JP3666306B2 - 溶鉄への粉体の供給方法および溶鋼の製造方法 - Google Patents

溶鉄への粉体の供給方法および溶鋼の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶鉄への粉体の供給方法および溶鋼の製造方法に関し、特に粉体の脱硫剤(以下、脱硫粉体ともいう)の供給方法および溶鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉から出銑された溶銑をトピードカーあるいは溶銑鍋に収容し、浸漬ランスから不活性ガスをキャリアーガスとして、例えば、粉体の脱硫粉体を溶銑中に吹き込んで脱硫処理を行っている。溶銑中に吹き込む脱硫粉体は、溶銑よりも比重が小さく、粉体粒子の上昇過程で脱硫反応が進行する。
【0003】
溶銑は、転炉で脱炭吹錬が実施され、吹錬後取鍋に出鋼される。取鍋に収容された溶鋼は、Alを添加して脱酸処理が行われ、浸漬ランスからキャリアーガスの不活性ガスとともに脱硫粉体を溶鋼中に吹き込んで脱硫処理を行っている。
【0004】
以下、溶銑と溶鋼とをあわせて溶鉄ともいう。
溶鉄中への粉体の供給方法としては、浸漬ランスを使用する代わりに精錬容器の底部あるいは側壁に設けた羽口から粉体をインジェクションする方法がある。例えば、RH真空槽内壁に設けた羽口からキャリアーガスの不活性ガスとともに脱硫用粉体を吹き込む方法がある。
【0005】
さらに、羽口を溶鉄中に浸漬しないで、溶鉄上部から溶鉄表面に吹き付ける方法として、VOD−PBまたはRH−PBプロセス等があり、これらは、真空下、上吹きランスからキャリアーガスの不活性ガスとともに脱硫用粉体を溶鋼表面に吹き付ける方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の不活性ガスをキャリアーガスとして脱硫用粉体を溶鉄中に吹き込む、あるいは、溶鉄表面に吹き付ける方法(以下、これらの方法を粉体供給方法ともいう)は、いずれも、不活性ガスとしてArまたはN2 等を使用している。
【0007】
不活性ガスは、ガス気泡が大きいため、崩壊しにくく、かつ上昇速度が大きいという特徴がある。そのため、不活性ガスとともに吹き込まれる粉体は、ガス気泡の外部に侵入しにくく、インジェクション時にガス気泡の内部にトラップされたままで、溶鉄との接触が不十分な状態で短時間に浮上し、溶鉄との反応性が低いという問題があった。
【0008】
溶鉄上部から溶鉄表面に粉体を吹き付ける場合も、不活性ガスをキャリアーガスとして使用すると、吹き付けた粉体が溶鉄表面内部に進入しにくくなり、溶鋼表面を滑ってそのまま取鍋上部のスラグにトラップされ易く、脱硫用粉体の使用量が多くなるという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、溶鉄との反応性を良好にする粉体の供給方法、特に脱硫粉体供給方法と、溶鋼の製造方法とを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、下記の知見を得た。
(A)溶鉄中でArガスまたは炭化水素ガスをキャリアーガスとして使用した粉体吹き込み試験を行い、気泡径をX線透過法で調べ比較した。
【0011】
その結果、Arガスをキャリアーガスとして使用すると、Arガスの気泡径は非常に大きく、炭化水素ガスをキャリアーガスとして使用すると、気泡径が著しく小さくなることが判明した。
【0012】
また、Arガスをキャリアーガスとして使用すると、吹き込み粉体がArガスの気泡内にトラップされ易く、炭化水素ガスをキャリアーガスとして使用すると、吹き込み粉体が気泡外の溶鉄中に進入し易いことも判明した。
