JPH10158035A - 紫外用光学素子およびその製造方法 - Google Patents

紫外用光学素子およびその製造方法

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JPH10158035A
JPH10158035A JP9265242A JP26524297A JPH10158035A JP H10158035 A JPH10158035 A JP H10158035A JP 9265242 A JP9265242 A JP 9265242A JP 26524297 A JP26524297 A JP 26524297A JP H10158035 A JPH10158035 A JP H10158035A
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宏樹 神保
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明子 守屋
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  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 CeO2などの金属不純物がほとんど検出さ
れず、かつ表面粗さも1ÅRMS以下であっても、理論
透過率より0.5%以上も透過率が低いことがあり、問
題となる。 【解決手段】 光学素材の表面をHF処理する前、また
はHF処理後、100℃以上1000℃以下の温度で熱
処理することを特徴とする紫外用光学素子の製造方法を
提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、400nm以下、
好ましくは300nm以下の特定波長帯域で、レンズや
ミラ−等の光学系に使用される光学素子、例えば光リソ
グラフィ−用光学素子に関するものであり、またその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン等のウエハ上に集積回路
の微細パターンを露光・転写する光リソグラフィ技術に
おいては、ステッパーと呼ばれる露光装置が用いられ
る。このステッパーの光源は、近年のLSIの高集積化
に伴ってg線(436nm)からi線(365nm)、
さらにはKrF(248nm)やArF(193nm)
エキシマレ−ザ−へと短波長化が進められている。
【0003】一般に、ステッパーの照明系あるいは投影
レンズとして用いられるレンズ素材は、i線では主に高
透過率化した多成分の光学ガラスが、KrF及びArF
エキシマレ−ザ−では従来の光学ガラスにかえて合成石
英ガラスやCaF2(蛍石)等のフッ化物単結晶が用い
られている。これらの光学素子には、一般的に、使用す
る波長域での透過率が99.5%以上であることが要求
される。
【0004】また、光学素子に要求される品質として、
特に、表面損失の低減も重要項目である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】300nm以下の短波
長域の光学素子において、その表面損失を0.5%以下
に抑えるには、従来の研磨方法、洗浄方法では、対処で
きないことがわかってきた。本発明者らは、長年に渡り
その原因を鋭意研究してきた結果以下の事が解ってき
た。
【0006】表面損失は、表面粗さに起因する散乱以
外の損失がある。 研磨剤などの金属残存物の吸収に起因する表面損失が
ある。 長年に渡り、本発明者らは、上記で述べた事を検証する
為の実験を行ってきた。まず、に関して、表面粗さと
透過率の関係を確かめた。図1、2にそれぞれ測定波長
248nm及び193nmでの表面粗さと、試験的に作
製した光学素子(φ60×t10mm平行平板)の透過
率測定値との関係を示す。測定サンプルとしては、すべ
て同一条件で製造された合成石英ガラスを用いた。尚、
表面粗さは光学干渉方式の表面粗さ計を用いた。
【0007】透過率は、ある程度表面粗さ、つまり表面
散乱損失に依存しているが、他の因子が透過率値に影響
