JPH10153203A - シリンダ位置検出装置 - Google Patents

シリンダ位置検出装置

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JPH10153203A
JPH10153203A JP8330997A JP8330997A JPH10153203A JP H10153203 A JPH10153203 A JP H10153203A JP 8330997 A JP8330997 A JP 8330997A JP 8330997 A JP8330997 A JP 8330997A JP H10153203 A JPH10153203 A JP H10153203A
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康弘 湯浅
Shuichi Tanaka
秀一 田中
Nobuyuki Akatsu
伸行 赤津
Kazuya Sakamoto
和也 坂元
Hiroshi Sakamoto
宏 坂本
Akio Yamamoto
明男 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストン部外周に格別の加工の必要が無く、
サイズの異なるシリンダにおいても共用化が容易であ
り、摺動摩耗の心配もないこと。 【解決手段】 第1の支持体4の一端がシリンダ本体2
の閉鎖端側にて片持ち支持され、他端が該シリンダ本体
の開口端の方に延びている。ピストン部3の内部には、
第1の支持体4の侵入を許すように空間6が設けられ
る。ピストン部3の内部に設けられた空間6内におい
て、一端が片持ち支持され、他端がシリンダ本体の閉鎖
端の方に延びた第2の支持体5が設けられる。検出部
は、コイル部10及びこのコイル部に対して相対的に変
位可能に非接触的に配置される磁気応答部材20を含
み、第1及び第2の支持体4,5の一方にコイル部10
を設け、他方に磁気応答部材20を設ける。ピストン部
の位置に応じて第1及び第2の支持体4,5の相対位置
が変位し、対応する検出信号がコイル部10から出力さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導型の位置検出
装置を内蔵したシリンダ位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】流体圧シリンダ等のストローク位置を検
出する位置検出装置は、従来より種々の方式のものが知
られている。そのうち、電磁コイルを使用した誘導型の
シリンダ位置検出装置としては、例えば、実公平2−2
6003号公報等に示されたものが知られている。従来
公知のこの種の誘導型のシリンダ位置検出装置は、いず
れも、ピストンロッドの表面を凹凸加工したり、ピスト
ンロッドの表面に磁性体又は導電体のパターンを形成
し、その上から所要のコーティング処理を施してピスト
ンロッド表面の保護を図ったものである。また、位置検
出方式は、複数の1次コイルを互いに電気的位相のずれ
た複数相の交流信号(例えばsin ωtとcosωt)でそ
れぞれ励磁し、各1次コイルによる2次側誘導信号を合
成して1つの2次出力信号を生成し、励磁用の交流信号
に対するこの2次出力信号における電気的位相ずれが検
出対象ピストン位置を示すようにした位相シフトタイプ
からなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来装置のようにピス
トンロッドの表面に所要の加工・形成を行うものにおい
ては、ピストンロッドの製造・加工が面倒であり、ま
た、各シリンダロッド毎に特注で製造・加工を行わなけ
ればならないため、様々なタイプ・サイズのシリンダに
おいて位置検出装置の共用化を図ることができなかっ
た。また、加工済みのピストンロッドの表面に所要のコ
ーティング処理を施したとしても、ピストンロッドの伸
縮動作の繰り返しによる摺動摩耗によって、数年の使用
によって、表面コーティングが剥がれてしまい、耐久性
に乏しいという問題点もあった。更に、従来の位相シフ
トタイプの誘導型直線位置検出装置では、差動トランス
に比べて多くの点で利点を持っているが、少なくとも2
相の交流信号(例えばsin ωtとcos ωt)を用意しな
ければならないため、励磁回路の構成が複雑になるとい
う問題点があった。また、温度変化等によって1次及び
2次コイルのインピーダンスが変化すると、2次出力信
号における電気的位相ずれに誤差が生じるという欠点も
あった。
【0004】本発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、ピストンロッドの外周に格別の加工をする必要が無
く、サイズの異なるシリンダにおいても検出装置各要素
の共用化を容易に図ることができ、かつ、摺動摩耗の心
配のない耐久性に富んだシリンダ位置検出装置を提供し
ようとするものである。また、小型かつシンプルな構造
を持つと共に、広い範囲にわたってシリンダロッド位置
検出の可能な誘導型のシリンダ位置検出装置を提供しよ
うとするものである。また、製造が極めて容易になるよ
うなシンプルな構造を持つシリンダ位置検出装置を提供
しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るシリンダ位
置検出装置は、シリンダ本体と、このシリンダ本体に対
して相対的に直線変位可能に挿入されたピストン部とを
含むシリンダ装置において、前記シリンダ本体の内部に
おいて、該シリンダ本体の閉鎖端側にて一端が片持ち支
持され、他端が該シリンダ本体の開口端の方に延びた、
第1の支持体と、前記ピストン部の内部において、前記
第1の支持体の侵入を許すように設けられた空間と、前
記ピストン部の内部に設けられた前記空間内において、
一端が片持ち支持され、他端が前記シリンダ本体の閉鎖
端の方に延びた、第2の支持体と、コイル部及びこのコ
イル部に対して相対的に変位可能に非接触的に配置され
る磁気応答部材を含み、該磁気応答部材の該コイル部に
対する相対的位置に応じた検出信号を前記コイル部から
出力するものであって、前記第1及び第2の支持体の一
方に該コイル部が配設され、他方に該磁気応答部材が配
設されてなる検出部とを具備し、前記ピストン部の前記
シリンダ本体に対する相対的直線変位に伴って前記第1
及び第2の支持体に夫々配設された前記磁気応答部材と
コイル部との相対的位置が変位し、これにより該ピスト
ン部の直線位置に対応する前記検出信号が出力されるこ
とを特徴とするものである。
【0006】上記構成によれば、ピストン部の内部に形
成された空間内に第1及び第2の支持体が収納されて、
シリンダ本体に対するピストン部の相対的直線変位に応
じて該第1及び第2の支持体の相対的位置が変化するよ
うになっており、かつ、検出部の磁気応答部材とコイル
部を両支持体に夫々配設することにより、シリンダ本体
に対するピストン部の相対的直線変位に応じて磁気応答
部材とコイル部の相対位置が変化し、かくして、シリン
ダ本体に対するピストン部の直線位置に対応する検出信
号がコイル部から得られるようになっている。これによ
り、本発明によれば、ピストンロッドの外周に格別の加
工をする必要が無いものとなっており、かつ、検出部の
磁気応答部材とコイル部は支持体に夫々配設する構成で
あってピストン又はシリンダ本体に取り付ける構成では
ないので、サイズの異なるシリンダにおいても検出装置
各要素(つまり磁気応答部材とコイル部)の共用化を容
易に図ることができ、かつ、摺動摩耗の心配のない耐久
性に富んだシリンダ位置検出装置を提供することができ
る。また、小型かつシンプルな構造を持つと共に、広い
範囲にわたってシリンダロッド位置検出の可能な誘導型
のシリンダ位置検出装置を提供することができる。更に
は、製造が極めて容易になるようなシンプルな構造を持
つシリンダ位置検出装置を提供することができる。
【0007】一例として、前記第1の支持体は、筒状体
からなっており、前記第2の支持体は、棒状体からなっ
ていて、該棒状体が前記筒状体の筒内に侵入している構
成を採用してよい。このような構成は、限られたスペー
スでの第1及び第2の支持体の相互変位関係を円滑に
し、かつコイル部の配設を容易にする。更に、前記第1
の支持体を構成する前記筒状体は、2重筒からなってい
て、該2重筒の筒間スペース内に前記コイル部を気密又
は液密に収納してなるようにしてもよい。この構成は、
電気回路の一部であるコイル部を、シリンダ本体内の圧
力流体から気密又は液密に保護する上で有利である。
【0008】検出部の好ましい実施形態例としては、前
記コイル部は、1相の交流信号によって励磁される1次
コイル及び直線変位方向に関して異なる位置に配置され
た複数の2次コイルを含み、前記磁気応答部材は、所定
の磁気応答特性を持つ磁気応答部材を直線変位方向に沿
って所定のピッチで複数繰り返して設けて成り、前記相
対的変位に応じて前記部材の前記コイル部に対する対応
位置が変化することにより前記1次コイルと各2次コイ
ル間の磁気結合が前記ピストン部の直線位置に応じて変
化され、これにより、該直線位置に応じて振幅変調され
た誘導出力交流信号を、各2次コイルの配置のずれに応
じて異なる振幅関数特性で、各2次コイルに誘起させる
ようにしたものとするとよい。この構成によれば、1相
の交流信号によって励磁する構成であるため、励磁回路
の構成が簡単である、という利点を有する。また、磁気
応答部材において、所定の磁気応答特性を持つ磁気応答
部材を直線変位方向に沿って所定のピッチで複数繰り返
して設けて成るので、2次コイルに誘起される誘導出力
交流信号として、該磁気応答部材の繰り返しピッチを1
サイクルとして周期的に変化する信号を得ることがで
き、検出可能範囲を拡大することができるものである。
【0009】また、前記検出部から出力される前記直線
位置に応じて振幅変調された前記誘導出力交流信号とし
て、サイン関数の振幅関数を持つ第1の出力交流信号と
コサイン関数の振幅関数を持つ第2の出力交流信号とを
出力するようにし、前記第1の出力交流信号と第2の出
力交流信号を入力し、前記直線位置を示す前記サイン関
数とコサイン関数の位相値を検出する位相検出回路を更
に具備するようにするとよい。上記構成によれば、回転
型位置検出装置である従来知られたレゾルバにおいて得
られるのと同様の、2つの出力交流信号(サイン出力と
コサイン出力)をシリンダ位置検出装置において得るこ
とができる。従って、そのような本発明に係るシリンダ
位置検出装置においては、前記第1の出力交流信号と第
2の出力交流信号を入力し、両信号の振幅値に相当する
前記サイン関数とコサイン関数の位相値を検出する位相
検出回路を更に具備することにより、電気的位相の測定
に基づいて精度のよいアブソリュート位置検出が可能で
ある。このような位相検出回路としては、レゾルバ用の
位相検出回路として従来知られたR−D(レゾルバ−デ
ィジタル)コンバータを使用することができるし、その
他の方式の位相検出回路を用いることもできる。このよ
うなレゾルバタイプの位相検出回路を使用することがで
きることは、従来の位相シフトタイプの誘導型直線位置
検出装置が持っていたような、温度変化等によって1次
及び2次コイルのインピーダンスが変化することにより
2次出力信号における電気的位相ずれに誤差が生じると
いう欠点を除去することができるので、好都合である。
【0010】また、一実施の形態として、前記コイル部
が、前記磁気応答部材の1ピッチ内のアブソリュート位
置に応答する第1の検出信号を出力する第1のコイル部
と、前記磁気応答部材の終端部の通過に応答する第2の
検出信号を出力する少なくとも1つの第2のコイル部と
を含むようにしてもよい。これにより、第2のコイル部
によって、ピストン部の直線位置が所定の定位置に達し
たことを検出することができる。このような第2のコイ
ル部を複数設けることにより、磁気応答部材の1ピッチ
を越えるアブソリュート位置の検出に利用することもで
きる。また、別の実施の形態として、前記コイル部が、
前記磁気応答部材の1ピッチ内のアブソリュート位置に
応答する第1の検出信号を出力する第1のコイル部と、
前記磁気応答部材の1ピッチよりも長い範囲にわたって
設けられてなり、該磁気応答部材の侵入量に応答する第
2の検出信号を出力する第2のコイル部とを含むように
してもよい。これによっても、磁気応答部材の1ピッチ
を越えるアブソリュート位置の検出を行うことがてせき
る。
【0011】本発明に係るシリンダ位置検出装置の一実
施形態においては、前記磁気応答部材の芯部を成す棒状
体をピアノ線のような金属線で構成し、この芯線の周囲
に磁性体金属片を所定のピッチで複数繰り返して配置し
てそれぞれをかしめ止めするようにしてもよい。このよ
