JPH10259100A - GaAs単結晶の製造方法 - Google Patents

GaAs単結晶の製造方法

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JPH10259100A
JPH10259100A JP6421997A JP6421997A JPH10259100A JP H10259100 A JPH10259100 A JP H10259100A JP 6421997 A JP6421997 A JP 6421997A JP 6421997 A JP6421997 A JP 6421997A JP H10259100 A JPH10259100 A JP H10259100A
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silicon
crystal
gaas
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Kenji Kohiro
健司 小廣
Akira Noda
朗 野田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体封止剤であるB2 3 を使用したVGF
法及びVB法において、シリコンのドープ量を精度よく
制御することができ、例えばシリコンのドープ量が10
18cm-3以上のn型低転位密度GaAs単結晶を歩留り良
く製造することができるGaAs単結晶の製造方法を提
供する。 【解決手段】 所定量のシリコンが添加されたGaAs
原料融液5を、予めシリコン濃度に換算して総量で5重
量%を超える量のシリコン酸化物やケイ酸化合物が添加
されたB2 3 よりなる液体封止剤6で封止しながら、
結晶を成長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GaAs単結晶の
製造方法さらにはGaAsの原料融液を冷却して垂直方
向に単結晶を成長させる垂直グラジェントフリージング
法(以下、VGF法とする)や垂直ブリッジマン法(以
下、VB法とする)に関し、例えばシリコン(Si)濃
度が5×1017cm-3以上のn型低転位密度GaAs単結
晶の製造に適用して有用な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、GaAs単結晶基板を使用したレ
ーザーダイオード( LD) や発光ダイオード( LED)
等の素子の製作には、導電性GaAs単結晶よりなる基
板が用いられる。導電性GaAs単結晶の製造方法とし
て、液体封止チョクラルスキー法(以下、LEC法とす
る)、水平ブリッジマン法(以下、HB法とする)、V
GF法及びVB法が知られている。
【0003】LEC法には、液体封止剤(B2 3 )を
使用しているため高純度化し易いという長所と、大口径
で円形のウェハーが得られるという長所がある反面、結
晶育成中の結晶成長方向の温度勾配が大きいため、素子
を作製した時の電気的な特性劣化(特にレーザダイオー
ド素子の場合、その寿命が縮まる)を招く原因となる転
位の密度が高いという短所がある。
【0004】HB法には、結晶育成中の結晶成長方向の
温度勾配が小さいため、低転位密度の結晶が得られると
いう長所がある反面、るつぼ(ボート)内で原料融液を
固化させるため大口径化が困難であるだけでなくるつぼ
形状に依存した形状(かまぼこ形)のウェハーしか得ら
れない、という短所がある。
【0005】VGF法やVB法は、LEC法及びHB法
のそれぞれの長所を活かした結晶製造方法であり、有底
円筒形のるつぼの使用により円形のウェハーが得られ
る、結晶成長方向の温度勾配が小さいため低転位密度化
が容易である、という利点を有している。しかし、VG
F法やVB法には、炉内の温度勾配が小さいため、わず
