JPH10160002A - スプール型油圧制御弁 - Google Patents

スプール型油圧制御弁

Info

Publication number
JPH10160002A
JPH10160002A JP32192496A JP32192496A JPH10160002A JP H10160002 A JPH10160002 A JP H10160002A JP 32192496 A JP32192496 A JP 32192496A JP 32192496 A JP32192496 A JP 32192496A JP H10160002 A JPH10160002 A JP H10160002A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure port
spool
low
hydraulic control
control valve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32192496A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Yushimo
篤 湯下
Hiroshi Saito
博 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP32192496A priority Critical patent/JPH10160002A/ja
Publication of JPH10160002A publication Critical patent/JPH10160002A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スプール型油圧制御弁に関し、スプールに作
用する軸力を低減できるようにして、スプールの振動の
低減,スプールの制御性の向上,騒音の低減を図ること
ができるようにする。 【解決手段】 高圧ポート3及び低圧ポート4を有し内
部に高圧ポート3及び低圧ポート4に連通する弁室5を
形成されたスリーブ2と、スリーブ2の弁室5内をスラ
イドすることにより、高圧ポート3又は低圧ポート4の
開度を調整して、油圧を制御するスプール1とをそなえ
たスプール型油圧制御弁において、スプール1に、高圧
ポート3側から低圧ポート4側へ向けて断面積が縮小す
るテーパ部1bを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スプールによって
高圧ポート又は低圧ポートの開度を調整して油圧を制御
するスプール型油圧制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスプール型油圧制御弁について説
明すると、図9はその模式的な縦断面図、図10はその
模式的な側面図、図11はその模式的な横断面図であっ
て、図10のX−X矢視断面図及びY−Y矢視断面図で
ある。図9に示すように、従来のスプール型油圧制御弁
は、スリーブ12とその内部に備えられるスプール11
とから構成される。
【0003】このスリーブ12は、円柱状に形成されて
おり、この円柱状のスリーブ12には、その軸心線部分
に弁室50が形成され、この弁室50から複数の高圧ポ
ート13及び複数の低圧ポート14が外方へ放射状に形
成されている。つまり、図11に示すように、スリーブ
12の軸心に沿って弁室50が形成され、高圧ポート1
3,低圧ポート14は、弁室50からスリーブ12の外
周面に向かって、放射線状に延びるように形成されてお
り、弁室50により高圧ポート13と低圧ポート14と
が連通しうるようになっている。
【0004】これらの各高圧ポート13及び各低圧ポー
ト14は、図9及び図10に示すように、スリーブ12
の軸線方向に対して垂直に延びる円形横断面の穴部とし
て形成されている。高圧ポート13と低圧ポート14と
は互いに並列に設けられている。さらに、弁室50は、
図9及び図11に示すように、スリーブ12の軸線方向
に延びる円形の穴部として形成されている。
【0005】そして、スプール11はこの弁室50内に
収容されており、弁室50内で後述するようにスプール
11をスライドさせて高圧ポート13又は低圧ポート1
4の開度を調整し、高圧ポート13側から低圧ポート1
4側へ流体を流すことにより油圧を制御できるようにな
っている。ところで、スプール11は、図9に示すよう
に、両端部に形成されたピストン部11A,11Aと、
これらのピストン部11A,11Aを連結するロッド部
11Bとから構成されている。
【0006】このピストン部11A,11Aは、円形の