うな構成は、ピアノ線と金属片を用意し、金属片を所望
のピッチでピアノ線にかしめ止めすることにより、提供
できるので、構成が極めて簡単であり、かつ製造が極め
て容易であり、製造コストも極めて安価にすることがで
きるので、かなり有意義である。しかも、磁気応答部材
つまりコアの径は、ピアノ線の径に金属片の厚みを足し
た程度の小さなものとなり、これに伴い、コイル部の各
コイルの径も小さくすることができるので、全体として
かなり小型化された検出部を提供することができること
となり、ピストン部に設ける空間のサイズを小さくして
その強度を損なうことがないようにすることができる。
また、芯線をピアノ線等の金属線で構成するため、強靭
でありながら軽量かつフレキシビリティに富むものであ
り、強度、重量、柔軟性の全ての点で有利であり、か
つ、安価でもある。その場合、前記金属片としてスプリ
ングピンを用いると、かしめ止め加工作業も楽になり、
しかも安価であるから、極めて有利である。また、前記
金属片として略円形乃至楕円形の金属片を使用してもよ
く、略円形乃至楕円形の形状により、直線位置に応じた
磁気結合係数の変化を三角関数に近似した理想的なもの
にし易くなるので、有利である。また、所定のサイズの
前記金属片を1乃至複数個連続して前記芯部の周囲にか
しめ止めするようにすれば、磁気応答部材の繰り返し配
列の所定の1ピッチの長さが任意に変化できるので、製
造及び加工に際して、材料の共用化を図ることができる
ので、有利である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発
明の実施の形態を詳細に説明しよう。図1は本発明の一
実施例に係るシリンダ位置検出装置をシリンダ軸方向に
沿う断面図で示すものである。このシリンダ位置検出装
置が適用されるシリンダ装置1は、油圧又は空気圧シリ
ンダなど、どのようなタイプのシリンダであってもよ
い。このシリンダ装置1は、通常知られるように、シリ
ンダ本体2と、このシリンダ本体2に対して相対的に直
線変位可能に挿入されたピストン部3とを含んでいる。
なお、図1において、シリンダ本体2に関連する油圧又
は空気圧回路の図示は省略してある。シリンダ本体2の
内部においては、該シリンダ本体2の閉鎖端2a側にて
一端が片持ち支持され、他端が該シリンダ本体2の開口
端2bの方に延びた、第1の支持体4が設けられてい
る。図示の例では、この第1の支持体4は、2重筒状の
筒状体からなっている。
【0013】シリンダ本体2の内部には第1の支持体4
が延びて設けられているが故に、シリンダ本体2の内部
でX方向に前後に直線移動するピストン部3は、この第
1の支持体4を適切に避ける必要がある。そこで、ピス
トン部3の内部において、この第1の支持体4の侵入を
許すように、所要の空間6が設けられる。ピストン部3
においては、その内部に設けられた空間6内において、
一端がピストン部3の適宜箇所にて片持ち支持され、他
端がシリンダ本体2の閉鎖端2aの方に延びた、第2の
支持体5が設けられている。図示の例では、この第2の
支持体5は、棒状体からなっており、筒状体からなる第
1の支持体4の筒内に侵入している。上記第1及び第2
の支持体4,5は、検出部を構成するコイル部10と磁
気応答部材20とを夫々適切に搭載して支持するための
ものである。電磁誘導式の検出部は、コイル部10と、
このコイル部10に対して相対的に変位可能に非接触的
に配置される磁気応答部材20を含んで構成されてお
り、該磁気応答部材20の該コイル部10に対する相対
的位置に応じた検出信号を前記コイル部10から出力す
るようになっている。図示の例では、シリンダ本体2の
側に設けられた第1の支持体(2重筒)4の側にコイル
部10が配設され、ピストン部3の側に設けられた第2
の支持体5(棒状体)の側に磁気応答部材20が配設さ
れる。この場合、第1の支持体(2重筒)4は、非磁性
体からなる。
【0014】コイル部10と磁気応答部材20の配置に
は様々な変形が可能であるが、以下、好ましい一例につ
いて具体的に説明する。図1において、第1の支持体4
を構成する筒状体は2重筒からなっていて、該2重筒の
筒間スペース4c内にコイル部10が気密又は液密に収
納されている。すなわち、内側筒4aと外側筒4bの間
のスペース4cにコイル部10が嵌入して所定位置で固
定され、該スペース4cがシーリング4dで封印されて
気密又は液密となっている。コイル部10の配線(図示
せず)は、2重筒スペース4c及びシリンダ閉鎖端部2
a内に適宜穿たれた通り道7を通って、コネクタ8に接
続され、外部とコンタクトする。第2の支持体5は、棒
状の磁性体例えば適宜の太さのピアノ線からなってい
て、その周囲に直線変位方向に沿って所定のピッチpで
複数の磁気応答部材20が繰り返して配置されている。
このように磁気応答部材20を設けた第2の支持体5の
一端がピストン部3に固定され、他端が直線変位方向X
に延びて、第1の支持体4の内側筒4a内に侵入してい
る。第1の支持体4に設けられたコイル部10の磁界が
内側筒4a内を移動する磁気応答部材20によって影響
され、該コイル部10の誘導結合が変化し、該コイル部
10に対する磁気応答部材20の相対的位置関係に応じ
た検出信号がコイル部10から出力される。
【0015】既に知られているように、磁気応答部材2
0の材質を鉄またはニッケルなどのような磁性体、ある
いは銅またはアルミニウムなどのような非磁性の導電体
とすることにより、透磁率あるいは磁気抵抗あるいは渦
電流損失などの所定の磁気応答特性を持たせることがで
きるので、そのように適宜の材質を用いて磁気応答部材
20を構成してよい。なお、芯部である支持体5の材質
も、ピアノ線に限らず、磁性体又は非磁性体又は導電体
など適宜の材質を用いてよく、どのような材質を用いる
かは、磁気応答部材20の材質及び/又は形状等との兼
ね合いによって定まる。要するに、磁気応答部材20が
存在する箇所とそうでない箇所との間では、コイル部1
0に及ぼす磁気的応答特性が異なるようになっていれば
よいものである。また、芯部である支持体5に対する磁
気応答部材20の形成法も、貼り付け、接着、かしめ止
め、切削、めっき、蒸着、焼き付け、など適宜の手法を
用いてよい。
【0016】検出部におけるコイル部10の詳細構成例
及び磁気応答部材20との相関関係を明瞭に示すため
に、図2を示す。図2では、便宜上、第1の支持体4の
筒4a,4bの図示を省略してある。コイル部10は、
1相の交流信号によって励磁される1次コイルPW1〜
PW5と、ピストン部3の直線変位方向Xに関して異な
る位置に配置された複数の2次コイルSW1〜SW4とを
含む。これらの1次及び2次コイルの構成を明示するた
めに、図2ではコイル部10は断面を含んで示されてい
るが、実際は、点線で補って示されているように、磁気
応答部材20を配置してなる棒状の第2の支持体5の周
囲にて適宜のギャップを空けて、コイル巻線が巻回され
た状態を成している。1相の交流信号によって共通に励
磁されるが故に、1次コイルPW1〜PW5の数は、1又
は適宜の複数であってよく、その配置も適宜であってよ
い。しかし、複数の1次コイルPW1〜PW5を適宜に分
離して、例えば図2に示されるように各2次コイルSW
1〜SW4をそれぞれの間に挟むように、配置すること
は、1次コイルによって発生する磁界を個別の2次コイ
ルSW1〜SW4に対して有効に及ぼし、かつ磁気応答部
材20による磁場への影響を有効に及ぼすことができる
ので、好ましい。
【0017】検出対象たるピストン部3の直線位置(ス
トローク位置)の変化に応じて、磁気応答部材20のコ
イル部10に対する対応位置が変化することにより、1
次コイルPW1〜PW5と各2次コイルSW1〜SW4間の
磁気結合が該ピストンストローク位置に応じて変化さ
れ、これにより、該ピストンストローク位置に応じて振
幅変調された誘導出力交流信号が、各2次コイルSW1
〜SW4の配置のずれに応じて異なる振幅関数特性で、
各2次コイルSW1〜SW4に誘起される。各2次コイル
SW1〜SW4に誘起される各誘導出力交流信号は、1次
コイルPW1〜PW5が1相の交流信号によって共通に励
磁されるが故に、その電気的位相が同相であり、その振
幅関数が磁気応答部材20の繰り返しピッチの1ピッチ
pに相当する変位量を1サイクルとして周期的にそれぞ
れ変化する。
【0018】4つの2次コイルSW1〜SW4は、磁気応
答部材20の繰り返しピッチの1ピッチpの範囲内にお
いて所定の間隔で配置され、各2次コイルSW1〜SW4
に生じる誘導出力交流信号の振幅関数が、所望の特性を
示すように設定される。例えば、レゾルバタイプの位置
検出装置として構成する場合は、各2次コイルSW1〜
SW4に生じる誘導出力交流信号の振幅関数が、サイン
関数、コサイン関数、マイナス・サイン関数、マイナス
・コサイン関数、にそれぞれ相当するように設定する。
例えば図2に示されるように、1ピッチpの範囲を4分
割し、p/4づつずれた各分割位置に配列する。これに
より、各2次コイルSW1〜SW4に生じる誘導出力交流
信号の振幅関数が、サイン関数、コサイン関数、マイナ
ス・サイン関数、マイナス・コサイン関数、にそれぞれ
相当するように設定することができる。勿論、種々の条
件によって、各コイルの配置は微妙に変わり得るので、
希望の関数特性が得られるように各コイル配置を適宜調
整したり、あるいは2次出力レベルを電気的増幅によっ
て調整して、希望の振幅関数特性が最終的に得られるよ
うにする。
【0019】例えば、2次コイルSW1の出力がサイン
関数(図でsを付記する)に対応するとすると、これに
対してp/2だけずれて配置された2次コイルSW3の
出力はマイナス・サイン関数(図で/s(sバー)を付
記する)に対応し、この両者の出力を差動的に合成する
ことによりサイン関数の振幅関数を持つ第1の出力交流
信号が得られる。また、サイン関数出力に対応する2次
コイルSW1からp/4ずれて配置された2次コイルS
W2の出力はコサイン関数(図でcを付記する)に対応
し、これに対してp/2だけずれて配置された2次コイ
ルSW4の出力はマイナス・コサイン関数(図で/c
(cバー)を付記する)に対応し、この両者の出力を差
動的に合成することによりコサイン関数の振幅関数を持
つ第2の出力交流信号が得られる。。なお、明細書中で
は、表記の都合上、反転を示すバー記号は「/(スラッ
シュ)」で記載するが、これは、図中のバー記号に対応
している。
【0020】図3はコイル部10の回路図であり、1次
コイルPW1〜PW5には共通の励磁交流信号(説明の便
宜上、sinωtで示す)が印加される。この1次コイル
PW1〜PW5の励磁に応じて、磁気応答部材20のコイ
ル部10に対する対応位置に応じた振幅値を持つ交流信
号が各2次コイルSW1〜SW4に誘導される。夫々の誘
導電圧レベルは検出対象直線位置xに対応して2相の関
数特性sinθ,cosθ及びその逆相の関数特性−sinθ,
−cosθを示す。すなわち、各2次コイルSW1〜SW4
の誘導出力信号は、検出対象直線位置xに対応して2相
の関数特性sinθ,cosθ及びその逆相の関数特性−sin
θ,−cosθで振幅変調された状態で夫々出力される。
なお、θはxに比例しており、例えば、θ=2π(x/
p)のような関係である。説明の便宜上、コイルの巻数
等、その他の条件に従う係数は省略し、2次コイルSW
1をサイン相として、その出力信号を「sinθ・sinωt」
で示し、2次コイルSW2をコサイン相として、その出
力信号を「cosθ・sinωt」で示す。また、2次コイル
SW3をマイナス・サイン相として、その出力信号を
「−sinθ・sinωt」で示し、2次コイルSW4をマイナ
ス・コサイン相として、その出力信号を「−cosθ・sin
ωt」で示す。サイン相とマイナス・サイン相の誘導出
力を差動的に合成することによりサイン関数の振幅関数
を持つ第1の出力交流信号(2sinθ・sinωt)が得ら
れる。また、コサイン相とマイナス・コサイン相の誘導
出力を差動的に合成することによりコサイン関数の振幅
関数を持つ第2の出力交流信号(2cosθ・sinωt)が
得られる。なお、表現の簡略化のために、係数「2」を
省略して、以下では、第1の出力交流信号を「sinθ・si
nωt」で表わし、第2の出力交流信号を「cosθ・sinω
t」で表わす。
【0021】こうして、検出対象直線位置xに対応する
第1の関数値sinθを振幅値として持つ第1の出力交流
信号A=sinθ・sinωtと、同じ検出対象直線位置xに
対応する第2の関数値cosθを振幅値として持つ第2の
出力交流信号B=cosθ・sinωtとが出力される。この
ようなコイル構成によれば、回転型位置検出装置である
