JP3496529B2 - Rh真空精錬方法 - Google Patents

Rh真空精錬方法

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JP3496529B2 JP21452798A JP21452798A JP3496529B2 JP 3496529 B2 JP3496529 B2 JP 3496529B2 JP 21452798 A JP21452798 A JP 21452798A JP 21452798 A JP21452798 A JP 21452798A JP 3496529 B2 JP3496529 B2 JP 3496529B2
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  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、RH真空脱ガス装
置の上昇管内の環流ガス気泡を容易に微細化し、脱炭速
度および脱酸速度を上げるとともに、脱酸処理時の溶鋼
中の窒素および酸素の到達濃度を低下させるRH真空精
錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】RH真空脱ガス装置を使用して、真空精
錬を効率よく進行させるために、これまでにいろいろな
試みがなされている。
【0003】例えば、極低炭素鋼の真空脱炭に必要な環
流速度を得るために浸漬管径を大きくすると、浸漬管の
寿命が低下し、吹き付け補修の頻度や補修剤の原単位の
悪化を来し、浸漬管の交換頻度が増大して生産性の低下
を引き起こす。
【0004】浸漬管の実質内径を拡大する手段として浸
漬管形状を楕円にしたり、下部槽形状を楕円にしたりす
る例も報告されているが、浸漬管や下部槽を楕円形状に
した場合には耐火物同士の熱膨張が均等にならないた
め、耐火物寿命が低下する。
【0005】環流速度増大のために、単純に環流ガス流
量を上げると真空槽内のスプラッシュが激しくなり、真
空槽内の地金付きが増大する。これは、単純にガス流量
を増加させると生成気泡径が大きくなり、真空槽内浴表
面での気泡の破裂が激しくなるからである。
【0006】特開平2−197515号公報に、取鍋底
部にポーラスプラグを設置し、ポーラスプラグから出た
微細気泡を上昇管へ導くことを示しているが、溶鋼内に
おいては、表面張力の関係でポーラスプラグ出口での気
泡がある程度大きくならないと離脱することができない
ため、微細気泡を発生できない。
【0007】また、取鍋にポーラスプラグを設置する必
要があり、ポーラスプラグの設置コスト、取鍋メンテナ
ンスコスト、漏鋼の危険などの問題を生じる。
【0008】さらに、ポーラスプラグから出た気泡は必
ずしも上昇管に入るとは限らず、取鍋溶鋼表面に浮上し
た場合は、溶鋼あるいはスラグの横溢、処理中の測温・
サンプリング作業への支障などが生じるという問題があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、環流
ガスとして炭化水素を使用することにより、RH真空脱
ガス装置の上昇管内の環流ガス気泡を容易に微細化し、
脱炭速度および脱酸速度を上げるとともに、溶鋼中の窒
素および酸素の到達濃度を低下させるRH真空精錬方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者は、検討を重ねた
結果、以下の(1) 〜(6) の知見を得た。 (1) 飽和炭化水素(以下、単に炭化水素という)は、一
般式で表すとCn 2n+2であり、溶鋼温度ではnC+
(n+1)H2 に分解する。この分解反応により、羽口
から流した炭化水素量の(n+1)倍のH2 ガスを浸漬
管内に導入することができる。
【0011】例えば、プロパン(C3 8 )は分子量4
4であり、通常環流ガスとして使用しているArガスの
