JPH10212200A - 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法 - Google Patents

半絶縁性GaAs単結晶の製造方法

Info

Publication number
JPH10212200A
JPH10212200A JP1273397A JP1273397A JPH10212200A JP H10212200 A JPH10212200 A JP H10212200A JP 1273397 A JP1273397 A JP 1273397A JP 1273397 A JP1273397 A JP 1273397A JP H10212200 A JPH10212200 A JP H10212200A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystal
single crystal
acceptor
raw material
semi
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1273397A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Kohiro
健司 小廣
Akira Noda
朗 野田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Energy Corp filed Critical Japan Energy Corp
Priority to JP1273397A priority Critical patent/JPH10212200A/ja
Publication of JPH10212200A publication Critical patent/JPH10212200A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Liquid Deposition Of Substances Of Which Semiconductor Devices Are Composed (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 VGF法及びVB法により、抵抗率が均一
で、かつ低転位密度の半絶縁性GaAs単結晶を高い歩
留りで得る。 【解決手段】 縦型加熱炉内で、合計の濃度が1×10
15cm-3〜5×1015cm-3となる炭素及び偏析係数1未満
でかつ結晶中でアクセプターとなる亜鉛等の不純物と、
GaAsの原料とを有する原料融液5を、90ppm 〜5
00ppm の水分を含有するB2 3 6で封止しながら、
所定の温度勾配下で徐々に冷却して原料融液5を固化さ
せた後、0.5℃/min 以上3℃/min 以下の冷却速度
で700℃から500℃まで冷却することにより、結晶
全域にわたって、炭素及び亜鉛等の不純物とからなるア
クセプターの濃度が均一で、さらに抵抗率が均一で低転
位密度の半絶縁性GaAs単結晶を高い歩留りで得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半絶縁性GaAs
単結晶の製造方法に関し、例えばGaAsの原料融液を
冷却して垂直方向に単結晶を成長させる垂直グラジェン
トフリージング法(以下、VGF法と記す)や垂直ブリ
ッジマン法(以下、VB法と記す)に適用して有用な技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、GaAs−FET(Field-Effect
Transistor )やGaAs−ICの製作には、クロムド
ープ及びアンドープの半絶縁性GaAs単結晶よりなる
基板が用いられる。
【0003】GaAsは、1.4eVの禁制帯幅を有し、
不純物を全く含んでいなければ真性キャリア濃度が1.
8×106 cm-3の半絶縁性となる。しかし、そのような
不純物を含まない半絶縁性GaAs単結晶を製造するの
は極めて困難であり、高純度化しても浅いドナー準位を
形成する珪素等のシャロードナーや浅いアクセプター準
位を形成する炭素等のシャローアクセプターが不純物と
してGaAs単結晶中に残存してしまう。従って、工業
的には、深いアクセプター準位を形成するクロム等のデ
ィープアクセプターや深いドナー準位を形成するEL2
等のディープドナーによりそれぞれ結晶中のシャロード
ナーやシャローアクセプターを補償することによって半