かな温度変動の影響や、るつぼ壁の凹凸や異物の影響を
受け易く、双晶や多結晶が発生し易いという欠点があ
る。それらの欠点に対して、近時、温度調節技術の進歩
により炉内温度変動を制御することができるようにな
り、また液体封止剤(B2 3 )の使用によりるつぼ壁
からの双晶及び多結晶の発生を防ぐことができるように
なってきている。従って、VGF法やVB法によるGa
As単結晶の製造歩留りは改善されてきている。
【0006】しかし、VGF法やVB法において、n型
不純物であるシリコンをドーピングしてn型のGaAs
単結晶を製造する際に、GaAs単結晶の歩留りを向上
させるためにB2 3 を使用すると、原料中に添加した
シリコンのほとんどがB2 3 中に取り込まれてしまう
ので、育成したGaAs単結晶中のシリコンのドーピン
グ量を制御することができないという問題点がある。
【0007】B2 3 を用いて結晶育成を行った場合
に、原料中に添加したシリコンがGaAs中から失われ
る機構については、種々提案されている。それらをまと
めると以下のようになる。すなわち、B2 3 によりG
aAsを封止してシリコンドープGaAs単結晶を育成
する場合、その反応系内に存在する物質はGaAs、B
2 3 、Si(シリコン)及びO(酸素)である。O
(酸素)はB2 3 中に不純物として存在している。図
2には、温度と各種酸化物の標準生成自由エネルギーΔ
Gとの関係が示されているが、同図より、GaAsの融
点(1238℃)近傍の温度において生成され得る酸化
物の中では、SiO2 が熱力学的に最も安定であること
がわかる(ΔGの値が小さいほど安定している)。従っ
て、GaAs中に添加されたSi(シリコン)は、次の
(1)式及び(2)式で表される反応により、SiO2
となってB2 3 中に取り込まれてしまう。 3Si+2B2 3 =3SiO2 +4B‥‥(1) Si+2H2 O=SiO2 +2H2 ‥‥(2) 上述した熱力学的考察によれば、GaAs中からSi
(シリコン)が殆ど失われてしまうことになるが、実際
には反応速度も関与するため、GaAs中にいくらかの
量のシリコンが残存することになる。
【0008】本発明者らが過去に行った実験(VGF法
によるシリコンドープGaAs結晶の育成実験)によれ
ば、シリコンの添加量が1019cm-3の場合にGaAs結
晶のシリコン濃度は約1017cm-3であった。そこで、シ
リコンの添加量を1020cm-3としたところ、GaAs結
晶中にシリコンを1018cm-3の濃度でドーピングするこ
とができたが、育成した結晶の表面やB2 3 中にスカ
ム状の異物、すなわち浮遊物が発生し、育成結晶は多結
晶化してしまった。
【0009】シリコンが1018cm-3の濃度でドーピング
されてなるGaAs結晶の育成方法として、特公平3−
57079号公報に開示された方法がある。この方法
は、シリコン酸化物またはケイ酸等のシリコン化合物
が、シリコン濃度に換算して0.001〜5重量%の濃
度で添加されたB2 3 を液体封止剤として用いて、L
EC法によりシリコン濃度が1018cm-3程度のGaAs
結晶を育成するものである。この方法によれば、GaA
s中のシリコンの損失が殆どなく、かつスカム(浮遊
物)も発生しないという効果が得られるとされている。
【0010】また、上記特公平3−57079号の発明
者らは、日本結晶成長学会バルク成長分科会第18回研
究会資料集の第16頁〜第22頁の中で、VGF法にお
いて、上記特公平3−57079号の発明と同様にシリ
コン酸化物であるSiO2 が添加されたB2 3 を液体
封止剤として用いたところ(同研究会資料集第19頁右
上の表の「液体封止材」の項目を参照)、シリコン濃度
が1018cm-3程度のGaAs結晶(同研究会資料集第1
9頁下の「結晶中のSi濃度とB濃度の関係」及び「成
