JPH101560A - 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体 - Google Patents

発泡性ポリウレタン組成物および発泡体

Info

Publication number
JPH101560A
JPH101560A JP8177181A JP17718196A JPH101560A JP H101560 A JPH101560 A JP H101560A JP 8177181 A JP8177181 A JP 8177181A JP 17718196 A JP17718196 A JP 17718196A JP H101560 A JPH101560 A JP H101560A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foam
layer
laminate
polyurethane
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8177181A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3532354B2 (ja
Inventor
Shunji Kaneda
俊二 金田
Koji Hirai
広治 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP17718196A priority Critical patent/JP3532354B2/ja
Publication of JPH101560A publication Critical patent/JPH101560A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3532354B2 publication Critical patent/JP3532354B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きさの揃った微細な気泡が発泡体内部に斑
なく均一に分布しており、表面に気泡の破れや気泡径の
斑などに起因する荒れや凹凸がなく外観的に優れ、柔軟
性、機械的強度、耐摩耗性等にも優れる熱可塑性ポリウ
レタン系発泡体、該発泡体層を有する積層体(特に皮革
様積層体)を、環境上や安全性等で問題になっている有
機溶剤やフロンガス発泡剤等を使用することなく、安全
に生産性良く提供すること。 【解決手段】 熱可塑性ポリウレタン100重量部に対
して数平均分子量200,000以上の(メタ)アクリル
酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で
含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタ
ン組成物を用いて発泡体又は発泡体層含有積層体を製造
するものである本発明によって上記の課題が解決され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡性ポリウレタ
ン組成物、該発泡性ポリウレタン組成物から得られる発
泡体およびその製造方法、並びに前記の発泡体の層を有
する積層体およびその製造方法に関する。本発明による
場合は、大きさの揃った微細な気泡が発泡体内部に斑な
く均一に分布しており、表面状態が良好で外観に優れ、
しかも柔軟性、力学的特性などにも優れる高品質の熱可
塑性ポリウレタン発泡体を、環境上や安全性などの点で
大きな問題になっている有機溶剤やフロンガス発泡剤な
どを使用することなく、円滑に且つ高い生産性で提供す
ることができる。さらに、本発明による場合は、前記し
た優れた特性を有する発泡体層を有し且つ層間の剥離強
度や耐摩耗性などの点においても優れる、高級感のあ
る、熱可塑性ポリウレタン発泡体層含有積層体を提供す
ることができる。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン発泡体またはポリウレタン
多孔質体の製法としては、従来、 (1) ポリウレタン原料に水を添加し、原料中のイソ
シアネート成分と水との反応により炭酸ガスを発生させ
て、ポリウレタンの形成および発泡を行ってポリウレタ
ン発泡体を製造する方法; (2) ポリウレタン用原料にフロンガスのようなフッ
素系膨張剤を添加して、ポリウレタンの形成および発泡
を行ってポリウレタン発泡体を製造する方法; (3) 熱可塑性ポリウレタンに熱分解型発泡剤を添加
し、ポリウレタンを加熱溶融すると共に発泡剤を分解さ
せてガスを発生させて発泡体を製造する方法; (4) ポリウレタンの有機溶剤溶液を支持体上に塗布
し、ポリウレタンの非溶剤中で湿式凝固して、ポリウレ
タン多孔質体を形成する方法; (5) ポリウレタンの有機溶剤溶液を支持体上に塗布
し、溶剤を乾燥除去(乾式凝固)してポリウレタン多孔
質体を形成する方法; などが一般に採用されている。
【0003】しかしながら、上記(1)の従来法による
場合は、発泡度が大きくなり、その結果発泡体の気泡膜
が薄くなるため、小さな圧縮応力で気泡膜の崩壊による
変形が生じ易いという欠点がある。そして、気泡膜の崩
壊を防止しようとして水の添加量を少なくして発泡度を
小さくすると、気泡の大きさが不均一になり、品質の良
好な発泡体が得られにくい。また、上記(2)の従来法
による場合は、地球環境の破壊などの点から近年その使
用が規制されているフロンガスなどのフッ素系膨張剤を
使用していることにより、近年、規制が強くなってい
る。
【0004】また、上記(3)の従来法による場合は、
熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度の温度依存性が大き
く、発泡剤を分解させるのに適した温度ではポリウレタ
ンの溶融粘度が著しく低くなって、発泡剤の分解によっ
て発生したガスを充分に保持できず、気泡サイズの巨大
化や不均一化、気泡膜の破裂などが生じ易い。その結
果、得られるポリウレタン発泡体は、その表面に凹凸が
多く発生して粗悪なものになり易く、発泡体の内部構造
も粗大で不揃いな気泡が不均一に分布した状態となり、
力学的特性にも劣ったものとなる。しかも、熱分解型発
泡剤を用いるこの(3)の従来法によって溶融押出発泡
法を採用して発泡フイルムや発泡シートなどの薄物を製
造する場合は、特に、押出機のダイ付近でフイルムやシ
ートの破れが発生することが多く、押出発泡成形を円滑
に行うことができない。一方、この(3)の従来法にお
いて、熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度の低下を防止し
て発泡剤の分解ガスを保持し易くすることを目的として
溶融成形温度を低く設定すると、気泡の巨大化や破裂は
抑制されるものの、発泡体の密度が高くなって目的とす
る発泡倍率のものが得られなくなる。すなわち、この
(3)の従来法による場合は、発泡に適した溶融粘度を
得るための溶融温度範囲が極めて狭いため、溶融発泡時
の温度制御が極めて難しく、しかも均一で微細な気泡を
発泡体内部に形成させることが困難であり、厚さが0.
5mm以下の薄い発泡体フイルムの製造が特に難しいと
いう問題があった。
【0005】また、上記(4)の湿式凝固法または上記
(5)の乾式凝固法などの従来法による場合は、多孔質
体層の厚さが厚いもの(例えば1mm以上のもの)の場
合に、凝固に長い時間を要し、そのために生産性が低
く、工業的規模で製造するにはコスト高となる。また、
この(4)の従来法、および上記(5)の従来法による
場合は、いずれもポリウレタンの有機溶剤溶液を用いる
ために、有機溶剤の使用に伴う作業環境の悪化を生じ、
安全面や衛生面で問題があり、しかも使用した有機溶剤
の回収や処理のための工程や施設などが必要であり、製
造工程が複雑になり、且つコスト高になる。
【0006】ところで、熱可塑性ポリウレタンは、その
柔軟性、弾性、耐摩耗性などの特性を活かして種々の分
野で汎用されており、ポリウレタン層を特定の基材上に
積層してなる積層体が多く用いられている。ポリウレタ
ン層を有する積層体のうちでも、繊維質基材上に熱可塑
性ポリウレタン層を積層してなる積層体は、天然皮革様
の外観、触感、風合などを有していることから、合成皮
革または人造皮革として、履物、衣料分野、袋物や鞄な
どの用途で汎用されている。
【0007】皮革様のポリウレタン積層体の製造方法と
しては、従来、 (イ) 離型紙上にポリウレタンの有機溶剤溶液を塗布
し、乾燥して、ポリウレタンフイルムを形成した後、そ
のポリウレタンフイルムを編織布または不織布からなる
繊維質基材の表面に接着剤で貼り合わせてから離型紙を
剥離する方法(いわゆる乾式法); (ロ) 編織布または不織布からなる繊維質基材の表面
にポリウレタンの有機溶剤溶液を塗布した後、湿式凝固
法または乾式凝固法により多孔質のポリウレタン層を形
成し、その上に着色剤を含む重合体溶液を塗布・乾燥し
て着色層を形成した後、エンボスローラで凹凸模様を形
成する方法;などが広く知られている。
【0008】さらに、上記(イ)および(ロ)に挙げた
従来法以外にも、皮革様の積層体の製造方法として、例
えば、 (ハ) 基材上に設けた合成樹脂層の表面に、合成樹脂
を膜状に溶融押出してスキン層を積層すると共に、その
スキン層表面をエンボス加工して天然皮革様のスキン層
とする方法(特開昭53−62803号公報); (ニ) 基材上に形成した金属蒸着層上にTダイから押
出した熱可塑性ポリウレタン溶融体を積層して皮革様シ
ートを製造する方法(特開昭62−282078号公
報); (ホ) 合成繊維布帛の表面にシランカップリング剤を
予め付与しておき、その上に熱可塑性樹脂を溶融押出し
て圧着し、布帛と熱可塑性樹脂層との接着強度を向上さ
せた積層体を製造する方法(特開平2−307986号
公報); などが提案されている。
【0009】しかしながら、上記(イ)および(ロ)の
従来法による場合は、上記した(4)および(5)の従
来の多孔質体の製造法による場合と同様に、ポリウレタ
ンの有機溶剤溶液を用いるために、有機溶剤の使用に伴
う作業環境の悪化を伴い、安全性および衛生性などの点
で問題があり、その上使用した有機溶剤の回収や処理の
ための工程や設備が必要であるため、製造工程が複雑に
なり、しかもコスト高になる。その上、上記(ロ)の従
来法による場合は、ポリウレタン表面層の凝固に長い時
間を要するため、製造速度を高めることができず、結果
的に製造コストが高くならざるを得ないという点でも問
題がある。更に、上記(ハ)〜(ホ)の従来法による場
合は、得られた積層体製品を引っ張ったり、折り曲げた
りした際に、表面に低品位のシワなどの凹凸が出現した
り、基材と表面層との剥離が生じ易いなどの欠点があ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、大き
さの揃った微細な気泡が発泡体内部に斑なく均一に分布
しており、表面が平滑で、荒れや粗悪な凹凸がなく外観
に優れ、しかも柔軟性、力学的特性などにも優れる、高
品質の熱可塑性ポリウレタン発泡体を、環境上や安全面
などの点で大きな問題になっている有機溶剤やフロンガ
ス発泡剤などを使用せずに、円滑に且つ生産性よく製造
することのできる、発泡性ポリウレタン組成物を提供す
ることである。そして、本発明の目的は、上記した高品
質の熱可塑性ポリウレタン発泡体およびその製造方法を
提供することである。また、本発明の目的は、発泡体の
厚さの如何に拘わらず、上記した優れた特性を有する発
泡体を円滑に製造することのできる、発泡性ポリウレタ
ン組成物および発泡体の製造方法を提供することであ
る。さらに、本発明の目的は、上記した優れた特性を有
する熱可塑性ポリウレタン発泡体の層を有し、しかも基
材や表面層とポリウレタン発泡体層との間の層間剥離が
なく、且つ良好な耐摩耗性を有していて耐久性に優れ、
その上高級感に富む、熱可塑性ポリウレタン発泡体層と
基材層を有する積層体、およびその製造方法を提供する
ことである。そして、本発明の目的は、繊維質基材、熱
可塑性ポリウレタン発泡体層および熱可塑性エラストマ
ー無孔質層を有する、天然皮革に極めて近似した良好な
特性を有する多層積層体およびその製造法を提供するこ
とである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは研究を行い、熱分解型発泡剤を用いる上記
した(3)の従来法が、有機溶剤やフロンガスなどの環
境悪化成分を使用しないですみ、生産性が高いなどの点
で優れていることに着目して、この(3)の従来法の上
記した種々の問題点を解決すべく、素材面、成形面など
の面から更に種々検討を重ねた。その結果、熱可塑性ポ
リウレタンに熱分解型発泡剤を添加し加熱溶融下に発泡
剤を分解させて発泡体を製造するに当たって、熱可塑性
ポリウレタンを単独で用いずに、熱可塑性ポリウレタン
に数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル系重合体を特定の割合で配合した
ポリウレタン組成物を用いると、その溶融粘度が発泡に
極めて適したものとなり、発泡剤の熱分解によって発生
したガスが溶融物中に充分に且つ均一に斑なく保持され
て、微細で且つ大きさの揃った気泡が発泡体全体に均一
に分布しており、発泡体内部および発泡体表面において
気泡膜の破裂や気泡のサイズ斑による凹凸の発生などの
ない、高品質のポリウレタン発泡体が得られることを見
出した。そして、それにより得られるポリウレタン発泡
体は、そのような良好な発泡構造によって、力学的特性
や外観にも優れており、さらに柔軟性などの点でも極め
て優れており、それらの諸特性を活かして広範な分野に
有効に使用できることを見出した。
【0012】さらに、本発明者らは、熱可塑性ポリウレ
タンおよび数平均分子量が200,000以上である
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を特定の
割合で含有し、且つ熱分解型発泡剤を含有する上記した
発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶融発泡を行うと、
用途などに応じて、厚い発泡体から薄い発泡体まで適宜
円滑に製造できること、しかもその溶融発泡を溶融押出
発泡法によって行うと、押出機のダイ付近での押出物の
破損などを生ずることなく、例えば発泡フイルムや発泡
シートなどの発泡成形品を、良好な工程性で生産性よく
製造できることを見出した。
【0013】その上、本発明者らは、熱可塑性ポリウレ
タンに数平均分子量が200,000以上の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル系重合体を特定の割合で配合
し、且つ熱分解型発泡剤を含有する上記したポリウレタ
ン組成物の加熱溶融発泡により得られる発泡体の層と基
材とからなる積層体を製造したところ、それにより得ら
れる積層体における熱可塑性ポリウレタン発泡体層は上
記した優れた諸特性を備え、しかも該積層体では、基材
層とポリウレタン発泡体層との間の接合が強固で剥離が
生じず、しかも耐摩耗性、柔軟性、触感、風合などの点
でも優れていることを見出した。そして、前記の積層体
において、特に基材として繊維質基材を使用し、該繊維
質基材上にポリウレタン発泡体層を設け、ポリウレタン
発泡体層上に更に熱可塑性エラストマーよりなる無孔質
層を設けた積層体は、耐摩耗性、柔軟性、触感、風合な
どの特性に一層優れており、天然皮革に極めて近似した
良好な性質を有しており、合成皮革または人造皮革など
として種々の用途に有効に使用し得ることを見出した。
【0014】さらに、本発明者らは、熱可塑性ポリウレ
タンに数平均分子量が200,000以上の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル系重合体を特定の割合で配合
し且つ熱分解型発泡剤を含有する上記した発泡性ポリウ
レタン組成物を用いて溶融押出し法を行うことによっ
て、上記した積層体を、良好な工程性で、生産性よく製
造できることを見出し、それらの種々の知見に基づいて
本発明を完成した。
【0015】すなわち、本発明は、熱可塑性ポリウレタ
ン100重量部に対して、数平均分子量が200,00
0以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体
を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を
含有することを特徴とする発泡性ポリウレタン組成物で
ある。
【0016】そして、本発明は、熱可塑性ポリウレタン
100重量部に対して、数平均分子量が200,000
以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を
1〜30重量部の割合で含有する熱可塑性ポリウレタン
組成物よりなる発泡体である。
【0017】また、本発明は、熱可塑性ポリウレタン1
00重量部に対して、数平均分子量が200,000以
上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1
〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有
する発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶融発泡成形を
行うことを特徴とする発泡体の製造方法である。
【0018】そして、本発明は、熱可塑性ポリウレタン
100重量部に対して数平均分子量が200,000以
上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1
〜30重量部の割合で含有する熱可塑性ポリウレタン組
成物よりなる発泡体層および基材層を有することを特徴
とする積層体である。