穴部として形成された弁室50内をスライドできるよう
に円柱状に形成され、弁室50に連通する高圧ポート
(又は低圧ポート)の開度を調整するようになってい
る。また、スプール1は、弁室50の両端部51,52
に接続された油路(図示せず)を介して供給される作動
油(圧油)によって駆動されるようになっている。例え
ば、弁室50の一端側(図9中、右側)51に作動油が
供給されると、ピストン1は他端側(図9中、左側)5
2に移動し、弁室5の他端側(図9中、左側)52に作
動油が供給されると、ピストン1は一端側(図9中、右
側)51に移動するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
スプール型油圧制御弁において、油圧を制御すべくスプ
ール11をスライドさせて高圧ポート13又は低圧ポー
ト14の開度を調整する時即ち、高圧ポート13又は低
圧ポート14とスプール11のピストン部11Aとによ
り形成される開口部(流路)Aが絞られたり、開けられ
たりする時には、高圧ポート13側から低圧ポート14
側への流体の流れ(流体の運動量)が変化することにな
る。
【0008】例えば、高圧ポート13の開口部Aを開口
しはじめると、高圧ポート13の圧力PHと低圧ポート
14の圧力PLとに生じる圧力差(=PH−PL)か
ら、高圧ポート13から低圧ポート14に向けて流れが
生じ、流体の運動量変化が生じることになる。このよう
な流体の運動量変化によって、スプール11には軸方向
に力が働くことになる。
【0009】ここで、スプール型油圧制御弁におけるス
プール11の軸方向に働く力の原理について、図9を参
照しながら説明する。なお、図9は、高圧ポート13の
開度を調整する場合を示している。運動量理論によれ
ば、流体の運動量の時間的変化率は流体に加えられた外
力に等しいため、物体(即ち、スプール11)が受ける
力は次式(1)で表せる。なお、fはスプール11が受
ける力、Fsはスプール11に作用する静的な力、Ff
はスプール11に作用する流体力(図9に矢印で示すよ
うにFfは右向きを正とする)、Mは運動量をそれぞれ
示している。
【0010】
【数1】
【0011】ここで、スプール11に作用する流体力F
fは、動的な運動量変化と静的な運動量変化との和とし
て次式(2)で表せる。なお、M1は時刻t1における
検査面15内(ここでは、弁室50内)の運動量、M2
は時刻t2における検査面15内の運動量、Minは検査
面15に流入する運動量、Mout は検査面15から流出
する運動量、tは時刻をそれぞれ示している。
【0012】なお、検査面15は、弁室50の内周面の
うち、両ピストン部11A,11A間の部分、つまり、
ロッド部11Bの外周に相当する面である。
【0013】
【数2】
【0014】このうち、静的な運動量変化は次式(3)
で表せる。なお、ρは流体密度、φは流入角度、Vは流
入流速をそれぞれ示している。
【0015】
【数3】
【0016】また、動的な運動量変化は次式(4)で表
せる。なお、、t0 は初期時刻,lは流入,流出口間の
長さ(減衰長さ)、sは検査面の面積をそれぞれ示して
いる。
【0017】
【数4】
【0018】したがって、式(3),式(4)を式
(2)に代入すると、スプール1に働く流体力Ffは次
式(5)で表せる。
【0019】
【数5】
【0020】この式(5)からわかるように、単位時間
当たりの流量Qの変化(dQ/dt)が小さく、第2項
を無視できるものとすると、流体が流れ込む時には第1
項が負、即ち、Ffは図9中、左向き、流体が流れ出す
時には第1項が正、即ち、Ffは図9中、右向きにな
る。つまり、スプール型油圧制御弁の弁室50に流体が
流れ込むと、スリーブ12の高圧ポート13の開口部A
を閉じる方向に、逆にスプール型油圧制御弁の弁室50
から流体が流れ出すと、スリーブ12の高圧ポート13
の開口部Aを開く方向に流体力Ffが作用することとな
る。
【0021】このような流体力Ffがスプール11に作
用することによって、スプール11の振動を誘発し、ス
プール11の制御性を悪化させ、さらには母機の制御性
を損ない、騒音源にもなるという課題がある。また、高
流量のスプール型油圧制御弁ではこの力も大きくなるた
め、これを制御するのに大きな力が必要とされる。
【0022】また、スプール型油圧制御弁において高圧
ポート13を開口し始めると、流れが生じることになる
が、スプール11のピストン部11Aとロッド部11B
とは直角状に連結されているため、図12に示すよう
に、ロッド部11Bとピストン部11Aとの連結部分近
傍で渦が発生し、この渦によって低圧域が生じることに
なる。
【0023】このような低圧域が発生することによっ
