JPWO2019059079A1 - アニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

アニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法において、アニオン変性セルロースを調製する調製工程と、前記調製工程にて得られた前記アニオン変性セルロースを解繊してアニオン変性セルロースナノファイバー塩を得る解繊工程と、前記解繊工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバー塩に対して、陽イオン交換樹脂を用いた陽イオン交換反応を行うことにより脱塩処理してアニオン変性セルロースナノファイバーを得る脱塩工程と、前記脱塩工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバーと前記陽イオン交換樹脂を含む混合物から前記陽イオン交換樹脂を回収する回収工程とを有する。

Description

本発明はアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法に関するものである。
セルロース系原料を2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシラジカル(以下、「TEMPO」と呼ぶ)と安価な酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムとの共存下で処理すると、セルロースのミクロフィブリルの表面にカルボキシル基を効率よく導入することができる(特許文献1)。また、セルロース系原料をマーセル化した後にモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることにより、セルロースにカルボキシメチル基を導入することができる(特許文献2)。カルボキシル基やカルボキシメチル基が導入されたセルロースは、溶媒中でこれらの基がマイナスに荷電する(以下、「アニオン変性セルロース」と呼ぶ)。このようなアニオン変性セルロースを溶媒中でミキサー等で処理すると、セルロースのミクロフィブリルであるセルロースナノファイバー分散液が得られることが知られている(特許文献3)。
セルロースナノファイバーは、生分解性の水分散型素材である。上記の方法により得られたセルロースナノファイバーは、分散液の形態であるため、各種水溶性ポリマーとブレンドすることや、有機・無機系顔料と複合化して改質することもできる。また、セルロースナノファイバーをシート化又は繊維化することもできる。このような特性により、セルロースナノファイバーを高機能包装材料、透明有機基板部材、高機能繊維、分離膜、再生医療材料等に応用した新規高機能性商品の開発が検討されている。
上記の方法により得られたセルロースナノファイバー水分散液では、セルロースナノファイバーの表面に存在するカルボキシル基等のアニオン性基がナトリウム塩などの塩を形成し、親水性が高い状態となっている。樹脂と複合化する等、用途によっては、アニオン性基を酸型に変換して親水性を下げたセルロースナノファイバーが求められる。アニオン性基を酸型に変換するために、塩酸や硫酸等の鉱酸を用いた酸処理が行われている(特許文献4参照)。
特開2008−001728号公報 特開平10−251301号公報 国際公開第2011/115154号 国際公開第2010/116795号
アニオン性基を酸型に変化するために鉱酸を用いた酸処理行うと、塩化ナトリウム等の副生成物が生成するため、洗浄によりこの副生成物を取り除く必要がある。また、洗浄に使用した水を脱水して除去する必要があり、脱水後には、ろ布を通過させて残ったろ物を回収するが、極めて短い繊維長のセルロースナノファイバーはろ布を通過してしまうため、収率が大きく低下する場合があった。
そのため、アニオン変性セルロースナノファイバー塩を脱塩する方法として、副生成物の発生がない陽イオン交換樹脂を用いた方法の検討が始まっている。
本発明の目的は、使用済みの陽イオン交換樹脂がセルロースナノファイバーに混入することがないアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法を提供することである。
本発明者は上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、使用済みの陽イオン交換樹脂を回収することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(12)を提供する。
(1)アニオン変性セルロースを調製する調製工程と、前記調製工程にて得られた前記アニオン変性セルロースを解繊してアニオン変性セルロースナノファイバー塩を得る解繊工程と、前記解繊工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバー塩に対して、陽イオン交換樹脂を用いた陽イオン交換反応を行うことにより脱塩処理してアニオン変性セルロースナノファイバーを得る脱塩工程と、前記脱塩工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバーと前記陽イオン交換樹脂を含む混合物から前記陽イオン交換樹脂を回収する回収工程とを有するアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(2)前記回収工程で、0.01MPa以上5MPa以下の加圧ろ過又は0.01MPa以上0.1MPa以下の減圧ろ過を行う(1)に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(3)前記回収工程において、目開き5μm以上400μm以下のメッシュ状、もしくはスリット幅5μm以上400μm以下のスリット状のろ材を用いる(1)又は(2)に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(4)前記回収工程の前又は後に、精密ろ過の工程をさらに有する(1)〜(3)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(5)前記回収工程で回収された前記陽イオン交換樹脂に対して、酸処理による陽イオン交換樹脂の再生工程を実施する(1)〜(4)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(6)前記回収工程での前記混合物の送液及び加圧ろ過、もしくは前記脱塩工程と前記回収工程との間の送液に、容積式ネジポンプを用いる工程を含む(1)〜(5)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(7)前記容積式ネジポンプは、容積式一軸偏心ネジポンプ又は容積式二軸スクリューポンプである(6)に