【0019】更に、本発明は、下記の(A)〜(C); (A)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平
均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有
し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組
成物を用いて溶融発泡成形を行うと同時に基材と積層す
る方法; (B)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平
均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有
し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組
成物を用いて溶融発泡成形を行った後に溶融状態で基材
と積層する方法;および、 (C)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平
均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有
し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組
成物を用いて未発泡状態で溶融成形を行い溶融状態で基
材との積層体を製造した後に発泡させる方法; のいずれかの方法によって、熱可塑性ポリウレタン組成
物よりなる発泡体層と基材層を有する積層体を製造する
方法である。
【0020】そして、本発明は、繊維質基材上に、熱可
塑性ポリウレタン100重量部に対して数平均分子量が
200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル系重合体を1〜30重量部の割合で含有する熱可塑
性ポリウレタン組成物よりなる発泡体層を有し、更に前
記発泡体層上に熱可塑性エラストマーよりなる無孔質層
を有していることを特徴とする積層体である。
【0021】さらに、本発明は、(1) 下記の(a)
〜(c); (a)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平
均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有
し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組
成物を用いて溶融押出発泡を行うと同時にポリウレタン
発泡体を繊維質基材と積層する方法; (b)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平
均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有
し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組
成物を用いて溶融押出発泡した後に溶融状態で繊維質基
材と積層する方法;並びに、 (c)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平
均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有
し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組
成物を用いて未発泡状態で溶融押出を行い溶融状態で繊
維質基材と積層した後に発泡させる方法;のいずれかの
方法によってポリウレタン発泡体層と繊維質基材とから
なる積層体を製造する工程;および、 (2) 上記(1)の積層体の製造前、製造と同時、ま
たは製造後に、発泡性ポリウレタン組成物層またはポリ
ウレタン発泡体層上に、熱可塑性エラストマーの溶融押
出物を膜状に積層させる工程;を有することを特徴とす
る、繊維質基材、熱可塑性ポリウレタン組成物よりなる
発泡体層および熱可塑性エラストマーよりなる無孔質層
を有する積層体の製造方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の発泡体、または本発明の積層体における
発泡体層では、熱可塑性ポリウレタンとして、加熱溶融
し得る熱可塑性ポリウレタンであればいずれも使用可能
である。そのうちでも、本発明では、熱可塑性ポリウレ
タンとして、数平均分子量800〜8000の高分子ジ
オール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応さ
せて得られる熱可塑性ポリウレタンが好ましく用いられ
る。
【0023】特に、熱可塑性ポリウレタンの形成に用い
る高分子ジオールの数平均分子量が上記した800〜8
000、好ましくは900〜6000であると、熱可塑
性ポリウレタンの機械的強度や成形性が良好になり、ひ
いては本発明の発泡体、およびその発泡体層を有する積
層体の機械的強度が良好になり、且つ発泡体や積層体を
製造する際の成形性が良好になる。なお、本明細書でい
う高分子ジオールの数平均分子量は、いずれもJIS
K 1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算
出した数平均分子量を意味する。
【0024】本発明で好ましく用いられる熱可塑性ポリ
ウレタンの製造に形成に用いられる上記した高分子ジオ
ールとしては、例えばポリエステルジオール、ポリエー
テルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステ
ルポリカーボネートジオール、ポリエステルポリエーテ
ルジオールなどを挙げることができ、これらの1種また
は2種以上を用いることができる。そのうちでも、高分
子ジオールとしてポリエステルジオールおよび/または
ポリエーテルジオールを用いるのが好ましい。
【0025】熱可塑性ポリウレタンの形成に当たって好
ましく用いられる上記したポリエステルジオールの製法
は特に制限されず、例えば、常法にしたがって、ジカル
ボン酸、そのエステル、無水物などのエステル形成性誘
導体からなるジカルボン酸成分と低分子ジオール成分と
を直接エステル化反応またはエステル交換反応させるこ
とにより製造することができる。
【0026】ポリエステルジオールの形成に用いられる
ジカルボン酸成分としては、例えば、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ドデカンジカルボン酸、2−メチルコハク酸、
2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メ
チルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−
ジメチルデカン二酸、3.7−ジメチルデカン二酸など
の炭素数5〜12の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸などの芳香族ジカル
ボン酸;またはそれらのエステル形成性誘導体などを挙
げることができ、これらのうちの1種または2種以上を
用いることができる。そのうちでも、ジカルボン酸成分
としては、炭素数5〜12の脂肪族ジカルボン酸または
そのエステル形成性誘導体が、それから得られる発泡体
の柔軟性、耐摩耗性および力学的物性が優れる点から好
ましく用いられ、特にアジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸および/またはそれらのエステル形成性誘導体が
より好ましく用いられる。
【0027】また、ポリエステルジオールの形成に用い
られる低分子ジオール成分としては、例えば、エチレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デ
カンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジ
メタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオ
ールなどを挙げることができ、これらのうちの1種また
は2種以上を用いることができる。そのうちでも、3−
メチル−1,5−ペンタンジオールの含有量割合が50
モル%以上である低分子ジオール成分が、それから得ら
れる発泡体の柔軟性および反発弾性が良好な点から好ま
しく用いられる。
【0028】また、熱可塑性ポリウレタンの形成に用い
得る上記したポリエーテルジオールとしては、例えば、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることがで
き、これらのうちの1種または2種以上を用いることが
できる。そのうちでも、ポリテトラメチレングリコール
がそれから得られる発泡体の柔軟性、耐加水分解性が優
れる点から好ましく用いられる。
【0029】さらに、熱可塑性ポリウレタンの形成に用
い得る上記したポリカーボネートジオールとしては、例
えば、低分子ジオール成分と、ジアルキルカーボネー
ト、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート
などのカーボネート化合物との反応により得られるポリ
カーボネートジオールを挙げることができる。その際の
低分子ジオール成分としては、ポリエステルジオールの
形成に用い得る低分子ジオール成分として上記で挙げた
ものを用いることができる。また、上記したジアルキル
カーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチル
カーボネートなどを、アルキレンカーボネートとしては
エチレンカーボネートを、そしてジアリールカーボネー
トとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げることが
できる。
【0030】また、熱可塑性ポリウレタンの形成に用い
得る上記したポリエステルポリカーボネートジオールと
しては、例えば、上記した低分子ジオール成分、ジカル
ボン酸成分およびカーボネート化合物を同時に反応させ
ることにより得られるポリエステルポリカーボネートジ
オール;予め合成しておいたポリエステルジオールおよ
びポリカーボネートジオールを、カーボネート化合物、
ジオール成分および/またはジカルボン酸成分と反応さ
せて得られるポリエステルポリカーボネートジオールな
どを使用することができる。
【0031】また、熱可塑性ポリウレタンの製造に用い
られる有機ジイソシアネートの種類は特に制限されず、
ポリウレタンの製造に従来から用いられている有機ジイ
ソシアネートのいずれもが使用できる。そのうちでも、
有機ジイソシアネートとしては、分子量が500以下の
芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートおよ
び脂肪族ジイソシアネートのうちの1種または2種以上
が好ましく用いられる。そのような有機ジイソシアネー
トの例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシア
ネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,
4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを
挙げることができ、これらの1種または2種以上を用い
ることができる。そのうちでも、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネートがそれから得られる発泡体の力
学的物性が優れる点から好ましく用いられる。また、必
要に応じて、トリフェニルメタントリイソシアネートな
どの3官能以上のポリイソシアネートを少量用いてもよ
い。
【0032】また、熱可塑性ポリウレタンの製造に用い
られる鎖伸長剤の種類は特に制限されず、熱可塑性ポリ
ウレタンの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のい
ずれもが使用できる。そのうちでも、鎖伸長剤として
は、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子
中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物が
好ましく用いられる。そのような鎖伸長剤の例として
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
4−ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−
シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオ
ール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジ
アミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピ
ペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリ
レンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラ
ジン、イソフタル酸ジヒドラジンなどのジアミン類;ア
ミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなど
のアミノアルコールなどを挙げることができ、これらの
1種または2種以上を用いることができる。そのうちで
も、炭素数2〜10の脂肪族ジオールがそれから得られ
る発泡体の力学的物性が優れる点から好ましく用いら
れ、特に1,4−ブタンジオールがより好ましく用いら
れる。
【0033】そして、本発明では、熱可塑性ポリウレタ
ンとして、上記した高分子ジオール、有機ジイソシアネ
ートおよび鎖伸長剤を、下記の数式(1);
【0034】
【数1】 0.99≦e/(d+f)≦1.08 (1) (式中、dは高分子ジオールのモル数、eは有機ジイソ
シアネートのモル数、fは鎖伸長剤のモル数を示す。)
【0035】を満足する割合で反応させて得られる熱可
塑性ポリウレタンを用いるのがより好ましく用いられ
る。上記の数式(1)を満足するようにして形成された
熱可塑性ポリウレタンは、溶融発泡性、特に溶融押出発
泡性、力学的特性、耐摩耗性などの点で優れており、そ
の結果、その熱可塑性ポリウレタンを用いて得られる発
泡体および発泡体層における発泡状態、力学的特性、耐
摩耗性などが良好になる。
【0036】熱可塑性ポリウレタンの製造法は特に制限
されず、上記した高分子ジオール、有機ジイソシアネー
ト、鎖伸長剤および必要におうじて他の成分を用いて、
既知のウレタン化反応技術を利用して、プレポリマー法
またはワンショット法により製造することができる。そ
のうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合する方
法、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合
する方法が好ましく用いられる。
【0037】また、本発明では、熱可塑性ポリウレタン
として、その硬度が、JIS−A硬度として55〜9
5、より好ましくは65〜90の範囲にあるものを用い
ると、機械的強度に優れ且つ柔軟性に優れる発泡体、お
よび発泡体層を有する積層体が得られので好ましい。
【0038】さらに、本発明では、熱可塑性ポリウレタ
ンとして、その対数粘度が0.5〜2.0dl/g、よ
り好ましくは0.8〜1.9dl/gであるものを用い
ると、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度を発泡に適
したものにすることができ、しかも得られる発泡体、お
よび該発泡体層を有する積層体の力学的特性、耐摩耗性
などの特性を一層良好にすることができる。ここで、本
願明細書でいう熱可塑性ポリウレタンの対数粘度は、n
−ブチルアミンを0.05モル/リットルの割合で含有
するN,N−ジメチルホルミアミド溶液に、熱可塑性ポ
リウレタンを濃度0.05g/dlになるように溶解
し、30℃で測定したときの値である。
【0039】また、本発明では、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル系重合体として、その数平均分子量が2
00,000以上のものを使用することが必要である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の数平均
分子量が200,000未満であると、発泡性ポリウレ
タン組成物の溶融粘度(溶融弾性)が気泡の保持に適し
たものにならず、気泡の粗大化や破裂などが生じて、大
きさの揃った微細な気泡が斑なく分布している発泡体を
形成することができなくなり、しかも発泡体や発泡体層
の表面に凹凸や荒れが発生して外観が不良になる。特
に、厚さの薄い発泡フイルムや発泡層ではそのような表
面の凹凸や荒れの発生が著しくなる。(メタ)アクリル
酸アルキルエステル系重合体の数平均分子量の上限値は
特に制限されないが、発泡体における気泡の均一性、熱
可塑性ポリウレタンとの相溶性などの点から5,00
0,000以下であるのが好ましい。
【0040】本発明では、数平均分子量が200,00
0以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重
合体であればいずれも使用可能であるが、数平均分子量
が200,000以上、好ましくは250,000以上
であって、且つ(メタ)アクリル酸アルキルエステルの
エステルを形成しているアルキル基の炭素数が1〜10
であるアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸
アルキルエステルから主としてなるものが好ましく用い
られる。