分子量40とほぼ同じであり、ガス密度ρがほぼ同じと
みなせるため、下記のベルヌーイの定理からArガスと
ほぼ同じ羽口でのガス流速(羽口の管断面積一定として
ほぼ同じ流量)が得られる。
【0012】 v2 /2+p/ρ+gz=一定(ベルヌーイの定理) ここで、v:羽口でのガス流速、p:圧力、ρ:密度、
g:重力の加速度、z:任意の水平面からの高さであ
る。
【0013】羽口位置が同一である場合、gzが一定と
なるため、v2 /2+p/ρ=一定として、式を整理す
ると、(1/2)ρv2 +p=一定となる。
【0014】さらに、p=一定として整理すると、ρv
2 =一定となり、一定圧力下でガス密度ρがほぼ同じで
あれば、ほぼ同じ流速vとなる。
【0015】プロパン(C3 8 )は分解後4倍の体積
の水素(H2 )となるため、同一羽口でArからプロパ
ンに切り替えることにより、実質的な環流ガスの可変幅
は4倍となる。
【0016】この時、Arとプロパンの混合比を調整す
ることにより、環流ガスは1〜4倍の間で連続的に羽口
からの吹き込みガス量を制御することができる。しか
も、羽口を通過する際の平均ガス分子量はArとプロパ
ンの混合比を変えてもほとんど変化しないため、羽口内
での圧損が変化しない。従って、羽口におけるガス圧力
の管理を従来のArガスの羽口管理と同様に行うことが
できる。
【0017】炭化水素としてメタン(CH4 )を使用し
た場合、分子量がArの1/2.5であるため、2.5
の平方根である約1.6倍のメタンの流量を流すことが
可能となる。
【0018】メタンは分解後2倍の体積の水素(H2
となるため、Ar単独と同じ羽口の圧力条件では、Ar
ガスの約3倍の環流ガスを流すことができる。
【0019】以上の知見から、炭化水素の利用によって
環流ガス流量を容易に増大できることがわかる。
【0020】(2) 上昇管用の浸漬管内壁に設けた環流用
ガスの吹き込み羽口からArおよび炭化水素の溶鋼中へ
の添加を行い、その気泡径をX線透過法で調査した結
果、Arガスの気泡径は非常に大きいのに対し、炭化水
素から分解生成された水素ガスの気泡径は著しく微細に
なる。
【0021】(3) 上昇管用の浸漬管内壁に設けた環流用
ガス吹き込み羽口から炭化水素を単独で流し続けた場
合、炭化水素吹き込み羽口近傍で溶鋼が凝固し吹き込み
羽口が閉塞し、安定した炭化水素の吹き込みができな
い。
【0022】溶鋼の凝固原因は、炭化水素の分解時の吸
熱反応により溶鋼が炭化水素吹き込み羽口近傍で冷却さ
れるからである。
【0023】(4) 羽口近傍で冷却の原因は、炭化水素吹
き込み用羽口の金属性パイプは溶鋼を保持する耐火物内
を貫通しており、常温の炭化水素を金属性パイプに流す
と、炭化水素はパイプ内を通過する際に、前記耐火物か
ら熱の供給を受けて炭化水素の温度が上昇し、炭化水素
が金属性パイプ内で分解反応を起こすからである。
【0024】この耐火物から熱供給を絶つためには炭化
水素が通過するパイプの外側に断熱領域を確保すればよ
いという着想を得た。
【0025】(5) 上記着想に基づき、各種炭化水素の吹
き込み方法を検討した結果、上昇管用の浸漬管内壁に設
けた環流用ガス吹き込み羽口を二重管とし、内管に炭化
水素を、外管と内管のスリット部分に断熱性ガスを吹き
込む方法が上記炭化水素の分解反応を防止するのに有効
であることを見出した。
【0026】ここで、以下の説明では、外管と内管のス
リット部分を単に外管と記載する。 (6) 上記知見を確認するため、実機250トン(以下、
tと記載する)取鍋に収容した溶鋼を用いてRH真空脱
ガス装置における溶鋼の均一混合時間を各種環流ガス吹
き込み条件下で測定した。
【0027】RH上昇用の浸漬管内壁に設けた環流ガス
吹き込み羽口12本を二重管とし、内管から炭化水素
を、外管から断熱性ガスを吹き込む本方法と、比較例1
として単管でArガス量を変えて吹き込む方法、比較例