て、スプール11には高圧ポート13側から低圧ポート
14側への軸力(即ち、開口部Aを閉じる方向への軸
力)が作用することになるため、スプール11による油
圧制御の制御性を悪化させてしまうという課題がある。
また、渦の発生によって、高圧ポート13からの流入を
妨げることにもなるため、スプール11による油圧制御
の制御性を悪化させることになる。
【0024】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、スプールに作用する軸力(特に、高圧ポート
側から低圧ポート側への軸力)を低減することができる
ようにして、スプールの振動を低減し、スプールの制御
性を向上させ、騒音の低減を図ることができるようにし
た、スプール型油圧制御弁を提供することを目的とす
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明のスプール型油圧制御弁は、高圧ポート及び低
圧ポートを有し内部に上記の高圧ポート及び低圧ポート
に連通する弁室を形成されたスリーブと、該スリーブの
該弁室内をスライドすることにより、上記の高圧ポート
又は低圧ポートの開度を調整して、油圧を制御するスプ
ールとをそなえたスプール型油圧制御弁において、該ス
プールに、該高圧ポート側から該低圧ポート側へ向けて
断面積が縮小するテーパ部が形成されていることを特徴
としている。
【0026】このような構成により、スプールをスリー
ブの弁室内でスライドさせ、高圧ポート又は低圧ポート
の開度を調整して高圧ポートから流体を流入させると、
高圧ポートから流入した流体は、スプールに形成された
テーパ部に沿って低圧ポート側へ円滑に流れるようにな
る。請求項2記載の本発明のスプール型油圧制御弁は、
請求項1記載の構成において、該弁室の該低圧ポート側
に、該スプールの径よりも大きい径の拡径空間部が形成
されていることを特徴としている。
【0027】このような構成により、スプールをスリー
ブの弁室内でスライドさせ、高圧ポート又は低圧ポート
の開度を調整して高圧ポートから流体を流入させると、
高圧ポートから流入した流体は、スプールに形成された
テーパ部に沿って低圧ポート側へ円滑に流れていき、さ
らに、低圧ポート側に形成されている拡径空間部によっ
て流体の一部が反転し、スプールのテーパ部に衝突する
ようになる。
【0028】請求項3記載の本発明のスプール型油圧制
御弁は、請求項2記載の構成において、該弁室の該高圧
ポート側に該スプールの径に応じた通常径空間部が形成
されて、該拡径空間部から該通常径空間部へ向けて漸減
するように縮径しているテーパ状空間部が形成されてい
ることを特徴としている。このような構成により、スプ
ールをスリーブの弁室内でスライドさせ、高圧ポート又
は低圧ポートの開度を調整して高圧ポートから流体を流
入させると、高圧ポートから流入した流体は、スプール
に形成されたテーパ部に沿って低圧ポート側へ円滑に流
れていき、さらに、流体の一部は反転し、低圧ポート側
に形成されている拡径空間部によって、流体はテーパ状
空間部に沿って流れていき、より確実に、スプールのテ
ーパ部に衝突するようになる。
【0029】請求項4記載の本発明のスプール型油圧制
御弁は、請求項1記載の構成において、該低圧ポート
が、該スプールの軸方向に延びた長円形の穴部として形
成されていることを特徴としている。このような構成に
より、スプールをスリーブの弁室内でスライドさせ、高
圧ポート又は低圧ポートの開度を調整して高圧ポートか
ら流体を流入させると、高圧ポートから流入した流体
は、スプールに形成されたテーパ部に沿って低圧ポート
側へ流れていく。このようにして低圧ポート側へ流れて
きた流体は、長円形の穴部として形成された低圧ポート
からは流出しにくいので、その多くは拡径空間部により
反転するようになり、より多くの流体がスプールのテー
パ部に衝突するようになる。
【0030】
【発明の実施形態】以下、図面により、本発明の実施の
形態について説明する。まず、第1実施形態について説
明すると、図1〜図6は、本発明の第1実施形態にかか
るスプール型油圧制御弁を示すもので、図1はその模式
的な縦断面図、図2はその模式的な側面図、図3はその
模式的な横断面図であって、図2のX−X矢視断面図、
図4はスプールに形成されたテーパ部の作用を説明する
ための模式図、図5はスリーブのバケット部の作用を説
明するための模式図である。
【0031】本実施形態のスプール型油圧制御弁は、図
1に示すように、スリーブ2とその内部に備えられるス
プール1とから構成される。このスリーブ2は、円柱状
に形成されており、この円柱状のスリーブ2には、その
