JPH10150238A - 光パラメトリック発振器とその設計方法 - Google Patents

光パラメトリック発振器とその設計方法

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JPH10150238A
JPH10150238A JP30928796A JP30928796A JPH10150238A JP H10150238 A JPH10150238 A JP H10150238A JP 30928796 A JP30928796 A JP 30928796A JP 30928796 A JP30928796 A JP 30928796A JP H10150238 A JPH10150238 A JP H10150238A
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resonator
solid
laser
crystal
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JP30928796A
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Minoru Sumiya
実 角谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体レーザの出力変動にともなうシグナル
光出力の安定性を向上し、従来より高いパルス繰り返し
周波数の光パラメトリック発振器を実現する。 【解決手段】 内部共振器型光パラメトリック発振器に
おいて、共振器は、レーザ共振器の内側から共振器を構
成するミラーを見たときに凹面となる場合に曲率半径が
正の値となるものと定義した場合の端面ミラーの曲率半
径をR1、出力ミラーの曲率半径をR2、端面ミラーと固
体レーザ媒質の光学的実効距離をL1、固体レーザ結晶
の端面ミラー側の面と出力ミラーの間の光学的実効距離
をL2、固体レーザ結晶の半導体レーザ光の励起により
誘起される熱レンズの焦点距離をfとしたときに、g1
=1−L2/f−L0/R1、g2=1−L1/f−L0/R
2、L 0=L1+L2−L12/fとして定義されるg1
2を用いた条件式、g12=1/2、を満たすように
構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光パラメトリック
発振を用いてレーザ光の波長変換を行なう光パラメトリ
ック発振器に関し、特に、半導体レーザ励起の固体レー
ザをポンプ光源とした内部共振器型の光パラメトリック
発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、レーザ光の波長を変換する方
法の一つとして、シグナル光またはアイドラ光が共振す
る光共振器中に非線形光学結晶をおいて強力なポンプ波
を入射したときに、シグナル光とアイドラ光の一方また
は両方が発振する現象である光パラメトリック発振が用
いられている。
【0003】上記のような光パラメトリック発振を用い
てレーザ光の波長変換を行なう光パラメトリック発振器
としては、特開平7−318997号公報に開示される
ものがある。該公報には、ポンプ光を発生させるための
レーザ発振器の共振器と、光パラメトリック発振を行う
ための共振器のそれぞれを独立とした構成が開示されて
いる。
【0004】光パラメトリック発振器では、ポンプ光の
入射により、シグナル光、あるいは、アイドラ光を発生
させるが、このときポンプ光のパワー密度には発生を開
始するためのしきい値が存在する。レーザ光の波長変換
効率を向上するためには、上記のしきい値を超える強い
パワー密度のポンプ光を光パラメトリック発振器の共振
器に入射させる必要がある。
【0005】一般に、レーザ発振器では出力ミラーから
取り出される出力レーザ光のパワー密度よりも共振器内
部のパワー密度の方が高い。このことから、共振器内部
に光パラメトリック発振の共振器を配置することによ
り、容易にそのしきい値を超えるポンプ光のパワー密度
を得ることができる。このように、ポンプ光を発生させ
るレーザの共振器内に光パラメトリック発振のための共
振器を配置する方法を内部共振器型光パラメトリック発
振と呼ぶ。
【0006】上記の内部共振器型の光パラメトリック発
振器については、ジョエル フォークらによる論文がア
イ・イー・イー・イー ジャーナル オブ カンタム
エレクトロニクス、第QE−7巻、第7号、359頁、
1971年(J.Falket al.、IEEE J
ournal of Quantum Electro
nics、Vol.QE−7、No.7、p.359、
1971)に開示されている。
【0007】上記の文献では、ポンプ光の発生源となる