【0013】
吹き込み粉体が気泡外の溶鉄中に進入し易い理由は、炭化水素ガスの場合、最初に炭化水素ガスの気泡が生成し、その直後に炭化水素ガスの気泡が熱分解反応により水素ガス(以下、H2 ガスともいう)の気泡に変化する際に、気泡−溶鉄界面が乱れて気泡内に粉体を留めることができなくなるからであると推定できる。
【0014】
以上の推定は、溶鉄内に粉体を吹き込んだ場合であるが、溶鉄表面上から粉体を吹き付けた場合でも、粉体の運動量でキャリアーガスが溶鉄中に巻き込まれ、溶鉄中に気泡が形成される。この気泡は、炭化水素ガスであると熱分解反応によりH2 ガスに変化する際に、気泡−溶鉄界面が乱れて気泡内に粉体を留めることができなくなるからであると同様に推定できる。
【0015】
(B)脱硫反応は、脱硫粉体としてCaOを使用した場合、下記式に示す反応で進行する。
CaO+S=CaS+O
上記式の右辺の酸素濃度が低い状態で、脱硫反応が促進される。
【0016】
炭化水素ガスは、熱分解反応によりH2 ガスを生成する。例えば、炭化水素ガス:メタン(CH4 )を攪拌ガスとして使用すると、下記反応式に示すように、Cと2分子のH2 を生成する。
【0017】
CH4 =C+2H2
熱分解反応で生成したH2 ガスは、強い還元性を有するガスであり、H2 ガス近傍の溶鉄中の酸素濃度を低下させる作用がある。
【0018】
したがって、熱分解反応により生成したH2 ガスと脱硫粉体であるCaOが共存する領域では、脱硫反応が進行し易い。この結果、キャリアガスとして炭化水素ガスを使用すると、不活性ガスをキャリアガスとした場合よりも脱硫速度を高めることができる。
【0019】
また、炭化水素ガスから熱分解反応で生成したH2 ガスの脱酸効果により、溶鉄の低酸素化、すなわち、溶鉄の清浄化が可能となり、鋼材の高清浄度化が可能となる。
【0020】
さらに、溶鉄中の酸素および硫黄は、脱窒反応を阻害する表面活性元素であり、上記酸素および硫黄の低減効果により脱窒速度が増大し、溶鋼の低窒素化も可能となる。溶鉄の低窒素化は、特に、真空雰囲気化で著しい効果が得られる。
【0021】
(C)しかし、粉体を炭化水素ガスをキャリアーガスとして吹き込みを行った場合、炭化水素ガスの熱分解時の吸熱反応で冷却され、炭化水素ガスの吹き込み用羽口近傍で溶鉄が凝固し吹き込み羽口が閉塞しやすくなるという問題が発生する。
【0022】
炭化水素ガスの熱分解時の吸熱反応は一般に知られている。炭化水素ガスの熱分解が起こってもその吸熱分は、粉体冷却に使用され、通常の使用では羽口閉塞には至らないが、羽口を長時間使用する場合や、固気比が著しく低下した場合には、閉塞問題が生じる場合がある。
【0023】
(D)粉体吹き込み用羽口の金属製パイプは、溶鉄に接した耐火物内を貫通しており、常温の攪拌ガスをパイプに供給しても、攪拌ガスは、パイプ内を通過する間に、溶鉄の熱で加熱され温度が上昇しやすくなる。
【0024】
従って、攪拌ガスとして炭化水素ガスを使用すると、前記パイプ内で熱分解し吸熱反応ため攪拌ガス吹き込み用羽口が冷却され閉塞し易くなる。この溶鉄の熱を遮断するためには、炭化水素ガスが流れるパイプの外側に断熱領域を確保すればよい。この着想に基づき、羽口を二重管構造とし、内管に炭化水素ガスを、外管に不活性ガスを流す方式が最も良いことが判明した。
【0025】
(E)実機250ton取鍋に収容した溶鋼に対してRH処理を行い、真空槽内壁に設けた粉体吹き込み羽口2本から下記のA〜B2の方法で吹き込み比較した。
A:二重管羽口を用いて内管に炭化水素ガス:プロパン(以下、Cで表す):2Nm/minおよびCaO系粉体:100kg/minを、外管にAr:0.2Nm/minを流した。
【0026】