絶縁性を得るようにしている。
【0004】クロムドープ及びアンドープのGaAs
は、それぞれ水平ブリッジマン法(以下、HB法と記
す)及び液体封止チョクラルスキー法(以下、LEC法
と記す)により工業的に製造されている。
【0005】HB法においては、通常石英アンプル中で
結晶育成を行うので、石英ガラスの構成元素である珪素
が育成結晶中に混入する。そのため、得られた結晶中の
珪素(シャロードナー)の濃度は1015cm-3〜1016cm
-3程度になる。また、HB法により製造された結晶中に
は、1015cm-3〜1016cm-3程度の炭素(シャローアク
セプター)及び5×1015cm-3〜2×1016cm-3程度の
EL2(ディープドナー)も含まれている。従って、シ
ャロードナーの濃度がシャローアクセプターの濃度より
も高くなる場合がある。それゆえ、半絶縁性のGaAs
単結晶をHB法により安定して得るためには、ディープ
ドナーであるEL2によりシャローアクセプターを補償
するのに加えて、ディープアクセプターとなるクロムを
シャロードナーの濃度よりも高濃度(1016cm-3〜5×
1017cm-3程度)となるようにドーピングして補償する
必要がある。
【0006】このように、HB法には、石英アンプルか
ら混入する珪素を補償するためにクロムを添加しなけれ
ばならないという短所がある。また、るつぼ(ボート)
内で原料融液を固化させるため大口径化が困難でるつぼ
形状に依存した形状(かまぼこ形)のウェハーしか得ら
れないという短所もある。しかし、HB法には、結晶育
成中の結晶成長方向の温度勾配が小さいため、低転位密
度の結晶が得られるという長所がある。
【0007】一方、LEC法においては、通常石英製の
部品を使用しないため、高純度化し易く、珪素等のシャ
ロードナーの濃度は1015cm-3以下と低い。それに対し
て、LEC法ではグラファイト製のヒーター等を用いて
いるため、シャローアクセプターとなる炭素の濃度は2
×1015cm-3〜1016cm-3になる。従って、シャローア
クセプターの濃度がシャロードナーの濃度よりも高いた
め、ディープドナーとなるEL2によりシャローアクセ
プターを補償するだけで半絶縁性のGaAs単結晶が安
定して得られる。
【0008】このように、LEC法には、高純度化し易
いため不純物を故意に添加しなくても半絶縁性のGaA
s単結晶を安定して得ることができるという長所の他
に、大口径で円形のウェハーが得られるという長所があ
る。しかし、LEC法では結晶育成中の結晶成長方向の
温度勾配が大きいため、FETやICを作製した時の電
気的な特性劣化を招く原因となる転位の密度が高いとい
う短所がある。
【0009】以上のようなHB法及びLEC法のそれぞ
れの短所を補い、それぞれの長所を活かした結晶製造方
法として、VGF法や垂直ブリッジマン法がある。これ
らVGF法やVB法によれば、有底円筒形のるつぼの使
用により円形のウェハーが得られる、結晶成長方向の温
度勾配が小さいため低転位密度化が容易である、液体封
止剤(B2 3 )の使用により珪素の混入を防いでアン
ドープの半絶縁性GaAs単結晶を成長させることがで
きる、という利点が得られる。
【0010】VGF法によるGaAs単結晶の育成方法
では、通常、石英アンプルが使用され、その石英アンプ
ル中で結晶育成が行われる。石英アンプル中に原料融液
が気密封入されているため、結晶育成中に結晶中に取り
込まれる炭素の量を精度よく制御することは不可能であ
る。従って、得られた結晶の成長方向の炭素濃度は大き
くばらついてしまい、その結晶の抵抗率は一定になら
ず、電気的特性が安定しないため、FETやIC作製用
の基板として用いることはできない。
【0011】VGF法やVB法において、育成結晶の電
気的特性を制御する方法として、原料中に炭素、銅、亜
鉛、ベリリウム、マグネシウム、カドミウム、リチウ
ム、金、銀、鉛、コバルト、ニッケルのうち少なくとも
一つのアクセプターとなる不純物を、シリコン(珪
素)、硫黄などのドナーとなる不純物の濃度を差し引い
た上でなお育成後の結晶中で1×1015cm-3〜3×10
16cm-3の原子濃度となるように添加して結晶を製造する
方法(特公平8−5759号)が公知である。
【0012】また、上記先願技術と同様の技術として、
横形ボート法において、ボート中に炭素を添加して結晶
育成を行うことによって、クロムドープのGaAs結晶
中に混入したシリコンを炭素で補償し、半絶縁性化する
ようにしたGaAs単結晶の製造方法(特開平2−74