従来知られたレゾルバにおいて得られるのと同様の、同
相交流であって2相の振幅関数を持つ2つの出力交流信
号(サイン出力とコサイン出力)をシリンダピストンス
トローク位置検出装置において得ることができることが
理解できる。従って、本発明の位置検出装置において得
られる2相の出力交流信号(A=sinθ・sinωtとB=c
osθ・sinωt)は、従来知られたレゾルバの出力と同様
の使い方をすることができる。また、上記のように、4
つの2次コイルSW1〜SW4を磁気応答部材20の繰り
返しピッチの1ピッチpの範囲内において所定の間隔で
配置した構成は、コイル部10全体のサイズを磁気応答
部材20の1ピッチの範囲に略対応する比較的小さなサ
イズに収めることができるので、位置検出装置全体の構
成を小型化することに役立つ。
【0022】直線変位に応じて磁気抵抗を変化させるた
めの磁気応答部材20の設け方の一実施形態として、芯
部である第2の支持体5としてピアノ線を使用し、磁気
応答部材20として所定の金属片を使用し、ピアノ線か
らなる支持体5の周囲に、磁気応答部材20としての該
金属片を所定のピッチで複数繰り返して配置してそれぞ
れの金属片をかしめ止めすることによって、該所定のピ
ッチで繰り返し配置した磁気応答部材20を構成するよ
うにするとよい。このような構成は、単に、所望の長さ
のピアノ線と所望の数の金属片とを用意し、該金属片を
所望のピッチで該ピアノ線にかしめ止めすることだけ
で、製造することができるので、構成が極めて簡単であ
り、かつ製造が極めて容易であり、製造コストも極めて
安価にすることができるので、かなり有意義である。し
かも、検出部の可動コア部の径は、ピアノ線(支持体
5)の径に金属片(磁気応答部材20)の厚みを足した
程度の小さなものとなり、これに伴い、コイル部10の
各コイルの径もかなり小さくすることができるので、全
体としてかなり小型化された位置検出装置を提供するこ
とができる。
【0023】更にその場合、磁気応答部材20としての
前記金属片として、既存のスプリングピンを用いてもよ
く、そのようスプリングピンを用いると、かしめ止め加
工作業も極めて容易になり、かつ、かしめ止めも確実に
なり、しかも安価であるから、極めて有利である。ま
た、磁気応答部材20を形成するための前記金属片とし
て展開状態では長方形のものを使用すると、これを支持
体5(ピアノ線)の周りにかしめ止めしたとき、図2に
示すように、磁気応答部材20は略円筒形状となる。し
かし、これに限らず、磁気応答部材20を形成するため
の前記金属片として展開状態では略円形乃至楕円形の金
属片20’を使用してもよく、これを支持体5(ピアノ
線)の周りにかしめ止めすると、図4に示すように、支
持体5の周囲をカバーする磁気応答部材20の面積が連
続的に変化するものとなり、直線位置の変化に応じた磁
気結合係数の変化を三角関数に近似した理想的なものに
し易くなるので、有利である。
【0024】図5は磁気応答部材20の設け方の別の実
施形態を示すもので、磁気応答部材20として磁性体か
らなる所定径の球22を1乃至複数個連続して配置し、
次いで非磁性体からなる所定径の球23を1乃至複数個
連続して配置して、所望の1ピッチpの長さを確定し、
このような磁性体球22と非磁性体23の所定ピッチの
繰り返しを、棒状の支持体5(ピアノ線)に沿って多数
形成してなるものである。この場合、各球22,23の
中心軸には支持体5(ピアノ線)の挿入を許す孔が穿っ
てあり、該孔に支持体5(ピアノ線)を挿入して多数の
上記所定配置の球22,23を密接して設けるようにす
る。この構成も、磁気応答部材20の繰り返し配列の所
定の1ピッチpの長さが任意に変化できるので、本発明
に従って異なる仕様(ストローク長)の位置検出装置を
製造するに際して、どの場合でも同じ球22,23を利
用できることにより、材料の共用化を図ることができ
る。また、単に球22,23の孔に支持体5(ピアノ
線)を差し込むだけでよいので、製造が極めて簡単であ
る。
【0025】図6は磁気応答部材20の設け方の更に別
の実施形態を示すもので、第2の支持体5として非磁性
及び非導電性すなわち非磁気応答性物体からなる筒を用
いる。この筒(第2の支持体5)の中に、磁気応答部材
20として磁性体からなる所定径の球22を1乃至複数
個連続して配置し、次いで非磁性体からなる所定径の球
23を1乃至複数個連続して配置して、所望の1ピッチ
pの長さを確定し、このような磁性体球22と非磁性体
23の所定ピッチの繰り返しを多数形成してなるもので
ある。この場合も、磁気応答部材20の繰り返し配列の
所定の1ピッチpの長さが任意に変化できるので、本発
明に従って異なる仕様(ストローク長)の位置検出装置
を製造するに際して、どの場合でも同じ球22,23を
利用できることにより、材料の共用化を図ることができ
る。また、単に筒(第2の支持体5)の中に球22,2
3を入れるだけでよいので、製造が極めて簡単である。
【0026】なお、図5及び図6のどちらの場合も、磁
気応答部材20としての球22は、磁性体に限らず、導
電体からなるものであってもよい。また、一方の球22
(又は23)を磁性体とし、他方の球23(又は22)
を導電体としてもよい。また、図5及び図6のどちらの
場合も、球22,23に代えて、楕円球あるいは円柱な
どの任意の形状の物体を使用することができることは容
易に理解できるであろう。例えば、図7は、そろばん玉
のような断面略菱形のテーパ部材25(又は2つの台形
を逆向きにくっつけたもの)の長さを1ピッチpとし
て、これを複数個連続して非磁気応答性物体からなる筒
(第2の支持体)5の中に配置するようにした例を示し
ている。この場合も、筒状の支持体5を使用せずに、テ
ーパ部材25の中心軸に孔を穿ち、線状の支持体5(ピ
アノ線)を差し込むようにしてもよい。テーパ部材25
は、磁性体又は導電体からなり、これが磁気応答部材2
0に相当する。勿論、テーパ部材25の傾斜は直線的な
ものに限らず曲線的でもあってもよい。
【0027】図8は、コイル部10におけるコイル配置
の別の実施形態を示す。図8の例では、4つの2次コイ
ルSW1〜SW4の配置は、1ピッチPの範囲を4分割し
た位置に配置されている点で図1と同じであるが、各2
次コイル間に1次コイルが介在していないことにより、
各2次コイルSW1〜SW4のコイル長が図1の例よりも
長い。この場合、1次コイルPW1,PW2は、2次コイ
ルSW1〜SW4に比べて大径であり、2次コイルSW1
〜SW4の外側に巻かれる格好になっている。ここで、
隣接する2つの2次コイルSW1,SW2の丁度中間位置
に対応してその外側に1つの1次コイルPW1が巻回さ
れた配置となっており、また、別の隣接する2つの2次
コイルSW3,SW4の丁度中間位置に対応してその外側
にもう1つの1次コイルPW2が巻回された配置となっ
ている。各1次コイルPW1,PW2のコイル長は適宜で
あってよいが、2つの1次コイルPW1,PW2はくっつ
くことなく、分離されていることが望ましい。このよう
に1次コイルを分離して個別の2次コイルに対して必要
な範囲でのみ磁界を及ぼすことができるようにしたコイ
ル配置は、図1の場合と同様に、1次コイルによって発
生する磁界を個別の2次コイルSW1〜SW4に対して有
効に及ぼし、かつ磁気応答部材20による磁場への影響
を有効に及ぼすことができるので、好ましい。
【0028】なお、図2及び図8のどちらのコイル配置
においても、隣接する各コイルの境界に磁気シールド用
の磁性体金属を介在させると、クロストークを改善する
ことができ、個別の各2次コイルSW1〜SW4毎の誘導
出力信号における所望の振幅関数特性が改善される。勿
論、コイル部10の構成は図2及び図8に図示の例に限
らず、その他の設計変更が可能である。また、図9に示
すように、コイル部10の端部寄りに位置する2次コイ
ルSW1,SW4の誘導出力特性を良好にするために、該
コイル部10の両端において適宜の間隔を空けて更に1
次コイルPW6,PW7をそれぞれ付加するとよい。
【0029】上述の通り、本発明に係る誘導型のシリン
ダ位置検出装置によれば、リニアタイプの位置検出装置
でありながら、回転型レゾルバと同様の2相の出力交流
信号(A=sinθ・sinωtとB=cosθ・sinωt)をコイ
ル部10の2次コイルSW1〜SW4から出力することが
できるようになる。従って、適切なディジタル位相検出
回路を適用して、前記サイン関数sinθとコサイン関数c
osθの位相値θをディジタル位相検出によって検出し、
これに基づき直線位置xの位置検出データを得るように
することができる。
【0030】例えば、図10は、公知のR−D(レゾル
バ−ディジタル)コンバータを適用した例を示す。コイ
ル部10の2次コイルSW1〜SW4から出力されるレゾ
ルバタイプの2相の出力交流信号A=sinθ・sinωtと
B=cosθ・sinωtが、それぞれアナログ乗算器30,
31に入力される。順次位相発生回路32では位相角φ
のディジタルデータを発生し、サイン・コサイン発生回
路33から該位相角φに対応するサイン値sinφとコサ
イン値cosφのアナログ信号を発生する。乗算器30で
は、サイン相の出力交流信号A=sinθ・sinωtに対し
てサイン・コサイン発生回路33からのコサイン値cos
φを乗算し、「cosφ・sinθ・sinωt」を得る。もう一
方の乗算器31では、コサイン相の出力交流信号B=co
sθ・sinωtに対してサイン・コサイン発生回路33か
らのサイン値sinφを乗算し、「sinφ・cosθ・sinωt」
を得る。引算器34で、両乗算器30,31の出力信号
の差を求め、この引算器34の出力によって順次位相発
生回路32の位相発生動作を次のように制御する。すな
わち、順次位相発生回路32の発生位相角φを最初は0
にリセットし、以後順次増加していき、引算器34の出
力が0になったとき増加を停止する。引算器34の出力
が0になるのは、「cosφ・sinθ・sinωt」=「sinφ・c
osθ・sinωt」が成立したときであり、すなわち、φ=
θが成立し、順次位相発生回路32から位相角φのディ
ジタルデータが出力交流信号A,Bの振幅関数の位相角
θのディジタル値に一致している。従って、任意のタイ
ミングで周期的にリセットトリガを与えて順次位相発生
回路32の発生位相角φを0にリセットして、該位相角
φのインクリメントを開始し、引算器34の出力が0に
なったとき、該インクリメントを停止し、位相角θのデ
ィジタルデータを得る。なお、順次位相発生回路32を
アップダウンカウンタ及びVCOを含んで構成し、引算
器34の出力によってVCOを駆動してアップダウンカ
ウンタのアップ/ダウンカウント動作を制御するように
することが知られており、その場合は、周期的なリセッ
トトリガは不要である。
【0031】温度変化等によってコイル部10の1次及
び2次コイルのインピーダンスが変化することにより2
次出力交流信号における電気的交流位相ωtに誤差が生
じるが、上記のような位相検出回路においては、sinω
tの位相誤差は自動的に相殺されるので、好都合であ
る。これに対して、従来知られた2相交流信号(例えば
sinωtとcosωt)で励磁することにより1相の出力交
流信号に電気的位相シフトが生じるようにした方式で
は、そのような温度変化等に基づく出力位相誤差を除去
することができない。ところで、上記のような従来のR
−Dコンバータからなる位相検出回路は、追従比較方式
であるため、φを追従カウントするときのクロック遅れ
が生じ、応答性が悪い、という問題がある。そこで、本
発明者等は、以下に述べるような新規な位相検出回路を
開発したので、これを使用すると好都合である。
【0032】図11は、本発明に係る誘導形直線位置検
出装置に適用される新規な位相検出回路の一実施形態を
示している。図11において、検出回路部41では、カ
ウンタ42で所定の高速クロックパルスCKをカウント
し、そのカウント値に基づき励磁信号発生回路43から
励磁用の交流信号(例えば−cosωt)を発生し、コイ
ル部10の1次コイルPW1〜PW5に与える。カウンタ
42のモジュロ数は、励磁用の交流信号の1周期に対応
しており、説明の便宜上、そのカウント値の0は、基準
のサイン信号sinωtの0位相に対応しているものとす
る。例えば、カウンタ42のカウント値が0から最大値
まで1巡する間で、基準のサイン信号sinωtの0位相
から最大位相までの1周期が発生されると想定すると、
その基準のサイン信号sinωtより90度遅れた位相で
励磁用の交流信号−cosωtが、励磁信号発生回路43
から発生される。コイル部10の2次コイルSW1〜S
W4から出力される2相の出力交流信号A=sinθ・sinω
tとB=cosθ・sinωtは、検出回路部41に入力され
