JPH1016602A - ディファレンシャル装置 - Google Patents

ディファレンシャル装置

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Publication number
JPH1016602A
JPH1016602A JP17000396A JP17000396A JPH1016602A JP H1016602 A JPH1016602 A JP H1016602A JP 17000396 A JP17000396 A JP 17000396A JP 17000396 A JP17000396 A JP 17000396A JP H1016602 A JPH1016602 A JP H1016602A
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JP
Japan
Prior art keywords
differential case
differential
clutch member
pressing plate
spring
Prior art date
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Application number
JP17000396A
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English (en)
Inventor
Shinji Yamazaki
伸司 山崎
Hisao Morito
久男 森戸
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数を削減し、組み付けや部品管理が容
易なディファレンシャル装置の提供を課題とする。 【解決手段】 デフケース101と、サイドギヤ11
5,117と、ピニオンシャフト109と、複数のピニ
オンギヤ113と、デフケース101内にこれと一体に
回転するように連結されると共に軸方向には移動可能に
収納され、該移動によりドグクラッチ107bがサイド
ギヤ117と噛合いを断続可能となるクラッチ部材10
7と、押圧プレート123を介してクラッチ部材107
をサイドギヤ117と噛合う側へ押圧するアクチュエー
タ127と、押圧プレート123を噛合い解除側へ付勢
するばね125とを備えるディファレンシャル装置であ
って、押圧プレート123と一体に形成された板状のば
ね125がデフケース101との間に配置されることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に用いられる
ディファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のディファレンシャル装置として、
例えば実開平4−122846号公報に図6に示すよう
なものが記載されている。このディファレンシャル装置
は、差動機構を備えると共に、その差動を制限する差動
制限機構301と、その差動をロックするデフロック機
構303とを備えている。
【0003】差動制限機構301は、デフケース305
と一体的に回転するプレッシャリング307と、右のサ
イドギヤ309と一体回転するクラッチリング311
と、これらの間に配置された摩擦クラッチ313とから
なり、プレッシャリング307が入力トルクに応じたス
ラストで摩擦クラッチ313を押圧することにより左右
のサイドギヤ315,309の差動を制限する。
【0004】一方、デフロック機構303は、デフケー
ス305の右側壁の内側からその壁に設けられた孔31
7に嵌め込みにより回転方向に固定されると共に軸方向
には移動可能に収納された中間リング319と、その中
間リング319とカム係合するカムリング321と、噛
み合いクラッチ323と、この噛み合いクラッチ323
を断続するアクチュエータ325と、噛み合いクラッチ
323の噛み合いを解除する方向に付勢するウェーブリ
ング327とリテーナ329などからなる。
【0005】アクチュエータ325が加圧され噛み合い
クラッチ323が噛み合うと、デフケース305と右の
サイドギヤ309との回転が一体化され、差動はロック
される。またアクチュエータ325の圧力が抜けるとウ
ェーブリング327の付勢力により噛み合いクラッチ3
23が噛合解除され差動機能が復活する。
【0006】このとき、ウェーブリング327の両側の
部材、すなわち、右側のカムリング321はデフケース
305と一体的に回転し、一方、左側のクラッチリング
311は右のサイドギヤ309と一体的に回転するの
で、差動時には両者間に相対回転が生じるため、ウェー
ブリング327とクラッチリング311との間にリテー
ナ329を配置し、爪部331をデフケース305の溝
