JPH10160460A - 傾斜検出装置 - Google Patents

傾斜検出装置

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JPH10160460A
JPH10160460A JP9243382A JP24338297A JPH10160460A JP H10160460 A JPH10160460 A JP H10160460A JP 9243382 A JP9243382 A JP 9243382A JP 24338297 A JP24338297 A JP 24338297A JP H10160460 A JPH10160460 A JP H10160460A
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inclinometer
signal
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Tadatoshi Goto
忠敏 後藤
Yasuhiro Yuasa
康弘 湯浅
Shuichi Tanaka
秀一 田中
Nobuyuki Akatsu
伸行 赤津
Kazuya Sakamoto
和也 坂元
Hiroshi Sakamoto
宏 坂本
Akio Yamamoto
明男 山本
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 非接触かつ簡易な構成の1軸又は2次元的な
傾斜検出装置の提供。 【解決手段】 下側にわん曲した通路を含む収納体1
と、該通路内にて重力に従って移動自在に収納された磁
気応答部材3と、該収納体において該通路の外周に設け
られたコイル部2とを具えてなる傾斜計10と、この傾
斜計を前記通路に直角な第1の方向に揺動自在に枢支し
てなる取付けベース部20とを具備する。通路に沿う第
2の方向に関する傾斜に応じて該通路に沿って磁気応答
部材3が変位し、これに応じた誘導出力信号をコイル部
2より得ることにより該第2の方向に関する傾斜を検知
する。第1の方向に関する傾斜に対しては傾斜計10全
体が重力方向を指向して取付けベース部20に対して振
れることにより応答しない。2つの前記傾斜計10X,
10Yを直交させてそれ揺動自在に枢支することによ
り、2次元的傾斜検出装置を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定方向について
の傾斜又は振動又は加速度を検知する傾斜検出装置に関
すると共に、2軸方向についての傾斜又は振動又は加速
度を検知する傾斜検出装置に関し、建設機械、自動車、
工作機械、その他あらゆる分野で応用可能なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の傾斜検出装置にはポテンショメー
タを用いたものがある。しかし、ポテンショメータにお
いて摺動接触子があるために耐久性の点で難があった。
また、従来知られた誘導型位置検出装置には、直線位置
検出装置としては差動トランスがあり、回転位置検出装
置としてはレゾルバがある。差動トランスは、1つの1
次巻線を1相で励磁し、差動接続された2つの2次巻線
の各配置位置において検出対象位置に連動する鉄心コア
の直線位置に応じて差動的に変化するリラクタンスを生
ぜしめ、その結果として得られる1相の誘導出力交流信
号の電圧振幅レベルが鉄心コアの直線位置を示すように
したものである。レゾルバは、複数の1次巻線を1相で
励磁し、サイン相取り出し用の2次巻線からサイン相の
振幅関数特性を示す出力交流信号を取り出し、コサイン
相取り出し用の2次巻線からコサイン相の振幅関数特性
を示す出力交流信号を取り出すようにしたものである。
この2相のレゾルバ出力は公知のR/Dコンバータとい
われる変換回路を用いて処理し、検出した回転位置に対
応する位相値をディジタル的に測定することができる。
また、サイン相とコサイン相のような複数相の交流信号
によって複数の1次巻線を夫々励磁し、検出対象直線位
置又は回転位置に応じて該交流信号を電気的に位相シフ
トした出力交流信号を出力し、この出力交流信号の電気
的位相シフト量を測定することにより、検出対象直線位
置又は回転位置をディジタル的に測定する技術も知られ
ている(例えば、特開昭49−107758号、特開昭
53−106065号、特開昭55−13891号、実
公平1−25286号など)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、傾斜検出装置
として従来知られたポテンショメータは、前述の通り、
摺動接触子があるために耐久性の点で難があった。ま
た、劣悪な環境で使用するには適していないものであっ
た。また、従来知られた誘導型位置検出装置は、回転位
置または直線位置を検出するものであり、傾斜を検出す
ることのできるような構造を持っていなかった。一般
に、誘導型位置検出装置は、構造的に非接触であり、ま
た、コイルと磁性体(鉄片等)の簡単な構成により、簡
便かつ安価に製造することができ、かつ劣悪な環境下で
の使用にも耐えうるので、これを傾斜検出装置に適用で
きれば、広い応用・用途が見込まれる。
【0004】また、2軸方向(2次元)の傾斜を検出す
る装置として、2次元的ジャイロスコープ構造における
各軸の回動角度を測定する構造を採用することも考えら
れるが、そうすると構造が極めて複雑となり、コスト高
にもなってししまう。本発明は上述の点に鑑みてなされ
たもので、従来なかった新規な誘導型の傾斜検出装置を
提供しようとするものである。また、簡易な構成であり
ながら、ジャイロスコープ構造の2次元傾斜検出装置に
匹敵する各軸傾斜成分の抽出性能を有する、2次元的な
傾斜検出装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る傾斜検出装
置は、下側にわん曲した通路を含む収納体と、前記通路
内にて重力に従って移動自在に収納された磁気応答部材
と、前記収納体において前記通路の外周に設けられたコ
イル部とを具えてなる傾斜計と、この傾斜計を前記通路
に直角な第1の方向に揺動自在に枢支してなる取付けベ
ース部とを具備し、前記通路に沿う第2の方向に関する
傾斜に応じて該通路に沿って前記磁気応答部材が変位
し、該通路における前記磁気応答部材の位置を検出する
誘導出力信号を前記コイル部より得ることにより該第2
の方向に関する傾斜を検知し、前記第1の方向に関する
傾斜に対しては前記傾斜計全体が重力方向を指向して前
記取付けベース部に対して振れることにより応答しない
ようにしたことを特徴とするものである。収納体の通路
は、下側にわん曲しているため、該収納体が水平位置に
おかれているとき、該通路内の磁気応答部材は自重によ
り必ず所定の位置(傾斜0に対応する一番低い位置)に
位置する。前記第2の方向に沿って収納体が傾くと、そ
れに応じて通路に沿って磁気応答部材が変位し、該通路
における前記磁気応答部材の位置を検出する誘導出力信
号が前記コイル部から得られる。このコイル部の出力信
号が第2の方向に沿う収納体の傾きに応答している。一
方、前記第1の方向に関する傾斜に対しては前記傾斜計
全体が重力方向を指向して前記取付けベース部に対して
振れることにより応答しないようになっている。従っ
て、所定の第2の方向に沿う1軸の傾斜成分のみを正確
に抽出して、その傾斜を検出することができる。
【0006】本発明の傾斜検出装置は、収納体内を磁気
応答部材が重力方向を指向して自由に動くので、単純な
傾斜のみならず、検出対象物体の振動又は加速度にも応
答した検出を行うことができる。すなわち、検出対象物
体が水平方向に振動したとき加速度を生じたとき、該物
体が実際には傾斜していなくても、収納体内の磁気応答
部材が該振動又は加速度に応答して動くので、これを検
出することができる。従って、特許請求の範囲を含む本
明細書の記載において、便宜上単に「傾斜」という言葉
のみを使用していたとしても、その「傾斜」という言葉
の意味の中には上記のように「振動」又は「加速度」を
も含んでいるものと理解されたい。なお、振り子の動き
を光学的に検出するタイプの加速度検出装置が従来知ら
れているが、そのようなタイプの加速度検出装置は、加