を与えていることがわかる。この事実から、透過率測定
に影響を与える因子として、表面散乱以外に、吸収によ
る損失の影響が大きい事が判明した。この原因は、残留
不純物や残留応力による構造欠陥によると考えられてい
る。
【0008】しかしながら、CeO2などの金属不純物
がほとんど検出されず、かつ表面粗さも1ÅRMS以下
であっても、理論透過率より0.5%以上も透過率が低
いことがあり、問題となる。そこで、本発明は、この問
題を解決し、400nm、好ましくは300nm以下の
紫外線波長域で用いられる透過率の高い光学素子を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
まず、光学素子の表面状態を調べた。通常の表面分析方
法、例えばESCA、蛍光X線分析装置では、感度の点
で問題があり、光学素子表面に付着する不純物の定量は
不可能であった。そのため、全反射蛍光X線分析装置に
より分析した結果、として、図3にCeO2と248n
m透過率の関係を示す。この様に、残留CeO2の多い
サンプルほど損失の多い事が解る。これは、研磨剤であ
るCeO2が微小クラック部に残留しているためと考え
られる。
【0010】しかしながら、表面粗さ、CeO2の付着
は透過率を下げる要因の一つであるがそれだけではない
こともわかってきた。それは、CeO2などの金属不純
物がほとんど検出されず、かつ表面粗さも1ÅRMS以
下であっても、理論透過率より0.5%以上も透過率が
低いことがあることからも明らかである。そこで本発明
者らは、表面の汚染物はおそらく有機系のガスの吸着に
よるであろうと推測し実験を行った。
【0011】まず、CeO2(Ce:50×1010at
oms/cm2以下)などの金属不純物がほとんど検出
されず、とくにかつ表面粗さも1ÅRMS以下で19
3.4nm透過率90.55%の光学素子(φ60×1
0mm)を、数日間にわたりクリーンルーム内で保管後
表面にパーティクルが実質的に存在しないことを確認後
透過率を測定した。193.4nmの透過率は約24H
rで90.13%に、さらに2日後には、89.92%
にまで低下していた。
【0012】このサンプルの、表面には、保管前と後
で、表面に存在する金属不純物に優位さは確認できなか
った。これらの実験から、本発明者らは、表面に付着す
る有機系の不純物であると推測した。ただし、仮にその
汚れが有機系であり、洗浄にて除去したとしても、使用
中に再付着し、光学素子の透過率低下の原因となる可能
性がある。
【0013】これらの問題点を、解決しないことには、
光リソグラフィ−用の光学素子の要求仕様を満たすこと
ができない。そこで、本発明は、表面に有機系不純物が
存在せず、かつ有機系ガスの吸着が実質的にないことを
特徴とする紫外用光学素子を提供する。本発明者らは、
有機系の不純物の付着に関して、さらに実験を行った。
【0014】上述のクリ−ンル−ム内で保管する実験を
行ったサンプルについて、昇温脱離ガス分析装置で、H
2O、炭化水素に相当する質量数のピ−クを分析を行っ
た。その結果、クリ−ンル−ム内の保持時間が増えるこ
とで、H2O、炭化水素が増えることを確認した。これ
は、透過率低下の原因が、表面金属不純物と共に有機系
の不純物が関与していることがわかる。また、特に有機
系の不純物の付着は、クリ−ンル−ムといえども建材な
どから放出される雰囲気中のガス状有機物が問題とな
る。
【0015】本発明者らは、さらに、様々な洗浄法をた
めし、透過率測定、不純物分析等の表面分析を行った
処、酸処理したサンプルを長時間保管しても、透過率が
低下せず、表面に有機系の汚れが付着しづらい事を見出
した。これは、例えば、石英ガラスの場合、ガラス表面
の≡Si・、≡Si−O・等の表面欠陥をHF処理し、
≡Si−H、≡Si−O−Hの様にHで終端、または≡
Si−F、≡Si−O−Fの様にFで終端する事で、欠
陥を低減し電気的に有機系のガス物質と結合しづらくし
た効果と考える。つまり、物理吸着、化学結合による吸
着を防止することができる。また、HF処理以外の酸処
理、例えば硫酸と過酸化水素水との1:1混合液でも同