長軸方向のSi濃度分布」をそれぞれ表す特性図中のCr
ystal B 及びCrystal C )が得られた旨、報告して
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
公平3−57079号に開示された技術は、LEC法の
改良技術であり、そのままではVGF法やVB法に応用
することは極めて困難である。実際に、本発明者らは、
特公平3−57079号に開示された技術をそのままV
GF法に応用し、B2 3 (含有水分量:90ppm )に
SiO2 をシリコン濃度に換算して5重量%添加して、
シリコンドープGaAs結晶の育成を試みた。その結
果、スカム(浮遊物)の発生量が少なく単結晶が得られ
たが、育成結晶中にドーピングされたシリコンの濃度は
5×1017cm-3に到達せず、B2 3中に添加したシリ
コンの半分以上が失われていた。このことからも、上記
特公平3−57079号の発明をそのままVGF法やV
B法に応用することは不可能であることがわかる。
【0012】また、日本結晶成長学会バルク成長分科会
第18回研究会資料集の第16頁〜第22頁の中に報告
された結晶の育成方法はVGF法の改良技術であるが、
23 中のSiO2 の添加量が明示されていない。従
って、同研究会資料集に開示された内容だけでは、実際
には、シリコン濃度が1018cm-3程度のGaAs結晶を
得ることはできない。これは、VGF法と原理的に同じ
であるVB法においても同様である。
【0013】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、液体封止剤であるB2 3 を使用したVGF法及び
VB法において、シリコンのドープ量を精度よく制御す
ることができ、例えばシリコンのドープ量が5×1017
cm-3以上のn型低転位密度GaAs単結晶を歩留り良く
製造することができるGaAs単結晶の製造方法を提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは、VGF法において、SiO2 を5重
量%(シリコン濃度に換算した量)添加し、GaAs原
料中にシリコンを2×1019cm-3の濃度となるように添
加して、GaAs結晶の育成実験を行った。しかし、ス
カムが少し発生し、単結晶の歩留まりが低下してしまっ
た。
【0015】この実験結果に基づいて検討を行った結
果、本発明者らは、単結晶の歩留りを低下させずに、シ
リコンのドープ量を5×1017cm-3以上に精度良く制御
してGaAs単結晶を製造するためには、B2 3 中に
添加するシリコン酸化物やケイ酸化合物の濃度をシリコ
ン濃度に換算して5重量%よりも多くするのが有効であ
るとの結論を得た。
【0016】しかし、本発明者らが実験したところ、B
2 3 中のシリコン酸化物やケイ酸化合物の添加量が5
重量%(シリコン濃度に換算した量)を超えると、本来
無色透明であるB2 3 が均一にガラス化せずにその一
部が濁ったり、全体が不透明になってしまう。このこと
は、上記特公平3−57079号公告公報中でも指摘さ
れている。LEC法では、一般に、種付け状態や育成結
晶の状態を目視観察する必要があるため、B2 3 が透
明であることは必要不可欠な条件である。従って、LE
C法の改良技術である上記特公平3−57079号の発
明においては、B2 3 が濁っていたり不透明であるこ
とは考えられず、よってB2 3 中のシリコン酸化物や
ケイ酸化合物の添加量の上限は5重量%(シリコン濃度
に換算した量)となっている。
【0017】それに対して、VGF法やVB法では、種
付け部や育成結晶の状態を目視観察する必要がないの
で、B2 3 中にシリコン濃度に換算して5重量%を超
えるシリコン酸化物やケイ酸化合物を添加しても不都合
が生じないと推察される。
【0018】本発明は、上記考察に基づきなされたもの