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(8)前記回収工程での前記混合物の送液及び加圧ろ過、もしくは前記脱塩工程と前記回収工程との間の送液に、容積式往復ポンプを用いる工程を含む(1)〜(5)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(9)前記容積式往復ポンプは、容積式ダイヤフラムポンプである(8)に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(10)前記調製工程は、セルロース系原料をN−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて酸化する工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにカルボキシル基が導入されたものである(1)〜(9)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(11)前記調製工程は、セルロース系原料をマーセル化剤によりマーセル化処理した後、カルボキシメチル化剤と反応させる工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにカルボキシメチル基が導入されたものである(1)〜(9)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(12)前記調製工程は、セルロース系原料にリン酸系化合物を添加する工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにリン酸基が導入されたものである(1)〜(9)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
本発明によれば、使用済みの陽イオン交換樹脂がセルロースナノファイバーに混入することがないアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「〜」は端値を含む。すなわち「X〜Y」はその両端の値XおよびYを含む。
本発明のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法は、アニオン変性セルロースを調製する調製工程と、前記調製工程にて得られた前記アニオン変性セルロースを解繊してアニオン変性セルロースナノファイバー塩を得る解繊工程と、前記解繊工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバー塩に対して、陽イオン交換樹脂を用いた陽イオン交換反応を行うことにより脱塩処理してアニオン変性セルロースナノファイバーを得る脱塩工程と、前記脱塩工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバーと前記陽イオン交換樹脂を含む混合物から前記陽イオン交換樹脂を回収する回収工程とを有する。
(調製工程)
本発明の調製工程においては、セルロース系原料をアニオン変性して、アニオン変性セルロースを調製する。
(セルロース系原料)
セルロース系原料としては、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするものが知られており、本発明ではそのいずれも使用できる。植物または微生物由来のセルロース繊維が好ましく、植物由来のセルロース繊維がより好ましい。
(アニオン変性)
アニオン変性とはセルロースにアニオン基を導入することであり、具体的に酸化または置換反応によってピラノース環にアニオン性基を導入することである。本発明において前記酸化反応とはピラノース環の水酸基を直接カルボキシル基に酸化する反応をいう。また、本発明において置換反応とは、当該酸化以外の置換反応によってピラノース環にアニオン性基を導入する反応である。
(カルボキシル化)
アニオン変性セルロースとしてカルボキシル化(酸化)したセルロースを用いることができる。本発明におけるカルボキシ基とは、−COOH(酸型)または−COOM(塩型)をいう。ここで、Mは金属イオンであり、ナトリウムやカリウムが挙げられる。カルボキシル化セルロース(「酸化セルロース」とも呼ぶ)は、上記のセルロース系原料を公知の方法でカルボキシル化(酸化)することにより得ることができる。特に限定されないが、カルボキシル基の量はアニオン変性セルロースナノファイバーの絶乾質量に対して、0.6〜3.0mmol/gが好ましく、1.0〜2.0mmol/gがさらに好ましい。カルボキシル化(酸化)方法の一例として、セルロース系原料を、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート基(−COO-)とを有するセルロース繊維を得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であればいずれの化合物も使用できる。例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル(TEMPO)およびその誘導体(例えば4−ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。N−オキシル化合物の使用量は、セルロース系原料を酸化できる触媒量であればよく、特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロース系原料に対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.01〜0.5mmolがさらに好ましい。また、反応系に対し0.1〜4mmol/L程度がよい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロース系原料に対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。当該変性は酸化反応による変性である。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロース系原料に対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、2.5〜25mmolがさらに好ましい。また、例えば、N−オキシル化合物1molに対して1〜40molが好ましい。
セルロース系原料の酸化工程は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は4〜40℃が好ましく、また15〜30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHが低下する。酸化反応を効率よく進行させるために、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を随時反応系中に添加して、反応液のpHを9〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5〜6時間、例えば、0.5〜4時間程度である。