333に折り込んで回り止めし、直接の摺動を防止して
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、このディ
ファレンシャル装置では、爪付きリテーナ329および
デフケース305の回り止め用の溝加工が必要であり、
このため部品点数が増えて、組み付けや部品管理が繁雑
になるという問題があった。
【0008】そこで、本発明は、部品点数を削減し組み
付けや部品管理が容易なディファレンシャル装置の提供
を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明は、エンジンの回転駆動力が
入力するアウタデフケースと、前記アウタデフケースの
内部に同軸に回転可能に支持されると共に自らの内部に
ベベルギヤ式の差動ギヤ機構を備える中空円筒状のイン
ナデフケースと、前記アウタデフケース内にインナデフ
ケースに隣接して収納され、該アウタデフケースと一体
に回転するように連結されると共に軸方向には移動可能
に配置され、該移動によりインナデフケースとの噛み合
いクラッチが断続可能となるクラッチ部材と、前記クラ
ッチ部材との間に配置された押圧プレートを介して該ク
ラッチ部材をインナデフケースと噛み合う側へ押圧する
アクチュエータと、前記押圧プレートを噛合い解除側へ
付勢するばねとを備えるディファレンシャル装置であっ
て、前記ばねが、互いに一体回転するアウタデフケース
と押圧プレートとの間に配置されることを特徴とする。
【0010】したがって、ばねの端部とそれぞれ接触す
るアウタデフケースと押圧プレートとが一体的に回転す
るので、前記従来例と異なり、ばね端部の摺動を防止す
るための部品は不要となる。こうして、部品点数が減る
から組み付けや部品管理が容易となる。
【0011】なお、このディファレンシャル装置では、
アクチュエータにより押圧プレートが押圧されて、クラ
ッチ部材がインナデフケースと噛み合うと、アウタデフ
ケースとインナデフケースとが一体的に回転するので、
ベベルギヤ式の差動ギヤ機構が駆動力の差動配分機能を
発揮する。また、ばねの付勢力によりクラッチ部材の噛
合いが解除されると、このクラッチ部で駆動力の伝達が
遮断される。
【0012】そこで、このディファレンシャル装置を、
例えばパートタイム4輪駆動車の2輪駆動時に駆動され
ないようになる車軸側に配置すると、駆動力の伝達遮断
時にはタイヤ側から通常時と逆の伝達経路を経て空転さ
れる部材が車軸からインナデフケースまでとなって、空
転によりロスや騒音を生じる部材が減少する。
【0013】請求項2に記載の発明は、エンジンの回転
駆動力が入力するデフケースと、前記デフケース内に同
軸に対向配置された一対の出力側サイドギヤと、前記デ
フケース内に軸直角方向に固定されたピニオンシャフト
と、前記ピニオンシャフト上に回転可能に支持され前記
サイドギヤと噛み合う複数のピニオンギヤと、前記デフ
ケース内に該デフケースと一体に回転するように連結さ
れると共に軸方向には移動可能に収納され、該移動によ
り隣接する側のサイドギヤとの噛み合いクラッチが断続
可能となるクラッチ部材と、前記クラッチ部材との間に
配置された押圧プレートを介して該クラッチ部材を該サ
イドギヤと噛み合う側へ押圧するアクチュエータと、前
記押圧プレートを噛合い解除側へ付勢するばねとを備え
るディファレンシャル装置であって、前記ばねが、互い
に一体回転するデフケースと押圧プレートとの間に配置
されることを特徴とする。
【0014】したがって、ばねの端部とそれぞれ接触す
るデフケースと押圧プレートとが一体的に回転するの
で、請求項1の発明と同等の作用・効果が得られる。
【0015】なお、このディファレンシャル装置では、
アクチュエータにより押圧プレートが押圧されて、クラ
ッチ部材がサイドギヤと噛み合うと差動機能を失い、デ
フロック状態となる。また、ばねの付勢力によりクラッ
チ部材の噛合いが解除されると差動機能が復活する。
【0016】請求項3に記載の発明は、エンジンの回転
駆動力が入力するデフケースと、前記デフケース内に同
軸に対向配置された一対のサイドギヤと、前記サイドギ
ヤの周囲のデフケースに軸に平行に形成された複数対の
収納孔と、前記各収納孔に摺動回転自在に収納され互い
に噛み合うと共に前記各サイドギヤとそれぞれ別に噛み
合うピニオンギヤと、前記一対のサイドギヤの一方に隣
接配置され該サイドギヤと出力軸とを連結可能な出力部
材と、前記出力部材上に軸方向移動可能に連結され、該
移動により隣接するサイドギヤとの噛合いクラッチが断
続可能となるクラッチ部材と、前記クラッチ部材との間
に配置された押圧プレートを介して該クラッチ部材を前
記サイドギヤと噛み合う側へ押圧するアクチュエータ
と、前記押圧プレートを噛合い解除側へ付勢するばねと