B1:単管羽口を用いて、Ar流量:2Nm3/minおよびCaO系粉体:100kg/minを流した。
【0027】
B2:単管羽口を用いて、Ar流量:8Nm3/min(炭化水素ガスの熱分解後の総ガス流量と同じ)およびCaO系粉体:100kg/minを流した。
【0029】
上記の条件下での脱硫、脱酸および脱窒時の到達濃度を測定した結果を以下に示す。
【0030】
処理前の溶鋼中の[S]濃度が40ppmであったが、CaO系脱硫粉体を吹き込んだ結果、Aの方法で4ppmまで低下した。B1およびB2では10ppmまでしか低下しなかった。
【0031】
処理前の溶鋼中の[O]濃度が60〜70ppmであったが、CaO系脱硫粉体を吹き込んだ結果、Aの方法で7ppmまで低下した。B1およびB2では22ppmまでしか低下しなかった。
【0032】
処理前の溶鋼中の[N]濃度が40〜50ppmであったが、CaO系脱硫粉体を吹き込んだ結果、Aの方法で10〜15ppmまで低下した。B1およびB2の方法では20〜25ppmまでしか低下しなかった。
【0033】
(F)実機250ton 取鍋に収容した溶鋼に対してRH処理を行い、真空槽上部から降下させたランスを真空槽内溶鋼湯面からの高さ2mにセットし、ランスノズルから下記のA〜Cの方法で吹き込み比較した。
【0034】
A:二重管ランスノズルを用いて内管に炭化水素ガス:C38 :2Nm3/min およびCaO系粉体:100kg/minを、外管にAr:0.1Nm3/min を流した。
【0035】
B1:単管ランスノズルを用いて、Ar流量:2Nm3/minおよびCaO系粉体:100kg/minを流した。
【0036】
B2:単管ランスノズルを用いて、Ar流量:8Nm3/min(炭化水素ガスの熱分解後の総ガス流量と同じ)およびCaO系粉体:100kg/minを流した。
【0037】
C:単管ランスノズルを用いて、炭化水素ガス:C38 :2Nm3/minおよびCaO系粉体:100kg/minを流した。
【0038】
上記の条件下での脱硫、脱酸および脱窒時の到達濃度を測定した結果を以下に示す。
【0039】
処理前の溶鋼中の[S]濃度が30ppm であったが、CaO系脱硫粉体を吹き込んだ結果、AおよびCの方法で4ppm まで低下した。B1およびB2では10ppm までしか低下しなかった。
【0040】
処理前の溶鋼中の[O]濃度が60〜70ppm であったが、CaO系脱硫粉体を吹き込んだ結果、AおよびCの方法で7ppm まで低下した。B1およびB2では22ppm までしか低下しなかった。
【0041】
処理前の溶鋼中の[N]濃度が40〜50ppm であったが、CaO系脱硫粉体を吹き込んだ結果、AおよびCの方法で10〜15ppm まで低下した。B1およびB2の方法では20〜25ppm までしか低下しなかった。
【0042】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記のとおりである。
(1)溶鉄の上方に配置したランスノズルを用いて溶鉄に粉体を供給する方法において、キャリアガスとして炭化水素ガスを使用して粉体を溶銑に吹き付けることを特徴とする溶鉄への粉体供給方法。
【0043】
(2)溶鉄に粉体を供給する方法において、粉体を供給する羽口またはランスノズルが内管と外管とで構成される二重管を使用して、内管に炭化水素ガスをキャリアーガスとして粉体を、外管に不活性ガスをそれぞれ流すことを特徴とする溶鉄への粉体供給方法。
【0044】
(3)粉体が脱硫用粉体であることを特徴とする上記(1)および(2)に記載の溶鉄への粉体供給方法。
