JPH10168179A - ポリ(2−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)およびその製造方法 - Google Patents

ポリ(2−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)およびその製造方法

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JPH10168179A
JPH10168179A JP33572896A JP33572896A JPH10168179A JP H10168179 A JPH10168179 A JP H10168179A JP 33572896 A JP33572896 A JP 33572896A JP 33572896 A JP33572896 A JP 33572896A JP H10168179 A JPH10168179 A JP H10168179A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カルボニル構造が少ないという構造の制御され
た、熱安定性に優れるポリ(2−フェニル−1,4−フ
ェニレンエーテル)およびその製造方法を提供する。 【解決手段】2−フェニルフェノールの酸化重合で得ら
れる重合体において、C=O/C−H値(ただし、C=
O/C−H値は赤外吸収スペクトルのC=O伸縮ピーク
とC−H伸縮ピークの面積比を表す。)が0.25以下
であり、かつ数平均分子量が500以上であるポリ(2
−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、および遷
移金属錯体触媒を用いて、2−フェニルフェノールを酸
化剤存在下で重合する際に、反応溶媒として非水溶性の
有機溶媒を用い、反応温度を55℃以下とするポリ(2
−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリ(2−フェニル
−1,4−フェニレンエーテル)およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】2,6−ジメチルフェノールの遷移金属
錯体触媒を用いた酸化重合(例として、特公昭63−6
091号公報、特開昭59−131627号公報等、多
数を挙げることができる。)によって得られるポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
(以下、PPEと略すことがある。)は有用な樹脂であ
ることが知られている。しかし、PPEは、芳香環に置
換されたメチル基が酸化劣化を受けやすいため、PPE
単独で溶融成形することが難しいという欠点があり、一
般にはポリスチレンとのポリマーアロイとして汎用エン
プラに位置づけられている。
【0003】一方、酸化劣化を受けにくいフェニル基の
置換したフェノールの酸化重合体として、2,6−ジフ
ェニルフェノールの酸化重合体であるポリ(2,6−ジ
フェニル−1,4−フェニレンエーテル)(以下、PD
POと略すことがある。)が提案されている(特公昭4
0ー16423号公報)。PDPOは、耐酸化劣化性の
高いポリマーであるが、融点が480℃と高温であるた
め、通常の射出成形法では成形できないという問題があ
った。
【0004】これに対し、2−フェニルフェノールの酸
化重合体であるポリ(2−フェニル−1,4−フェニレ
ンエーテル)(以下、PPPOと略すことがある。)
は、やはり高耐熱性であり、置換基はフェニル基である
が、比較的低融点又は非晶性であり、耐酸化劣化性に優
れた射出成形可能なポリマーとして期待される。
【0005】2−フェニルフェノールの酸化重合の例と
して、特公昭36−18692号公報には、反応溶媒と
してニトロベンゼンを用いた反応温度150℃での酸素
による酸化重合が記載されている。しかし、反応温度1
50℃で得られた酸化重合体は、重合体中にカルボニル
構造が多く存在し、また重合体の熱安定性が悪いなどの
問題があった。
【0006】また、特開平8−53545号公報には、
反応溶媒として水溶性であるエチレングリコールジメチ
ルエーテルを用いた反応温度0℃での2−フェニルフェ
ノールの過酸化水素による酸化重合の記載がある。しか
しながら、重合体中のカルボニル構造の抑制、重合体の
熱安定性の点では十分ではなかった。
【0007】なお、ここでいう重合体中のカルボニル構
造とは、下記に例示するようなキノン構造やジフェノキ
ノン構造等のカルボニル基含有構造を指す。
【0008】これらのカルボニル構造は、酸素原子添加
反応や炭素−炭素結合反応等の副反応によって生じるも
ので、本来望まれる炭素−酸素結合反応によるエーテル
構造の連鎖を乱す構造である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、現
状の酸化重合法ではカルボニル構造が多く生成し、熱安