固体レーザの励起にはフラッシュランプが使用されてい
るが、フラッシュランプ励起の固体レーザの場合、パル
ス繰り返し周波数が数十Hzまでに限られることや、装
置の小型化が難しいこと、フラッシュランプの寿命が短
いことなどにより、近年では半導体レーザ励起による内
部共振器型の光パラメトリック発振器の研究・開発が行
なわれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した半導体レーザ
励起による内部共振器型の光パラメトリック発振器の問
題点としては以下が挙げられる。
【0009】第1の問題点は、半導体レーザによって励
起される固体レーザ結晶内に誘起される熱レンズの焦点
距離が半導体レーザの励起強度によって変化し、レーザ
共振器内の固体レーザ結晶の位置における発振モード径
が変化することにより、半導体レーザから固体レーザの
発振モードへのモード結合効率が変化してしまう。さら
に、しきい値をもつ光パラメトリック発振の過程をも経
るのでシグナル光の出力変動は増大される。このため、
半導体レーザの強度変化に対して光パラメトリック発振
によるシグナル光の出力が著しく変化してしまう。
【0010】第2の問題点は、連続動作する励起光源に
より一定の強度で励起する場合に、固体レーザをQスイ
ッチ動作によりパルス動作させ、その繰返し周波数を上
げていくと、1パルスあたりの励起エネルギーが小さく
なる。そのため、レーザ共振器内のポンプ光のパワー密
度は低下し、光パラメトリック発振に必要なしきい値を
超えなくなり、光パラメトリック発振の出力光が発生し
なくなる。
【0011】本発明は上述したような従来の技術が有す
る問題点に鑑みてなされたものであって、半導体レーザ
励起固体レーザをポンプ光源とした、内部共振器型光パ
ラメトリック発振器において、半導体レーザの出力変動
にともなうシグナル光出力の安定性を著しく向上すると
ともに、従来より高いパルス繰り返し周波数で光パラメ
トリック発振の出力を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の光パラメトリッ
ク発振器は、少なくとも固体レーザ媒質とQスイッチ素
子と出力ミラーと端面ミラーから構成されるレーザ共振
器と、前記レーザ共振器の軸上に前記端面ミラー側から
半導体レーザ光を伝搬させて前記固体レーザ媒質を励起
する手段とを具備し、前記共振器の出力ミラー側に設け
られた、光パラメトリック発振のための、非線形光学結
晶および共振器を構成するミラーとを有する光パラメト
リック発振器において、前記共振器は、レーザ共振器の
内側から前記共振器を構成する前記ミラーを見たときに
凹面となる場合に曲率半径が正の値となるものと定義し
た場合の前記端面ミラーの曲率半径をR1、前記出力ミ
ラーの曲率半径をR2、前記端面ミラーと前記固体レー
ザ媒質の光学的実効距離をL1、前記固体レーザ結晶の
前記端面ミラー側の面と前記出力ミラーの間の光学的実
効距離をL2、前記固体レーザ結晶の半導体レーザ光の
励起により誘起される熱レンズの焦点距離をfとしたと
きに、 g1=1−L2/f−L0/R12=1−L1/f−L0/R20=L1+L2−L12/f として定義されるg1とg2を用いた条件式 g12=1/2 を満たすように構成されていることを特徴とする。
【0013】本発明の光パラメトリック発振器の設計方
法は、少なくとも固体レーザ媒質とQスイッチ素子と出
力ミラーと端面ミラーから構成されるレーザ共振器と、
前記レーザ共振器の軸上に前記端面ミラー側から半導体
レーザ光を伝搬させて前記固体レーザ媒質を励起する手
段とを具備し、前記共振器の出力ミラー側に設けられ
た、光パラメトリック発振のための、非線形光学結晶お
よび共振器を構成するミラーとを有する光パラメトリッ
ク発振器の設計方法において、前記共振器を、レーザ共
振器の内側から前記共振器を構成する前記ミラーを見た
ときに凹面となる場合に曲率半径が正の値となるものと
定義した場合の前記端面ミラーの曲率半径をR1、前記
出力ミラーの曲率半径をR2、前記端面ミラーと前記固
体レーザ媒質の光学的実効距離をL1、前記固体レーザ
結晶の前記端面ミラー側の面と前記出力ミラーの間の光
学的実効距離をL2、前記固体レーザ結晶の半導体レー
ザ光の励起により誘起される熱レンズの焦点距離をfと
したときに、 g1=1−L2/f−L0/R12=1−L1/f−L0/R20=L1+L2−L12/f として定義されるg1とg2を用いた条件式 g12=1/2 を満たすものとすることを特徴とする。
【0014】発明者は、上述した目的を達成するために
鋭意研究を行った結果、上記の条件式を満たすように共
振器を作製することにより、半導体レーザの励起光強度
の変化に対して、固体レーザ結晶の位置における発振モ