速度がよほど大きくないと検出が不可能であった。これ
に対して、本発明に係る傾斜検出装置を、加速度検出の
ために使用した場合は、下向きにわん曲した通路での可
動体つまり磁気応答部材の位置を検出する構成であるた
め、わずかな加速度にも応答して通路内で可動体つまり
磁気応答部材が変位するため、低速時の加速度検出に関
しても極めて優れた効果を発揮する。
【0007】本発明に係る2次元の傾斜検出装置は、第
1及び第2の前記傾斜計を第1及び第2の軸に対応して
それぞれ設け、該第1の傾斜計は第1の軸に直角な方向
に揺動自在に枢支し、該第2の傾斜計は第2の軸に直角
な方向に揺動自在に枢支してなることを特徴とするもの
である。これにより、第1の傾斜計における前記通路は
第1の軸(例えばX軸)の方向に延びるものとなり、該
第1の傾斜計は第1の軸(例えばX軸)方向に関する傾
斜成分を検出し、かつ、第1の軸に直角な方向(例えば
Y軸)に関する傾斜に対しては取付けベース部に対して
振れることにより応答しないようになっている。また、
第2の傾斜計における前記通路は第2の軸(例えばY
軸)の方向に延びるものとなり、該第2の傾斜計は第2
の軸(例えばY軸)方向に関する傾斜成分を検出し、か
つ、第2の軸に直角な方向(例えばX軸)に関する傾斜
に対しては取付けベース部に対して振れることにより応
答しないようになっている。このように、各軸傾斜成分
のみを効率的に抽出することができ、2次元的な傾斜検
出の精度を向上させることができる。しかも、複雑なジ
ャイロスコープ構造を必要としないので、極めて簡易な
構成で済む。なお、前記第1及び第2の軸は、例えば、
直交するX軸及びY軸であるとするのが好適な実施の形
態である。しかしこれに限らず、必ずしも直交軸である
必要はない。すなわち、変形例又は迂回的な応用例とし
ては、傾斜計の数は2個に限らず、3個以上であっても
よい。その場合、3以上の各軸が同一面(例えば水平
面)状で交差することになる。このように、第1及び第
2の傾斜計に加えて、第3、第4、……の傾斜計を追加
する実施の形態は、第1及び第2の傾斜計を含むことを
クレームしている本件特許請求の範囲に記載された発明
をそっくり利用しているものであり、その技術的範囲に
包含されることを理解されたい。
【0008】一実施形態として、コイル部は通路に沿っ
て複数のコイルを設けてなるようにしてよい。また、コ
イル部は、1相の交流信号によって励磁され、前記磁気
応答部材の相対的位置に応じて、サイン相の振幅関数特
性を示す出力交流信号と、コサイン相の振幅関数特性を
示す出力交流信号との2相の出力交流信号を出力するよ
うに、レゾルバ型位置検出原理によって構成するように
したものであってよい。その場合、更に、サイン相の振
幅関数特性を示す出力交流信号とコサイン相の振幅関数
特性を示す出力交流信号とに基づき、該サイン相の振幅
関数及びコサイン相の振幅関数の位相値を検出し、前記
磁気応答部材の相対的位置に応じた位相値検出データを
得る位相検出回路を更に備えるようにすれば、周辺環境
の温度変化等の影響を受けにくい、精度のよい装置を提
供することができる。一実施形態によれば、磁気応答部
材は、球形状又は円柱状等の形状の固体からなるもので
あってよい。別の例として、磁気応答部材は固体に限ら
ず、非固定形状の物体からなるものであってもよい。例
えば、磁性流体や磁性粉体などを使用することができ
る。本発明によれば、更に様々な実施の形態をとること
ができ、その詳細は、例示的に以下において示される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態をいくつかの代表例について説明する。図
示された各例は、相互に組み合わせることも可能であ
り、それらの組合せも本発明の実施に含まれる。図1
(a)は本発明に係る傾斜検出装置の全体構成を略示す
る斜視図であり、(b)はそこにおける傾斜計10の部
分の軸方向断面図、(c)は該傾斜計10の側面略図で
ある。傾斜検出装置は、図1(a)に示されるように、
取付けベース部20に対して傾斜計10をブランコ状に
揺動自在に枢支してなる構成からなっている。すなわ
ち、傾斜計10の両端にクランク状の取付けアーム10
a,10bがそれぞれ取り付けられており、各アーム1
0a,10bの上部分10au,10buが横に延び
て、所定の軸Xに一致する配置となっており、該アーム
上部分10au,10buがベアリング20a,20b
を介して取付けベース部20に枢支され、該X軸と直角
な方向(Yで図示)に揺動自在となっている。
【0010】傾斜計10は、図1(b),(c)に示さ
れるように、プラスチックあるいはステンレス等の非磁
性体からなるチューブ状の収納体1を含んでおり、該チ
ューブ状の収納体1の内部は、図示のように、下側にわ
ん曲した通路1aとなっている。この通路1a内には、
適宜のサイズ又は量の磁気応答部材3が重力に従って移
動自在に収納されている。磁気応答部材3は、図1の例
では、球形状をした例えば鉄のような磁性体からなって
いる。収納体1の通路1aの周囲つまり巻軸の周囲に
は、1又は複数のコイル11〜15,21〜24が順次
配置されて巻かれている。これらのコイル11〜15,
21〜24によりコイル部2が構成されている。なお、
通路1aの両端は閉じられていて、内部の磁気応答部材
3が飛び出ないようになっている。
【0011】上記の構成によって、通路1a内における
磁気応答部材3の直線的な位置つまり、コイル部2に対
する磁気応答部材3の相対的位置に応じて、コイル部2
における誘導結合が変化し、これに応じた出力信号を該
コイル部2より得ることができる。従って、通路1a内
における磁気応答部材3のリニア位置に応じた検出出力
信号をコイル部2から得るようにすることができる。収
納体1の通路1aは、下側にわん曲しているため、該収
納体1が水平位置におかれているとき、該通路1a内の
磁気応答部材3は自重により必ず所定の位置(傾斜0に
対応する一番低い位置)に位置する。収納体1が傾く
と、それに応じて通路1aに沿って磁気応答部材3がリ
ニアに変位し、該通路1aにおける前記磁気応答部材3
のリニア位置に応じた検出出力信号が前記コイル部2か
ら得られる。従って、コイル部2の出力信号は収納体1
の傾きに応答するものであり、該傾きの検知信号として
適宜利用できる。
【0012】ここで、通路1aは傾斜計10の揺動軸X
の方向に沿って延びているので、コイル部2の出力信号
は軸Xに関する傾きに対応している。すなわち、取付け
ベース部20の水平に対するX軸方向に関しての傾きθ
(x)に対応している。X軸に直角な方向(Y方向)に関
して取付けベース部20が傾くと、ブランコの作用によ
って傾斜計10は該X軸に直角な方向(Y方向)に傾く
ことなく、水平を維持する。こうして、この傾斜計10
によれば、X軸に直角な方向(Y方向)に関する傾斜成
分を自動的にキャンセルして、X軸の方向に関する1軸
の傾斜成分のみに正確に応答する傾斜検出信号を得るこ
とができる。
【0013】コイル部2による検出原理としては、任意
のものを用いることができる。単純な例としては、ピッ
クアップコイル方式があり得る。すなわち通路1aに沿
って配置した複数のコイルの出力信号レベルに基づき、
磁気応答部材3が最も近接したコイルを特定することに
より、通路1aにおける磁気応答部材3のリニア位置を
検出することができ、従って、収納体1の傾斜の度合い
を検知/検出することができる。より細かく磁気応答部
材3のリニア位置を検出するための一例として、リニア
差動トランス原理に従ってコイル部2を構成することが
できる。すなわち、コイル部2として1個又は複数のリ
ニア差動トランスを構成し、該リニア差動トランスの出
力電圧値とどのリニア差動トランスから出力が得られた
かを示すデータとの組み合わせによって、前記ピックア
ップコイル方式よりは細かい精度で磁気応答部材3のリ
ニア位置を検出することができる。
【0014】更に細かい精度で、かつ正確に、磁気応答
部材3のリニア位置を検出し得るようにするには、レゾ
ルバ原理に従ってコイル部2を構成するとよい。レゾル
バ原理に従ってコイル部2を構成する場合、1相の交流
信号によって励磁される1次コイル11〜15と、複数
の2次コイル21〜24とを含む。各2次コイル21〜
