JPH10157980A - クレーン用伸縮ブーム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた荷重応用および湾曲部分の安定特性
と、長方形トラス構造の高い剛性とを合わせ持ち、特に
軽量な伸縮ブームを提供する 【解決手段】伸縮ブーム（２２）は基部（８）、基部
（８）に入れ子式にはめ込まれる少なくとも１つの伸縮
部分（１）を備えている。シフト構造（２８）は各伸縮
部分（１）の延伸、引き込みを行う。基部（８）と各伸
縮部分（１）は上部半箱型部分（２）と、互いに隣接す
るシェルセグメント（４、５、６、７）を備えた下部
（３）を有する、少なくとも１つの基部（８）および伸
縮部分（１）とを設けている。各シェルセグメント
（４、５、６、７）は外側に向かって湾曲した形状有し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する分野】本発明は特に、回転的且つ回転可
能に設置可能であり、数個の伸縮自在な部品が引き込み
可能また伸張可能に配置された基部を備えた、クレーン
に取り付け可能な伸縮ブームに関する。

【０００２】

【従来の技術】このような伸縮ブームは、その前端に荷
を積んだ状態で引き上げを行うと、ブームが２本の主軸
において曲げ荷重を受ける状態となり、すなわち、ブー
ムの上側に引張応力が存在する一方で、下側には圧縮応
力が生じる。また、横力および偏心積載のために水平方
向の屈折とねじりが生じる。このような伸縮ブーム設計
者は、主に、このように荷重された伸縮部分の断面を最
適に形成することに関心がある。このような断面は、最
大応力がどこにおいても同一で、許容応力に近い場合、
製造が最も簡単である。この要求は例えば、薄い壁で形
成された環状チューブまたは四角形トラス構造(trussed
structure）の場合において、一定の力が異なる方向に
働く際に満たされる。断面が、例えば水平方向よりも垂
直方向により多く荷重されると、最適な円形の断面は楕
円形となり、最適な角を有する断面は長方形トラス構造
となり、どちらの断面も幅よりも高さが大きくなってし
まう。ク特にレーンに採用される伸縮ブームではローデ
ィング型式が知られているが、これは下部の安定性が悪
いため、上部と異なる下部を形成するのに適している。

【０００３】上述したようなタイプの伸縮ブームは、例
えば欧州特許明細書第0 499 208号によって公知であ
る。この伸縮ブームの断面は半箱型形状を有する上部
と、貝がらの片方のように完全に円形で、上部の自由脚
部に溶接されている下部より成る。この完全に円形の下
部は荷重の作用と安定性に関して優れた特性を有してい
るが、長方形トラス構造によって与えられる剛性を達成
できず、バックリング(buckling)を妨げるため、また横
断面をやや厚めに形成するための溶接補剛材等の部材を
付加して安定性を促進しなければならない場合が多くあ
り、この付加によって伸縮ブーム全体の重量が増加して
いた。

【０００４】クレーン用のブーム部は欧州特許出願公開
明細書第0 668 233号によって知られており、下部に設
けられた２つの上脚部は直線の帯状に形成されている。
この上脚部は、上部に設けられた脚部に溶接されてい
る。下部の余剰部分は湾曲したシェル型である。これと
は別の設計として、下部の他の部分に直線部を採用して
いるものもある。この直線の帯状部分は、その端部にお
いて断面にキンクが生じる。このキンクのために、この
ような部分のローディング特性がここでも長方形トラス
構造のローディング特性に近付き、剛性が増加する。し
かしながら、このような部分の設計における欠点は、特
に採用した直線状の帯のために、湾曲部分の特に好まし
い荷重応用と安定特性が乏しくなることである。また一
方では、補剛材あるいは材料ゲージの付加が必要である
が、これらは全てブームの全体重量を増加させてしまい
不都合である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
した従来技術の欠点を克服した伸縮ブームを提供するこ
とである。特に、優れた荷重応用および湾曲部分の安定
特性と、長方形トレス構造の高い剛性とを合わせ持ち、
特に軽量な伸縮ブームを製造しようとするものである。
この目的は、本発明によって、基部と伸縮部分の少なく
とも１つが、外側に向かって湾曲した形状の、互いに隣
接する複数のシェルセグメントから成る下部を備えるこ
とにより達成される。下部のこの形状によって、優れた
荷重応用と湾曲したシェルの安定特性がトレス構造の高
い剛性と組み合わされる。その結果生じるシェルセグメ
ントの端部のねじれ（kinks）のために、バックリング
が改善される。各シェルセグメントの、外側に向かって
湾曲した形状が特に荷重応用特性を向上させる。湾曲し
たシェルセグメントの特性効果は、この形状のために横
断面、特にキンク部分の材料が多くなるので、重心を通
過する軸線に対して間隔が大きくなり、次にその部分の
剛性と安定性が増加することである。従って、本発明に
よる伸縮ブームのバックリング力は、公知の部分の横断
面に関して大きくなる。