ード半径の変化が最も小さくなり、固体レーザの発振モ
ード半径が、非線形光学結晶の位置では固体レーザ結晶
の位置より小さく、固体レーザの共振器内部パワー密度
が非線形光学結晶の位置において高くなるとの知見に至
った。
【0015】半導体レーザの励起光強度の変化に対し
て、固体レーザ結晶の位置における発振モード半径の変
化が小さなことから、半導体レーザの出力変動にともな
うシグナル光出力の安定性が向上し、非線形光学結晶の
位置における固体レーザの共振器内部パワー密度が高く
なることから、従来より高いパルス繰り返し周波数で光
パラメトリック発振の出力を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0017】図1は本発明の基本的な構成を示す図であ
り、固体レーザ結晶を励起するための半導体レーザ11
の出力光をポンプ光とし、出射側に向けて順に設けられ
たレンズ2a,2b、端面ミラー3、固体レーザ結晶1
4、Qスイッチ5、内部ミラー6、非線形光学結晶17
および出力ミラー8からなる内部共振器型光パラメトリ
ック発振によるレーザ装置の構成が示されている。
【0018】半導体レーザ11は、出力光の波長が固体
レーザ結晶14の吸収波長に合うものが選択されてい
る。半導体レーザ11の出力光はレンズ2a、2bによ
り集光されて端面ミラー3に入射する。端面ミラー3に
は、半導体レーザ11の波長に対しては低反射となり、
かつ、固体レーザ結晶14の発振波長に対しては高反射
となるようなコーティングが施されており、また、その
曲率半径は、図の右側から見たときにR1となる。端面
ミラー3の出射側には(図面右側)には、固体レーザ結
晶14が配置されている。
【0019】レンズ2a,2bによって集光された半導
体レーザ11の出力光は、端面ミラー3を透過した後、
固体レーザ結晶14に入射する。端面ミラー3と出力ミ
ラー8との間が固体レーザの共振器となる。固体レーザ
結晶14の出射側にQスイッチ5が配置されている。Q
スイッチ5により端面ミラー3および出力ミラー8の間
をレーザ共振器とする固体レーザはQスイッチ動作を行
なう。
【0020】出力ミラー8の曲率半径は、図の右側から
見たときにR2となる。また、出力ミラー8は固体レー
ザ14の発振の波長に対しては高反射となり、かつ、光
パラメトリック発振の出力光の波長に対して部分透過と
なるコーティングが施されている。出力ミラー8の出射
側には、非線形光学結晶17が配置されている。非線形
光学結晶17は固体レーザ結晶14の発振波長の光をポ
ンプ光とするときに所望の波長の光パラメトリック発振
出力が得られるようにカットされている。
【0021】非線形光学結晶17とQスイッチ5との間
には、内部ミラー6が配置されている。内部ミラー6
は、固体レーザ結晶14の発振波長に対しては低反射
率、光パラメトリック発振によるシグナル光の波長にお
いては高反射率となるコーティングが施されている。こ
の内部ミラー6と出力ミラー8の間が光パラメトリック
発振の共振器となり、光パラメトリック発振の出力光が
出力ミラー8から取り出される。
【0022】半導体レーザ1によって励起される固体レ
ーザ結晶14には、熱によって誘起される熱レンズが発
生する。発生した熱レンズの焦点距離は、半導体レーザ
光の強度に依存する。以下の説明では、半導体レーザの
強度をある値に設定したときの熱レンズの焦点距離をf
として説明する。
【0023】図1に示すような軸励起方式では、熱レン
ズは固体レーザ結晶内でも励起光の吸収量が最も多い入
射側端面に薄肉レンズがあるものと近似的に等価と考え
てよい。この入射側端面に相当する面、すなわち、固体
レーザ結晶14の端面ミラー3側の面から、端面ミラー
3までの距離をL1とする。同じく、固体レーザ結晶1
4の端面ミラー3側の面から出力ミラー8までの光学的
実効長をL2とする。ここで、光学的実効長とは、各媒
質の長さを各々の屈折率で除した値の総和を示すものと
する。
【0024】端面ミラーの3の位置における固体レーザ
の共振器内の発振横モード半径をw 1とすると、w1はL
1、L2、R1、R2、f、および固体レーザの発振波長λ
を用いて次のように表せる。
【0025】 w1 2=(λL/π){g2/g1(1−g12)}1/2 ただし、 L=L1十L20=L1十L2−(L12/f) g1=1−L2/f−L0/R12=1−L1/f−L0/R2 である。この結果は、ステファンらによる論文アイ・イ
ー・イー・イー ジャーナル オブ カンタム エレク
トロニクス、第QE−8巻、第2号、239頁、197
2年(Jurg Steffen et al,,IE
EE Journal of Quantum Ele
ctronics,Vol.QE−8,No.2,p.