軸心線部分に弁室5が形成され、この弁室5から複数の
高圧ポート3及び複数の低圧ポート4が外方へ放射状に
形成されている。例えば、低圧ポート4に関する図3に
示すように(高圧ポート3に関しても図3とほぼ同様に
形成される)、スリーブ2の軸心に沿って弁室5が形成
され、高圧ポート3,低圧ポート4は、弁室5からスリ
ーブ2の外周面に向かって、放射線状に延びるように形
成されており、弁室5により高圧ポート3と低圧ポート
4とが連通しうるようになっている。
【0032】これらの各高圧ポート3及び各低圧ポート
4は、図1及び図2に示すように、スリーブ2の軸線方
向に対して垂直に延びる円形横断面の穴部として形成さ
れている。高圧ポート3と低圧ポート4とは互いに並列
に設けられている。さらに、弁室5は、図1及び図3に
示すように、スリーブ2の軸線方向に延びる円形の穴部
として形成され、通常径空間部5Aと、拡径空間部(バ
ケット部)5Bと、テーパ状空間部5Cとから構成され
ている。そして、スプール1はこの弁室5に収容されて
いる。
【0033】通常径空間部5Aは、スプール1のピスト
ン部1A,1Aがスライドできるように、スプール1の
ピストン部1A,1Aの径の大きさに対応するように形
成されている。なお、この通常径空間部5Aには、上述
の複数の高圧ポート3が連通されている。拡径空間部5
Bは、その径が通常径空間部5Aよりも拡げられて形成
されている。なお、この拡径空間部5Bには、上述の複
数の低圧ポート4が連通するようになっている。
【0034】テーパ状空間部5Cは、拡径空間部5Bか
ら通常径空間部5Aへ向けて漸減するように縮径するテ
ーパ部5aにより形成されている。弁室5に、このよう
な拡径空間部5B及びテーパ状空間部5Cを形成してい
るのは、高圧ポート3から流れ込む流体が直ちに低圧ポ
ート4から流れ出さないようにして、高圧ポート3から
流れ込む流体を、流れ込み方向とは逆向きに向くように
反転させ、テーパ状空間部5Cを形成するテーパ部5a
に沿うように案内しながら、後述するスプール1のテー
パ部1bに衝突させるためである。
【0035】このようにして、スプール1に反転の運動
量分の圧力上昇を生じさせ、高圧ポート3から流れ込む
流体によってスプール1に働く軸力〔開口部Aを閉じる
方向(図1中左方向)の軸力〕と反対向きの力を発生さ
せることで、結果的にスプール1に開口部Aを閉じる方
向に働く力を減少させるようにしている。ところで、ス
プール1は、図1に示すように、両端部に形成されたピ
ストン部1A,1Cと、これらのピストン部1A,1C
を連結するロッド部1Bとから構成されている。
【0036】このピストン部1A,1Cは、円形の穴部
として形成された弁室5内をスライドできるように円柱
状に形成され、弁室5に連通する高圧ポート(又は低圧
ポート)の開度を調整するようになっている。また、ロ
ッド部1Bは、その高圧ポート3側の端部に、図1に示
すように、高圧ポート3側から低圧ポート4側へ向けて
断面積が縮小するテーパ部1bが形成されている。
【0037】このテーパ部1bは円錐状に形成され、断
面積の最も大きい高圧ポート3側の端部は、ピストン部
1A,1Cの断面積と略同一になっている。なお、この
テーパ部1bはロッド1Bの全長に亘って形成してもよ
いが、ここでは1C側に部分的に形成している。このよ
うにロッド部1Bにテーパ部1bを形成するようにして
いる第1の理由のは、図4に示すように、高圧ポート3
から流入した流体がテーパ部1bに沿って円滑に流れる
ようにして、渦が発生しにくくするためである。このよ
うにして渦が発生しにくくすることによって、高圧ポー
ト3から流入する流体が引き起こす圧力が低い領域(低
圧域)を減少させることができる。なお、図4中、矢印
は流体の流れを示している。
【0038】また、ロッド部1Bにテーパ部1bを形成
する第2の理由は、低圧ポート4から流出さずに旋回し
てきた流体(旋回流)がスプール1に衝突し、その運動
量変化による圧力上昇によって生じる力が適正な方向に
作用するようにするためである。これによって、高圧ポ
ート3から流入する流体によってスプール1の軸方向に
作用する力(開口部Aを閉じる方向に作用する軸力)を
効果的に低減させることができることになる。
【0039】このように形成されたスプール1は、ここ
では図示していないが、弁室5の両端部に接続された油
路を介して供給される作動油(圧油)によって駆動され
るようになっている。例えば、弁室5の一端側(図1
中、右側)51に作動油が供給されると、ピストン1は
他端側(図1中、左側)52に移動し、弁室5の他端側
(図1中、左側)52に作動油が供給されると、ピスト