【0041】本発明で用いる(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル系重合体を構成する(メタ)アクリル酸アル
キルエステルの好ましい例としては、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アク
リル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘ
キシル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリ
ル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸
イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シク
ロヘキシルなどのメタクリル酸アルキルエステルなどを
挙げることができ、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル系重合体は前記した(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルの1種または2種以上から形成されていることがで
きる。そのうちでも、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル系重合体は、メタクリル酸メチル系重合体、アクリ
ル酸ブチル系重合体、メタクリル酸メチルとアクリル酸
ブチルから主として共重合体であるのが好ましい。
【0042】また、本発明で用いる(メタ)アクリル酸
アルキルエステル系重合体は、上記した(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル単位と共に、必要に応じて少量
(一般に25モル%以下)の他の共重合性不飽和モノマ
ーから誘導される単位を有してもよく、そのような共重
合性不飽和モノマーとしては、例えばエチレン、ブタジ
エン、イソプレン、スチレン、α−メチルスチレン、ア
クリロニトリルなどを挙げることができ、これらの共重
合性不飽和モノマーの1種または2種以上からなる単位
を有していることができる。
【0043】本発明の発泡性ポリウレタン組成物は、上
記した熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、上
記した数平均分子量が200,000以上である(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重
量部の割合で含有していることが必要であり、2〜20
重量部の割合で含有していることが好ましい。熱可塑性
ポリウレタン100重量部に対して(メタ)アクリル酸
アルキルエステル系重合体の含有割合が1重量部未満で
あると、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度(溶融弾
性)が低くなって、発泡剤の分解により発生したガスを
良好に保持できなくなり、気泡の巨大化や破れを生じ、
発泡体内部の気泡構造が不良になり、しかも発泡体表面
に粗大な凹凸や荒れが生じて平滑な表面状態にならず、
さらに発泡体の機械的特性の低下、発泡体層とその上に
積層する別の層(例えば無孔質層)との接着不良などを
生ずる。そして、そのような物性や品質の低下は、発泡
フイルムのような薄物の発泡体や発泡体層の厚さの薄い
積層体において特に顕著に現れる。また、場合によって
は、溶融粘度の低下によって気泡を充分に保持できず、
発生した気泡が外部に逃げてしまって、発泡倍率の低下
を招くこともある。
【0044】一方、熱可塑性ポリウレタン100重量部
に対して、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合
体の使用割合が30重量部を超えると、発泡性ポリウレ
タン組成物の溶融粘度が高くなり過ぎて、膨張が抑制さ
れて発泡倍率が小さくなり、所望の発泡倍率の発泡体を
得ることができなくなり、しかも熱可塑性ポリウレタン
中への(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の
分散が不良になって発泡体や発泡体層、それらの表面な
どに未溶融のブツなどが発生し易くなる。
【0045】さらに、本発明では、上記した熱可塑性ポ
リウレタンおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステル
系重合体に更に熱分解型発泡剤を添加して発泡性ポリウ
レタン組成物を調製し、その発泡性ポリウレタン組成物
を加熱溶融発泡させて発泡体を形成する。その場合の発
泡剤としては、従来から知られている熱分解型発泡剤の
いずれもが使用でき、特に制限されない。本発明で用い
得る熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボン
アミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒ
ドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、アゾ
ビスイソブチロジニトリル、アゾジアミノベンゼン、ア
ゾヘキサヒドロベンゾニトリル、バリウムアゾジカルボ
キシレート、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテト
ラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテ
レフタルアミド、t−ブチルアミノニトリル、p−トル
エンスルホニルアセトンヒドラゾンなどの有機系熱分解
型発泡剤、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの
無機系発泡剤などを挙げることができ、これらの1種ま
たは2種以上を使用することができる。
【0046】そのうちでも、本発明では、アゾジカルボ
ンアミドなどの発泡剤が、熱可塑性ポリウレタンと数平
均分子量200,000以上の(メタ)アクリル酸アル
キルエステル系重合体を含むポリウレタン組成物の溶融
温度以上の分解温度を有していて取り扱い性に優れてお
り、ガスの発生量が多く、しかもその分解挙動が本発明
の熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融成形に適している
などの点から好ましく用いられる。また、上記した発泡
剤のうちで、例えば、アゾジカルボンアミド、4,4’
−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−
トルエンスルホニルヒドラジド、重炭酸ナトリウムなど
はポリウレタンの分子量低下を引き起こす作用があり、
一方N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンな
どはポリウレタンの架橋を促進する作用を有する。その
ため、ポリウレタンの分子量低下を引き起こす発泡剤
と、架橋を促進する発泡剤を併用した場合には、ポリウ
レタンに適度な架橋をもたらしながら、溶融粘度の低下
の抑制が可能になり、機械的特性、物理的特性、化学的
特性、発泡状態の良好な発泡体を形成させることができ
る。
【0047】熱分解型発泡剤の添加量は、目的とする発
泡体や発泡体層の密度(発泡倍率)、発泡体や積層体な
どの用途、発泡剤のガス発生量などに応じて調節が可能
であるが、一般に、熱可塑性ポリウレタン100重量部
に対して、0.05〜10重量部程度であるのが好まし
く、0.1〜5重量部程度であるのがより好ましく、
0.3〜3.0重量部であるのが更に好ましい。
【0048】また、本発明では、上記した熱分解型発泡
剤を用いて発泡体を製造するに当たって、発泡を円滑に
行わせて、より均一で微細な気泡を有する発泡体を得る
ために、発泡助剤を併用してもよい。その場合の発泡助
剤としては、それぞれの熱分解型発泡剤に対して従来か
ら用いられている発泡助剤を用いることができる。例え
ば、アゾジカルボンアミドなどのアゾ系発泡剤、重炭酸
ナトリウム、ヒドラジド系発泡剤に対してはカルボン酸
金属塩、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、シリカやア
ルミナなどの金属酸化物、タルク等の鉱物などの発泡助
剤を用いることができ、また例えばN,N’−ジニトロ
ソペンタメチレンテトラミンに対しては尿素系化合物や
有機酸などの発泡助剤を用いることができる。
【0049】発泡助剤を使用する場合は、その使用量を
製造を目的とする発泡体や発泡体層の発泡倍率(比
重)、発泡体の用途、発泡剤のガス発生量などに応じて
適宜調節することができるが、通常、熱可塑性ポリウレ
タン100重量部に対して、0.005〜10重量部程
度であることが好ましく、0.01〜5重量部であるこ
とがより好ましく、0.1〜2重量部であることが更に
好ましい。また、発泡剤に対する使用割合としては、発
泡剤1重量部に対して、発泡助剤を0.1〜1重量部と
することが好ましい。
【0050】また、本発明の発泡性ポリウレタン組成
物、発泡体、積層体における発泡体層は、上記した成分
以外に、本発明の目的の妨げにならない限りは、必要に
応じて、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢
酸ビニル共重合体などのオレフィン系重合体、ポリスチ
レン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、ABS樹
脂、未水添のスチレン系ブロック共重合体などの他の熱
可塑性重合体の1種または2種以上を少量含有していて
もよい。
【0051】さらに、本発明の発泡性ポリウレタン組成
物、発泡体、積層体における発泡体層は、他の添加剤、
例えば、発泡体中に均一で微細な気泡を形成するための
気泡調節剤(無機微粉末など)、充填剤、補強材、顔
料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、
加水分解防止剤、滑剤、難燃剤などの添加剤の1種また
は2種以上を必要に応じて含有していてもよい。
【0052】本発明の発泡性ポリウレタン組成物を調製
するに当たっては、その調製方法は特に制限されず、発
泡性ポリウレタン組成物の調製時に発泡剤の発泡能、発
泡助剤を用いる場合はその発泡助剤としての機能が失わ
れないような方法であればいずれも採用できる。限定さ
れるものではないが、本発明の発泡性ポリウレタン組成
物の調製に当たっては、例えば、 (1)熱可塑性ポリウレタンと(メタ)アクリル酸アル
キルエステル系重合体の混合物を予め調製しておき、そ
れに発泡剤および場合により発泡助剤やその他の成分を
添加・混合して発泡性ポリウレタン組成物を調製する方
法; (2)熱可塑性ポリウレタン、(メタ)アクリル酸アル
キルエステル系重合体、発泡剤および場合により発泡助
剤、他の成分を同時に混合して発泡性ポリウレタン組成
物を調製する方法; (3)発泡剤および場合により発泡助剤を熱可塑性ポリ
ウレタンおよび/または(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル系重合体の一部と予め混合して発泡剤および場合
により発泡助剤を含有するマスターバッチをつくり、そ
のマスターバッチに残りの熱可塑性ポリウレタンおよび
/または(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体
並びに場合により他の成分を混合して発泡性ポリウレタ
ン組成物を調製する方法; などを採用することができる。
【0053】そして、上記した発泡性ポリウレタン組成
物の調製方法においては、各成分の混合方法や使用する
混合装置は特に制限されず、発泡性熱可塑性重合体組成
物の調製に従来から一般に用いられているのと同様の混
合方法および混合装置を使用すればよく、例えばニーダ
ーやバンバリーミキサーなどの混合装置、単軸または二
軸押出機などの混合装置を使用することができる。上記
により得られる発泡性ポリウレタン組成物は、常法にし
たがってチップ、ペレット、シート、塊などの任意の形
態にして発泡体の製造に用いることができる。
【0054】本発明の発泡性ポリウレタン組成物は熱可
塑性であり、熱可塑性ポリウレタンや(メタ)アクリル
酸アルキルエステル系重合体の種類、両者の配合割合な
どにもよるが、一般に約160〜250℃の温度に加熱
することにより溶融する。そのため、本発明の発泡性ポ
リウレタン組成物は、溶融成形や加熱加工が可能であ
り、押出成形、射出成形、カレンダー成形、流延成形、
プレス成形、注型などの任意の成形方法によって、種々
の形状や構造の発泡成形品または発泡性成形品(発泡前
の成形品)に成形することができる。そのうちでも、発
泡性ポリウレタン組成物を用いて溶融発泡成形を行う
と、大きさが揃っていて微細な気泡が全体に斑なく分布
していて、しかも機械的特性、物理的特性、外観などの
優れる発泡体を円滑に得ることができる。その際に、特
に溶融押出発泡成形法を採用すると、前記した優れた特
性を備える発泡フイルム、発泡シート、発泡板、積層
体、その他の発泡押出物を、有機溶剤やフロンガスなど
のような環境汚染物資を使用することなく、良好な作業
性で、生産性よく製造することができるので好ましい。
【0055】ここで、発泡性ポリウレタン組成物を用い
て成形・加工と同時に発泡を行わせる場合は、成形・加
工の少なくともある段階で発泡剤の分解温度以上の温度
を採用して、成形・加工を行えばよい。そして、発泡剤
の種類や併用する発泡助剤の種類などによってその発泡
温度は異なり得るが、上記したような熱分解型発泡剤は
一般に約100〜250℃の範囲で分解するので、発泡
剤を分解させて発泡体を製造するには、使用する発泡剤
や発泡助剤の種類などに応じて、100〜250℃また
はそれ以上の温度を採用して加熱発泡するとよい。
【0056】また、発泡性ポリウレタン組成物を用いて
未発泡のシート、フイルム、板、管、積層体、その他の
成形品を一旦製造した後にそれを加熱して発泡させる場
合は、発泡性ポリウレタン組成物を該組成物の成形加工
が可能な温度であって且つ発泡剤が分解しない温度で成
形・加工して未発泡の成形品等を製造し、次いで該未発
泡の成形品等を発泡剤の分解温度以上に加熱すると発泡
成形品を得ることができる。さらに、本発明の発泡体や
積層体などの製造に当たっては、発泡性ポリウレタン組
成物を予め調製しておかずに、熱可塑性ポリウレタン、
上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合
体、熱分解型発泡剤および必要に応じて他の成分を、例
えば溶融押出発泡装置やその他の溶融発泡成形装置など
に直接供給して発泡体を製造してもよい。
【0057】上記のようにして得られる発泡体は、その
まま使用してもよいし、他の材料を基材とし、これと積
層したり、また基材と積層以外の方法で組み合わせて、
複合材料として使用してもよい。その場合に、複合材料
を形成するのに用いる他の基材は特に制限されず、発泡
体の使用目的や使用形態などに応じて適宜選択すること
ができる。限定されるものではないが、発泡体と組み合
わせて用い得る基材としては、例えば、天然繊維、合成
繊維、半合成繊維、無機繊維などからなる織布、編布、
不織布などの繊維質基材;紙;プラスチックやゴムから
なるフイルム、シート、板、その他の形状物;金属から
なる箔、シート、板、その他の形状物;木材;セラミッ
クなどを挙げることができる。
【0058】発泡体と基材からなる複合材料の製造に当
たっては、発泡体を製造した後に該発泡体を基材と一体
複合化しても、発泡性熱可塑性重合体組成物を発泡させ
る際に、同時に基材との一体複合化を行っても、または
発泡前に基材と一体複合化しておき、その後に発泡を行
ってもよい。発泡体または発泡性ポリウレタン組成物と
基材との複合一体化に当たっては、それらの間の親和
性、接着性などに応じて、例えば、発泡体または発泡性
ポリウレタン組成物が溶融状態にある間に基材と接合す
る方法、接着剤による接着法、溶剤を用いる溶着法、発
泡体の製造後に発泡体の接合面を溶融して基材と接合す
る方法などを採用することができる。
【0059】発泡体と基材とからなる複合材料のうちで
も、発泡体と基材とを層状に積層してなる積層体は種々
の分野で広く用いることができ、したがって本発明はそ
のような積層体を好ましい態様として本発明の範囲に包
含する。発泡体層と基材層とからなる本発明の積層体
は、例えば、1つの発泡体層と1つの基材との2層構造
であっても、発泡体の両面に基材を有する3層構造(サ
ンドイッチ構造)であっても、発泡体と他の材料が交互
に積層した4層以上の多層構造であっても、またはそれ
以外の積層構造であってもよく、基材を2層以上有する
多層構造の場合は、それぞれの層が同じ材料からなって
いてもまたは異なる材料からなっていてもよい。
【0060】発泡体層と基材とからなる積層体の製造法
は特に制限されないが、 (A)上記した本発明の発泡性ポリウレタン組成物を用
いて溶融発泡成形を行うと同時に基材と積層する方法; (B)上記した本発明の発泡性ポリウレタン組成物を用
いて溶融発泡成形を行った後に溶融状態で基材と積層す
る方法;または、 (C)上記した本発明の発泡性ポリウレタン組成物を用
いて未発泡状態で溶融成形を行い溶融状態で基材との積
層体を製造した後に発泡させる方法; を採用して積層体を製造すると、接着剤を用いなくて
も、また発泡体の製造後に接着のための再加熱などを行
わなくても、発泡体層と基材とからなる本発明の積層体
を円滑に製造できるので好ましい。
【0061】そして、上記(A)、(B)または(C)
の方法によって積層体を製造する場合に、上記(A)ま
たは(B)の方法における発泡性ポリウレタン組成物の
溶融発泡成形を溶融押出発泡成形を採用して行い、また
上記(C)の方法における未発泡状態での溶融成形を溶
融押出成形を採用して行うと、発泡体層と基材との積層
