JPH10165823A - イオン交換セルロースの製造方法 - Google Patents

イオン交換セルロースの製造方法

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JPH10165823A
JPH10165823A JP8342390A JP34239096A JPH10165823A JP H10165823 A JPH10165823 A JP H10165823A JP 8342390 A JP8342390 A JP 8342390A JP 34239096 A JP34239096 A JP 34239096A JP H10165823 A JPH10165823 A JP H10165823A
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cellulose
ion
exchange
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specific surface
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JP8342390A
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Osamu Hasegawa
修 長谷川
Hirohiko Yokomizo
裕彦 横溝
Fumihiko Tadokoro
文彦 田所
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Nisshinbo Holdings Inc
Original Assignee
Nisshinbo Industries Inc
Nisshin Spinning Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、イオン交換能を有する官能基が数
多く結合し、高いイオン交換能を有するイオン交換セル
ロースを比較的容易に製造する方法を提供する。 【解決手段】 セルロースを湿式粉砕機で微小繊維化処
理することにより得られたセルロースに、イオン交換能
を有する官能基を結合させることを特徴とするイオン交
換セルロースの製造方法に関するものであり、好ましく
は、セルロースの微小繊維化処理により、その比表面積
が100m2/g以上、300m2/g以下であることを
特徴とするセルロースを用いたイオン交換セルロースの
製造方法であり、さらに好ましくは、セルロースの微小
繊維化処理が、砥石の回転によって、剪断力、圧縮力が
加わる石臼型湿式粉砕機で行われることを特徴とするイ
オン交換セルロースの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン交換セルロ
ースの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】イオン交換セルロースはセルロースにイ
オン交換能を有する官能基を結合させたもので、有害金
属などを含む排水の処理、紙力増強、血液中の有害成分
の除去や濾過、核酸、タンパク質や多糖類等の生体物質
や生理活性物質の分離、精製等の用途に、繊維、ろ紙、
シート、バルク、粉末等の形態で使用されている。
【0003】イオン交換セルロースに結合されているイ
オン交換能を有する官能基には、陽イオン交換性基とし
て、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボキシメチル
基、リン酸基等があり、また、陰イオン交換性基とし
て、アミノ基、アミノ基に由来するアンモニウム基を有
するもの等がある。
【0004】イオン交換セルロースを製造する方法は、
1950年に木綿繊維基材に各種イオン交換性基を導入
し、滴定曲線、総交換容量等の物性値を測定したという
報告(Textile Research J.,20,617(195
0))がなされて以来、数多くの製造方法が開示され、
実用化されている。
【0005】しかしながら、これらの報告においてイオ
ン交換セルロースの製造に使用されるセルロース担体は
繊維状または粉末状あるいは球状のものであり、これら
は比表面積が小さく、このため、セルロース担体表面に
導入できるイオン交換性基の数が限定されてしまい、イ