2として単管で炭化水素を吹き込む方法、比較例3とし
て二重管を使用するが、内管から酸素、外管から炭化水
素を吹き込む方法とを実施、比較した。
【0028】各種ガスの吹き込み量は、本方法は内管:
3 8 :1Nm3 /min、外管:Ar:1Nm3
min、比較例1−1はAr:2Nm3 /min、比較
例1−2はAr:5Nm3 /min、比較例1−3は単
管:Ar:7Nm3 /min、比較例2は単管:C3
8 :2Nm3 /min、比較例3は内管:O2 :3Nm
3 /min、外管:C3 8 :0.3Nm3 /minで
それぞれ約20分間吹き込んだ。
【0029】比較例2は処理開始後1分以内に羽口が閉
塞したため評価をすることができなかった。
【0030】RH真空脱ガス装置内の溶鋼環流が定常に
なった後に、真空槽上部に設けた合金添加口12(後述
の図1に記載)から平均粒径約5mmの銅(以下、単に
Cuと記す)を250kg添加し、その後10秒間隔で
取鍋内の溶鋼サンプルを採取し、溶鋼中のCu含有濃度
を分析した。Cu含有濃度が一定値になるまでにかかっ
た時間(以下、均一混合時間という)は、本方法で70
秒、比較例1−1(Ar:2Nm3 /min)で100
秒、比較例1−2(Ar:5Nm3 /min)で80
秒、比較例3で200秒であった。
【0031】本方法で均一混合時間が短縮できたのは、
分解ガスにより環流ガス量が増大(内管:C3 8 :1
Nm3 /min→H2 :4Nm3 /min+外管:A
r:1Nm3 /minで、合計5Nm3 /min)し、
かつ気泡径が小さくなり、溶鋼の環流速度が増加したか
らである。比較例1−2のAr流量を5Nm3 /min
にした場合でも本方法に効果が及ばないのは、Ar流量
を単に増量した場合には気泡径が増大して、吹き抜け現
象が起こり環流効率が低下するからである。比較例3で
混合時間が増加したのは、内管のO2 が溶鋼と反応して
FeOとなり、環流ガスとして機能したのは、C
3 8 :0.3Nm3 /minが熱分解反応(C3 8
→3C+4H2 )してできた4倍量相当の1.2Nm3
/minのH2 ガスのみであり、本方法の4Nm3 /m
inと比べて小さいからである。
【0032】次に、極低炭素鋼を溶製するため、脱炭前
の溶鋼中の[C]i濃度:300〜400ppmから脱
炭後の溶鋼中の[C]f濃度:30ppmまで真空度1
Torrの条件で、上記と同じ条件下で真空脱炭した結
果、脱炭速度定数Kcは本方法で0.36min-1、比
較例1−1(Ar:2Nm3 /min)で0.18mi
-1、比較例1−2(Ar:5Nm3 /min)で0.
22min-1、比較例2は前記の通り羽口閉塞のため処
理中止、比較例3で0.12min-1であった。
【0033】脱炭速度定数Kcは、下記 式から求め
た。 Kc=ln([C]i/[C]f)/T ただし、[C]i:脱炭前炭素濃度(ppm)、[C]
f:脱炭後炭素濃度(ppm)、T:脱炭時間(mi
n)である。
【0034】本方法で脱炭速度定数が大きくなったの
は、C3 8 の分解で環流速度が増大し、[C]濃度の
高い取鍋内溶鋼が高速で脱炭の生じる真空槽内に供給で
きるからであり、分解H2 の気泡径が小さいために真空
槽内溶鋼面に到達したH2 気泡が気相側へ離脱する際に
溶鋼表面を攪拌し、真空脱炭の反応界面面積を増大した
からである。
【0035】すなわち、本方法で脱炭速度定数が増大し
たのは、取鍋内の溶鋼が高速で脱炭の生じる真空槽内に
供給できることと、真空脱炭の反応界面面積を増大した
ことの二つの効果の相乗作用の結果である。
【0036】比較例1−2(Ar:5Nm3 /min)
のようにArを大量に吹き込んだ場合は、Ar気泡径が
大きく、真空槽内溶鋼面に到達したAr気泡が吹き抜け
現象を起こすため反応界面の面積増大効果が低下したか
らである。
【0037】次に上記脱炭処理後の脱酸処理時の脱酸速
度定数Koを評価した。脱酸溶鋼中の全酸素濃度[T.
