JPH10140823A - コンクリート型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量性と高い剛性を備え、しかも、一層簡便
に施工し得る様に改良された合成樹脂製のコンクリート
型枠を提供する。 【解決手段】 コンクリート表面成形用の成形板（１）
と、当該成形板の裏面側に付設された補強用のリブ
（２）とにより、背面開放型のボックス構造に構成され
た合成樹脂製のコンクリート型枠であって、成形板
（１）の周縁に沿って付設されたリブ（２０）の内周側
には、額縁状に形成された金属フレーム（３）が嵌め込
まれている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンクリート型枠に関
するものであり、詳しくは、コンクリート構造物の外形
を成形するための合成樹脂製のコンクリート型枠であっ
て、軽量性と高い剛性を備え、しかも、一層簡便に使用
し得る様に改良されたコンクリート型枠に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】土木、建築の分野で使用されるコンクリ
ート構造物の外形を成形するためのコンクリート型枠
は、従前の木製の型枠における耐久性の問題を解決する
ため、木製の型枠に代えて合成樹脂製の種々の型枠が提
案されている。

【０００３】本発明者等は、先に、合成樹脂製のコンク
リート型枠を出願済みである。斯かるコンクリート型枠
は、コンクリート表面成形用の前面板の各縁部を含む一
面側に桁を構成する複数の桁形成片が一体に設けられた
前面形成部材と、背面板の各縁部を含む一面側に桁を構
成する複数の桁形成片が一体に設けられた背面形成部材
とから成り、かつ、双方の各桁形成片の底面を相互に融
着したボックス構造の型枠である（特開平８−１５８６
３８号公報）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、合成樹脂製
のコンクリート型枠は、軽量化を図らんとすると肉厚を
薄くしなければならず、その結果、剛性が低下し、打設
したコンクリートによって成形面に撓みが生じると言う
問題がある。従って、木製の型枠と同様に、型枠の背面
側に補強用の横架材（いわゆる端材）を架設する等して
撓みを防止している。

【０００５】本発明は、上記の実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、軽量性と高い剛性を備え、しか
も、一層簡便に施工し得る様に改良された合成樹脂製の
コンクリート型枠を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明のコンクリート型枠は、コンクリート表面成
形用の成形板と、当該成形板の裏面側に付設された補強
用のリブとにより、背面開放型のボックス構造に構成さ
れた合成樹脂製のコンクリート型枠であって、前記成形
板の周縁に沿って付設されたリブの内周側には、額縁状
に形成された金属フレームが嵌め込まれていることを特
徴とし、前記金属フレームは、成形板の裏面側に付設さ
れた補強用のリブと協働して成形板の曲げ剛性を高め
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明に係るコンクリート型枠の
一実施形態を図面に基づいて説明する。図１は、本発明
のコンクリート型枠の全体形状を示す背面側から見た斜
視図である。図２は、図１におけるＩＩ−ＩＩ矢視図で
あり、リブと金属フレームの配置を示す成形板の厚さ方
向に沿った断面図である。図３は、コンクリート型枠を
複数接続するためのファスナーの一例を示す斜視図であ
る。図４は、コンクリート型枠の使用例を示す縦断面図
である。以下、実施の形態の説明においては、コンクリ
ート型枠を「型枠」と略記する。

【０００８】本発明の型枠は、図１に符号（１０）にて
示す様に、合成樹脂製のコンクリート型枠であって、コ
ンクリート表面成形用の成形板（１）と、当該成形板の
裏面側に付設された補強用のリブ（２）とにより、背面
開放型のボックス構造に構成される。

【０００９】型枠（１０）を構成する合成樹脂として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
樹脂およびその共重合体の他、ポリスチレン、アクリロ
ニトリル−スチレン、アクリロニトリル−スチレン−ブ
タジエン、ポリ塩化ビニルなどの各種の熱可塑性樹脂が
使用される。

【００１０】上記の樹脂材料は、例えば、重量および強
度の点から低倍率で発泡させて使用され、型枠（１０）
は、少なくともその全表面が無発泡層を形成する様に成
形される。また、上記の樹脂材料にガラス繊維を混入さ
せるか、または、ガラス繊維マットに上記の樹脂材料を
含侵させることにより、多孔性の成形品として型枠（１
０）を成形した場合には、軽量性を確保し且つ強度を一
層高めることが出来る。型枠（１０）の製造方法は後述
する。

【００１１】成形板（１）は、使用上の規格から、通
常、その平面形状を例えば６００ｍｍ×１８００ｍｍ程
度の長方形に形成される。また、成形板（１）の厚さ
は、全体の重量と剛性を勘案して５〜２５ｍｍ程度に設
定される。裏面側のリブ（２）は、成形板（１）の四周
縁に一体的に設けられたリブ（２０）と、成形板（１）
の短辺と平行に一体的に配置された複数のリブ（２１）
とから構成される。