また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後にろ別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する塩による反応阻害を受けることなく、セルロース系原料に効率よくカルボキシル基を導入することができる。
酸化セルロースのカルボキシル基の量は、上記した酸化剤の添加量、反応時間等の反応条件をコントロールすることで調整することができる。アニオン変性セルロースナノファイバーにおけるカルボキシル基量とセルロースナノファイバーとしたときのカルボキシル基量は同じであることが好ましい。
本発明では、上記の工程で得られる酸化セルロースにおいて、セルロース系原料に導入したカルボキシル基は、通常、塩型であり、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩である。解繊工程の前に、酸化セルロースのアルカリ金属塩を、ホスホニウム塩、イミダゾリニウム塩、アンモニウム塩、スルホニウム塩等の他のカチオン塩に置換してもよい。置換は、公知の方法で行うことができる。
(カルボキシメチル化)
好ましいアニオン基としては、カルボキシメチル基等のカルボキシアルキル基が挙げられる。本発明におけるカルボキシアルキル基とは、−RCOOH(酸型)または−RCOOM(塩型)をいう。ここでRはメチレン基、エチレン基等のアルキレン基、Mは金属イオンである。カルボキシアルキル化セルロースは公知の方法で得てもよく、また市販品を用いてもよい。セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度は0.60未満であることが好ましい。さらにアニオン基がカルボキシメチル基である場合、カルボキシメチル置換度は0.60未満であることが好ましい。当該置換度が0.60以上であると結晶性が低下し、溶解成分の割合が増加するため、ナノファイバーとしての機能が失われる。またカルボキシアルキル置換度の下限値は0.01以上が好ましい。操業性を考慮すると当該置換度は0.02〜0.50であることが特に好ましく、0.10〜0.30であることが更に好ましい。このようなカルボキシアルキル化セルロースを製造する方法の一例として、以下の工程を含む方法が挙げられる。当該変性は置換反応による変性である。カルボキシメチル化セルロースを例にして説明する。
i)発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理する工程、
ii)次いで、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う工程。
発底原料としては前述のセルロース系原料を使用できる。溶媒としては、3〜20質量倍の水または低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、または2種以上の混合媒体を使用できる。低級アルコールを混合する場合、その混合割合は60〜95質量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用できる。
前述のとおり、セルロースのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は0.04未満であり、0.01以上0.60未満であることが好ましい。セルロースにカルボキシメチル置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、カルボキシメチル置換基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。なお、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換基が0.02より小さいと、ナノ解繊が十分でない場合がある。アニオン変性セルロースナノファイバーにおける置換度とセルロースナノファイバーとしたときの置換度は通常、同じである。
本発明では、上記の工程で得られるカルボキシアルキル化セルロースにおいて、セルロース系原料に導入したカルボキシアルキル基は、通常、塩型であり、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩である。解繊工程の前に、カルボキシアルキル化セルロースのアルカリ金属塩を、ホスホニウム塩、イミダゾリニウム塩、アンモニウム塩、スルホニウム塩等の他のカチオン塩に置換してもよい。置換は、公知の方法で行うことができる。
(エステル化)
アニオン変性セルロースとしてエステル化したセルロースを用いることもできる。セルロース系原料にリン酸系化合物Aの粉末や水溶液を混合する方法、セルロース系原料のスラリーにリン酸系化合物Aの水溶液を添加する方法等が挙げられる。リン酸系化合物Aはリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸あるいはこれらのエステルが挙げられる。これらは塩の形態であってもよい。上記の中でも、低コストであり、扱いやすく、またパルプ繊維のセルロースにリン酸基を導入して、解繊効率の向上が図れるなどの理由からリン酸基を有する化合物が好ましい。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらは1種、あるいは2種以上を併用してリン酸基を導入することができる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましい。特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。また、反応を均一に進行できかつリン酸基導入の効率が高くなることから前記リン酸系化合物Aは水溶液として用いることが望ましい。リン酸系化合物Aの水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましいが、パルプ繊維の加水分解を抑える観点からpH3〜7が好ましい。
リン酸エステル化セルロースの製造方法の例として、以下の方法を挙げることができる。固形分濃度0.1〜10質量%のセルロース系原料の懸濁液に、リン酸系化合物Aを撹拌しながら添加してセルロースにリン酸基を導入する。セルロース系原料を100質量部とした際に、リン酸系化合物Aの添加量はリン元素量として、0.2〜500質量部であることが好ましく、1〜400質量部であることがより好ましい。リン酸系化合物Aの割合が前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。しかし、前記上限値を超えると収率向上の効果は頭打ちとなるので、コスト面から好ましくない。