定性が悪いなど、有用なポリマーは得られていない。本
発明の目的は、カルボニル構造が少ないという構造の制
御された、熱安定性に優れるポリ(2−フェニル−1,
4−フェニレンエーテル)およびその製造方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような状況下にあっ
て、本研究者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を行っ
た結果、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、2
−フェニルフェノールの酸化重合で得られる重合体にお
いて、C=O/C−H値(ただし、C=O/C−H値は
赤外吸収スペクトルのC=O伸縮ピークとC−H伸縮ピ
ークの面積比を表す。)が0.25以下であり、かつ数
平均分子量が500以上であるポリ(2−フェニル−
1,4−フェニレンエーテル)、および遷移金属錯体触
媒を用いて、2−フェニルフェノールを酸化剤存在下で
重合する際に、反応溶媒として非水溶性の有機溶媒を用
い、反応温度を55℃以下とするポリ(2−フェニル−
1,4−フェニレンエーテル)の製造方法にかかるもの
である。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明を詳細に説明する。 (1)ポリ(2−フェニル−1,4−フェニレンエーテ
ル) 本発明のポリ(2−フェニル−1,4−フェニレンエー
テル)(以下、PPPOと略すことがある。)とは、2
−フェニルフェノールの酸化重合で得られる重合体にお
いて、C=O/C−H値(ただし、C=O/C−H値は
赤外吸収スペクトルのC=O伸縮ピークとC−H伸縮ピ
ークの面積比を表す。)が0.25以下であり、かつ数
平均分子量が500以上であるPPPOのことである。
【0012】本発明のPPPOとは、繰り返し単位とし
て2−フェニル−1,4−フェニレンエーテル単位を含
有するポリマーである。
【0013】本発明のPPPOのカルボニル構造量とし
ては、C=O/C−H値(ただし、C=O/C−H値は
赤外吸収スペクトルのC=O伸縮ピークとC−H伸縮ピ
ークの面積比を表す)が0.25以下であり、少ない。
C=O/C−H値が0.25より大きいPPPOは、熱
安定性が悪く、好ましくない。C=O/C−H値とし
て、好ましくは0.20以下であり、さらに好ましくは
0.10以下である。
【0014】本発明のPPPOの数平均分子量(標準ポ
リスチレン換算値)としては、500以上であればよ
く、特に限定はない。数平均分子量として、好ましく
は、1,000〜1,000,000であり、さらに好
ましくは、2,000〜100,000である。
【0015】(2)ポリ(2−フェニル−1,4−フェ
ニレンエーテル)の製造方法 本発明のポリ(2−フェニル−1,4−フェニレンエー
テル)は、遷移金属錯体触媒を用いて、2−フェニルフ
ェノールを酸化剤存在下で重合する際に、反応溶媒とし
て非水溶性の有機溶媒を用い、反応温度を55℃以下と
する方法により製造され得る。
【0016】(A)遷移金属錯体触媒 かかる遷移金属錯体触媒としては、遷移金属を含む錯体
触媒であれば特に限定はないが、有機配位子化合物を配
位子とする第4〜11族遷移金属錯体触媒が好ましい。
【0017】該遷移金属錯体触媒における第4〜11族
遷移金属とは、元素の周期律表(IUPAC無機化学命
名法改訂版1989)の第4〜11族の遷移金属であ
る。該遷移金属錯体として、さらに好ましくは第一遷移
元素系列の遷移金属錯体であり、具体例を示すと、バナ
ジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅の錯体
である。特に好ましい遷移金属錯体は銅錯体である。該
遷移金属錯体の金属原子の価数は、自然界に通常存する
ものを適宜選択して使用することができ、例えば銅の場
合は1価または2価の銅を用いることができる。
【0018】配位子とは、化学大辞典(第1版、東京化
学同人、1989年)に記載の通り、ある原子に配位結
合で結合している分子またはイオンを指す。結合に直接
かかわっている原子を配位原子といい、配位子の配位原
子数を配座数と呼ぶ。また、一つの配位子中、金属と配
位結合している炭素原子数をηで表す。
【0019】有機配位子化合物として好ましくは、配位
原子が窒素原子、リン原子、酸素原子または硫黄原子で
ある配位子化合物、あるいはη5 配位結合により遷移金
属原子と結合するシクロペンタジエニン形アニオン骨格
を有する基を有する配位子化合物であり、さらに好まし
くは配位原子が窒素原子、リン原子、酸素原子または硫
黄原子である配位子化合物である。特に好ましい有機配
位子化合物は、配位原子が窒素原子、リン原子、酸素原
子または硫黄原子である二座配位子化合物である。
【0020】遷移金属錯体触媒としては、第4〜11族
遷移金属化合物と、配位原子が窒素原子、リン原子、酸
素原子または硫黄原子である二座配位子化合物とを接触
