JPWO2019059079A1 - アニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、アニオン変性セルロースナノファイバー塩を脱塩する方法として、副生成物の発生がない陽イオン交換樹脂を用いた方法の検討が始まっている。
(1)アニオン変性セルロースを調製する調製工程と、前記調製工程にて得られた前記アニオン変性セルロースを解繊してアニオン変性セルロースナノファイバー塩を得る解繊工程と、前記解繊工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバー塩に対して、陽イオン交換樹脂を用いた陽イオン交換反応を行うことにより脱塩処理してアニオン変性セルロースナノファイバーを得る脱塩工程と、前記脱塩工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバーと前記陽イオン交換樹脂を含む混合物から前記陽イオン交換樹脂を回収する回収工程とを有するアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(2)前記回収工程で、0.01MPa以上5MPa以下の加圧ろ過又は0.01MPa以上0.1MPa以下の減圧ろ過を行う(1)に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(3)前記回収工程において、目開き5μm以上400μm以下のメッシュ状、もしくはスリット幅5μm以上400μm以下のスリット状のろ材を用いる(1)又は(2)に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(4)前記回収工程の前又は後に、精密ろ過の工程をさらに有する(1)〜(3)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(5)前記回収工程で回収された前記陽イオン交換樹脂に対して、酸処理による陽イオン交換樹脂の再生工程を実施する(1)〜(4)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(6)前記回収工程での前記混合物の送液及び加圧ろ過、もしくは前記脱塩工程と前記回収工程との間の送液に、容積式ネジポンプを用いる工程を含む(1)〜(5)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(7)前記容積式ネジポンプは、容積式一軸偏心ネジポンプ又は容積式二軸スクリューポンプである(6)に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(8)前記回収工程での前記混合物の送液及び加圧ろ過、もしくは前記脱塩工程と前記回収工程との間の送液に、容積式往復ポンプを用いる工程を含む(1)〜(5)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(9)前記容積式往復ポンプは、容積式ダイヤフラムポンプである(8)に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(10)前記調製工程は、セルロース系原料をN−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて酸化する工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにカルボキシル基が導入されたものである(1)〜(9)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(11)前記調製工程は、セルロース系原料をマーセル化剤によりマーセル化処理した後、カルボキシメチル化剤と反応させる工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにカルボキシメチル基が導入されたものである(1)〜(9)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
(12)前記調製工程は、セルロース系原料にリン酸系化合物を添加する工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにリン酸基が導入されたものである(1)〜(9)の何れかに記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
本発明の調製工程においては、セルロース系原料をアニオン変性して、アニオン変性セルロースを調製する。
セルロース系原料としては、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするものが知られており、本発明ではそのいずれも使用できる。植物または微生物由来のセルロース繊維が好ましく、植物由来のセルロース繊維がより好ましい。
アニオン変性とはセルロースにアニオン基を導入することであり、具体的に酸化または置換反応によってピラノース環にアニオン性基を導入することである。本発明において前記酸化反応とはピラノース環の水酸基を直接カルボキシル基に酸化する反応をいう。また、本発明において置換反応とは、当該酸化以外の置換反応によってピラノース環にアニオン性基を導入する反応である。
アニオン変性セルロースとしてカルボキシル化(酸化)したセルロースを用いることができる。本発明におけるカルボキシ基とは、−COOH(酸型)または−COOM(塩型)をいう。ここで、Mは金属イオンであり、ナトリウムやカリウムが挙げられる。カルボキシル化セルロース(「酸化セルロース」とも呼ぶ)は、上記のセルロース系原料を公知の方法でカルボキシル化(酸化)することにより得ることができる。特に限定されないが、カルボキシル基の量はアニオン変性セルロースナノファイバーの絶乾質量に対して、0.6〜3.0mmol/gが好ましく、1.0〜2.0mmol/gがさらに好ましい。カルボキシル化(酸化)方法の一例として、セルロース系原料を、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート基(−COO-)とを有するセルロース繊維を得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