様の効果が得られる。
【0016】さらに、熱処理による表面の脱ガス効果を
調べた。その結果、HF処理前後に熱処理を行うことで
さらに付着物を防止する効果がみられた。ただし、熱処
理の際の雰囲気は、実質上金属不純物が存在せず、有機
系のガスが存在しないことが必要である。また、HF処
理前の熱処理では、100℃以上で処理しないと効果が
得られず、900℃以上では、熱変形が起こり、表面結
晶化(失透)する可能性があるので望ましくない。ま
た、HF処理後の熱処理においても、1000℃以上で
熱処理すると、終端された≡Si−H、≡Si−O−H
構造が反応によりH2Oとして、または終端された≡S
i−F、≡Si−O−F構造が反応によりHF、あるい
はF2として放出され、再び表面欠陥を生成する事があ
る。
【0017】そこで、本発明は、光学素材の表面をHF
処理する前、またはHF処理後、100℃以上1000
℃以下の温度で熱処理することを特徴とする紫外用光学
素子の製造方法を提供する。なお、熱処理時の上限温度
は、光学素子の材料によって好適な範囲が示される。
【0018】例えば、石英ガラスの場合、500℃より
高い温度では、石英ガラスが変形する恐れがあり、50
0℃以下であることが好ましい。また、蛍石の場合、3
00℃より高い温度では、クラックが入る恐れがあるた
め、300℃以下であることが好ましい。さらに、多成
分系の光学ガラスの場合、組成により異なるが、400
℃より高い温度では変形する恐れがあり、400℃以下
であることが好ましい。
【0019】なお、光学素材の研磨、洗浄工程の後、薄
膜形成工程を経るような光学素子の製造方法の場合に
は、その工程が熱処理を兼用することも可能である。こ
の場合も、処理温度が上記の範囲内が好ましい。また、
実際に紫外用光学素子として使用する場合には、有機系
不純物だけでなく、研磨表面の微小クラック部に存在す
ると考えられる金属不純物の除去についても検討しなけ
ればならない。そこで、CeO2等の通常使用する研磨
剤で所定の曲面及び平面を形成後、仕上げ研磨として、
SiO2微粒子で表面一層を研磨することで金属不純物
の付着を防止できる。
【0020】さらに、HF処理を行って有機系不純物を
精密に洗浄した後でも、光学部品の運搬中などに、表面
に有機系の汚れ、例えば、梱包材や人の手からの汚染物
が付着することがある。これについては、光学素子を光
学系の治具に設置直前に、IPA液及びIPAベ−パ乾
燥後、Hgランプを用いたUV洗浄やKrF、ArFエ
キシマレ−ザを用いたエキシマクリ−ニングを行うこと
で除去可能であることを見出した。なお、HF処理、加
熱処理を行っていない光学素子も、これらの洗浄処理に
よって一時的に有機系の汚れは除去されるが、表面の欠
陥により、汚れが再付着する。これを防止するために
は、HF処理、加熱処理は必須である。
【0021】こうして得られた光学素子は、不純物の吸
着がなく、高透過率を達成できるものであるが、上述し
たように表面粗さも表面損失に影響を与えるため、表面
損失0.5%以上を実現するには、表面粗さを10ÅR
MS以下にすることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、実施例により、本発明を詳
しく説明する。試料には、光学的に同一の品質の石英ガ
ラスを使用した。サンプル形状は、約φ60×t10m
mの研磨した平行平板を用いた。その各サンプルの平行
平板の平行度は5±1秒、面精度は3±0.5λ(λ=
546 nm)である。45個用意し、以下に示す同一条件で
各3ヶずつ、本発明の光学素子製造法について条件を変
えて、193.4nmの透過率を測定し評価した。比較
のため、各処理条件は一定にして行っている。その結果
を、まとめたものを表1.に示した。表中の○印はその
処理を行ったことを示し、×印は行わなかったことを示
す。
【0023】
【表1】
【0024】また、表面粗さはヘテロダイン干渉計をも
ちいた光学式の測定装置で測定し、ÅRMSで示した。
仕上げ研磨は、CeO2で研磨後、コロイダルSiO2
粒子を使用して研磨を行った。HF処理は、10%HF