597号公報に記載されている)が公知である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
願技術には、以下のような問題点のあることが本発明者
らにより明らかとなった。
【0014】すなわち、アクセプターの濃度が5×10
15cm-3以下の場合、得られた結晶の抵抗率が107 Ωcm
に満たないことが多く、また、アクセプターの濃度が8
×1015cm-3以上の場合、得られた結晶の電気的特性の
一つである移動度が5000cm2 /Vsに満たないこと
が多く、従って、電気的特性が一定の半絶縁性GaAs
単結晶を再現性よく得ることができない、というもので
ある。
【0015】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたもので、VGF法及びVB法により、抵抗率が均
一で、かつ低転位密度の半絶縁性GaAs単結晶を高い
歩留りで得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
の原因について検討した。その結果、原料中に添加され
た不純物がその添加量に見合う分だけ育成結晶中にドー
ピングされなかったことを突き止めた。つまり、例えば
原料中に炭素等を2×1015cm-3だけ添加しても、その
添加された炭素の大半はB2 3 中の水分と反応して揮
発してしまい、結晶中にドーピングされない。このこと
から、本発明者らは、B2 3 中の水分量を適切に制御
する必要があるとの知見を得た。
【0017】また、本発明者らは、上記先願技術におい
て、アクセプターの濃度が5×1015cm-3以下の場合に
結晶の抵抗率が低くなるのは、EL3と呼ばれるドナー
型欠陥の影響であると考えた。このEL3は、500℃
〜700℃で発生することがわかっている。そこで、本
発明者らは、結晶育成後の冷却過程において、700℃
から500℃へ冷却する際の降温速度を適切に制御する
必要があると考えた。
【0018】さらに、本発明者らは、上記先願技術にお
いて、アクセプターの濃度が8×1015cm-3以上の場合
に結晶の移動度が低くなるのは、このアクセプターを補
償するディープドナーとなるEL2の濃度が一定である
ことが原因であり、従って、アクセプター濃度の上限を
適切に設定する必要があると考えた。
【0019】本発明は、上記知見及び考察に基づきなさ
れたもので、縦型の加熱炉内で、少なくとも、合計の濃
度が1×1015cm-3〜5×1015cm-3となる炭素及び偏
析係数1未満でかつ結晶中でアクセプターとなる不純物
と、GaAsの原料とを有する原料融液を、90ppm 〜
500ppm の水分を含有するB2 3 の融液で封止しな
がら、所定の温度勾配下で徐々に冷却して前記原料融液
をすべて固化させた後、0.5℃/min 以上3℃/min
以下の冷却速度で700℃から500℃まで冷却するよ
うにしたものである。それによって、育成結晶の全域に
わたって、炭素及び結晶中でアクセプターとなる上記不
純物とからなるアクセプターの濃度が均一になる。
【0020】ここで、炭素と偏析係数1未満でかつ結晶
中でアクセプターとなる不純物との合計の濃度が上記範
囲である理由は、1×1015cm-3未満では、その大部分
がB2 3 中の水分と反応し揮発し、残留するドナー不
純物の濃度を下回り、得られるGaAs単結晶は導電性
となってしまうからである。一方、5×1015cm-3を超
えると、育成結晶から切り出されたGaAs基板を用い
て電子デバイスを作製する際にそのデバイスの特性上必
要とされる5000cm2 /Vs以上の移動度が得られな
いからである。
【0021】また、アクセプターとなる前記不純物の偏
析係数が1未満であるのは、固化率の増大にともなって
育成結晶中の炭素濃度が漸次低くなるのを補うためであ
る。例えば、偏析係数1未満でかつ結晶中でアクセプタ
ーとなる不純物は、亜鉛、マンガン、マグネシウムなど
である。さらに、B2 3 中の水分量が上記範囲である
理由は、90ppm 未満では、原料融液中に混入し結晶中
で浅いドナーとなる珪素を十分に取り除くことができ
ず、育成結晶の高純度化が図れないからであり、一方、
500ppm を超えると、ドーピングしようとする炭素や
アクセプターとなる他の不純物がB2 3 中の水分と反
応してしまい、所望量のドーピングを行う際の妨げとな
るからである。なお、このB2 3 中の水分量の有効範
囲は、本発明者らの研究の結果、明らかとなったもので
ある。
