JP5817381B2 - 酸化パルプの洗浄・脱水方法 - Google Patents
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Description
TEMPOを酸化触媒に用いて製造したセルロースナノファイバーは、生分解性のある水分散型新規素材であり、セルロースファイバー表面に局在するカルボキシル基を基点として、自由に改質することができる。また、セルロースナノファイバーは、分散液の形態であるため、各種水溶性ポリマーとのブレンド、有機・無機系顔料と複合化することも可能である。さらに、セルロースナノファイバーをシート化、あるいは繊維化することも可能である。セルロースナノファイバーのこのような特性を活かした用途として高機能包装材料、透明有機基盤部材、高機能繊維、分離膜、再生医療材料などが想定されている。今後、セルロースナノファイバーの特徴を最大限活用することで循環型の安全・安心社会形成に不可欠な新規高機能性商品を開発することが期待されている。
そこで、本発明は、TEMPOなどのN−オキシル化合物を触媒として製造された酸化パルプを高濃度化するとともに、酸化パルプ中に触媒や無機塩類が残留しない酸化パルプの洗浄・脱水方法を提供することを目的とする。
本発明で用いるセルロース系原料は特に限定されるものではなく、各種木材由来のクラフトパルプ又はサルファイトパルプ、それらを高圧ホモジナイザーやミル等で粉砕した粉末セルロース、あるいはそれらを酸加水分解などの化学処理により精製した微結晶セルロース粉末などを使用することができる他、ケナフ、麻、イネ、バカス、竹等の植物を使用することもできる。このうち、白色度が80%以上の漂白済みクラフトパルプ、白色度が80%以上の漂白済みサルファイトパルプ、粉末セルロース、または微結晶セルロース粉末を用いることが量産化やコストの観点から好ましい。また、粉末セルロース及び微結晶セルロース粉末を用いると、高濃度であってもより低い粘度を有するセルロースナノファイバー分散液を製造することができるから、とりわけ好ましい。
本発明において、酸処理される酸化パルプは、(1)N−オキシル化合物、及び(2)臭化物、ヨウ化物、若しくはこれらの混合物の存在下で、酸化剤を用い、セルロース系原料を酸化することにより、製造される。
式1で表される化合物のうち、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−オキシラジカル(以下TEMPOと称する)及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−オキシラジカル(以下、4−ヒドロキシTEMPOと称する)を発生する化合物が好ましい。また、下記式2〜4のいずれかで表されるN−オキシル化合物のラジカル、すなわち、4−ヒドロキシTEMPOの水酸基をアルコールでエーテル化、またはカルボン酸若しくはスルホン酸でエステル化し、適度な疎水性を付与した4−ヒドロキシTEMPO誘導体は、安価であり、かつ均一な酸化セルロースを得ることができるため、セルロース系原料の酸化に好ましく用いることができ、また、本発明の方法により効率よく回収することができる。
さらに、下記式5で表されるN−オキシル化合物のラジカル、すなわち、アザアダマンタン型ニトロキシラジカルも、4−ヒドロキシTEMPO誘導体と同様の理由から、好ましい。
カルボキシル基量〔mmol/gパルプ〕= a〔ml〕× 0.05/酸化パルプ質量〔g〕
本発明において、酸化パルプを2〜10MPaの条件下で圧搾処理することが重要である。圧搾処理における加圧が2MPa未満の場合では、十分に酸化パルプを高濃度化できないとともに、十分に酸化パルプ中に触媒や無機塩類を排除することが困難である。一方、加圧が10MPaを超えた場合では、、酸化パルプの高濃度化、酸化パルプ中の触媒や無機塩類の残留量において、変化はほとんど見られない。
また、酸化パルプを2〜10MPaの条件下で圧搾処理する時間は、特に限定されるものではないが、通常10〜60分程度、好ましくは20〜30分程度である。
本発明で得られた酸化パルプは濃度を適宜調製した後、解繊・分散処理する。解繊・分散処理に用いる装置の種類としては、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置が挙げられるが、透明性と流動性に優れるセルロースナノファイバー分散液を効率よく得るには、50MPa以上、好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは140MPa以上の条件下で分散できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーで処理することが好ましい。
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(日本製紙社)50g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)780mg(5mmol)と臭化ナトリウム7540mg(50mmol)を溶解した水溶液5000mlに加え、パルプが均一に分散するまで攪拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素5%)180mlを添加した後、0.5N塩酸水溶液でpHを10.3に調整し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHは低下するが、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。2時間反応した後、遠心脱水機で濾過し、十分に水洗することで酸化パルプを得た。酸化パルプのカルボキシル基量は1.8mmol/gであった。酸化パルプの1%スラリーを小型高圧フィルタープレス(YTOH2型、薮田機械社製)で2MPaで15分間処理した後、固形分を測定したところ、10.4%であった。
洗浄後の酸化パルプ中に残留するTEMPO量についてESR(型番ESR−X10SA、キーコム社製)を用いて測定したところ、TEMPOは検出されなかった。
洗浄後の酸化パルプ中に残留するCl−イオン量を調べるため、超純水を加えて1%スラリーにしたものをよく攪拌後、ろ過し、得られた洗浄液をイオンクロマトグラフィー(型番ICS−2000、DIONEX社製)を用いて測定した。Cl− 濃度は0mg/Lであった。
圧搾圧を4MPaとした以外、実施例1と同様に処理した。固形分は11.8%であった。洗浄後の酸化パルプ中にTEMPOやCl− は検出されなかった。
圧搾圧を6MPaとした以外、実施例1と同様に処理した。固形分は12.6%であっ
た。洗浄後の酸化パルプ中にTEMPOやCl− は検出されなかった。
圧搾圧を10MPaとした以外、実施例1と同様に処理した。固形分は13.3%であった。洗浄後の酸化パルプ中にTEMPOやCl− は検出されなかった。
原料パルプとして広葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(日本製紙社)とした以外、実施例1と同様に処理した。固形分は12.3%であった。洗浄後の酸化パルプ中にTEMPOやCl− は検出されなかった。
圧搾圧を4MPaとした以外、実施例5と同様に処理した。固形分は14.8%であった。洗浄後の酸化パルプ中にTEMPOやCl− は検出されなかった。
圧搾圧を6MPaとした以外、実施例5と同様に処理した。固形分は16.5%であっ
た。洗浄後の酸化パルプ中にTEMPOやCl− は検出されなかった。
圧搾圧を10MPaとした以外、実施例5と同様に処理した。固形分は18.9%であった。洗浄後の酸化パルプ中にTEMPOやCl− は検出されなかった。
圧搾圧を1MPaとした以外、実施例1と同様に処理した。固形分は6.1%であった。洗浄後の酸化パルプ中のTEMPO量は10mg/パルプKg、洗浄液中のCL− 濃度は5mg/Lであった。
圧搾圧を1MPaとした以外、実施例5と同様に処理した。固形分は9.8%であった。洗浄後の酸化パルプ中のTEMPO量は9mg/パルプKg、洗浄液中のCL− 濃度は4.8mg/Lであった。
Claims (2)
- (1)N−オキシル化合物、及び、(2)臭化物、ヨウ化物、若しくはこれらの混合物の存在下で、酸化剤を用いてセルロース系原料を酸化して得られた酸化パルプの洗浄・脱水方法であって、該酸化パルプを洗浄した後に、2〜10MPaの処理条件で圧搾して脱水することを特徴とする酸化パルプの洗浄・脱水方法。
- 請求項1に記載の洗浄・脱水方法により得られた酸化パルプを解繊・分散することを特徴とするセルロースナノファイバーの製造方法。
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