好ましいアニオン基としては、カルボキシメチル基等のカルボキシアルキル基が挙げられる。本発明におけるカルボキシアルキル基とは、−RCOOH(酸型)または−RCOOM(塩型)をいう。ここでRはメチレン基、エチレン基等のアルキレン基、Mは金属イオンである。カルボキシアルキル化セルロースは公知の方法で得てもよく、また市販品を用いてもよい。セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度は0.60未満であることが好ましい。さらにアニオン基がカルボキシメチル基である場合、カルボキシメチル置換度は0.60未満であることが好ましい。当該置換度が0.60以上であると結晶性が低下し、溶解成分の割合が増加するため、ナノファイバーとしての機能が失われる。またカルボキシアルキル置換度の下限値は0.01以上が好ましい。操業性を考慮すると当該置換度は0.02〜0.50であることが特に好ましく、0.10〜0.30であることが更に好ましい。このようなカルボキシアルキル化セルロースを製造する方法の一例として、以下の工程を含む方法が挙げられる。当該変性は置換反応による変性である。カルボキシメチル化セルロースを例にして説明する。
i)発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理する工程、
ii)次いで、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う工程。
アニオン変性セルロースとしてエステル化したセルロースを用いることもできる。セルロース系原料にリン酸系化合物Aの粉末や水溶液を混合する方法、セルロース系原料のスラリーにリン酸系化合物Aの水溶液を添加する方法等が挙げられる。リン酸系化合物Aはリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸あるいはこれらのエステルが挙げられる。これらは塩の形態であってもよい。上記の中でも、低コストであり、扱いやすく、またパルプ繊維のセルロースにリン酸基を導入して、解繊効率の向上が図れるなどの理由からリン酸基を有する化合物が好ましい。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらは1種、あるいは2種以上を併用してリン酸基を導入することができる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましい。特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。また、反応を均一に進行できかつリン酸基導入の効率が高くなることから前記リン酸系化合物Aは水溶液として用いることが望ましい。リン酸系化合物Aの水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましいが、パルプ繊維の加水分解を抑える観点からpH3〜7が好ましい。
本発明の解繊工程においては、アニオン変性セルロースを解繊する。解繊処理としては、例えば、アニオン変性セルロースを十分に水洗した後、高速せん断ミキサーや高圧ホモジナイザー等の公知の装置を用いて行うことができる。解繊装置の種類としては、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式が挙げられる。これらの装置は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の脱塩工程においては、アニオン変性セルロースナノファイバー塩に対して、陽イオン交換樹脂を接触させて陽イオン交換反応を行うことにより脱塩処理してアニオン変性セルロースナノファイバーを得る。アニオン変性セルロースナノファイバー塩は、陽イオン交換樹脂と接触することによりカチオン塩がプロトンに置換される。陽イオン交換樹脂を用いるので、不要な塩化ナトリウム等の副生成物が生成しない。
陽イオン交換樹脂の形状は、特に限定されず、細粒(粒状)、膜状、繊維等、種々の形状のものを用いることができる。中でも、アニオン変性セルロースナノファイバー塩を効率よく処理し、処理後の分離が容易であるとの観点から、粒状が好ましい。このような陽イオン交換樹脂としては市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、アンバージェット1020、同1024、同1060、同1220(以上、オルガノ社製)、アンバーライトIR−200C、同IR−120B(以上、東京有機化学社製)、レバチットSP 112、同S100(以上、バイエル社製)、GEL CK08P(三菱化学社製)、Dowex 50W−X8(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
接触時間も特に限定されず、当業者であれば、プロトン置換を効率的に行うとの観点から適宜設定し得る。例えば、0.2〜4時間接触させて行うことができる。
本発明においては、上記の脱塩工程と、後述する回収工程との間に、アニオン変性セルロースナノファイバーと陽イオン交換樹脂を含む混合物をポンプで送液する工程を設ける。
本発明の回収工程においては、アニオン変性セルロースナノファイバーと陽イオン交換樹脂を含む混合物から、陽イオン交換樹脂を回収する。上記の脱塩工程では陽イオン交換樹脂を用いるため、不要な塩化ナトリウム等の副生成物が生成しない。そのため、陽イオン交換樹脂を用いて酸処理した後は、アニオン変性セルロースナノファイバーと陽イオン交換樹脂を含む混合物から、陽イオン交換樹脂を回収することにより、ろ液としてアニオン変性セルロースナノファイバーの水分散液が得られる。
カルボキシル化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定した。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いてカルボキシル基量を算出した:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/カルボキシル化セルロース質量〔g〕
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓三角フラスコに入れた。硝酸メタノール(無水メタノール1Lに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振盪して、カルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩(以下、「Na−CMC」ともいう)をカルボキシメチル化セルロース(以下、「H−CMC」ともいう)にした。絶乾したH−CMCを1.5〜2.0g精秤し、300mL共栓三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLでH−CMCを湿潤し、0.1NのNaOH100mLを加えて室温で3時間振盪した。指示薬としてフェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定し、下記式を用いてカルボキシメチル基置換度を算出した。