239,1972)に示されている。この論文の記述内
容に従うと、熱レンズの焦点距離fの変動に対して、端
面ミラー3の位置における発振横モード半径w1の変化
が最も小さくなる条件は、 dw1/df=0 から得られ、微分を実行すると、 2g12−1+(g1/g2)(L1/L22+2g11
/L2=0 となる。この式を満たす条件の一つとして、 g12=1/2、かつ、L1=0 がある。実際は、図1に示すような軸励起方式の光学部
品配置では、端面ミラー3と固体レーザ結晶14の間の
距離は数mmとなり、数十mm以上となるL2に比べて
1は小さくなる。また、L1が小さいので、固体レーザ
結晶14の端面ミラー3側の面の位置における固体レー
ザの発振モード半径w3は、w1とほぼ等しい値となる。
【0026】以上のことから、半導体レーザの励起光強
度の変化に対して、固体レーザ結晶の位置における発振
モード半径w3の変化が最も小さくなる条件は、 g12=1/2 となる。
【0027】また、同じ文献によると、出力ミラー3の
位置における固体レーザの発振モード半径w2は、g1
2、w1を用いて次のように表すことができる。
【0028】w2=(g1/g21/21 となる。図1の構成では、L1は数mm、L2は数十mm
となるため、g1とg2では、g1の方が小さくなる。そ
のため、w1に比べてw2は小さな値となる。このこと
は、固体レーザの発振モード半径は、非線形光学結晶1
7の位置では固体レーザ結晶14の位置より小さなこと
を意味している。また、このことは固体レーザの共振器
内部パワー密度が非線形光学結晶17の位置において高
くなることを示している。
【0029】固体レーザ結晶の熱レンズの焦点距離fが
300mmのとき、fの変動に対してw1、あるいは、
3の変化が最小となる条件g12=1/2を満たすパ
ラメータの組み合わせを次に示す。
【0030】L1=5mm L2=74mm R1=200mm R2=―200mm 上記の条件のもとに、熱レンズの焦点距離fが変化した
と仮定して、w1、w2、w3を計算で求めた結果が図2
である。図2に示す結果は、熱レンズの焦点距離が、仮
に±50%だけ変化しても、固体レーザ結晶14の位置
における発振モード半径はほとんど変化しないことを示
している。また、非線形光学結晶17の位置における発
振モード半径が、固体レーザ結晶14の位置における発
振モード半径w3に対して約2分の1となる。このこと
から、パワー密度が非線形光学結晶17の位置において
約4倍となることがわかり、本発明の有効性を示してい
る。
【0031】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。
【0032】図3は本発明による一実施例の構成を示す
図である。固体レーザ結晶を励起するための半導体レー
ザ1は、光ファイバ結合タイプのもので、半導体レーザ
1に接続された光ファイバ9の他端から光が出力され
る。半導体レーザ1は波長が810nmであり、光ファ
イバ端出力は最大12Wである。本実施例では、光ファ
イバ端出力を10Wに設定して使用している。本実施例
は出射側に向けて順に設けられたレンズ2、端面ミラー
3、Nd:YVO4結晶4、Qスイッチ5、内部ミラー
6、KTP結晶7および出力ミラー8からなる共振器の
構成が示されている。
【0033】レンズ2は、焦点距離10mmで、半導体
レーザ1の光ファイバ端からの距離が約20mmとなる
ように配置されている。半導体レーザ1の出射光の集光
径は約0.5mmである。端面ミラー3は、レンズ2側
が凸面、その反対側が凹面であり、それらの曲率半径は
200mm、である。また、端面ミラー3のレンズ2側
の面は波長810nmにおける反射率が0.5%であ
り、また、反対側の面は、波長810nmに対して反射
率が5%で、かつ、波長1064nmに対して反射率が
