JPH10167898A - 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法 - Google Patents
半絶縁性GaAs単結晶の製造方法Info
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- JPH10167898A JPH10167898A JP33235696A JP33235696A JPH10167898A JP H10167898 A JPH10167898 A JP H10167898A JP 33235696 A JP33235696 A JP 33235696A JP 33235696 A JP33235696 A JP 33235696A JP H10167898 A JPH10167898 A JP H10167898A
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Abstract
炭素濃度が一定な半絶縁性GaAs単結晶を得る。 【解決手段】 石英アンプル内に、GaAs原料及びB
2 O3 を入れたるつぼと、蒸気圧制御用のAsと、Ga
2 O3 、As2 O3 よりなる群から選ばれた1または2
以上の化合物、あるいは、一酸化炭素、二酸化炭素より
なる群から選ばれた1または2以上の化合物よりなる酸
素供給源を封入し、石英アンプル中のCOガス濃度を制
御しながら結晶成長を行う。 【効果】 育成結晶中の炭素濃度を制御しながら結晶育
成を行うことができ、炭素濃度の均一な半絶縁性GaA
s単結晶が高歩留まりで得られる。
Description
単結晶の製造方法に関し、例えばGaAsの原料融液を
冷却して垂直方向に単結晶を成長させる垂直グラジェン
トフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(V
B)法に適用して有用な技術に関する。
Transistor )やGaAs−ICの製作には、半絶縁性
GaAs単結晶よりなる基板が用いられる。
不純物を全く含んでいなければ真性キャリア濃度が1.
8×106 cm-3の半絶縁性となる。しかし、そのような
不純物を含まない半絶縁性GaAs単結晶を製造するの
は極めて困難であり、高純度化しても浅いドナー準位を
形成する珪素等のシャロードナーや浅いアクセプター準
位を形成する炭素等のシャローアクセプターが不純物と
してGaAs単結晶中に残存してしまう。従って、工業
的には、深いアクセプター準位を形成するクロム等のデ
ィープアクセプターや深いドナー準位を形成するEL2
等のディープドナーによりそれぞれ結晶中のシャロード
ナーやシャローアクセプターを補償することによって半
絶縁性を得るようにしている。
リッジマン(HB)法や液体封止チョクラルスキー(L
EC)法により工業的に製造されている。
のGaAs単結晶を安定して得ることができるという長
所の他に、大口径で円形のウェハーが得られるという長
所がある。しかし、LEC法では結晶育成中の結晶成長
方向の温度勾配が大きいため、FETやICを作製した
時の電気的な特性劣化を招く原因となる転位の密度が高
い他、得られたGaAs結晶は割れやすいという短所が
ある。
方向の温度勾配が小さいため、低転位密度の結晶が得ら
れるという長所がある反面、るつぼ(ボート)内で原料
融液を固化させるため大口径化が困難であり、またリネ
ージという転位の集積線が発生しやすく、さらにるつぼ
形状に依存した形状(かまぼこ形)のウェハーしか得ら
れないという短所がある。
れの短所を補い、それぞれの長所を活かした結晶製造方
法として、垂直グラジェントフリージング(VGF)法
や垂直ブリッジマン(VB)法がある。これらVGF法
やVB法によれば、有底円筒形のるつぼの使用により円
形のウェハーが得られる、結晶成長方向の温度勾配が小
さいため低転位密度化が容易である、さらに液体封止剤
(B2 O3 )を使用すれば、石英アンプルからの珪素の
混入を防いでアンドープの半絶縁性GaAs単結晶を成
長させることができる、という利点が得られる。
には、るつぼに入れた原料及び添加物を加熱して石英ア
ンプル中で溶解し、それを所定の温度勾配下で徐々に冷
却して結晶を育成する方法と、石英アンプルのリザーバ
部にAsを入れてAs圧の制御を行ないながら上記方法
と同様にして結晶育成を行う方法と、さらにB2 O3で
原料融液の表面を封止しながら上記2つの方法と同様に
して結晶育成を行う方法とがある。
晶育成を行う方法では、B2 O3 やその中の水分から酸