る。
【0033】検出回路部41において、第1の交流出力
信号A=sinθ・sinωtが位相シフト回路44に入力さ
れ、その電気的位相が所定量位相シフトされ、例えば9
0度進められて、位相シフトされた交流信号A’=sin
θ・cosωtが得られる。また、検出回路部41において
は加算回路45と減算回路46とが設けられており、加
算回路45では、位相シフト回路44から出力される上
記位相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtと巻
線部10の2次巻線SW1〜SW4から出力され第2の交
流出力信号B=cosθ・sinωtとが加算され、その加算
出力として、B+A’=cosθ・sinωt+sinθ・cosωt
=sin(ωt+θ)なる略式で表わせる第1の電気的交
流信号Y1が得られる。減算回路46では、上記位相シ
フトされた交流信号A’=sinθ・cosωtと上記第2の
交流出力信号B=cosθ・sinωtとが減算され、その減
算出力として、B−A’=cosθ・sinωt−sinθ・cosω
t=sin(ωt−θ)なる略式で表わせる第2の電気的
交流信号Y2が得られる。このようにして、検出対象位
置(x)に対応して正方向にシフトされた電気的位相角
(+θ)を持つ第1の電気的交流信号Y1=sin(ωt
+θ)と、同じ前記検出対象位置(x)に対応して負方
向にシフトされた電気的位相角(−θ)を持つ第2の電
気的交流信号Y2=sin(ωt−θ)とが、電気的処理
によって夫々得られる。
【0034】加算回路45及び減算回路46の出力信号
Y1,Y2は、夫々ゼロクロス検出回路47,48に入
力され、それぞれのゼロクロスが検出される。ゼロクロ
スの検出の仕方としては、例えば、各信号Y1,Y2の
振幅値が負から正に変化するゼロクロスつまり0位相を
検出する。各回路47,48で検出したゼロクロス検出
パルスつまり0位相検出パルスは、ラッチパルスLP
1,LP2として、ラッチ回路49,50に入力され
る。ラッチ回路49,50では、カウンタ42のカウン
ト値を夫々のラッチパルスLP1,LP2のタイミング
でラッチする。前述のように、カウンタ42のモジュロ
数は励磁用の交流信号の1周期に対応しており、そのカ
ウント値の0は基準のサイン信号sinωtの0位相に対
応しているものとしたので、各ラッチ回路49,50に
ラッチしたデータD1,D2は、それぞれ、基準のサイ
ン信号sinωtに対する各出力信号Y1,Y2の位相ず
れに対応している。各ラッチ回路49,50の出力は誤
差計算回路51に入力されて、「(D1+D2)/2」
の計算が行なわれる。なお、この計算は、実際は、「D
1+D2」のバイナリデータの加算結果を1ビット下位
にシフトすることで行われるようになっていてよい。
【0035】ここで、コイル部10と検出回路部41間
の配線ケーブル長の長短による影響や、コイル部10の
各1次及び2次コイルにおいて温度変化等によるインピ
ーダンス変化が生じていることを考慮して、その出力信
号の位相変動誤差を「±d」で示すと、検出回路部41
における上記各信号は次のように表わされる。 A=sinθ・sin(ωt±d) A’=sinθ・cos(ωt±d) B=cosθ・sin(ωt±d) Y1=sin(ωt±d+θ) Y2=sin(ωt±d−θ) D1=±d+θ D2=±d−θ
【0036】すなわち、各位相ずれ測定データD1,D
2は、基準のサイン信号sinωtを基準位相に使用して
位相ずれカウントを行なうので、上記のように位相変動
誤差「±d」を含む値が得られてしまう。そこで、誤差
計算回路51において、「(D1+D2)/2」の計算
を行なうことにより、 により、位相変動誤差「±d」を算出することができ
る。
【0037】誤差計算回路51で求められた位相変動誤
差「±d」のデータは、減算回路52に与えられ、一方
の位相ずれ測定データD1から減算される。すなわち、
減算回路52では、「D1−(±d)」の減算が行なわ
れるので、 D1−(±d)=±d+θ−(±d)=θ となり、位相変動誤差「±d」を除去した正しい検出位
相差θを示すディジタルデータが得られる。このよう
に、本発明によれば、位相変動誤差「±d」が相殺され
て、検出対象位置xに対応する正しい位相差θのみが抽
出されることが理解できる。
【0038】この点を図12を用いて更に説明する。図
12においては、位相測定の基準となるサイン信号sin
ωtと前記第1及び第2の交流信号Y1,Y2の0位相
付近の波形を示しており、同図(a)は位相変動誤差が
プラス(+d)の場合、(b)はマイナスの場合(−
d)を示す。同図(a)の場合、基準のサイン信号sin
ωtの0位相に対して第1の信号Y1の0位相は「θ+
d」だけ進んでおり、これに対応する位相差検出データ
D1は「θ+d」に相当する位相差を示す。また、基準
のサイン信号sinωtの0位相に対して第2の信号Y2
の0位相は「−θ+d」だけ遅れており、これに対応す
る位相差検出データD2は「−θ+d」に相当する位相
差を示す。この場合、誤差計算回路51では、 により、位相変動誤差「+d」を算出する。そして、減
算回路52により、 D1−(+d)=+d+θ−(+d)=θ が計算され、正しい位相差θが抽出される。
【0039】図12(b)の場合、基準のサイン信号si
nωtの0位相に対して第1の信号Y1の0位相は「θ
−d」だけ進んでおり、これに対応する位相差検出デー
タD1は「θ−d」に相当する位相差を示す。また、基
準のサイン信号sinωtの0位相に対して第2の信号Y
2の0位相は「−θ−d」だけ遅れており、これに対応
する位相差検出データD2は「−θ−d」に相当する位
相差を示す。この場合、誤差計算回路51では、 により、位相変動誤差「−d」を算出する。そして、減
算回路52により、 D1−(−d)=−d+θ−(−d)=θ が計算され、正しい位相差θが抽出される。なお、減算
回路52では。「D2−(±d)」の減算を行なうよう
にしてもよく、原理的には上記と同様に正しい位相差θ
を反映するデータ(−θ)が得られることが理解できる
であろう。
【0040】また、図12からも理解できるように、第
1の信号Y1と第2の信号Y2との間の電気的位相差は
2θであり、常に、両者における位相変動誤差「±d」
を相殺した正確な位相差θの2倍値を示していることに
なる。従って、図11におけるラッチ回路49,50及
び誤差計算回路51及び減算回路52等を含む回路部分
の構成を、信号Y1,Y2の電気的位相差2θをダイレ
クトに求めるための構成に適宜変更するようにしてもよ
い。例えば、ゼロクロス検出回路47から出力される第
1の信号Y1の0位相に対応するパルスLP1の発生時
点から、ゼロクロス検出回路48から出力される第2の
信号Y2の0位相に対応するパルスLP2の発生時点ま
での間を適宜の手段でゲートし、このゲート期間をカウ
ントすることにより、位相変動誤差「±d」を相殺し
た、電気的位相差(2θ)に対応するディジタルデータ
を得ることができ、これを1ビット下位にシフトすれ
ば、θに対応するデータが得られる。
【0041】ところで、上記実施例では、+θをラッチ
するためのラッチ回路49と、−θをラッチするための
ラッチ回路50とでは、同じカウンタ42の出力をラッ
チするようにしており、ラッチしたデータの正負符号に
ついては特に言及していない。しかし、データの正負符
号については、本発明の趣旨に沿うように、適宜の設計
的処理を施せばよい。例えば、カウンタ42のモジュロ
数が4096(10進数表示)であるとすると、そのデ
ィジタルカウント0〜4095を0度〜360度の位相
角度に対応させて適宜に演算処理を行なうようにすれば
よい。最も単純な設計例は、カウンタ42のカウント出
力の最上位ビットを符号ビットとし、ディジタルカウン
ト0〜2047を+0度〜+180度に対応させ、ディ
ジタルカウント2048〜4095を−180度〜−0
度に対応させて、演算処理を行なうようにしてもよい。
あるいは、別の例として、ラッチ回路50の入力データ
又は出力データを2の補数に変換することにより、ディ
ジタルカウント4095〜0を−360度〜−0度の負
の角度データ表現に対応させるようにしてもよい。
【0042】ところで、検出対象位置xが静止状態のと
きは特に問題ないのであるが、検出対象位置xが時間的
に変化するときは、それに対応する位相角θも時間的に
変動することになる。その場合、加算回路45及び減算
回路46の各出力信号Y1,Y2の位相ずれ量θが一定
値ではなく、移動速度に対応して時間的に変化する動特
性を示すものとなり、これをθ(t)で示すと、各出力信
号Y1,Y2は、 Y1=sin{ωt±d+θ(t)} Y2=sin{ωt±d−θ(t)} となる。すなわち、基準信号sinωtの周波数に対し
て、進相の出力信号Y1は+θ(t)に応じて周波数が高
くなる方向に周波数遷移し、遅相の出力信号Y2は−θ
(t)に応じて周波数が低くなる方向に周波数遷移する。
このような動特性の下においては、基準信号sinωtの
1周期毎に各信号Y1,Y2の周期が互いに逆方向に次
々に遷移していくので、各ラッチ回路49,50におけ
る各ラッチデータD1,D2の計測時間基準が異なって
くることになり、両データD1,D2を単純に回路5
1,52で演算するだけでは、正確な位相変動誤差「±
d」を得ることができない。
【0043】このような問題を回避するための最も簡単
な方法は、図11の構成において、検出対象位置xが時
間的に動いているときの出力を無視し、静止状態のとき
の出力のみを用いて、静止時における検出対象位置xを
測定するように装置の機能を限定することである。すな
わち、そのような限定された目的のために本発明を実施
するようにしてもよいものである。しかし、検出対象位
置xが時間的に変化している最中であっても時々刻々の
該検出対象直線位置xに対応する位相差θを正確に検出
できるようにすることが望ましい。そこで、上記のよう
な問題点を解決するために、検出対象直線位置xが時間
的に変化している最中であっても時々刻々の該検出対象
位置xに対応する位相差θを検出できるようにした改善
策について図13を参照して説明する。
【0044】図13は、図11の検出回路部41におけ
る誤差計算回路51と減算回路52の部分の変更例を抽
出して示しており、他の図示していない部分の構成は図
11と同様であってよい。検出対象直線位置xが時間的
に変化している場合における該位置xに対応する位相差
θを、+θ(t)および−θ(t)で表わすと、各出力
信号Y1,Y2は前記のように表わせる。そして、夫々
に対応してラッチ回路49,50で得られる位相ずれ測
定値データD1,D2は、 D1=±d+θ(t) D2=±d−θ(t) となる。この場合、±d+θ(t) は、θの時間的変化に
応じて、プラス方向に0度から360度の範囲で繰り返
し時間的に変化してゆく。また、±d−θ(t) は、θの
時間的変化に応じて、マイナス方向に360度から0度
の範囲で繰り返し時間的に変化してゆく。従って、±d
+θ(t) ≠ ±d−θ(t) のときもあるが、両者の変化
が交差するときもあり、そのときは±d+θ(t) = ±
d−θ(t) が成立する。このように、±d+θ(t) =
±d−θ(t) が成立するときは、各出力信号Y1,Y2
の電気的位相が一致しており、かつ、夫々のゼロクロス
検出タイミングに対応するラッチパルスLP1,LP2
の発生タイミングが一致していることになる。
【0045】図13において、一致検出回路53は、各
出力信号Y1,Y2ののゼロクロス検出タイミングに対
応するラッチパルスLP1,LP2の発生タイミング
が、一致したことを検出し、この検出に応答して一致検
出パルスEQPを発生する。一方、時変動判定回路54
では、適宜の手段により(例えば一方の位相差測定デー
タD1の値の時間的変化の有無を検出する等の手段によ
り)、検出対象位置xが時間的に変化するモードである
ことを判定し、この判定に応じて時変動モード信号TM
を出力する。誤差計算回路51と減算回路52との間に
セレクタ55が設けられており、上記時変動モード信号
TMが発生されていないとき、つまりTM=“0”すな
わち検出対象直線位置xが時間的に変化していないと
き、セレクタ入力Bに加わる誤差計算回路51の出力を
選択して減算回路52に入力する。このようにセレクタ
55の入力Bが選択されているときの図13の回路は、
図11の回路と等価的に動作する。すなわち、検出対象
直線位置xが静止しているときは、誤差計算回路51の
出力データがセレクタ55の入力Bを介して減算回路5
2に直接的に与えられ、図11の回路と同様に動作す
る。
【0046】一方、上記時変動モード信号TMが発生さ
れているとき、つまりTM=“1”すなわち検出対象位