99%となるコーティングがそれぞれ施されている。
【0034】固体レーザ結晶としてのNd:YVO4
晶4は、長さが3mmのa軸カットのものであり、その
光軸がレーザ共振器の光軸に対して垂直となるように配
置されている。また、Nd:YVO4結晶4による発振
は電界成分が結晶のc軸と平行となり、その発振波長は
1064nmとなる。また、半導体レーザ1の出力が1
0Wのときに生じるNd=YVO4結晶4の熱レンズの
焦点距離は約0.3mとなることが実験的に得られてい
る。
【0035】Qスイッチ5は音響光学効果を利用したも
ので、媒質に二酸化テルル(TeO 2)結晶を使用して
いる。これに、外部から周期的に強度を変調させた周波
数80MHzの高周波を入力し、Nd:YVO4結晶1
4による発振を周期的にQスイッチ動作させている。ま
た、二酸化テルル結晶のレーザ光の伝搬する方向の長さ
は20mmである。
【0036】内部ミラー6は、Qスイッチ5側が凸面、
その反対側が凹面であり、それらの曲率半径は160m
mである。また、内部ミラー6のQスイッチ5側の面は
波長1064nmにおける反射率が0.5%であり、ま
た、反対側の面は、波長1064nmに対して反射率が
5%で、かつ、波長1573nmに対して反射率が99
%となるコーティングがそれぞれ施されている。また、
内部ミラー6の厚さは5mmである。
【0037】非線形光学結晶としてのKTP(KTiO
PO4)結晶7は、長さが30mmであり、結晶方位が
θ=90°、Φ=0°のx軸カットのもので、そのy軸
がNd:YVO4結晶4のc軸と平行になるように配置
されている。この配置により、光パラメトリック発振の
ポンプ光となる波長1064nmの発振光は、その電界
成分がKTP結晶7のy軸と平行になるようにKTP結
晶7に入射する。このとき、KTP結晶7は、波長が1
573nmで電界成分がKTP結晶7のy軸と平行とな
るシグナル光と、波長が3.3μmで電界成分がKTP
結晶7のz軸と平行となるアイドラ光が発生する。
【0038】出力ミラー8は、KTP結晶7が凸面、そ
の反対側が凹面となっており、それらの曲率半径は20
0mmである。また、出力ミラー8のKTP結晶7側の
面には波長1064nmにおける反射率が99%で、か
つ、波長1573nmに対しての反射率が約90%とな
り、また、反対側の面には、波長1573nmに対して
反射率が0.5%となるコーティングがそれぞれ施され
ている。
【0039】上記のように構成される本実施例は、端面
ミラー3と出力ミラー8との間がNd:YVO4レーザ
の共振器となり、内部ミラー6と出力ミラー8との間が
光パラメトリック発振のための共振器となる。
【0040】出力ミラー8と内部ミラー6の間の距離は
40mmで、この間の波長1573nmのシグナル光の
発振モード径は、出力ミラー8の位置で161μm、内
部ミラー6の位置で206μmである。
【0041】端面ミラー3からNd:YVO4結晶4ま
での距離L1は5mmである。また、Nd:YVO4結晶
4の端面ミラー3側の面から出力ミラー8までの距離は
103mmとなっている。このとき、同じ間の光学的実
効長L2は74mmとなる。本実施例におけるパラメー
タは前項の計算例で用いたものと同じであり、先に示し
た条件式 g12=1/2 を満たす共振器構成としている。
【0042】本実施例では、半導体レーザ1の出力変動
±10%に対して、波長1573nmの光パラメトリッ
ク発振の出力変動も±10%程度であった。また、Qス
イッチ5の繰り返し動作の周波数を上げていったとこ
ろ、パルス繰り返し周波数が50kHzのときに時間平
均出力で約1W、パルスエネルギーが約20μJであっ
た。
【0043】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、以下に記載するような効果を奏する。
【0044】半導体レーザ励起固体レーザをポンプ光発
生源とした内部共振器型の光パラメトリック発振におい
て、励起用半導体レーザの出力変動に対して、光パラメ
トリック発振出力の変動を著しく小さくすることができ
るとともに高いパルス繰り返し周波数においても光パラ
メトリック発振を可能とすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の動作を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施例の構成を示す図である。
【符号の説明】
1,11 半導体レーザ 2,2a,2b レンズ 3 端面ミラー 4 Nd:YVO4結晶 5 Qスイッチ 6 内部ミラー 7 KTP結晶 8 出力ミラー 9 光ファイバ 14 固体レーザ結晶 17 非線形光学結晶

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも固体レーザ媒質とQスイッチ
    素子と出力ミラーと端面ミラーから構成されるレーザ共
    振器と、前記レーザ共振器の軸上に前記端面ミラー側か
    ら半導体レーザ光を伝搬させて前記固体レーザ媒質を励
    起する手段とを具備し、前記共振器の出力ミラー側に設
    けられた、光パラメトリック発振のための、非線形光学
    結晶および共振器を構成するミラーとを有する光パラメ
    トリック発振器において、 前記共振器は、レーザ共振器の内側から前記共振器を構
    成する前記ミラーを見たときに凹面となる場合に曲率半
    径が正の値となるものと定義した場合の前記端面ミラー
    の曲率半径をR1、前記出力ミラーの曲率半径をR2、前
    記端面ミラーと前記固体レーザ媒質の光学的実効距離を
    1、前記固体レーザ結晶の前記端面ミラー側の面と前
    記出力ミラーの間の光学的実効距離をL2、前記固体レ
    ーザ結晶の半導体レーザ光の励起により誘起される熱レ
    ンズの焦点距離をfとしたときに、 g1=1−L2/f−L0/R12=1−L1/f−L0/R20=L1+L2−L12/f として定義されるg1とg2を用いた条件式 g12=1/2 を満たすように構成されていることを特徴とする光パラ
    メトリック発振器。
  2. 【請求項2】 少なくとも固体レーザ媒質とQスイッチ
    素子と出力ミラーと端面ミラーから構成されるレーザ共
    振器と、前記レーザ共振器の軸上に前記端面ミラー側か
    ら半導体レーザ光を伝搬させて前記固体レーザ媒質を励
    起する手段とを具備し、前記共振器の出力ミラー側に設
    けられた、光パラメトリック発振のための、非線形光学
    結晶および共振器を構成するミラーとを有する光パラメ
    トリック発振器の設計方法において、 前記共振器を、レーザ共振器の内側から前記共振器を構
    成する前記ミラーを見たときに凹面となる場合に曲率半
    径が正の値となるものと定義した場合の前記端面ミラー
    の曲率半径をR1、前記出力ミラーの曲率半径をR2、前
    記端面ミラーと前記固体レーザ媒質の光学的実効距離を
    1、前記固体レーザ結晶の前記端面ミラー側の面と前
    記出力ミラーの間の光学的実効距離をL2、前記固体レ
    ーザ結晶の半導体レーザ光の励起により誘起される熱レ
    ンズの焦点距離をfとしたときに、 g1=1−L2/f−L0/R12=1−L1/f−L0/R20=L1+L2−L12/f として定義されるg1とg2を用いた条件式 g12=1/2 を満たすものとすることを特徴とする光パラメトリック
    発振器の設計方法。
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