【０００６】本発明による伸縮ブームの上部と下部は付
加的な脚部により互いに溶接されていることが好まし
い。本発明による伸縮ブームの好ましい実施例によれ
ば、湾曲したシェルセグメントはアーチ形に形成されて
いる。このようなアーチ形の形状は優れた荷重応用特性
を有している。例えばシールド形といった、異なる形状
の円形アーチの湾曲を有するシェルセグメントを作るに
は、円形アーチシェルセグメントの半径を全て違ったも
のにする。円形アーチシェルセグメントにより形成され
た各対称部分は、縦中心線を通る垂直平面に対して対称
的に配置された同じ半径を有している。

【０００７】本発明による伸縮時部の下部は、少なくと
も２つの湾曲したシェルセグメントによって形成されて
いる。使用するシェルセグメントの数は、一方で所望の
ブームの形状に、他方で予想される荷重に依存する。３
つ、４つまたはそれ以上のシェルセグメントの使用が好
ましく、ここでは例として４つのシェルセグメントを使
用してシールド形を形成している。本発明による伸縮ブ
ームは伸縮部分用のシフト手段を設けており、このシフ
ト手段は用途によって水圧ピストン／シリンダ構造また
は移動ケーブルユニットであってよい。本発明の適用性
のさらなる範囲は後述の詳細な説明によって明瞭にな
る。好ましい実施例を説明しているのに対し、本発明の
精神と範囲内での様々な変形および改良は当業者にとっ
てはこの詳細な説明から明瞭であるため、詳細な説明と
特殊な例は図面のみで表している。

【０００８】

【発明の実施の形態】次に本発明を、図面を参照しなが
ら実施例においてさらに詳細に説明する。図１は全体を
符号１で示した伸縮部分の横断面図である。伸縮部分１
は半箱型部２、下部３を備え、この２つを真直に下に延
びる脚部がつないでいる。図１では特に、本発明による
形状の下部３を描写している。下部３は、図に示すよう
に、縦軸にかけての垂直平面に対して対称的に配置され
た４つの湾曲したシェルセグメント４、５、６、７から
成る。各部分４と７、また５と６は対称的な同じ形であ
る。この実施の形態において、断面部分４−７は円形ア
ーチ型に湾曲しており、また、横断面部分４と７は、図
に示した、より小さな半径Ｒ１を有し、断面部分５と６
はこれよりも大きな半径Ｒ２を有する。それぞれの場合
において、シェルセグメント４、５、６、７の接合端で
は、仮想接線は円形アーチを横切って互いに入射して鈍
角を形成し、セグメント部分においてキンク端部（kink
edges）を形成する。

【０００９】前述のキンク端部により下部３が設けら
れ、クレーンを操作することで、剛性に関するトラス形
断面構造によってのみ達成される復元特性により、この
下部３が圧縮され、またねじれ荷重（torsional loadin
g）が加わる。下部３において直線状のシェルセグメン
トは存在しない。湾曲したセグメント４、５、６、７は
各々、ブームのアーチ部分の利点を有しており、このブ
ームは、前述したように、力の作用、バックリングへの
抵抗、および横断面の輪郭において、やはり良好な安定
効果を備えたこの部分の重心の軸線から外側に離れるシ
フトに関連する。上部２と下部３の、セグメント４、７
の外縁との接合端において、この２つの部分は、特に溶
接によって互いに結合している。

【００１０】本実施例により形成された伸縮ブームは、
都合の良い剛性と安定性といった特性のため、また従来
のものと比較して圧縮荷重範囲においてバックリングの
傾向が少ないために、図１からわかるようにより薄い材
料を使用している。実質的に本発明による伸縮ブーム
は、バックリングを妨げるために溶接ガセット、補剛材
を使用するといった、安定性を促進する手段を必要とし
ない。これは軽量ブームの製造において特に有利であ
る。