素が遊離し、その酸素と育成炉中のグラファイトとが反
応してCO(一酸化炭素)ガスが生成され、そのCOガ
スがB2 O3 中に溶解し、原料融液中のGaやH2 Oと
のバランスにより還元されC(炭素)となって原料融液
中に混入する、との報告がされている(6th Conf.on
Semi-insulating III-V Materials, Toronto(1990)2
11-218 、Journal of Crystal Growth 134(1993)97
-104)。
が1.4であるため、育成結晶中の炭素濃度は減少する
傾向にあるが、B2 O3 で原料融液の表面を封止しなが
らVGF法やVB法により石英アンプル中で結晶育成を
行った場合には、融液中の炭素は前記のようにB2 O3
中の水分と反応しCOガスとなるので炭素濃度はB2 O
3 中の水分濃度に大きく依存する。結晶育成が進むに連
れてB2 O3 中の水分の量が次第に減少していくので、
実際には、得られた結晶の種結晶側から単結晶の尾部に
かけて炭素濃度が増加する傾向にある。従って、結晶の
全域に亘って炭素濃度を一定に制御することは非常に困
難であり、得られた結晶は、その全域に亘って抵抗率が
一定にならず、FETやIC作製用の基板として用いる
ことはできないという問題点があった。また、B2 O3
中から発生した水分が、アンプル内の炭素と反応しCO
ガスを発生させるが、その蒸発量はB2 O3 中の水分含
有量や温度に依存するので常に一定のCO圧とするのは
困難であった。
されたもので、VGF法及びVB法により、結晶成長方
向の炭素濃度が一定な半絶縁性GaAs単結晶を得るこ
とを目的とする。
に、本発明者らは、石英アンプル中に、Ga2 O3 、A
s2 O3 や一酸化炭素、二酸化炭素などの酸素化合物よ
りなる酸素供給源を入れ、それによって結晶育成中に、
石英アンプル中のCO圧を制御することを考えた。
で、気密容器内に、少なくともGaAs原料を入れたる
つぼと、酸素化合物よりなる酸素供給源とを封入した
後、その気密容器を縦型の加熱炉内に設置して前記原料
をヒータにより加熱融解し、原料融液を所定の温度勾配
下で徐々に冷却して固化させることによりGaAs単結
晶を成長させるようにしたものである。
As原料とともにB2 O3 等の封止剤を入れるようにし
てもよい。
気密容器内の炭素含有物質と反応してCO圧を発生する
に十分な酸素を解離することができる酸素化合物であ
り、Ga2 O3 、As2 O3 よりなる群から選ばれた1
または2以上の化合物、あるいは一酸化炭素、二酸化炭
素よりなる群から選ばれた1または2以上の化合物であ
ってもよい。
プル中のCOガス濃度が一定に制御される。また、B2
O3 を用いることにより、育成結晶中に双晶が発生した
り、育成結晶が多結晶化したりするのを防ぐことができ
るので、単結晶化率が低下するのを防ぐことができる。
封止しながら結晶育成を行う場合、酸素と炭素とから生
成されたCOガスがB2 O3 中に溶解し、それが還元さ
れてCが原料融液中に混入するとの上記報告に基づき、
熱力学的な計算を行った。その計算内容について説明す
る。
源である例えばAs2 O3 (固体)、H2 Oを含んだB
2 O3 (固体)、GaAs(固体)、As(固体)、C
(固体)以外はないと考える。系内の昇温によって、反
応 As2 O3 → 1/2As4 O6 → 2AsO+1
/2O2 が進行する。発生したAs4 O6 やAsOやO2 は炭素
と反応し、COガスまたはCO2 ガスを発生するが、G
aAsの融点(1238℃)では殆どがCOガスである
と考えてよいので、 As4 O6 +6C → 2As2 +6CO AsO+C → 1/2As2 +CO O2 +C → 2CO となる。
が、炭素と反応しCOガスを発生することが考えれる
が、H2 Oの蒸発は徐々に生じるので、B2 O3 中から
蒸発したH2 Oと炭素により発生したCOガスの圧力
は、As2 O3 により発生したCOガスよりも小さい圧
力と考えられる。従って、GaAsが融解した時点での
初期のCO圧はAs2 O3 量に依存すると考えられる
が、以下の計算によって、As2 O3 により発生するC
OガスとB2 O3 中のH2 Oの蒸発によって発生するC
Oガスとの関係を求めた。
ら蒸発するH2 Oの量をxモル、酸素供給源であるAs
2 O3 等により生成されるCOの量をyモル、H2 Oと
Cの反応によって生成されるH2 及びCOの量をそれぞ
れxαモルとする。なお、αは、平衡時のH2 Oのモル