を備えるディファレンシャル装置であって、前記押圧プ
レートは内側端部が前記クラッチ部材外周の溝に係合す
ると共に外側端部がデフケースの複数の開口を経てデフ
ケース外部へ延出し、前記ばねが、互いに一体回転する
デフケースと押圧プレートとの間に配置されることを特
徴とする。
【0017】したがって、ばねの端部とそれぞれ接触す
るデフケースと押圧プレートとが一体的に回転するの
で、請求項1の発明と同等の作用・効果が得られる。
【0018】なお、このディファレンシャル装置では、
アクチュエータにより押圧プレートが押圧されて、クラ
ッチ部材がサイドギヤの一方と噛合うと、このサイドギ
ヤがクラッチ部材と出力部材とを介して出力軸に連結さ
れるので、差動機能を有するものとなる。
【0019】そして、差動時には、クラッチ部材の周溝
と押圧プレートの内側端部とが摺動する。また、ばねの
付勢力によりクラッチ部材の噛合いが解除されると、こ
のクラッチ部で駆動力の伝達が遮断される。このときも
クラッチ部材の周溝と押圧プレートの内側端部とが摺動
する。
【0020】そこで、このディファレンシャル装置を、
例えばパートタイム4輪駆動車の2輪駆動時に駆動され
ないようになる車軸側に配置すると、タイヤ側から通常
時と逆の伝達経路を経て空転される部材が車軸からデフ
ケース内部部材止まりとなって、空転によりロスや騒音
を生じる部材が減少する。
【0021】請求項4に記載の発明は、請求項1または
2に記載のディファレンシャル装置であって、押圧プレ
ートがクラッチ部材と一体であることを特徴とする。
【0022】したがって、請求項1または2の発明によ
る作用・効果に加え、押圧プレートとクラッチ部材とを
結合する結合部材が不要となるので管理が容易となる。
【0023】請求項5に記載の発明は、請求項1または
2に記載のディファレンシャル装置であって、押圧プレ
ートがクラッチ部材に固設されることを特徴とする。
【0024】したがって、請求項1または2の発明によ
る作用・効果に加え、固設用部材は増えるものの、押圧
プレートとクラッチ部材の個々の製作上や組み付け上の
自由度増大が有利となる可能性を有する。
【0025】請求項6に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれかに記載のディファレンシャル装置であって、ば
ねが板状ばねであって、前記押圧プレートと一体に設け
られてなることを特徴とする。
【0026】したがって、請求項1〜3のいずれかの発
明による作用・効果に加え、ばねが押圧プレートと一体
であるので単独部材のばねは不要となり、組み付けや部
品管理がより一層容易となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]本発明の第1実施形態を図1により説
明する。図1は本実施形態のディファレンシャル装置の
断面図である。このディファレンシャル装置は後輪駆動
車をベースにしたパートタイム4輪駆動車のフロントデ
フに適用されたものを示す。
【0028】図1に示すように、アウタデフケース1
は、ケース本体1aとカバー1bとがボルト3により固
定されてなる。デフケース1には図示しないリングギヤ
が固定され、エンジンの駆動力はこのリングギヤを介し
て入力され、アウタデフケース1が回転駆動される。
【0029】なお、アウタデフケース1は両端のボス部
1c,1dにて固定側のデフキャリア(図示省略)内に
回転可能に支持され、デフキャリアには油溜りが設けら
れている。また、油路1i,1gがボス部1c,1dの
内周に連通して設けられている。さらに、ケース本体1
aの開口1hと共にカバー1bの開口1fから、デフキ
ャリア油溜りの潤滑油が流出入する。
【0030】ケース本体1aの内周には中空円筒状のイ
ンナデフケース5が同軸に回転可能に嵌合されている。
インナデフケース5は、その外周に所定幅の周溝5aを
有し、この周溝5aの両側でケース本体1aに支持され
ている。そして、このインナデフケース5の右隣りに、
やはり中空円筒状のクラッチ部材7が収納されている。
インナデフケース5とクラッチ部材7との対向面には、
放射状のドグクラッチ(噛み合いクラッチ)5b,7b
がそれぞれ形成され、クラッチ部材7の軸方向の移動に
より噛合いおよび噛合い解除が可能である。そして、ド
グクラッチ5b,7bの噛合凸部はそれぞれ所定の先細
り傾斜に形成され、噛合い易くされている。一方、イン
ナデフケース5の反クラッチ側端面(左側端面)はアウ
タデフケース1に接すると共に油路5cが放射状に設け
られている。
【0031】図1の上半部はドグクラッチ5b,7bが
噛み合った状態を示し、図1の下半部はドグクラッチ5
b,7bが開放された状態を示す。
【0032】インナデフケース5には、その回転軸に直