[{100×F'−(0.1NのH2SO4(mL))×F}/(H−CMCの絶乾質量(g))]×0.1=Aカルボキシメチル基置換度=0.162A/(1−0.058A)
A:1gのH−CMCを中和するのに必要な1NのNaOHの量(mL)
F':0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
TV−10型粘度計(東機産業社)を用いて、20℃、60rpmの条件で測定した。
(カルボキシル化セルロースの調製)
漂白済み針葉樹未叩解パルプ(日本製紙社製)5g(絶乾)を、TEMPO(Sigma Aldrich社製)78mg(0.5mmol)と臭化ナトリウム754mg(7.4mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に2M次亜塩素酸ナトリウム水溶液18mL添加した後、0.5N塩酸水溶液でpHを10.3に調整し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHは低下するので、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に維持した。2時間反応させた後、ガラスフィルターでろ過し、十分に水洗することでカルボキシル基量1.7mmol/gのカルボキシル化セルロースを得た。
次いで、得られたカルボキシル化セルロースのスラリーを水で1%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、140MPa)で5回処理し、透明なゲル状のカルボキシル化セルロースナノファイバー塩の分散液(1%(w/v))を得た。
得られたカルボキシル化セルロースナノファイバー塩の分散液に陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、「アンバージェット1024」)を添加し、20℃で0.3時間撹拌して接触させた。
タンク付ステンレスホルダー(KST−47、Advantec製、ろ過面積12.5cm2)に、ろ材として目開き250μmの金網を取り付け、ろ過装置を準備した。上記脱塩工程で得られたカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物をろ過装置の加圧タンクに充填し、窒素ガスを用いて0.35MPaに加圧し、ろ過を行った。ろ過開始から30分後にろ過を終了し、ろ液内に陽イオン交換樹脂が混入していないか、目視評価を行った。ろ液に陽イオン交換樹脂が混入していない場合に、イオン交換樹脂が回収できたとして、「イオン交換樹脂の回収」欄を「○」とした。また、得られたろ液の量(ろ過処理量)を確認した。結果を表1に示す。なお、セルロースナノファイバーを「CNF」と呼ぶことがある。
陽イオン交換樹脂の種類をオルガノ社製、「アンバーライトIR124」に変更したこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
ろ材として目開き400μmの金網を用いたこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
ろ材として目開き100μmの金網を用いたこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
ろ材として目開き250μmのナイロンメッシュを用いたこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
キャンドル型フィルター(シバタ製、ろ過面積0.097m2)に、ろ材として金属製のスリット状フィルター(スリット幅:50μm)を取り付け、ろ過装置を準備した。このろ過装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
タンク付ステンレスホルダー(KST−47、Advantec製、ろ過面積12.5cm2)に、ろ過助剤として珪藻土(昭和化学工業製、ラジオライト3000、粒子径74.9μm)を純水に希釈して送液することでプレコートして珪藻土を積層させた。その後、実施例1の脱塩工程前のカルボキシル化セルロースナノファイバー塩の分散液を用いて、1段目のろ過処理を行った。得られたろ液に対して、実施例1と同様に脱塩処理を行い、カルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得た。この混合物を用いて2段目のろ過を行なった。2段目のろ過では、ろ材として目開き5μmの金属製フィルターを取り付け、ろ過装置を準備した。このろ材を用いたこと以外は、実施例1と同様に混合物のろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
ろ材として目開き5μmの金属製フィルターを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
ろ材として通気度12のPET製ろ布を用いたこと以外は、実施例1と同様にカルボキシル化セルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を得て、ろ過、および評価を行った。結果を表1に示す。
ホッパーを取り付けたモーノポンプ(送液用ポンプ)の出口ホースの先端に、目開き250μmのナイロンメッシュを取り付けた。ホッパーに、実施例1と同様にして得られた分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を投入した。その後、ポンプで送液し、加圧ろ過を30分間実施し、陽イオン交換樹脂とセルロースナノファイバーをろ別した。なお、ろ過開始時の圧力は0.1MPaであり、ろ過終了時の圧力は0.3MPaであった。また、得られたカルボキシル化セルロースナノファイバーの1%分散液のB型粘度は、2500mPa・sであった(60rpm、20℃)。
得られたセルロースナノファイバーの分散液を顕微鏡で観察したところ、樹脂の破片の混入は認められなかった。
(カルボキシメチル化セルロースの調製)
パルプを撹拌することができる反応器に、パルプ(LBKP、日本製紙社製)を乾燥質量で250g入れ、撹拌しながら50質量%水酸化ナトリウム水溶液112gと、水67gを添加した。30℃で45分間撹拌し、マーセル化処理した後、撹拌しながら35質量%モノクロロ酢酸ナトリウム水溶液を364g添加した。30℃で60分間撹拌し、30分かけて70℃まで昇温した後、70℃で1時間反応を行った。その後、反応物を取り出し、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.27のカルボキシメチル化されたパルプ(以下、「カルボキシメチル化セルロース」ともいう)を得た。