(4)RH脱ガス装置を用いて溶鋼の真空処理を行う際に、RH脱ガス装置の真空槽の内部に収容された溶鋼の表面の上方に配置したランスから、キャリアガスとして炭化水素ガスを使用して粉体を溶鋼に吹き付けることを特徴とする溶鋼の製造方法。
【0045】
【発明の実施の形態】
高炉から運搬された溶銑をそのまま、あるいは、脱硫などの溶銑処理を行った後、転炉に装入し吹錬を行う。溶銑装入後、転炉炉口上部から転炉吹錬用ランスを転炉内に降下させ、酸素吹酸による脱炭精錬を行い脱炭後の溶鋼を取鍋に出鋼する。出鋼後の溶鋼は二次精錬設備へ移送され、脱硫あるいはRHでの脱硫処理を行い、連続鋳造装置にてスラブを製造する。
【0046】
図1〜3に基づいて本発明方法を行う方法例を説明する。
図1(a)、(b)は、溶鋼への粉体吹き付け方法の一例であるRH真空槽上方から脱硫粉体を吹き付ける方法を示した概念図であり、図1(a)はRH真空槽の平面図、図1(b)はRH真空槽の側面図である。
【0047】
同図に示すように、RH真空槽1上方の昇降可能なランス2を下降させ、真空溶鋼表面3とランス先端との間の所定の距離を保持して、ランスノズルからCaOを主成分とする脱硫粉体をキャリアガスとともに吹き付ける。
【0048】
図2(a)、(b)は、溶鋼への粉体吹き込み方法の一例であるRH真空槽側壁に設けた羽口から脱硫粉体を吹き込む方法を示した概念図であり、図2(a)はRH真空槽の平面図、図2(b)はRH真空槽の側面図である。
【0049】
同図に示すように、溶鋼7と接している真空槽側壁4に設けた吹き込み羽口からCaOを主成分とする脱硫粉体をキャリアガスとともに吹き込むものである。
この時の羽口構造は、二重管である
【0050】
図3は、溶鉄の脱硫方法の一例である取鍋上部から昇降可能なランスから脱硫粉体を溶鉄中に吹き込む方法を示した概念図である。
同図に示すように、取鍋6上部から昇降可能なランス2を溶鉄8中に浸漬し、ランスノズルからCaOを主成分とする脱硫粉体をキャリアガスとともに溶鉄8中に吹き込む。
【0051】
図1に示す粉体吹き付けの例では、ランスノズル構造は単管でも二重管でもよい。また、図2、3に示す粉体吹き込みの例では、羽口構造は二重管である。この二重管を使用する場合には、ランスノズルでも羽口でも、内管に炭化水素ガスを含有させ、外管に不活性ガスを使用する。
【0052】
二重管、内管、外管の2つのパイプから構成されているが、この二本のパイプの中間部(スリット部)には、クリアランスを一定にするためにスペーサーを設置、あるいは、いずれかのパイプに切り込みを入れて使用することが望ましい。
【0053】
本発明では、粉体のキャリアーガスとして炭化水素ガスあるいは炭化水素ガスを含有するガス、例えば、炭化水素ガスと不活性ガスの混合ガスを使用できる。
好ましくは、100%炭化水素ガスである。
二重管羽口の場合は外管に不活性ガスを導入する。
【0054】
炭化水素ガスはメタン(CH4 )、エタン(C26 )、プロパン(C38 )、ブタン(C410)などのガスを単独あるいは混合して用い、不活性ガスとしてはArまたはN2 ガス等の他に、COまたはCO2 などのガスを単独あるいは混合して用いる。
【0055】
二重管羽口の場合、炭化水素ガスと不活性ガスとの使用体積比率(炭化水素ガス/不活性ガス)は、1〜100である。好ましくは、2〜50である。
【0056】
【実施例】
(実施例1)
高炉から出銑した溶銑をトピードカーで搬送後、250ton 溶銑取鍋に移し替えてインジェクション脱硫を行った。取鍋内径は3.5m、浴深は3.7mとした。ランスはAl23 キャスタブルで被覆したものを用い、浸漬深さはランス先端が取鍋底面から300mmの高さとした。ランス先端から180mmの高さに逆T字型の2孔ノズルを設け、2孔ノズルとも内径が18mmの単管、2孔ノズルとも内径18mmで外管のスリット幅が0.5mmの二重管を用いて粉体を吹き込んだ。