数を初期のH2 Oのモル数で割った値である。
衡時のモル数は表1のようになる。
おける分圧PH 2 O 、PH 2 及びPCOは、全圧をPとす
ると、次の(2)式で表される。
する。
式が得られる。
られる。
にαの2次式が得られる。
る。
リットル、平衡定数を612、B2 O3 を40g、B2
O3 中のH2 O量を90ppm とし、B2 O3 からH2 O
が全量蒸発すると、0.0002モルのH2 Oが蒸発す
ることになる。これらの数値と上記(7)式に基づき、
初期のCO圧値をパラメータとして、B2 O3 中のH2
Oの蒸発量とH2 O圧、H2 圧及びCO圧との関係を求
めた。その結果をそれぞれ図2、図3及び図4に示す。
らず、石英アンプル内のCO圧を略一定に制御すること
ができることがわかる。そして、そのCO圧の値は、C
O圧の初期値に依存していることがわかる。つまり、C
O圧の初期値は、酸素供給源であるAs2 O3 等のチャ
ージ量によって決まり、初期のCO圧が育成中も維持さ
れる。従って、結晶成長方向の炭素濃度が一定な半絶縁
性GaAs単結晶を得ることができる。
明する。図1には、本発明をVGF法に適用した際に使
用される結晶成長炉の概略が示されている。
示すように、結晶育成部1a、蒸気圧制御部(砒素だ
め)1b、酸素供給源設置部1c及び封止用キャップ1
dからなる気密容器(石英アンプル)1を使用し、該気
密容器1内でGaAs単結晶の育成を行う。
とも結晶育成部加熱用ヒータ2a、種結晶部加熱用ヒー
タ2b及び蒸気圧制御部加熱用ヒータ2dを有する円筒
状の多段構成のものである。図1に示す炉では、酸素供
給源設置部加熱用ヒータ2cが設けられており、酸素供
給源設置部1cの温度を独立して制御することができる
ようになっている。
ぼ3の種結晶設置部3a内に種結晶4を入れ、るつぼ3
内にGaAs原料5と封止剤(B2 O3 )6を入れる。
また、気密容器1の蒸気圧制御部1b内に蒸気圧制御用
の砒素7を入れるとともに、酸素供給源設置部1cに酸
素化合物(As2 O3 等)よりなる酸素供給源8を置
く。さらに、気密容器1の結晶育成部1a内の例えばグ
ラファイト製のサセプタ9上にるつぼ3を設置し、気密
容器1内を真空排気してキャップ1dにより封止する。
設置し、ヒータ2により加熱して原料5及び封止剤6を
融解させる。各ヒータ2a,2b,2c,2dの出力を
調整して、種結晶4側から原料融液5の上方に向かって
徐々に高温となるような所定の温度勾配を維持しつつ徐
々に原料融液5を下部から融点以下の温度に冷却するこ
とにより単結晶10を上方に向かって成長させる。その
際、蒸気圧制御部加熱用ヒータ2dの出力調整によりA
sの蒸気圧制御を行う。
GaAs原料5及びB2 O3 6を入れたるつぼ並びに蒸
気圧制御用のAsとともに、As2 O3 等の酸素供給源
8を封入することにより、気密容器1中のCOガス濃度
を制御しながら結晶成長を行うようにしたので、育成結
晶中の炭素濃度を制御しながら結晶育成を行うことがで
き、炭素濃度の均一な半絶縁性GaAs単結晶が高歩留
まりで得られる。
容器内の炭素含有物質(例えばグラファイト製のサセプ
タ9)と反応して、GaAs単結晶中の目標C濃度を達
成できるCO圧を発生するに十分な酸素を解離すること
ができる酸素化合物であり、As2 O3 に限らず、Ga
2 O3 、As2 O3 よりなる群から選ばれた1または2
以上の化合物、あるいは一酸化炭素、二酸化炭素よりな
る群から選ばれた1または2以上の化合物であってもよ
い。すなわち、容易に酸素を解離し易く、かつ育成結晶
に混入してもGaAs単結晶の結晶性及び電気的な特性
に悪影響を及ぼさないような材料であれば、いかなるも
のでもよい。特に、GaAsの構成元素であるGa2 O
3 、As2 O3 が好ましい。
法に適用した場合について説明したが、本発明はVB法
にも適用可能である。
の種結晶設置部に種結晶を入れ、さらにるつぼ内に約3
kgのGaAs多結晶と40gのB2 O3 (含有水分量:
90ppm )を入れた。続いて、石英アンプルの蒸気圧制
御部に2gのAsを入れるとともに、酸素供給源設置部
にAs2 O3 を28.2gチャージした。そして、原料
及び封止剤を入れたるつぼを石英アンプル内のサセプタ
上に設置した後、石英アンプルをキャップにより真空封
止した。その真空封止した気密容器を4段ヒータ構成の
縦型加熱炉内に設置した。なお、酸素供給源設置部を特
別に設けずに、As2 O3 をるつぼの傍に置いてもよ
い。また、高圧炉を用いる場合は、原料としてGaAs