体を簡単な工程で生産性よく製造することができる。ま
た、上記(A)または(B)の方法における溶融発泡温
度などの発泡成形時の条件などは、発泡体の製造につい
て上記で説明したのと同じかまたは同様の条件を採用し
て行うことができる。
【0062】さらに、上記した積層体のうちで、基材と
して繊維質基材を使用し、その上に上記の発泡体層を形
成し、さらに発泡体層の上に熱可塑性エラストマーより
なる無孔質層を形成した積層体は、繊維質基材の強靭
性、発泡体層の柔軟性や適度な弾力性、表面の無孔質熱
可塑性エラストマー層のしなやかな風合や触感などの、
前記した3つの層の性質が複合的に発揮されて、天然皮
革に極めて近似した良好な風合、外観、触感などを有
し、そのために合成皮革または人造皮革として、有効に
使用でき、したがって、本発明はかかる積層体をも包含
する。
【0063】以下に、繊維質基材層、発泡体層および熱
可塑性エラストマーからなる無孔質層を有する本発明の
積層体(以下これを「3層構造積層体」ということがあ
る)について説明する。本発明の3層構造積層体では、
その繊維質基材は、適度な厚みと充実感を有し、かつ柔
軟な風合を有するシート状の繊維質基材であればいずれ
も使用でき、従来から皮革様の積層体の製造に用いられ
ている各種の繊維質基材を使用することができる。限定
されるものではないが、繊維質基材としては、例えば極
細繊維またはその束状繊維、特殊多孔質繊維、通常の合
成繊維、半合成繊維、天然繊維、無機繊維などを用いて
形成された絡合不織シートや編織物シートなどの繊維質
シート;前記した繊維質シートにポリウレタンなどのよ
うな高分子材料を含浸またはその他の方法で含有させた
繊維質シート;前記したいずれかの繊維質シートの表面
にさらに高分子材料の多孔質被覆層を形成した繊維質シ
ートなどを用いることができる。
【0064】上記したうちでも、繊維質基材としては、
極細繊維または極細繊維束を用いて形成されている繊維
質シートが好ましく用いられ、その場合に得られる3層
構造積層体の風合などの点から、極細繊維の単繊維繊度
が0.5デニール以下であるのが好ましく、0.1デニ
ール以下であるのがより好ましい。また、繊維質基材を
極細繊維束から形成する場合は、極細繊維束のトータル
デニールが0.5〜10デニールであるのが、得られる
3層構造積層体の風合などの点から好ましい。また、繊
維質基材を構成する極細繊維は、ポリエステル系繊維お
よび/またはナイロン系繊維から形成されているのが、
得られる積層体の強度、感触、コストなどの点から好ま
しい。
【0065】特に、繊維質基材として、上記したような
極細繊維束の不織布から形成されていて且つ不織布中に
高分子材料を含有させてある繊維質シートを使用する
と、天然皮革に一層近似した良好な風合や触感などを有
する3層構造積層体を得ることができるので好ましい。
その場合に不織布中に含有させる高分子材料としては、
ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、塩化ビニ
ル系重合体、ポリビニルブチラール系重合体、アクリル
系重合体、ポリアミノ酸系重合体、シリコン系重合体な
どを挙げることができ、これらの重合体は単独で使用し
ても、または2種以上を併用してもよい。そのうちで
も、ポリウレタン系重合体を含浸やその他の方法で含有
させた繊維質シートを繊維質基材として用いると、繊維
質基材上に積層する発泡体層(すなわち上記した発泡性
ポリウレタン組成物から形成された発泡体層)との親和
性が高く、繊維質基材層と発泡体層との間の接着が強固
になるので、特に好ましい。そして、高分子材料を含有
させた繊維質シートからなる繊維質基材を用いる場合
は、該繊維質基材における高分子材料の含有量は、高分
子材料を含有させる前の繊維質シートの重量に基づい
て、約10〜70重量%程度であることが好ましい。
【0066】また、繊維質基材と発泡体層との接着を向
上させるために、繊維質基材の表面に、発泡体層と親和
性の高い重合体を含む表面処理剤の被覆層を形成してお
いてもよく、その場合の被覆層の厚さは5μm以下とす
るのが好ましい。前記被覆層の厚さが厚くなると、柔軟
で一体感のある風合を有する、繊維質基材層/発泡体層
/熱可塑性エラストマー無孔質層からなる積層体が得ら
れにくくなる。
【0067】3層構造積層体における上記した繊維質基
材層の厚さは、得られる積層体の用途などに応じて決め
ることができるが、繊維質基材上の積層される発泡体
層、さらには発泡体層の熱可塑性エラストマー無孔質層
の厚みとのバランスの点から、繊維質基材の厚さが0.
3〜3mm程度であるのが好ましく、0.5〜2.0m
m程度であるのがより好ましい。
【0068】また、柔軟な風合を有し、且つ適度な反発
性および腰し感のある3層構造積層体を得るためには、
繊維質基材の見掛け比重が0.25〜0.5g/cm3
であるのが好ましく、0.3〜0.35g/cm3であ
るのがより好ましい。繊維質基材の見掛け比重が大きす
ぎるとゴム様の風合となり易く、一方繊維質基材の見掛
け比重が小さ過ぎると反発性および腰のない風合とな
り、やはり天然皮革に近似した風合が得られにくくな
る。
【0069】上記した繊維質基材層上に積層する発泡体
層は、上記した本発明の発泡性ポリウレタン組成物を用
いて発泡させることによって形成される。3層構造積層
体における発泡体層の厚さは、用途などに応じて選択す
ることができるが、一般的には、50〜500μm程度
であるのが好ましく、50〜300μm程度であるのが
より好ましい。また、発泡体層の発泡倍率[(発泡させ
る前の発泡性ポリウレタン組成物の比重)÷(発泡体の
見掛け比重)]は約1.5〜4倍であるのが好ましい。
発泡体層の発泡倍率が前記した範囲であると、柔軟性お
よび適度な弾力性があり、積層体を引っ張ったり、折り
曲げたりしたときに表面に低品位の皺や凹凸状態などが
生じず高級感のある皮革様の積層体となり、しかも繊維
質基材層と発泡体層との接合強度が大きくなり、層間剥
離などが生じない。
【0070】また、発泡体層上の無孔質層を形成する熱
可塑性エラストマーとしては、柔軟性、弾力性、耐摩耗
性、機械的強度、耐候性、耐加水分解性などに優れてい
て且つ発泡体層と親和性である熱可塑性エラストマーで
あればいずれも使用できる。無孔質層を形成する熱可塑
性エラストマーとしては、例えば、(1)熱可塑性ポリ
ウレタン;(2)ポリエチレンテレフタレート、ポリプ
ロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
などの結晶性の芳香族ポリエステルをハードセグメント
とし、ガラス転移温度の低い脂肪族ポリエーテル、脂肪
族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリ
エステルポリカーボネートなどをソフトセグメントとす
るポリエステルエラストマー;(3)6−ナイロン、
6,6−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミドを
ハードセグメントとし、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポ
リエステル、脂肪族ポリエステルエーテルなどをソフト
セグメントとするポリアミドエラストマー;(4)スチ
レン系重合体をハードセグメントとし、ポリイソプレ
ン、ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレン、水素添
加ポリブタジエンなどをソフトセグメントとするスチレ
ン系エラストマー;(5)シリコーン系エラストマー;
(6)結晶性ポリ塩化ビニルおよび/または結晶性ポリ
エチレンをハードセグメントとし非晶性ポリ塩化ビニル
および/または非晶性塩素化ポリエチレンをソフトセグ
メントとする塩素化ポリマー系エラストマー;(7)ポ
リプロピレンをハードセグメントとしエチレンプロピレ
ンゴムや部分架橋エチレンプロピレンゴムなどをソフト
セグメントとするポリオレフィン系エラストマー;
(8)フッ素系樹脂をハードセグメントとしフッ素系ゴ
ムをソフトセグメントとするフッ素系重合体エラストマ
ー;(9)結晶性1,2−ポリブタジエンをハードセグ
メントとし1,2−ポリブタジエンをソフトセグメント
とする1,2−ブタジエン系重合体エラストマー;(1
0)ウレタン/塩化ビニル系エラストマー;(11)エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリ
レート共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸ナ
トリウム三元共重合体などのエチレン系共重合体などを
挙げることができ、これらの1種または2種以上を用い
て無孔質層を形成することができる。
【0071】そして、本発明の3層構造積層体では、そ
の無孔質層を、上記した熱可塑性エラストマーのうちで
も、熱可塑性ポリウレタン、または熱可塑性ポリウレタ
ンと他の熱可塑性エラストマーとの混合物から形成する
のが好ましい。そしてその場合には、無孔質層を形成す
るポリマーの材質と、上記した発泡性ポリウレタン組成
物から形成された発泡体層の材質が近似したものとな
り、発泡体層と無孔質層との間の親和性が大きいことに
よって、無孔質層と発泡体層との間の接着強度が大きく
なって両層間の剥離などが生じなくなり、物性に極めて
優れる3層構造積層体を得ることができる。無孔質層を
熱可塑性ポリウレタン、または熱可塑性ポリウレタンと
他の熱可塑性エラストマーとの混合物から形成するに当
たっては、無孔質層を形成する熱可塑性ポリウレタンと
して、発泡性ポリウレタン組成物の調製に用いるのと同
様の、上記した種々の熱可塑性ポリウレタンを使用する
ことができる。その場合に、3層構造積層体の発泡体層
を構成する熱可塑性ポリウレタンと無孔質層を構成する
熱可塑性ポリウレタンとは同じものであっても、または
異なるものであってもよい。一般的には、無孔質層を構
成する熱可塑性ポリウレタンとして、発泡体層の形成に
用いた熱可塑性ポリウレタンに比べて多少硬度の高いも
のを使用すると、3層構造積層体の耐摩耗性を一層向上
させることができる。
【0072】また、無孔質層の厚さは、無孔質層を形成
する熱可塑性エラストマーの種類、3層構造積層体の用
途などによって調節し得るが、皮革様の風合を3層構造
積層体に付与し、しかも表面強度、発泡体層との接着強
度、屈曲に対する耐久性などを付与できる点から、無孔
質層の厚さが10〜400μm程度であるのが好まし
く、30〜200μm程度であるのがより好ましい。無
孔質層が薄すぎると、得られる皮革様積層体の表面の耐
摩耗性が低下し易くなる。一方、無孔質層が厚すぎる
と、3層構造積層体の屈曲性が低下し、ゴム様の劣った
風合となり、皮革様の風合が失われる傾向がある。無孔
質層中には気泡が実質的に含まれていないことが必要で
あり、気泡があると、3層構造積層体表面の耐摩耗性、
強度、平滑性が低下し、色斑などを発生し易くなる。
【0073】さらに、本発明の3層構造積層体では、無
孔質層の表面に、エンボス模様、シボ模様などの凹凸加
工および/または鏡面加工などを施しておいてもよい。
そして、無孔質層の表面に凹凸加工を施した場合には、
天然皮革に一層近似したエンボス模様やシボ模様などを
3層構造積層体表面に出現させることができる。一方、
無孔質層の表面に鏡面加工を施した場合には、エナメル
調の光沢のある表面が3層構造積層体に付与される。ま
た、本発明の3層構造積層体では、無孔質層の表面に凹
凸加工および鏡面加工の両方を施してもよく、その場合
には光沢のあるエナメル調の表面中に更に凹凸模様が施
された状態になる。
【0074】3層構造積層体の製造法は特に制限され
ず、繊維質基材層/発泡体層/無孔質層からなる積層構
造体をそれらの層間の剥離などを生ずることなく円滑に
製造し得る方法であれば、いずれの方法で製造してもよ
い。そのうちでも、3層構造積層体の製造を下記の方
法、すなわち、 (1)(a)上記した本発明の発泡性ポリウレタン組成
物を用いて溶融押出発泡を行うと同時にポリウレタン発
泡体を繊維質基材と積層する方法; (b)上記した本発明の発泡性ポリウレタン組成物を用
いて溶融押出発泡した後に溶融状態で繊維質基材と積層
する方法;および、 (c)上記した本発明の発泡性ポリウレタン組成物を用
いて未発泡状態で溶融押出を行い溶融状態で繊維質基材
と積層した後に発泡させる方法; のいずれかの方法によってポリウレタン発泡体層と繊維
質基材とからなる積層体を製造する工程;並びに、 (2) 上記(1)の積層体の製造前、製造と同時、ま
たは製造後に、発泡性ポリウレタン組成物層上にまたは
発泡されたポリウレタン発泡体層上に、熱可塑性エラス
トマーの溶融押出物を膜状に積層させる工程;を有する
方法によって製造すると、層間の剥離がなく、しかもそ
れぞれの層の特性を充分に活かした高品質の3層構造積
層体を、有機溶剤やフロンガス膨張剤などのような有害
成分を使用することなく、生産性よく、円滑に製造する
ことができるので、好ましい。
【0075】そして、3層構造積層体を製造する際の上
記(1)の工程では、上記(a)または(b)の方法に
おける溶融押出発泡時の発泡温度などの成形条件は、発
泡体の製造について上記で説明したのと同じ条件または
同様の条件を採用して行うことができる。
【0076】また、上記(2)の熱可塑性エラストマー
の積層工程を行うに当たっては、例えば、 (i) 繊維質基材層と発泡体層とからなる積層体の発
泡体層上に、または繊維質基材層と未発泡状態の発泡性
ポリウレタン組成物層とからなる積層体の発泡性ポリウ
レタン組成物層上に、熱可塑性エラストマーを直接溶融
押し出して積層し、その積層体をロールおよびそれと対
向するバックロールとの間を通して押圧する方法; (ii) 熱可塑性エラストマーをロール上に溶融押し出
しした後、そのロールとそれと対向するバックロールと
の間に、繊維質基材層と発泡体層とからなる積層体、ま
たは繊維質基材層と未発泡状態の発泡性ポリウレタン組
成物層とからなる積層体を供給し、前記積層体の発泡体
層上または未発泡状態の発泡性ポリウレタン組成物上に
熱可塑性エラストマー層を転写積層して押圧する方法; (iii) 繊維質基材層と発泡体層とからなる積層体、
または繊維質基材層と未発泡状態の発泡性ポリウレタン
組成物層とからなる積層体における発泡体層側にロール
を配置しておき、その発泡体層とロールとの間隙に熱可
塑性エラストマーを直接溶融押出し、さらに繊維質基材
と発泡体層からなる積層体、または繊維質基材と未発泡
状態の発泡性ポリウレタン組成物層からなる積層体の背
面側(繊維質基材側)にバックロールを配置しておい
て、押圧しながら積層させる方法; などを採用することができる。その場合に、無孔質層を
積層した積層体における中間層が未だ発泡しておらず発
泡性ポリウレタン組成物層の状態になっている場合は、
その中間の発泡性ポリウレタン組成物層中に含有されて
いる熱分解型発泡剤の分解温度以上で且つ該ポリウレタ
ン組成物の溶融温度以上に加熱して発泡させるとよい。
そして、熱可塑性エラストマーが流動性を有している限
りは、上記した(i)〜(iii)のうちのいずれの方法
を採用しても、目的とする3層構造積層体を円滑に得る
ことができる。
【0077】さらに、3層構造積層体の無孔質層表面に
さらに凹凸加工および/または鏡面加工を施す場合は、
凹凸加工および/または鏡面加工の方法は特に制限され
ないが、例えば、 (1)上記した工程(2)の(i)〜(iii)のいずれ
か方法を行うに当たって、発泡体層側に配置する上記の
ロール表面に凹凸加工および/または鏡面加工を施して
おいて、熱可塑性エラストマーからなる溶融状態にある
無孔質層を発泡体層上に押圧積層するのと同時に熱可塑
性エラストマーからなる無孔質層の表面に凹凸加工およ
び/または鏡面加工を行う方法; (2) 熱可塑性エラストマーからなる無孔質層を発泡
体層上に形成した後に、該無孔質層が未だ賦形が可能な
可塑化状態にある間に、凹凸加工および/または鏡面加
工用の上記ロールを用いて無孔質層表面に凹凸加工およ
び/または鏡面加工を施す方法; などにより行うことができる。そのうちでも、上記
(1)の方法が、工程数が少なくてすみ、生産性が高い
点から好ましい。そして、上記(1)の方法を採用する
場合には、上記したロールおよびバックロールによって
もたらされる押圧力を、5〜15kg/cm2のゲージ
圧としておくと、発泡体層と無孔質層の接着および無孔
質層表面への凹凸加工および/または鏡面加工を円滑に
行うことができる。
【0078】無孔質層の表面に凹凸加工および/または
鏡面加工を行うに当たっては、例えば、凹凸加工および
/または鏡面加工を施したロールを無孔質層の表面に直
接当接させて無孔質層表面に凹凸および/または鏡面を
形成する方法、凹凸加工および/または鏡面加工を施し
てある離型性の加工シートを無孔質層の表面に当接させ
該加工シートの背部からロールなどによって押圧して無
孔質層の表面に凹凸および/または鏡面を形成させる方
法などを採用することができる。そして、離型性の加工
シートを用いる後者の方法を採用した場合には、該加工
シートを取り替えるだけで、無孔質層の表面に任意の凹
凸パターンおよび/または鏡面状態を形成することがで
き、便利である。
【0079】そして、上記したいずれの方法による場合
にも、無孔質層表面に凹凸および/または鏡面を形成す
るための表面加工ロールや離型性の加工シートを、無孔
質層がもはや流動しなくなってから無孔質層から剥離さ
せるようにすることが好ましい。もしそのようにせず
に、無孔質層が未だ流動性を有しているうちに表面加工
ロールや離型性の加工シートを無孔質層表面から剥離す
ると、無孔質層表面に形成された凹凸および/または鏡
面が無孔質層の流動性によって崩れたり、消失したりし
て、鮮明な凹凸や、光沢に優れる鏡面が得られなくなる
危険がある。無孔質層表面に凹凸および/または鏡面を
形成させるための表面加工ロールや離型性の加工シート