24は、通路1aに沿って所定の間隔でずらして配置さ
れる。一方、1相の交流信号によって共通に励磁される
が故に、1次コイル11〜15の数は、1又は適宜の複
数であってよく、その配置も適宜であってよい。しか
し、複数の1次コイル11〜15を適宜に分離して、例
えば図1に示されるように各2次コイル21〜24をそ
れぞれの間に挟むように、配置することは、1次コイル
によって発生する磁界を個別の2次コイル21〜24に
対して有効に及ぼし、かつ磁気応答部材3による磁場へ
の影響を有効に及ぼすことができるので、好ましい。
【0015】通路1aにおける磁気応答部材3のリニア
位置に応じて、磁気応答部材3のコイル部2に対する対
応位置が変化することにより、1次コイル11〜15と
各2次コイル21〜24間の磁気結合が該リニア位置に
応じて変化され、これにより、該リニア位置に応じて振
幅変調された誘導出力交流信号が、各2次コイル21〜
24の配置のずれに応じて異なる振幅関数特性で、各2
次コイル21〜24に誘起される。各2次コイル21〜
24に誘起される各誘導出力交流信号は、1次コイル1
1〜15が1相の交流信号によって共通に励磁されるが
故に、その電気的位相が同相であり、その振幅関数が各
2次コイル21〜24の配置のずれに応じてずれた位相
を有する。すなわち、4つの2次コイル21〜24に生
じる誘導出力交流信号の振幅関数が、所望の特性を示す
ように設定することが可能であり、レゾルバタイプの位
置検出装置として構成する場合は、各2次コイル21〜
24に生じる誘導出力交流信号の振幅関数が、サイン関
数、コサイン関数、マイナス・サイン関数、マイナス・
コサイン関数、にそれぞれ相当するように設定すること
が可能である。種々の条件によって、各コイルの配置は
微妙に変わり得るので、希望の関数特性が得られるよう
に各コイルの配置や巻数を適宜調整したり、あるいは2
次出力レベルを電気的増幅によって調整して、希望の振
幅関数特性が最終的に得られるようにする。
【0016】例えば、2次コイル21の出力がサイン関
数(図でsを付記する)に対応するとすると、これに対
して所定距離(例えばp/2とする)だけずれて配置さ
れた2次コイル23の出力はマイナス・サイン関数(図
で/s(sバー)を付記する)に相当するように設定
し、この両者の出力を差動的に合成することによりサイ
ン関数の振幅関数を持つ第1の出力交流信号を得るよう
にすることができる。また、サイン関数出力に対応する
2次コイル21から前記所定距離の半分(例えばp/4
とする)だけずれて配置された2次コイル22の出力は
コサイン関数(図でcを付記する)に対応し、これに対
してp/2だけずれて配置された2次コイル24の出力
はマイナス・コサイン関数(図で/c(cバー)を付記
する)に相当するように設定し、この両者の出力を差動
的に合成することによりコサイン関数の振幅関数を持つ
第2の出力交流信号を得るようにすることができる。な
お、明細書中では、表記の都合上、反転を示すバー記号
は「/(スラッシュ)」で記載するが、これは、図中の
バー記号に対応している。
【0017】図2は、コイル部2の1次及び2次コイル
の回路図であり、1次コイル11〜15には共通の励磁
交流信号(説明の便宜上、sinωtで示す)が印加され
る。この1次コイルの励磁に応じて、収納体1の傾斜角
αに対応して変化する磁気応答部材3のリニア位置に応
じた振幅値を持つ交流信号が各2次コイル21〜24に
誘導される。夫々の誘導電圧レベルは該傾斜角αに相関
する位相角θを持つ2相の関数特性sinθ,cosθ及びそ
の逆相の関数特性−sinθ,−cosθを示す。すなわち、
各2次コイル21〜24の誘導出力信号は、該傾斜角α
に相関する位相角θに対応して2相の関数特性sinθ,c
osθ及びその逆相の関数特性−sinθ,−cosθで振幅変
調された状態で夫々出力されるように設定することがで
きる。説明の便宜上、コイルの巻数等、その他の条件に
従う係数は省略し、2次コイル21をサイン相として、
その出力信号を「sinθ・sinωt」で示し、2次コイル
22をコサイン相として、その出力信号を「cosθ・sin
ωt」で示す。また、2次コイル23をマイナス・サイ
ン相として、その出力信号を「−sinθ・sinωt」で示
し、2次コイル24をマイナス・コサイン相として、そ
の出力信号を「−cosθ・sinωt」で示す。サイン相と
マイナス・サイン相の誘導出力を差動的に合成すること
によりサイン関数の振幅関数を持つ第1の出力交流信号
A(=2sinθ・sinωt)が得られる。また、コサイン
相とマイナス・コサイン相の誘導出力を差動的に合成す
ることによりコサイン関数の振幅関数を持つ第2の出力
交流信号B(=2cosθ・sinωt)が得られる。なお、
表現の簡略化のために、係数「2」を省略して、以下で
は、第1の出力交流信号Aを「sinθ・sinωt」で表わ
し、第2の出力交流信号Bを「cosθ・sinωt」で表わ
す。
【0018】こうして、傾斜角αに相関する位相角θを
持つ第1の関数値sinθを振幅値として持つ第1の出力
交流信号A=sinθ・sinωtと、同じ位相角θに対応す
る第2の関数値cosθを振幅値として持つ第2の出力交
流信号B=cosθ・sinωtとが出力される。このような
コイル構成によれば、回転型位置検出装置として従来知
られたレゾルバにおいて得られるのと同様の、同相交流
であって2相の振幅関数を持つ2つの出力交流信号A,
B(サイン出力とコサイン出力)をコイル部2から得る
ことができることが理解できる。このコイル部2から出
力される2相の出力交流信号(A=sinθ・sinωtとB
=cosθ・sinωt)は、従来知られたレゾルバの出力と
同様の使い方をすることができる。例えば、図2に示す
ように、コイル部2の出力交流信号A,Bを適切なディ
ジタル位相検出回路40に入力し、前記サイン関数sin
θとコサイン関数cosθの位相値θをディジタル位相検
出方式によって検出し、位相角θのディジタルデータD
θを得るようにすることができる。従って、ディジタル
データDθを傾斜角αの検知データとして利用すること
ができる。このディジタル位相検出回路40で採用する
ディジタル位相検出方式としては、公知のR−D(レゾ
ルバ−ディジタル)コンバータを適用してもよいし、本
発明者らによって開発済の新方式を採用してもよい。
【0019】磁気応答部材3の形状は球に限らず、円筒
形その他の適宜の形状であってもよい。また、磁気応答
部材3は固形のものに限らず、例えば磁性流体や磁性粉
体のような非固定形状の物体からなるものであってもよ
い。また、磁気応答部材3の材質は磁性体に限らず、銅
のような良導電体であってもよい。図3は磁気応答部材
3のいくつかの変更例を示すもので、(a)は円筒形状
の固形の磁気応答部材3aを示す。(b)は適量の磁性
流体3bを磁気応答部材3として使用する例を示す。
(c)は適量の磁性粉体3cを磁気応答部材3として使
用する例を示す。なお、磁性粉体3cは、微粉体に限ら
ず、砂鉄のような粒体であってもよい。また、特に図示
しないが、利用目的によっては、図1のような固形の磁
気応答部材3を使用する場合に、通路1a内に非磁性の
粘性流体を封入し、傾斜に応じた磁気応答部材3の動き
に対して適量のダンプ作用を及ぼすようにしてもよい。
【0020】また、本来の傾斜動又は振動から派生する
磁気応答部材3の不所望の慣性動を抑制するために、永
久磁石と導電体とを適切に配置するようにしてもよい。
例えば、収納体1を、銅又はアルミニウムのような非磁
性・良導電体のチューブにより構成し、磁気応答部材3
を、球状の永久磁石と磁性体の複合体によって構成すれ
ばよい。球状の永久磁石と磁性体の複合体としては、例
えば、球の内部が磁性体であり、その外周に球状の永久
磁石を形成してなるものを使用することができる。球状
の永久磁石は公知であるためこれを利用し、その内部に
磁性体を設ければよい。あるいは、鉄等の磁性体からな
る小球の周囲に、サッカーボール表皮のようなパッチ状
に複数の永久磁石を貼り付ることによっても、永久磁石
と磁性体の複合体からなる磁気応答部材3を形成するこ
とができる。これにより、「ラルゴの円板」として知ら
れている原理に従って動作することになり、磁気応答部