ン1は一端側(図1中、右側)51に移動するようにな
っている。
【0040】そして、スプール1のピストン1Cによっ
て高圧ポート3の開口部Aの開度を調整することによっ
て、油圧制御を行なえるようになっている。このよう
に、スリーブ2に拡径空間部5B及びテーパ状空間部5
Cを設け、スプール1にテーパ部1bを設けることによ
り、やはりスプール1の軸力(開口部Aを閉鎖する側へ
の軸力)を低減できるようになっている。
【0041】これについて、図5を参照しながら説明す
る。なお、図5中、矢印は流体の流れを示している。つ
まり、図5に示すように、高圧ポート3から弁室5へ流
入する流体は、スプール1のテーパ部1bに沿って流
れ、直ちに低圧ポート4から流れ出さずに後方へ反転
し、この反転流がスプール1のテーパ部1bに衝突する
ようになる。これによって、スプール1には、衝突した
流体の運動量に相当する圧力上昇(即ち、流れの動圧に
よる圧力上昇)が発生することになり、開口部Aの閉鎖
方向への軸力を低減することができるようになってい
る。
【0042】本実施形態のスプール型油圧制御弁は、上
述のように構成されるため、以下のように動作する。例
えば、油圧を制御すべくスプール1を弁室5内でスライ
ドさせ、高圧ポート3の開口しはじめると、高圧ポート
3側と低圧ポート4側との圧力差から高圧ポート3から
低圧ポート4に向けて流体が流れ、この流体の流れ(流
体の運動量)の変化によって、スプール1に高圧ポート
3の開口部Aを閉じる方向への軸力が作用することにな
る。
【0043】この場合、高圧ポート3から流入し、スプ
ール1のテーパ部1bに沿って流れた流体は、拡径空間
部5B及びテーパ状空間部5Cの作用により、旋回させ
られ、テーパ状空間部5Cを形成するテーパ部5aに沿
って流れ、スプール1のテーパ部1bに衝突することに
より、スプール1に運動量分の圧力上昇を発生させ、開
口部Aを閉じる方向への軸力とは反対向きの軸力が、ス
プール1に作用することになる。
【0044】このようにして、スプール1に作用する高
圧ポート3の開口部Aを閉じる方向への軸力が低減され
ることになる。また、高圧ポート3から流入した流体
は、スプール1に形成されたテーパ部1bに沿って流れ
るため、スプール1のロッド部1Bとピストン部1Aと
の間に渦が発生せず、したがって低圧域も発生しないこ
とになる。
【0045】このように、スプール1に形成されたテー
パ部1bによって、高圧ポート3から低圧ポート4への
流れが引き起こす渦の発生(即ち、低圧域の発生)を防
止できるため、この点でも、高圧ポート3側から低圧ポ
ート4側へ向けて作用するスプール1の軸力(開口部A
を閉じる方向に作用する軸力)を低減することができる
という利点がある。これによって、スプール1の振動の
低減を図ることができ、スプール1の制御性を向上させ
ることもできる。さらには、母機の制御性を向上させ、
騒音の低減を図ることもできる。
【0046】また、スリーブ2の弁室5に形成された拡
径空間部5Bによって、高圧ポート3側から低圧ポート
4側への流れが直ちに低圧ポート4へ流出しないように
し、この流れを反転させてスプール1のテーパ部1bに
衝突させ、運動量分の圧力上昇を発生させることができ
るので、高圧ポート3側から低圧ポート4側への流れに
よって作用する軸力と反対方向の軸力を作用させること
ができ、この点でも、高圧ポート3側から低圧ポート4
側に向けて作用するスプール1の軸力を低減することが
できるという利点もある。これによって、スプール1の
振動の低減、スプール1の制御性の向上、母機の制御性
の向上、騒音の低減が図れることになる。
【0047】また、スリーブ2の弁室5に形成されたテ
ーパ状空間部5Cによって、高圧ポート3から低圧ポー
ト4への流れをより旋回させやすくするようにして、高
圧ポート3側から低圧ポート4側に向けてスプール1に
作用する軸方向の力をより効果的に低減することができ
るという利点もある。なお、本実施形態のスプール型油
圧制御弁では、スリーブ2に、拡径空間部5Bから通常
径空間部5Aへ向けて漸減するように縮径しているテー
パ状空間部5Cが形成されているが、拡径空間部5Bと
通常径空間部5Aとの間にテーパ状空間部5Cを形成せ
ず、拡径空間部5Bと通常径空間部5Aとが直角状に連
なるように構成してもよい。
【0048】また、本実施形態のスプール型油圧制御弁
では、スリーブ2に、拡径空間部5B及びテーパ状空間
部5Cを形成するとともに、スプール1に、テーパ部を
形成するようにしているが、いずれか一方を形成するよ
うにしてもよい。つまり、スリーブ2に、拡径空間部5
B及びテーパ状空間部5Cを形成するだけでもよいし、
スプール1に、テーパ部を形成するだけでもよい。この