させて得られる触媒がさらに好ましい。
【0021】かかる遷移金属化合物として好ましくは、
該遷移金属の塩である。具体的には、遷移金属のハロゲ
ン化物、硫酸塩、酢酸塩、安息香酸塩等が代表例であ
り、遷移金属のハロゲン化物が好ましい。かかるハロゲ
ンとしては塩素、臭素、ヨウ素等が例示できるが、塩
素、臭素が好ましい。該遷移金属化合物として、最も好
ましくは1価の銅の塩化物、臭化物が挙げられる。
【0022】上記の二座配位子化合物は、配位原子が窒
素原子、リン原子、酸素原子又は硫黄原子である二座配
位子化合物であれば、特に限定はない。かかる二座配位
子化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,
2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、
1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、
2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、1,2−
シクロヘキサンジオール、1,2−エタンジチオール、
1,3−プロパンジチオール、カテコール、ヒドロキシ
酢酸、2−ヒドロキシプロピオン酸、2−ヒドロキシ酪
酸、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシアセトン、2−
ケトプロピオン酸、2−ケト酪酸、2−ケトプロピオン
酸エチル、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペ
ンタンジオン、アセチルアセトアルデヒド、2,4−ヘ
キサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、5−メチル−
2,4−ヘキサンジオン、5,5−ジメチル−2,4−
ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルアセ
トフェノン、サリチルアルデヒド、1,1,1−トリフ
ルオロアセチルアセトン、1,1,1,5,5,5−ヘ
キサフルオロアセチルアセトン、3−メトキシ−2,4
−ペンタンジオン、3−シアノ−2,4−ペンタンジオ
ン、3−ニトロ−2,4−ペンタンジオン、3−クロロ
−2,4−ペンタンジオン、アセト酢酸、アセト酢酸メ
チル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸アミド、マロン
酸、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、サリチル
酸、サリチル酸メチル、サリチル酸アミド、グリシン、
アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、モノ
エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2
−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパ
ノール、3−アミノ−2−ブタノール、3−アミノ−
2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−アミノ−1−
シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、N
−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールア
ミン、N−ブチルエタノールアミン、N−フェニルエタ
ノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−フ
ェニルプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノー
ルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−サ
リシリデンメチルアミン、N−サリシリデンエチルアミ
ン、N−サリシリデンプロピルアミン、N−サリシリデ
ンブチルアミン、N−サリシリデンアニリン、4−(N
−メチルイミノ)−2−ペンタノン、4−(N−エチル
イミノ)−2−ペンタノン、4−(N−プロピルイミ
ノ)−2−ペンタノン、4−(N−フェニルイミノ)−
2−ペンタノン、2−(N−メチルイミノ)プロピオン
酸、3−(N−メチルイミノ)プロピオン酸、3−(N
−メチルイミノ)プロピオン酸エチル、2−(N−メチ
ルイミノ)酪酸、2−(N−メチルイミノ)プロパノー
ル、2,3−ブタンジオン、3,4−ヘキサンジオン、
2,5−ジメチル−3,4−ヘキサンジオン、2,2−
ジメチル−3,4−ヘキサンジオン、2,2,5,5−
テトラメチル−3,4−ヘキサンジオン、1,2−シク
ロヘキサンジオン、2−(N−メチルイミノ)−3−ブ
タノン、2−(N−エチルイミノ)−3−ブタノン、2