リン酸系化合物Aの他に化合物Bの粉末や水溶液を混合してもよい。化合物Bは特に限定されないが、塩基性を示す窒素含有化合物が好ましい。ここでの「塩基性」は、フェノールフタレイン指示薬の存在下で水溶液が桃〜赤色を呈すること、または水溶液のpHが7より大きいことと定義される。本発明で用いる塩基性を示す窒素含有化合物は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、アミノ基を有する化合物が好ましい。例えば、尿素、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。中でも低コストで扱いやすい尿素が好ましい。化合物Bの添加量はセルロース系原料の固形分100質量部に対して、2〜1000質量部が好ましく、100〜700質量部がより好ましい。反応温度は0〜95℃が好ましく、30〜90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、1〜600分程度であり、30〜480分がより好ましい。エステル化反応の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度にエステル化されて溶解しやすくなることを防ぐことができ、リン酸エステル化セルロースの収率が良好となる。得られたリン酸エステル化セルロース懸濁液を脱水した後、セルロースの加水分解を抑える観点から、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。さらに、加熱処理の際に水が含まれている間は130℃以下、好ましくは110℃以下で加熱し、水を除いた後、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。
リン酸エステル化されたセルロースのグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001以上0.40未満であることが好ましい。セルロースにリン酸基置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、リン酸基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。グルコース単位当たりのリン酸基置換度が0.001より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのリン酸基置換度が0.40より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。解繊を効率よく行なうために、上記で得たリン酸エステル化されたセルロース系原料は煮沸した後、冷水で洗浄することで洗浄されることが好ましい。これらのエステル化による変性は置換反応による変性である。アニオン変性セルロースナノファイバーにおける置換度とセルロースナノファイバーとしたときの置換度は同じであることが好ましい。
本発明では、上記の工程で得られるリン酸エステル化セルロースにおいて、セルロース系原料に導入したリン酸基は、通常、塩型であり、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩である。解繊工程の前に、リン酸エステル化セルロースのアルカリ金属塩を、ホスホニウム塩、イミダゾリニウム塩、アンモニウム塩、スルホニウム塩等の他のカチオン塩に置換してもよい。置換は、公知の方法で行うことができる。
(解繊工程)
本発明の解繊工程においては、アニオン変性セルロースを解繊する。解繊処理としては、例えば、アニオン変性セルロースを十分に水洗した後、高速せん断ミキサーや高圧ホモジナイザー等の公知の装置を用いて行うことができる。解繊装置の種類としては、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式が挙げられる。これらの装置は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
高速せん断ミキサーを用いる場合、せん断速度は1000sec-1以上が好ましい。せん断速度が1000sec-1以上であると、凝集構造が少なく、均一にナノファイバー化することができる。高圧ホモジナイザーを用いる場合、印加する圧力は、50MPa以上が好ましく、100MPa以上がより好ましく、140MPa以上がさらに好ましい。当該圧力の湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーで処理すると、ナノファイバー化が効率よく進行し、水分散液とした場合に低粘度の、アニオン変性セルロースナノファイバーを効率よく得ることができる。
アニオン変性セルロースは、水等の水分散液として解繊処理に供する。水分散液中のアニオン変性セルロースの濃度が高いと、解繊処理の途中で粘度が過度に増大して均一に解繊できない場合や、装置が停止するという場合がある。従って、アニオン変性セルロースの濃度は、アニオン変性セルロースの処理条件に応じて適宣設定する必要がある。一例として、アニオン変性セルロースの濃度は、0.3〜50%(w/v)が好ましく、0.5〜10%(w/v)がより好ましく、1.0〜5%(w/v)がさらに好ましい。本発明においては、アニオン変性セルロースを解繊した後に、アニオン変性セルロースナノファイバー塩が得られる。
(脱塩工程)
本発明の脱塩工程においては、アニオン変性セルロースナノファイバー塩に対して、陽イオン交換樹脂を接触させて陽イオン交換反応を行うことにより脱塩処理してアニオン変性セルロースナノファイバーを得る。アニオン変性セルロースナノファイバー塩は、陽イオン交換樹脂と接触することによりカチオン塩がプロトンに置換される。陽イオン交換樹脂を用いるので、不要な塩化ナトリウム等の副生成物が生成しない。
アニオン変性セルロースナノファイバー塩は、解繊工程で得られた水分散液を脱塩工程にそのまま供することができる。なお、必要に応じて水を添加して濃度を低くすることもできる。
陽イオン交換樹脂としては、対イオンがH+である限り、強酸性イオン交換樹脂及び弱酸性イオン交換樹脂のいずれも用いることができる。中でも、強酸性イオン交換樹脂を用いることが好ましい。強酸性イオン交換樹脂及び弱酸性イオン交換樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂或いはアクリル系樹脂にスルホン酸基或いはカルボキシ基を導入したものが挙げられる。