交してピニオンシャフト9がスプリングピン11により
一体化されている。そして、ピニオンシャフト9上に
は、ピニオンギヤ13が2個(内1個は図示省略)回転
可能に配置され、対向する一対のサイドギヤ15,17
と噛み合っている。インナデフケース5の内周面5bが
ピニオンギヤ13のスラストを受けている。また、サイ
ドギヤ15,17とアウタデフケース1間にはワッシャ
19,19がそれぞれ配置され、サイドギヤ15,17
のスラストを受けている。そして、サイドギヤ15,1
7はそれぞれ図示しない車軸にスプライン連結されてい
る。こうして、インナデフケース5、ピニオンギヤ13
およびサイドギヤ15,17からなる差動ギヤ機構21
は、これを収容しているアウタデフケース1とは直接に
は連結されていない。
【0033】上記クラッチ部材7は右方へ突設した複数
の凸部7aを周方向等分に有し、その各凸部7aがケー
ス本体1aの右側の壁1jに設けた対応する同数の孔1
eそれぞれに嵌まり込んで、回転方向にケース本体1a
(アウタデフケース1)と一体化されている。ただし、
クラッチ部材7は軸方向には移動可能にアウタデフケー
ス1内周に嵌合している。
【0034】また、クラッチ部材7の各凸部7aの先端
部には押圧プレート23がクラッチ部材7に一体化され
配置されている。押圧プレート23は断面L字形でフラ
ンジ23aを有すると共に、各凸部7a内周の溝7c部
に係止される係止部23bを有している。そして、この
係止部23bのばね性を利用して押圧プレート23はク
ラッチ部材7と一体化されている。したがって、アウタ
デフケース1とクラッチ部材7と押圧プレート23とは
常時一体に回転する。
【0035】そして、コイルばね25が、一体に回転す
るアウタデフケース1と押圧プレート23との間のリン
グ状空間に配置され、クラッチ部材7を軸方向外方(右
方)へ付勢している。これにより、後述するアクチュエ
ータ27の空気圧が抜けると、ドグクラッチ5b,7b
の噛合いが解除される。
【0036】そして、さらにこの押圧プレート23の右
隣りの、アウタデフケース1のボス部1cの近傍に、ダ
イアフラム式のアクチュエータ27を配置している。ア
クチュエータ27はそのブラケット27a部にてデフキ
ャリアに固定され、アクチュエータ27の圧力室27b
は流路29を介して外部の空気圧力源(図示省略)に連
通している。
【0037】つぎに、このフロントデフの作用を説明す
る。
【0038】アクチュエータ27の圧力室27bに所定
の空気圧が供給されると、コイルばね25の付勢力に抗
してアクチュエータ27のダイアフラム27cが左方へ
変位して押圧プレート23を押圧する。これによりクラ
ッチ部材7とインナデフケース5とのドグクラッチ7
b,5bが噛み合うので、クラッチ部材7を介してアウ
タデフケース1とその内部のインナデフケース5とが一
体回転する。したがって、このときフロントデフは前輪
側へ駆動力を伝達すると共に、前輪側左右輪間に抵抗差
が生じた場合には駆動力を差動配分する(4駆状態)。
【0039】一方、圧力室27bの圧力が抜けると、ダ
イアフラム27cがコイルばね25の付勢力により右方
へ戻ることによりドグクラッチ7b,5bの噛合いが解
除されるので、アウタデフケース1とインナデフケース
5とは独立に回転可能となる。このとき、フロントデフ
は駆動力を伝達しない(2駆状態)が、車両の走行によ
り回転している前輪から4駆時とは逆の駆動経路を経て
車軸からインナデフケース5までは回転させられるも、
アウタデフケース1は停止したままで済み、空転ロスの
低減や騒音低減が得られる。
【0040】なお、圧力室27bへの圧力の供給および
排出は、トランスファ装置の4駆/2駆切換装置の作動
に連動して行われる。
【0041】そして、デフキャリアの油溜りの潤滑油は
アウタデフケース1のボス部1c,1d内周から流入
し、油路1g,1iを経てワッシャ19,19部を潤滑
する。また、アウタデフケース1のカバー1bの開口1
fから流入した潤滑油はインナデフケース5の側面の油
路5cを経て、インナデフケース5とアウタデフケース
1との当接側面、支持周面の潤滑を行う。
【0042】こうして、本実施形態によれば、前記従来
例の構成とは異なり、コイルばね25は一体に回転する
アウタデフケース1と押圧プレート23との間に配置さ
れているので摺動摩耗の恐れがないから、コイルばね2
5端部にワッシャを配置する必要が無い。こうして、部
品点数の削減により、組み付けおよび部品管理の手間を
省くことができる。
【0043】また、押圧プレート23をその係止部23
bの係止によりクラッチ部材7と一体にしているが、ボ
ルト等により固定してもよい。
【0044】なお、本実施形態の変形として、クラッチ
部材7の押圧プレート23のフランジ23a外周部に後
述の実施形態にて述べるように板状のばねを一体に形成