置xが時間的に変化しているときは、セレクタ55の入
力Aに加わるラッチ回路56の出力を選択して減算回路
52に入力する。上記時変動モード信号TMが“1”
で、かつ前記一致検出パルスEQPが発生されたとき、
アンドゲート57の条件が成立して、該一致検出パルス
EQPに応答するパルスがアンドゲート57から出力さ
れ、ラッチ回路56に対してラッチ命令を与える。ラッ
チ回路56は、このラッチ命令に応じてカウンタ42の
出力カウントデータをラッチする。ここで、一致検出パ
ルスEQPが生じるときは、カウンタ42の出力をラッ
チ回路49,50に同時にラッチすることになるので、
D1=D2であり、ラッチ回路56にラッチするデータ
は、D1又はD2(ただしD1=D2)に相当してい
る。
【0047】また、一致検出パルスEQPは、各出力信
号Y1,Y2のゼロクロス検出タイミングが一致したと
き、すなわち「±d+θ(t) = ±d−θ(t)」が成立し
たとき、発生されるので、これに応答してラッチ回路5
6にラッチされるデータは、D1又はD2(ただしD1
=D2)に相当しているが故に、 (D1+D2)/2 と等価である。このことは、 (D1+D2)/2=[{±d+θ(t)}+{±d−θ(t)}]/2 =2(±d)/2=±d であることを意味し、ラッチ回路56にラッチされたデ
ータは、位相変動誤差「±d」を正確に示しているもの
であることを意味する。
【0048】こうして、検出対象直線位置xが時間的に
変動しているときは、位相変動誤差「±d」を正確に示
すデータが一致検出パルスEQPに応じてラッチ回路5
6にラッチされ、このラッチ回路56の出力データがセ
レクタ55の入力Aを介して減算回路52に与えられ
る。従って、減算回路52では、位相変動誤差「±d」
を除去した検出対象位置xのみに正確に応答するデータ
θ(時間的に変動する場合はθ(t) )を得ることができ
る。なお、図13において、アンドゲート57を省略し
て、一致検出パルスEQPを直接的にラッチ回路56の
ラッチ制御入力に与えるようにしてもよい。また、ラッ
チ回路56には、カウンタ42の出力カウントデータに
限らず、図13で破線で示すように誤差計算回路51の
出力データ「±d」をラッチするようにしてもよい。そ
の場合は、一致検出パルスEQPの発生タイミングに対
して、それに対応する誤差計算回路51の出力データの
出力タイミングが、ラッチ回路49,50及び誤差計算
回路51の回路動作遅れの故に、幾分遅れるので、適宜
の時間遅れ調整を行なった上で、誤差計算回路51の出
力をラッチ回路56にラッチするようにするとよい。ま
た、動特性のみを考慮して検出回路部41を構成する場
合は、図13の回路51及びセレクタ55と図1の一方
のラッチ回路49又は50を省略してもよいことが、理
解できるであろう。
【0049】図14は、位相変動誤差「±d」を相殺す
ることができる位相差検出演算法についての別の実施例
を示す。コイル部10の2次コイルSW1〜SW4から出
力されるレゾルバタイプの前記第1及び第2の交流出力
信号A,Bは、検出回路部60に入力され、図11の例
と同様に、第1の交流出力信号A=sinθ・sinωtが位
相シフト回路44に入力され、その電気的位相が所定量
位相シフトされて、位相シフトされた交流信号A’=si
nθ・cosωtが得られる。また、減算回路46では、上
記位相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtと上
記第2の交流出力信号B=cosθ・sinωtとが減算さ
れ、その減算出力として、B−A’=cosθ・sinωt−s
inθ・cosωt=sin(ωt−θ)なる略式で表わせる電
気的交流信号Y2が得られる。減算回路46の出力信号
Y2はゼロクロス検出回路48に入力され、ゼロクロス
検出に応じてラッチパルスLP2が出力され、ラッチ回
路50に入力される。
【0050】図14の実施例が図11の実施例と異なる
点は、検出対象位置に対応する電気的位相ずれを含む交
流信号Y2=sin(ωt−θ)から、その位相ずれ量θ
を測定する際の基準位相が相違している点である。図1
1の例では、位相ずれ量θを測定する際の基準位相は、
基準のサイン信号sinωtの0位相であり、これは、位
置センサ10に入力されるものではないので、温度変化
等によるコイルインピーダンス変化やその他の各種要因
に基づく位相変動誤差「±d」を含んでいないものであ
る。そのために、図11の例では、2つの交流信号Y1
=sin(ωt+θ)及びY2=sin(ωt−θ)を形成
し、その電気的位相差を求めることにより、位相変動誤
差「±d」を相殺するようにしている。これに対して、
図14の実施例では、コイル部10から出力される第1
及び第2の交流出力信号A,Bを基にして、位相ずれ量
θを測定する際の基準位相を形成し、該基準位相そのも
のが上記位相変動誤差「±d」を含むようにすることに
より、上記位相変動誤差「±d」を排除するようにして
いる。
【0051】すなわち、検出回路部60において、コイ
ル部10から出力された前記第1及び第2の交流出力信
号A,Bがゼロクロス検出回路61,62に夫々入力さ
れ、それぞれのゼロクロスが検出される。なお、ゼロク
ロス検出回路61,62は、入力信号A,Bの振幅値が
負から正に変化するゼロクロス(いわば0位相)と正か
ら負に変化するゼロクロス(いわば180度位相)のど
ちらにでも応答してゼロクロス検出パルスを出力するも
のとする。これは信号A,Bの振幅の正負極性を決定す
るsinθとcosθがθの値に応じて任意に正又は負となる
ため、両者の合成に基づき360度毎のゼロクロスを検
出するためには、まず180度毎のゼロクロスを検出す
る必要があるためである。両ゼロクロス検出回路61,
62から出力されるゼロクロス検出パルスがオア回路6
3でオア合成され、該オア回路63の出力が適宜の1/
2分周パルス回路64(例えばT−フリップフロップの
ような1/2分周回路とパルス出力用アンドゲートを含
む)に入力されて、1つおきに該ゼロクロス検出パルス
が取り出され、360度毎のゼロクロスすなわち0位相
のみに対応するゼロクロス検出パルスが基準位相信号パ
ルスRPとして出力される。この基準位相信号パルスR
Pは、カウンタ65のリセット入力に与えられる。カウ
ンタ65は所定のクロックパルスCKを絶えずカウント
するものであるが、そのカウント値が、前記基準位相信
号パルスRPに応じて繰返し0にリセットされる。この
カウンタ65の出力がラッチ回路50に入力され、前記
ラッチパルスLP2の発生タイミングで、該カウント値
が該ラッチ回路50にラッチされる。ラッチ回路50に
ラッチしたデータDが、検出対象位置xに対応した位相
差θの測定データとして出力される。
【0052】コイル部10から出力される第1及び第2
の交流出力信号A,Bは、それぞれ、A=sinθ・sinω
t、B=cosθ・sinωt、であり、電気的位相は同相で
ある。従って、同じタイミングでゼロクロスが検出され
るはずであるが、振幅係数がサインsinθ及びコサインc
osθで変動するので、どちらかの振幅レベルが0か又は
0に近くなる場合があり、そのような場合は、一方につ
いては、事実上、ゼロクロスを検出することができな
い。そこで、この実施例では、2つの交流出力信号A=
sinθ・sinωt、B=cosθ・sinωtのそれぞれについて
ゼロクロス検出処理を行ない、両者のゼロクロス検出出
力をオア合成することにより、どちらか一方が振幅レベ
ル小によってゼロクロス検出不能であっても、他方の振
幅レベル大の方のゼロクロス検出出力信号を利用できる
ようにしたことを特徴としている。
【0053】図14の例の場合、コイル部10のコイル
インピーダンス変化等による位相変動誤差が、例えば
「−d」であるとすると、減算回路46から出力される
交流信号Y2は、図5の(a)に示すように、Y2=si
n(ωt−d−θ)となる。この場合、コイル部10の
出力信号A,Bは、角度θに応じた振幅値sinθ及びcos
θを夫々持ち、図15の(b)に例示するように、A=
sinθ・sin(ωt−d)、B=cosθ・sin(ωt−d)、
というように位相変動誤差分を含んでいる。従って、こ
のゼロクロス検出に基づいて図15の(c)のようなタ
イミングで得られる基準位相信号パルスRPは、本来の
基準のサイン信号sinωtの0位相から位相変動誤差−
dだけずれたものである。従って、この基準位相信号パ
ルスRPを基準として、減算回路46の出力交流信号Y
2=sin(ωt−d−θ)の位相ずれ量を測定すれば、
位相変動誤差−dを除去した正確な値θが得られること
になる。
【0054】なお、コイル部10の配線長等の装置条件
が定まると、そのインピーダンス変化は主に温度に依存
することになる。そうすると、上記位相変動誤差±d
は、この直線位置検出装置が配備された周辺環境の温度
を示すデータに相当する。従って、図11の実施例のよ
うな位相変動誤差±dを演算する回路51を有するもの
においては、そこで求めた位相変動誤差±dのデータを
温度検出データとして適宜出力することができる。従っ
て、そのような本発明の構成によれば、1つのシリンダ
位置検出装置によって検出対象の位置を検出することが
できるのみならず、該シリンダ本体内又は周辺環境の温
度を示すデータをも得ることができる、という優れた効
果を有するものであり、今までにない多用途タイプのシ
リンダストローク位置検出装置を提供することができる
ものである。勿論、温度変化等によるセンサ側のインピ
ーダンス変化や配線ケーブル長の長短の影響を受けるこ
となく、検出対象ピストンストローク位置に応答した高
精度の検出が可能となる、という優れた効果をも奏する
ものである。また、図11や図14の例は、交流信号に
おける位相差を測定する方式であるため、図10のよう
な検出法に比べて、高速応答性にも優れた検出を行なう
ことができる、という優れた効果を奏する。
【0055】図1の例では、磁気応答部材20の1ピッ
チの範囲におけるピストン部3の微妙なアブソリュート
位置を検出することができるものである。この1ピッチ
を越えるピストン部3のストローク位置は、ストローク
位置が該1ピッチを越える毎に、適宜のカウンタにおい
て増減カウントすることによって求めることができる。
この増減カウントは、コイル部10の出力信号が1ピッ
チ範囲で1巡する毎に、ピストン部3の前後移動方向に
応じてプラス1またはマイナス1カウントすることによ
り行える。従って、例えば図16のような回路を設け
て、コイル部10の出力信号に基づくディジタル計測値
(θ)が最大値(M)から最小値(0)をクロスして変
化したとき(M→0)、あるいはその逆に最小値(0)
から最大値(M)をクロスして変化したとき(0→
M)、を判定回路70,71で判定してプラス1または
マイナス1のカウントトリガ信号を生成し、これをカウ
ンタ72でカウントするようにすればよい。この場合、
カウンタ72のカウント値Npは、位置検出値の上位デ
ータとして利用できる。
【0056】別の例として、図17に示すように、第2
のコイル部として、1つのピックアップコイル80(1
個のコイルまたは1組の1次・2次コイルからなる)を
第1の支持体4の適宜位置に固定し、このピックアップ
コイル80が1個の磁気応答部材20を検知する毎にカ
ウントトリガ信号を生成し、上記カウンタ72のカウン
トを行うようにしてもよい。その場合、プラス/マイナ
スはピストン部1の移動方向によって区別すればよい。
図18の(a)は、磁気応答部材20を検知する毎に変
化するピックアップコイル80の出力信号の一例を示し
(交流成分を除去して示す)、(b)はこれに基づくカ
ウント値の変化を例示する。
【0057】本発明の実施にあたっては、ピストン部3
のストロークエンドのような所定の定位置の検出のため
に、上記のような第2のコイル部、つまりピックアップ
コイル(1個のコイルまたは1組の1次・2次コイルか
らなる)を設けてもよい。上記ピックアップコイル80
は、上記のようなカウントトリガ信号作成用に限らず、
そのような定位置検出用に使用することができる。ま
た、図17に示された別のピックアップコイル81(1
個のコイルまたは1組の1次・2次コイルからなる)
は、別の定位置検出コイルの例を示す。これらのピック
アップコイル80,81は、磁気応答部材20の通過を
検知する毎に対応する出力信号を発生するが、磁気応答
部材20を検出しなくなると出力信号を発生しなくな
る。すなわち、これらのピックアップコイル80,81
のそばを、磁気応答部材20が通過している間は、図1
9(a)(c)のような磁気応答部材20の存在に応答
する検出信号を繰り返し発生する。しかし、支持体5の
端部にある最後の磁気応答部材20が通過した後は、検