オン交換能も小さくなり、イオン交換セルロースとして
十分な性能が得られない欠点があった。
【0006】また、比表面積を大きくする方法として
は、特開昭63―31542号、特開昭63―1824
98号にイオン交換セルロースの製造の際に微小繊維化
処理を行うという報告がある。これは、あらかじめイオ
ン交換基を導入したセルロースを高圧下でオリフィスを
通過させることにより微小繊維化するというものであ
る。
【0007】しかしながら、この場合、微小繊維化処理
により比表面積は大きくなるものの、イオン交換性基の
数は微小繊維化前に導入されたイオン交換性基の数によ
って限定されてしまうため、これより多くなることはな
く、比表面積の増大がイオン交換能の増大に十分に生か
されていない。したがって、このような工程を経る製造
方法は、十分なイオン交換能を有するイオン交換セルロ
ースの製造方法であるとは言えなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上に鑑み、本発明
は、イオン交換能を有する官能基が数多く結合し、高い
イオン交換能を有するイオン交換セルロースを比較的容
易に製造する方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、本発明者らはイオン交換セルロースの製造方法に
ついて鋭意研究を行った結果、セルロース材料を湿式粉
砕機で粉砕して大きな比表面積を持つ微小繊維化セルロ
ースとした後に、この大きな比表面積を利用して数多く
のイオン交換性基を結合させることにより、比較的容易
にイオン交換能の高いイオン交換セルロースが製造でき
ることを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち本発明は、セルロースを湿式粉砕
機で微小繊維化処理することにより得られたセルロース
に、イオン交換能を有する官能基を結合させることを特
徴とするイオン交換セルロースの製造方法に関するもの
であり、好ましくは、セルロースの微小繊維化処理によ
り、その比表面積が100m2/g以上、300m2/g
以下であることを特徴とするセルロースを用いたイオン
交換セルロースの製造方法であり、さらに好ましくは、
セルロースの微小繊維化処理が、砥石の回転によって、
剪断力、圧縮力が加わる石臼型湿式粉砕機で行われるこ
とを特徴とするイオン交換セルロースの製造方法であ
る。
【0011】本発明によるイオン交換セルロースは、従
来の方法に比ベて比較的容易に高容量のイオン交換能を
持たせることができることを特徴とするものである。
【0012】ここでいうセルロースの微小繊維化処理と
は、湿式粉砕等によって機械的な剪断力、圧縮力等をセ
ルロースに及ぼし、セルロースが保持しているフィブリ
ルの結束を破壊することにより、セルロースをミクロフ
ィブリルの次元まで微細化する処理のことである。
【0013】セルロースを湿式粉砕機で微小繊維化処理
すると、非常に大きな比表面積を持ったセルロース繊維
が得られる。このようにして得られた微小繊維化セルロ
ースは、セルロースのフィブリルを形成していた水素結
合が切れてミクロフィブリル状態となり、フィブリルの
形成に使われていたために官能基の導入反応に対しては
不活性であった水酸基が分散媒と接触するようになり活
性な水酸基となる。このためイオン交換能を有する官能
基を比較的容易に数多く入れることができるようになる
のである。
【0014】イオン交換性基導入に関してこのような効
果が顕著になる微小繊維化セルロースの比表面積の値は
100m2/g以上、好ましくは120m2/g以上であ
る。100m2/g未満では上記効果を得るために充分
な量の水酸基が無く、イオン交換性基を容易に数多く入
れるのがやや難しくなる。比表面積が大きい程、イオン
交換性基を多く導入できるが、製造しうる微小繊維セル
ロースの比表面積の上限は、300m2/gである。
【0015】ミクロフィブリルの大きさは、出発原料の
セルロースとしてなにを使うかにもより一概には言えな
い(例えば、Cellulose Communications,,6(19
94))が、ここでは概ね繊維径が2μm以下で、繊維
長が1mm以下のものを指す。
【0016】本発明に使用するセルロースは、特に制限
はなく、コットンリント、コットンリンター、針葉樹セ
ルロース、広葉樹セルロース、靭皮セルロース、麻セル
ロース、再生セルロース、バクテリアセルロース、ホヤ
セルロース等、そしてそれらの混合物が用いられる。ま
た、これらのセルロースをあらかじめ各種処理したもの
を用いても構わない。
【0017】ここで言う各種処理とは、加熱処理、冷却
処理、精製処理、非晶化処理、膨潤化処理、重合度低下
処理、誘導体化処理、架橋処理、結晶型転換処理、溶解
再生処理、粉砕処理、造粒処理等、あらゆる化学的、機
械的処理を意味する。
【0018】セルロースの微小繊維化処理を行なう装置
については特に限定的ではなく、例えば、ビーター、コ
ニカルリファイナー、シングルディスクリファイナー、
ダブルディスクリファイナー等の各種叩解機を用いる方
法、高圧下でオリフィスを通過させる方法、インペラー
ミルを用いる方法、サンドミルを用いる方法、コロイド
ミルを用いる方法等、あるいはそれらの組合せを適宜用
いればよいが、中でも、砥石の回転によって剪断力、圧
縮力が加わるような湿式粉砕機であれば、より比表面積
の大きな微小繊維セルロースを得られ、好ましい結果が
得られる。
【0019】さらに、該湿式粉砕機が、下記石臼型湿式
粉砕機(たとえば、増幸産業株式会社製スーパーグライ
ンデル)であれば、より好ましい結果が得られた。
【0020】該湿式粉砕機の原理は次の通りである。す
なわち、溝を彫った2枚の砥石のうち1枚は固定され、
もう1枚の砥石が所定の間隔をもって回転するもので、
該湿式粉砕機の中で原料セルロース繊維が遠心力により
移動し、その移動の過程で繊維の長軸に垂直な方向で剪
断力や圧縮力が加わるというものである。
【0021】この石臼型湿式粉砕機の運転条件として
は、モーター回転数は、100〜3000rpmが通常
用いられ、また、2枚の砥石の間隔は、原料セルロース
にもよるが、1000〜10μmが通常用いられる。本
目的に使用される比表面積の大きなセルロースを製造す
るためには2枚の砥石の間隔は狭い方がよく、好ましく
は200〜10μmである。
【0022】この粉砕処理を繰り返し行うことにより、
より比表面積の大きな微小繊維化セルロースが得られ
る。このとき、繰り返し粉砕するに従って砥石の間隔を
狭めていき、最終的に設定した砥石の間隔で数回粉砕す
るとよい。
【0023】また、粉砕に供するセルロースは分散液と
し、その濃度は50〜0.1wt%、好ましくは10〜
1wt%である。
【0024】該セルロース分散媒は、好んで水が使われ
るが、イオン交換性基導入の反応に影響が無ければ、有
機酸、無機酸、有機アルカリ、無機アルカリ、有機塩、
無機塩、あるいは有機溶媒等を加えてもよい。
【0025】微小繊維化処理した本発明に使用されるセ
ルロースは、通常ペーストあるいはスラリー状で得られ
る。この微小繊維化セルロースペーストあるいはスラリ
ーは、イオン交換性基の導入反応に適切な濃度に濃縮あ
るいは希釈され、また、該導入反応に適した分散媒に置
換される。
【0026】該セルロースペーストあるいはスラリーの
濃度は水分率計(たとえば、Kett水分率計FD―6
20)を用いて120℃で30分間加熱乾燥を行い、得
られた固形分率をセルロースペーストあるいはスラリー
のセルロースの濃度とする。
【0027】濃縮は、遠心分離機、遠心脱水機、エバポ
レーター等が使用される。このようにして得られた微小
繊維化セルロースは非常に大きな比表面積を持つ。
【0028】比表面積の測定は、得られた微小繊維化セ
ルロースペーストあるいはスラリーを凍結乾燥したのち
に比表面積測定装置(例えば、Microtrac ベータソーブ
自動表面積計Model4200)を用い、BET法にて行
なう。
【0029】凍結乾燥は、微小繊維化セルロースペース
トの分散媒をtert―ブチルアルコールに置換した
後、セルロースの濃度を1%に希釈し、凍結乾燥機(た
とえば、東京理化器械(株)FD―1)にて行う。
【0030】比表面積測定結果の一例を第1表に示す。
【0031】
【表1】 このようにして得られた微小繊維化セルロースペースト
あるいはスラリーは、各種イオン交換性基の導入反応に
用いられる。
【0032】イオン交換能を有する官能基としては、陽
イオン交換性基として、カルボキシル基、スルホン酸
基、リン酸基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル
基、ホスホリルトリメチレン基等のあらゆる陽イオン交