してもよい。その場合は、ばねがクラッチ部材7と一体
になるので、組み付けおよび部品管理が一層容易にな
る。
【0045】[第2実施形態]本発明の第2実施形態を
図2、図3により説明する。図2は本実施形態のディフ
ァレンシャル装置の断面図(図3のA−A断面図)であ
る。図3は図2のB矢視図である。
【0046】このディファレンシャル装置はデフロック
機能を有するディファレンシャル装置である。
【0047】図2に示すように、デフケース101は、
ケース本体101aとカバー101bとがボルト103
により固定されてなる。デフケース101には図示しな
いリングギヤが固定され、エンジンの駆動力はこのリン
グギヤを介して入力され、デフケース101が回転駆動
される。
【0048】なお、デフケース101は両端のボス部1
01c,101dにて固定側のデフキャリア(図示省
略)内に回転可能に支持され、デフキャリアには油溜り
が設けられている。また、油路101i,101gがボ
ス部101c,101dに設けられ、いずれも各ボス部
101c,101dの外周側に連通している。さらに、
ケース本体101aの開口101hと共にカバー101
bの開口101fから、デフキャリア油溜りの潤滑油が
流出入する。
【0049】ケース本体101aには軸直角方向に複数
のピニオンシャフト109がピン111により固定さ
れ、ピニオンシャフト109はデフケース101と一体
に回転する。また、ピニオンシャフト109上にはピニ
オンギヤ113が回転可能に支持され、対向配置された
一対の出力側サイドギヤ115,117と噛合ってい
る。サイドギヤ115,117の内周には図示しない出
力軸がそれぞれスプライン連結される。また、サイドギ
ヤ115,117とデフケース101との間にはワッシ
ャ119,120が配置されている。
【0050】さらに、右のサイドギヤ117の右隣りに
は中空円筒状のクラッチ部材107が収納されている。
サイドギヤ117とクラッチ部材107との対向面に
は、放射状のドグクラッチ(噛み合いクラッチ)117
b,107bがそれぞれ形成されている。
【0051】そして、クラッチ部材107の反ドグクラ
ッチ側(右側)には周方向等分に3個の凸部107aが
設けられ、デフケース101の右側壁101jにこの凸
部107aの位置に対応して孔101eが設けられてい
る。こうして、クラッチ部材107は、その凸部107
aが孔101eにそれぞれに嵌まり込んで、回転方向に
ケース本体101a(デフケース101)と一体化され
ている。ただし、クラッチ部材107は軸方向には移動
可能にデフケース101内周に嵌合している。
【0052】クラッチ部材107の凸部107aの端面
には、後述するアクチュエータ127の押圧力を受ける
押圧プレート123がボルト122にて固定されてい
る。そして、押圧プレート123のボルト122による
固定部の周方向中間には、図3に示すような3個の板状
のばね125が、図4に示すようにデフケース101の
右側壁101j側に向けて折り曲げられて形成されてい
る。このばね125の先端125aはデフケース101
の右側壁101jに接している。こうして、クラッチ部
材107はばね125の付勢力により外方(右方)へ付
勢され、後述するアクチュエータ127の空気圧が抜け
ると、図2のように、ドグクラッチ117b,107b
の噛み合いが解除される。また、押圧プレート123に
は、図3に示すような周方向に多数の孔123aが設け
られている。
【0053】そして、さらにこのクラッチ部材107の
押圧プレート123の右側面123bに接して、ダイア
フラム式のアクチュエータ127が配置されている。ア
クチュエータ127は図示しないブラケット部にてデフ
キャリアに固定され、またアクチュエータ127の圧力
室127bは図示しない流路を介してデフキャリア外部
の圧力源に連通している。
【0054】つぎに、このディファレンシャル装置の作
用を説明する。
【0055】アクチュエータ127の圧力室127bに
所定の空気圧が供給されると、ばね125の付勢力に抗
してアクチュエータ127のダイアフラム127cが左
方へ変位して押圧プレート123を押圧する。これによ
りサイドギヤ117とクラッチ部材107とのドグクラ
ッチ117b,107bが噛み合うので、クラッチ部材
107を介してデフケース101とサイドギヤ117と
が一体回転する。したがって、このディファレンシャル
装置はデフロック状態となり、差動不能となる。
【0056】このとき、停止側のアクチュエータ127
と回転している押圧プレート123の右側面123bと
の間に摺動が生じるが、油路101iを経て図2の矢印
Cのように潤滑油が供給され、多数の孔123aが設け
られた摺動部を潤滑する。
【0057】一方、圧力室127bの圧力が抜けると、