【００１２】周縁のリブ（２０）は、厚さを２〜２０ｍ
ｍ程度、好ましくは５〜１５ｍｍ程度、成形板（１）の
厚さを含む高さ（型枠（１０）の側面の厚さに相当）を
４０〜１００ｍｍ程度、好ましくは５０〜８０ｍｍ程度
に設定される。斯かるリブ（２０）の高さは、一般的な
規格によれば６２ｍｍ又は７２ｍｍである。また、成形
板（１）の裏面上に配置されたリブ（２１）は、厚さを
２〜２０ｍｍ程度、好ましくは５〜１５ｍｍ程度、成形
板（１）の厚さを含まない当該成形板裏面からの突出高
さを１５〜９５ｍｍ程度、好ましくは２５〜７５ｍｍ程
度に設定される。なお、これらリブ（２０）とリブ（２
１）の稜線部は略同一高さになされる。

【００１３】本発明の型枠（１０）において、成形板
（１）の周縁に沿って付設されたリブ（２０）の内周側
には、成形板（１）の曲げ剛性を高める額縁状に形成さ
れた金属フレーム（３）が嵌め込まれる。金属フレーム
（３）は、断面が方形のいわゆる角パイプを方形状に４
本接合して成る枠組構造のフレームである。

【００１４】上記の金属フレーム（３）としては、軽量
性と強度の観点から、アルミニウム合金を含むアルミニ
ウム製のフレームを使用するのが好ましい。アルミニウ
ム製の金属フレーム（３）の場合、角パイプの寸法は、
長手方向に直交する断面において、肉厚が１〜７ｍｍ程
度、一辺の外寸が１５〜６０ｍｍ程度とされる。

【００１５】金属フレーム（３）は、図２に示す様に、
周縁のリブ（２０）の内周側に密着した状態に嵌め込ま
れている。具体的には、成形板（１）の短辺と平行なリ
ブ（２１）は、金属フレーム（３）を構成する角パイプ
の上記一辺の外寸に相当する長さだけ両端側が切り欠か
れた状態に形成されており、金属フレーム（３）は、前
記の切り欠き部分に対して成形板（１）の裏面側から挿
入される。なお、図示しないが、金属フレーム（３）
は、リブ（２０）の外側面から装着されたボルト又はタ
ッピング螺子によってリブ（２０）に締結される。

【００１６】また、構造物の大きさによっては、複数の
型枠（１０）を接続して使用するため、本発明の型枠
（１０）には、型枠同士の締結材としてのファスナーを
取り付けるための締結穴（４）が設けられる。締結穴
（４）は、図１及び図２に示す様に、型枠（１０）の側
面部分、すなわち、リブ（２０）の外側面に設けられ
る。締結穴（４）は、リブ（２０）に形成された穴（４
２）と、斯かる穴に重畳する様に金属フレーム（３）に
形成された穴（４３）とから、成形板（１）の裏面側に
貫通する穴として構成される。

【００１７】型枠同士を締結する上記ファスナーは、図
３に符号（５）で示す様に、一辺部が開口する略ロ字状
に折曲加工され、かつ、開口部を備えた前記一辺部およ
び当該一辺部に平行な他の一辺部を屈曲させた一般的に
使用される棒状体の加工品である。ファスナー（５）
は、上記の開口部を利用し、隣接する２つの型枠（１
０）の重なり合う締結穴（４）、（４）に一辺部を挿通
した後、斯かる一辺部と平行な他の一辺部を上方または
下方に旋回させる操作により、２つの型枠（１０）の縁
同士を締結する機能を発揮する。

【００１８】なお、締結穴（４）は、後述する様に、対
向配置された型枠（１０）同士を一定の間隔に保持する
ための定規部材を取り付ける穴としても利用される。ま
た、型枠（１０）の側面に相当するリブ（２０）の外側
面には、通常、後述する定規部材（６）（図４参照）を
装着するため、断面が半円形の溝がリブ（２０）の高さ
方向（型枠（１０）の厚さ方向）に沿って形成される。

【００１９】更に、型枠（１０）においては、図示しな
いが、成形板（１）の少なくとも表面（成形面）にコン
クリートの付着を低減するための合成樹脂フィルムが貼
着されているのが好ましい。合成樹脂フィルムとして
は、コンクリートが付着し難く且つ耐久性を発揮し得る
適宜のフィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
ニル等の各種の熱可塑性樹脂のフィルムを使用すること
が出来る。なお、合成樹脂フィルムは、更にリブ（２
０）の外側面に貼着されていてもよく、斯かる部位に貼
着されたフィルムは、複数の型枠（１０）を接続して使
用する場合、型枠（１０）、（１０）間の微小な隙間に
はみ出すコンクリートのノロの付着を防止することが出
来る。