換性基があげられる。また、陰イオン交換性基として、
アミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチル
(2―ヒドロキシプロピル)アミノエチル基、これらの
アミノ基に由来する第4級アンモニウム基等のあらゆる
陰イオン交換性基があげられる。
【0033】イオン交換基の導入は、一般的なセルロー
スへの官能基導入反応によって行なえばよい。たとえ
ば、カルボキシメチル基の導入は、高分子合成法II
(J.R.Elliott,東京化学同人(196
9))に記載の方法によって行うことができる。
【0034】イオン交換セルロースのイオン交換能は総
交換容量の値によって判定する。総交換容量は常法に従
って測定すればよく、例えば高分子実験学第7巻、機能
高分子、(高分子学会編、共立出版(1974))に準
拠し、以下のように行なう。
【0035】(1)洗浄、精製 1)陰イオン交換セルロースの場合 試料25mlをメスシリンダーに採取し、1mol/l
塩酸200ml、イオン交換水200ml、1mol/
l水酸化ナトリウム水溶液200mlで順次洗浄し、最
後に大量のイオン交換水で十分に洗浄した後に遠心脱水
する。
【0036】2)陽イオン交換セルロースの場合 試料25mlをメスシリンダーに採取し、1mol/l
水酸化ナトリウム水溶液200ml、イオン交換水20
0ml、1mol/l塩酸200mlで順次洗浄し、最
後に大量のイオン交換水で十分に洗浄した後に遠心脱水
する。
【0037】(2)測定 1)陰イオン交換セルロースの場合 試料5gを正確に測りとり、水分率計(たとえば、Ke
tt水分率計FD―620)を用いて試料に含まれる水
分を測定する(水分%)。250mlのメスフラスコに
0.2mol/l塩酸を250ml入れ(試料g)、こ
れに上記試料3.0gを正確に秤量して入れ、室温で一
晩放置する。上澄み液25mlをホールピペットでと
り、これにフエノールフタレインを指示薬として0.1
mol/l水酸化ナトリウム水溶液で2回滴定する(A
ml)。使用した0.2mol/l塩酸についても25
mlとり0.1ml/l水酸化ナトリウム水溶液で滴定
する(Bml)。
【0038】2)陽イオン交換セルロースの場合 試料5gを正確に測りとり、水分率計を用いて試料に含
まれる水分を測定する(水分%)。250mlのメスフ
ラスコに0.2mol/l水酸化ナトリウム水溶液を2
50ml入れ(試量g)、これに上記試料3.0gを正
確に秤量して入れ、室温で一晩放置する。上澄み液25
mlをホールピペットでとり、これにメチルオレンジを
指示薬として0.1mol/l塩酸で2回滴定する(A
ml)。使用した0.2mol/l水酸化ナトリウム水
溶液についても25mlとり0.1mol/l塩酸で滴
定する(Bml)。
【0039】(3)総交換容量の計算方法 1)陰イオン交換セルロースの場合 総交換容量(meq/g)={(B−A)×(0.1m
ol/lNaOH力価)×100}/[(試料g)×
{100−(水分%)}] 2)陽イオン交換セルロースの場合 総交換容量(meq/g)={(B−A)×(0.1m
ol/lHCl力価)×100}/[(試料g)×{1
00−(水分%)}l
【0040】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。
【0041】
【実施例1】コットンリンターパルプ300gに870
0gの水を加え、撹拌して、セルロース分散液とした。
これを増幸産業株式会社製スーパーグラインデルにて粉
砕を行った。
【0042】モーター回転数は1500rpmで、砥石
の間隔は、最初は500μmに設定し、繰り返し粉砕す
るに従い砥石の間隔をせばめ、最終的に50μmで5回
粉砕した。この粉砕により、セルロースはパルプ状から
ぺ―スト状へと変化した。
【0043】得られたセルロースペーストを遠心脱水機
で濃縮し、セルロース濃度を18.3wt%とした。こ
れはほとんど流動性を示さない固形状物であった。
【0044】この固形状物から凍結乾燥に必要な量を一
部とり、分散媒を水からtert―ブチルアルコールに
置換してセルロースの濃度が1%のペーストとし、これ
を凍結乾燥機(東京理化器械(株)FD―1)によって
乾燥した。この乾燥試料を比表面積測定装置(Micr
otracベータソーブ自動表面積計Model4200)
を用いて、BET法にて比表面積の測定を行ったとこ