−(N−プロピルイミノ)−3−ブタノン、2−(N−
ブチルイミノ)−3−ブタノン、2−(N−フェニルイ
ミノ)−3−ブタノン、3−(N−メチルイミノ)−3
−ヘキサノン、2−(N−メチルイミノ)−シクロヘキ
サノン、2−(N−メチルイミノ)−プロピオン酸メチ
ル、2−(N−メチルイミノ)−酪酸エチル、エチレン
ジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−フェニ
レンジアミン、2,2’−ビピリジル、2,3−ブタン
ジオキシム、2,4−ビス(N−メチルイミノ)−ペン
タン等を挙げることができる。
【0023】上記の二座配位子化合物は、好ましくは配
位原子が窒素原子又は酸素原子であり、さらに好ましく
は配位原子が窒素原子である。
【0024】かかる好ましい二座配位子化合物として
は、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、
N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレ
ンジアミン、N−iso−プロピルエチレンジアミン、
N−t−ブチルエチレンジアミン、N−フェニルエチレ
ンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,
N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリ
メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ
メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ
エチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、
1,2−プロパンジアミン、2,3−ブタンジアミン、
1,2−シクロヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキ
センジアミン、1,2−フェニレンジアミン、2,2’
−ビピリジル等のジアミン化合物;2,3−ブタンジオ
キシム、2,4−ペンタンジオキシム等のジオキシム化
合物;2,3−ビス(N−メチルイミノ)−ブタン、
2,3−ビス(N−フェニルイミノ)−ブタン、1,3
−ビス(N−メチルイミノ)−ブタン、2,4−ビス
(N−メチルイミノ)−ペンタン等のジイミノ化合物等
を挙げることができる。好ましくは、ジアミン化合物で
あり、さらに好ましくは、エチレンジアミン、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,
N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,3−
プロパンジアミンである。
【0025】該二座配位子化合物は任意の量で用いるこ
とができるが、一般的には該遷移金属化合物に対して
0.01〜50当量が好ましく、0.1〜10当量がさ
らに好ましい。
【0026】該遷移金属化合物と該二座配位子化合物と
を接触させて、有機配位子化合物を配位子とする遷移金
属錯体を得る方法は、公知の方法に準じて行えばよい。
(例えば、「第4版実験化学講座17、P217、キレ
ート錯体」等を参照)また、2−フェニルフェノールの
重合系内に該遷移金属化合物と該二座配位子化合物をそ
れぞれ投入して用いてもよい。
【0027】該遷移金属錯体触媒は任意の量で用いるこ
とができるが、一般的には2−フェニルフェノールに対
する遷移金属原子相当の量として0.01〜50モル%
が好ましく、0.02〜10モル%がさらに好ましい。
本発明においては、触媒を単独でまたは混合して使用す
ることができる。また、硫酸マグネシウム等の乾燥剤を
使用することも可能である。
【0028】(B)酸化剤 上記のPPPO製造の際に用いる酸化剤としては、任意
のものが使用されるが、好ましくは酸素またはパーオキ
サイドが使用できる。酸素は不活性ガスとの混合物であ
ってもよく、空気でもよい。またパーオキサイドの例と
しては、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパ
ーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酢酸、過安
息香酸等を示すことができる。酸化剤としてさらに好ま
しくは酸素である。
【0029】該酸化剤の使用量に特に限定はなく、酸素
を用いる場合は、2−フェニルフェノールに対して通
常、当量以上大過剰に使用する。パーオキサイドを用い
る場合は、2−フェニルフェノールに対して通常、当量
以上3当量以下を使用するが、当量以上2当量以下を使
用するのが好ましい。
【0030】(C)反応溶媒 反応溶媒は、水と任意の割合で相溶することのない、非
水溶性の溶媒である。水溶性の溶媒を用いた場合は、ポ
リマー中のカルボニル構造量が多くなり、ポリマーの熱
安定性が悪くなるので、好ましくない。好ましい反応溶
媒の具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、クロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン、ニトロベン
ゼン、メトキシベンゼン、ジメトキシベンゼン、ベンゾ
ニトリル等の芳香族化合物類;ニトロメタン、ニトロエ
タン等のニトロ化合物類;ジエチルエーテル、ジプロピ
ルエーテル等のエーテル化合物類;クロロホルム、ジク
ロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;ヘプタン、シク
ロヘキサン等の鎖状及び環状の脂肪族炭化水素類等が挙
げられ、さらに好ましくは芳香族化合物類である。これ
らは単独あるいは混合物として使用される。
【0031】該溶媒は、2−フェニルフェノールの濃度
が好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは1〜
30重量%になるような割合で使用される。
【0032】(D)反応温度 本発明を実施する反応温度は、55℃以下である。55
℃より高い温度で反応する場合は、ポリマー中のカルボ
ニル構造量が多くなり、ポリマーの熱安定性が悪くなる
ので、好ましくない。好ましい温度範囲は−20℃〜5
0℃であり、より好ましくは0℃〜45℃である。
【0033】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を
限定されるものではない。
【0034】重合体の赤外吸収スペクトル分析およびピ
ーク面積定量:パーキンエルマー社製1600赤外分光
光度計(KBr法)を用いて測定した。ピーク面積の定
量は解析ソフト(パーキンエルマー社製GRAMS A
nalyst 1600)を用いて行った。
【0035】重合体のカルボニル構造量(C=O/C−
H):赤外吸収スペクトルについて、C=O結合構造ピ
ーク面積を1620〜1720cm-1の範囲で最大とな
るピーク面積とし、C−H結合構造ピーク面積を295
6〜3130cm-1の範囲で最大となるピーク面積とし
た。重合体のカルボニル構造量の目安として、C=O結
合構造ピーク面積/C−H結合構造ピーク面積により求
めた値(C=O/C−H)を用いた。
【0036】重合体の数平均分子量(Mn):ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(ポンプ:ウォーター
ズ社製600Eシステム、検出器:ウォーターズ社製U
V/VIS−484、検出波長:254nm、カラム:
ウォーターズ社製Ultrastyragel Linear=1本+100
0A=1本+100A=1本、展開溶媒:クロロホル
ム)により分析し、標準ポリスチレン換算値として数平
均分子量(Mn)を測定した。
【0037】重合体の熱安定性(加熱減量):窒素雰囲
気下の示唆熱天秤(リガク社製TAS−200)による
分析で、10℃/minで室温から500℃まで昇温し
たときの、100℃〜400℃までの加熱減量(%)
を、重合体の熱安定性の目安とした。
【0038】実施例1 電磁撹拌機を備えた200ml二つ口丸底フラスコに、
酸素ガス導入管を取付けた。これに、臭化第一銅(CuBr)
2mmolを入れ、N,N,N’N’−テトラエチル
エチレンジアミン(TEED) 1mmol、2−フェニルフ
ェノール80mmolをクロロベンゼン(MCB) 150m
lに溶解したものを加え、さらに硫酸マグネシウム6.
3gを加えた。フラスコを氷冷にて3℃に保ち、内容物
を攪拌下、酸素ガスを吹き込みながら、10時間反応し
た。反応終了後、反応混合物をメタノール1リットルに
攪拌しながら添加した。沈殿した重合体を濾取し、メタ
ノール50mlで3回洗浄し、イオン交換水50mlで
3回洗浄し、120℃で5時間減圧乾燥した。この重合
体の分析結果を表1に示し、赤外吸収スペクトルを図1
に示す。なお、この重合体の熱安定性を空気雰囲気下で
同様にして分析したところ、100℃〜400℃までの
加熱減量は2.4%であった。
【0039】実施例2および3 反応温度を表1に示すように変えた以外は、実施例1と
同様にして重合体を得た。表1に結果を示す。
【0040】比較例1 N,N,N’N’−テトラエチルエチレンジアミン(TEE
D) 1mmolをN,N,N’N’−テトラメチルエチ
レンジアミン(TMED) 2mmolに、反応温度を60℃
に、反応時間を15時間に変えた以外は、実施例1と同
様にして重合体を得た。表1に結果を示す。
【0041】比較例2 電磁撹拌機を備えた25ml二つ口丸底フラスコに、酸
素を充填したゴム風船を取付け、フラスコ内を酸素に置
換した。これに、塩化第一銅(CuCl) 0.10mmol
を入れ、2−ベンジルピリジン(BzPy) 0.30mmo
lと2−フェニルフェノール0.6mmolをニトロベ
ンゼン(PhNO2) 1.25gに溶解したものを加えた。内
容物を攪拌しながら、フラスコを150℃のオイルバス