の背部に配置する押圧ロールとして内部に冷却液を循環
するようにした形式のものを採用したり、該凹凸加工お
よび/または鏡面加工を施す近辺に冷風を強制的に送っ
て表面加工ロールや離型性の加工シートの無孔質層から
の剥離点付近を積極的に冷却する方法などを採用する
と、凹凸加工および/または鏡面加工された無孔質層が
速やかに冷却されて、表面加工ロールや離型性の加工シ
ートの剥離を早期に行うことができるので好ましい。
【0080】発泡体層上に無孔質層を形成する際のロー
ルおよび/または無孔質層の表面に凹凸加工および/ま
たは鏡面加工を行う際のロールとしては、無孔質層に直
接接触させて用いられるロールの場合は、一般に、金属
製のロールが好ましく用いられる。また、無孔質層に直
接接触させないで用いるバックロールや、上記した離型
性の表面加工シートの背部に用いられるロールとして
は、金属ロール、弾性体ロールなどのいずれもが使用可
能であり、そのうちでも弾性体ロールを用いると押圧を
安定して行うことができるので好ましい。
【0081】また、本発明の3層構造積層体では、無孔
質層の表面に、耐摩耗性の向上、汚れ防止、深みのある
色調の付与などの目的で、表面仕上げ剤や着色剤などを
さらに施しておいてもよい。
【0082】何ら限定されるものではないが、上記
(1)の(a)の工程および上記(2)の(i)の工程
を採用し、且つ発泡体層の表面上に無孔質層を積層させ
る際に積層と無孔質層表面への凹凸加工を同時に行っ
て、無孔質層表面に凹凸模様が施された3層構造積層体
を製造する場合は、例えば、図1に示すような工程によ
って3層構造積層体を製造することができる。なお、図
1において、1は繊維質基材、2は鏡面加工を施した金
属製ロール、3は弾性体バックローラ、4は押出機、5
は発泡体層、6は繊維質基材層と発泡体層からなる積層
体、7は金属製エンボスロール、8は弾性体バックロー
ラ、9は押出機、10は無孔質層および11は3層構造
積層体をそれぞれ示す。
【0083】本発明の発泡体、発泡体と他の基材とから
なる複合材料、発泡体層と基材層とからなる積層体、繊
維質基材層/発泡体層/無孔質層を有する3層構造積層
体などは、その優れた柔軟性、弾力性、耐摩耗性、機械
的特性、クッション性、緩衝性、感触などの特性を活か
して、人造皮革、壁材や床材などの建築資材、椅子など
の家具類や車両のシート、車両などの内装材、履物、鞄
類、袋物、衣料、衣料雑貨、手袋、クッション材、断熱
材、緩衝材、ベルトなどとして、広範な用途に有効に使
用することができる。特に、繊維質基材層/発泡体層/
無孔質層からなる上記した3層構造積層体は、天然皮革
の代替素材として、例えば、コート、ブレザー、スカー
トなどの衣類、靴やブーツなどの履物、バッグ、カメラ
ケース、財布などのカバン類や袋物、ベルトなどの衣料
関連品、バレーボール、バスケットボールなどのスポー
ツ用品などに有効に用いることができる。
【0084】
【実施例】以下に、本発明を実施例などにより具体的に
説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以
下の例において、各種物性値の測定、および得られた発
泡体または3層構造積層体の物性の評価は次のようにし
て行った。
【0085】[熱可塑性ポリウレタンの対数粘度]n−
ブチルアミンを0.05モル/リットルの割合で含有す
るN,N−ジメチルホルムアミド溶液に、熱可塑性ポリ
ウレタンを濃度0.5g/dlになるように溶解し、ウ
ベローデ型粘度計を用いて、その熱可塑性ポリウレタン
溶液の温度30℃における流下時間を測定し、下記の数
式により対数粘度を求めた。
【0086】
【数2】熱可塑性ポリウレタンの対数粘度={ln(t
/t0)}/c [式中、tは熱可塑性ポリウレタン溶液の流下時間
(秒)、t0は溶媒の流下時間(秒)、そしてcは熱可
塑性ポリウレタン溶液の濃度(g/dl)を示す。]
【0087】[熱可塑性ポリウレタンの硬度]熱可塑性
ポリウレタンを射出成形(シリンダー温度180〜20
0℃、金型温度30℃)して直径120mm、厚さ2m
mの円板状試験片を製造し、それを2枚重ね合わせたも
のを用いて、JIS K 6301に準拠してショアー
硬度Aを測定した。
【0088】[発泡フイルムの見掛比重]JIS K
6767に準拠して、以下の実施例または比較例で得ら
れた発泡フイルムの見掛比重を測定した。
【0089】[発泡フイルムの引張強度]JIS K
6767に準拠して、以下の実施例または比較例で得ら
れた発泡フイルムの長さ方向(押出方向:MD)の引張
強度を測定した。
【0090】[発泡フイルムの外観]以下の実施例また
は比較例で得られた発泡フイルムの表面状態を目視によ
り観察して、発泡フイルムの表面に気泡の破れや気泡径
の斑などに伴う凹凸や荒れなどが生じておらず表面が発
泡体の薄いスキン層で覆われていて平滑なものを良好
(○)とし、発泡フイルムの表面に気泡の破れ気泡径の
斑などに伴う凹凸や荒れが生じているものを不良(×)
として評価した。
【0091】[3層構造積層体の表面の耐摩耗性]テー
パー式ロータリーアブレッサー装置(吸塵ユニット付)
(東洋精機株式会社製「ロータリーアブレイションテス
ター」)を用いて、JIS L 10966.17.3
に準拠して、3層構造積層体の無孔質層の表面の摩耗減
少量を測定した。
【0092】[3層構造積層体の剥離強度]3層構造積
層体の無孔質層を2液型ウレタン系接着剤を用いて支持
体に接着し、25℃、65%RHで24時間放置した
後、JIS K 6301に準拠して180度剥離強度
を測定した。
【0093】《実施例1》 (1) 高分子ジオールとして3−メチル−1,5−ペ
ンタンジオールとアジピン酸の縮合反応により得られた
ポリエステルジオール(PMPA)(数平均分子量15
00)を用い、これに1,4−ブタンジオール(B
D)、および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート(MDI)を、PMPA:B
D:MDI=1:1.4:2.4のモル比でさらに用い
て、且つそれらの合計供給量が300g/分になるよう
にして、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機
(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度75〜2
60℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行って熱
可塑性ポリウレタンを製造した。生成した熱可塑性ポリ
ウレタンの溶融物をストランド状で水中に押し出した
後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレット
を80℃で5時間除湿乾燥することにより、下記の表2
に示す対数粘度および硬度を有する熱可塑性ポリウレタ
ンを製造した。
【0094】(2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポ
リウレタン100重量部に対して、下記の表2に示す
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体5重量部、黒色
顔料ペレット(顔料濃度20重量%のポリエチレンペレ
ット)5重量部、およびアゾジカルボンアミド系発泡剤
(永和化成株式会社製「ビニホームAC#3」)1重量
部を混合し、2軸押出機を用いて150〜160℃で溶
融混練した後、水中に押し出し、ペレタイザーで切断し
て発泡性ポリウレタン組成物ペレットを製造した。 (3) 上記(2)で得られた発泡性ポリウレタン組成
物ペレットを、単軸押出機(25mmφ)に仕込み、溶
融帯温度180〜210℃、ダイ部温度180℃で、T
ダイ(リップ幅0.2mm、ダイ幅350mm)より膜
状に溶融押出発泡成形を行って、厚さ255μm、幅3
00mmの発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイ
ルムの見掛比重、引張強度および外観を、上記した方法
で測定または評価したところ、下記の表3に示すとおり
であった。
【0095】《実施例2〜4》 (1) 実施例1で使用したのと同じポリエステルジオ
ールを用い、これに1,4−ブタンジオール、および5
0℃で加熱溶融した4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネートを、下記の表2に示すモル比で混合して、実
施例1の(1)と同様にして連続溶融重合を行って熱可
塑性ポリウレタンを製造し、それを実施例1の(1)と
同様にして、ペレット化および除湿乾燥して、熱可塑性
ポリウレタンのペレットを製造した。その結果得られた
熱可塑性ポリウレタンペレットの対数粘度および硬度を
上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとお
りであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン1
00重量部に対して、下記の表2に示す(メタ)アクリ
ル酸エステル系共重合体を5重量部または10重量部、
実施例1の(2)で使用したのと同じ黒色顔料ペレット
を5重量部、および実施例1の(2)で使用したのと同
じアゾジカルボンアミド系発泡剤を1重量部または2重
量部の割合で混合し、実施例1の(2)と同様にして、
発泡性ポリウレタン組成物のペレットを製造した。 (3) 上記(2)で得られた発泡性ポリウレタン組成
物ペレットを用いて、実施例1の(3)と同様にして、
膜状に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚
さを有する発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイ
ルムの見掛比重、引張強度および外観を上記した方法で
測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりで
あった。
【0096】《実施例5〜6》 (1) 高分子ジオールとしてポリテトラメチレンエー
テルグリコール(数平均分子量1000))を用い、こ
れに1,4−ブタンジオール、および50℃で加熱溶融
した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、
下記の表2に示すモル比で混合して、実施例1の(1)
と同様にして連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタ
ンを製造し、それを実施例1の(1)と同様にして、ペ
レット化および除湿乾燥して、熱可塑性ポリウレタンを
製造した。その結果得られた熱可塑性ポリウレタンの対
数粘度および硬度を上記した方法で測定したところ、下
記の表2に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン1
00重量部に対して、下記の表2に示す(メタ)アクリ
ル酸エステル系共重合体を5重量部、実施例1の(2)
で使用したのと同じ黒色顔料ペレットを5重量部、およ
び実施例1の(2)で使用したのと同じアゾジカルボン
アミド系発泡剤を1重量部の割合で混合し、実施例1の
(2)と同様にして、発泡性ポリウレタン組成物ペレッ
トを製造した。 (3) 上記(2)で得られた発泡性ポリウレタン組成
物ペレットを用いて、実施例1の(3)と同様にして、
膜状に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚
さを有する発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイ
ルムの見掛比重、引張強度および外観を上記した方法で
測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりで
あった。
【0097】《比較例1》実施例1の(1)で得られた
のと同じ熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、
実施例1の(2)で使用したのと同じ黒色顔料ペレット
を5重量部、および実施例1の(2)で使用したのと同
じアゾジカルボンアミド系発泡剤を1重量部の割合で混
合して実施例1の(2)と同様にして発泡性ポリウレタ
ン組成物ペレットを製造し、このペレットを用いて実施
例1の(3)と同様にして、膜状に溶融押出発泡成形を
行って、下記の表3に示す厚さを有する発泡フイルムを
製造した。得られた発泡フイルムの見掛比重、引張強度
および外観を上記した方法で測定または評価したとこ
ろ、下記の表3に示すとおりであった。
【0098】《比較例2》実施例1の(1)で得られた
のと同じ熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、
下記の表2に示す(メタ)アクリル酸アルキルエステル
系重合体35重量部、実施例1の(2)で使用したのと
同じ黒色顔料ペレットを5重量部、および実施例1の
(2)で使用したのと同じアゾジカルボンアミド系発泡
剤を2重量部の割合で混合して実施例1の(2)と同様
にして発泡性ポリウレタン組成物ペレットを製造し、こ
のペレットを用いて実施例1の(3)と同様にして、膜
状に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さ
を有する発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイル
ムの見掛比重、引張強度および外観を上記した方法で測
定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであ
った。
【0099】《比較例3》実施例5の(1)で得られた
のと同じ熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、
実施例1の(2)で使用したのと同じ黒色顔料ペレット
を5重量部、および実施例1の(2)で使用したのと同
じアゾジカルボンアミド系発泡剤を1重量部の割合で混
合して実施例1の(2)と同様にして発泡性ポリウレタ
ン組成物ペレットを製造し、このペレットを用いて実施
例1の(3)と同様にして、膜状に溶融押出発泡成形を
行って、下記の表3に示す厚さを有する発泡フイルムを
製造した。得られた発泡フイルムの見掛比重、引張強度
および外観を上記した方法で測定または評価したとこ
ろ、下記の表3に示すとおりであった。
【0100】《比較例4》実施例5の(1)で得られた
のと同じ熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、
下記の表2に示す(メタ)アクリル酸アルキルエステル
系重合体35重量部、実施例1の(2)で使用したのと
同じ黒色顔料ペレットを5重量部、および実施例1の
(2)で使用したのと同じアゾジカルボンアミド系発泡
剤を3重量部の割合で混合して実施例1の(2)と同様
にして発泡性ポリウレタン組成物ペレットを製造し、こ
のペレットを用いて実施例1の(3)と同様にして、膜
状に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さ
を有する発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイル
ムの見掛比重、引張強度および外観を上記した方法で測
定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであ
った。
【0101】下記の表2で用いた略号の内容は以下の表
1に示すとおりである。
【0102】
【表1】 略 号 : 内 容 BD :1,4−ブタンジオール MDI :4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート PMPA :3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸からなる ポリエステルジオール(数平均分子量1,500) PTG :ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1,000) ADCA :アゾジカルボンアミド系発泡剤(永和化成株式会社製「ビニホ ームAC#3」) PMMA−1:メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル(75/25重量比) 共重合体(三菱レイヨン株式会社製「メタプレンP530」、 数平均分子量3,100,000) PMMA−2:メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル(50/50重量比) 共重合体(三菱レイヨン株式会社製「メタプレンL1000」、 数平均分子量300,000)
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】 発泡フイルムの物性 例 厚 み 見掛比重 引張強度 外 観 (μm) (kg/cm2) 実施例1 255 0.75 300 ○ 実施例2 260 0.73 280 ○ 実施例3 245 0.78 290 ○ 実施例4 250 0.70 330 ○ 実施例5 255 0.73 280 ○ 実施例6 240 0.75 300 ○ 比較例1 290 0.60 190 × 比較例2 250 0.98 290 × 比較例3 275 0.63 180 × 比較例4 250 1.02 285 ×
【0105】上記の表2および表3の結果から、熱可塑
性ポリウレタン100重量部に対して、数平均分子量が
200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル系重合体を1〜30重量部の範囲内の量で配合した
実施例1〜6の発泡性ポリウレタン組成物を用いた場合
には、引張強度に優れ、しかも平滑で良好な外観を有す