ろ、143.5m2/gであった。
【0045】この固形状物27.3g(セルロース分
5.0g)をtert―ブチルアルコールで十分に洗浄
して、分散媒を水からtert―ブチルアルコールに置
換したセルロースペーストを得た。
【0046】このセルロースペーストをtert―ブチ
ルアルコール100mlに分散し、30%NaOH水溶
液20.8gを加えて室温で30分間撹枠した。これに
モノクロル酢酸7.3gを加え、55℃で5時間撹拌し
た。反応液を吸引ろ過で除去し、ろ別した固形物を80
%メタノール中でスラリーにし、1mol/l塩酸を用
いてpHを7.0に調節した。この生成物を100ml
の80%メタノール中で30分間激しく撹拌して洗浄
し、これを4回繰り返した後、次に100mlのメタノ
ール中で30分間激しく撹拌して洗浄し、これを2回繰
り返した後、分散媒を水に置換して、カルボキシメチル
化セルロースペーストを得た。生成物の総交換容量は
1.5meq/gであった。
【0047】
【実施例2】実施例1で用いたコットンリンターパルプ
300gに8700gの水を加え、撹拌して、セルロー
ス分散液とした。これを増幸産業株式会社製スーパーグ
ラインデルにて粉砕を行った。
【0048】モーター回転数は1500rpmで、砥石
の間隔は、最初は500μmに設定し、繰り返し粉砕す
るに従い砥石の間隔をせばめ、最終的に50μmで2回
粉砕した。
【0049】得られたセルロース分散液を遠心脱水機で
濃縮し、セルロース濃度を13.0wt%とした。これ
はほとんど流動性を示さない固形状物であった。
【0050】以降、実施例1と同様にカルボキシメチル
化を行ったところ、生成物の総交換容量は1.1meq
/gであった。また、実施例1と同様にして測定した該
セルロース粉砕物の比表面積の値は101.2m2/g
であった。
【0051】
【比較例1】実施例1で用いたコットンリンターパルプ
300gに8700gの水を加え、撹拌して、セルロー
ス分散液とした。これを増幸産業株式会社製スーパーグ
ラインデルにて粉砕を行った。
【0052】モーター回転数は1500rpmで、砥石
の間隔は、最初は500μmに設定し、繰り返し粉砕す
るに従い砥石の間隔をせばめ、最終的に100μmで5
回粉砕した。
【0053】得られたセルロース分散液を遠心脱水機で
濃縮し、セルロース濃度を9.2wt%とした。これは
パルプの繊維質がやや残留した固形状物であった。
【0054】以降、実施例1と同様にカルボキシメチル
化を行ったところ、生成物の総交換容量は0.4meq
/gであった。また、実施例1と同様にして測定した該
セルロース粉砕物の比表面積の値は60.5m2/gで
あった。
【0055】
【比較例2】実施例1で用いたコットンリンターパルプ
原料を水を分散媒としてミキサーにて解繊し、セルロー
ス分として5.0gになる量の解繊物をtert―ブチ
ルアルコールで十分に洗浄した後、tert―ブチルア
ルコール100mlに分散した。
【0056】以降、実施例1と同様にカルボキシメチル
化を行ったところ、生成物の総交換容量は0.2meq
/gであった。また、実施例1と同様にして測定した該
パルプ解繊物の比表面積の値は2.8m2/gであっ
た。
【0057】
【比較例3】比較例2で得たカルボキシメチル化セルロ
ース300gに8700gの水を加え、撹拌して、セル
ロース分散液とした。これを増幸産業株式会社製スーパ
ーグラインデルにて粉砕を行った。
【0058】モーター回転数は1500rpmで、砥石
の間隔は、最初は500μmに設定し、繰り返し粉砕す
るに従い砥石の間隔をせばめ、最終的に50μmで5回
粉砕した。この粉砕により、カルボキシメチル化セルロ
ースはパルプ状からペースト状へと変化した。
【0059】得られたカルボキシメチル化セルロースペ
ーストを遠心脱水機で濃縮し、カルボキシメチル化セル
ロース濃度を12.5%とした。これはほとんど流動性
を示さない固形状物であった。
【0060】この固形状物の総交換容量は0.2meq
/gであった。また、実施例1と同様にして測定した該
カルボキシメチル化セルロース粉砕物の比表面積は14
0.2m2/gであった。
【0061】
【実施例3】実施例1で微小繊維化し、遠心脱水して得
られた微小繊維化コットンリンターパルプの固形状物2
7.3g(セルロース分5.0g)をtert―ブチル