O]の脱酸速度定数Koは、下記式から求めた。
【0038】 Ko=ln([T.O]i/[T.O]f)/T ただし、[T.O]i:初期全酸素濃度(ppm)、
[T.O]f:処理後全酸素濃度(ppm)、T:処理
時間(分) 全酸素濃度[T.O]の脱酸速度定数Koは、本方法で
0.17〜0.20min-1、比較例1−1(Ar:2
Nm3 /min)で0.08min-1、比較例1−2
(Ar:5Nm3 /min)で0.09min-1、比較
例1−3(Ar:7Nm3 /min)で0.09min
-1、比較例2は、羽口閉塞のためデータなし、比較例3
では逆に全酸素濃度[T.O]が増大した。
【0039】本方法で脱酸速度定数が大きいのは、上昇
管内で微細H2 気泡が介在物をトラップして浮上分離を
促進したためである。比較例1−3(Ar:7Nm3
min)のAr大流量で脱酸速度定数がほとんど改善さ
れないのは、気泡径が大きいため気泡と介在物の接触確
率が低下するからである。比較例3では添加酸素が溶鋼
中のAl成分と反応し、Al2 3 (アルミナ)介在物
を生成し、逆に全酸素濃度[T.O]が増大した。
【0040】脱酸溶鋼中の窒素濃度[N]の挙動も調査
した。初期[N]を下記のいずれの条件でも約50pp
mに合わせ、11〜12分処理後の脱酸溶鋼中の[N]
を調査した。
【0041】脱酸処理後の[N]は、本方法で18〜1
9ppm、比較例1−1(Ar:2Nm3 /min)で
44ppm、比較例1−2(Ar:5Nm3 /min)
で42ppm、比較例1−3(Ar:7Nm3 /mi
n)で40ppm、比較例2は羽口閉塞でデータなし、
比較例3で50ppmであった。
【0042】本方法で脱窒素が進行するのは、真空槽浴
表面で微細H2 気泡が溶鋼表面を攪拌し、脱窒素の反応
界面積を増大できるからである。比較例1−3(Ar:
7Nm3 /min)の大流量のArでも脱窒素の進行が
小さいのは気泡径が大きいため吹き抜け現象が起こるか
らである。比較例3で脱窒素が進行しないのは、界面活
性元素である酸素濃度が増大し、脱窒素反応が進みにく
い条件になったからである。
【0043】上昇用の浸漬管の寿命チャージ数は、本方
法で48チャージ、比較例1−1(Ar:2Nm3 /m
in)で50チャージ、比較例1−2(Ar:5Nm3
/min)で38チャージ、比較例1−3(Ar:7N
3 /min)で21チャージ、比較例2は羽口閉塞の
ためデータなし、比較例3では1チャージの処理終了後
の浸漬管の溶損が激しく、連続して実験ができなかっ
た。
【0044】本方法の耐火物寿命は、比較例1−1(A
r:2Nm3 /min)の低Ar流量とほぼ同じ寿命で
あった。比較例1−3(Ar:7Nm3 /min)のA
r大流量の場合には径の大きい気泡が浸漬管内壁に沿っ
て上昇するためエロージョンが大きくなり寿命が低下し
た。比較例3では、吹き込み酸素が溶鋼と反応してFe
Oを生成し、FeOは耐火物と反応しやすいため耐火物
を浸食しやすい。
【0045】RHでは環流ガスによる溶鋼のスプラッシ
ュが引き起こすRH槽内の地金付きが操業上の問題であ
り、地金付きがある限度に達すると地金切りを実施して
いる。月間の地金切り回数を指数化して比較した。比較
例1−1(Ar:2Nm3 /min)の低Ar流量を基
準値1.0とすると、本方法では0.9〜1.1と基準
値とほぼ同じであった。比較例1−2(Ar:5Nm3
/min)で2.5、比較例1−3(Ar:7Nm3
min)で6.2と地金切り回数が多く、比較例2およ
び3では上記に記載の羽口閉塞や浸漬管の損耗が著しい
ためデータの採取ができなかった。
【0046】本方法で地金付きが比較例1−1(Ar:
2Nm3 /min)の低Ar流量とほぼ同じなのは、分
解H2 の気泡径が小さいために真空槽内溶鋼面に到達し
たH2 気泡が気相側へ離脱する際に溶鉄粒を吹き飛ばす
量が小さいからである。比較例1−3(Ar:7Nm3
/min)のAr大量吹き込みでは、吹き抜け現象を起
こし、その際に溶鉄粒を真空槽上部まで吹き飛ばすため
地金付きが増大するからである。
【0047】以上から、二重管で構成された環流用ガス
吹き込み羽口の内管から炭化水素、外管から断熱性ガス
を吹き込む方法は、浸漬管寿命および地金付きを従来並