出信号を発生しなくなるので、この検出信号が途絶えた
ことを判定することにより、ピストン部3が所定の定位
置に到達したことを検知することができる。この場合、
支持体5そのものがピアノ線のような磁性体からなって
いれば、該支持体5の端部の通過判定を、単純な電圧レ
ベル比較によって行うことがやり易い。
【0058】図20は、上記のような定位置検出のため
の判定回路例を示す。定位置検出用の各ピックアップコ
イル80,81の出力を整流回路82,83で整流して
そのエンベロープレベルに応答する信号を出力する。図
19(a)は或るピックアップコイル(例えば80)の
検出信号のエンベロープレベル信号例すなわち整流回路
82の出力例を示し、(c)は別のピックアップコイル
(例えば81)の検出信号のエンベロープレベル信号例
すなわち整流回路83の出力例を示す。比較器84,8
5は、これらの信号レベルと所定の基準レベルとを比較
し、検出信号が途絶えたことを判定する。例えば、これ
らの入力信号レベルが0になったとき、ハイレベルの比
較出力信号を生じる。このハイレベルの比較出力信号
が、ピックアップコイル検出信号が途切れたことを検知
する定位置検出信号に相当する。図19(b)は、
(a)に示す信号の入力に応じて比較器84から出力さ
れる定位置検出信号を示す。図19(d)は、(c)に
示す信号の入力に応じて比較器85から出力される定位
置検出信号を示す。
【0059】このような定位置検出用のピックアップコ
イル80,81は、必要に応じて1個のみ設けてもよい
が、適宜複数設けてもよい。また、このような定位置検
出用のピックアップコイルを所定間隔で(例えば磁気応
答部材20の1ピッチに相当する間隔毎に)複数設けて
もよい。そうすると、ピストンストロークの全長にわた
ってアブソリュート位置検出を行うことができる。図
1,図17を見ればすぐわかるように、第1の支持体4
の2重筒内のスペース4cは、十分に空いているので、
第2のコイル部として複数のピックアップコイルを設け
ることには何の問題もない。なお、これらのピックアッ
プコイルからの検出信号の発生状態によって、ピストン
部3の移動方向も容易に判別できる。
【0060】別の実施例として、図21に示すように、
第2のコイル部として、軸方向に長いコイル90,9
1,92をスペース4c内の所定の長さ範囲Lにわたっ
て設け、これらのコイルによって該範囲Lにわたるピス
トン部3のアブソリュート位置を検出を行うようにして
もよい。このコイル構成は、1つの1次コイル90と、
2つの2次コイル91,92とからなっている。図の例
では、1次コイル90が内側筒4aに巻かれ、1次コイ
ル90の外側に2次コイル91が巻かれ、2次コイル9
1の外側に2次コイル92が巻かれているが、この順序
はこれに限らない。2つの2次コイル91,92は、同
じコイル長Lからなっていて、同じ範囲Lをカバーして
いる。以下説明するように、この範囲Lが、これらのコ
イル90,91,92によるアブソリュート位置検出可
能範囲である。磁気応答部材20を搭載した支持体5
は、この範囲Lに侵入し、ピストン部3の動きに連動し
て移動する。明らかなように、この範囲Lにおける磁気
応答部材20を搭載した支持体5の侵入量に応じて、コ
イル90,91,92の磁気結合度が変化し、該支持体
5の侵入量すなわちピストン部3のストローク位置に対
応する出力信号を2次コイル91,92から得ることが
できる。
【0061】明らかなように、1つの2次コイル91
(又は92)からは、磁気応答部材20を搭載した支持
体5の侵入量、すなわち範囲L内のピストン部3のスト
ローク位置に対応するピーク電圧レベルを持つ交流信号
が出力される。最も単純には、この1つの2次コイル9
1(又は92)の出力信号のピーク電圧レベルを測定し
て、これを該範囲Lにわたるピストン部3のアブソリュ
ート位置検出情報としてよい。そのような簡易なロング
・アブソリュート位置検出情報を得るためには、2次コ
イル91,92は2個設ける必要は無く、1つのみでよ
い。そのような簡易な実施の形態も、勿論、本発明の範
囲に含まれる。しかし電圧レベル値を位置検出情報とす
る方式では、温度変化等によって電圧レベル値が変動す
るので、誤差が出易いという欠点がある。
【0062】そのような欠点を改善するために、1次コ
イル90に対応して2つの2次コイル91,92を設
け、これらの各2次コイル91,92に対応してバラン
ス用コイル部93,94を夫々設け、各2次コイル9
1,92の出力信号に違いが出るようにして、電気的位
相の測定に基づくロング・アブソリュート位置検出がで
きるようにしている。図22は、図21の各コイルの接
続例を示す回路図である。各バランス用コイル部93,
94は、夫々1次コイル93p,94pと2次コイル9
3s,94sの対からなる。各1次コイル93p,94
pは1次コイル90と同相接続され、所定の交流信号
(例えばsinωtとする)によって励磁される。検出
対象範囲Lにわたって設けられた一方の2次コイル91
に対応するバランス用コイル部93の2次コイル93s
は、該2次コイル91とは逆相に接続される。他方の2
次コイル92に対応するバランス用コイル部94の2次
コイル94sも、該2次コイル92とは逆相に接続され
る。検出対象範囲Lにわたって設けられた各2次コイル
91,92の巻き数は同じであり、一方、バランス用の
2次コイル93s,94sは、夫々適切に巻き数が異な
るように設定される。なお、バランス用コイル部93,
94の位置までは、支持体5(すなわち磁気応答部材2
0)の先端は侵入しない。
【0063】以上の構成により、検出範囲Lにおけるコ
イル91,92への磁性体(すなわち第2の支持体5に
搭載された磁気応答部材20)の侵入量に応じて、各2
次コイル91,92の出力信号O1,O2のレベルが互
いに90度位相のずれた三角関数特性の一部範囲の特性
(概ね90度範囲の特性)を示すように、バランス用の
2次コイル93s,94sの設定によって、調整するこ
とができる。例えば、コイル91と93sの差動出力信
号O1はサイン関数特性を示し(これを便宜上、sin
α・sinωtで示す)、コイル92と94sの差動出
力信号O2はコサイン関数特性を示す(これを便宜上、
cosα・sinωtで示す)ように設定することがで
きる。ただし、検出対象範囲Lに対応する角度αの範囲
は、ほぼ90度程度の範囲である。これは、構造上、3
60度全部の変化は得られないためである。なお、設定
の仕方によっては、検出対象範囲Lに対応する角度αの
範囲を、90度以上の範囲に拡大することもできなくは
ないが、90度程度の範囲に設定するのが確実である。
更に、検出可能な90度の範囲のうち、安定した検出が
可能な90度未満のより狭い角度範囲に検出対象範囲L
を対応づけて検出処理をするようにしてもよい。なお、
αは検出対象範囲Lにおけるピストン部3の現在位置に
対応することは言うまでもない。このような構成によっ
て、各2次コイル91,92から出力される信号O1,
O2は、ちょうど、公知のレゾルバの出力のような2相
の信号となる。 O1=sinα・sinωt O2=cosα・sinωt
【0064】明らかなように、この出力信号O1,O2
は、前述の第1のコイル部10の2つの出力交流信号A
=sinθ・sinωt,B=cosθ・sinωtと
同じフォームとなり、図10乃至図14に示した位相検
出タイプの検出回路部を使用して、上記αを電気的位相
角としてデイジタル測定することができる。そのための
検出回路部の図示と説明は、同じものの繰り返しになる
ので省略する。なお、この場合、θのための検出回路部
と、αのための検出回路部が別々に必要であるが、各検
出回路部のハードウェア回路において共用できるものは
共用して、時分割処理によって夫々のディジタル測定を
行うようにすることも可能であるのは勿論である。
【0065】こうして、検出対象範囲Lにおけるピスト
ン部3の現在位置を示すアブソリュートデータを位相角
αのディジタル測定によって求めることができる。勿
論、長い範囲Lがほぼ90度の角度範囲に対応している
ので、第1のコイル部10の出力信号A,Bに基づく、
短い範囲pが360度角度範囲に対応しているθの位相
測定に基づく検出データよりは、検出分解能は粗いもの
となる。しかし、短い範囲p内での精密なアブソリュー
ト位置検出分解能は第1のコイル部10の出力信号A,
Bに基づき前述の通り得られるので、各2次コイル9
1,92から出力される信号O1,O2に基づき得られ
る長い範囲L内でのアブソリュート位置検出分解能は粗
いものであってさしつかえない。すなわち、複数個の磁
気応答部材20の配設ピッチの1ピッチ分の長さpを単
位とするアブソリュート位置検出データを得ることがで
きればよい。
【0066】これによって、コイル部10から得られる
θに対応するディジタルアブソリュート位置検出データ
と、追加のコイル90,91,92から得られるαに対
応するディジタルアブソリュート位置検出データとの組
み合わせによって、ピストン部3のストロークのほぼ全
長にわたるアブソリュート位置検出データを得ることが
できる。なお、磁気応答部材20は支持体5に沿って断
続的に設けられているので、検出範囲Lにおけるコイル
91,92への支持体5の侵入に伴うコイル90,9
1,92のインダクタンス変化(結合係数変化)は、き
れいなサインカーブ又はコサインカーブとはならず、多
少凹凸を伴うが、これは出力波形を適宜なまらせる処理
をすれば問題ないし、また、そのような処理をしなくて
も、αの測定精度は上述の通り粗いものであってさしつ
かえないので、一向に問題のない測定を行うことができ
る。
【0067】なお、上記実施例では、第1の支持体4が
2重筒4a,4bからなっているが、この構造はこれに
限らない。例えば1つの筒4aのみとした場合は、コイ
ル部10の防水処理や配線引き出し処理等を適切に行え
ばよい。しかし、図示のような2重筒4a,4bの構造
は、コイル部10の防水処理や配線引き出し処理等を容
易に行うことができるので、有利である。また、第1及
び第2の支持体4,5の構造は、上記実施例のような筒
体とその中に侵入した棒状体という関係からなるものに
限らず、コイル部10と磁気応答部材20とを夫々適切
に配置しうる構造であれば任意のものでよい。また、上
記実施例では、シリンダ本体2側の支持体4にコイル部
10を設け、ピストン部3側の支持体5に磁気応答部材
20を設けているが、この関係は、逆であってもよい。
その場合は、ピストン部3の側にコイル部10の配線引
き出し用のコネクタ8を設けなければならないので、そ
れが可能であればさしつかえない。しかし、図示実施例
のようにシリンダ本体2側の支持体4にコイル部10を
設けるようにした方が、シリンダ本体2が固定されてい
ることにより、コネクタから出た配線が動かないので有
利である。
【0068】また、上記実施例では、磁気応答部材20
は複数個設けられているが、これは1個でもよい。ま
た、コイル部として、レゾルバ出力を得るためのコイル
部10を設けずに、定位置検出用のピックアップコイル
80又は81のみを設けるようにしてもよい。また、精
密な検出分解能を要求しない場合は、図21の例におい
て、コイル部10を省略し、長いコイル90,91,9
2とそれに対応するバランス用コイル部93,94のみ
を設けるようにしてもよい。図23は、その場合の一例
を示す。その場合、所定ピッチpの磁気応答部材20を
複数個繰り返し設ける必要はなく、支持体5そのものが
1つの磁気応答部材(20)であってよい。すなわち、
支持体5として磁性体金属を使用すれば、それがそのま
ま1つの磁気応答部材(20)となる。図23では、コ
イル部10が省略された分だけ、各コイル90,91,
92の長さL’が図21の例よりも長くなっている。そ
の動作は、図21,図22を参照して説明したものと同
じである。
【0069】図23のようなコイル配置では、得られる
インダクタンス変化がサイン関数にたとえると0度〜9
0度の範囲に限定されるので、位置検出分解能は、上述
の通り、粗いものとなる。図24は、この点を改善し、
長い範囲でのアブソリュート位置を1個の検出部を用い
て精密な分解能で検出することができる例を示す。図2
4では、シリンダ本体2とピストン部3の図示を省略
し、第1の支持体4と第2の支持体5を含む検出器の構
成のみを抽出して示している。図24において、シリン
ダ本体2の側に設けられる第1の支持体4は、後述する
ような所定の配置からなる複数の1次及び2次コイルを
所定の検出範囲Lにわたって含んでいる。ピストン部3
の側に設けられる第2の支持体5すなわち線状の磁気応
答部材20は、検出範囲Lと同程度の所定長を持ち、そ
の端部から検出範囲L内に進入したり、退出したりする