ダイアフラム127cがばね125の付勢力により右方
へ戻ることによりドグクラッチ117b,107bの噛
み合いが解除されるので、ディファレンシャル装置の差
動機能が復活する。
【0058】そして、デフキャリアの油溜りの潤滑油は
デフケース101のボス部101c,101d内周から
流入し、油路101g,101iを経てワッシャ11
9,120部や押圧プレート123の摺動部等を潤滑す
る。また、デフケース101の開口101f、101e
から流入した潤滑油はデフケース101内部の潤滑を行
う。
【0059】こうして、本実施形態によれば、ばね12
5がクラッチ部材107の押圧プレート123に一体に
形成され、しかも押圧プレート123と一体に回転する
デフケース101との間に配置されているので、部品点
数が削減されると共に摺動摩耗の恐れがない。したがっ
て、前記従来例のように単独部材のばねやコイルばね2
5端部にワッシャを配置する必要が無い。こうして、部
品の組み付けおよび部品管理の手間を省くことができ
る。
【0060】また、ボルト122により押圧プレート1
23をクラッチ部材107に固定しているので、一体構
成の場合に比して部品点数が増えるが、押圧プレート1
23とクラッチ部材107のそれぞれの製作上は別体の
方が容易であり、組み付け工数の増加も少ない。また、
ボルト122による固定ではなく溶接等により一体化し
てももちろんよい。
【0061】[第3実施形態]本発明の第3実施形態を
図5により説明する。図5は本実施形態のディファレン
シャル装置の断面図である。
【0062】このディファレンシャル装置は平行軸タイ
プである点が上記第1実施形態と異なる。後輪駆動車を
ベースにしたパートタイム4輪駆動車のフロントデフに
適用されたものである。上記第1実施形態の説明と重複
する点の説明は省略する。
【0063】図5に示すように、デフケース201は、
ケース本体201aとカバー201b,201cとから
なり、ケース本体201aとカバー201cとはボルト
203により固定されてなる。デフケース201には図
示しないリングギヤが固定され、エンジンの駆動力はこ
のリングギヤを介して入力され、デフケース201が回
転駆動される。
【0064】なお、デフケース201は両端のボス部2
01d,201eにて固定側のデフキャリア(図示省
略)内に回転可能に支持され、デフキャリアには油溜り
が設けられている。ケース本体201aの開口201h
と共にカバー201bの開口201fから、デフキャリ
ア油溜りの潤滑油が流出入する。
【0065】デフケース本体201の軸心部には左右の
出力側サイドギヤ215,217が配置され、その周囲
のデフケース201には軸に平行に長短一対の収納孔2
09,211が周方向に複数対設けられている。長短の
収納孔209,211には、長短のピニオンギヤ21
3,214が収納され、各ピニオンギヤ213,214
はそれぞれサイドギヤ215,217と噛み合う第1ギ
ヤ部213a,214aと互いに噛み合う第2ギヤ部2
13b,214bとを有する。長いピニオンギヤ213
の第1ギヤ部213aと第2ギヤ部213bとの中間に
小径の軸部213cを有し、一方短いピニオンギヤ21
4の第1ギヤ部214aと第2ギヤ部214bとは連続
して形成されている。
【0066】左のサイドギヤ215の内周には図示しな
い左の出力軸がスプライン連結される。右のサイドギヤ
217は直接には右の出力軸と連結されずに、サイドギ
ヤ217と同心に嵌合配置された出力部材206と後述
のクラッチ部材207とを介して選択的に右の出力軸に
連結される。また、右のサイドギヤ217の右側にはド
グクラッチ217b(噛み合いクラッチ)を有するクラ
ッチプレート217aが一体に固着されている。一方、
クラッチ部材207は出力部材206上に軸方向に移動
可能にスプライン連結されている。したがって、クラッ
チ部材207は出力部材206(つまり右側出力軸)と
常時一体に回転する。
【0067】サイドギヤ215,217間、左のサイド
ギヤ215とデフケース201との間および出力部材2
06とデフケース201との間にはそれぞれワッシャ2
19が配置されている。
【0068】図5に示すように、押圧プレート223は
折曲げられた内側端223aがクラッチ部材207の外
周に形成された周溝207aに摺動可能に係合し、外側
端223cがデフケース201の孔(開口部)201g
を通ってデフケース201の外部に延出している。そし
て、ばね225が押圧部223に一体に形成され、その
先端部225aがデフケース201に接している。ばね
225は、ドグクラッチ217b,207bの噛み合い
を解除する方向にクラッチ部材207を付勢している。
【0069】そして、さらにこのクラッチ部材207の
押圧プレート223の右側面223bに接して、ダイア