ように、いずれか一方のみ形成するようにしても、高圧
ポート3側から低圧ポート4側への軸力(開口部Aを閉
じる方向への軸力)の低減を図ることができる。
【0049】また、本実施形態のスプール型油圧制御弁
では、油路を介して供給される油圧により駆動されるよ
うになっているが、スプール1のピストン1A,1Cの
端部にソレノイドバルブを設け、電磁力によりスプール
1を駆動するようにしてもよい。次に、第2実施形態に
ついて説明すると、このスプール型油圧制御弁は、図6
〜図8に示すように、第1実施形態のものと、低圧ポー
トの形状が異なる。ここで、図6は本実施形態のスプー
ル型油圧制御弁の模式的な縦断面図、図7はその模式的
な側面図、図8はその模式的な横断面図であって、図7
のX−X矢視断面図である。
【0050】つまり、この実施形態では、円形の低圧ポ
ート4に代えて長円形(まゆ型)の横断面を有する穴部
として形成された低圧ポート6が設けられている。な
お、その他の構成については第1実施形態のものと同様
であるため、その説明は省略する。本実施形態のスプー
ル型油圧制御弁における低圧ポート6は、図6〜図8に
示すように、スプール1の軸方向に延びた長円形横断面
を有する穴部として形成されている。
【0051】その他の構成については、第1実施形態の
ものと同様であるため、その説明は省略する。このよう
に、低圧ポート6を長円形の穴部として形成するのは、
流体の排出抵抗を抑えつつ、スプール1に働く軸力を低
減できるようにするためである。なお、単に開口面積の
小さい穴部や細長い長方形状の穴部として形成すると、
流体の排出抵抗が大きくなり、軸力低減効果は得にく
い。
【0052】本実施形態のスプール型油圧制御弁は、こ
のように構成されるため、以下のように動作する。つま
り、スプール1をスリーブ2の弁室5内でスライドさ
せ、高圧ポート3又は低圧ポート6の開度を調整して高
圧ポート3から流体を流入させると、高圧ポート3から
流入した流体は、スプール1に形成されたテーパ部1b
に沿って低圧ポート4側へ流れていく。このようにして
流れてきた流体は、低圧ポート6側に進むが、この低圧
ポート6は、長円形の穴部として形成されており、開口
面積が小さいので、流体は、低圧ポート6から流出しに
くく、多くは拡径空間部5Bによる案内で反転されて反
転流が発生する。この反転流がスプール1のテーパ部1
bに衝突し、スプール1に反転流の運動量分の圧力上昇
が発生し、高圧ポート3側から低圧ポート6側への軸力
(開口部Aを閉じる方向への軸力)とは反対向きの軸力
がスプール1に作用することになる。
【0053】本実施形態のスプール型油圧制御弁では、
上述のように構成され、動作,作用するものであるた
め、第1実施形態と同様の効果を有する。また、長円形
の穴部として形成された低圧ポート6によって、高圧ポ
ート3から流入した流体が低圧ポート6からより流出し
にくくし、高圧ポート3側から低圧ポート6側への流れ
をより多く旋回させてスプール1のテーパ部1bに衝突
させ、スプール1に働く軸力と反対向きの軸力が大きく
なるようにして、結果として、スプール1に作用する軸
方向の力をより効果的に低減することができるという利
点がある。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明のスプール型油圧制御弁によれば、高圧ポートから
低圧ポートへの流れが引き起こす渦の発生(即ち、低圧
域の発生)を防止して、高圧ポート側から低圧ポート側
へ向けてスプールに作用する軸力を低減することができ
るという利点がある。
【0055】請求項2記載の本発明のスプール型油圧制
御弁によれば、スリーブの弁室に形成された拡径空間部
によって、高圧ポート側から低圧ポート側への流れを旋
回させ、スプールのテーパ部に衝突させるようにして、
高圧ポート側から低圧ポート側に向けてスプールに作用
する軸力を低減することができるという利点がある。請
求項3記載の本発明のスプール型油圧制御弁によれば、
スリーブの弁室に形成されたテーパ状空間部によって、
高圧ポートから低圧ポートへの流れをより旋回させやす
くするようにして、高圧ポート側から低圧ポート側に向
けてスプールに作用する軸方向の力をより効果的に低減
することができるという利点がある。
【0056】請求項4記載の本発明のスプール型油圧制
御弁によれば、長円形の穴部として形成された低圧ポー
トによって、低圧ポートから流出しにくくし、高圧ポー
ト側から低圧ポート側への流れをより旋回させやすくし
て、スプールに作用する軸方向の力をより効果的に低減
することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるスプール型油圧