で2.6時間保温した。反応終了後、濃塩酸数滴を加え
て酸性にした後、メタノール20mlを加え、沈殿した
重合体を濾取した。メタノール10mlで3回洗浄し、
120℃で5時間減圧乾燥した後、重合体を得た。この
重合体の分析結果を表1に示し、赤外吸収スペクトルを
図2に示す。
【0042】比較例3 電磁撹拌機を備えた50ml丸底フラスコに、2−フェ
ニルフェノール681mgと触媒のμ−オキソビス
[N,N’−ジサリチリデンエチレンジアミナト鉄(II
I)]([Fe(salen)]2O) の13mgを入れ、これにエチ
レングリコールジメチルエーテル(EGDME) 5mlとピリ
ジン0.1mlを加えて、氷浴中0℃で撹拌し溶解させ
た。さらに30%過酸化水素水0.5mlを30分間に
わたって加え、その後3時間0℃で撹拌した。反応終了
後、メタノール20mlを加えてポリマーを析出させ
た。これを濾取し、120℃で5時間減圧乾燥して、褐
色の粉末を得た。この重合体の分析結果を表1に示し、
赤外吸収スペクトルを図3に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリ(2
−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)は、カルボ
ニル構造が少ないという構造の制御された、熱安定性に
優れる、全く新規な高耐熱性のポリマーであり、例えば
高耐熱性の射出成形品として使用され得る。また、特定
の反応溶媒を用いて、かつ特定の反応温度範囲で、遷移
金属錯体触媒により2−フェニルフェノールを酸化重合
することによって、上記のポリ(2−フェニル−1,4
−フェニレンエーテル)を合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の重合体の赤外吸収スペクトル。
【図2】 比較例2の重合体の赤外吸収スペクトル。
【図3】 比較例3の重合体の赤外吸収スペクトル。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2−フェニルフェノールの酸化重合で得ら
    れる重合体において、C=O/C−H値(ただし、C=
    O/C−H値は赤外吸収スペクトルのC=O伸縮ピーク
    とC−H伸縮ピークの面積比を表す。)が0.25以下
    であり、かつ数平均分子量が500以上であるポリ(2
    −フェニル−1,4−フェニレンエーテル)。
  2. 【請求項2】C=O/C−H値が、0.20以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のポリ(2−フェニル−
    1,4−フェニレンエーテル)。
  3. 【請求項3】数平均分子量が、1,000〜1,00
    0,000であることを特徴とする請求項1又は2記載
    のポリ(2−フェニル−1,4−フェニレンエーテ
    ル)。
  4. 【請求項4】遷移金属錯体触媒を用いて、2−フェニル
    フェノールを酸化剤存在下で重合する際に、反応溶媒と
    して非水溶性の有機溶媒を用い、反応温度を55℃以下
    とすることを特徴とするポリ(2−フェニル−1,4−
    フェニレンエーテル)の製造方法。
  5. 【請求項5】反応溶媒が、非水溶性の芳香族化合物類、
    ニトロ化合物類、エーテル化合物類、ハロゲン化炭化水
    素類、脂肪族炭化水素類であることを特徴とする請求項
    4記載のポリ(2−フェニル−1,4−フェニレンエー
    テル)の製造方法。
  6. 【請求項6】反応温度が、−20℃〜50℃であること
    を特徴とする請求項4又は5記載のポリ(2−フェニル
    −1,4−フェニレンエーテル)の製造方法。
  7. 【請求項7】遷移金属錯体触媒が、有機配位子化合物を
    配位子とする第4〜11族遷移金属錯体触媒であること
    を特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のポリ(2
    −フェニル−1,4−フェニレンエーテル)の製造方
    法。
  8. 【請求項8】有機配位子化合物が、配位原子が窒素原
    子、リン原子、酸素原子または硫黄原子である二座配位
    子化合物であることを特徴とする請求項7記載のポリ
    (2−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)の製造
    方法。
  9. 【請求項9】酸化剤が、酸素又はパーオキサイドである
    ことを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のポリ
    (2−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)の製造
    方法。
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