【0057】
溶銑温度は1350〜1380℃であり、処理前の溶銑中の[S]濃度は240〜260ppm であった。使用ガス流量は単管ノズルでは2Nm3/min、二重管ノズルでは内管が2Nm3/min、外管が0.5Nm3/minとした。この単管ノズルおよび二重管ノズルの内管の2Nm3/minのガスをキャリアガスとして粉体:95重量%CaO−5重量%CaF2 (以下、単に%で重量%を表す)を0.4kg/ton・min の速度で6分間吹き込んだ。
表1は、試験条件と脱硫処理結果を示す。
【0058】
【表1】
Figure 0003666306
【0059】
表1に示すように、キャリアガスとしてArを使用した場合は、単管ノズルでも二重管ノズルでも脱硫率が84%と低かった。キャリアガスとしてC用い、二重管ノズルから吹き込むことにより、脱硫率が95〜96%の高脱硫率が得られた。
【0060】
(実施例2)
溶銑中の[S]濃度が40ppm 程度まで溶銑脱硫した溶銑250ton を転炉に装入し、上吹き酸素および底吹き攪拌ガスにより脱炭吹錬を行った。吹錬後の溶鋼を出鋼口から取鍋中に出鋼し、出鋼中に脱酸剤である金属Alを添加して溶鋼を脱酸した。
【0061】
その後、大気圧下でのランスノズルから粉体を溶鋼中に吹き込み脱硫処理を行った。取鍋内径は3.8m、浴深は3.2mである。
【0062】
ランスはAl23 キャスタブルで被覆したものを用い、浸漬深さはランス先端が取鍋底面から250mmの高さとした。ランス先端から150mmの高さに逆T字型の2孔ノズルを設け、2孔とも内径が18mmの単管、2孔とも内径18mmで外管のスリット幅が0.5mmの二重管を用いて粉体を吹き込んだ。粉体吹き込み前の溶鋼温度は1620〜1650℃であり、、処理前の溶鋼中の[S]濃度は35〜45ppm であった。
【0063】
使用ガス流量は単管ノズルでは2Nm3/min、二重管ノズルでは内管が2Nm3/min 、外管が0.5Nm3/min とした。この2Nm3/min のガスをキャリアガスとして粉体70%CaO−30%CaF2 を0.4kg/ton・min の速度で8分間吹き込んだ。
表2は、試験条件と脱硫処理、脱酸処理および脱窒処理結果を示す。
【0064】
【表2】
Figure 0003666306
【0065】
表2に示すように、キャリアガスとしてArを使用した場合は、単管ノズルでも二重管ノズルでも脱硫率が74〜75%と低かった。キャリアガスとしてC用い、二重管ノズルから吹き込むことにより、脱硫率が92〜93%の高脱硫率が得られた。
【0066】
キャリアガスとしてArを使用した場合は、単管ノズルでも二重管ノズルでも脱酸率が66〜68%と低かった。キャリアガスとしてCを使用して二重管ノズルから吹き込むことにより、脱酸率が89〜91%の高脱酸率が得られた。
【0067】
キャリアガスとしてArを使用した場合は、単管ノズルでも二重管ノズルでも脱窒率が22〜26%と低かった。キャリアガスとしてCを使用して二重管ノズルから吹き込むことにより、脱窒率が53〜47%の高脱窒率が得られた。
【0068】
なお、表2に記載していないが処理後の溶鋼中の[H]濃度は、Arキャリアガスでは平均1.6ppm に対し、炭化水素ガスのキャリアガスでは平均1.8ppm と若干高くなった。通常の鋼種では、このまま連続鋳造装置にて鋳込んだが、極低水素鋼種では、この後にRH脱ガス装置にて脱水素処理を7分間施し、溶鋼中の[H]濃度を1ppm 以下として鋳造に供した。
【0069】
(実施例3)