アルコールで十分に洗浄して、分散媒を水からtert
―ブチルアルコールに置換したセルロースペーストを得
た。
【0062】このセルロースペーストをtert―ブチ
ルアルコール100mlに分散し、30%NaOH水溶
液20.8gを加えて室温で30分間撹拌した。これに
ジエチルアミノエチルクロリド塩酸塩13.3gを加
え、55℃で5時間撹拌した。反応液を吸引ろ過で除去
し、この生成物を100mlの80%メタノール中で3
0分間激しく撹拌して洗浄し、これを4回繰り返した
後、次に100mlのメタノール中で30分間激しく撹
拌して洗浄し、これを2回繰り返した後、分散媒を水に
置換して、ジエチルアミノエチル化セルロースペースト
を得た。生成物の総交換容量は1.3meq/gであっ
た。
【0063】
【実施例4】実施例2で湿式粉砕し、遠心脱水して得ら
れた微小繊維化コットンリンターパルプの固形状物3
8.5g(セルロース分5.0g)をtert―ブチル
アルコールで十分に洗浄して、分散媒を水からtert
―ブチルアルコールに置換したセルロース分散液を得
た。
【0064】以降、実施例3と同様にジエチルアミノエ
チル化を行ったところ、生成物の総交換容量は1.0m
eq/gであった。
【0065】
【比較例4】比較例1で湿式粉砕し、遠心脱水して得ら
れた粗粉砕コットンリンターパルプの固形状物54.3
g(セルロース分5.0g)をtert―ブチルアルコ
ールで十分に洗浄して、分散媒を水からtert―ブチ
ルアルコールに置換したセルロース分散液を得た。
【0066】以降、実施例3と同様にジエチルアミノエ
チル化を行ったところ、生成物の総交換容量は0.5m
eq/gであった。
【0067】
【比較例5】実施例1で用いたコットンリンターパルプ
原料を水を分散媒としてミキサーにて解繊し、セルロー
ス分として5.0gになる量の解繊物をtert―ブチ
ルアルコールで十分に洗浄した後、tert―ブチルア
ルコール100mlに分散した。以降、実施例3と同様
にジエチルアミノエチル化を行ったところ、生成物の総
交換容量は0.3meq/gであった。
【0068】
【実施例5】針葉樹パルプ400gに9000gの水を
加え、撹拌して、セルロース分散液とした。これを増幸
産業株式会社製スーパーグラインデルにて粉砕を行っ
た。
【0069】モーター回転数は1500rpmで、砥石
の間隔は、最初は500μmに設定し、繰り返し粉砕す
るに従い砥石の間隔をせばめ、最終的に50μmで5回
粉砕した。この粉砕により、セルロースはパルプ状から
ペースト状へと変化した。
【0070】得られたセルロースペーストを遠心脱水機
で濃縮し、セルロース濃度を9.4wt%とした。これ
はほとんど流動性を示さない固形状物であった。
【0071】この固形状物から凍結乾燥に必要な量を一
部とり、分散媒を水からtert―ブチルアルコールに
置換してセルロースの濃度が1%のペーストとし、これ
を凍結乾燥機(東京理化器械(株)FD―1)によって
乾燥した。この乾燥試料を比表面積測定装置(Micr
otracベータソーブ自動表面積計Model4200)
を用いて、BET法にて比表面積の測定を行ったとこ
ろ、204.4m2/gであった。
【0072】この固形状物53.2g(セルロース分
5.0g)をtert―ブチルアルコールで十分に洗浄
して、分散媒を水からtert―ブチルアルコールに置
換したセルロースペーストを得た。
【0073】このセルロースペーストをtert―ブチ
ルアルコール100mlに分散し、30%Na0H水溶
液20.8gを加えて室温で30分間撹拌した。これに
モノクロル酢酸7.3gを加え、55℃で5時間撹拌し
た。反応液を吸引ろ過で除去し、この生成物を100m
lの80%メタノール中で30分間激しく撹拌して洗浄
し、これを4回繰り返した後、次に100mlのメタノ
ール中で30分間激しく撹粋して洗浄し、これを2回繰
り返した後、分散媒を水に置換して、カルボキシメチル
化セルロースペーストを得た。生成物の総交換容量は
1.6meq/gであった。
【0074】
【比較例6】実施例5で用いた針葉樹パルプ原料を水を
分散媒としてミキサーにて解繊し、セルロース分として
5.0gになる量の解繊物をtert―ブチルアルコー
ルで十分に洗浄した後、tert―ブチルアルコール1
00mlに分散した。以降、実施例5と同様にカルボキ
シメチル化を行ったところ、生成物の総交換容量は0.