材3が変位したとき、該部材3に設けられた永久磁石の
作用によって、収納体1のチューブを構成している導電
体に渦電流が流れ、該磁気応答部材3の動きを抑制する
ように作用する。従って、不所望の慣性動を抑制するこ
とができる。また、その変更例として、1又は複数個の
永久磁石を収納体1の側に固定し、磁気応答部材3を非
磁性の良導電体によって構成し、収納体1はプラスチッ
ク等の非磁性・非導電体で構成するようにしてもよい。
【0021】図1では、チューブ状の収納体1の周囲に
円筒状のボビン若しくは巻き軸を設定してそこにコイル
部2を設けた構成であるが、これに限らず、図4のよう
に、曲げられたチューブ(収納体1)の周りに直接的に
コイル部2を嵌め込んだ構成であってもよい。収納体1
内の通路1aのわん曲は図示のような形態に限らず、も
っと大きくとってもよい。通路1aのわん曲を大きくす
るほど、実際の傾斜角αに対する磁気応答部材3の変位
量が相対的に小さくなる(通路1a内を動きにくくな
る)。従って、収納体1内の通路1aのわん曲を調整す
ることにより、検知しようとする傾斜角αの感度調整若
しくは検知可能角範囲の調整を行うことができる。容易
に理解できるように、このように通路1aのわん曲の調
整によって検知感度又は範囲調整機能を持つことは、本
発明によれば、所定以上若しくは所定範囲の傾斜に応答
して傾斜の有無の検知を行うことができる傾斜計を提供
することもできることを意味する。また、上記各実施例
において、コイル部2における1次及び2次コイルの数
及び配置も様々な変形や設計変更が可能である。また、
2次コイル出力信号の相数もサイン,コサインの2相に
限らず、他の形態、例えば120度ずれた3相タイプ、
であってもよい。
【0022】以上のような傾斜計10は通路1aの方向
に沿う一方向(1軸)のみについての傾斜を検出するこ
とができるものである。例えば、建設機械の作業アーム
の傾斜検出のように、目的の傾斜方向が所定の一方向に
決まっている場合は、この傾斜計10を1つ設ければよ
い。しかし、車体の前後の傾斜と左右横方向の傾斜を検
出するような場合あるいはその他の場合のように、少な
くとも2方向についての傾斜を検出したい場合は、この
傾斜計10を少なくとも2個互いに異なる所定の方向に
配置し、2次元的な傾斜検出装置を構成することができ
る。図5は、その一例を略示するものであり、互いに9
0度の角度で交差するように2つの傾斜計10X,10
Yを組み合わせて取付けベース部20に設け、2次元的
な傾斜検出装置を構成したものである。各傾斜計10
X,10Yは、上述した傾斜計10と同一構成である。
すなわち、第1の傾斜計10Xは第1の軸(例えばX軸
とする)に対応して設けられ、該第1の軸(X軸)に直
角な方向(Y方向)に揺動自在に枢支されている。ま
た、第2の傾斜計10Yは第2の軸(例えばY軸とす
る)に対応して設けられ、該第2の軸(Y軸)に直角な
方向(X方向)に揺動自在に枢支されている。例えば、
第1の傾斜計10Xが図1の傾斜計10と同じ配置であ
るとすると、これに直交する関係で同様の構成の第2の
傾斜計10Yが設けられることになる。よって、第2の
傾斜計10Yは、Y軸を揺動軸として、ブランコ状に揺
動自在に枢支されている。
【0023】これにより、第1の傾斜計10Xにおける
前記収納体1の通路1aはX軸の方向に延びるものとな
り、該第1の傾斜計10XはX軸方向に関する傾斜成分
を検出し、かつ、第1の軸に直角な方向(Y軸)に関す
る傾斜に対しては取付けベース部20に対して自在に振
れることにより応答しないようになっている。また、第
2の傾斜計10Yにおける収納体1の通路1aはY軸の
方向に延びるものとなり、該第2の傾斜計10YはY軸
方向に関する傾斜成分を検出し、かつ、第2の軸に直角
な方向(X軸)に関する傾斜に対しては取付けベース部
20に対して自在に振れることにより応答しないように
なっている。このように、各軸傾斜成分のみを効率的に
抽出することができ、2次元的な傾斜検出の精度を向上
させることができる。しかも、複雑なジャイロスコープ
構造を必要としないので、極めて簡易な構成で済んでい
る。各軸傾斜計10X,10Yのコイル部2は、それぞ
れ図2と同様のコイル構成及び接続とすることができ
る。その場合、X軸方向の傾斜成分についての傾斜量
(θ)に応じた2相出力信号A,BがX軸傾斜計10X
のコイル部2から出力され、Y軸方向の傾斜成分につい
ての傾斜量(θ)に応じた2相出力信号A,BがY軸傾
斜計10Yのコイル部2から出力される。
【0024】次に、上記各実施例におけるコイル部2か
ら出力される2相の出力交流信号A,B(図2)に基づ
き傾斜量θを検出する処理回路の一例について説明す
る。図6は、ディジタル位相検出回路40として、公知
のR−D(レゾルバ−ディジタル)コンバータを適用し
た例を示す。コイル部2の2次コイル21〜24から出
力されるレゾルバタイプの2相の出力交流信号A=sin
θ・sinωtとB=cosθ・sinωtが、それぞれアナログ
乗算器30,31に入力される。順次位相発生回路32
では位相角φのディジタルデータを発生し、サイン・コ
サイン発生回路33から該位相角φに対応するサイン値
sinφとコサイン値cosφのアナログ信号を発生する。乗
算器30では、サイン相の出力交流信号A=sinθ・sin
ωtに対してサイン・コサイン発生回路33からのコサ
イン値cosφを乗算し、「cosφ・sinθ・sinωt」を得
る。もう一方の乗算器31では、コサイン相の出力交流
信号B=cosθ・sinωtに対してサイン・コサイン発生
回路33からのサイン値sinφを乗算し、「sinφ・cosθ
・sinωt」を得る。引算器34で、両乗算器30,31
の出力信号の差を求め、この引算器34の出力によって
順次位相発生回路32の位相発生動作を次のように制御
する。すなわち、順次位相発生回路32の発生位相角φ
を最初は0にリセットし、以後順次増加していき、引算
器34の出力が0になったとき増加を停止する。引算器
34の出力が0になるのは、「cosφ・sinθ・sinωt」
=「sinφ・cosθ・sinωt」が成立したときであり、す
なわち、φ=θが成立し、順次位相発生回路32から位
相角φのディジタルデータが出力交流信号A,Bの振幅
関数の位相角θのディジタル値に一致している。従っ
て、任意のタイミングで周期的にリセットトリガを与え
て順次位相発生回路32の発生位相角φを0にリセット
して、該位相角φのインクリメントを開始し、引算器3
4の出力が0になったとき、該インクリメントを停止
し、位相角θのディジタルデータを得る。なお、順次位
相発生回路32をアップダウンカウンタ及びVCOを含
んで構成し、引算器34の出力によってVCOを駆動し
てアップダウンカウンタのアップ/ダウンカウント動作
を制御するようにすることが知られており、その場合
は、周期的なリセットトリガは不要である。
【0025】温度変化等によってコイル部2の1次及び
2次コイルのインピーダンスが変化することにより2次
出力交流信号における電気的交流位相ωtに誤差が生じ
るが、上記のような位相検出回路においては、sinωt
の位相誤差は自動的に相殺されるので、好都合である。
これに対して、従来知られた2相交流信号(例えばsin
ωtとcosωt)で励磁することにより1相の出力交流
信号に電気的位相シフトが生じるようにした方式では、
そのような温度変化等に基づく出力位相誤差を除去する
ことができない。ところで、上記のような従来のR−D
コンバータからなる位相検出回路は、追従比較方式であ
るため、φを追従カウントするときのクロック遅れが生
じ、応答性が悪い、という問題がある。そこで、本発明
者等は、以下に述べるような新規な位相検出回路を開発
したので、これを使用すると好都合である。
【0026】図7は、本発明に係る傾斜検出装置に適用
される新規なディジタル位相検出回路40の一実施形態
を示している。図7において、検出回路部41では、カ
ウンタ42で所定の高速クロックパルスCKをカウント
し、そのカウント値に基づき励磁信号発生回路43から
励磁用の交流信号(例えばsinωt)を発生し、コイ
ル部2の1次コイル11〜15に与える。カウンタ42
のモジュロ数は、励磁用の交流信号の1周期に対応して