る発泡フイルムが得られることがわかる。それに対し
て、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を含
有しない発泡性ポリウレタン組成物を用いた比較例1お
よび比較例3の場合は、溶融粘度が低すぎて発泡に適し
たものとならず、溶融押出発泡成形により得られる発泡
シートは気泡の破れや気泡径の斑などによる凹凸や荒れ
などが表面に生じていて外観が不良であること、しかも
引張強度も低く、機械的特性にも劣っていることがわか
る。また、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して
30重量部を超える(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル系重合体を配合した発泡性ポリウレタン組成物を用い
た比較例2および比較例4の場合は、溶融粘度が高くな
り過ぎて、アゾジカルボンアミド系発泡剤の分解によっ
て発生したガスによって充分に膨らまず、発泡シートの
見掛比重が高くなってしまうこと、しかも外観も不良に
なることがわかる。
【0106】《実施例7》 (1) 単繊維繊度2.5デニールのポリエステル繊維
を用いて製造した絡合不織布(目付360g/m2)に
ポリウレタン弾性体(株式会社クラレ製「クラミロンU
2195」、対数粘度1.05dl/g、ショアーA硬
度95)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を含浸さ
せ、乾燥して、厚さ1.3mm、目付455g/m2
繊維質基材を準備した(繊維質基材におけるポリエステ
ル繊維絡合不織布:ポリウレタン弾性体の重量比=8:
2)。
【0107】(2) 高分子ジオールとして3−メチ
ル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸の縮合反応
により得られたポリエステルジオール(PMPA)(数
平均分子量1500)を用い、1,4−ブタンジオール
(BD)、および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PMP
A:BD:MDI=1:1.4:2.4のモル比で用
い、且つそれらの合計供給量が300g/分になるよう
にして、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機
(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度75〜2
60℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行った。
生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状
で水中に押し出した後、ペレタイザーでペレット状に細
断し、このペレットを80℃で5時間除湿乾燥すること
により、対数粘度が1.07dl/gおよびショアー硬
度Aが75の熱可塑性ポリウレタン(以下「PU−1」
ということがある)を製造した。
【0108】(3) 上記(2)で得られた熱可塑性ポ
リウレタン(PU−1)100重量部に対して、実施例
1で使用したのと同じ(メタ)アクリル酸エステル系共
重合体(三菱レイヨン株式会社製「メタプレンP53
0」)8重量部、実施例1で使用したのと同じ黒色顔料
ペレット5重量部、および実施例1で使用したのと同じ
アゾジカルボンアミド系発泡剤1重量部を混合し、2軸
押出機を用いて150〜160℃で溶融混練した後、水
中に押し出し、ペレタイザーで切断して発泡性ポリウレ
タン組成物ペのレットを製造した。
【0109】(4) 図1に示すようにして、上記
(1)で準備した繊維質基材1を、鏡面加工を施した金
属製ロール2と弾性体バックローラ3との間に通して供
給すると共に、前記金属製ローラ2と繊維質基材1との
間に、上記(3)で得られた発泡性ポリウレタン組成物
のペレットを単軸押出機(25mmφ)4に仕込み、溶
融帯温度180〜190℃、ダイ部温度180℃で、T
ダイ(リップ幅0.2mm、ダイ幅350mm)より膜
状に溶融押出発泡させたものを流動状態で供給し、ゲー
ジ圧8kg/cm2でコールドプレスして、繊維質基材
層の表面に厚さ150μmの発泡体層5が形成された積
層体6を製造した。この積層体6における発泡体層5の
発泡倍率は2.0倍であった。
【0110】(5) 上記(3)とは別に、高分子ジオ
ールとして3−メチル−1,5−ペンタンジオールとア
ジピン酸の縮合反応により得られたポリエステルジオー
ル(PMPA)(数平均分子量1500)を用い、これ
に1,4−ブタンジオール(BD)、および50℃で加
熱溶融した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)を、PMPA:BD:MDI=1:2.
1:3.1のモル比で用いて、上記(3)と同様にして
連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタンの製造、ペ
レット化および乾燥を行って、対数粘度が1.09dl
/gおよびショアー硬度Aが85の熱可塑性ポリウレタ
ンを製造した(以下「PU−2」ということがある)。 (6) 上記(5)で得られた熱可塑性ポリウレタン
(PU−2)100重量部に対して、実施例1で使用し
たのと同じ黒色顔料ペレット5重量部を混合し、2軸押
出機を用いて180〜200℃で溶融混練した後、水中
に押し出し、ペレタイザーで切断して無孔質層用のポリ
ウレタン組成物のペレットを製造した。
【0111】(7) 上記(4)で得られた繊維質基材
層1と発泡体層5とからなる積層体6を、毛穴シボ状の
凹凸加工を施してある金属製エンボスロール7と弾性体
バックローラ8との間に通して供給すると共に、前記金
属製エンボスローラ7と前記積層体6の発泡体層5の表
面との間に、上記(6)で得られた無孔質層用のポリウ
レタン組成物ペレットを単軸押出機(25mmφ)9に
仕込み、溶融帯温度190〜210℃、ダイ部温度22
0℃で、Tダイ(リップ幅0.2mm、ダイ幅350m
m)より膜状に溶融押出させたものを流動状態で供給
し、ゲージ圧10kg/cm2でコールドプレスして、
発泡体層5の表面に厚さ100μmの無孔質層10を有
する繊維質基材層/発泡体層/無孔質層よりなる3層構
造積層体11を製造した。この3層構造積層体11は3
0m/分のラインスピードで安定して製造することがで
きた。 (8) 上記(7)で得られた3層構造積層体11は、
その表面強力が大きく、柔軟性に優れ、外観も天然皮革
の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有し
ており、引っ張ったり、折り曲げたときに表面に低品位
の凹凸やシワなどが生じず、外観、風合、触感などにお
いて極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であ
った。また、その3層構造積層体11の剥離強度を上記
した方法で測定したところ15kg/25mmと高い値
であり、一方摩耗減少量は7mgと小さく、耐摩耗性に
優れるものであった。
【0112】《実施例8》 (1) 単繊維繊度0.007デニールの極細ナイロン
繊維を約300本収束した極細繊維束を用いて製造した
極細ナイロン繊維絡合不織布(目付300g/m2)に
ポリウレタン弾性体(株式会社クラレ製「クラミロンU
9198」、対数粘度1.05dl/g、ショアーA硬
度98)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を含浸さ
せ、乾燥して、厚さ1.3mm、目付442g/m2
繊維質基材を準備した(繊維質基材における極細ナイロ
ン繊維絡合不織布:ポリウレタン弾性体の重量比=6:
4)。
【0113】(2) 高分子ジオールとしてポリテト
ラメチレンエーテルグリコール(PTG)(数平均分子
量1000)を用い、これに1,4−ブタンジオール
(BD)、および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PTG:
BD:MDI=1:0.6:1.6のモル比で用いて、
実施例7の(3)と同様にして連続溶融重合を行って熱
可塑性ポリウレタンの製造、熱可塑性ポリウレタンのペ
レットの製造および乾燥を行って、対数粘度が1.02
dl/gおよびショアー硬度Aが75の熱可塑性ポリウ
レタンを製造した(以下「PU−3」ということがあ
る)。 (3) 上記(2)で得られた熱可塑性ポリウレタン
(PU−3)100重量部に対して、実施例3で使用し
たのと同じ(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(三
菱レイヨン株式会社製「メタプレンL1000」)5重
量部、実施例1で使用したのと同じ黒色顔料ペレット5
重量部、および実施例1で使用したのと同じアゾジカル
ボンアミド系発泡剤1重量部を混合し、2軸押出機を用
いて150〜160℃で溶融混練した後、水中に押し出
し、ペレタイザーで切断して発泡性ポリウレタン組成物
のペレットを製造した。
【0114】(4) 図1に示すようにして、上記
(1)で準備した繊維質基材1を、鏡面加工を施した金
属製ロール2と弾性体バックローラ3との間に通して供
給すると共に、前記金属製ローラ2と繊維質基材1との
間に、上記(3)で得られた発泡性ポリウレタン組成物
ペレットを単軸押出機(25mmφ)4に仕込み、溶融
帯温度180〜190℃、ダイ部温度180℃で、Tダ
イ(リップ幅0.2mm、ダイ幅350mm)より膜状
に溶融押出発泡させたものを流動状態で供給し、ゲージ
圧8kg/cm2でコールドプレスして、繊維質基材層
1の表面に厚さ200μmの発泡体層5が形成された積
層体6を製造した。この積層体6における発泡体層の発
泡倍率は2.2倍であった。
【0115】(5) 上記(3)とは別に、高分子ジオ
ールとしてポリテトラメチレンエーテルグリコール(P
TG)(数平均分子量1000)を用い、これに1,4
−ブタンジオール(BD)、および50℃で加熱溶融し
た4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)を、PTG:BD:MDI=1:1.2:2.2の
モル比で用いて、上記(3)と同様にして連続溶融重合
を行って熱可塑性ポリウレタンの製造、熱可塑性ポリウ
レタンのペレットの製造および乾燥を行って、対数粘度
が1.03dl/gおよびショアー硬度Aが85の熱可
塑性ポリウレタンを製造した(以下「PU−4」という
ことがある)。 (6) 上記(5)で得られた熱可塑性ポリウレタン
(PU−4)100重量部に対して、実施例1で使用し
たのと同じ黒色顔料ペレット5重量部を混合し、2軸押
出機を用いて180〜200℃で溶融混練した後、水中
に押し出し、ペレタイザーで切断して無孔質層用のポリ
ウレタン組成物ペレットを製造した。
【0116】(7) 上記(4)で得られた繊維質基材
層1と発泡体層5とからなる積層体6を、毛穴シボ状の
凹凸加工を施した金属製エンボスロール7と弾性体バッ
クローラ8との間に通して供給すると共に、前記金属製
エンボスローラ7と前記積層体6の発泡体層5の表面と
の間に、上記(6)で得られた無孔質層用のポリウレタ
ン組成物ペレットを単軸押出機(25mmφ)9に仕込
み、溶融帯温度190〜210℃、ダイ部温度220℃
で、Tダイ(リップ幅0.2mm、ダイ幅350mm)
より膜状に溶融押出させたものを流動状態で供給し、ゲ
ージ圧10kg/cm2でコールドプレスして、発泡体
層5の表面に厚さ100μmの無孔質層10をさらに有
する、繊維質基材層/発泡体層/無孔質層よりなる3層
構造積層体11を製造した。この3層構造積層体11は
30m/分のラインスピードで安定して製造することが
できた。 (8) 上記(7)で得られた3層構造積層体11は、
その表面強力が大きく、柔軟性に優れ、外観も天然皮革
の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有し
ており、引っ張ったり、折り曲げたときに表面に低品位
の凹凸シワなどが生じず、外観、風合、触感などにおい
て極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であっ
た。また、その3層構造積層体11の剥離強度を上記し
た方法で測定したところ13kg/25mmと高い値で
あり、一方摩耗減少量は9mgと小さく、耐摩耗性に優
れるものであった。
【0117】《実施例9》実施例7の(3)において、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体として
「メタプレンP530」の代わりに、「メタプレンL1
000」を用いて発泡性ポリウレタン組成物を製造した
以外は、実施例7と全く同様にして、繊維質基材層/発
泡体層/無孔質層よりなる3層構造積層体を製造した。
その結果得られた3層構造積層体は、その表面強力が大
きく、柔軟性に優れ、外観も天然皮革の毛穴シボ品に極
めて近い良好な毛穴状シボ模様を有しており、引っ張っ
たり、折り曲げたときに表面に低品位の凹凸シワなどが
生じず、外観、風合、触感などにおいて極めて優れてお
り、高級感のある皮革様積層体であった。また、その3
層構造積層体の剥離強度を上記した方法で測定したとこ
ろ14kg/25mmと高い値であり、一方摩耗減少量
は7mgと小さく、耐摩耗性に優れるものであった。
【0118】《比較例5》実施例7の(3)において、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体(「メタ
プレンP530」)を用いなかった以外は、実施例7と
全く同様にして、繊維質基材層/発泡体層/無孔質層よ
りなる3層構造積層体をラインスピード30m/分で製
造した。 その結果、繊維質基材層と発泡体層とからなる積層体を
製造する際に、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度が
低いことにより、押し出し直後から気泡の巨大化、潰
れ、破裂などが生じ、発泡体層の表面は凹凸の大きい粗
悪なものであった。また、最終的に得られた3層構造積
層体においても、無孔質層の下の発泡体層の粗悪な表面
状態の影響を受けて、無孔質層の表面にエンボスロール
による毛穴状のシボ模様が充分に形成されず、凸部の角
が流れて(崩れて)不鮮明になりシボ流れが生じてい
た。その上、積層体の一体感も乏しく、柔軟性に欠ける
硬い風合であった。また、その3層構造積層体の剥離強
度を上記した方法で測定したところ5kg/25mmと
低い値であり、一方摩耗減少量は20mgと大きく、耐
摩耗性に劣っていた。
【0119】《比較例6》実施例8の(3)において、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体(「メタ
プレンL1000」)を用いなかった以外は、実施例8
と全く同様にして、繊維質基材層/発泡体層/無孔質層
よりなる3層構造積層体をラインスピード30m/分で
製造した。 その結果、繊維質基材層と発泡体層とからなる積層体を
製造する際に、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度が
低いことにより、押し出し直後から気泡の巨大化、潰
れ、破裂などが生じ、発泡体層の表面は凹凸の大きい粗
悪なものであった。また、最終的に得られた3層構造積
層体においても、無孔質層の下の発泡体層の粗悪な表面
状態の影響を受けて、無孔質層の表面にエンボスロール
による毛穴状のシボ模様が充分に形成されず、凸部の角
が流れて(崩れて)不鮮明になりシボ流れが生じてい
た。その上、積層体の一体感も乏しく、柔軟性に欠ける
硬い風合であった。また、その3層構造積層体の剥離強
度を上記した方法で測定したところ5kg/25mmと
低い値であり、一方摩耗減少量は20mgと大きく、耐
摩耗性に劣っていた。
【0120】
【発明の効果】本発明による場合は、大きさの揃った微
細な気泡が発泡体内部に斑なく均一に分布しており、表
面に気泡の破れや気泡径の斑などに起因する荒れや凹凸
がなくて表面状態が良好であり、しかも柔軟性、機械的
強度、耐摩耗性などの力学的特性などにも優れる、高品
質の熱可塑性ポリウレタン発泡体、ポリウレタン発泡体
と基材とからなる複合材料や積層体が提供される。そし
て、繊維質基材層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/熱
可塑性エラストマー無孔質層よりなる本発明の3層構造
積層体では、それぞれの層の特性が充分に活かされた、
柔軟性、弾力性、耐摩耗性、機械的強度などの諸特性に
優れ、層間剥離がなく、引っ張ったり、折り曲げたりし
たときに低品位の皺や凹凸の生じない、天然皮革に近似
した、高級感のある外観、風合、触感など有している。
さらに、本発明の発泡性ポリウレタン組成物を用いて、
本発明の方法によって、上記した熱可塑性ポリウレタン
発泡体、それと他の基材との複合体や積層体、上記した
3層構造積層体を製造した場合には、環境上や安全性な
どの点で大きな問題になっている有機溶剤やフロンガス
発泡剤などを使用することなく、上記した高品質の製品
を円滑に且つ高い生産性で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】繊維質基材層/発泡体層/熱可塑性エラストマ
ー無孔質層からなる本発明の3層構造積層体の製造に好
ましく採用される製造工程の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 繊維質基材 2 鏡面加工を施した金属製ロール 3 弾性体バックローラ 4 押出機 5 発泡体層 6 繊維質基材層と発泡体層からなる積層体 7 金属製エンボスロール 8 弾性体バックローラ 9 押出機 10 無孔質層 11 3層構造積層体

