JPH10152443A - 植物抽出液の処理法及び安定化法 - Google Patents

植物抽出液の処理法及び安定化法

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JPH10152443A
JPH10152443A JP8312416A JP31241696A JPH10152443A JP H10152443 A JPH10152443 A JP H10152443A JP 8312416 A JP8312416 A JP 8312416A JP 31241696 A JP31241696 A JP 31241696A JP H10152443 A JPH10152443 A JP H10152443A
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JP
Japan
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extract
plant extract
less
plant
water
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JP8312416A
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English (en)
Inventor
Mitsuo Tsunakawa
光男 綱川
Yoshiaki Kikukawa
義明 菊川
Katsunori Aoshima
克紀 青島
Shingo Yano
伸吾 谷野
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Tsumura and Co
Original Assignee
Tsumura and Co
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 溶媒が水であるpH2以上4未満の植物
抽出液を濃縮し、次いでエタノールをその濃度が40重
量%以上になるように加えて、不溶部を除去後、pHを
4以上7未満に調整することを特徴とする植物抽出液の
処理法及び安定化法、該処理法及び安定化法により得ら
れる植物抽出液、該植物抽出液を配合してなる外用剤。 【効果】 経時的安定性に優れた植物抽出液を提供する
ことができる。その抽出液を配合した外用剤も安定性に
優れたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経時的に安定な植
物抽出液を得るための植物抽出液の処理法及び安定化法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来植物の抽出は、溶媒として水、エタ
ノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリ
コール、エチレングリコール等を単独で又は混合して用
いることにより行っている。しかし、水単独による抽出
は経時的安定性に問題があり、水−エタノール混合抽出
等がほとんどである。特開平3−223216号公報に
はヨモギの水又は熱水抽出物にアルコールを添加して溶
媒をアルコール濃度50重量%以上の含水アルコールと
した後、再抽出し、抽出物をろ過して、低接触感作原性
ヨモギ抽出液を製造する方法が記載されているが、これ
はあくまで混合抽出であり、またpHの制御について何
ら言及しておらず、その目的は低接触感作原性抽出液を
得ることである。植物抽出液は外用剤、浴用剤、口腔剤
等、各種に配合されてきた。最近、より有効性を上げる
ため、高濃度で安定な抽出液が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述のよう
な状況のもとで、有効性のある安定的な植物抽出液を提
供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の発明を
包含する。 (1)溶媒が水であるpH2以上4未満の植物抽出液を
濃縮し、次いでエタノールをその濃度が40重量%以上
になるように加えて、不溶部を除去後、pHを4以上7
未満に調整することを特徴とする植物抽出液の処理法。 (2)溶媒が水である植物抽出液のpHを2以上4未満
に調整後、濃縮する前記(1)に記載の処理法。 (3)溶媒が水である植物抽出液を陽イオン交換クロマ
トグラフィーに付すことにより該抽出液のpHを2以上
4未満に調整する前記(2)に記載の処理法。
【0005】(4)陽イオン交換クロマトグラフィーに
用いる陽イオン交換体が強酸性陽イオン交換樹脂である
前記(3)に記載の処理法。 (5)溶媒が水である植物抽出液に酸性化剤又はアルカ
リ化剤を添加することにより該抽出液のpHを2以上4
未満に調整する前記(2)に記載の処理法。 (6)植物がミカン科植物である前記(1)に記載の処
理法。
【0006】(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記
載の処理法により得られる植物抽出液。 (8)前記(7)に記載の植物抽出液を配合してなる外
用剤。 (9)溶媒が水であるpH2以上4未満の植物抽出液を
濃縮し、次いでエタノールをその濃度が40重量%以上
になるように加えて、不溶部を除去後、pHを4以上7
未満に調整することを特徴とする植物抽出液の安定化
法。 (10)溶媒が水である植物抽出液のpHを2以上4未満
に調整後、濃縮する前記(9)に記載の安定化法。
【0007】本発明の対象となる植物としては、様々な
科や属に属するものが挙げられ、限定はされないが、ミ
カン科、例えばピロカルプス(Pilocarpus)属に属する植
物が特に好ましい。
【0008】本発明の処理法及び安定化法は、以下の工
程を含む。 (i)溶媒が水であるpH2以上4未満の植物抽出液を
得る工程 (ii)濃縮工程 (iii) エタノールを加えて不溶部を除去する工程 (iv)pH4以上7未満への調整工程
【0009】工程(i)における抽出は、植物体、例え
ば葉、根、茎、根茎、鱗茎、根皮、塊茎、塊根、ストロ
ン、花穂、頭花、つぼみ、果実、果皮、果肉、樹皮、周
皮、枝先、種子、心材を水〜熱水で抽出することにより
行う。抽出に用いる水〜熱水には、必要に応じて、酸性
化剤又はアルカリ化剤を添加してもよい。得られた抽出
液のpHが2以上4未満である場合には、そのまま次の
工程に用いることができるが、前記pHの範囲を逸脱す
る場合には、得られた植物抽出液のpHを2以上4未満
に調整する。植物抽出液のpHが前記範囲を逸脱する
と、最終目的の抽出液に沈殿物が生じてしまう。
【0010】pHを調整する手段としては、植物抽出液
に酸性化剤又はアルカリ化剤を単独で又は組み合わせて
添加する方法が挙げられる。ここで用いる酸性化剤とし
ては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;クエン酸、コハク
酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸等の有機酸が挙げら
れ、アルカリ化剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素
ナトリウム等のアルカリ性塩;水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属又はア
ルカリ土類金属の水酸物;酸化カルシウム、酸化マグネ
シウム等のアルカリ土類金属酸化物等が挙げられるが、
抽出液によっては前記酸性化剤又はアルカリ化剤と反応
してしまい、抽出液の持つ本来の効果を逸するもあるの
で、公知の配合禁忌、配合不適の組み合わせにならない
ように注意することが好ましい。
【0011】植物抽出液のpHの調整は、植物抽出液を
陽イオン交換クロマトグラフィーに付すことによっても
行うことができる。陽イオン交換クロマトグラフィーに
用いる陽イオン交換体としては、好ましくは陽イオン交
換樹脂が挙げられる。植物抽出液のpHが4以上である
と、陽イオン交換体として強酸性陽イオン交換樹脂、例
えばスチレン系強酸性陽イオン交換樹脂を用いることが
でき、植物抽出液のpHが2未満の場合には、陽イオン
交換体として弱酸性陽イオン交換樹脂、例えばメタクリ
ル系弱酸性陽イオン交換樹脂を用いることができる。
【0012】前述のようにして得られたpH2以上4未
満の植物抽出液は、濃縮工程に付される。植物抽出液を
濃縮せずに、エタノールを添加すると、エタノールが多
量に必要となり、不経済である。濃縮の程度は、固形分
濃度が、好ましくは8〜20重量%、更に好ましくは8
〜16重量%となるようにする。固形分濃度が8重量%
未満であると、目的とする抽出液における必要固形分濃
度が不足し、20重量%を超えると、希釈する補正水が
多量となり効率が悪い。濃縮の手段としては、例えば減
圧濃縮、膜濃縮等が挙げられ、好ましくは減圧濃縮が挙
げられる。
【0013】次いで、前述のようにして得られた濃縮物
にエタノールを加えて不溶部を除去する。本工程を省略
すると、最終目的の抽出液に沈殿物が生じてしまう。エ
タノールの添加量は、エタノール濃度が40重量%以上
になるようにすることが必要である。この添加量が40
重量%未満であると、最終目的の抽出液に沈殿物が生じ
ることがある。エタノール濃度は、好ましくは50〜8
0重量%である。
【0014】不溶部の除去手段としては、例えば濾過、
カラムクロマトグラフィー、遠心分離等が挙げられる。
前述のようにして得られた抽出液は、pHを4以上7未
満に調整する。抽出液のpHが前記範囲を逸脱すると、
最終目的の抽出液に沈殿物が生じてしまう。
【0015】pHを4以上7未満に調整する手段として
は、抽出液にアルカリ化剤を単独で又は組み合わせて添
加する方法が挙げられる。ここで用いるアルカリ化剤と
しては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアル
カリ性塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水
酸物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム等のアルカリ
土類金属酸化物等が挙げられるが、抽出液によってはア
ルカリ化剤と反応してしまい、抽出液の持つ本来の効果
を逸するもあるので、公知の配合禁忌、配合不適の組み
合わせにならないように注意することが好ましい。
【0016】本発明においては、前記工程(i)〜(i
v)を前記の順序で含めばよく、各工程の間に本発明の
効果を損なわない範囲で種々の工程を採用することがで
きる。例えば、各工程ごとで沈殿物が生じ、抽出液が濁
ったようになるが、メンブランフィルターや不織布等で
濾過し、清澄な濾液を得ることが好ましい。また、濾過
材を使うことも可能である。所要時間は、工程ごと1時
間〜1ヶ月を適宜選択すればよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態の好ま
しい一例を示す。植物体、好ましくはミカン科植物の乾
燥葉と精製水を加熱してゆるやかに還流させた後、濾過
して抽出液を得る。次いで、この抽出液を強酸性陽イオ
ン交換樹脂(例えばダイアイオンSK−1B(三菱化学
社製))を充填したクロマトカラムに通導し、溶出液と
して水を用いてpH2以上4未満の抽出液を得る。この
抽出液を固形分濃度が8〜16重量%となるように減圧
濃縮した後、1〜4倍量のエタノールを加えて不溶部を
濾過により除去する。次いで、水酸化カリウム等のアル
カリ化剤を加えてpHを4以上7未満に調整する。
【0018】本発明方法により得られた抽出液の用途と
しては経口剤、静脈注射剤、外用剤等が挙げられるが、
外用剤が好適である。本発明の外用剤の剤形は特に制限
はなく、通常医薬品、医薬部外品、化粧品等に用いられ
ているもの、例えば軟膏、クリーム、乳液、ローショ
ン、パック、育毛剤、浴用剤等の剤形が挙げられる。
【0019】本発明の外用剤には、前記抽出液の他に、
医薬品、医薬部外品、化粧品等に一般に用いられる各種
成分、即ち水性成分、油性成分、粉末成分、界面活性
剤、保湿剤、増粘剤、色素、香料、抗酸化剤、キレート
剤、防腐剤、あるいは紫外線防御剤、抗炎症剤等の薬剤