おり、説明の便宜上、そのカウント値の0は、基準のサ
イン信号sinωtの0位相に対応しているものとする。
コイル部2の2次コイル21〜24から出力される2相
の出力交流信号A=sinθ・sinωtとB=cosθ・sinωt
は、検出回路部41に入力される。
【0027】検出回路部41において、第1の交流出力
信号A=sinθ・sinωtが位相シフト回路44に入力さ
れ、その電気的位相が所定量位相シフトされ、例えば9
0度進められて、位相シフトされた交流信号A’=sin
θ・cosωtが得られる。また、検出回路部41において
は加算回路45と減算回路46とが設けられており、加
算回路45では、位相シフト回路44から出力される上
記位相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtとコ
イル部2の2次コイルから出力され第2の交流出力信号
B=cosθ・sinωtとが加算され、その加算出力とし
て、B+A’=cosθ・sinωt+sinθ・cosωt=sin
(ωt+θ)なる略式で表わせる第1の電気的交流信号
Y1が得られる。減算回路46では、上記位相シフトさ
れた交流信号A’=sinθ・cosωtと上記第2の交流出
力信号B=cosθ・sinωtとが減算され、その減算出力
として、B−A’=cosθ・sinωt−sinθ・cosωt=si
n(ωt−θ)なる略式で表わせる第2の電気的交流信
号Y2が得られる。このようにして、検出対象傾斜角θ
に対応して正方向にシフトされた電気的位相角(+θ)
を持つ第1の電気的交流信号Y1=sin(ωt+θ)
と、同じ前記検出対象位置(x)に対応して負方向にシ
フトされた電気的位相角(−θ)を持つ第2の電気的交
流信号Y2=sin(ωt−θ)とが、電気的処理によっ
て夫々得られる。
【0028】加算回路45及び減算回路46の出力信号
Y1,Y2は、夫々ゼロクロス検出回路47,48に入
力され、それぞれのゼロクロスが検出される。ゼロクロ
スの検出の仕方としては、例えば、各信号Y1,Y2の
振幅値が負から正に変化するゼロクロスつまり0位相を
検出する。各回路47,48で検出したゼロクロス検出
パルスつまり0位相検出パルスは、ラッチパルスLP
1,LP2として、ラッチ回路49,50に入力され
る。ラッチ回路49,50では、カウンタ42のカウン
ト値を夫々のラッチパルスLP1,LP2のタイミング
でラッチする。前述のように、カウンタ42のモジュロ
数は励磁用の交流信号の1周期に対応しており、そのカ
ウント値の0は基準のサイン信号sinωtの0位相に対
応しているものとしたので、各ラッチ回路49,50に
ラッチしたデータD1,D2は、それぞれ、基準のサイ
ン信号sinωtに対する各出力信号Y1,Y2の位相ず
れに対応している。各ラッチ回路49,50の出力は誤
差計算回路51に入力されて、「(D1+D2)/2」
の計算が行なわれる。なお、この計算は、実際は、「D
1+D2」のバイナリデータの加算結果を1ビット下位
にシフトすることで行われるようになっていてよい。
【0029】ここで、コイル部2と検出回路部41間の
配線ケーブル長の長短による影響や、コイル部2の各1
次及び2次コイルにおいて温度変化等によるインピーダ
ンス変化が生じていることを考慮して、その出力信号の
位相変動誤差を「±d」で示すと、検出回路部41にお
ける上記各信号は次のように表わされる。 A=sinθ・sin(ωt±d) A’=sinθ・cos(ωt±d) B=cosθ・sin(ωt±d) Y1=sin(ωt±d+θ) Y2=sin(ωt±d−θ) D1=±d+θ D2=±d−θ
【0030】すなわち、各位相ずれ測定データD1,D
2は、基準のサイン信号sinωtを基準位相に使用して
位相ずれカウントを行なうので、上記のように位相変動
誤差「±d」を含む値が得られてしまう。そこで、誤差
計算回路51において、「(D1+D2)/2」の計算
を行なうことにより、 により、位相変動誤差「±d」を算出することができ
る。
【0031】誤差計算回路51で求められた位相変動誤
差「±d」のデータは、減算回路52に与えられ、一方
の位相ずれ測定データD1から減算される。すなわち、
減算回路52では、「D1−(±d)」の減算が行なわ
れるので、 D1−(±d)=±d+θ−(±d)=θ となり、位相変動誤差「±d」を除去した正しい検出位
相差θを示すディジタルデータが得られる。このよう
に、本発明によれば、位相変動誤差「±d」が相殺され
て、検出対象傾斜量θに対応する正しい位相差θのみが
抽出されることが理解できる。
【0032】この点を図8を用いて更に説明する。図8
においては、位相測定の基準となるサイン信号sinωt
と前記第1及び第2の交流信号Y1,Y2の0位相付近
の波形を示しており、同図(a)は位相変動誤差がプラ
ス(+d)の場合、(b)はマイナスの場合(−d)を
示す。同図(a)の場合、基準のサイン信号sinωtの
0位相に対して第1の信号Y1の0位相は「θ+d」だ
け進んでおり、これに対応する位相差検出データD1は
「θ+d」に相当する位相差を示す。また、基準のサイ
ン信号sinωtの0位相に対して第2の信号Y2の0位
相は「−θ+d」だけ遅れており、これに対応する位相
差検出データD2は「−θ+d」に相当する位相差を示
す。この場合、誤差計算回路51では、 により、位相変動誤差「+d」を算出する。そして、減
算回路52により、 D1−(+d)=+d+θ−(+d)=θ が計算され、正しい位相差θが抽出される。
【0033】図8(b)の場合、基準のサイン信号sin
ωtの0位相に対して第1の信号Y1の0位相は「θ−
d」だけ進んでおり、これに対応する位相差検出データ
D1は「θ−d」に相当する位相差を示す。また、基準
のサイン信号sinωtの0位相に対して第2の信号Y2
の0位相は「−θ−d」だけ遅れており、これに対応す
る位相差検出データD2は「−θ−d」に相当する位相
差を示す。この場合、誤差計算回路51では、 により、位相変動誤差「−d」を算出する。そして、減
算回路52により、 D1−(−d)=−d+θ−(−d)=θ が計算され、正しい位相差θが抽出される。なお、減算
回路52では。「D2−(±d)」の減算を行なうよう
にしてもよく、原理的には上記と同様に正しい位相差θ
を反映するデータ(−θ)が得られることが理解できる
であろう。
【0034】また、図8からも理解できるように、第1
の信号Y1と第2の信号Y2との間の電気的位相差は2
θであり、常に、両者における位相変動誤差「±d」を
相殺した正確な位相差θの2倍値を示していることにな
る。従って、図7におけるラッチ回路49,50及び誤
差計算回路51及び減算回路52等を含む回路部分の構
成を、信号Y1,Y2の電気的位相差2θをダイレクト
に求めるための構成に適宜変更するようにしてもよい。
例えば、ゼロクロス検出回路47から出力される第1の
信号Y1の0位相に対応するパルスLP1の発生時点か
ら、ゼロクロス検出回路48から出力される第2の信号
Y2の0位相に対応するパルスLP2の発生時点までの
間を適宜の手段でゲートし、このゲート期間をカウント
することにより、位相変動誤差「±d」を相殺した、電
気的位相差(2θ)に対応するディジタルデータを得る
ことができ、これを1ビット下位にシフトすれば、θに
対応するデータが得られる。
【0035】ところで、上記実施例では、+θをラッチ
するためのラッチ回路49と、−θをラッチするための
ラッチ回路50とでは、同じカウンタ42の出力をラッ
チするようにしており、ラッチしたデータの正負符号に
ついては特に言及していない。しかし、データの正負符
号については、本発明の趣旨に沿うように、適宜の設計
的処理を施せばよい。例えば、カウンタ42のモジュロ
数が4096(10進数表示)であるとすると、そのデ
ィジタルカウント0〜4095を0度〜360度の位相
角度に対応させて適宜に演算処理を行なうようにすれば
よい。最も単純な設計例は、カウンタ42のカウント出
力の最上位ビットを符号ビットとし、ディジタルカウン
ト0〜2047を+0度〜+180度に対応させ、ディ
ジタルカウント2048〜4095を−180度〜−0
度に対応させて、演算処理を行なうようにしてもよい。
あるいは、別の例として、ラッチ回路50の入力データ