陽イオン交換樹脂の形状は、特に限定されず、細粒(粒状)、膜状、繊維等、種々の形状のものを用いることができる。中でも、アニオン変性セルロースナノファイバー塩を効率よく処理し、処理後の分離が容易であるとの観点から、粒状が好ましい。このような陽イオン交換樹脂としては市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、アンバージェット1020、同1024、同1060、同1220(以上、オルガノ社製)、アンバーライトIR−200C、同IR−120B(以上、東京有機化学社製)、レバチットSP 112、同S100(以上、バイエル社製)、GEL CK08P(三菱化学社製)、Dowex 50W−X8(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
アニオン変性セルロースナノファイバー塩と陽イオン交換樹脂の接触は、例えば、粒状の陽イオン交換樹脂とアニオン変性セルロースナノファイバー塩の水分散液を混合し、必要に応じ撹拌・振とうしながら、アニオン変性セルロースナノファイバー塩と陽イオン交換樹脂とを一定時間接触させることにより行うことができる。
水分散液の濃度や陽イオン交換樹脂との比率は、特に限定されず、当業者であれば、プロトン置換を効率的に行うとの観点から適宜設定し得る。一例として、水分散液の濃度は、0.05〜10質量%が好ましい。水分散液の濃度が0.05質量%未満であると、プロトン置換に要する時間がかかりすぎる場合がある。水分散液の濃度が10質量%超であると、十分なプロトン置換の効果が得られない場合がある。
接触時間も特に限定されず、当業者であれば、プロトン置換を効率的に行うとの観点から適宜設定し得る。例えば、0.2〜4時間接触させて行うことができる。
この際、適切な量の陽イオン交換樹脂を用いてアニオン変性セルロースナノファイバー塩を十分な時間接触させることで、脱塩処理を行うことができる。
(送液する工程)
本発明においては、上記の脱塩工程と、後述する回収工程との間に、アニオン変性セルロースナノファイバーと陽イオン交換樹脂を含む混合物をポンプで送液する工程を設ける。
アニオン変性セルロースナノファイバーと陽イオン交換樹脂を含む混合物を、回収工程で用いるろ過装置等に対して送液するためのポンプとしては、高粘度なセルロースナノファイバーを送液可能な能力があれば種類を問わないが、ポンプによるせん断でイオン交換樹脂を極力傷つけないものを用いることが好ましい。
ポンプはおもにターボ型(非容積式)ポンプと容積式ポンプに大別される。ターボ型ポンプには渦巻きポンプ、ディフューザポンプ、渦流ポンプのような遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプなどがある。容積式ポンプにはピストンポンプやプランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの往復ポンプ、また、ギヤポンプやベーンポンプ、ネジポンプなどの回転ポンプが該当する。これらの中でも、容積式ネジポンプまたは、容積式往復ポンプを用いることがより好ましい。この種のポンプは、羽根車をケーシング内で高速回転させることにより流体に運動エネルギーを与えるターボ型(非容積式)ポンプと比較して、流体に与えるせん断力が小さいことと、ローターとステーターの間の漏れがきわめて少ないことから揚程が高く、比較的粘度の高い流体の送液が可能なことが特徴である。
容積式ネジポンプとしては、容積式一軸偏心ネジポンプ(モーノポンプ)、容積式二軸スクリューポンプなどを例示することができ、モーノポンプを用いることが好ましい。モーノポンプは、一条ネジの構造を持つ金属製ローターが、二条ネジの構造で切られたステーターの中を回転することで、ローターとステーターの間に生じる空間を連続的に移動させて流体を移送するポンプである。容積式二軸スクリューポンプは、2つのスクリューとケーシングが形成する空間に閉じ込められた流体をスクリューの回転によりスクリューの軸方向に移送するポンプである。
容積式往復ポンプとしては容積式ダイヤフラムポンプ(膜ポンプ)を用いることがより好ましい。ダイヤフラムポンプはダイヤフラムと弁で構成され、ダイヤフラムを往復運動させて容積を変化させ、吸込、吐出を行い流体を移送するポンプである。ダイヤフラムポンプはシール方式と弁方式の点で異物に対しては優位である。容積式ネジポンプの摺動部は接液しているため樹脂が食い込まれやすく、通常逆止弁がないため摺動部が消耗すると圧力が立たなくなる。容積式往復ポンプであるプランジャーポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプの摺動部には樹脂が食い込まれ難く、殊にダイヤフラムポンプでは摺動部が接液しないため摺動部に樹脂等の異物を食い込まず、逆止弁に樹脂が挟まり一時的に閉塞不良を起こしても、次回以降の吐出などによって閉塞物が取り除かれる為、より優位である。
(回収工程)
本発明の回収工程においては、アニオン変性セルロースナノファイバーと陽イオン交換樹脂を含む混合物から、陽イオン交換樹脂を回収する。上記の脱塩工程では陽イオン交換樹脂を用いるため、不要な塩化ナトリウム等の副生成物が生成しない。そのため、陽イオン交換樹脂を用いて酸処理した後は、アニオン変性セルロースナノファイバーと陽イオン交換樹脂を含む混合物から、陽イオン交換樹脂を回収することにより、ろ液としてアニオン変性セルロースナノファイバーの水分散液が得られる。
陽イオン交換樹脂の回収方法は限定されないが、ろ過装置を用いてろ過する方法が好ましい。なお、回収工程の前または後に、助剤ろ過などで精密ろ過を行う工程を設けてもよい。
ろ過装置に用いられるろ材の形状は限定されず、メッシュ状、スリット状など、いずれの形状も用いることができる。また、ろ材としては、孔をあけたものであっても構わない。また、ろ材の素材は限定されず、樹脂製、金属製、セラミック製などいずれの素材も用いることができるが、耐酸性を有した素材を用いることが好ましい。
ろ材の目開き、もしくはスリット幅は、陽イオン交換樹脂を捕捉できる大きさであればよく、500μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましい。目開きが大きすぎる場合は、陽イオン交換樹脂がろ材を通過してしまい、陽イオン交換樹脂を回収することができない。また、ろ材の目開き、もしくはスリット幅の最小径は、セルロースナノファイバーに含まれる繊維状異物の量に依存する。すなわち、セルロースナノファイバーを事前に助剤ろ過などで精密ろ過を行った場合には、5μm以上が好ましく、事前に精密ろ過を行っていない場合には、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。目開きが小さすぎる場合は、未解繊繊維由来の目詰まりが発生し、ろ過処理量が少なくなる。
助剤ろ過を行う場合に用いるろ過助剤としては、無機化合物、有機化合物のいずれを用いても良いが、汎用的に用いられる助剤として珪藻土、シリカ、パーライト、微粉セルロース、活性炭等が挙げられる。ろ過条件に応じて、助剤の種類を調整することができる。