【００２０】型枠（１０）の製造方法としては、上述の
熱可塑性樹脂を用い、射出成形によって成形板（１）と
リブ（２）を一体的に形成した後、別途作製した金属フ
レーム（３）を装着する方法、あるいは、ガラス繊維マ
ットを金型内に配置した状態で熱可塑性樹脂を射出する
ことにより、成形板（１）とリブ（２）を一体的に形成
した後、前記と同様に、金属フレーム（３）を装着する
方法が挙げられる。

【００２１】本発明の型枠（１０）の使用方法は、従来
の型枠の使用法と略同様であり、図４に示す様に、例え
ば、２つを１組として各成形板（１）の表面が対向する
様に立設する。また、構造物の水平方向の長さや構造物
の高さに応じて横方向や垂直方向に複数接続する。その
際、左右または上下の型枠（１０）同士の接続において
は、上述の様に、図３に示すファスナー（５）を使用す
る。また、対向する型枠（１０）、（１０）の間隔、す
なわち、打設するコンクリートの厚さは、一般に使用さ
れる所謂セパと称する定規部材（６）および／または
（７）を用いて設定する。

【００２２】定規部材（６）は、対向配置された２つの
型枠（１０）、（１０）の間隙（離間距離）を調整する
ためのバーであり、離間距離の調整は、横方向に接続さ
れた型枠（１０）、（１０）の互いに隣接する側面間に
定規部材（６）の両端を挿入し、雌螺子を含む留具を前
記の両端側に形成された雄螺子に螺着して行う。また、
定規部材（７）は、対向配置された型枠（１０）、（１
０）の上端を連結するために両端部が同方向に折曲され
た棒状の連結部材であり、離間距離の設定は、図１に示
す締結穴（４）に定規部材（７）の折曲部分を挿入して
行う。

【００２３】すなわち、型枠（１０）、（１０）を使用
した施工においては、双方の成形板（１）、（１）が対
向する様に型枠（１０）、（１０）を立設すると共に、
上記の定規部材（６）、（７）を適宜の数だけ使用し、
型枠（１０）、（１０）の間の距離を規定し、そして、
各型枠（１０）、（１０）の間の間隙にコンクリート
（８）を打設する。

【００２４】上記の様に使用される本発明の型枠（１
０）は、成形板（１）と補強用のリブ（２）とにより、
背面開放型のボックス構造に構成されているため、軽量
性を十分に確保することが出来る。しかも、特定の位置
に嵌め込まれた金属フレーム（３）は、成形板（１）の
裏面側に付設された補強用のリブ（２）と協働して成形
板（１）の曲げ剛性を高める。すなわち、本発明の型枠
（１０）は、軽量性を維持しつつ高い剛性を発揮し得
る。従って、従来、成形面の撓みを防止する目的から型
枠の背面側に設置されていたいわゆる端材を使用する必
要がなく、一層簡便に施工することが出来る。

【００２５】なお、本発明の型枠（１０）において、成
形板（１）の裏面に形成するリブの配置は、例えば、上
記リブ（２１）に直交するリブを設けた格子状の配置
や、成形板（１）を２分する位置にリブ（２１）と同様
のリブを設け、斯かるリブの端部から成形板（１）のコ
ーナー部に向けて斜めのリブを伸長した配置など、成形
板（１）を補強し得る適宜の配置を採用することが出来
る。

【００２６】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明のコンクリー
ト型枠においては、成形板（１）の裏面側に付設された
補強用のリブ（２）と協働して金属フレーム（３）が成
形板（１）の曲げ剛性を高めるため、軽量性を維持しつ
つ高い剛性を発揮させることが出来る。従って、端材を
使用する必要がなく、一層簡便に施工することが出来
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のコンクリート型枠の全体形状を示す背
面側から見た斜視図である。

【図２】図１におけるＩＩ−ＩＩ矢視図であり、リブと
金属フレームの配置を示す成形板の厚さ方向に沿った断
面図である。

【図３】コンクリート型枠を複数接続するためのファス
ナーを示す斜視図である。

【図４】コンクリート型枠の使用例を示す縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ：成形板 ２ ：リブ ２０：成形板の周縁のリブ ３ ：金属フレーム ４ ：締結穴 ５ ：ファスナー ６ ：定規部材 ７ ：定規部材 ８ ：コンクリート １０：コンクリート型枠

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート表面成形用の成形板（１）
   と、当該成形板の裏面側に付設された補強用のリブ
   （２）とにより、背面開放型のボックス構造に構成され
   た合成樹脂製のコンクリート型枠であって、成形板
   （１）の周縁に沿って付設されたリブ（２０）の内周側
   には、額縁状に形成された金属フレーム（３）が嵌め込
   まれていることを特徴とするコンクリート型枠（１
   ０）。
2. 【請求項２】 金属フレーム（３）がアルミニウム製の
   フレームである請求項１に記載のコンクリート型枠（１
   ０）。
3. 【請求項３】 成形板（１）の少なくとも表面にコンク
   リートの付着を低減するための合成樹脂フィルムが貼着
   されている請求項１又は２に記載のコンクリート型枠
   （１０）。