もので、磁性体からなっている(又は導電体でもよ
い)。支持体4においては、所定の検出範囲Lに対応し
て、所望の三角関数の1周期(0度〜360度)にわた
るインダクタンス変化が支持体5の先端の進入位置に応
じて得られるように、複数のコイルが、その巻数と巻方
向が適宜制御されて、設けられている。図25(a)〜
(d)はサイン関数特性のインダクタンス変化を得る例
を示し、図26(a)〜(d)はコサイン関数特性のイ
ンダクタンス変化を得る例を示す。換言すれば、このよ
うなインダクタンス変化は、支持体5(磁気応答部材2
0)の一方的な進入度合いに従う累積的なインダクタン
スを示す(正方向巻きのインダクタンス分は加算され、
逆方向巻きのインダクタンス分は減算される)。
【0070】図25(a)は、所望のサイン出力信号A
=sinθ・sinωtの出力電圧レベルを示し、横軸
は、支持体5(磁気応答部材20)の先端の進入位置X
を示し、前述と同様に、θはXに対応する(比例す
る)。図25(b)は、横軸正方向への磁性体の進入に
伴い、図25(a)のようなサイン特性の合成インダク
タンス特性を累積的に得ることができるような、Lの範
囲における各点でのコイル巻数を縦軸にプロットした一
例を示す。xマークのプロット位置は巻数N、oマーク
のプロット位置は巻数N/2である。勿論、プロット位
置は、(b)に図示した関数線に沿う位置のどこでもよ
く、また、巻数もそのプロット位置に対応した巻数であ
ってよい。なお、このプロット例は、理論値ではなく、
経験値である、従って、所望するインダクタンス変化
(sinθやcosθ)が、累積的に得られるように、
試行錯誤的に、任意の位置で任意の巻数としてよい。図
25(c)は、巻数Nの4つの2次コイル101,10
2,103,104を図25(b)のxマークの各プロ
ットに対応してLの範囲内で分散して配置してコイル部
10を構成する例を示している。各コイル101〜10
4の出力は加算的に合成されて、所望のサイン出力信号
A=sinθ・sinωtが得られる。−Nの“マイナ
ス”は巻方向が逆であることを示す。磁性体からなる支
持体5(磁気応答部材20)の先端が、一番左側の2次
コイル101から順に右方向に移動していくと、2次コ
イル101から順に、102,103,104と磁性体
が進入していくので、累積的に出力信号が得られ、図2
5(a)のようなLの範囲で1回転するサイン特性の出
力信号A=sinθ・sinωtが得られる。図25
(d)は、2次コイルの配置をより密にして、出力信号
A=sinθ・sinωtのサインカーブがより滑らか
になるように、コイル部10を構成する例を示してい
る。すなわち、xマークのプロット点に対応して巻数N
の2次コイルを配置し、oマークのプロット点に対応し
て巻数N/2の2次コイルを配置する。勿論、これらの
巻数NやN/2は、厳密なものではなく、所望する理想
的なインダクタンス変化(sinθやcosθ)が、累
積的に得られるように、試行錯誤的に、これらの巻数を
適宜増減してよい。
【0071】図26(a)〜(d)は、所望のコサイン
出力信号B=cosθ・sinωtを得るための、2次
コイル配置を説明するものであり、図25(a)〜
(d)の例に比べて90度(すなわちL/4の距離だ
け)ずれて配置されている。図26(c)は、図25
(c)と同様に巻数Nの4つの2次コイル201,20
2,203,204を配置する例を示し、図26(d)
は、図25(d)と同様に2次コイルの配置をより密に
して、出力信号B=cosθ・sinωtのコサインカ
ーブがより滑らかになるようにした例を示す。なお、実
際は、図26(c)の最左側に示すように補助の2次コ
イル205を付加するものとする。この補助の2次コイ
ル205は、0度の位置(原点)でのコサイン特性のイ
ンダクタクンスの立上りを補償するものである。勿論、
この補助コイル205は1個に限らず、xマークとoマ
ークのプロット位置にほぼ対応して複数設けてよい。と
ころで、図25(c)と図26(c)のコイル配置を採
用した場合は、サイン出力用2次コイル101〜104
とコサイン出力用2次コイル201〜204が同じ位置
に来ることになるが、これは2重巻きにすればよい。あ
るいは、所定の位置にサイン出力用2次コイル101〜
104を配置し、その両側に密接してそれぞれ2分割し
たコサイン出力用2次コイル201〜204を配置すれ
ばよい。
【0072】第1の支持体4において、コイル部10に
は、サイン出力用の2次コイル101〜104とコサイ
ン出力用の2次コイル201〜204が夫々配置され、
更に、適当な配置で(例えば各2次コイルに対応して)
励磁用の1次コイルを配置して1相の交流信号sinω
tで励磁する。これによって、図1,図2等の例と同様
に、サイン、コサインのレゾルバタイプの2相出力信号
A=sinθ・sinωt、B=cosθ・sinωt
がコイル部10から得られる。この2相出力信号A,B
から検出対象位置xに対応する位相角θのデータを求め
るやり方は、上述と同様であってよい。なお、前述と同
様に、同相励磁される複数の1次コイルを各2次コイル
の中間に介在させて配置すると、非常に精度の良い検出
が行えることが実験的に確かめられている。例えば、図
25,図26の(d)の例の場合、N/2,N,N/2
の3つの2次コイルを例にとると、それぞれの中間に2
個と両側に2個の、合計4個の1次コイルを配置する
と、励磁による磁界の分布が均一になり、検出精度が良
くなる。こうして、図24〜図26の例によれば、ピス
トンストロークの全長にわたる長い範囲Lでのアブソリ
ュート位置を1個の検出部(第1及び第2の支持体4,
5に設けたコイル部10と磁気応答部材20からなる検
出部)を用いて精密な分解能で(Lの範囲を1回転分の
位相変化に相当する分解能で)検出することができる。
【0073】ピストンストロークの全長にわたる長い範
囲Lでのアブソリュート位置を検出可能にする別の例と
して、図27(a),(b)に示すように、1ピッチp
の長さの異なる2つの検出部を1つのロッド210の両
側に設け、バーニア原理に基づいて1ピッチを越える直
線位置xのアブソリュート値を検出するようにしてもよ
い。図27(a)はロッド状の支持体5の軸方向断面略
図、(b)は径方向断面略図である。主尺に相当する第
1の検出部は、例えば、磁性体の支持体5の長さ方向に
凹部21を繰り返し設けることにより、残された凸部が
所定ピッチP1で繰り返す磁気応答部材20として形成
されるようにしたものであり、対応するコイル部10−
1は、4つの極11〜14を含むものである。各極1
1,12,13,14は、コイル部10−1における各
相のコイルをそれぞれ分離して配置したものである。各
極11,12,13,14は、それぞれの鉄心(図示せ
ず)に1次コイル及び2次コイルを同軸状に巻回してな
るもので、直線変位方向に所定の間隔で(1ピッチP1
を4等分した間隔で)、配置される。図2との対応関係
を示すと、例えば、極11をサイン相(s)とすると、
この極11には1次コイルPW1と2次コイルSW1を同
軸状に巻回し、極12をコサイン相(c)とすると、こ
の極12には1次コイルPW2と2次コイルSW2を同軸
状に巻回し、極13をマイナス・サイン相(/s)とす
ると、この極13には1次コイルPW3と2次コイルS
W3を同軸状に巻回し、極14をマイナス・コサイン相
(/c)とすると、この極14には1次コイルPW4と
2次コイルSW4を同軸状に巻回するようにすればよ
い。図示を省略しているが、各極11〜14の鉄心は共
通の基部に固定され、所定の相互配置関係が固定され
る。
【0074】副尺に相当する第2の検出部は、第1の検
出部と同様に、磁性体からなるロッド状の支持体5長さ
方向に凹部21’を繰り返し設けることにより、残され
た凸部が所定ピッチP2で繰り返す磁気応答部材20’
として形成されるようにしたものであり、対応するコイ
ル部10−2は、上記と同様に4つの極11〜14を含
むものである。ただし、両検出部のピッチP1,P2が
適量だけ相違している。各検出部の位置検出データθ
1,θ2をバーニア演算処理することにより、両ピッチ
P1,P2の最小公倍数の範囲でアブソリュート位置検
出値を得ることができる。従って、ピストンストローク
の全長にわたる長い範囲Lでのアブソリュート位置を検
出することができる。勿論、この場合は、第2の支持体
5が回転せずに直線変位のみし得るようにピストン部3
を適切にガイドするものとする。
【0075】なお、上記各実施例において、コイル部1
0と磁気応答部材20による検出部の構成を、公知の位
相シフトタイプ位置検出器のように構成してもよい。例
えば、図2に示されたコイル部10において、1次コイ
ルと2次コイルの関係を逆にして、サイン相のコイルS
W1とマイナス・サイン相のコイルSW3を互いに逆相の
サイン信号sinωt,−sinωtによって励磁し、
コサイン相のコイルSW2とマイナス・コサイン相のコ
イルSW4を互いに逆相のコサイン信号cosωt,−
cosωtによって励磁し、コイルPW1〜PW5から検
出対象位置xに応じた電気的位相シフトθを含む出力信
号sin(ωt−θ)を得るようにしてもよい。あるい
は、コイル部10と磁気応答部材20による検出部の構
成を、公知の差動トランス型の直線位置検出器のように
構成してもよい。
【0076】あるいは、上記各実施例において、各コイ
ル部の構成として、1次コイルと2次コイルの対を含む
ように構成せずに、1つのコイルのみによって構成し、
該1つのコイルを所定の交流信号によって定電圧駆動
し、該コイルへの磁性体(磁気応答部材20)の侵入量
に応じて生じるインダクタンス変化に基づく電流変化を
計測することにより、ピストン部3の位置検出データを
得るようにしてもよい。その場合、該電流変化に応答す
る出力信号の振幅変化を測定する方法、あるいは該電流
変化に応答するコイル各端部での出力信号間の位相変化
を測定する方法などによって所要の測定を行うことがで
きる。その他、コイル部10と磁気応答部材20による
検出部の構成は任意の変形が可能である。そのほか、上
記実施例で示した新規かつ有意義な構成の一部を選択的
に採用してシリンダ位置検出装置を構成してもよい。
【0077】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、ピストン
部の内部に形成された空間内に第1及び第2の支持体が
収納されて、シリンダ本体に対するピストン部の相対的
直線変位に応じて該第1及び第2の支持体の相対的位置
が変化するようになっており、かつ、検出部の磁気応答
部材とコイル部を両支持体に夫々配設することにより、
シリンダ本体に対するピストン部の相対的直線変位に応
じて磁気応答部材とコイル部の相対位置が変化し、かく
して、シリンダ本体に対するピストン部の直線位置に対
応する検出信号がコイル部から得られるようになってい
るので、ピストンロッドの外周に格別の加工をする必要
が無いものとなっており、かつ、検出部の磁気応答部材
とコイル部は支持体に夫々配設する構成であり、該支持
体を介在させてピストン及びシリンダ本体に取り付ける
ようにしているので、サイズの異なるシリンダ装置にお
いても検出装置各要素(つまり磁気応答部材20とコイ
ル部10)の共用化を容易に図ることができ、かつ、摺
動摩耗の心配のない耐久性に富んだシリンダ位置検出装
置を提供することができる。また、小型かつシンプルな
構造を持つと共に、広い範囲にわたってシリンダロッド
位置検出の可能な誘導型のシリンダ位置検出装置を提供
することができる。更には、製造が極めて容易になるよ
うなシンプルな構造を持つシリンダ位置検出装置を提供
することができる。
【0078】また、第1及び第2の支持体の一方を筒状
体とし、他方を棒状体として、該棒状体が筒状体の筒内
に侵入している構成とした場合は、限られたスペースで
の第1及び第2の支持体の相互変位関係を円滑にし、か
つコイル部の配設を容易にすることができる。更に、支
持体を構成する筒状体を2重筒として、該2重筒の筒間
スペース内にコイル部を気密又は液密に収納してなるよ
うにした場合は、電気回路の一部であるコイル部を、シ
リンダ本体内の圧力流体から気密又は液密に保護する上
で有利である。
【0079】更に、検出部の好ましい実施形態例とし
て、コイル部が、1相の交流信号によって励磁される1
次巻線及び直線変位方向に関して異なる位置に配置され
た複数の2次巻線を含み、磁気応答部材が、所定の磁気
応答特性を持つ磁気応答部材を直線変位方向に沿って所
定のピッチで複数繰り返して設けて成り、前記相対的変
位に応じて前記部材の前記巻線部に対する対応位置が変
化することにより前記1次巻線と各2次巻線間の磁気結
合が前記ピストン部の直線位置に応じて変化され、これ