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリウレタン100重量部に対
    して、数平均分子量が200,000以上の(メタ)ア
    クリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の
    割合で含有し、且つ熱分解型発泡剤を含有することを特
    徴とする発泡性ポリウレタン組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリウレタン100重量部に対
    して、数平均分子量が200,000以上の(メタ)ア
    クリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の
    割合で含有する熱可塑性ポリウレタン組成物よりなる発
    泡体。
  3. 【請求項3】 発泡体がフイルム、シートまたは板であ
    る請求項2の発泡体。
  4. 【請求項4】 請求項1の発泡性ポリウレタン組成物を
    用いて溶融発泡成形を行うことを特徴とする発泡体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 溶融押出発泡成形を行って発泡体を製造
    する請求項4の製造方法。
  6. 【請求項6】 発泡フイルム、シートまたは板を製造す
    る請求項5の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱可塑性ポリウレタン100重量部に対
    して、数平均分子量が200,000以上の(メタ)ア
    クリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の
    割合で含有する熱可塑性ポリウレタン組成物よりなる発
    泡体層および基材層を有することを特徴とする積層体。
  8. 【請求項8】 下記の(A)〜(C); (A)請求項1の発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶
    融発泡成形を行うと同時に基材と積層する方法; (B)請求項1の発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶
    融発泡成形を行った後に溶融状態で基材と積層する方
    法;および、 (C)請求項1の発泡性ポリウレタン組成物を用いて未
    発泡状態で溶融成形を行い溶融状態で基材との積層体を
    製造した後に発泡させる方法; のいずれかの方法によって、請求項7の積層体を製造す
    る方法。
  9. 【請求項9】 繊維質基材上に、熱可塑性ポリウレタン
    100重量部に対して、数平均分子量が200,000
    以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を
    1〜30重量部の割合で含有する熱可塑性ポリウレタン
    組成物よりなる発泡体層を有し、更に前記発泡体層上に
    熱可塑性エラストマーよりなる無孔質層を有しているこ
    とを特徴とする積層体。
  10. 【請求項10】 無孔質層を構成する熱可塑性エラスト
    マーが熱可塑性ポリウレタンエラストマーである請求項
    9の積層体。
  11. 【請求項11】 無孔質層表面に凹凸加工および/また
    は鏡面加工を施してある請求項9または10の積層体。
  12. 【請求項12】 (1) 下記の(a)〜(c); (a)請求項1の発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶
    融押出発泡を行うと同時にポリウレタン発泡体を繊維質
    基材と積層する方法; (b)請求項1の発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶
    融押出発泡した後に溶融状態で繊維質基材と積層する方
    法;および、 (c)請求項1の発泡性ポリウレタン組成物を用いて未
    発泡状態で溶融押出を行い溶融状態で繊維質基材と積層
    した後に発泡させる方法; のいずれかの方法によってポリウレタン発泡体層と繊維
    質基材とからなる積層体を製造する工程;並びに、 (2) 上記(1)の積層体の製造前、製造と同時、ま
    たは製造後に、発泡性ポリウレタン組成物層またはポリ
    ウレタン発泡体層上に、熱可塑性エラストマーの溶融押
    出物を膜状に積層させる工程;を有することを特徴とす
    る請求項10の積層体の製造方法。
  13. 【請求項13】 熱可塑性エラストマーよりなる無孔質
    層が溶融または可塑化状態にある間に、該無孔質層の表
    面に凹凸加工および/または鏡面加工を施すことからな
    る請求項12の積層体の製造方法。
JP17718196A 1996-06-19 1996-06-19 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体の製造方法 Expired - Fee Related JP3532354B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17718196A JP3532354B2 (ja) 1996-06-19 1996-06-19 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17718196A JP3532354B2 (ja) 1996-06-19 1996-06-19 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003349838A Division JP3990664B2 (ja) 2003-10-08 2003-10-08 ポリウレタン発泡体およびポリウレタン発泡体層を有する積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH101560A true JPH101560A (ja) 1998-01-06
JP3532354B2 JP3532354B2 (ja) 2004-05-31