2meq/gであった。また、実施例1と同様にして測
定した該パルプ解繊物の比表面積の値は2.5m2/g
であった。
【0075】
【実施例6】実施例5で微小繊維化し、遠心脱水して得
られた微小繊維化針葉樹パルプの固形状物53.2g
(セルロース分5.0g)をtert―ブチルアルコー
ルで十分に洗浄して、分散媒を水からtert―ブチル
アルコールに置換したセルロースペーストを得た。
【0076】このセルロースペーストをtert―ブチ
ルアルコール100mlに分散し、30%NaOH水溶
液20.8gを加えて室温で30分間撹拌した。これに
ジエチルアミノエチルクロリド塩酸塩13.3gを加
え、55℃で5時間撹拌した。反応液を吸引ろ過で除去
し、この生成物を100mlの80%メタノール中で3
0分間激しく撹拌して洗浄し、これを4回繰り返した
後、次に100mlのメタノール中で30分間激しく撹
拌して洗浄し、これを2回繰り返した後、分散媒を水に
置換して、ジエチルアミノエチル化セルロースペースト
を得た。生成物の総交換容量は1.5meq/gであっ
た。
【0077】
【比較例7】実施例5で用いた針葉樹パルプ原料を水を
分散媒としてミキサーにて解繊し、セルロース分として
5.0gになる量の解繊物をtert―ブチルアルコー
ルで十分に洗浄した後、tert―ブチルアルコール1
00mlに分散した。以降、実施例6と同様にジエチル
アミノエチル化を行ったところ、生成物の総交換容量は
0.2meq/gであった。
【0078】
【比較例8】微結晶セルロース5.0gをtert―ブ
チルアルコール100mlに分散し、以降、実施例1と
同様にカルボキシメチル化を行ったところ、生成物の総
交換容量は0.2meq/gであった。また、実施例1
と同様にして測定した該微結晶セルロースの比表面積の
値は1.0m2/gであった。
【0079】
【比較例9】微結晶セルロース5.0gをtert―ブ
チルアルコール100mlに分散し、以降、実施例3と
同様にジエチルアミノエチル化を行ったところ、生成物
の総交換容量は0.2meq/gであった。
【0080】
【比較例10】粉末セルロース5.0gをtert―ブ
チルアルコール100mlに分散し、以降、実施例1と
同様にカルボキシメチル化を行ったところ、生成物の総
交換容量は0.3meq/gであった。また、実施例1
と同様にして測定した該粉末セルロースの比表面積の値
は2.1m2/gであった。
【0081】
【比較例11】粉末セルロース5.0gをtert―ブ
チルアルコール100mlに分散し、以降、実施例3と
同様にジエチルアミノエチル化を行ったところ、生成物
の総交換容量は0.2meq/gであった。
【0082】実施例1〜6、比較例1〜11の結果をま
とめて第2表に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
【発明の効果】本発明のイオン交換セルロースの製造方
法は、微小繊維化処理により比表面積を大きくしたセル
ロースにイオン交換性基を導入する方法であり、従来の
方法に比べ比較的容易に数多くのイオン交換性基を導入
することができるため、イオン交換セルロース製造工程
の簡略化等に大きな意義を持っている。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースを湿式粉砕機で微小繊維化処
    理することにより得られたセルロースに、イオン交換能
    を有する官能基を結合させることを特徴とするイオン交
    換セルロースの製造方法。
  2. 【請求項2】 微小繊維化処理されたセルロースの比表
    面積が100m2/g以上、300m2/g以下である請
    求項1記載のイオン交換セルロースの製造方法。
  3. 【請求項3】 セルロースの微小繊維化処理が、砥石の
    回転によって、剪断力、圧縮力が加わる石臼型湿式粉砕
    機で行われることを特徴とする請求項1又は2記載のイ
    オン交換セルロースの製造方法。
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