ろ過装置としては、加圧ろ過または減圧ろ過を行うことができる装置であれば種類を問わず用いることができ、例えばヌッチェ型、キャンドル型、リーフディスク型、ドラム型、フィルタープレス型、ベルトフィルター型などが挙げられる。ろ過後にろ過容器内のセルロースナノファイバーを回収可能な機構を持つものが好ましい。セルロースナノファイバーおよび陽イオン交換樹脂の回収、搬送が容易となる観点から、キャンドル型、リーフディスク型のろ過装置を用いることが好ましい。
また、必要に応じてエアーで加圧し、セルロースナノファイバーを取り出し可能な機構を持つものが、回収率が向上するため好ましい。エアーで加圧する場合の圧力としては、0.01〜1.0MPaが好ましく、0.05〜0.5MPaがより好ましい。上記下限値よりも低い圧力の場合は、高粘度なセルロースナノファイバーの搬送が難しく、上記上限値よりも高い圧力の場合は、エアー用タンク及びろ過装置の耐圧性を高める必要があり、装置設計上好ましくない。
加圧ろ過を行う場合の圧力としては、0.01MPa以上5MPa以下が好ましく、減圧ろ過を行う場合の圧力としては、0.01MPa以上0.1MPa以下が好ましい。
ろ過装置は、ろ過後に陽イオン交換樹脂を回収する機構を有する。陽イオン交換樹脂の回収を行いやすくする観点から、ろ過装置の開口部は、大きいものであることが好ましい。ろ過装置に対して、陽イオン交換樹脂を回収するため、逆洗の機構、スクレーパーによる掻き出しの機構、ろ過容器の傾斜・反転が可能な機構などを設けてもよい。また、ろ過装置に対して、回収した陽イオン交換樹脂をコンベヤにより搬送する機構を設けてもよい。
金属メッシュ等によりろ物として回収する対象は陽イオン交換樹脂であり、アニオン変性セルロースナノファイバーは、金属メッシュ等の径では除去され難く、ほぼ全量がろ液中に含まれる。そのため、収率の低下が極めて少なくなると考えられる。
なお、回収工程でのアニオン変性セルロースナノファイバーと陽イオン交換樹脂を含む混合物の送液及び加圧ろ過においては、送液する工程と同様に、陽イオン交換樹脂を極力傷つけない方法を選択することが望ましく、例えば容積式ネジポンプまたは容積式往復ポンプを用いることが好ましい。
必要に応じて、回収した陽イオン交換樹脂に微量に混入したセルロースナノファイバーの洗浄や、回収した陽イオン交換樹脂の再生のための酸処理と脱液を行ってもよい。これらの工程は、1台の装置で全て行ってもよいし、複数台の装置で行ってもよい。複数台の装置で行う場合は、異なる種類の装置を組み合わせてもよい。
回収した陽イオン交換樹脂に対して酸処理による陽イオン交換樹脂の再生工程を実施する方法は限定されず、例えば、使用済み樹脂1kgに対し、5倍量の1M塩酸を添加して撹拌し、イオン交換水で4回洗浄を繰り返すなどの方法を挙げることができる。回収工程および再生工程を経た陽イオン交換樹脂は繰り返し利用できるため、コストを抑えることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、下記に記載した測定方法である。
(カルボキシル基量の測定方法)
カルボキシル化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定した。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いてカルボキシル基量を算出した:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/カルボキシル化セルロース質量〔g〕
(カルボキシメチル基置換度の測定方法)
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓三角フラスコに入れた。硝酸メタノール(無水メタノール1Lに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振盪して、カルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩(以下、「Na−CMC」ともいう)をカルボキシメチル化セルロース(以下、「H−CMC」ともいう)にした。絶乾したH−CMCを1.5〜2.0g精秤し、300mL共栓三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLでH−CMCを湿潤し、0.1NのNaOH100mLを加えて室温で3時間振盪した。指示薬としてフェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定し、下記式を用いてカルボキシメチル基置換度を算出した。
[{100×F'−(0.1NのH2SO4(mL))×F}/(H−CMCの絶乾質量(g))]×0.1=Aカルボキシメチル基置換度=0.162A/(1−0.058A)
A:1gのH−CMCを中和するのに必要な1NのNaOHの量(mL)
F':0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
(B型粘度(mPa・s)の測定方法)
TV−10型粘度計(東機産業社)を用いて、20℃、60rpmの条件で測定した。
(実施例1)
(カルボキシル化セルロースの調製)
漂白済み針葉樹未叩解パルプ(日本製紙社製)5g(絶乾)を、TEMPO(Sigma Aldrich社製)78mg(0.5mmol)と臭化ナトリウム754mg(7.4mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に2M次亜塩素酸ナトリウム水溶液18mL添加した後、0.5N塩酸水溶液でpHを10.3に調整し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHは低下するので、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に維持した。2時間反応させた後、ガラスフィルターでろ過し、十分に水洗することでカルボキシル基量1.7mmol/gのカルボキシル化セルロースを得た。
(解繊工程)
次いで、得られたカルボキシル化セルロースのスラリーを水で1%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、140MPa)で5回処理し、透明なゲル状のカルボキシル化セルロースナノファイバー塩の分散液(1%(w/v))を得た。
(脱塩工程)
得られたカルボキシル化セルロースナノファイバー塩の分散液に陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、「アンバージェット1024」)を添加し、20℃で0.3時間撹拌して接触させた。
(回収工程)
