスと
して、CaO95wt%−CaF25wt%の組成のC
aO系粉体(粒径:200μm以下)を、CaO純分供
給速度Yと酸素純分供給速度Xとの比Y/Xが2となる
ように、CaO純分で0.5kg/(t・min)の速
度で真空槽内の溶鋼中へ吹き込んだ。
【0056】昇熱処理終了時の溶鋼温度は1590℃で
あった。
【0057】さらに、この昇熱精錬処理が終了した後、
上昇管の底部よりArガスを10Nl/(t・min)
の速度で5分間吹き込み、環流処理して介在物物の浮上
を図った。
【0058】(比較例2)昇熱精錬処理時にCaO系粉
体の吹き込みを行わなかった以外は、実施例2と全て同
じ条件とした。
【0059】実施例2および比較例2のいずれにおいて
も、昇熱精錬処理終了後の環流処理の間、溶鋼からサン
プルを採取し、鋼中の5μm 以上の介在物個数の経時変
化をミクロ検鏡法により調査した。
【0060】さらに、得られた溶鋼を同一条件の連続鋳
造に供し、得られた鋳片の定常分子からサンプルを採取
し、サンプル中の5μm 以上の介在物個数をミクロ検鏡
法により調査した。評価は、昇熱精錬処理時にCaO粉
体を吹き込まない比較例2の場合の上記介在物個数を1
とする介在物指数で行った。
【0061】図9は溶鋼からサンプリングした鋼中の5
μm以上の介在物個数の経時変化を示す図である。図示
するように実施例2では、介在物個数は、昇熱精錬処理
の終了時点で既に比較例2の還流処理終了時点と略々同
等に近い値まで低下した。さらに、約5分間の環流処理
で介在物個数は約20個/10cm2にまで低下した。
これは、比較例2で約5分間の環流処理後の1/2以下
の値である。
【0062】図10は鋳片サンプル中の介在物指数を示
す図である。図示するように、実施例2では約0.4で
あり、鋳片の清浄性も良好であった。
【0063】
【発明の効果】本発明方法によれば、溶鋼のAl昇熱時
に生成するAl23系酸化物の浮上分離が促進される結
果、次の1〜3の効果が得られる。
【0064】1.従来法では得られなかった高清浄鋼が
得られる(鋳片中の5μm以上の介在物個数が1/2
以下へ低下)。
【0065】2.従来法と同等の清浄度の鋼を製造する
場合には、Al23系酸化物の浮上分離のための撹拌ま
たは環流処理時間の大幅短縮が可能である。
【0066】3.上記2.により耐火物の溶損が抑制さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】雰囲気を置換した大気圧下で、ガス撹拌下の溶
鋼を昇熱精錬する本発明方法の実施に用いる装置例を示
す概略縦断面図である。
【図2】減圧下または真空下で、底吹きガスによる撹拌
下の溶鋼を昇熱精錬する本発明方法の実施に用いる装置
例を示す概略縦断面図である。
【図3】昇降可能な上吹きランスを設置したRHによ
り、環流下の溶鋼を昇熱精錬する本発明方法の実施に用
いる装置例を示す概略縦断面図である。
【図4】CaO系粉体の着地効率に及ぼす粉体粒径の影
響を示す図である。
【図5】CaO系粉体の着地効率に及ぼすランス高さの
影響を示す図である。
【図6】昇熱精錬処理終了直後における溶鋼よりサンプ
リングした鋼中の5μm以上の介在物個数に及ぼすY/
Xの影響を示す図である。
【図7】溶鋼よりサンプリングした鋼中の5μm以上の
介在物個数の経時変化を示す図である。
【図8】鋳片サンプル中の介在物指数を示す図である。
【図9】溶鋼よりサンプリングした鋼中の5μm以上の
介在物個数の経時変化を示す図である。
【図10】鋳片サンプル中の介在物指数を示す図であ
る。
【符号の簡単な説明】
1:取鍋、 2−1,2−2:溶鋼、 3:シール用蓋、 4:上吹きランス、 5:インジェクションランス、 6:Arガス、 7:酸化性ガス、 8:CaO系粉体、 9−1:真空容器、 9−2:真空容器の蓋、10:ポーラス羽口、 11:真空槽、 12:上昇管、 13:下降管、 14:還流用Arガスの吹き込み管

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Alを含有する溶鋼を不活性ガスで撹拌し
    ながらまたは環流させながら、上吹きランスを用いて、
    同一ノズルから酸化性ガスをキャリアガスとしてCaO
    を主体とする粉体を吹き込むか、または異なったノズル
    から酸化性ガスおよびキャリアガスとともにCaOを主
    体とする粉体とを吹き込んで前記溶鋼を昇熱精錬処理
    し、引き続き、不活性ガスで撹拌または環流処理を施す
    溶鋼の昇熱精錬方法であって、粒径が200μm以下の
    前記粉体を用い、前記ランスの先端と溶鋼面との距離を
    1〜3mとし、前記粉体中のCaO純分供給速度Ykg
    /(溶鋼t・min)と酸化性ガス中の酸素純分供給速
    度Xkg/(溶鋼t・min)との比Y/Xが0.2〜
    5となるように前記粉体を吹き込むことを特徴とする溶
    鋼の昇熱精錬方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006328546A (ja) * 2006-08-09 2006-12-07 Sumitomo Metal Ind Ltd 清浄鋼の製造方法
JP2008169407A (ja) * 2007-01-09 2008-07-24 Jfe Steel Kk 溶鋼の脱硫方法
JP2018104805A (ja) * 2016-12-28 2018-07-05 新日鐵住金株式会社 溶鋼の昇温方法
CN112159883A (zh) * 2020-09-25 2021-01-01 三明学院 一种lf精炼装置

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