フラム式のアクチュエータ227が配置されている。ア
クチュエータ227は図示しないブラケット部にてデフ
キャリアに固定され、またアクチュエータ227の圧力
室227bは図示しない流路を介してデフキャリア外部
の空気圧力源に連通している。
【0070】つぎに、このフロントデフの作用を説明す
る。
【0071】アクチュエータ227の圧力室227bに
所定の空気圧が供給されると、ばね225の付勢力に抗
してアクチュエータ227のダイアフラム227cが左
方へ変位して押圧プレート223を押圧する。これによ
りクラッチプレート217aとクラッチ部材207との
ドグクラッチ217b,207bが噛合うので、クラッ
チ部材207を介して右のサイドギヤ217と出力部材
206(つまり出力軸)とが連結される。これにより、
フロントデフは前輪側へ駆動力を伝達すると共に、前輪
側左右輪間に抵抗差が生じた場合には駆動力を差動配分
する(4駆状態)。
【0072】一方、圧力室227bの圧力が抜けると、
ダイアフラム227cがばね225の付勢力により右方
へ戻ることによりドグクラッチ217b,207bの噛
合いが解除されるので、フロントデフは駆動力を伝達不
能となる(2駆状態)。このとき、車両の走行により回
転している前輪から4駆時とは逆の駆動経路を経て車軸
からピニオンギヤ213,214までは回転させられる
も、デフケース201は停止したままで済み、空転ロス
の低減や騒音低減が得られる。
【0073】なお、圧力室227bへの圧力の供給およ
び排出は、図示しないトランスファ装置の4駆/2駆切
換装置の作動に連動して行われる。
【0074】そして、デフキャリアの油溜りの潤滑油は
デフケース201の開口201f,201h,201g
等から流出入し、デフケース201内部を潤滑する。
【0075】こうして、本実施形態によれば、前記従来
例の構成とは異なり、ばね225がクラッチ部材207
の押圧プレート223と一体に形成されているので、部
品点数の削減により、組み付けおよび部品管理の手間を
省くことができる。
【0076】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1に記載の発明によれば、ばねの端部とそれぞれ接触す
るアウタデフケースと押圧プレートとが一体的に回転す
るので、前記従来例と異なり、ばね端部の摺動を防止す
るための部品は不要となる。こうして、部品点数が減る
から組み付けや部品管理が容易となる。
【0077】請求項2に記載の発明によれば、ばねの端
部とそれぞれ接触するデフケースと押圧プレートとが一
体的に回転するので、請求項1の発明と同等の効果が得
られる。
【0078】請求項3に記載の発明によれば、ばねの端
部とそれぞれ接触するデフケースと押圧プレートとが一
体的に回転するので、請求項1の発明と同等の効果が得
られる。
【0079】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
または2の発明による効果に加え、押圧プレートとクラ
ッチ部材とを結合する結合部材が不要となるので管理が
容易となる。
【0080】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
または2の発明による効果に加え、固設用部材は増える
ものの、押圧プレートとクラッチ部材の個々の製作上や
組み付け上の自由度増大が有利となる可能性を有する。
【0081】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
〜3のいずれかの発明による効果に加え、ばねが押圧プ
レートと一体であるので単独部材のばねは不要となり、
組み付けや部品管理がより一層容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の断面図である。
【図2】第2実施形態の断面図(図3のA−A断面図)
である。
【図3】図2のB矢視図である。
【図4】図3のD矢視図である。
【図5】第3実施形態の断面図である。
【図6】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 アウタデフケース 5 インナデフケース 5b,7b,107b、117b,207b,217b
ドグクラッチ(噛み合いクラッチ) 7,107,207 クラッチ部材 7a,107a 凸部 9,109 ピニオンシャフト 13,113,213,214 ピニオンギヤ 15,17,115,117,215,217 サイド
ギヤ 23,123,223 押圧プレート 23a フランジ 23b 係止部 25 コイルばね(ばね) 27,127,227 アクチュエータ 101,201 デフケース 125,225 ばね 125a,225a ばねの先端部 206 出力部材 207a クラッチ部材の周溝 209,211 収納孔 217a クラッチプレート 223a 押圧プレートの内側端 223b 押圧プレートの外側端