又は出力データを2の補数に変換することにより、ディ
ジタルカウント4095〜0を−360度〜−0度の負
の角度データ表現に対応させるようにしてもよい。
【0036】ところで、傾斜が静止状態のときは特に問
題ないのであるが、検出対象傾斜量θが時間的に変化す
るときは、それに対応する位相角θも時間的に変動する
ことになる。その場合、加算回路45及び減算回路46
の各出力信号Y1,Y2の位相ずれ量θが一定値ではな
く、移動速度に対応して時間的に変化する動特性を示す
ものとなり、これをθ(t)で示すと、各出力信号Y1,
Y2は、 Y1=sin{ωt±d+θ(t)} Y2=sin{ωt±d−θ(t)} となる。すなわち、基準信号sinωtの周波数に対し
て、進相の出力信号Y1は+θ(t)に応じて周波数が高
くなる方向に周波数遷移し、遅相の出力信号Y2は−θ
(t)に応じて周波数が低くなる方向に周波数遷移する。
このような動特性の下においては、基準信号sinωtの
1周期毎に各信号Y1,Y2の周期が互いに逆方向に次
々に遷移していくので、各ラッチ回路49,50におけ
る各ラッチデータD1,D2の計測時間基準が異なって
くることになり、両データD1,D2を単純に回路5
1,52で演算するだけでは、正確な位相変動誤差「±
d」を得ることができない。
【0037】このような問題を回避するための最も簡単
な方法は、図7の構成において、傾斜量θが時間的に動
いているときの出力を無視し、静止状態のときの出力の
みを用いて、静止状態が得られた時の傾斜量θを測定す
るように装置の機能を限定することである。すなわち、
そのような限定された目的のために本発明を実施するよ
うにしてもよいものである。また、振動の最大振幅のと
きの傾斜量θを検出することのみで足りる場合も、最大
振幅時の傾斜検出値をピークホールドするような処理の
仕方で対処できる。一方、検出対象傾斜量θが時間的に
変化している最中であっても時々刻々の該検出対象傾斜
量θに対応する位相差θを正確に検出できるようにした
い、という要求もアプリケーションの場面によってはあ
り得る。そこで、検出対象傾斜が時間的に変化している
最中であっても時々刻々の該検出対象傾斜量θに対応す
る位相差θを検出できるようにした改善策について図9
を参照して説明する。
【0038】図9は、図7の検出回路部41における誤
差計算回路51と減算回路52の部分の変更例を抽出し
て示しており、他の図示していない部分の構成は図7と
同様であってよい。検出対象傾斜量θが時間的に変化し
ている場合における該傾斜量θに対応する位相差θを、
+θ(t)および−θ(t)で表わすと、各出力信号Y
1,Y2は前記のように表わせる。そして、夫々に対応
してラッチ回路49,50で得られる位相ずれ測定値デ
ータD1,D2は、 D1=±d+θ(t) D2=±d−θ(t) となる。この場合、±d+θ(t) は、θの時間的変化に
応じて、プラス方向に0度から360度の範囲で繰り返
し時間的に変化してゆく。また、±d−θ(t) は、θの
時間的変化に応じて、マイナス方向に360度から0度
の範囲で繰り返し時間的に変化してゆく。従って、±d
+θ(t) ≠ ±d−θ(t) のときもあるが、両者の変化
が交差するときもあり、そのときは±d+θ(t) = ±
d−θ(t) が成立する。このように、±d+θ(t) =
±d−θ(t) が成立するときは、各出力信号Y1,Y2
の電気的位相が一致しており、かつ、夫々のゼロクロス
検出タイミングに対応するラッチパルスLP1,LP2
の発生タイミングが一致していることになる。
【0039】図9において、一致検出回路53は、各出
力信号Y1,Y2ののゼロクロス検出タイミングに対応
するラッチパルスLP1,LP2の発生タイミングが、
一致したことを検出し、この検出に応答して一致検出パ
ルスEQPを発生する。一方、時変動判定回路54で
は、適宜の手段により(例えば一方の位相差測定データ
D1の値の時間的変化の有無を検出する等の手段によ
り)、検出対象傾斜角θが時間的に変化するモードであ
ることを判定し、この判定に応じて時変動モード信号T
Mを出力する。誤差計算回路51と減算回路52との間
にセレクタ55が設けられており、上記時変動モード信
号TMが発生されていないとき、つまりTM=“0”す
なわち検出対象傾斜角θが時間的に変化していないと
き、セレクタ入力Bに加わる誤差計算回路51の出力を
選択して減算回路52に入力する。このようにセレクタ
55の入力Bが選択されているときの図9の回路は、図
7の回路と等価的に動作する。すなわち、検出対象傾斜
角θが静止しているときは、誤差計算回路51の出力デ
ータがセレクタ55の入力Bを介して減算回路52に直
接的に与えられ、図7の回路と同様に動作する。
【0040】一方、上記時変動モード信号TMが発生さ
れているとき、つまりTM=“1”すなわち検出対象傾
斜角θが時間的に変化しているときは、セレクタ55の
入力Aに加わるラッチ回路56の出力を選択して減算回
路52に入力する。上記時変動モード信号TMが“1”
で、かつ前記一致検出パルスEQPが発生されたとき、
アンドゲート57の条件が成立して、該一致検出パルス
EQPに応答するパルスがアンドゲート57から出力さ
れ、ラッチ回路56に対してラッチ命令を与える。ラッ
チ回路56は、このラッチ命令に応じてカウンタ42の
出力カウントデータをラッチする。ここで、一致検出パ
ルスEQPが生じるときは、カウンタ42の出力をラッ
チ回路49,50に同時にラッチすることになるので、
D1=D2であり、ラッチ回路56にラッチするデータ
は、D1又はD2(ただしD1=D2)に相当してい
る。
【0041】また、一致検出パルスEQPは、各出力信
号Y1,Y2のゼロクロス検出タイミングが一致したと
き、すなわち「±d+θ(t) = ±d−θ(t)」が成立し
たとき、発生されるので、これに応答してラッチ回路5
6にラッチされるデータは、D1又はD2(ただしD1
=D2)に相当しているが故に、 (D1+D2)/2 と等価である。このことは、 (D1+D2)/2=[{±d+θ(t)}+{±d−θ(t)}]/2 =2(±d)/2=±d であることを意味し、ラッチ回路56にラッチされたデ
ータは、位相変動誤差「±d」を正確に示しているもの
であることを意味する。
【0042】こうして、検出対象傾斜量θが時間的に変
動しているときは、位相変動誤差「±d」を正確に示す
データが一致検出パルスEQPに応じてラッチ回路56
にラッチされ、このラッチ回路56の出力データがセレ
クタ55の入力Aを介して減算回路52に与えられる。
従って、減算回路52では、位相変動誤差「±d」を除
去した検出対象傾斜量θのみに正確に応答するデータθ
(時間的に変動する場合はθ(t) )を得ることができ
る。なお、図9において、アンドゲート57を省略し
て、一致検出パルスEQPを直接的にラッチ回路56の
ラッチ制御入力に与えるようにしてもよい。また、ラッ
チ回路56には、カウンタ42の出力カウントデータに
限らず、図9で破線で示すように誤差計算回路51の出
力データ「±d」をラッチするようにしてもよい。その
場合は、一致検出パルスEQPの発生タイミングに対し
て、それに対応する誤差計算回路51の出力データの出
力タイミングが、ラッチ回路49,50及び誤差計算回
路51の回路動作遅れの故に、幾分遅れるので、適宜の
時間遅れ調整を行なった上で、誤差計算回路51の出力
をラッチ回路56にラッチするようにするとよい。ま
た、動特性のみを考慮して検出回路部41を構成する場
合は、図9の回路51及びセレクタ55と図7の一方の
ラッチ回路49又は50を省略してもよいことが、理解
できるであろう。
【0043】図10は、位相変動誤差「±d」を相殺す
ることができる位相差検出演算法についての別の実施例
を示す。コイル部2の2次コイル21〜24から出力さ
れるレゾルバタイプの前記第1及び第2の交流出力信号
A,Bは、検出回路部60に入力され、図7の例と同様
に、第1の交流出力信号A=sinθ・sinωtが位相シフ
ト回路44に入力され、その電気的位相が所定量位相シ
フトされて、位相シフトされた交流信号A’=sinθ・co
sωtが得られる。また、減算回路46では、上記位相
シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtと上記第2
の交流出力信号B=cosθ・sinωtとが減算され、その
減算出力として、B−A’=cosθ・sinωt−sinθ・cos
ωt=sin(ωt−θ)なる略式で表わせる電気的交流
信号Y2が得られる。減算回路46の出力信号Y2はゼ
ロクロス検出回路48に入力され、ゼロクロス検出に応
じてラッチパルスLP2が出力され、ラッチ回路50に
入力される。
【0044】図10の実施例が図7の実施例と異なる点
は、検出対象傾斜に対応する電気的位相ずれを含む交流
信号Y2=sin(ωt−θ)から、その位相ずれ量θを
測定する際の基準位相が相違している点である。図7の
例では、位相ずれ量θを測定する際の基準位相は、基準
のサイン信号sinωtの0位相であり、これは、検出装
置10のコイル部2に入力されるものではないので、温
度変化等によるコイルインピーダンス変化やその他の各
種要因に基づく位相変動誤差「±d」を含んでいないも
のである。そのために、図7の例では、2つの交流信号
Y1=sin(ωt+θ)及びY2=sin(ωt−θ)を形
成し、その電気的位相差を求めることにより、位相変動
誤差「±d」を相殺するようにしている。これに対し
て、図10の実施例では、コイル部2から出力される第
1及び第2の交流出力信号A,Bを基にして、位相ずれ
量θを測定する際の基準位相を形成し、該基準位相その
ものが上記位相変動誤差「±d」を含むようにすること
により、上記位相変動誤差「±d」を排除するようにし
ている。
【0045】すなわち、検出回路部60において、コイ
ル部2から出力された前記第1及び第2の交流出力信号
A,Bがゼロクロス検出回路61,62に夫々入力さ
れ、それぞれのゼロクロスが検出される。なお、ゼロク
ロス検出回路61,62は、入力信号A,Bの振幅値が
負から正に変化するゼロクロス(いわば0位相)と正か
ら負に変化するゼロクロス(いわば180度位相)のど
ちらにでも応答してゼロクロス検出パルスを出力するも
のとする。これは信号A,Bの振幅の正負極性を決定す
るsinθとcosθがθの値に応じて任意に正又は負となる
ため、両者の合成に基づき360度毎のゼロクロスを検
出するためには、まず180度毎のゼロクロスを検出す
る必要があるためである。両ゼロクロス検出回路61,
62から出力されるゼロクロス検出パルスがオア回路6
3でオア合成され、該オア回路63の出力が適宜の1/
2分周パルス回路64(例えばT−フリップフロップの
ような1/2分周回路とパルス出力用アンドゲートを含
む)に入力されて、1つおきに該ゼロクロス検出パルス
が取り出され、360度毎のゼロクロスすなわち0位相
のみに対応するゼロクロス検出パルスが基準位相信号パ
ルスRPとして出力される。この基準位相信号パルスR
Pは、カウンタ65のリセット入力に与えられる。カウ
ンタ65は所定のクロックパルスCKを絶えずカウント
するものであるが、そのカウント値が、前記基準位相信
号パルスRPに応じて繰返し0にリセットされる。この
カウンタ65の出力がラッチ回路50に入力され、前記
ラッチパルスLP2の発生タイミングで、該カウント値
が該ラッチ回路50にラッチされる。ラッチ回路50に
ラッチしたデータDが、検出対象傾斜量θに対応した位
相差θの測定データとして出力される。
【0046】コイル部2から出力される第1及び第2の
交流出力信号A,Bは、それぞれ、A=sinθ・sinω
t、B=cosθ・sinωt、であり、電気的位相は同相で
ある。従って、同じタイミングでゼロクロスが検出され
るはずであるが、振幅係数がサイン関数sinθ及びコサ
イン関数cosθで変動するので、どちらかの振幅レベル
が0か又は0に近くなる場合があり、そのような場合
は、一方については、事実上、ゼロクロスを検出するこ
とができない。そこで、この実施例では、2つの交流出
力信号A=sinθ・sinωt、B=cosθ・sinωtのそれぞ
れについてゼロクロス検出処理を行ない、両者のゼロク
ロス検出出力をオア合成することにより、どちらか一方
が振幅レベル小によってゼロクロス検出不能であって
も、他方の振幅レベル大の方のゼロクロス検出出力信号
を利用できるようにしたことを特徴としている。
【0047】図10の例の場合、コイル部2のコイルイ
ンピーダンス変化等による位相変動誤差が、例えば「−
d」であるとすると、減算回路46から出力される交流
信号Y2は、図11の(a)に示すように、Y2=sin
(ωt−d−θ)となる。この場合、コイル部2の出力
信号A,Bは、角度θに応じた振幅値sinθ及びcosθを
夫々持ち、図11の(b)に例示するように、A=sin
θ・sin(ωt−d)、B=cosθ・sin(ωt−d)、と
いうように位相変動誤差分を含んでいる。従って、この
ゼロクロス検出に基づいて図11の(c)のようなタイ
ミングで得られる基準位相信号パルスRPは、本来の基
準のサイン信号sinωtの0位相から位相変動誤差−d
だけずれたものである。従って、この基準位相信号パル
スRPを基準として、減算回路46の出力交流信号Y2
=sin(ωt−d−θ)の位相ずれ量を測定すれば、位
相変動誤差−dを除去した正確な値θが得られることに
なる。
【0048】なお、コイル部2の配線長等の装置条件が
定まると、そのインピーダンス変化は主に温度に依存す
ることになる。そうすると、上記位相変動誤差±dは、
この傾斜検出装置が配備された周辺環境の温度を示すデ
ータに相当する。従って、図7の実施例のような位相変
動誤差±dを演算する回路51を有するものにおいて
は、そこで求めた位相変動誤差±dのデータを温度検出
データとして適宜出力することができる。従って、その
ような本発明の構成によれば、1つの傾斜検出装置によ
って検出対象の傾斜を検出することができるのみなら
ず、該傾斜検出装置の周辺環境の温度を示すデータをも
得ることができる。勿論、温度変化等によるセンサ側の
インピーダンス変化や配線ケーブル長の長短の影響を受
けることなく、検出対象の傾斜に応答した高精度の検出
が可能となる。また、図7や図10の例は、交流信号に
おける位相差を測定する方式であるため、図6のような
検出法に比べて、高速応答性にも優れた検出を行なうこ
とができる、という優れた効果を奏する。
【0049】上記例では、各出力信号Y1,Y2の位相
データD1,D2をディジタル演算し、傾斜検出データ
θをディジタル値で出力するようにしているが、これに
限らず、傾斜検出データθをアナログ値で出力するよう
にしてもよい。そのためには、求めた傾斜検出データθ
をD/A変換すればよい。別の例としては、各出力信号
Y1,Y2のゼロクロス検出パルス(ラッチパルス)L
P1,LP2の発生タイミングと所定の励磁交流信号s
inωtのゼロクロス(0度位相)タイミングとの時間
差をアナログ積分回路で積分し、それぞれの積分電圧+
Vθ,−Vθ(つまり位相量+θ±d,−θ±dにそれ
ぞれ相当するアナログ電圧)に対して図7の演算器5
1,52と同様のアナログ演算を施すことによって結果
として、アナログの傾斜検出データθを得るようにする
ことができる。
【0050】なお、上記各実施例において、コイル部2
と磁気応答部材3(導電体又は磁性体)による検出原理
を、公知の位相シフトタイプ位置検出原理によって構成
してもよい。例えば、図2に示されたコイル部2におい
て、1次コイル11〜14と2次コイル21〜24の励
磁と出力の関係を逆にして、サイン相のコイル(s)と
マイナス・サイン相(/s)のコイルを互いに逆相のサ
イン信号sinωt,−sinωtによって励磁し、コ
サイン相のコイル(c)とマイナス・コサイン相のコイ
ル(/c)を互いに逆相のコサイン信号cosωt,−
cosωtによって励磁し、コイル2aから検出対象傾
斜量θに応じた電気的位相シフトθを含む出力信号si
n(ωt−θ)を得るようにしてもよい。この場合は、
温度特性の補償は行えないが、それほどの精度が要求さ
れない場合に応用できる。あるいは、コイル部2と磁気
応答部材3(導電体又は磁性体)による検出原理を、公
知の差動トランス型の位置検出原理に基づいてアナログ
検出出力を得るように構成してもよい。
【0051】あるいは、上記各実施例において、コイル