カルボキシメチル化セルロースを水で1%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で3回処理して、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー塩の分散液を得た。
得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバー塩の分散液に陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、「アンバージェット1024」)を添加し、20℃で0.3時間撹拌して接触させた。
得られたセルロースナノファイバーの分散液を顕微鏡で観察したところ、樹脂の破片の混入は認められなかった。
実施例8のポンプをダイヤフラムポンプに変更した以外は、実施例8と同様にセルロースナノファイバー分散液と陽イオン交換樹脂の混合物を投入し、その後、ポンプで送液し、加圧ろ過を30分実施し、陽イオン交換樹脂とセルロースナノファイバーをろ別した。なお、ろ過開始時の圧力は0.1MPaであり、ろ過終了時の圧力は0.3MPaであった。また、得られたカルボキシル化セルロースナノファイバーの1%分散液のB型粘度は、2600mPa・sであった(60rpm、20℃)。
得られたセルロースナノファイバーの分散液を顕微鏡で観察したところ、樹脂の破片の混入は認められなかった。
送液用ポンプとして渦流ポンプを用いたこと以外は実施例10と同様にして陽イオン交換樹脂とセルロースナノファイバーのろ別を行った。なお、ろ過開始時の圧力は0.1MPaであり、ろ過終了時の圧力は0.3MPaであった。また、得られたカルボキシル化セルロースナノファイバーの1%分散液のB型粘度は、2500mPa・sであった(60rpm、20℃)。
得られたセルロースナノファイバーの分散液を顕微鏡で観察したところ、樹脂の破片が検出された。
送液用ポンプとして渦流ポンプを用いたこと以外は実施例11と同様にして陽イオン交換樹脂とセルロースナノファイバーのろ別を行った。なお、ろ過開始時の圧力は0.1MPaであり、ろ過終了時の圧力は0.3MPaであった。また、得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの1%分散液のB型粘度は、3500mPa・sであった(60rpm、20℃)。
得られたセルロースナノファイバーの分散液を顕微鏡で観察したところ、樹脂の破片が検出された。
Claims (12)
- アニオン変性セルロースを調製する調製工程と、
前記調製工程にて得られた前記アニオン変性セルロースを解繊してアニオン変性セルロースナノファイバー塩を得る解繊工程と、
前記解繊工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバー塩に対して、陽イオン交換樹脂を用いた陽イオン交換反応を行うことにより脱塩処理してアニオン変性セルロースナノファイバーを得る脱塩工程と、
前記脱塩工程にて得られた前記アニオン変性セルロースナノファイバーと前記陽イオン交換樹脂を含む混合物から前記陽イオン交換樹脂を回収する回収工程と
を有するアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。 - 前記回収工程で、0.01MPa以上5MPa以下の加圧ろ過又は0.01MPa以上0.1MPa以下の減圧ろ過を行う請求項1に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記回収工程において、目開き5μm以上400μm以下のメッシュ状、もしくはスリット幅5μm以上400μm以下のスリット状のろ材を用いる請求項1又は2に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記回収工程の前又は後に、精密ろ過の工程をさらに有する請求項1〜3の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記回収工程で回収された前記陽イオン交換樹脂に対して、酸処理による陽イオン交換樹脂の再生工程を実施する請求項1〜4の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記回収工程での前記混合物の送液及び加圧ろ過、もしくは前記脱塩工程と前記回収工程との間の送液に、容積式ネジポンプを用いる工程を含む請求項1〜5の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記容積式ネジポンプは、容積式一軸偏心ネジポンプ又は容積式二軸スクリューポンプである請求項6に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記回収工程での前記混合物の送液及び加圧ろ過、もしくは前記脱塩工程と前記回収工程との間の送液に、容積式往復ポンプを用いる工程を含む請求項1〜5の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記容積式往復ポンプは、容積式ダイヤフラムポンプである請求項8に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記調製工程は、セルロース系原料をN−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて酸化する工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにカルボキシル基が導入されたものである請求項1〜9の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記調製工程は、セルロース系原料をマーセル化剤によりマーセル化処理した後、カルボキシメチル化剤と反応させる工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにカルボキシメチル基が導入されたものである請求項1〜9の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記調製工程は、セルロース系原料にリン酸系化合物を添加する工程を含み、前記調製工程により得られる前記アニオン変性セルロースは、セルロースにリン酸基が導入されたものである請求項1〜9の何れか一項に記載のアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法。
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