溶銑中の[S]濃度が40ppm 程度まで溶銑脱硫した溶銑250ton を転炉に装入し、上吹き酸素および底吹き攪拌ガスにより脱炭吹錬を行った。吹錬後の溶鋼を出鋼口から取鍋中に出鋼し、出鋼中に脱酸剤である金属Alを添加して溶鋼を脱酸した。
【0070】
その後、取鍋をRH脱ガス装置に搬送し、RH浸漬管を取鍋内溶鋼に浸漬するとともに上昇管から2Nm3/minの環流用Arガスを8本の単管羽口から吹き込み、真空度2Torrで真空処理を開始した。その際、真空槽下部槽に設けた側壁羽口から粉体を吹き込んで脱硫処理を行った。羽口の位置は下部槽底面からの高さ100mm、上昇管と下降管の中間位置で、対称の位置に2カ所設けた。2羽口とも内径が18mmの単管羽口、2孔とも内径18mmで外管のスリット幅が0.5mmの二重管羽口を用いて粉体を吹き込んだ。粉体吹き込み前の溶鋼温度は1620〜1650℃であり、処理前の溶鋼中の[S]濃度は35〜45ppm であった。使用ガス流量は単管羽口では2Nm3/min、二重管羽口では内管が2Nm3/min 、外管が0.5Nm3/minとした。この2Nm3/minのガスをキャリアガスとして粉体70%CaO−30%CaF2 を0.4kg/ton・min の速度で8分間吹き込んだ。
表3は、試験条件と脱硫処理、脱酸処理および脱窒処理結果を示す。
【0071】
【表3】
Figure 0003666306
【0072】
表3に示すように、キャリアガスとしてArを使用した場合は、単管羽口でも二重管羽口でも脱硫率が74〜76%と低かった。キャリアガスとしてCを使用して、二重管羽口から吹き込むことにより、脱硫率が92〜93%の高脱硫率が得られた。
【0073】
キャリアガスとしてArを使用した場合は、単管羽口でも二重管羽口でも脱酸率が63〜67%と低かった。キャリアガスとしてCを使用して二重管羽口から吹き込むことにより、脱酸率が92〜93%の高脱酸率が得られた。
【0074】
キャリアガスとしてArを使用した場合は、単管羽口でも二重管羽口でも脱窒率が43〜47%と低かった。キャリアガスとしてCを使用して二重管羽口から吹き込むことにより脱窒率が73〜76%の高脱窒率が得られた。
【0075】
なお、表3に記載していないが処理後の溶鋼中の[H]濃度は、Arキャリアガスでは平均0.9ppm に対して、炭化水素ガスのキャリアガスでは平均1.0ppm と若干高くなった。しかし、極低水素鋼種でも要求される溶鋼中の[H]濃度は、1.0ppm 以下であり、脱硫処理終了とともにRH処理を終了し、連続鋳造に供した。
【0076】
(実施例4)
溶銑中の[S]濃度が40ppm 程度まで溶銑脱硫した溶銑250ton を転炉に装入し、上吹き酸素および底吹き攪拌ガスにより脱炭吹錬を行った。吹錬後の溶鋼を出鋼口から取鍋中に出鋼し、出鋼中に脱酸剤である金属Alを添加して溶鋼を脱酸した。
【0077】
その後、取鍋をRH脱ガス装置に搬送し、RH浸漬管を取鍋内溶鋼に浸漬するとともに上昇管から2Nm3/minの環流用Arガスを8本の単管羽口から吹き込み、真空度2Torrで真空処理を開始した。その際、真空槽上方に設けた昇降ランスノズルから粉体を溶鋼表面に吹きつけて脱硫処理を行った。
【0078】
ランス高さは真空槽内溶鋼表面から2mで、ランスノズルは単管構造の場合、スロート径25mmとした。
二重管構造の場合は、内管径を25mm、スリット幅を1mmとした。
【0079】
ランスは上昇管と下降管の中間位置である下部槽のほぼ中心に位置して、粉体を溶鋼表面に吹きつけて脱硫処理を行った。
粉体吹きつけ前の溶鋼温度は1620〜1650℃であり、処理前の溶鋼中[S]濃度は35〜45ppm であった。
【0080】