みに防止した上で、従来に比べて脱炭速度および脱酸速
度を大幅に上昇でき、脱酸処理時の溶鋼中の窒素および
酸素の到達濃度を低下できることがわかった。
【0048】本発明は、以上の知見に基づいてなされた
もので、その要旨は、下記のとおりである。上昇管の内
壁に設けた二重管で構成された環流用ガス吹き込み羽口
の内管から炭化水素、外管から断熱性ガスを吹き込むこ
とを特徴とするRH真空精錬方法。
【0049】
【発明の実施の形態】図1および図2に基づいて本発明
の方法を説明する。図1は、RH真空脱ガス精錬の概要
を示す概念図である。
【0050】同図に示すように、RH真空脱ガス装置1
の下部に位置する取鍋2内の溶鋼3(スラグ10の下部)
が上昇管4を通じて真空下吸引され、上昇管の内壁5
に設置された羽口6から環流用ガス7を吹き込むことに
より、取鍋2→上昇管4→下降管11→取鍋2間の溶鋼
3の環流が発生する。
【0051】図2は、羽口6の構造の概略を示す概念図
であり、同図(a)は羽口6の正面図を、同図(b)は
羽口6の側面図をそれぞれ示す。
【0052】同図(a)、(b)に示すように、本発明
で使用する羽口6は二重管であり、該二重管の内管8か
ら炭化水素を、あるいは炭化水素と断熱性ガスの混合ガ
スを、外管9から断熱性ガスを吹き込むRH真空精錬方
法である。
【0053】炭化水素としてCH4 、C2 6 、C3
8 、C4 10等を単独あるいは混合して用い、断熱性ガ
スとしてはAr、N2 、CO,CO2 などを単独あるい
は混合して用いることができる。
【0054】外管の断熱性ガスは、一般的にArを用い
るが、溶鋼中の[N]濃度を管理する必要がない場合に
は、N2 ガスを用いても良い。
【0055】内管の炭化水素は、吹き込みガスの必要な
微細化程度およびガス量に応じて炭化水素と断熱性ガス
の混合ガスを使用してもよい。
【0056】極低炭素鋼を溶製する場合、低炭素域にお
いて炭化水素の分解でできた炭素が溶鋼中の[C]濃度
を上昇させるおそれがあり、途中で炭化水素をArガス
に切り替えるのが望ましい。
【0057】清浄鋼を溶製する場合で溶鋼中の[H]濃
度に上限がある場合も、同様に、処理の前半あるいは前
半中盤で羽口6の内管7に炭化水素を添加し、処理の中
盤あるいは後半以降でArガスに切り替えるのが望まし
い。
【0058】
【実施例】転炉で吹錬した溶鋼250tを取鍋に出鋼
し、浸漬管径600mm、RH真空槽内径2500mm
のRH脱ガス装置を使用して二次精錬処理を行った。R
H真空槽上部には、前記図1に示すように、合金を添加
する合金添加口12と真空排気用ダクト13が設けてあ
る。二本の浸漬管のうち、上昇管の内壁5に環流ガスを
吹き込む羽口6を12本周方向に均等になるように30
°ピッチで設けた。環流ガスを吹き込む羽口6は、ステ
ンレス製単管またはステンレス製二重管を使用した。
【0059】(実施例1)転炉終点の溶鋼中の[C]濃
度が300〜400ppmになるまで吹錬した後、未脱
酸出鋼で取鍋に溶鋼を出鋼し、[C]が30ppm以下
の溶鋼を得る目的でRHにて真空脱炭処理を行った。脱
炭の前後で取鍋内の溶鋼からサンプルを採取し、化学分
析を行った。脱炭速度定数Kcは、前記式から求め
た。表1に操業条件と脱炭速度定数の値を示す。
【0060】
【表1】
【0061】表1に示すように、二重管の内管から炭化
水素を吹き込み、外管から断熱性ガスを吹き込んだ場合
には、炭化水素の種類や外管の断熱性ガスの種類によら
ずに脱炭速度定数が著しく増加した。
【0062】(実施例2)転炉終点の溶鋼中の[C]濃
度が300〜400ppmになるまで吹錬した後、未脱
酸出鋼で取鍋に溶鋼を出鋼し、[C]が30ppm以下
の溶鋼を得る目的でRHにて真空脱炭処理を行った。排
ガス成分の経時変化からRH処理中の[C]の濃度推移
を推定し、[C]濃度が30〜50ppmになったと判
断された時点で環流用ガスを全てArガス(内外管の合
計流量は2Nm3 /minとした)に切り替えた。脱炭
前後で取鍋内の溶鋼からサンプルを採取し、化学分析を
行った。脱炭速度定数Kcは、前記式から求めた。表
2に操業条件と脱炭速度定数の値を示す。
【0063】
【表2】
【0064】表2に示すように、二重管の内管から炭化
水素を吹き込み、外管から断熱性ガスを吹き込んだ場合