水溶液を用い、約1分間光学素子を浸漬後、超純水でリ
ンス処理、IPA浸漬、IPAベーパ乾燥を行ってい
る。加熱処理は、実質的に金属不純物、有機系ガスのな
いクリーンな雰囲気で、約200℃で10分間処理を行
った。UV処理は、運搬時の影響を排除する目的で行っ
ている。光源としては、Hgランプを用い、185n
m、254nmの照射強度は、それぞれ1mW/c
2、10mW/cm2である。この処理は、UV光で表
面の極表層の有機物を分解し、185nm輝線で生成し
たオゾン、さらに254nm輝線でオゾンから分解した
活性酸素により、分解した有機物を、H2O、CO2ガス
として除去する方法である。
【0025】
【実施例1】本発明の光学素子作製法で光学素子Iを作
製し、193.4nmの内部透過率を測定した。UV照
射直後は99.86%であり、クリ−ンル−ム内に24
0時間保持後その透過率は、99.84%でほとんど低
下しない。この数値は、内部散乱損失を考慮すると、表
面損失は、両面で0.05%以下である。表面損失が小
さいため、特にエキシマレ−ザリソグラフィ−には適す
る。例えば、ArFエキシマステッパの光学素子は、照
明レンズ系、投影レンズ系併せて100点近いが、薄膜
性能に起因する反射損失以外の工程汚染による表面損失
を、光学系全体で約10%以下にすることができる。こ
れは、単にスル−プットだけでなく、結像性能において
も十分な性能が期待できる数値である。但し、実際に
は、他の損失原因、モニター用光学系、開口絞り等も存
在するため、光学系全体の素るーぷっとは90%よりも
低い数値となっている。
【0026】
【実施例2】実施例1の光学素子Iと同一の作製法で、
表面粗さを5ÅRMSに加工した光学素子J及び表面粗
さを10ÅRMSに加工した光学素子Hを作製した。光
学素子JのUV照射直後は99.80%であり、クリ−
ンル−ム内に240時間保持後その透過率は、99.8
0%でほとんど低下しない。
【0027】光学素子HのUV照射直後は99.72%
であり、クリ−ンル−ム内に240時間保持後その透過
率は、99.71%でほとんど低下しない。光学素子
J、Hともに、光学素子Iよりやや透過率が低いのは、
表面粗さに起因する、散乱損失が原因と考える。光学素
子Jは、内部散乱損失を考慮すると、表面損失は、0.
1%以下である。表面損失が比較的小さいため、特にエ
キシマレ−ザリソグラフィ−には適する。例えば、Ar
Fエキシマステッパの光学素子は、照明レンズ系、投影
レンズ系併せて100点近いが、光学系全体の表面損失
は約10%である。これは、スル−プットだけでなく、
結像性能においても十分な性能が期待できる数値である
が、これ以上損失が大きくなると性能に悪影響がでる。
望ましくは、表面粗さを、5ÅRMS以下にする必要が
ある。
【0028】
【実施例3】本発明の光学素子Iの作製法に対し、HF
処理を除いて、光学素子Eを作製し、193.4nmの
内部透過率を測定した。UV照射直後は99.65%で
あり、クリ−ンル−ム内に240時間保持後その透過率
は、99.25%であった。HF処理を行っていないた
め、金属不純物、有機系の不純物の除去及び表面欠陥の
低減が不十分である。
【0029】
【実施例4】本発明の光学素子Iの作製法に対し、加熱
処理を除いて、光学素子Fを作製し、193.4nmの
内部透過率を測定した。UV照射直後は99.76%で
あり、クリ−ンル−ム内に240時間保持後その透過率
は、99.74%であった。加熱処理を行っていないた
め、有機系の不純物の除去及び表面欠陥の低減がやや不
十分である。
【0030】
【実施例5】本発明の光学素子Iの作製法に対し、UV
処理を行わないで、光学素子Gを作製し、193.4n
mの内部透過率を測定した。加工完了後、IPA浸漬+
IPAベ−パ乾燥直後で99.80%であり、クリ−ン
ル−ム内に240時間保持後その透過率は、99.78
%であった。
【0031】光学素子Iと比較すると、有機系不純物除
去がやや不十分であるため、若干透過率が低いが、エキ
シマレ−ザリソグラフィ−用としては使用可能である。
【0032】
【実施例6】光学素子Gの作製法と同様の手順で、加熱