多結晶を用いるかわりに、るつぼにGaとAsを入れて
それらを直接合成させるようにしてもよい。
用ヒータにより、種結晶の上端と原料が1238℃〜1
255℃の温度となるようにるつぼを加熱して原料及び
封止剤を融解させるとともに、蒸気圧制御部加熱用ヒー
タにより蒸気圧制御部を605℃となるように加熱し
た。
なるように加熱炉の設定温度を連続的に下げて結晶の育
成を開始した。結晶育成中、蒸気圧制御部の温度が一定
になるように保持するようにヒータの出力を制御した。
で原料融液はすべて固化した。その後、加熱炉全体を毎
時100℃の降温速度で冷却し、室温近くまで冷えた時
点で加熱炉内から気密容器を取り出し、その気密容器を
壊して結晶を取り出した。
2cmのGaAs単結晶であり、その結晶性を調べたとこ
ろ双晶や多結晶は全く発生していなかった。この単結晶
インゴットを切断して転位密度を調べたところ、結晶の
どの領域においても転位密度は2000cm-2以下であっ
た。また、得られた結晶の炭素濃度は結晶全域で約1×
1016cm-3であった。さらに、抵抗率は3.2×108
Ωcm〜4.0×108Ωcmであった。
晶成長を10回行ったところ、10回とも炭素濃度が略
(1±0.1)×1016cm-3であり、抵抗率が3.0×
108 Ωcm〜4.0×108 ΩcmのGaAs単結晶が得
られた。
ャージしない以外は、上記実施例と同じ条件でGaAs
単結晶の育成を行った。
2cmのGaAs単結晶であり、その結晶性を調べたとこ
ろ双晶や多結晶は全く発生していなかった。この単結晶
インゴットを切断して転位密度を調べたところ、結晶の
どの領域においても転位密度は、2000cm-3以下であ
った。また、得られた結晶の炭素濃度は結晶全域で約
0.5×1016cm-3〜1.5×1016cm-3であった。さ
らに、抵抗率は1.0×108 Ωcm〜5.0×108 Ω
cmであった。
結晶成長を10回行ったところ、10回とも炭素濃度が
約0.5×1016cm-3〜1.5×1016cm-3であり、抵
抗率が1.0×108 Ωcm〜5.0×108 ΩcmのGa
As単結晶が得られた。
ともGaAs原料を入れたるつぼと、酸素化合物よりな
る酸素供給源とを封入した後、その気密容器を縦型の加
熱炉内に設置して前記原料をヒータにより加熱融解し、
原料融液を所定の温度勾配下で徐々に冷却して固化させ
ることによりGaAs単結晶を成長させるようにしたた
め、結晶育成中の気密容器内のCOガス濃度を制御する
ことができるので、育成結晶中の炭素濃度を制御しなが
ら結晶育成を行うことができ、炭素濃度の均一な半絶縁
性GaAs単結晶を高歩留まりで得ることができる。
晶成長炉の概略図である。
くB2 O3 中のH2 Oの蒸発量とH2 O圧との関係を表
す特性図である。
くB2 O3 中のH2 Oの蒸発量とH2 圧との関係を表す
特性図である。
くB2 O3 中のH2 Oの蒸発量とCO圧との関係を表す
特性図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 気密容器内に、少なくともGaAs原料
を入れたるつぼと、酸素化合物よりなる酸素供給源とを
封入した後、その気密容器を縦型の加熱炉内に設置して
前記原料をヒータにより加熱融解し、原料融液を所定の
温度勾配下で徐々に冷却して固化させることによりGa
As単結晶を成長させることを特徴とする半絶縁性Ga
As単結晶の製造方法。 - 【請求項2】 前記るつぼ内に、GaAs原料とともに
封止剤を入れることを特徴とする請求項1記載の半絶縁
性GaAs単結晶の製造方法。 - 【請求項3】 前記封止剤は、B2 O3 であることを特
徴とする請求項2記載の半絶縁性GaAs単結晶の製造
方法。 - 【請求項4】 前記酸素化合物は、加熱により前記気密
容器内の炭素含有物質と反応してCO圧を発生するに十
分な酸素を解離することができる酸素化合物であること
を特徴とする請求項1、2または3記載の半絶縁性Ga
As単結晶の製造方法。 - 【請求項5】 前記酸素化合物は、Ga2 O3 、As2
O3 よりなる群から選ばれた1または2以上の化合物で
あることを特徴とする請求項4記載の半絶縁性GaAs
単結晶の製造方法。 - 【請求項6】 前記酸素化合物は、二酸化炭素、一酸化
炭素よりなる群から選ばれた1または2以上の化合物で
あることを特徴とする請求項4記載の半絶縁性GaAs
単結晶の製造方法。
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