Family

ID=16026604

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17718196A Expired - Fee Related JP3532354B2 (ja) 1996-06-19 1996-06-19 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3532354B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005090455A1 (en) * 2004-03-15 2005-09-29 Dow Global Technologies, Inc. Method to adhere an expandable flexible polyurethane to a substrate
JPWO2004050363A1 (ja) * 2002-12-02 2006-03-30 ダイセル・デグサ株式会社 複合成形体及びその製造方法
KR100903772B1 (ko) * 2001-09-13 2009-06-19 오카모토 가부시키가이샤 우레탄 수지계 표피재 및 그의 제조방법
WO2020116303A1 (ja) * 2018-12-05 2020-06-11 Dic株式会社 ウレタン樹脂組成物、及び、合成皮革
CN114603966A (zh) * 2015-04-14 2022-06-10 三芳化学工业股份有限公司 热可塑性人工皮革及其制造方法与热可塑性复合基材

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100903772B1 (ko) * 2001-09-13 2009-06-19 오카모토 가부시키가이샤 우레탄 수지계 표피재 및 그의 제조방법
JPWO2004050363A1 (ja) * 2002-12-02 2006-03-30 ダイセル・デグサ株式会社 複合成形体及びその製造方法
JP2010173325A (ja) * 2002-12-02 2010-08-12 Daicel-Evonik Ltd 複合成形体及びその製造方法
WO2005090455A1 (en) * 2004-03-15 2005-09-29 Dow Global Technologies, Inc. Method to adhere an expandable flexible polyurethane to a substrate
CN114603966A (zh) * 2015-04-14 2022-06-10 三芳化学工业股份有限公司 热可塑性人工皮革及其制造方法与热可塑性复合基材
WO2020116303A1 (ja) * 2018-12-05 2020-06-11 Dic株式会社 ウレタン樹脂組成物、及び、合成皮革
JPWO2020116303A1 (ja) * 2018-12-05 2021-02-15 Dic株式会社 ウレタン樹脂組成物、及び、合成皮革

Also Published As

Publication number Publication date
JP3532354B2 (ja) 2004-05-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100637646B1 (ko) 열가소성 중합체 조성물
WO2002046283A1 (fr) Mousse de polyurethane thermoplastique, son procede de fabrication et tampons de polissage a base de cette mousse
JP2739435B2 (ja) 皮革様シートおよびその製造方法
TW202306775A (zh) 包含發泡粒子之多層複合材料
JP3645679B2 (ja) 積層体を製造する方法
JP3983610B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン発泡体およびそれからなる研磨パッド
JP3481766B2 (ja) 積層体およびその製造方法
JP3693458B2 (ja) 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体
JP3990664B2 (ja) ポリウレタン発泡体およびポリウレタン発泡体層を有する積層体
JP3532354B2 (ja) 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体の製造方法
JPH10278182A (ja) 積層体およびその製造方法
JP2002371154A (ja) 熱可塑性ポリウレタン発泡体およびその製造方法並びに該発泡体からなる研磨パッド
JP2000143969A (ja) 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体
JP3657405B2 (ja) 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体
JP4408778B2 (ja) 合成皮革
JPH09300546A (ja) 積層体およびその製造方法
JPH11256031A (ja) 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体
JP3609887B2 (ja) 合成皮革及びその製造方法
JP3638702B2 (ja) 積層体およびその製造方法
JP3583222B2 (ja) 積層体およびその製造方法
KR102037641B1 (ko) 인조가죽 및 이의 제조방법
JP4043359B2 (ja) ウレタン系樹脂発泡シート
JP2001031790A (ja) 熱可塑性ポリウレタンの射出発泡成形物
JP4522313B2 (ja) 合成皮革用の積層体
JP2000219763A (ja) 発泡性ポリウレタン組成物およびそれからなるポリウレタン発泡体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040303

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090312

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100312

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110312

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120312

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees