JP4115036B2 - 液面検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1次コイルと2次コイル間の磁気結合に変化を生じさせることによって、燃料タンク等に満たされた液体の液面の位置を検出する液面検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液面検出装置は、燃料タンク等のケーシング内部に満たされた液体(例えば、ガソリンやオイル等)の液面の高さを検出するものである。従来から知られている液面検出装置は、例えば、燃料タンクを形成するケーシング内に液面の上昇下降に応じて上下動する液面検出用フロートが設けられ、この液面検出用フロートの上下動に応じて変化する摺動式可変抵抗器の摺動抵抗値により該液体の液面の高さを検出することができるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の液面検出装置は、摺動式可変抵抗器の摺動抵抗値の変化(すなわち、液面の高さ)をスライド移動する摺動子(スライド刷子)の接触位置で検出するという機械的な方式、いわば接触方式によるものであった。そのため、摺動動作の繰り返しによる摺動子及びその摺動面における機械的摩耗や腐食等を避けることができず、耐久性に乏しく、それゆえ数年使用することによって液面高さの計測に誤差を生ずるようになる、という問題点があった。また、摺動式可変抵抗器で精密な測定を行なうようにするためには、摺動式可変抵抗器の機構部の構造を複雑かつ精密な構成としなければならない。しかし、そうすると装置が大型化してしまい、かつ、コストが高いものとなる、という問題点もあった。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、小型かつシンプルな構造を持つと共に、高精度な分解能で液面の検出が可能であり、かつ、摺動摩耗の心配のない耐久性に富んだ非接触式の液面検出装置を提供しようとするものである。
また、製造が極めて容易になるようなシンプルな構造を持つ液面検出装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液面検出装置は、液体の液面の上昇下降に応じて上下に変位するフロート部材と、前記フロート部材の上下動に連動して、一方が他方に対して相対的に変位するように近接して配置された磁気応答部材及び検出部とを具備し、前記検出部は同相の交流信号によって励磁される複数のコイルであって、前記相対的変位の方向に沿って順次配列されてなるものとを含み、前記フロート部材の上昇下降に応じて前記磁気応答部材と前記コイルとの相対的位置が変化し、この相対的位置に応じて各コイルのインダクタンスを変化させ、前記磁気応答部材の端部が1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸増又は漸減するようにしたものであり、更に、前記各コイルの電圧をそれぞれ取り出し、それらを複数系列でそれぞれ加算及び/又は減算することにより、各系列毎に前記各コイルの前記両端間電圧の漸増又は漸減特性を合成し、前記検出対象位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数系列の交流出力信号を生成するようにしたアナログ演算回路であって、該複数系列の各交流出力信号の振幅を規定する前記周期関数特性は所定位相だけ異なる同一特性の周期関数からなるものとを具え、前記交流出力信号の振幅に基づき液面位置データを得ることを特徴とする。これによれば、1次巻線のみを設ければよく2次巻線は不要であることから、当該装置を簡潔に構成でき、小型かつシンプルな構造の液面検出装置を提供することができる。
【0006】
この発明における好ましい実施例としては、更に、前記アナログ演算回路で生成された複数系列の交流出力信号を入力し、該交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する前記所定の周期関数における特定の位相値を検出し、検出した位相値に基づき位置検出データを生成する振幅位相変換部を具え、前記位置検出データを液面位置データとして用いるようにしてもよい。
この発明における好ましい実施例としては、前記磁気応答部材は磁石を含み、前記検出部は、前記磁石の相対的変位の方向に沿って所定範囲にわたって延びた磁性体コアを含み、前記磁石からの磁束を強く受ける該磁性体コアの所定箇所において磁気飽和を生じるものであり、前記フロート部材の上昇下降に応じて前記磁石と前記検出部の相対的位置が変化し、これに応じて前記磁性体コアにおいて磁気飽和を生じる前記所定箇所が変位し、この磁気飽和箇所の変位に応じた出力信号を前記巻線部より得ることによって液面の位置検出をなすようにしたものがある。
【0007】
磁石に近接して配置された検出部においては、磁性体コアの所定箇所において、フロート部材に連動して相対的に変位する前記磁石からの磁束を強く受け、その部分で磁気飽和が生じるように構成されている。磁性体コアにおける磁気飽和状態となった箇所では、あたかもその箇所に磁性体コアが存在しないかのような状態となり、磁気結合度が著しく低下する。従って、このような磁気結合度の低下に応じた出力信号が巻線部から得られ、フロート部材の位置検出、つまり液面の高さの検出を行うことができる。すなわち、磁石の相対的変位の方向に沿って所定範囲にわたって延びた磁性体コアにおけるどの位置が磁気飽和状態となっているかを検出できるように巻線部を適切に配置するようにすれば、該所定範囲にわたる磁石の位置検出を連続的に検出することが可能である。なお、そのような巻線部の配置それ自体は、既に誘導型位置検出装置で公知の配置を適宜用いればよい。
【0012】
以上から明らかなように、本発明によれば、磁気応答部材と検出部とを接触させる必要の無い非接触方式の液面検出装置として構成できることになり、したがって、摺動摩耗の心配のない耐久性に富んだ液面検出装置を提供することができる。また、小型かつシンプルな構造を持つと共に、広い範囲にわたって精密な測定が可能な液面検出装置を提供することができる。更には、製造が極めて容易になるようなシンプルな構造を持つ液面検出装置を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る液面検出装置の一実施例を概略的に示した全体概略断面図である。図2は、図1に示した液面検出装置の検出部を特に拡大して詳細に示した一部拡大図である。なお、図2では図示の都合上、検出部6はまっすぐな直線状であるかのように図示したが、実際は磁石5の円弧状の揺動運動を追従できるように、図1に略示するように円弧状に配置されている。
燃料タンク1内部には、液面上に充分浮力を有する物体若しくは物質(例えば、中空体やウレタン等)により形成された液面検出用フロート2(以下、単にフロートと呼ぶ)が当該タンク1内の液体の液面上に浮いた状態に、かつ液面の変位に連動して上下動するように取付けられる。前記フロート2にはアーム3が接続され、また当該フロート2と反対側のアーム3の先端にはアーム3と支点Zを共有するようにして、アーム3と固定的に(あるいはギア等を介して)変位子4が接続されている。この変位子4の所定箇所には、永久磁石5が固定的に配置される。そのため、液面の変位に伴ってフロート2が上下動すると、アーム3及び変位子4を介して、永久磁石5は液面が変位した分だけ矢印X方向に往復動するようになっている。一方、タンク1外部には、前記磁石5の往復動の方向(矢印X方向)に沿うようにして検出部6が設置される。
検出部6は、磁石5の往復動方向(矢印X方向)に沿って所定範囲にわたって延びた磁性体コア7と、該磁性体コア7を介して磁気的に結合される1次巻線PW及び2次巻線S1〜S4とを含んでおり、タンク1本体を挟んで磁石5と対向する位置に近接配置される。例えば、検出部6は適当な非磁性ケーシングに収納されて、同じく非磁性ケーシングからなるタンク1本体の外周の所定位置に固定的に配置される。磁性体コア7は、比透磁率が大きく、保磁力の小さな珪素鋼などの磁性体からなり、その形状は細長の円柱状であってもよいし、珪素鋼板を積層して形成された細長の直方体形状等、適宜の形状であってもよい。この磁性体コア7の周囲に1次巻線PW及び2次巻線S1〜S4が所定の配置で巻回されている。なお、図示の都合上、検出部6における各巻線の径を大きく、また、磁性体コア7を太く、描いているが、実際は、これらをかなり細くすることができるので、検出部6は磁石5等に比べてかなり細い(薄い)ものである。
【0014】
4つの2次巻線S1〜S4は、変位方向に関してそれぞれ異なる位置に配置されている。例えば、1つの2次巻線(S1〜S4)のコイル長をP/4とすると、4つの2次巻線S1〜S4の全体ではPの長さとなる。1次巻線PWは、2次巻線S1〜S4の全体をカバーするように設けられている。
磁石5が近接していない限り、磁性体コア7の存在によって1次巻線PWと2次巻線S1〜S4との間の磁気結合度は大であり、2次巻線S1〜S4からは大きなレベルの誘導出力が得られる。しかし、長尺の磁性体コア7のいずれかの箇所に対して、そのときのフロート2の位置に応じて磁石5が近接すると、その箇所では、該磁石5から発される磁束を強く受け、磁気飽和状態となる。換言すれば、そのように磁石5が近接した磁性体コア7の箇所において部分的に磁気飽和状態となるように磁石5の性能及びサイズ等を決定するものとし、また、それに応じた適切な誘導出力の変化が得られるように、各巻線PW,S1〜S4のコイル長、巻数等を設定するものとする。
【0015】
磁気飽和状態となった磁性体コア7の箇所では、1次及び2次巻線間の電磁誘導性能に関しては磁性体コア7が存在していない空状態と等価となり、1次及び2次巻線間の磁気結合度は低下する。よって、磁石5の近接に応じた、つまりフロート2の位置に応じた、誘導出力信号が各2次巻線S1〜S4から得られることになる。基本的にはこのような原理で、2次巻線S1〜S4の出力に基づきフロート2の位置、すなわち、液面の高さを検出することができることになる。
2次巻線S1〜S4の出力に基づき液面の高さの検出データを具体的に得るための構成は、種々有りうる。
最も、単純には、各2次巻線S1〜S4の出力レベルを単純に比較して、最もレベルの低い1つの2次巻線(S1〜S4のいずれか)が配置されている位置を現液面高さとして検出するやり方がある。ただし、この場合は、Pの範囲を4分割した分解能でしか検出することができない、という不利がある。このような発想の変形としては、2次巻線の数が1個のみ、又は4個以上でも4個未満でもよい、ということになる。タンク1内に液体がまったくない空状態(すなわち、液面の高さが最小状態)若しくはタンク1内に液体が充分満たされている満タン状態(すなわち、液面の高さが最高状態)のいずれかのみを検出する場合、そのような実施の形態も有りうる。すなわち、本発明では、2次巻線の数は4個に限ることなく、1又は任意の複数であってよい。あるいは、2個の2次巻線のみを差動接続して設け、差動トランスのように、フロート2の連続的な移動位置に対応するアナログ電圧を得ることも可能である。
【0016】
しかし、図2に示した実施例は、以下に説明するレゾルバ原理に従う位置検出処理に最も適しているものであり、有利である。
図3は、レゾルバ原理に従う位置検出処理を行うために採用した、1次巻線PW及び2次巻線S1〜S4の結線状態を示す図である。1次巻線PWは1相の交流信号(便宜上、sinωtで示す)によって励磁される。1つおきに配置された2次巻線S1とS3は差動接続されて、第1の出力交流信号Aを生じる。もう一方の1つおきに配置された2次巻線S2とS4も差動接続されて、第2の出力交流信号Bを生じる。このことは、概ね、範囲Pにおける磁石5の変位に応じた、磁性体コア7における磁気飽和箇所の移動を、0度≦θ≦360度、なる角度表示で示すとすると、2次巻線S1における誘導出力の関数はsinθで表わすことができ、次の2次巻線S2における誘導出力の関数はcosθで表わすことができ、次の2次巻線S3における誘導出力の関数は−sinθで表わすことができ、次の2次巻線S4における誘導出力の関数は−cosθで表わすことができることによる。換言すれば、概ねそのような関係が得られるように設計するのである。なお、磁性体コア7に生じる磁気飽和による磁気結合変化が一方向であることを考慮すると、厳密には1つの2次巻線(例えばS1)における誘導出力の関数は0度≦θ≦360度の全範囲では回らないが、1つおきに配置された2個の2次巻線を差動接続していることにより、そのことが可能となっている。
【0017】
よって、概ね、範囲Pにおける磁石5の変位に応じて、一方の2次巻線S1,S3の差動接続から得られる第1の出力交流信号Aはサイン関数の振幅関数sinθを持つもの、つまりA=sinθsinωtで表わすことができるものとなり、他方の2次巻線S2,S4の差動接続から得られる第2の出力交流信号Bはコサイン関数の振幅関数cosθを持つもの、つまりcosθsinωtで表わすことができるものとなる。
こうして、図2及び図3のような配置及び巻線構成によれば、従来知られたレゾルバにおいて得られるのと同様の、同相交流であって2相の振幅関数を持つ2つの出力交流信号(サイン出力とコサイン出力)を液面検出装置において得ることができることが理解できる。従って、本発明の液面検出装置において得られる2相の出力交流信号(A=sinθ・sinωtとB=cosθ・sinωt)は、従来知られたレゾルバの出力と同様の使い方若しくは処理をすることができる。例えば、適切なディジタル又はアナログ位相検出回路22を使用して、上記2相の出力交流信号A,Bにおけるサイン関数sinθとコサイン関数cosθの位相値θをディジタル又はアナログで測定することができる。これにより、連続的な液面の高さを高分解能で検出することができる。
【0018】
なお、図2の構成において、図4に示すように、1次巻線と2次巻線の関係を逆にして、公知の位相シフトタイプ位置検出器のように構成してもよい。すなわち、4つの巻線S1〜S4を1次巻線とし、巻線PWを2次巻線とする。この場合、一方の差動接続された1次巻線S1,S3の対を例えばサイン相の交流信号sinωtによって励磁し、他方の差動接続された1次巻線S2,S4の対を例えばコサイン相の交流信号cosωtによって励磁する。そうすると、1次巻線S1,S3による2次側の誘導出力は前記から例えばsinθ・sinωtに相当するものとなり、また、1次巻線S2,S4による2次側の誘導出力は前記から例えばcosθ・cosωtに相当するものとなる。よって、2次巻線PWに得られるこれらの合成出力は、液面高さに応じた電気的位相シフトθを含む信号(例えばこれをsin(ωt+θ)で示す)となる。この出力信号sin(ωt+θ)における電気的位相シフトθを公知の位相測定回路9で、ディジタル的に又はアナログ的に検出するようにすればよい。この場合も、連続的な液面の高さを高分解能で検出することができる。
【0019】
上述の実施例に係る液面検出装置において、図5に示すようにフロート2に直接永久磁石5を配置するようにしてもよい。ただし、この場合にはタンク1内部に隔壁8を設置して、磁石5が常時検出部6に近接するようにしておく必要がある。さらに、図6に示すように、永久磁石5を配置したフロート2と共に検出部6をタンク1内部に収納するようにしてもよい。ただし、この場合にも、磁石5を常時検出部6に近接するようにしなければならないことは言うまでもない。そこで、図6に示した実施例においては、永久磁石5を設置したフロート2を検出部6の形状(図に直交する方向の断面形状)と同様の形状に構成して、常時磁石5が検出部6に近接するようにしている。例えば、検出部6が円柱形状であるような場合では、フロート2をドーナツ型に形成し、フロート中央の孔の部分に検出部6を通すようにする。こうすれば、磁石2が検出部6から離れることがなく、常時近接した状態となる。このようにした場合、磁石5はフロート2中央の検出部6に対向する面に設置するのが一番よいが、磁石5の変位に伴って、2次巻線S1〜S4から出力交流信号が得られればどこに設置してもよい。
【0020】
図7は、本発明の別の実施例に係る液面検出装置を概念的に示した概念図である。
図7は液面検出装置の別の実施形態を示すもので、内側の壁面61が非磁性の性質を持ち、外側の壁面62が非磁性または磁性の性質を持つ物質からなる、例えば円柱や直方体といったような適宜の形状をなし、かつ内側の壁面61と外側の壁面62が上面及び下面で一体的に接続された筒状体に検出部6が構成されている。この内側61及び外側62の壁面で囲まれる所定の密閉された空間の中に、1次巻線PWおよび2次巻線S1〜S4が巻き回されている。2次巻線S1〜S4は、1次巻線PWに比べて大径であり1次巻線PWの外側に巻かれる格好になっている。図7では図2と同様に、各々のコイル長P/4の2次巻線S1〜S4が4つ、そして1次巻線PWが2次巻線S1〜S4全体をカバーするようにして所定の位置に設けられている。
フロート2は、比透磁率が大きく、保磁力の小さな珪素鋼などの磁性体からなる薄板や細線を包合した、液体に対して充分浮力を有する物体・物質により構成され、その形状は細長の円柱状であってもよいし、珪素鋼板を積層して形成された細長の直方体形状等、適宜の形状であってよい。ただし、後述するように内側壁面61に沿って自由にフロート2が上下動できる形状、大きさでなくてはならない。すなわち、少なくとも内側壁面61の直径よりもフロート2の直径を小さく構成しなければならない。
【0021】
前記フロート2は、当該筒状体の内側壁面61に近接配置され、かつ内側壁面61に沿って該タンク1内における液面の高さの変化に連動して直線的にかつ往復的に変位可能となっている。また、このフロート2が変位する経路の周囲に、1次巻線PW及び2次巻線S1〜S4が所定の配置で固定的に巻き回されている。かくして、磁性体を含むフロート2は液面の変化に連動して検出部6に対して相対的に直線的に変位する。
【0022】
このような構成によっても、既に上述した別の実施例と同じようにして1次巻線PWを1相の交流信号によって励磁することにより、2次巻線S1〜S4に位置検出出力信号を出力させ、それにより液面の高さを検出できるようになる。すなわち、比透磁率の大きい磁性体の位置が相対的に変化することにより、1次巻線PWと2次巻線間S1〜S4の磁気結合が液面高さに応じて変化され、これにより、液面高さに応じて振幅変調された誘導出力交流信号が、各2次巻線S1〜S4に誘起される。したがって、先にあげた実施例と同様に位相検出回路22を介することにより、当該実施例においても液面高さを検出することができる。勿論、当該実施例においても、上述のレゾルバ型の位置検出だけでなく、位相シフト型の位置検出ができることは言うまでもない。
なお、上述の実施例ではフロート2に磁性体を配置した関係上、検出部6を液体中に構成し、当該磁性体に検出部6が対向するようにしているが、フロート2と磁性体とを別々に構成して互いに連動して移動させるようにした場合、検出部6は液体中に構成しなくてもよい。
【0023】
また、上述した各実施例において、1次巻線PWを内側に、2次巻線S1〜S4を外側にして検出部を構成したが、その逆に1次巻線PWを外側に、2次巻線S1〜S4を内側にして検出部6を構成したとしても、上述したような位置検出が行なえることに何ら変わりはない。
【0024】
図8は、液面検出装置の別の実施形態を概念的に示す概念図である。図1に示した実施例と同様に、燃料タンク1内部には、液面上に充分浮力を有する物体若しくは物質(例えば、中空体やウレタン等)により形成された液面検出用フロート2(以下、単にフロートと呼ぶ)が当該タンク1内の液体の液面上に浮いた状態に、かつ液面の変位に連動して上下動するように取付けられる。前記フロート2にはアーム3が接続され、また当該フロート2と反対側のアーム3の先端にはアーム3と支点Zを共有するようにして、アーム3と固定的に(あるいはギア等を介して)変位子4が接続されている。この変位子4には、磁気応答部材11が固定的に配置され、液面の変位に伴ってフロート2が上下動すると、磁気応答部材11はアーム3及び変位子4を介して液面が変位した分だけ矢印Y方向に幾分円弧状に往復動するようになっている。本実施例において、液面が上昇した場合には磁気応答部材11が右方向に進行(変位)するし、反対に液面が下降した場合には磁気応答部材11が左方向に進行(変位)する。そして、検出部6はこの磁気応答部材11の変位を検出する。
【0025】
図9は、サイン及びコサイン関数特性を示す振幅をそれぞれ持つ2つの交流出力信号において、電気角で0度から360度までのフルの範囲での振幅変化が得られるようにする検出部6の実施例を示す。図9(A)は、この実施例に係る液面検出装置の検出部6におけるコイル部10と磁気応答部材11との物理的配置関係の一例を外観略図によって示すもの、同図(B)はそのコイル軸方向断面略図、同図(C)は該コイル部10の電気回路の一例を示す図である。上述したように、図9に示す液面検出装置における検出部6は、液面を磁気応答部材11の直線位置で検出するものであり、例えば、コイル部10が相対的に固定されており、磁気応答部材11が液面の変位に応じて(つまり、フロート2の変位に応じて)相対的に直線変位する。コイル部10は、巻数、コイル長等の性質が同等の6つのコイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβを、磁気応答部材11の変位方向(矢印Y方向:図8参照)に沿って順次配列してなる。磁気応答部材11は、例えば棒状の鉄のような磁性体からなり、コイル部10のコイル空間内に侵入する。一例として、図8において右方向に磁気応答部材11が進行するとき(すなわち、液面が上昇した場合)、磁気応答部材11の先端11aが、最初にコイルLαに侵入し、次に、コイルLA,LB,LC,LDの順に侵入していき、最後にコイルLβに侵入する。2点鎖線11‘は最後のコイルLβにまで侵入した磁気応答部材11を示している。
【0026】
真中の4つのコイルLA,LB,LC,LDに対応する範囲が有効検出範囲である。1つのコイルの長さをKとすると、その4倍の長さ4Kが有効検出範囲となる。有効検出範囲の前後に1づつ設けられたコイルLα,Lβは補助コイルである。補助コイルLα,Lβは、コサイン関数特性を忠実に得ることができるようにするために設けたものであり、精度をそれほど追及しない場合は、省略可能である。
【0027】
図9(C)に示すように、各コイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβは、交流電源12から発生される所定の1相の交流信号(仮にsinωtで示す)によって定電圧又は定電流で励磁される。各コイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβの両端間電圧をそれぞれVα,VA,VB,VC,VD,Vβで示すと、このそれぞれの電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβを取り出すために、端子13〜19が設けられている。容易に理解できるように、各コイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβは、物理的に切り離された別々のコイルである必要はなく、一連のコイルの全長を6等分する位置に端子13〜19を設けるだけでよい。すなわち、端子13,14間のコイル部分がコイルLαとなり、端子14,15間のコイル部分がコイルLA、端子15,16間のコイル部分がコイルLB、端子16,17間のコイル部分がコイルLC、端子17,18間のコイル部分がコイルLD、端子18,19間のコイル部分がコイルLβ、となる。各コイルの出力電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβは、アナログ演算回路20及び21に所定の組み合わせで入力され、所定の演算式に従って加算又は減算されることで、各アナログ演算回路20及び21から検出対象位置に応じたサイン及びコサイン関数特性を示す振幅をそれぞれ持つ2つの交流出力信号(つまり互に90度位相のずれた振幅関数特性を持つ2つの交流出力信号)が生成される。例示的に、アナログ演算回路20の出力信号をsinθsinωtで示し、アナログ演算回路21の出力信号をcosθsinωtで示す。アナログ演算回路20及び21は、オペアンプOP1,OP2と抵抗回路群RS1,RS2とを含んで構成される。
なお、図8及び図9では図示の都合上、検出部6のコイル部10及び磁気応答部材11はまっすぐな直線状であるかのように図示したが、実際には磁気応答部材11は緩やかな円弧運動をするので、この円弧運動にあわせた円弧状をなしていることは勿論である。
【0028】
以上の構成により、磁気応答部材11の各コイルに対する近接又は侵入の度合いが増すほど該コイルの自己インダクタンスが増加し、該部材の端部が1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸増する。複数のコイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβが検出対象の変位方向に沿って順次配列されてなることにより、これらコイルに対する磁気応答部材の位置が、検出対象の変位に応じて相対的に変位するにつれ、図10(A)に例示するように、各コイルの両端間電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβの漸増変化が順番に起こる。図10(A)において、或るコイルの出力電圧が傾斜している区間において、当該コイルの一端から他端に向かって磁気応答部材11の端部が変位していることになる。典型的には、磁気応答部材11の端部が或る1つのコイルの一端から他端まで変位する間に生じる該コイルの両端間電圧の漸増変化カーブは、サイン又はコサイン関数における90度の範囲の関数値変化になぞらえることができる。そこで、各コイルの出力電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβをそれぞれ適切に組み合わせて加算及び/又は減算することにより、検出対象位置に応じたサイン及びコサイン関数特性を示す振幅をそれぞれ持つ2つの交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtを生成することができる。
【0029】
すなわち、アナログ演算回路20では、コイルLA,LB,LC,LDの出力電圧VA,VB,VC,VDを下記式(1)のように演算することで、図10(B)に示すようなサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号を得ることができ、これは、等価的に「sinθsinωt」で示すことができる。
(VA−VB)+(VD−VC) …式(1)
【0030】
また、アナログ演算回路21では、コイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβの出力電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβを下記式(2)のように演算することで、図10(B)に示すようなコサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号を得ることができる。なお、図10(B)に示すコサイン関数特性の振幅カーブは、実際はマイナス・コサイン関数特性つまり「−cosθsinωt」であるが、サイン関数特性に対して90度のずれを示すものであるからコサイン関数特性に相当するものである。従って、これをコサイン関数特性の交流出力信号といい、以下、等価的に「cosθsinωt」で示す。
(VA−Vα)+(VB−VC)+(Vβ−VD) …式(2)
なお、式(2)の演算に代えて、下記の式(2')の演算を行なってもよい。(VA−Vα)+(VB−VC)−VD …式(2')
【0031】
なお、式(2)で求めたマイナス・コサイン関数特性の交流出力信号「−cosθsinωt」を電気的に180度位相反転処理することで、実際に、cosθsinωtで示される信号を生成し、これをコサイン関数特性の交流出力信号としてもよい。しかし、後段の位相検出回路(振幅位相変換回路)22で、例えば、コサイン関数特性の交流出力信号を「−cosθsinωt」の形で減算演算に使用するような場合は、マイナス・コサイン関数特性の交流出力信号「−cosθsinωt」のままで使用すればよい。なお、式(2)の演算に代えて、下記の式(2")の演算を行なえば、実際にコサイン関数特性の交流出力信号「cosθsinωt」を生成することができる。
(Vα−VA)+(VC−VB)+(VD−Vβ) …式(2")
【0032】
各交流出力信号の振幅成分であるサイン及びコサイン関数における位相角θは、検出対象位置に対応しており、90度の範囲の位相角θが、1個のコイルの長さKに対応している。従って、4Kの長さの有効検出範囲は、位相角θの0度から360度までの範囲に対応している。よって、この位相角θを検出することにより、4Kの長さの範囲における検出対象位置をアブソリュートで検出することができる。
【0033】
ここで、温度特性の補償について説明すると、温度に応じて各コイルのインピーダンスが変化し、その出力電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβも変動する。例えば、図10(A)で実線のカーブに対して破線で示すように各電圧が一方向に増加または減少変動する。しかし、これらを加減算合成したサイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおいては、図10(B)で実線のカーブに対して破線で示すように正負両方向の振幅変化として表れる。これを振幅係数Aを用いて示すと、Asinθsinωt及びAcosθsinωtとなり、この振幅係数Aが周辺環境温度に応じて変化することとなり、この変化は2つの交流出力信号において同じように現われる。ここから明らかなように、温度特性を示す振幅係数Aは、それぞれのサイン及びコサイン関数における位相角θに対して影響を及ぼさない。従って、この実施形態においては、自動的に温度特性の補償がされていることとなり、精度のよい位置検出が期待できる。
【0034】
サイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅関数sinθ及びcosθの位相成分θを、位相検出回路(若しくは振幅位相変換手段)22で計測することで、検出対象位置をアブソリュートで検出することができる。この位相検出回路22としては、例えば本出願人の出願に係る特開平9−126809号公報に示された技術を用いて構成するとよい。あるいは、公知のレゾルバ出力を処理するために使用されるR−Dコンバータを、この位相検出回路22として使用するようにしてもよい。
【0035】
なお、図10(B)に示すように、サイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅特性は、角度θと検出対象位置xとの対応関係が線形性を持つものとすると、真のサイン及びコサイン関数特性を示していない。しかし、位相検出回路22では、見かけ上、この交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtをそれぞれサイン及びコサイン関数の振幅特性を持つものとして位相検出処理する。その結果、検出した位相角θは、検出対象位置xに対して、線形性を示さないことになる。しかし、位置検出にあたっては、そのように、検出出力データ(検出した位相角θ)と実際の検出対象位置との非直線性はあまり重要な問題とはならない。つまり、所定の反復再現性をもって位置検出を行なうことができればよいのである。また、必要とあらば、位相検出回路22の出力データを適宜のデータ変換テーブルを用いてデータ変換することにより、検出出力データと実際の検出対象位置との間に正確な線形性を持たせることが容易に行なえる。よって、本発明でいうサイン及びコサイン関数の振幅特性を持つ交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtとは、真のサイン及びコサイン関数特性を示していなければならないものではなく、図10(B)に示されるように、実際は三角波形状のようなものであってよいものであり、要するに、そのような傾向を示していればよい。つまり、サイン等の三角関数に類似した周期関数であればよい。なお、図10(B)の例では、観点を変えて、その横軸の目盛をθと見立ててその目盛が所要の非線形目盛からなっているとすれば、横軸の目盛をxと見立てた場合には見かけ上三角波形状に見えるものであっても、θに関してはサイン関数又はコサイン関数ということができる。
【0036】
サイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅関数sinθ及びcosθの位相成分θの変化範囲は、上記実施例のような0度から360度までのフル範囲での変化に限らず、それよりも狭い限られた角度範囲での変化であってもよい。その場合は、コイルの構成を簡略化することができる。微小変位検出を目的とする場合などは有効検出範囲は狭くてもよいので、そのような場合に、検出可能位相範囲は360度未満の適宜の範囲であってよい。その他、検出目的に応じて、検出可能位相範囲が360度未満の適宜の範囲であってよい場合が種々あるので、そのような場合に適宜応用可能である。以下、それらの変形例について示す。
【0037】
図11は、0度から180度までの範囲での位相変化を生じさせることができる実施例を示す。この場合、コイル部10は、有効検出範囲に対応する2つのコイルLA,LBとその前後に1づつ設けられた補助コイルLα,Lβとによって構成される。アナログ演算回路23では、各コイルの端子間電圧Vα,VA,VB,Vβを入力し、例えば、下記式(3)のように演算することでサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号sinθsinωtを生成し、下記式(4)のように演算することでコサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号cosθsinωtを生成する。
VA−VB …式(3)
(VA−Vα)+(VB−Vβ) …式(4)
【0038】
前出の図10を併せて参照すれば容易に理解できるように、式(3)の演算により、0度〜180度の範囲についての、サイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号sinθsinωtを生成することができる。また、式(4)の演算により、−90度〜0度〜90度〜180度〜270度の範囲についての、コサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号cosθsinωtを生成することができる。補助コイルLβを省略できること前述と同様である。この場合、振幅関数の位相角成分θを検出することにより、2つのコイルLA,LBのコイル長2Kに相当する長さの範囲における検出対象位置をアブソリュートで検出することができる。なお、演算式は上記に限らず、適宜設定可能である。すなわち、180度の幅の位相変化をどの角度範囲で生じさせるかによって、適宜演算式を変更することができる。例えば、180度から360度の角度範囲に対応して有効な位相変化を生じさせる場合は、「(Vα−VA)+(Vβ−VB)」の演算式によってサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωtを生成し、「VB−VA」の演算式によってコサイン関数特性の交流出力信号cosθsinωtを生成することができる。
【0039】
図12は、0度から90度までの範囲での位相変化を生じさせることができる実施例を示す。この場合、コイル部10は、有効検出範囲に対応する1つのコイルLAとその前後に1づつ設けられた補助コイルLα,Lβとによって構成される。アナログ演算回路24では、各コイルの端子間電圧Vα,VA,Vβを入力し、例えば、下記式(5)のように演算することでサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号sinθsinωtを生成し、下記式(6)のように演算することでコサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号cosθsinωtを生成する。
VA−Vβ …式(5)
VA−Vα …式(6)
【0040】
これも、前出の図10を併せて参照すれば容易に理解できるように、式(5)の演算により、0度〜90度〜180度の範囲についての、サイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号sinθsinωtを生成することができる。また、式(6)の演算により、−90度〜0度〜90度の範囲についての、コサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号cosθsinωtを生成することができる。よって、有効検出範囲として0度〜90度の範囲を確保することができる。この場合も、演算式は上記に限らず、適宜設定可能である。すなわち、90度の幅の位相変化をどの角度範囲で生じさせるかによって、適宜演算式を変更することができる。
【0041】
図13は、コイル部10及び磁気応答部材11の別の構成例を示す側面及び断面図である。この場合、各コイルLα,LA〜LD,Lβの相互の配置間隔は、図9の例と同様に、Kであるが、各コイルの長さが短くなっている。すなわち、隣接する各コイルLα,LA〜LD,Lβは図9のように密接している必要はなく、適宜離隔していてもよい。磁気応答部材11の先端11aは、とがった、先細りの形状をしている。例えば、ほぼKぐらいの長さの先端部分が先細りの形状をしている。これにより、磁気応答部材11の先端11aの移動にともなうコイルのインダクタンス変化を滑らかな漸増(若しくは漸減)変化特性とすることができる。勿論、図9のように各コイルLα,LA〜LD,Lβが密接して配置されている場合も、磁気応答部材11の先端11aを適宜先細りの形状としてもよい。
【0042】
また、上記各実施例において、磁気応答部材11としては、磁性体に限らず、銅やアルミニウムのような非磁性良導電体を使用してもよい。その場合は、磁気応答部材11の近接につれて渦電流損によりコイル端子間電圧が漸減することとなる。また、磁性体と導電体とを組み合わせたハイブリッドタイプとしてもよい。その場合、例えば、図14に示すように、磁気応答部材11の先端部分11aにおいて、非磁性良導電体11bの先細り形状を構成し、先細りによる非磁性良導電体11bの減少を補うように磁性体11cを配置するとよい。
【0043】
別の実施形態として、磁気応答部材11として永久磁石を含み、コイル部10の各コイルには鉄心コアを含むようにしてもよい。図15は、その一例を示すもので、磁気応答部材11として機能する永久磁石11Mは、例えば中空リング状をなしており、このリング空間内にコイル部10が入り込むようになっている。コイル部10の各コイルLα,LA〜LD,Lβの軸心空間には鉄心コア31が挿入されており、該鉄心コア31が磁気飽和状態となるようにコイルが励磁される。永久磁石11Mが、いずれかのコイルに接近するとその近接箇所に対応する鉄心コア31が部分的に過飽和状態となり、該コイルの端子間電圧が低下する。永久磁石11Mが1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸減するように、該永久磁石11Mの長さは少なくともコイル長Kに相当する長さを持つ。このように、磁気応答部材11として永久磁石11Mを使用する場合も、上記非磁性良導電体11bを用いる場合と同様に、磁気応答部材11つまり永久磁石11Mが1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧の漸減変化を引き起こさせることができる。ただし、図15の例では、或るコイルの箇所を永久磁石11Mが通り過ぎてしまうと、また飽和状態に戻るが、後段のアナログ演算を適切に行なうことで所望のサイン及びコサイン関数特性の出力振幅レベル変化が得られるようにすればよい。あるいは、磁気応答部材11として永久磁石11Mを連続的に複数配置することにより、過飽和状態が持続するようにしてもよい。永久磁石11Mはリング状のものに限らず、棒状等その他形状であってもよい。その場合、軸心方向に平行にその近傍を永久磁石11Mからなる磁気応答部材11が通過する配置構成からなる。
【0044】
更に、上記各実施例においては、サイン及びコサイン関数の振幅特性を持つ2つの出力交流信号sinθsinωt及びcosθsinωtを生成する例(いわばレゾルバタイプの2相出力を生ずる例)について説明したが、これに限らず、所定位相ずれを示す3以上の三角関数の振幅特性を持つ3以上の出力交流信号(例えば、sinθ・sinωt、sin(θ−120°)・sinωt及びsin(θ−240°)・sinωt)を出力するように構成してもよい。
なお、配置するコイルLA〜LDの数は4以上であってもよい。
また、上記各実施例においては、コイル部10を固定しているが、反対に磁石5あるいは磁気応答部材11を固定し、コイル部10をフロート2の上昇下降にあわせて移動可能にして、磁石5あるいは磁気応答部材11に対して変位するように構成してもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上の通り、この発明によれば、非接触の検出方法により液面の高さを検出させることができるようになるので、摺動摩耗の心配のない耐久性に富んだ液面検出装置を提供することができる。また、小型かつシンプルな構造を持つと共に、広い範囲にわたる連続的な液面検出可能な液面検出装置を提供することができる。更には、製造が極めて容易になるようなシンプルな構造を持つ液面検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る液面検出装置の一実施の形態に係る全体概略構成を示す正面概略図。
【図2】 図1に示した液面検出装置の一部を拡大して示す一部断面拡大図。
【図3】 図1における検出部の1次及び2次巻線の結線例を示す図。
【図4】 図1における検出部の1次及び2次巻線の別の結線例を示す図。
【図5】 本発明に係る液面検出装置の別の実施例を示す断面図。
【図6】 本発明に係る液面検出装置の別の実施例を示す断面図。
【図7】 本発明に係る液面検出装置の別の実施例を示す断面図。
【図8】 本発明に係る液面検出装置の別の実施例を示す概念図。
【図9】 図8に示した液面検出装置の一実施例を示すものであって、(A)は概観略図、(B)はコイル軸方向の断面図、(C)はコイル部に関連する電気回路図。
【図10】 図9の液面検出装置の検出動作説明図。
【図11】 図9の液面検出装置の別の実施例を示す、コイル部に関連する電気回路図。
【図12】 図9の液面検出装置の更に別の実施例を示す、コイル部に関連する電気回路図。
【図13】 図9に関する各実施例におけるコイル配置の更に別の変形例及び磁気応答部材の先端形状の変形例を示す断面略図。
【図14】 図9に関する各実施例において磁気応答部材を磁性体と導電体によりハイブリッド構成する一例を略示する平面図。
【図15】 図9に関する各実施例において磁気応答部材として永久磁石を含んで構成する一例を略示する斜視図。
【符号の説明】
1 燃料タンク
2 フロート
3 アーム
4 変位子
5 永久磁石
6 検出部
61 検出部内壁
62 検出部外壁
7 磁性体コア
8 タンク内隔壁
9 位相測定回路
10 コイル部
11 磁気応答部材
11a 先端部分
11b 導電体
11M 永久磁石
12 交流電源
20,21,23,24,25,26,28 アナログ演算回路
22 位相検出回路
30,31 鉄心コア
PW,S1〜S4 1次巻線及び2次巻線
Lα,LA,LB,LC,LD,Lβ コイル
Claims (3)
- 液体の液面の上昇下降に応じて上下に変位するフロート部材と、
前記フロート部材の上下動に連動して、一方が他方に対して相対的に変位するように近接して配置された磁気応答部材及び検出部と
を具備し、
前記検出部は同相の交流信号によって励磁される複数のコイルであって、前記相対的変位の方向に沿って順次配列されてなるものとを含み、前記フロート部材の上昇下降に応じて前記磁気応答部材と前記コイルとの相対的位置が変化し、この相対的位置に応じて各コイルのインダクタンスを変化させ、前記磁気応答部材の端部が1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸増又は漸減するようにしたものであり、
更に、前記各コイルの電圧をそれぞれ取り出し、それらを複数系列でそれぞれ加算及び/又は減算することにより、各系列毎に前記各コイルの前記両端間電圧の漸増又は漸減特性を合成し、前記検出対象位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数系列の交流出力信号を生成するようにしたアナログ演算回路であって、該複数系列の各交流出力信号の振幅を規定する前記周期関数特性は所定位相だけ異なる同一特性の周期関数からなるものと
を具え、前記交流出力信号の振幅に基づき液面位置データを得ることを特徴とする液面検出装置。 - 前記アナログ演算回路で生成された複数系列の交流出力信号を入力し、該交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する前記所定の周期関数における特定の位相値を検出し、検出した位相値に基づき位置検出データを生成する振幅位相変換部を更に具え、前記位置検出データを液面位置データとして用いることを特徴とする請求項1に記載の液面検出装置。
- 前記磁気応答部材は磁石を含み、前記検出部は、前記磁石の相対的変位の方向に沿って所定範囲にわたって延びた磁性体コアを含み、前記磁石からの磁束を強く受ける該磁性体コアの所定箇所において磁気飽和を生じるものであり、
前記フロート部材の上昇下降に応じて前記磁石と前記検出部の相対的位置が変化し、これに応じて前記磁性体コアにおいて磁気飽和を生じる前記所定箇所が変位し、この磁気飽和箇所の変位に応じた出力信号を前記検出部より得ることによって液面の位置検出をなすことを特徴とする請求項1又は2に記載の液面検出装置。
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