【0022】さらにまた、700℃から500℃までの
冷却速度が上記範囲である理由は、0.5℃/min 未満
では、冷却速度が遅すぎてドナー型欠陥のEL3が多量
に生じ、抵抗率が低下するからであり、一方、3℃/mi
n を超えると、結晶中の熱応力が大きくなって結晶中の
転位密度が増大するからである。なお、この冷却速度の
有効範囲は、本発明者らが冷却速度をこの範囲に設定し
て実験したところ、シャローアクセプター(浅い準位の
アクセプター)の濃度が5×1015cm-3以下でも、抵抗
率を107 Ωcm以上に安定して保つことができたという
結果に基づいている。
【0023】また、この発明において、アクセプターと
なる前記不純物の偏析係数は、好ましくは0.01〜
0.5、より好ましくは0.1〜0.4である。その理
由は、炭素の濃度とアクセプターとなる不純物の濃度と
の合計濃度を単結晶の固化率0.1〜0.9にわたりに
一定にすることに適しているからである。
【0024】また、アクセプターとなる前記不純物は、
亜鉛、マンガン、マグネシウムのうちの少なくとも一つ
である。これらの元素は、いずれもGaAs結晶中でア
クセプターとなるとともに、偏析係数が上記範囲を満た
すものである。
【0025】
【発明の実施の形態】図1には、本発明をVGF法に適
用した際に使用される結晶成長炉の概略が示されてい
る。
【0026】本発明に係る単結晶製造方法の実施にあた
っては、図1に示すように、結晶育成部1a、蒸気圧制
御部(砒素だめ)1b及び封止用キャップ1cを有する
気密容器(石英アンプル)1を使用し、該気密容器1内
でGaAs単結晶の育成を行う。
【0027】使用する縦型加熱炉のヒータ2は、少なく
とも結晶育成部加熱用ヒータ2a、種結晶部加熱用ヒー
タ2b及び蒸気圧制御部加熱用ヒータ2cを有する円筒
状の多段構成のものであり、気密容器1の蒸気圧制御部
1bの温度を独立して制御することができるようになっ
ている。図1において、11は熱電対である。
【0028】結晶育成を行うにあたっては、まず、るつ
ぼ3の種結晶設置部3a内に種結晶4を入れるととも
に、るつぼ3内に原料となる例えばGaAs多結晶と、
炭素及び偏析係数1未満でかつ結晶中でアクセプターと
なる亜鉛等の不純物を合計で1×1015cm-3〜5×10
15cm-3の濃度となるように入れる。また、るつぼ3内
に、液体封止剤として90ppm 〜500ppm の水分を含
有するB2 3 6を入れる。そして、気密容器1の蒸気
圧制御部1b内に蒸気圧制御用の砒素7を入れるととも
に、気密容器1の結晶育成部1a内のサセプタ9上にる
つぼ3を設置し、気密容器1内を真空排気してキャップ
1cにより封止する。
【0029】その気密容器1を縦型加熱炉の所定位置に
設置し、ヒータ2により加熱して原料及びB2 3 6を
融解させる。各ヒータ2a,2b,2cの出力を調整し
て、種結晶4側から原料融液5の上方に向かって徐々に
高温となるような所定の温度勾配を維持しつつ、徐々に
原料融液5を下部から融点以下の温度に冷却することに
より、単結晶10を上方に向かって成長させる。その
際、気密容器1内の蒸気圧は、蒸気圧制御部加熱用ヒー
タ2cの出力調整により、適当な圧力に保たれる。
【0030】原料融液5が固化したら、冷却を行う。そ
の際、700℃から500℃までの間は、冷却速度を
0.5℃/min 以上3℃/min 以下とする。
【0031】上記実施形態によれば、縦型加熱炉内で、
合計の濃度が1×1015cm-3〜5×1015cm-3となる炭
素及び偏析係数1未満でかつ結晶中でアクセプターとな
る亜鉛等の不純物と、GaAsの原料とを有する原料融
液5を、90ppm 〜500ppm の水分を含有するB2
3 6で封止しながら、所定の温度勾配下で徐々に冷却し
て原料融液5を固化させた後、0.5℃/min 以上3℃
/min 以下の冷却速度で700℃から500℃まで冷却
するようにしたため、結晶全域にわたって、炭素及び亜
鉛等の不純物とからなるアクセプターの濃度が均一にな
り、抵抗率が均一で低転位密度の半絶縁性GaAs単結
晶が高い歩留りで得られる。
【0032】なお、偏析係数1未満でかつ結晶中でアク
セプターとなる不純物は、亜鉛(偏析係数:0.31)
の他に、マンガン(偏析係数:0.021)、マグネシ
ウム(偏析係数:0.3)などである。亜鉛及びこれら
の元素のうち、1または2以上の元素を選択してるつぼ
3中に入れる。あるいは、亜鉛及びこれらの元素のう
ち、1または2以上の元素を選択し、該元素を予めGa