使用ガス流量は単管ノズルでは2Nm3/min、二重管ノズルでは内管が2Nm3/min 、外管が0.5Nm3/min とした。この単管ノズルまたは二重管ノズルの内管で、2Nm3/minのガスをキャリアガスとして粉体70%CaO−30%CaF2 を0.4kg/ton・min の速度で8分間吹きつけた。
表4は、試験条件と脱硫処理、脱酸処理および脱窒処理結果を示す。
【0081】
【表4】
Figure 0003666306
【0082】
表4に示すように、キャリアガスとしてArを使用した場合は、単管ノズルでも二重管ノズルでも脱硫率が74〜76%と低かった。キャリアガスとしてC38 を使用した場合は、単管ノズルでも二重管ノズルでも脱硫率が92〜93%の高脱硫率が得られた。
【0083】
キャリアガスとしてArを使用した場合は、単管ノズルでも二重管ノズルでも脱酸率が66〜67%と低かった。キャリアガスとしてC38 を使用した場合は、単管ノズルでも二重管ノズルでも脱酸率が89〜90%の高脱酸率が得られた。
【0084】
キャリアガスとしてArを使用した場合は、単管ノズルでも二重管ノズルでも脱窒率が52〜53%と低かった。キャリアガスとしてC38 を使用した場合は、単管ノズルでも二重管ノズルでも脱窒率が73〜76%の高脱窒率が得られた。
【0085】
なお、表2に記載していないが処理後の溶鋼中の[H]濃度は、Arキャリアガスでは平均0.9ppm に対して、炭化水素ガスのキャリアガスでは平均1.0ppm と若干高くなった。しかし、極低水素鋼種でも要求される溶鋼中の[H]濃度は、1.0ppm 以下であり、脱硫処理終了とともにRH処理を終了し、連続鋳造に供した。
【0086】
【発明の効果】
本発明により、粉体と溶鉄との反応性を良好にすることが可能となり、特に脱硫粉体との反応性を良好にすることが可能となり溶鉄の極低硫化、極低酸素化および極低窒素化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶鋼への粉体吹き付け方法の一例であるRH真空槽上方から脱硫粉体を吹き付ける方法を示した概念図であり、図1(a)はRH真空槽の平面図、図1(b)はRH真空槽の側面図である。
【図2】溶鋼への粉体吹き込み方法の一例であるRH真空槽側壁に設けた羽口から脱硫粉体を吹き込む方法を示した概念図であり、図2(a)はRH真空槽の平面図、図2(b)はRH真空槽の側面図である。
【図3】溶鉄の脱硫方法の一例である取鍋上部から昇降可能なランスから脱硫粉体を溶銑中に吹き込む方法を示した概念図である。
【符号の説明】
1:RH真空槽、
2:ランス、
3:真空溶鋼表面、
4:真空槽側壁、
5:吹き込み羽口、
6:取鍋、
7:溶鋼、
8:溶鉄。

Claims (4)

  1. 溶鉄の上方に配置したランスノズルを用いて該溶鉄に粉体を供給する方法において、キャリアガスとして炭化水素ガスを使用して前記粉体を前記溶鉄に吹き付けることを特徴とする溶鉄への粉体供給方法。
  2. 溶鉄に粉体を供給する方法において、粉体を供給する羽口またはランスノズルが内管と外管とで構成される二重管を使用して、内管に炭化水素ガスをキャリアガスとして粉体を、外管に不活性ガスをそれぞれ流すことを特徴とする溶鉄への粉体供給方法。
  3. 粉体が脱硫用粉体であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶鉄への粉体供給方法。
  4. RH脱ガス装置を用いて溶鋼の真空処理を行う際に、該RH脱ガス装置の真空槽の内部に収容された溶鋼の表面の上方に配置したランスから、キャリアガスとして炭化水素ガスを使用して粉体を溶鋼に吹き付けることを特徴とする溶鋼の製造方法。
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