制御弁の模式的な縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるスプール型油圧
制御弁の模式的な側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるスプール型油圧
制御弁の模式的な横断面図であり、図2のZ1−Z1矢
視断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるスプール型油圧
制御弁のテーパ部の作用を説明するための模式図であ
る。
【図5】本発明の第1実施形態にかかるスプール型油圧
制御弁の拡径空間部及びテーパ状空間部の作用を説明す
るための模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかるスプール型油圧
制御弁の模式的な縦断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかるスプール型油圧
制御弁の模式的な側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかるスプール型油圧
制御弁の模式的な横断面図であり、図7のZ2−Z2矢
視断面図である。
【図9】従来のスプール型油圧制御弁の模式的な縦断面
図である。
【図10】従来のスプール型油圧制御弁の模式的な側面
図である。
【図11】従来のスプール型油圧制御弁の横断面図であ
り、図10のX−X矢視断面図及びY−Y矢視断面図で
ある。
【図12】従来のスプール型油圧制御弁の課題を説明す
るための模式図である。
【符号の説明】
1 スプール 1A,1C ピストン部 1B ロッド部 1b テーパ部 2 スリーブ 3 高圧ポート 4 低圧ポート(円形) 5 弁室 5A 通常径空間部 5B 拡径空間部 5C テーパ状空間部 5a テーパ部 6 低圧ポート(長円形) 11 スプール 11A ピストン部 11B ロッド部 12 スリーブ 13 高圧ポート 14 低圧ポート 50 弁室 51 弁室の一端側 52 弁室の他端側

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧ポート及び低圧ポートを有し内部に
    上記の高圧ポート及び低圧ポートに連通する弁室を形成
    されたスリーブと、 該スリーブの該弁室内をスライドすることにより、上記
    の高圧ポート又は低圧ポートの開度を調整して、油圧を
    制御するスプールとをそなえたスプール型油圧制御弁に
    おいて、 該スプールに、該高圧ポート側から該低圧ポート側へ向
    けて断面積が縮小するテーパ部が形成されていることを
    特徴とする、スプール型油圧制御弁。
  2. 【請求項2】 該弁室の該低圧ポート側に、該スプール
    の径よりも大きい径の拡径空間部が形成されていること
    を特徴とする、請求項1記載のスプール型油圧制御弁。
  3. 【請求項3】 該弁室の該高圧ポート側に該スプールの
    径に応じた通常径空間部が形成されて、該拡径空間部か
    ら該通常径空間部へ向けて漸減するように縮径している
    テーパ状空間部が形成されていることを特徴とする、請
    求項2記載のスプール型油圧制御弁。
  4. 【請求項4】 該低圧ポートが、該スプールの軸方向に
    延びた長円形の穴部として形成されていることを特徴と
    する、請求項1記載のスプール型油圧制御弁。
JP32192496A 1996-12-02 1996-12-02 スプール型油圧制御弁 Pending JPH10160002A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32192496A JPH10160002A (ja) 1996-12-02 1996-12-02 スプール型油圧制御弁

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32192496A JPH10160002A (ja) 1996-12-02 1996-12-02 スプール型油圧制御弁

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10160002A true JPH10160002A (ja) 1998-06-16

Family

ID=18137941

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32192496A Pending JPH10160002A (ja) 1996-12-02 1996-12-02 スプール型油圧制御弁