には、炭化水素の種類や外管の断熱性ガスの種類によら
ずに脱炭速度定数が著しく増加した。
【0065】(実施例3)転炉終点の溶鋼中の[C]濃
度が0.15%以下になるまで吹錬した後、脱酸出鋼で
取鍋に溶鋼を出鋼し、RHにて真空処理を行った。RH
処理前後で取鍋内の溶鋼からサンプル採取し化学分析を
行った。脱酸速度定数Koは、前記式から求めた。
【0066】表3に操業条件と処理前後の溶鋼中の
[N]、[T.O]濃度(ppm)、および脱酸速度定
数の値を示す。
【0067】
【表3】
【0068】表3に示すように、二重管の内管から炭化
水素を吹き込み、外管から断熱性ガスを吹き込んだ場合
には、脱窒素が大幅に進行し、さらに介在物量を表す
[T.O]濃度も大幅に低下し、脱酸速度定数も約2倍
の値を示した。[T.O]濃度が大幅に低下したことか
ら、溶鋼中の介在物が大幅に低下した。
【0069】(実施例4)転炉終点時の溶鋼中の[C]
濃度を0.15%以下となるまで吹錬した後、出鋼時に
少量の金属Al添加を添加し、出鋼後の[T.O]濃度
が20〜150ppmである弱脱酸溶鋼をRH真空脱ガ
ス装置を用いて真空処理を行った。RH真空処理前後で
取鍋内の溶鋼からサンプル採取し化学分析を行った。脱
酸速度定数Koは、前記式から求めた。
【0070】処理時間は総計12分とし、本発明例では
前半の6分は内管:炭化水素、外管:Arとして、後半
の6分は内管・外管ともArのみとした。比較例15で
は前半の6分は内管:O2 、外管:C3 8 として、後
半の6分は内管・外管ともArのみとした。表4に操業
条件と処理前後の溶鋼中の[N]、[T.O]濃度、お
よび脱酸速度定数の値を示す。
【0071】
【表4】
【0072】表4の本発明例9、10および比較例15
は脱酸処理前半のガス条件を記載し、脱酸処理後半は内
外管合計のAr流量が2Nm3 /minとなるように設
定した。
【0073】表4に示すように、二重管の内管から炭化
水素を吹き込んだ場合には、溶鋼中の[N]、[T.
O]濃度が大幅に低下し、脱酸速度定数も約2倍の値を
示した。[T.O]濃度が大幅に低下したことから、溶
鋼中の介在物が大幅に低下した。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、環流ガスとして炭化水
素を二重管の内管に使用することにより、RH真空脱ガ
ス装置の上昇管内の環流ガス気泡を平易に微細化し、脱
炭速度および脱酸速度を上げるとともに、脱酸処理時の
溶鋼中の窒素および酸素の到達濃度を低下できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】RH真空脱ガス精錬の概要を示す概念図であ
る。
【図2】羽口の構造の概略を示す概念図であり、同図
(a)は羽口の正面図、同図(b)は羽口の側面図であ
る。
【符号の説明】
1:RH真空脱ガス装置 2:取鍋 3:溶鋼 4:上昇管 5:上昇管の内壁 6:羽口 7:環流用ガス 8:内管 9:外管 10:スラグ 11:下降管 12:合金添加口 13:真空排気用ダクト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 7/10 C21C 7/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上昇管の内壁に設けた二重管で構成され
    た環流用ガス吹き込み羽口の内管から炭化水素、外管か
    ら断熱性ガスを、前記上昇管内の溶鋼に吹き込むことを
    特徴とするRH真空精錬方法。
  2. 【請求項2】 上昇管の内壁に設けた二重管で構成され
    た環流用ガス吹き込み羽口の内管から炭化水素と断熱ガ
    スとの混合ガス、外管から断熱性ガスを、前記上昇管内
    の溶鋼に吹き込むことを特徴とするRH真空精錬におけ
    る脱炭速度向上方法。
  3. 【請求項3】 上昇管の内壁に設けた二重管で構成され
    た環流用ガス吹き込み羽口の内管から炭化水素、外管か
    ら断熱性ガスを、前記上昇管内の溶鋼に吹き込むことを
    特徴とするRH真空精錬における脱炭速度向上方法。
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