As多結晶等の原料にドーピングしておいてもよい。
【0033】また、炭素も予めGaAs多結晶等の原料
にドーピングしておいてもよい。
【0034】さらに、上記実施形態においては、本発明
をVGF法に適用した場合について説明したが、本発明
はVB法にも適用可能である。
【0035】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の
特徴とするところを明らかとする。なお、本発明は、以
下の実施例により何ら制限されるものではない。 (実施例)まず、直径約3インチで厚さ3mmのpBN
(熱分解窒化ホウ素)製るつぼ3の種結晶設置部1aに
GaAs単結晶よりなる種結晶4を入れ、さらにるつぼ
3内に原料として、予め炭素及び亜鉛がそれぞれ2×1
15cm-3及び1.5×1015cm-3の濃度でドーピングさ
れてなるGaAs多結晶を約3kgと、含有水分量が20
0ppm のB2 3 6を50g入れた。続いて、気密容器
1である石英アンプルの蒸気圧制御部1bに8gの砒素
7をチャージした。そして、原料及びB2 36を入れ
たるつぼ3を石英アンプル内のサセプタ9上に設置した
後、石英アンプルをキャップ1cにより真空封止した。
その真空封止した気密容器1を図1に示すように3段ヒ
ータ構成の縦型加熱炉内に設置した。なお、原料として
GaAs多結晶を用いる代わりに、るつぼ3内にGaと
Asを入れてそれらを直接合成させるようにしてもよ
い。
【0036】結晶育成部加熱用ヒータ2a及び種結晶部
加熱用ヒータ2bにより、種結晶4の上端と原料が12
38℃〜1255℃の温度となるようにるつぼ3を加熱
して原料及びB2 3 6を融解させるとともに、蒸気圧
制御部加熱用ヒータ2cにより蒸気圧制御部1bを60
5℃となるように加熱した。
【0037】この状態で、結晶の育成速度が毎時約2mm
となるように加熱炉の設定温度を連続的に下げて結晶1
0の育成を開始した。
【0038】結晶育成開始から約30時間経過した時点
で原料融液5はすべて固化した。その後、加熱炉全体を
約0.4℃/min の降温速度で冷却し、特に700℃か
ら500℃の間では冷却速度を約1℃/min とした。室
温近くまで冷えた時点で加熱炉内から気密容器1を取り
出し、その気密容器1を壊して結晶を取り出した。
【0039】得られた結晶は直径約3インチで全長約1
2cmのGaAs単結晶であり、その結晶性を調べたとこ
ろ双晶や多結晶は全く発生していなかった。この単結晶
インゴットを切断して転位密度を調べたところ、結晶の
どの領域においても転位密度は2000cm-2以下であっ
た。また、得られた結晶の抵抗率は結晶全域にわたっ
て、3×107 Ωcm〜5×107 Ωcmであった。
【0040】さらに、得られた結晶の炭素濃度をFTI
R(Fourier Transformation Infrared Absorption Spe
ctroscopy )により分析し、亜鉛濃度をGDMS(Glow
Discharge Mass Spectrometory )により分析した。そ
の結果を、図2に示す。同図からわかるように、結晶固
化率の増大に伴って結晶中の炭素濃度が下がっている
が、その低下分が、固化率の増大とともに増える亜鉛濃
度により補われており、シャローアクセプターとなる炭
素濃度と亜鉛濃度の和は、固化率が0.1〜0.9の間
で略一定(約3×1015cm-3)になっている。
【0041】同じ条件でGaAsの単結晶成長を10回
行ったところ、10回とも抵抗率が3×107 Ωcm〜5
×107 ΩcmのGaAs単結晶が得られた。また、移動
度は約6300cm2 /Vsであった。
【0042】また、炭素及び亜鉛の濃度がそれぞれ3×
1015cm-3及び2×1015cm-3ドーピングされたGaA
s多結晶原料、または炭素及び亜鉛の濃度がそれぞれ
0.6×1015cm-3及び0.4×1015cm-3ドーピング
されたGaAs多結晶原料を用いた以外は、同じ条件で
育成を行った結果、両者ともシャローアクセプターとな
る炭素濃度と亜鉛濃度の和は、固化率が0.1〜0.9
の間でそれぞれ略一定となっており、抵抗率は前者で4
×107 〜6×107 Ωcm、後者で1×107 〜3×1
7 Ωcmとなった。また、移動度は前者で約6000cm
2 /Vs、後者で約6500cm2 /Vsであった。
【0043】さらに、含有水分量が500ppm のB2
3 6、または含有水分量が90ppmのB2 3 6を用い
た以外は、同じ条件で育成を行った結果、固化率が0.