で、予めB2 3 に、シリコン酸化物もしくはケイ酸化
合物を、シリコン濃度に換算して5重量%を超える量、
またはシリコン酸化物及びケイ酸化合物を、それら両方
を合わせてシリコン濃度に換算して5重量%を超える量
を添加してなる液体封止剤を作製し、該液体封止剤をG
aAs原料と、SiまたはSiを構成元素として含む化
合物よりなる所定量のドーパントとともにるつぼに入
れ、そのるつぼを気密容器内に封入し、その気密容器を
縦型の加熱炉内に設置して前記液体封止剤、前記原料及
び前記ドーパントをヒータにより加熱して融液とした
後、その融液を所定の温度勾配下で徐々に冷却して固化
させることにより所定濃度のシリコンがドープされてな
るGaAs単結晶を成長させるものである。この発明に
よれば、結晶育成中に、GaAs中のシリコンがB2
3 中に取り込まれるのが抑制されるので、GaAs原料
中のドーパント(シリコン)の添加量が従来よりも少な
くても、シリコンを高濃度でかつ精度良く制御してドー
ピングすることができる。
【0019】この発明において、使用されるドーパント
の量は、シリコン酸化物及びケイ酸化物のうちいずれか
一方が含まれ他方が含まれていない場合、及びシリコン
酸化物とケイ酸化物の両者が含まれているいずれの場合
でもシリコン濃度に換算して、20重量%以下の方が好
ましい。その理由は、この濃度以上となると、液体封止
剤全体の軟化点が上がり、GaAs原料を融解時の封止
が不十分となる可能性があるためである。
【0020】また、上記発明において、具体的には、前
記シリコン酸化物はSiO2 であり、前記ケイ酸化合物
は(SiO2 m ・(H2 O)n (ただし、m、nは整
数である)であってもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
について説明する。図1には、本発明をVGF法に適用
した際に使用される結晶成長炉の概略が示されている。
【0022】本発明に係る単結晶製造方法の実施にあた
っては、図1に示すように、結晶育成部1a、蒸気圧制
御部(砒素だめ)1b及び封止用キャップ1cを有する
気密容器(石英アンプル)1を使用し、該気密容器1内
でGaAs単結晶の育成を行う。
【0023】使用する縦型加熱炉のヒータ2は、少なく
とも結晶育成部加熱用ヒータ2a、種結晶部加熱用ヒー
タ2b及び蒸気圧制御部加熱用ヒータ2cを有する円筒
状の多段構成のものであり、炉内の温度プロファイルを
任意に制御することができるようになっている。
【0024】結晶育成を行うにあたっては、まず、るつ
ぼ3の種結晶設置部3a内に種結晶4を入れるととも
に、るつぼ3内にGaAs原料と、Si単体もしくはS
iを構成元素として含む化合物(例えば、SiAs)よ
りなるドーパントと、SiO2等のシリコン酸化物及び
(SiO2 m ・(H2 O)n (ただし、m、nは整数
である)等のケイ酸化合物の一方または両方をシリコン
濃度に換算した総量で5重量%を超えて20重量%以下
の濃度となるようにB2 3 中に添加してなる封止剤と
を入れる。そして、気密容器1の蒸気圧制御部1b内に
蒸気圧制御用の砒素7を入れるとともに、気密容器1の
結晶育成部1a内のサセプタ9上にるつぼ3を設置し、
気密容器1内を真空排気してキャップ1cにより封止す
る。
【0025】その気密容器1を縦型加熱炉の所定位置に
設置し、ヒータ2により加熱して原料及びB2 3 を融
解させる。各ヒータ2a,2b,2cの出力を調整し
て、種結晶4側から原料融液5及びB2 3 融液よりな
る液体封止剤6の上方に向かって徐々に高温となるよう
な所定の温度勾配を維持するとともに、Asの蒸気圧制
御を行いながら、徐々に原料融液5を下部から融点以下
の温度に冷却することにより、単結晶10を上方に向か
って成長させる。
【0026】上記実施形態によれば、所定量のシリコン