処理を先に行い、HF処理を後で行い、193.4nm
の内部透過率を測定した。この光学素子をG’と呼ぶ。
加工完了後、IPA浸漬+IPAベ−パ乾燥直後で9
9.82%であり、クリ−ンル−ム内に240時間保持
後その透過率は、99.78%であった。
【0033】光学素子G同様、光学素子Iと比較する
と、有機系不純物除去ががやや不十分であるため、若干
透過率が低いが、エキシマレ−ザリソグラフィ−用とし
ては使用可能である。
【0034】
【実施例7】光学素子Iの作製法で作製されたφ30×
t3mmの基板を用い、さらに光学素子Gの作製法と同
様の手順で、両面反射防止コ−トした光学素子Kを作製
した。この場合、コ−ト製膜工程で150〜300℃に
加熱している事で、本発明の加熱工程を代用している。
193.4nmの透過率を測定した。加工完了後、IP
A浸漬+IPAベ−パ乾燥直後で99.80%であり、
クリ−ンル−ム内に240時間保持後その透過率は、9
9.75%であった。この素子は、反射防止コ−トされ
ているが、設計上片面0.05%の反射損失を有する。
また、サンプル厚が薄いため、内部吸収/内部散乱をほ
ぼ無視できるため、反射損失以外の表面損失は両面で、
0.15%である。放置による、損失の増加が基板だけ
の状態よりやや大きいのは、薄膜の表面積が基板表面積
より大な為と推測する。
【0035】有機系がやや不十分であるため、表面損失
を有するが、エキシマレ−ザリソグラフィ−用としては
使用可能である。
【0036】
【実施例8】光学素子Iの作製法で作製されたφ30×
t3mmの基板を用い、さらに光学素子G’の作製法と
同様の手順で、両面反射防止コ−トした光学素子K’を
作製した。この場合、コ−ト製膜工程で150〜300
℃に加熱している事で、本発明の加熱工程を代用してい
る。193.4nmの透過率を測定した。加工完了後、
IPA浸漬+IPAベ−パ乾燥直後で99.80%であ
り、クリ−ンル−ム内に240時間保持後その透過率
は、99.75%であった。この素子は、反射防止コ−
トされているが、設計上片面0.05%の反射損失を有
する。また、サンプル厚が薄いため、内部吸収/内部散
乱をほぼ無視できるため、反射損失以外の表面損失は両
面で、0.15%である。放置による、損失の増加が基
板だけの状態よりやや大きいのは、薄膜の表面積が基板
表面積より大な為と推測する。
【0037】有機系がやや不十分であるため、表面損失
を有するが、エキシマレ−ザリソグラフィ−用としては
使用可能である。
【0038】
【実施例9】光学素子Iの作製法で作製されたφ30×
t3mmの基板を用い、さらに光学素子Iの作製法と同
様の手順で、両面反射防止コ−トした光学素子Lを作製
した。この場合、コ−ト製膜工程で150〜300℃に
加熱している事で、本発明の加熱工程を代用している。
193.4nmの透過率を測定した。加工完了後、IP
A浸漬+IPAベ−パ乾燥直後で99.85%であり、
クリ−ンル−ム内に240時間保持後その透過率は、9
9.80%であった。この素子は、反射防止コ−トされ
ているが、設計上片面0.05%の反射損失を有する。
また、サンプル厚が薄いため、内部吸収/内部散乱をほ
ぼ無視できるため、反射損失以外の表面損失は両面で、
0.05%である。
【0039】この表面状態は極めて良好で、表面損失の
値は、非常に低い。エキシマレ−ザリソグラフィ−用と
しては使用可能である。
【0040】
【比較例1】従来の光学素子作製法で光学素子Aを作製
し、193.4nmの内部透過率を測定した。UV照射
直後は98.95%であり、クリ−ンル−ム内に240
時間保持後その透過率は、98.25%となった。表面
損失が大きいため、特にエキシマレ−ザリソグラフィ−
には不適である。例えば、ArFエキシマステッパの光
学素子は、照明レンズ系、投影レンズ系併せて100点
近いため、表面損失だけで全体の透過率は約17%にな
ってしまう。これでは、単にスル−プットだけでなく、
結像性能にも影響を及ぼす。
【0041】
【比較例2】従来の光学素子作製法に加えHF処理のみ
を行った。この光学素子Bは、UV照射直後の193.