1〜0.9の間で抵抗率、移動度は同程度であった。
【0044】また、冷却速度を 0.5 ℃/min また
は5℃/min とした以外、同じ条件で育成を行った結果
でも、固化率が0.1〜0.9の間で抵抗率、移動度は
同程度であった。
【0045】(比較例1)B2 3 6の含有水分量を8
00ppm とした以外は、上記実施例と同じ条件でGaA
s単結晶の育成を行った。得られた結晶の転位密度は、
結晶のどの領域においても2000cm-3以下であった
が、抵抗率は、種結晶部分から結晶尾部(テイル部)に
向かうに連れて徐々に高くなっており、105 Ωcm〜1
7 Ωcmの範囲でばらついていた。また、シャローアク
セプターとなる炭素濃度と亜鉛濃度の和は、図3に示す
ように分布しており、固化率の増大とともに高くなって
いた。
【0046】(比較例2)B2 3 6の含有水分量を5
0ppm とした以外は、上記実施例と同じ条件でGaAs
単結晶の育成を行った。得られた結晶の転位密度は、結
晶のどの領域においても2000cm-3以下であったが、
抵抗率は、0.1〜0.5Ωcmと導電性であり半絶縁性
のGaAs単結晶は得られなかった。また、シャローア
クセプターとなる炭素濃度と亜鉛濃度の和は、図2と同
様であったが、珪素が約5×1015cm-3含まれていた。 (比較例3)700℃から500℃までの冷却速度を
0.2℃/min とした以外は、上記実施例と同じ条件で
GaAs単結晶の育成を行った。得られた結晶の転位密
度は、結晶のどの領域においても2000cm-2以下であ
り、またシャローアクセプターとなる炭素濃度と亜鉛濃
度の和は上記実施例と同様であったが、抵抗率は105
Ωcm〜106 Ωcmであり、半絶縁性化していなかった。
【0047】(比較例4)700℃から500℃までの
冷却速度を5℃/min とした以外は、上記実施例と同じ
条件でGaAs単結晶の育成を行った。得られた結晶の
抵抗率は、結晶全域にわたって、3×107 Ωcm〜5×
107 Ωcmであり、またシャローアクセプターとなる炭
素濃度と亜鉛濃度の和は上記実施例と同様であったが、
転位密度は、8000cm-2〜10000cm-2であり、上
記実施例の4倍以上に増大していた。
【0048】上記実施例では、アクセプターとなる不純
物として亜鉛を用いたが、その他アクセプターとしては
マンガン、マグネシウムなどを用いることができる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、縦型の加熱炉内で、少
なくとも、合計の濃度が1×1015cm-3〜5×1015cm
-3となる炭素及び偏析係数1未満でかつ結晶中でアクセ
プターとなる不純物と、GaAsの原料とを有する原料
融液を、90ppm 〜500ppmの水分を含有するB2
3 の融液で封止しながら、所定の温度勾配下で徐々に冷
却して前記原料融液を固化させた後、0.5℃/min 以
上3℃/min 以下の冷却速度で700℃から500℃ま
で冷却するようにしたため、結晶全域にわたって、炭素
及び結晶中でアクセプターとなる上記不純物とからなる
アクセプターの濃度が均一になり、抵抗率が均一で低転
位密度の半絶縁性GaAs単結晶が高い歩留りで得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をVGF法に適用した際に使用される結
晶成長炉の概略図である。
【図2】実施例により得られた結晶固化率に対するシャ
ローアクセプター濃度の関係を表す特性図である。
【図3】比較例により得られた結晶固化率に対するシャ
ローアクセプター濃度の関係を表す特性図である。
【符号の説明】
5 原料融液 6 B2 3 10 GaAs単結晶

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦型の加熱炉内で、少なくとも、合計の
    濃度が1×1015cm-3〜5×1015cm-3となる炭素及び
    偏析係数1未満でかつ結晶中でアクセプターとなる不純
    物と、GaAsの原料とを有する原料融液を、90ppm
    〜500ppmの水分を含有するB2 3 の融液で封止し
    ながら、所定の温度勾配下で徐々に冷却して前記原料融
    液を固化させた後、0.5℃/min 以上3℃/min 以下
    の冷却速度で700℃から500℃まで冷却するように
    したことを特徴とする半絶縁性GaAs単結晶の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 アクセプターとなる前記不純物の偏析係
    数は、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは
    0.1〜0.4であることを特徴とする請求項1記載の
    半絶縁性GaAs単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 アクセプターとなる前記不純物は、亜
    鉛、マンガン、マグネシウムのうちの少なくとも一つで
    あることを特徴とする請求項2記載の半絶縁性GaAs
    単結晶の製造方法。