が添加されたGaAs原料融液5を、予め所定濃度のシ
リコン酸化物やケイ酸化合物が添加されたB2 3 より
なる液体封止剤6で封止しながら、VGF法により固化
させるようにしたため、結晶育成中に、GaAs中のシ
リコンがB2 3 中に取り込まれるのを抑制することが
できるので、従来よりもGaAs原料中のドーパント
(シリコン)の添加量を少なくしてスカム(浮遊物)の
発生を防ぎながら、シリコンを高濃度でかつ精度良く制
御してドーピングすることができる。従って、例えばシ
リコンのドープ量が5×1017cm-3以上のn型低転位密
度GaAs単結晶を歩留り良く製造することができる。
【0027】なお、上記実施形態においては、本発明を
VGF法に適用した場合について説明したが、本発明は
VB法にも適用可能である。
【0028】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の
特徴とするところを明らかとする。以下の各例では、育
成したGaAs単結晶のキャリア濃度(シリコン濃度)
を1.0×1018cm-3〜4.0×1018cm-3の範囲内の
濃度にすることを目標とした。なお、本発明は、以下の
実施例により何ら制限されるものではない。 (実施例)図1に示す構成のVGF炉を用いた。まず、
直径約3インチで厚さ3mmのpBN(熱分解窒化ホウ
素)製るつぼの種結晶設置部にGaAs単結晶よりなる
種結晶を入れた。さらに、その上からるつぼ内に、原料
として約3kgのGaAs多結晶と、ドーパントとして
0.19gのシリコン単体(シリコンメタル)と、含有
水分量が90ppm でかつシリコン濃度に換算して10重
量%のSiO2 が予め添加されたB2 3 よりなる50
gの封止剤とを入れた。
【0029】続いて、気密容器である石英アンプルの蒸
気圧制御部に8gの砒素をチャージし、原料、ドーパン
ト及び封止剤を入れたるつぼを石英アンプル内のサセプ
タ上に設置した後、石英アンプルをキャップにより真空
封止した。その真空封止した気密容器を3段ヒータ構成
の縦型加熱炉内に設置した。なお、原料としてGaAs
多結晶を用いる代わりに、るつぼ3内にGaとAsを入
れてそれらを直接合成させるようにしてもよい。
【0030】結晶育成部加熱用ヒータ及び種結晶部加熱
用ヒータにより、種結晶の上端と原料が1238℃〜1
255℃の温度となるようにるつぼを加熱して原料、ド
ーパント及び封止剤を融解させるとともに、蒸気圧制御
部加熱用ヒータにより蒸気圧制御部を605℃となるよ
うに加熱した。
【0031】この状態で、結晶の育成速度が毎時1.5
mmとなるように加熱炉の設定温度を連続的に下げてGa
As単結晶の育成を開始した。
【0032】結晶育成開始から約80時間経過した時点
で原料融液はすべて固化した。その後、加熱炉全体を毎
時100℃の降温速度で冷却した。室温近くまで冷えた
時点で加熱炉内から気密容器を取り出し、その気密容器
を壊して結晶を取り出した。
【0033】得られた結晶は直径約3インチで全長約1
2cmのGaAs単結晶であり、その結晶性を調べたとこ
ろ双晶や多結晶は全く発生していなかった。また、B2
3中やGaAs単結晶表面にスカム(浮遊物)は観察
されなかった。
【0034】この単結晶インゴットを切断して転位密度
を調べたところ、結晶のどの領域においても転位密度は
500cm-2以下であった。また、得られた結晶の電気特
性を測定したところ、キャリア濃度(シリコン濃度)は
1.0×1018cm-3〜3.0×1018cm-3であり、所望
の範囲内(1.0×1018cm-3〜4.0×1018cm-3
に精度良く制御されていることがわかった。
【0035】同様にして、シリコンドープGaAs単結
晶の育成を10回行ったところ、10回とも転位密度が
500cm-2以下でキャリア濃度(シリコン濃度)が1.