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの回転駆動力が入力するアウタ
    デフケースと、前記アウタデフケースの内部に同軸に回
    転可能に支持されると共に自らの内部にベベルギヤ式の
    差動ギヤ機構を備える中空円筒状のインナデフケース
    と、 前記アウタデフケース内にインナデフケースに隣接して
    収納され、該アウタデフケースと一体に回転するように
    連結されると共に軸方向には移動可能に配置され、該移
    動によりインナデフケースとの噛み合いクラッチが断続
    可能となるクラッチ部材と、 前記クラッチ部材との間に配置された押圧プレートを介
    して該クラッチ部材をインナデフケースと噛み合う側へ
    押圧するアクチュエータと、前記押圧プレートを噛合い
    解除側へ付勢するばねとを備えるディファレンシャル装
    置であって、 前記ばねが、互いに一体回転するアウタデフケースと押
    圧プレートとの間に配置されることを特徴とするディフ
    ァレンシャル装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの回転駆動力が入力するデフケ
    ースと、前記デフケース内に同軸に対向配置された一対
    の出力側サイドギヤと、前記デフケース内に軸直角方向
    に固定されたピニオンシャフトと、前記ピニオンシャフ
    ト上に回転可能に支持され前記サイドギヤと噛み合う複
    数のピニオンギヤと、前記デフケース内に該デフケース
    と一体に回転するように連結されると共に軸方向には移
    動可能に収納され、該移動により隣接する側のサイドギ
    ヤとの噛み合いクラッチが断続可能となるクラッチ部材
    と、 前記クラッチ部材との間に配置された押圧プレートを介
    して該クラッチ部材を該サイドギヤと噛み合う側へ押圧
    するアクチュエータと、前記押圧プレートを噛合い解除
    側へ付勢するばねとを備えるディファレンシャル装置で
    あって、 前記ばねが、互いに一体回転するデフケースと押圧プレ
    ートとの間に配置されることを特徴とするディファレン
    シャル装置。
  3. 【請求項3】 エンジンの回転駆動力が入力するデフケ
    ースと、前記デフケース内に同軸に対向配置された一対
    のサイドギヤと、前記サイドギヤの周囲のデフケースに
    軸に平行に形成された複数対の収納孔と、前記各収納孔
    に摺動回転自在に収納され互いに噛み合うと共に前記各
    サイドギヤとそれぞれ別に噛み合うピニオンギヤと、前
    記一対のサイドギヤの一方に隣接配置され該サイドギヤ
    と出力軸とを連結可能な出力部材と、 前記出力部材上に軸方向移動可能に連結され、該移動に
    より隣接するサイドギヤとの噛合いクラッチが断続可能
    となるクラッチ部材と、 前記クラッチ部材との間に配置された押圧プレートを介
    して該クラッチ部材を前記サイドギヤと噛み合う側へ押
    圧するアクチュエータと、前記押圧プレートを噛合い解
    除側へ付勢するばねとを備えるディファレンシャル装置
    であって、 前記押圧プレートは内側端部が前記クラッチ部材外周の
    溝に係合すると共に外側端部がデフケースの複数の開口
    を経てデフケース外部へ延出し、 前記ばねが、互いに一体回転するデフケースと押圧プレ
    ートとの間に配置されることを特徴とするディファレン
    シャル装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載のディファレン
    シャル装置であって、 前記押圧プレートが前記クラッチ部材と一体であること
    を特徴とするディファレンシャル装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載のディファレン
    シャル装置であって、 前記押圧プレートが前記クラッチ部材に固設されること
    を特徴とするディファレンシャル装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載のディフ
    ァレンシャル装置であって、 前記ばねが板状ばねであって、前記押圧プレートと一体
    に設けられてなることを特徴とするディファレンシャル
    装置。
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