JP1273397A 1997-01-27 1997-01-27 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法 Pending JPH10212200A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1273397A JPH10212200A (ja) 1997-01-27 1997-01-27 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1273397A JPH10212200A (ja) 1997-01-27 1997-01-27 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10212200A true JPH10212200A (ja) 1998-08-11

Family

ID=11813648

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1273397A Pending JPH10212200A (ja) 1997-01-27 1997-01-27 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10212200A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001053005A (ja) * 1999-08-06 2001-02-23 Sumitomo Electric Ind Ltd 化合物半導体エピタキシャルウェハおよびその製造方法
JP2012126644A (ja) * 2001-07-05 2012-07-05 Axt Inc 炭素ドーピング、抵抗率制御、温度勾配制御を伴う、剛性サポートを備える半導体結晶を成長させるための方法および装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001053005A (ja) * 1999-08-06 2001-02-23 Sumitomo Electric Ind Ltd 化合物半導体エピタキシャルウェハおよびその製造方法
JP2012126644A (ja) * 2001-07-05 2012-07-05 Axt Inc 炭素ドーピング、抵抗率制御、温度勾配制御を伴う、剛性サポートを備える半導体結晶を成長させるための方法および装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1634981B1 (en) Indium phosphide substrate, indium phosphide single crystal and process for producing them
JPS5914440B2 (ja) CaAs単結晶への硼素のド−ピング方法
JP4120016B2 (ja) 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法
US20060260536A1 (en) Vessel for growing a compound semiconductor single crystal, compound semiconductor single crystal, and process for fabricating the same
JP2007106669A (ja) 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法
JP2010059052A (ja) 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法および装置
JPH10259100A (ja) GaAs単結晶の製造方法
US4637854A (en) Method for producing GaAs single crystal
JP3806791B2 (ja) 化合物半導体単結晶の製造方法
JPH10218699A (ja) 化合物半導体単結晶の成長方法
EP1114884B1 (en) Process for producing compound semiconductor single crystal
JP2000256091A (ja) 単結晶SiCの液相育成方法
JPH10212200A (ja) 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法
JPH11268998A (ja) GaAs単結晶インゴットおよびその製造方法ならびにそれを用いたGaAs単結晶ウエハ
US4824520A (en) Liquid encapsulated crystal growth
JPH0557240B2 (ja)
US6045767A (en) Charge for vertical boat growth process and use thereof
JPH11147785A (ja) 単結晶の製造方法
JP3806793B2 (ja) 化合物半導体単結晶の製造方法
JP3831913B2 (ja) 化合物半導体単結晶の製造方法
JPH06125148A (ja) 低抵抗半導体結晶基板及びその製造方法
JPH01215799A (ja) 半絶縁性GaAs化合物半導体単結晶及びその製造方法
JP2000327496A (ja) InP単結晶の製造方法
JPH06279198A (ja) 半絶縁性ガリウム砒素化合物半導体単結晶の製造方法
JPH10212192A (ja) バルク結晶の成長方法