を配合することができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 (実施例1) (1)ミカン科植物の葉の抽出液の調製 ピロカルプス・ヤボランジ(Pilocarpus jaboranji)の乾
燥葉3kgと精製水60Lを加熱してゆるやかに4時間
還流させた後、濾過して約50kgの抽出液(A)(p
H5.3)を得た。そのときの固形分は1kgであっ
た。
【0021】ダイアイオンSK−1B(三菱化学社製)
10kgを充填した径5.5cmのクロマトカラムに該
樹脂と同量の5%塩酸を通導後、精製水を通導すること
により溶出液をほぼ中性にした後、抽出液(A)を通導
し、溶離液として水20kgを用いて抽出液(B)(p
H2.7)68kgを得た。これを固形分濃度が16重
量%程度になるように減圧濃縮し、抽出液(C)(pH
2.0)4kgを得た。この抽出液(C)に4倍量のエ
タノールを加えて不溶部を濾紙(No.5C)で予備濾過し、
更にメンブランフィルター(0.45μm)で吸引濾過
後、水酸化カリウムを加え、pHを5.8に調整し、抽
出液(D)(固形分濃度3.2重量%、エタノール濃度
80重量%)20kgを得た。
【0022】(2)安定性の評価 抽出液(A)と抽出液(D)の安定性を比較した。評価
方法としては、各抽出液10gに対して、10倍量の水
を加え、メンブランフィルターで濾過した濾液を、3日
後、1週間後、1カ月後に目視で安定性を評価した。結
果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】(判定基準) ○:清澄な抽出液のままである。 △:多少の濁りが生じている。 ×:オリとして認識できるほど濁り、一部沈殿が生じて
いる。
【0025】次に、抽出液(A)又は抽出液(D)を配
合したローションの安定性を比較した。評価方法として
は、以下の処方に、各抽出液を10.0重量%配合し、
3日後、1週間後、1カ月後に目視で安定性を評価し
た。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】(判定基準) ○:清澄な抽出液のままである。 △:多少の濁りが生じている。 ×:オリとして認識できるほど濁り、一部沈殿が生じて
いる。
【0028】(処方) 抽出液(A) 37.0重量% エタノール 50.0重量% 殺菌剤 0.1重量% 香料 適量 色素 微量 精製水 残部
【0029】(処方) 抽出液(D) 15.5重量% エタノール 37.6重量% 殺菌剤 0.1重量% 香料 適量 色素 微量 精製水 残部
【0030】前記の1カ月後の抽出液(D)配合ローシ
ョンを育毛剤として頭皮に塗布したところ、使用感等に
問題はなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、経時的安定性に優れた
植物抽出液を提供することができる。また、その抽出液
を配合した外用剤も安定性に優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷野 伸吾 静岡県藤枝市築地392番地 株式会社ツム ラ内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒が水であるpH2以上4未満の植物
    抽出液を濃縮し、次いでエタノールをその濃度が40重
    量%以上になるように加えて、不溶部を除去後、pHを
    4以上7未満に調整することを特徴とする植物抽出液の
    処理法。
  2. 【請求項2】 溶媒が水である植物抽出液のpHを2以
    上4未満に調整後、濃縮する請求項1記載の処理法。
  3. 【請求項3】 溶媒が水である植物抽出液を陽イオン交
    換クロマトグラフィーに付すことにより該抽出液のpH
    を2以上4未満に調整する請求項2記載の処理法。
  4. 【請求項4】 陽イオン交換クロマトグラフィーに用い
    る陽イオン交換体が強酸性陽イオン交換樹脂である請求
    項3記載の処理法。
  5. 【請求項5】 溶媒が水である植物抽出液に酸性化剤又
    はアルカリ化剤を添加することにより該抽出液のpHを
    2以上4未満に調整する請求項2記載の処理法。
  6. 【請求項6】 植物がミカン科植物である請求項1記載
    の処理法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の処
    理法により得られる植物抽出液。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の植物抽出液を配合してな
    る外用剤。
  9. 【請求項9】 溶媒が水であるpH2以上4未満の植物
    抽出液を濃縮し、次いでエタノールをその濃度が40重
    量%以上になるように加えて、不溶部を除去後、pHを
    4以上7未満に調整することを特徴とする植物抽出液の
    安定化法。
  10. 【請求項10】 溶媒が水である植物抽出液のpHを2
    以上4未満に調整後、濃縮する請求項9記載の安定化
    法。
JP8312416A 1996-11-22 1996-11-22 植物抽出液の処理法及び安定化法 Pending JPH10152443A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005112747A (ja) * 2003-10-06 2005-04-28 Kanebo Ltd ジェル状組成物及びその製造方法
JP2005187434A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Kanebo Ltd ジェル状組成物及びその製造方法
JP2014055112A (ja) * 2012-09-11 2014-03-27 Panefuri Kogyo Kk 苔類、地衣類の枯殺、除去用液剤

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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