部2の構成として、1次コイルと2次コイルの対を含む
ように構成せずに、1つのコイルのみによって構成し、
該1つのコイルを所定の交流信号によって定電圧駆動
し、該コイルへの磁性体(磁気応答部材3)の侵入量に
応じて生じるインダクタンス変化に基づく電流変化を計
測することにより、傾斜量θの検出データを得るように
してもよい。その場合、該電流変化に応答する出力信号
の振幅変化を測定する方法、あるいは該電流変化に応答
するコイル各端部での出力信号間の位相変化を測定する
方法などによって所要の測定を行うことができる。ま
た、上記各実施例において、検出データの出力形式は、
ディジタルアブソリュートデータまたはアナログ電圧デ
ータ等に限らず、インクリメンタルパルスデータあるい
はアブソリュート値を周波数変換した繰り返しパルス信
号など、利用目的に応じて適宜の形式としてよい。その
他、コイル部2と磁気応答部材3(磁性体又は導電体)
による誘導検出手段の具体的構成は任意の変形が可能で
ある。そのほか、上記実施例で示した新規かつ有意義な
構成の一部を選択的に採用して傾斜又は振動又は加速度
の検出装置を構成してもよい。なお、本発明に係る傾斜
検出装置を加速度検出装置として使用する場合は、傾斜
量θの検出データに基づき振動のピーク値を加速度対応
データとして処理するようにしてもよいし、あるいは時
変動する傾斜量θの検出データに対して微分処理等を施
すようにしてもよい。本発明の検出装置は、最終的な加
速度値を求めるものではなく、加速度検出に応用し得る
傾斜又は振動のセンサを提供するものであってよい。
【0052】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、下側にわ
ん曲した通路を含む収納体と、前記通路内にて重力に従
って移動自在に収納された磁気応答部材と、前記収納体
において前記通路の外周に設けられたコイル部とを具え
てなる傾斜計と、この傾斜計を前記通路に直角な第1の
方向に揺動自在に枢支してなる取付けベース部とを具備
し、前記通路に沿う第2の方向に関する傾斜に応じて該
通路に沿って前記磁気応答部材が変位し、該通路におけ
る前記磁気応答部材の位置を検出する誘導出力信号を前
記コイル部より得ることにより該第2の方向に関する傾
斜を検知し、前記第1の方向に関する傾斜に対しては前
記傾斜計全体が重力方向を指向して前記取付けベース部
に対して振れることにより応答しないようにしたことを
特徴としているので、収納体が水平位置におかれている
とき、該通路内の磁気応答部材は自重により必ず所定の
位置(傾斜0に対応する一番低い位置)に位置し、第2
の方向に沿って収納体が傾くと、それに応じて通路に沿
って磁気応答部材が変位し、該通路における前記磁気応
答部材の位置を検出する誘導出力信号が前記コイル部か
ら得られるものであり、非接触で傾斜検出を行なうこと
ができ、耐久性や耐環境性にも優れており、従来にない
有用な傾斜計を提供することができる。また、第1の方
向に関する傾斜に対しては傾斜計全体が重力方向を指向
して取付けベース部に対して振れることにより応答しな
いようになっているので、所定の第2の方向に沿う1軸
の傾斜成分のみを正確に抽出して、その傾斜を検出する
ことができる。
【0053】また、本発明に係る傾斜検出装置を、加速
度検出のために使用した場合は、下向きにわん曲した通
路での可動体つまり磁気応答部材の位置を検出する構成
であるため、わずかな加速度にも応答して通路内で可動
体つまり磁気応答部材が変位するため、低速時の加速度
検出も適切に行うことができる、という極めて優れた効
果を発揮する。更に、本発明に係る2次元の傾斜検出装
置は、第1及び第2の傾斜計を第1及び第2の軸に対応
してそれぞれ設け、該第1の傾斜計は第1の軸に直角な
方向に揺動自在に枢支し、該第2の傾斜計は第2の軸に
直角な方向に揺動自在に枢支してなることを特徴とする
ものであるから、第1の傾斜計は第1の軸(例えばX
軸)方向に関する傾斜成分を検出し、かつ、第1の軸に
直角な方向(例えばY軸)に関する傾斜に対しては取付
けベース部に対して振れることにより応答せず、また、
第2の傾斜計は第2の軸(例えばY軸)方向に関する傾
斜成分を検出し、かつ、第2の軸に直角な方向(例えば
X軸)に関する傾斜に対しては取付けベース部に対して
振れることにより応答しないようになっているものであ
り、各軸傾斜成分のみを効率的に抽出することができ、
2次元的な傾斜検出の精度を向上させることができる。
しかも、複雑なジャイロスコープ構造を必要としないの
で、極めて簡易な構成で済む、等の優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る傾斜検出装置の一実施例を示す
図。
【図2】 図1におけるコイル部の構成例を示す回路
図。
【図3】 図1における磁気応答部材の変更例を示す
図。
【図4】 図1における傾斜計の別の実施例を示す外観
略図。
【図5】 本発明に係る2次元的な傾斜検出装置の一実
施例を示す図。
【図6】 本発明に係る傾斜検出装置に適用可能な位相
検出タイプの測定回路の一例を示すブロック図。
【図7】 本発明に係る傾斜検出装置に適用可能な位相
検出タイプの測定回路の別の例を示すブロック図。
【図8】 図7の動作説明図。
【図9】 図7の回路に付加される変更例を示すブロッ
ク図。
【図10】 本発明に係る傾斜検出装置に適用可能な位
相検出タイプの測定回路の更に別の例を示すブロック
図。
【図11】 図10の動作説明図。
【符号の説明】
10,10X,10Y 傾斜計 10a,10b ブランコ状の揺動アーム 20 取付けベース部 1 収納体 1a 通路 2 コイル部 11〜15 1次コイル 21〜24 2次コイル 3 磁気応答部材 40 ディジタル位相検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤津 伸行 東京都東大和市新堀2−1453−43 (72)発明者 坂元 和也 東京都羽村市川崎1丁目1番5号、MAC 羽村コートII−405 (72)発明者 坂本 宏 埼玉県川越市山田896−8 (72)発明者 山本 明男 東京都国立市西1−13−29 KMハイツ 101

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下側にわん曲した通路を含む収納体と、
    前記通路内にて重力に従って移動自在に収納された磁気
    応答部材と、前記収納体において前記通路の外周に設け
    られたコイル部とを具えてなる傾斜計と、 この傾斜計を前記通路に直角な第1の方向に揺動自在に
    枢支してなる取付けベース部とを具備し、前記通路に沿
    う第2の方向に関する傾斜に応じて該通路に沿って前記
    磁気応答部材が変位し、該通路における前記磁気応答部
    材の位置を検出する誘導出力信号を前記コイル部より得
    ることにより該第2の方向に関する傾斜を検知し、前記
    第1の方向に関する傾斜に対しては前記傾斜計全体が重
    力方向を指向して前記取付けベース部に対して振れるこ
    とにより応答しないようにしたことを特徴とする傾斜検
    出装置。
  2. 【請求項2】 第1及び第2の前記傾斜計を第1及び第
    2の軸に対応してそれぞれ設け、該第1の傾斜計は第1
    の軸に直角な方向に揺動自在に枢支し、該第2の傾斜計
    は第2の軸に直角な方向に揺動自在に枢支してなること
    を特徴とする請求項1に記載の傾斜検出装置。
  3. 【請求項3】 前記コイル部は前記通路に沿って複数の
    コイルを設けてなるものである請求項1又は2に記載の
    傾斜検出装置。
  4. 【請求項4】 前記コイル部は、1相の交流信号によっ
    て励磁され、前記磁気応答部材の相対的位置に応じて、
    サイン相の振幅関数特性を示す出力交流信号と、コサイ
    ン相の振幅関数特性を示す出力交流信号との2相の出力
    交流信号を出力するものである請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の傾斜検出装置。
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