【００１１】図４は、引き込まれた状態にある本発明に
よる伸縮ブーム２２を備えたクレーン２０を示してい
る。伸縮ブーム２２の一端はターンテーブル２４に取り
付けられ、ターンテーブルはクレーン２０の上部構造に
取り付けられている。リフトシリンダ２６は伸縮ブーム
２２を上下に動かす。伸縮ブーム２２は基部または部分
８を備え、５つの伸縮部分１が相互に伸縮する。５つの
伸縮部分１は、シフト構造２８によって延伸、引き込み
を行う。詳細には、シフト構造２８は、水圧ピストン／
シリンダユニット／移動ケーブルユニットがよく知られ
ている。

【００１２】図２は、図４に示した伸縮ブーム２２を線
ＩＩ−ＩＩに沿って切った横断面図である。この配置に
おいては、基部８と、５つの伸縮部分１の両方が図１に
示した実施例の配置と関連する。図２で特に明示してい
るのは伸縮部分１の接近配置であり、伸縮部分１が伸縮
するためにこのタイプのブームの構造がさらにコンパク
トになる。前述した、バックリングを妨げるための溶接
補剛材といった補剛材手段の使用を削除でき、薄い壁を
使用することが可能であるために安定した軽量の伸縮ブ
ームが得られるという理由により、車両上に回転可能に
取り付けることができる伸縮部分１と基部８は、特に各
部分との間の隙間が少ししかなくても伸縮可能である。
図２には、図１で例証した本発明による横断面図を用い
て基部８と５つの伸縮部分１の全てを示しているが、本
発明はこの配置に限定されるものではない。例えば、基
部８のみを本発明による断面図で示したり、または５つ
の伸縮部分１の１つのみを、やはり本発明の横断面図で
示すこともできる。すなわち、基部８と伸縮部分１の内
の少なくとも１つが、本発明に関して横断面図で示され
ていれば良いのである。

【００１３】最後に図３は、下部を形成する湾曲したシ
ェルセグメント１０、１１、１２を備えた本発明による
伸縮部分９の横断面図と、部分形状を組み合わせたもの
である。半楕円形のアーチ型下部だけを破線１４で示し
た極端な例である。既に述べたように、この楕円形は力
の応用に関する特性を得るには最適であるが、剛性に関
してはトラス形の固有の欠点を有している。図３にはさ
らに、長方形のトラス構造が波点線１３で示されてい
る。既に述べたように、この形状は剛性には優れている
が、力の作用に関しては不利である。

【００１４】図３中の参照符号１５は、下部外端部が傾
斜している部分の形状を示している。この形状は「トラ
ス構造」と楕円システム間の妥協を示すが、ここでもや
はり、直線状のセグメントのために力の作用が問題にな
る。図３に参照符号９で示した本発明によるブーム部分
は、アーチ型の確実な力（positive force）の応用特性
と、トラス構造の剛性を組み合わせたものである。この
場合の実施の形態は、円形アーチ形の、３つの湾曲した
シェルセグメント１０、１１、１２を備え、この３つの
円形アーチは全て半径Ｒ１を有する。図１に示した実施
の形態と比較して、この配置の部分の最下点において実
質的に平面な輪郭が具現化する。ここでも、本発明によ
るブームを従来のものと比べて特徴付ける力応用、剛
性、バックリングへの抵抗、安定性に関し、前述のよう
な利点が存在する。

【００１５】このように本発明を説明してきたが、本発
明に様々な変形を加えることができることは明瞭であ
る。このような変形は本発明の精神と範囲の逸脱とはみ
なされず、当業者にとって明白なこういった変形は、全
て特許請求の範囲に含まれる。

【００１６】

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による伸縮ブームの伸縮部分の横断面
図である。

【図２】 伸縮状態にある、基部および５つの伸縮部分
を備えた本発明による伸縮ブームの横断面図である。

【図３】 様々な伸縮部分の断面を、下部に３つの湾曲
したシェルセグメントを備えた本発明による部分と組み
合わせた図である。

【図４】 図２に横断面で示した伸縮ブームを設けたク
レーンの側面図である。

【符号の説明】

１、９ 伸縮部分 ２ 上部半箱型部分 ３ 下部 ４、５、６、７、１０、１１、１２ シェルセグメント Ｒ１、Ｒ２ 半径 ８ 基部 １３ 波点線 １４ 破線 １５ 下部外端部の傾斜した部分の形状 ２０ クレーン ２１ 上部構造 ２２ 伸縮ブーム ２４ ターンテーブル ２６ シフトシリンダ ２８ シフト構造