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10160002A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003535275A (ja) * 2000-05-31 2003-11-25 モルフィック テクノロジーズ アクティエボラーグ 油圧衝撃/押圧装置
WO2006031252A1 (en) * 2004-03-30 2006-03-23 Honeywell International Inc. Method for repair of regulator poppet and seat
JP2008057746A (ja) * 2006-09-04 2008-03-13 Kayaba Ind Co Ltd 圧力制御弁
JP2013190040A (ja) * 2012-03-14 2013-09-26 Honda Motor Co Ltd スプールバルブ
US8839764B2 (en) 2008-10-10 2014-09-23 Robert Bosch Gmbh Fuel supply system for heavy oil common-rail injection systems

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003535275A (ja) * 2000-05-31 2003-11-25 モルフィック テクノロジーズ アクティエボラーグ 油圧衝撃/押圧装置
WO2006031252A1 (en) * 2004-03-30 2006-03-23 Honeywell International Inc. Method for repair of regulator poppet and seat
JP2008057746A (ja) * 2006-09-04 2008-03-13 Kayaba Ind Co Ltd 圧力制御弁
US8839764B2 (en) 2008-10-10 2014-09-23 Robert Bosch Gmbh Fuel supply system for heavy oil common-rail injection systems
JP2013190040A (ja) * 2012-03-14 2013-09-26 Honda Motor Co Ltd スプールバルブ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5765814A (en) Flow rate stabilizer for throttling valves
KR100493325B1 (ko) 유압 릴리프밸브
JP2015169212A (ja) 流体制御弁
KR102157325B1 (ko) 스풀밸브
JP3506409B2 (ja) スプール型流量制御弁
WO2007046379A1 (ja) ケージ弁
JP3490640B2 (ja) 絞り装置
JPH10160002A (ja) スプール型油圧制御弁
KR20130055061A (ko) 유동 유체의 감압 및 감속장치
JP3533733B2 (ja) 電子膨張弁
JP6499123B2 (ja) リリーフバルブ装置
JP2008128603A (ja) 電動膨張弁
JP3407565B2 (ja) スプール弁
JPH09177705A (ja) アキュムレータ付きリリーフ弁
JP4199644B2 (ja) ノッチによる流体力を低減する構造のスプール弁
US20200332913A1 (en) Valve device
JPH02186171A (ja) 弁装置
KR200496618Y1 (ko) 카운터 밸런스 밸브의 부하 면적 확보 및 유량 배출 증대 구조
JP2004316674A (ja) ロータリバルブ
JPH10153275A (ja) 高圧力減圧調節弁
JP2005308090A (ja) ソレノイドバルブ
CN213954517U (zh) 电子膨胀阀及制冷设备
KR200271263Y1 (ko) 다중 유로 감압밸브
JPH083775Y2 (ja) 流量制御弁
KR100432657B1 (ko) 다중 유로 감압밸브

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20020604

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051108