タンク付ステンレスホルダー(KST−47、Advantec製、ろ過面積12.5cm2)に、ろ材として目開き250μmの金網を取り付け、ろ過装置を準備した。上記脱塩工程で得られたカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物をろ過装置の加圧タンクに充填し、窒素ガスを用いて0.35MPaに加圧し、ろ過を行った。ろ過開始から30分後にろ過を終了し、ろ液内に陽イオン交換樹脂が混入していないか、目視評価を行った。ろ液に陽イオン交換樹脂が混入していない場合に、イオン交換樹脂が回収できたとして、「イオン交換樹脂の回収」欄を「○」とした。また、得られたろ液の量(ろ過処理量)を確認した。結果を表1に示す。なお、セルロースナノファイバーを「CNF」と呼ぶことがある。
(実施例2)
陽イオン交換樹脂の種類をオルガノ社製、「アンバーライトIR124」に変更したこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
ろ材として目開き400μmの金網を用いたこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
ろ材として目開き100μmの金網を用いたこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
ろ材として目開き250μmのナイロンメッシュを用いたこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
キャンドル型フィルター(シバタ製、ろ過面積0.097m2)に、ろ材として金属製のスリット状フィルター(スリット幅:50μm)を取り付け、ろ過装置を準備した。このろ過装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
タンク付ステンレスホルダー(KST−47、Advantec製、ろ過面積12.5cm2)に、ろ過助剤として珪藻土(昭和化学工業製、ラジオライト3000、粒子径74.9μm)を純水に希釈して送液することでプレコートして珪藻土を積層させた。その後、実施例1の脱塩工程前のカルボキシル化セルロースナノファイバー塩の分散液を用いて、1段目のろ過処理を行った。得られたろ液に対して、実施例1と同様に脱塩処理を行い、カルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得た。この混合物を用いて2段目のろ過を行なった。2段目のろ過では、ろ材として目開き5μmの金属製フィルターを取り付け、ろ過装置を準備した。このろ材を用いたこと以外は、実施例1と同様に混合物のろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
ろ材として目開き5μmの金属製フィルターを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
ろ材として通気度12のPET製ろ布を用いたこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2019059079
表1からわかるように、アニオン変性セルロースナノファイバー塩と陽イオン交換樹脂を用いて脱塩処理を行い、アニオン変性セルロースナノファイバーと陽イオン交換樹脂を含む混合物を得て、得られた混合物をろ過装置を用いてろ過することにより、陽イオン交換樹脂を回収することができた。また、得られたセルロースナノファイバーを含むろ液には、陽イオン交換樹脂が混入していなかった。
比較例1,2は、ろ材の目開きが小さく、閉塞により良好なろ過処理量を得られなかったのに対し、実施例1〜6は目開き又はスリット幅の大きなろ材であったため、CNFに含まれる未解繊繊維等による目詰まりはほとんど発生しなかった。また実施例7ではCNFに含まれる未解繊繊維等を事前に除去することで、目詰まりを生じることなく、良好なろ過処理量を得られた。
(実施例8)
ホッパーを取り付けたモーノポンプ(送液用ポンプ)の出口ホースの先端に、目開き250μmのナイロンメッシュを取り付けた。ホッパーに、実施例1と同様にして得られた分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を投入した。その後、ポンプで送液し、加圧ろ過を30分間実施し、陽イオン交換樹脂とセルロースナノファイバーをろ別した。なお、ろ過開始時の圧力は0.1MPaであり、ろ過終了時の圧力は0.3MPaであった。また、得られたカルボキシル化セルロースナノファイバーの1%分散液のB型粘度は、2500mPa・sであった(60rpm、20℃)。
得られたセルロースナノファイバーの分散液を顕微鏡で観察したところ、樹脂の破片の混入は認められなかった。
(実施例9)
(カルボキシメチル化セルロースの調製)
パルプを撹拌することができる反応器に、パルプ(LBKP、日本製紙社製)を乾燥質量で250g入れ、撹拌しながら50質量%水酸化ナトリウム水溶液112gと、水67gを添加した。30℃で45分間撹拌し、マーセル化処理した後、撹拌しながら35質量%モノクロロ酢酸ナトリウム水溶液を364g添加した。30℃で60分間撹拌し、30分かけて70℃まで昇温した後、70℃で1時間反応を行った。その後、反応物を取り出し、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.27のカルボキシメチル化されたパルプ(以下、「カルボキシメチル化セルロース」ともいう)を得た。
(解繊工程)
カルボキシメチル化セルロースを水で1%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で3回処理して、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー塩の分散液を得た。
(脱塩工程)
得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバー塩の分散液に陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、「アンバージェット1024」)を添加し、20℃で0.3時間撹拌して接触させた。
ホッパーを取り付けたモーノポンプ(送液用ポンプ)の出口ホースの先端に、目開き250μmのナイロンメッシュを取り付けた。ホッパーに、上記で得られたボキシメチル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を投入した。その後、ポンプで送液し、加圧ろ過を30分間実施し、陽イオン交換樹脂とセルロースナノファイバーをろ別した。なお、ろ過開始時の圧力は0.1MPaであり、ろ過終了時の圧力は0.3MPaであった。また、得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの1%分散液のB型粘度は、3500mPa・sであった(60rpm、20℃)。
得られたセルロースナノファイバーの分散液を顕微鏡で観察したところ、樹脂の破片の混入は認められなかった。
(実施例10)