により、該直線位置に応じて振幅変調された誘導出力交
流信号を、各2次巻線の配置のずれに応じて異なる振幅
関数特性で、各2次巻線に誘起させるようにした場合
は、1相の交流信号によって励磁する構成であるため、
励磁回路の構成が簡単である、という利点を有し、ま
た、磁気応答部材において、所定の磁気応答特性を持つ
磁気応答部材を直線変位方向に沿って所定のピッチで複
数繰り返して設けて成るので、2次巻線に誘起される誘
導出力交流信号として、該磁気応答部材の繰り返しピッ
チを1サイクルとして周期的に変化する信号を得ること
ができ、検出可能範囲を拡大することができるものであ
る。
【0080】また、前記検出部から出力される前記直線
位置に応じて振幅変調された前記誘導出力交流信号とし
て、サイン関数の振幅関数を持つ第1の出力交流信号と
コサイン関数の振幅関数を持つ第2の出力交流信号とを
出力するようにし、前記第1の出力交流信号と第2の出
力交流信号を入力し、前記直線位置を示す前記サイン関
数とコサイン関数の位相値を検出する位相検出回路を更
に具備するようにした場合は、電気的位相の測定に基づ
いて精度のよいアブソリュート位置検出が可能であり、
このような位相検出回路として、レゾルバ用の位相検出
回路として従来知られたR−D(レゾルバ−ディジタ
ル)コンバータを使用することができるし、その他の方
式の位相検出回路を用いることもでき、そのようなレゾ
ルバタイプの位相検出回路を使用することができること
は、従来の位相シフトタイプの誘導型直線位置検出装置
が持っていたような、温度変化等によって1次及び2次
巻線のインピーダンスが変化することにより2次出力信
号における電気的位相ずれに誤差が生じるという欠点を
除去することができるので、好都合である。更に、コイ
ル部において、定位置検出用のピックアップコイルを適
宜設けることにより、定位置の検出若しくは粗い精度で
のピストンロッド位置検出を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るシリンダ位置検出装置の一実施
例を示す軸方向断面図。
【図2】 図1において検出部を構成しているコイル部
と磁気応答部材の構成例を拡大して示す一部切欠き斜視
図。
【図3】 図2におけるコイル部の構成例を示す回路
図。
【図4】 図2における磁気応答部材の変更例を示す斜
視図。
【図5】 図2における磁気応答部材の別の変更例を示
す側面略図。
【図6】 図2における磁気応答部材の更に別の変更例
を示す側面略図。
【図7】 図2における磁気応答部材の更に別の変更例
を示す一部断面側面略図。
【図8】 図2におけるコイル部のコイル配置の別の例
を示す略図。
【図9】 図2におけるコイル部のコイル配置の更に別
の例を示す略図。
【図10】 本発明に係るシリンダ位置検出装置に適用
可能な位相検出タイプの測定回路の一例を示すブロック
図。
【図11】 本発明に係るシリンダ位置検出装置に適用
可能な位相検出タイプの測定回路の別の例を示すブロッ
ク図。
【図12】 図11の動作説明図。
【図13】 図11の回路に付加される変更例を示すブ
ロック図。
【図14】 本発明に係るシリンダ位置検出装置に適用
可能な位相検出タイプの測定回路の更に別の例を示すブ
ロック図。
【図15】 図14の動作説明図。
【図16】 本発明に係るシリンダ位置検出装置におい
て磁気応答部材の1ピッチ単位の変位を判定しカウント
する回路構成例を示すブロック図。
【図17】 図1の実施例に対する変形例を示す軸方向
断面図。
【図18】 磁気応答部材の1ピッチ単位の変位をカウ
ントように構成する場合の図17の動作説明図。
【図19】 任意の定位置を検出するように構成する場
合の図17の別の動作説明図。
【図20】 図19に示されたような動作を実現するた
めに図17の装置に組み合わせられる判定用の回路の一
例を示すブロック図。
【図21】 本発明に係るシリンダ位置検出装置の別の
実施例を示す軸方向断面図。
【図22】 図21における各コイルの接続例を示す回
路図。
【図23】 本発明に係るシリンダ位置検出装置の更に
別の実施例を示す軸方向断面図。
【図24】 本発明に係るシリンダ位置検出装置の更に
別の実施例を示す概略斜視図。
【図25】 図24における第1の支持体内のコイル部
に設けるサイン関数特性の出力信号を生じるための2次
コイルの配置例と巻数例を示す図。
【図26】 図24における第1の支持体内のコイル部
に設けるコサイン関数特性の出力信号を生じるための2
次コイルの配置例と巻数例を示す図。
【図27】 本発明に係るシリンダ位置検出装置の更に
別の実施例をもので、磁気応答部材の1ピッチを超える
長い範囲の位置をバーニア原理に基づいてアブソリュー
トで検出する構成例を示す軸方向断面略図及び径方向断
面略図。
【符号の説明】
1 シリンダ装置 2 シリンダ本体 3 ピストン部 4 第1の支持体 4a,4b 筒 5 第2の支持体 6 ピストン部内の空間 10 コイル部 PW1〜PW5 1次コイル SW1〜SW4 2次コイル 20 磁気応答部材 41,60 検出回路部 80,81 ピックアップコイル 90 1次コイル 91,92 2次コイル 93,94 バランス用コイル部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤津 伸行 東京都東大和市新堀2−1453−43 (72)発明者 坂元 和也 東京都羽村市川崎1丁目1番5号、MAC 羽村コートII−405 (72)発明者 坂本 宏 埼玉県川越市山田896−8 (72)発明者 山本 明男 東京都国立市西1−13−29 KMハイツ 101

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ本体と、このシリンダ本体に対
    して相対的に直線変位可能に挿入されたピストン部とを
    含むシリンダ装置において、 前記シリンダ本体の内部において、該シリンダ本体の閉
    鎖端側にて一端が片持ち支持され、他端が該シリンダ本
    体の開口端の方に延びた、第1の支持体と、 前記ピストン部の内部において、前記第1の支持体の侵
    入を許すように設けられた空間と、 前記ピストン部の内部に設けられた前記空間内におい
    て、一端が片持ち支持され、他端が前記シリンダ本体の
    閉鎖端の方に延びた、第2の支持体と、 コイル部及びこのコイル部に対して相対的に変位可能に
    非接触的に配置される磁気応答部材を含み、該磁気応答
    部材の該コイル部に対する相対的位置に応じた検出信号
    を前記コイル部から出力するものであって、前記第1及
    び第2の支持体の一方に該コイル部が配設され、他方に
    該磁気応答部材が配設されてなる検出部とを具備し、前
    記ピストン部の前記シリンダ本体に対する相対的直線変
    位に伴って前記第1及び第2の支持体に夫々配設された
    前記磁気応答部材とコイル部との相対的位置が変位し、
    これにより該ピストン部の直線位置に対応する前記検出
    信号が出力されることを特徴とするシリンダ位置検出装
    置。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2の支持体の一方が筒状
    体からなっており、他方が棒状体からなっていて、該棒
    状体が前記筒状体の筒内に侵入している請求項1に記載
    のシリンダ位置検出装置。
  3. 【請求項3】 前記筒状体は、2重筒からなっていて、
    該2重筒の筒間スペース内に前記コイル部を気密又は液
    密に収納してなる請求項2に記載のシリンダ位置検出装
    置。
  4. 【請求項4】 前記棒状体はピアノ線からなっていて、
    このピアノ線の周囲に前記所定のピッチで複数繰り返し
    て配置してそれぞれをかしめ止めすることによって該芯
    部に固定した金属片からなる磁気応答部材とを含んで構
    成されるものである請求項2または3に記載のシリンダ
    位置検出装置。
  5. 【請求項5】 前記検出部のコイル部は、1相の交流信
    号によって励磁される1次コイル及び直線変位方向に関
    して異なる位置に配置された複数の2次コイルを含み、 前記検出部の磁気応答部材は、所定の磁気応答特性を持
    つ磁気応答部材を直線変位方向に沿って所定のピッチで
    複数繰り返して設けて成り、前記相対的変位に応じて前
    記部材の前記コイル部に対する対応位置が変化すること
    により前記1次コイルと各2次コイル間の磁気結合が前
    記ピストン部の直線位置に応じて変化され、これによ
    り、該直線位置に応じて振幅変調された誘導出力交流信
    号を、各2次コイルの配置のずれに応じて異なる振幅関
    数特性で、各2次コイルに誘起させるようにした請求項
    1乃至4のいずれかに記載のシリンダ位置検出装置。
  6. 【請求項6】 前記検出部から出力される前記直線位置
    に応じて振幅変調された前記誘導出力交流信号として、
    サイン関数の振幅関数を持つ第1の出力交流信号とコサ
    イン関数の振幅関数を持つ第2の出力交流信号とを出力
    し、前記第1の出力交流信号と第2の出力交流信号を入
    力し、前記直線位置を示す前記サイン関数とコサイン関
    数の位相値を検出する位相検出回路を更に具備した請求
    項5に記載のシリンダ位置検出装置。
  7. 【請求項7】 前記磁気応答部材は、所定の磁気応答特
    性を持つ磁気応答部材を直線変位方向に沿って所定のピ
    ッチで複数繰り返して設けてなるものであって、前記コ
    イル部が、前記磁気応答部材の1ピッチ内のアブソリュ
    ート位置に応答する第1の検出信号を出力する第1のコ
    イル部と、前記磁気応答部材の終端部の通過に応答する
    第2の検出信号を出力する少なくとも1つの第2のコイ
    ル部とを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれ
    かに記載のシリンダ位置検出装置。
  8. 【請求項8】 前記磁気応答部材は、所定の磁気応答特
    性を持つ磁気応答部材を直線変位方向に沿って所定のピ
    ッチで複数繰り返して設けてなるものであって、前記コ
    イル部が、前記磁気応答部材の1ピッチ内のアブソリュ
    ート位置に応答する第1の検出信号を出力する第1のコ
    イル部と、前記磁気応答部材の1ピッチよりも長い範囲
    にわたって設けられてなり、該磁気応答部材の侵入量に
    応答する第2の検出信号を出力する第2のコイル部とを
    含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載
    のシリンダ位置検出装置。
  9. 【請求項9】 前記磁気応答部材は、所定の磁気応答特
    性を持つ磁気応答部材を直線変位方向に沿って所定のピ
    ッチで複数繰り返して設けてなる第1の磁気応答部材
    と、前記磁気応答部材の繰り返しピッチとは異なるピッ
    チで繰り返し形成された第2の磁気応答部材とを含み、
    前記コイル部が、前記第1の磁気応答部材の1ピッチ内
    のアブソリュート位置に応答する第1の検出信号を出力
    する第1のコイル部と、前記第2の磁気応答部材に応答
    する出力を生ずる第2のコイル部とを含むものであり、
    前記第1及び第2のコイル部の各出力信号に基づきバー
    ニア原理に従って、前記ピストン部の直線位置を、前記
    磁気応答部材の1ピッチの範囲を超えるアブソリュート
    値にて、検出するようにした請求項1乃至6のいずれか
    に記載の誘導型直線位置検出装置。
  10. 【請求項10】 前記コイル部は、交流信号によって励
    磁される1次コイルと、所定の範囲における検出対象の
    変位に対してそれぞれ異なる所定の振幅関数に従う出力
    信号を生ずるように配置された少なくとも2グループの
    2次コイルとを含み、 前記磁気応答部材は、前記ピストン部の一方向の動きに
    応じて前記コイル部の領域に徐々に侵入していき、それ
    とは逆方向に戻る該ピストン部の動きに応じて前記コイ
    ル部の領域から徐々に退出していくものであり、 前記コイル部の領域に対する前記磁気応答部材の侵入量
    に応じた出力信号が、前記2次コイルの各グループか
    ら、それぞれの前記振幅関数に従って、出力されるよう
    にした請求項1乃至6のいずれかに記載の誘導型直線位
    置検出装置。
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