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フランツ パスケ ドイツ国 26452 サンデ，アイヒエンヴ エク 25 (72)発明者 ハンス ノイマン ドイツ国 26434 ヴアンガーラント／ホ ーシール，フリーゼンシユトラーセ 40 (72)発明者 ヤン ヒンリツヒ ドイツ国 26419 シヨルテンス，ハウプ トシユトラーセ ３ (72)発明者 ゲルト エルドマン ドイツ国 26125 オルデンブルク，ノイ ジユデンダー ヴエク 13

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基部（８）と、 前記基部（８）内に入れ子式にはまり込んだ少なくとも
   １つの伸縮部分（１）と、 各伸縮部分（１）を延伸し、引き込むシフト構造（２
   ８）とを有し、 前記基部（８）と各伸縮部分（１）が上部半箱型部分
   （２）を有する伸縮ブーム（２２）であって、 少なくとも１つの前記基部（８）と前記伸縮部分（１）
   が、互いに隣接する少なくとも２つのシェルセグメント
   （４、５、６、７）を備えた下部（３）を有し、各前記
   シェルセグメントが（４、５、６、７）が外側に向かっ
   て湾曲した形状を有することを特徴とする伸縮ブーム
   （２２）。
2. 【請求項２】 前記基部（８）内に入れ子式にはまり込
   んだ複数の伸縮部分（１）を有し、 少なくとも１つの前記基部（８）と前記伸縮部分（１）
   が前記下部（３）を有することを特徴とする請求項１に
   記載の伸縮ブーム（２２）。
3. 【請求項３】 前記基部（８）のみが前記下部（３）を
   有することを特徴とする請求項１に記載の伸縮ブーム
   （２２）。
4. 【請求項４】 前記伸縮部分（１）のみが前記下部
   （３）を有することを特徴とする請求項１に記載の伸縮
   ブーム（２２）。
5. 【請求項５】 前記伸縮部分（１）の全てではないが２
   つ以上が前記下部（３）を有することを特徴とする請求
   項２に記載の伸縮ブーム（２２）。
6. 【請求項６】 前記伸縮部分（１）の全てが前記下部
   （３）を有することを特徴とする請求項２に記載の伸縮
   ブーム（２２）。
7. 【請求項７】 前記下部（３）が前記上部（２）の対応
   する１つに溶接されていることを特徴とする請求項１に
   記載の伸縮ブーム（２２）。
8. 【請求項８】 各シェルセグメント（４、５、６、７）
   が円形アーチ型であることを特徴とする請求項１に記載
   の伸縮ブーム（２２）。
9. 【請求項９】 少なくとも２つの前記シェルセグメント
   （４、５、６、７）が、半径の異なる円形アーチ型であ
   ることを特徴とする請求項８に記載の伸縮ブーム（２
   ２）。
10. 【請求項１０】 前記下部（３）が３つのシェルセグメ
    ント（１０、１１、１２）を有することを特徴とする請
    求項１に記載の伸縮ブーム（２２）。
11. 【請求項１１】 前記下部（３）が４つのシェルセグメ
    ント（４、５、６、７）を有することを特徴とする請求
    項１に記載の伸縮ブーム（２２）。
12. 【請求項１２】 前記シフティング構造（２８）が水圧
    ピストン／シリンダユニットを含むことを特徴とする請
    求項１に記載の伸縮ブーム（２２）。
13. 【請求項１３】 前記シフティング構造（２８）が移動
    ケーブルユニットを含むことを特徴とする請求項１に記
    載の伸縮ブーム（２２）。
14. 【請求項１４】 上部構造（２１）と、 前記上部構造（２１）に回転可能に取り付けられたター
    ンテーブル（２４）と、 一端が前記ターンテーブル（２４）に旋回するように取
    り付けられた伸縮ブーム（２２）と、 前記上部構造に関連して、前記伸縮ブーム（２２）を上
    下に動かすためのリフトシリンダとを有したクレーン
    （２０）であり、 前記伸縮ブーム（２２）が、 基部（８）と、 前記基部（８）内に入れ子式にはめ込まれる伸縮部分
    （１）の少なくとも１つと、 各伸縮部分（１）を伸張し、引き込むシフト構造（２
    ８）とを有し、 前記基部（８）と各伸縮部分（１）が上部半箱型部分
    （２）を有するクレーン（２０）であって、 少なくとも１つの前記基部（８）と前記伸縮部分（１）
    が、少なくとも２つの互いに隣接するシェルセグメント
    （４、５、６、７）を備えた下部（３）を有し、各シェ
    ルセグメント（４、５、６、７）が外側に向かって湾曲
    する形状を有することを特徴とするクレーン（２０）。