実施例8のポンプをダイヤフラムポンプに変更した以外は、実施例8と同様にセルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を投入し、その後、ポンプで送液し、加圧ろ過を30分実施し、陽イオン交換樹脂とセルロースナノファイバーをろ別した。なお、ろ過開始時の圧力は0.1MPaであり、ろ過終了時の圧力は0.3MPaであった。また、得られたカルボキシル化セルロースナノファイバーの1%分散液のB型粘度は、2600mPa・sであった(60rpm、20℃)。
得られたセルロースナノファイバーの分散液を顕微鏡で観察したところ、樹脂の破片の混入は認められなかった。
(比較例3)
送液用ポンプとして渦流ポンプを用いたこと以外は実施例10と同様にして陽イオン交換樹脂とセルロースナノファイバーのろ別を行った。なお、ろ過開始時の圧力は0.1MPaであり、ろ過終了時の圧力は0.3MPaであった。また、得られたカルボキシル化セルロースナノファイバーの1%分散液のB型粘度は、2500mPa・sであった(60rpm、20℃)。
得られたセルロースナノファイバーの分散液を顕微鏡で観察したところ、樹脂の破片が検出された。
(比較例4)
送液用ポンプとして渦流ポンプを用いたこと以外は実施例11と同様にして陽イオン交換樹脂とセルロースナノファイバーのろ別を行った。なお、ろ過開始時の圧力は0.1MPaであり、ろ過終了時の圧力は0.3MPaであった。また、得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの1%分散液のB型粘度は、3500mPa・sであった(60rpm、20℃)。
得られたセルロースナノファイバーの分散液を顕微鏡で観察したところ、樹脂の破片が検出された。
Figure 2019059079
表2からわかるように、容積式一軸偏心ネジポンプであるモーノポンプ及び容積式往復ポンプである容積式ダイヤフラムポンプを用いて陽イオン交換樹脂とセルロースナノファイバー分散液の混合物を送液し、ろ別した場合は、ろ液に陽イオン交換樹脂の破片の混入は認められなかった。一方、渦流ポンプを用いて送液し、ろ別した場合は、ろ液に陽イオン交換樹脂の破片が検出された。
アニオン変性セルロースナノファイバーと陽イオン交換樹脂を含む混合物を、陽イオン交換樹脂を回収する回収工程に送液する際に、容積式一軸偏心ネジポンプ又は容積式ダイヤフラムポンプを用いて送液すると、陽イオン交換樹脂の破片の混入が無いアニオン変性セルロースナノファイバーを得られることがわかった。

Claims (12)

  1. アニオン変性セルロースを調製する調製工程と、
    前記調製工程にて得られた前記アニオン変性セルロースを解繊してアニオン変性セルロースナノファイバー塩を得る解繊工程と、
    前記解繊工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバー塩に対して、陽イオン交換樹脂を用いた陽イオン交換反応を行うことにより脱塩処理してアニオン変性セルロースナノファイバーを得る脱塩工程と、
    前記脱塩工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバーと前記陽イオン交換樹脂を含む混合物から前記陽イオン交換樹脂を回収する回収工程と
    を有するアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  2. 前記回収工程で、0.01MPa以上5MPa以下の加圧ろ過又は0.01MPa以上0.1MPa以下の減圧ろ過を行う請求項1に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  3. 前記回収工程において、目開き5μm以上400μm以下のメッシュ状、もしくはスリット幅5μm以上400μm以下のスリット状のろ材を用いる請求項1又は2に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  4. 前記回収工程の前又は後に、精密ろ過の工程をさらに有する請求項1〜3の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  5. 前記回収工程で回収された前記陽イオン交換樹脂に対して、酸処理による陽イオン交換樹脂の再生工程を実施する請求項1〜4の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  6. 前記回収工程での前記混合物の送液及び加圧ろ過、もしくは前記脱塩工程と前記回収工程との間の送液に、容積式ネジポンプを用いる工程を含む請求項1〜5の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  7. 前記容積式ネジポンプは、容積式一軸偏心ネジポンプ又は容積式二軸スクリューポンプである請求項6に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  8. 前記回収工程での前記混合物の送液及び加圧ろ過、もしくは前記脱塩工程と前記回収工程との間の送液に、容積式往復ポンプを用いる工程を含む請求項1〜5の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  9. 前記容積式往復ポンプは、容積式ダイヤフラムポンプである請求項8に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  10. 前記調製工程は、セルロース系原料をN−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて酸化する工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにカルボキシル基が導入されたものである請求項1〜9の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  11. 前記調製工程は、セルロース系原料をマーセル化剤によりマーセル化処理した後、カルボキシメチル化剤と反応させる工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにカルボキシメチル基が導入されたものである請求項1〜9の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
  12. 前記調製工程は、セルロース系原料にリン酸系化合物を添加する工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにリン酸基が導入されたものである請求項1〜9の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
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