0×1018cm-3〜3.0×1018cm-3のGaAs単結晶
が得られた。すなわち、低転位密度で、所望量のシリコ
ンが再現性よくドーピングされたGaAs単結晶が得ら
れることがわかった。 (比較例1)B2 3 のSiO2 の添加量をシリコン濃
度に換算して5重量%とした以外は、上記実施例と同じ
条件でGaAs単結晶の育成を行った。得られた結晶は
単結晶であり、その転位密度は結晶のどの領域において
も500cm-2以下であったが、キャリア濃度(シリコン
濃度)は1.5×1017cm-3〜4.5×1017cm-3であ
った。すなわち、シリコンのドープ量を所望の範囲内
(1.0×1018cm-3〜4.0×1018cm-3)に精度良
く制御することができなかった。また、B2 3中には
スカム(浮遊物)が少し発生していた。
【0036】同様にして、シリコンドープGaAs単結
晶の育成を5回行ったところ、双晶が1回発生し、その
他の4回は転位密度が500cm-2以下でキャリア濃度
(シリコン濃度)が1.0×1017cm-3〜4.8×10
17cm-3のGaAs単結晶であった。 (比較例2)B2 3 のSiO2 の添加量をシリコン濃
度に換算して5重量%とし、かつドーパントであるシリ
コン単体(シリコンメタル)の量を0.38gとした以
外は、上記実施例と同じ条件でGaAs単結晶の育成を
行った。得られた結晶の表面及びB2 3 中にはスカム
(浮遊物)が発生しており、結晶表面のスカム付着部分
から双晶が発生していた。また、転位密度は双晶の発生
のため測定不可能であった。キャリア濃度(シリコン濃
度)は3.0×1017cm-3〜1.0×1018cm-3であ
り、所望の範囲(1.0×1018cm-3〜4.0×1018
cm-3)から一部逸脱していた。
【0037】同様にして、シリコンドープGaAs単結
晶の育成を5回行ったところ、単結晶が得られたのは1
回だけであり、他の4回はいずれも双晶が発生してい
た。また、キャリア濃度(シリコン濃度)は2.0×1
17cm-3〜1.5×1018cm-3であり、大きくばらつい
ていた。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、予めB2 3 に、シリ
コン酸化物もしくはケイ酸化合物を、シリコン濃度に換
算して5重量%を超える量、またはシリコン酸化物及び
ケイ酸化合物を、それら両方を合わせてシリコン濃度に
換算して5重量%を超える量を添加してなる液体封止剤
を作製し、該液体封止剤をGaAs原料と、Siまたは
Siを構成元素として含む化合物よりなる所定量のドー
パントとともにるつぼに入れ、そのるつぼを気密容器内
に封入し、その気密容器を縦型の加熱炉内に設置して前
記液体封止剤、前記原料及び前記ドーパントをヒータに
より加熱して融液とした後、その融液を所定の温度勾配
下で徐々に冷却して固化させることにより所定濃度のシ
リコンがドープされてなるGaAs単結晶を成長させる
ようにしたため、スカムの発生を防ぎながら、結晶育成
中に、GaAs中のシリコンがB23 中に取り込まれ
るのを抑制することができるので、例えばシリコンのド
ープ量が5×1017cm-3以上のn型低転位密度GaAs
単結晶を歩留り良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をVGF法に適用した際に使用される結
晶成長炉の概略図である。
【図2】温度と各種酸化物の標準生成自由エネルギーΔ
Gとの関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 気密容器 2 ヒータ 3 るつぼ 5 原料融液 6 液体封止剤(B2 3 ) 10 GaAs単結晶

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予めB2 3 に、シリコン酸化物もしく
    はケイ酸化合物を、シリコン濃度に換算して5重量%を
    超える量、またはシリコン酸化物及びケイ酸化合物を、
    それら両方を合わせてシリコン濃度に換算して5重量%
    を超える量を添加してなる液体封止剤を作製し、該液体
    封止剤をGaAs原料と、SiまたはSiを構成元素と
    して含む化合物よりなる所定量のドーパントとともにる
    つぼに入れ、そのるつぼを気密容器内に封入し、その気
    密容器を縦型の加熱炉内に設置して前記液体封止剤、前
    記原料及び前記ドーパントをヒータにより加熱して融液
    とした後、その融液を所定の温度勾配下で徐々に冷却し
    て固化させることにより所定濃度のシリコンがドープさ
    れてなるGaAs単結晶を成長させることを特徴とする
    GaAs単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ドーパントの量は、シリコン濃度換
    算で5重量%を超え20重量%以下であることを特徴と
    する請求項1記載のGaAs単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記シリコン酸化物はSiO2 であり、
    前記ケイ酸化合物は(SiO2 m ・(H2 O)n (た
    だし、m、nは整数である)であることを特徴とする請
    求項1または2記載のGaAs単結晶の製造方法。
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Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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