4nmは、99.45%、クリ−ンル−ム内240時間
保持後の透過率は99.38%であった。HF処理の効
果で、透過率は良くなるが特に、SiO2微粒子仕上げ
研磨を行っていないため、金属不純物が残留していると
考えられる。HF処理時間を長くすれば、除去可能であ
れば、長時間のHF処理は、表面にキズなどを発生さ
せ、表面粗さの悪化をも招くため、得策ではない。
【0042】
【比較例3】従来の光学素子の製造法に加えSiO2
上げ研磨のみを行った。この光学素子Cは、UV照射直
後の193.4nmは、99.56%、で比較的良好で
あるが、クリ−ンル−ム内240時間保持後の透過率は
99.15%になってしまう。SiO2微粒子仕上げ研
磨の効果で、透過率は良くなるが、特に、HF処理を行
っていないため、金属不純物、有機系の不純物の除去及
び表面欠陥の低減が不十分である。
【0043】
【比較例4】従来の光学素子の製造法に加え加熱のみを
行った。この光学素子Dは、UV照射直後の193.4
nmは、99.15%と表面損失が大きく、クリ−ンル
−ム内240時間保持後の透過率は98.58%になっ
てしまう。加熱処理の効果で、やや透過率は良くなる
が、特に、HF処理を行っていないため、金属不純物、
有機系の不純物除去及び表面欠陥の低減が不十分であ
る。
【0044】
【発明の効果】本発明による光学素子作製方法により、
表面損失を低減した光リソグラフィ−用光学素子の製造
が可能となった。本発明は、特に、300nm以下の紫
外域の光源を使用する、KrF、ArFエキシマレ−ザ
−ステッパ用の照明系、及び投影レンズの性能を向上す
るために必須の技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面粗さと透過率(248.3nm)の関係
をプロットしたグラフである。
【図2】 表面粗さと透過率(193.4nm)の関係
をプロットしたグラフである。
【図3】 セリウム不純物と透過率(248.3nm)
の関係をプロットしたグラフである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】400nm以下の特定波長で用いられる紫
    外用光学素子において、使用する特定波長での内部透過
    率が99.5%以上であり、光が入射する表面及び出射
    する表面に有機系不純物が存在せず、かつ有機系ガスの
    吸着が実質的にないことを特徴とする紫外用光学素子。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の紫外用光学素子におい
    て、該光学素子が高純度合成石英ガラス材料からなるこ
    とを特徴とする紫外用光学素子。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の紫外用光学素子におい
    て、前記光が入射する表面及び出射する表面の表面粗さ
    が10Å以下であることを特徴とする紫外用光学素子。
  4. 【請求項4】400nm以下の特定波長で用いられる紫
    外用光学素子の製造方法において、素材から光学素子を
    切り出す工程と、前記切り出された光学素子の光が入射
    する表面及び出射する表面を研磨する工程と、前記2面
    を研磨した光学素子を100℃以上900℃以下の温度
    で熱処理する工程と、前記熱処理した光学素子の前記研
    磨した2面を酸処理する工程と、を有することを特徴と
    する紫外用光学素子の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の紫外用光学素子の製造方
    法において、前記酸処理がフッ酸処理であるであること
    を特徴とする紫外用光学素子の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項4に記載の紫外用光学素子の製造方
    法において、前記素材が合成石英ガラスからなり、前記
    熱処理の温度が100℃以上500℃以下であることを
    特徴とする紫外用光学素子の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項4に記載の紫外用光学素子の製造方
    法において、前記酸処理の後に、光学素子をUV処理す
    る工程をさらに有することを特徴とする紫外用光学素子
    の製造方法。
  8. 【請求項8】400nm以下の特定波長で用いられる紫
    外用光学素子の製造方法において、素材から光学素子を
    切り出す工程と、前記切り出された光学素子の光が入射
    する表面及び出射する表面を研磨する工程と、前記光学
    素子の研磨した2面を酸処理する工程と、前記酸処理し
    た光学素子を100℃以上900℃以下の温度で熱処理
    する工程と、を有することを特徴とする紫外用光学素子
    の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の紫外用光学素子の製造方
    法において、前記酸処理がフッ酸処理であることを特徴
    とする紫外用光学素子の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項8に記載の紫外用光学素子の製造
    方法において、前記素材が合成石英ガラスからなり、前
    記熱処理の温度が100℃以上500℃以下であること
    を特徴とする紫外用光学素子の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項8に記載の紫外用光学素子の製造
    方法において、前記熱処理の後に、光学素子をUV処理
    する工程をさらに有することを特徴とする紫外用光学素
    子の製造方法。
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