JPH10140362A - 無電解メッキ用ワニス及びそのワニス被膜付射出成形品 - Google Patents

無電解メッキ用ワニス及びそのワニス被膜付射出成形品

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JPH10140362A
JPH10140362A JP31004796A JP31004796A JPH10140362A JP H10140362 A JPH10140362 A JP H10140362A JP 31004796 A JP31004796 A JP 31004796A JP 31004796 A JP31004796 A JP 31004796A JP H10140362 A JPH10140362 A JP H10140362A
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    • H05K2203/07Treatments involving liquids, e.g. plating, rinsing
    • H05K2203/0756Uses of liquids, e.g. rinsing, coating, dissolving
    • H05K2203/0773Dissolving the filler without dissolving the matrix material; Dissolving the matrix material without dissolving the filler

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  • Paints Or Removers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、プラスチッ
クス、セラミックス、紙、繊維等の非導電性物質である
メッキ対象物とメッキ層との密着性を非常に良好ならし
めると共に、メッキ工程も簡略化できる無電解メッキ用
ワニスを提供するにある。 【構成】 非導電性物質の表面に無電解
メッキ層を形成するに先立って該表面の前処理に用いら
れるワニスであって、ブタジエンゴム粒子及び炭酸カル
シウム微粉末を熱可塑性樹脂に配合し、得られる混合物
を溶剤に溶解して無電解メッキ用の第1ワニスとし、こ
の第1ワニスにさらにイソシアネート類を配合して無電
解メッキ用の第2ワニスとする。第1ワニスはことに熱
可塑性樹脂に好適であり、第2ワニスはことに熱硬化性
樹脂に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチックス、セラ
ミックス、紙、繊維等の非導電性物質ことに熱可塑性樹
脂や熱硬化性樹脂等の導体化処理、電磁シールド付与等
に好適な無電解メッキ用ワニス及び該ワニスが塗布され
た射出成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックス、セラミックス、紙、繊
維等の非導電性物質の導体化処理、電磁シールド付与等
は、通常、無電解メッキにより行われている。無電解メ
ッキは、電流を用いず、還元剤の働きによりメッキ液中
の金属イオンを還元してメッキ対象物上に析出させるも
のであり、ほとんどの非導電性物質の表面にもメッキで
きる方法として汎用されている。
【0003】無電解メッキの一般的な工程には、非導電
性物質の表面を親水性にすると共に、該物質表面とメッ
キ層の間の接着をアンカー効果によって促進するエッチ
ング工程が含まれており、このエッチング工程は、ブラ
ストやタンブリング等の機械的手法や、酸やアルカリ等
の腐食液による化学的手段によって進められている。 上記化学的手法に用いられる酸としては、重クロム酸と
硫酸やリン酸、水等との混酸が通常用いられている
【0004】また、エッチング工程に次いで、エッチン
グされた非導電性物質の表面に、還元触媒となるパラジ
ウム、白金、金、銀等の金属塩を生成させるための、セ
ンシタイジング工程やアクチベイティング工程(これら
は上記金属塩の活性点を供給する工程である)が必要と
されている。このセンシタイジング工程は、例えば塩化
第1スズの塩酸溶液を作用させることにより行われ、ア
クチベイティング工程は、例えばパラジウム塩、金塩、
銀塩等の溶液を作用させることにより行われる。また最
近では両工程を一工程で行う液も販売されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の無電解
メッキ法では、メッキ対象物の表面にパラジウム等の触
媒が十分に付着しないので、メッキ不良が発生し易くな
っており、メッキ対象物とメッキ層との密着性に問題を
残している。とくに実用的観点から、メッキ対象物とメ
ッキ層との間に強固な密着性が要求されており、この密
着性が伴わないといくらメッキ層を形成することができ
ても、実用性が無いものとなる。
【0006】この密着性を改良するものとして、無電解
メッキ触媒に対して適度の吸収性を有し該触媒を十分に
付与するコーティング物質でメッキ下地表面をコーティ
ングする種々の方法が提案されている。
【0007】このようなコーティング物質の例として
は、アクリルラテックス塗料やN-メチル-2-ピロリドン
を添加したアクリルラテックス塗料(米国特許明細書第
4670306号参照)、キトサン又はキトサン誘導体
を含む処理液(特開平3−271375号公報参照)が
挙げられる。
【0008】しかしながら、これらのコーティング物質
を用いる方法では、それまでのものに比して密着性は若
干改善されるものの、まだまだ不十分なものであり、そ
して解決されるべき課題も残されている。 例えば前者のコーティング物質を用いる方法では、これ
以外の工程を短縮・簡略化することはできず、このコー
ティング物質を塗布する工程が新たに加わった分だけメ
ッキ工程そのものが煩雑化することとなっている。ま
た、後者のコーティング物質は、カニ等の甲殻類などか
ら抽出されるキチンを脱アセチル化して得ているもので
あり、この過程が煩雑であるばかりでなく、悪臭を放つ
ものであり作業環境を悪化するものともなっている。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、メッキ対象物とメッキ層との密着性を非常に
良好ならしめると共に、メッキ工程とくにエッチング工
程を簡略化できる無電解メッキ用ワニスを提供するにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】かくして本願『請求項
1』にかかる発明によれば、『非導電性物質の表面に無
電解メッキ層を形成するに先立って該表面の前処理に用
いられるワニスであって、ブタジエンゴム及び炭酸カル
シウム微粉末を熱可塑性樹脂に配合し、得られる混合物
を溶剤に溶解して調製されてなる無電解メッキ用ワニ
ス』が提供される。
【0011】また本願『請求項2』に示すように、上記
『請求項1』にかかる無電解メッキ用ワニス(以下、本
願第1ワニスという)に、さらにイソシアネート類を配
合したものも、本発明のワニス(以下、本願第2ワニス
という)として提供することができる。
【0012】
【作用】本願第1ワニスにおいて、メッキ対象となる非
導電性物質としては、本願『請求項8』に示すように、
熱可塑性樹脂、セラミックス、ガラス、不織布、紙から
選択されるいずれかの材質のものが挙げられる。
【0013】本願第2ワニスは、本願第1ワニスの場合
と同様な非導電性物質に対して用いられるが、これ以外
にとくに本願『請求項9』に示すように、熱硬化性樹脂
に対して好適に用いられる。
【0014】本願第1及び第2の各ワニスにおいて、非
導電性物質は、本願『請求項8』または『請求項9』に
示すように、成形品、繊維状物質、織布、不織布、粉体
等のいずれの形態で用いられてもよい。
【0015】本願第1及び第2の各ワニスにおいて、本
願『請求項6』に示すように、ブタジエンゴムは、『乾
燥塗膜中で平均粒径2〜5μm』のものが適している。
【0016】また、炭酸カルシウムには、軽微質炭酸カ
ルシウム及び重質炭酸カルシウムのいずれをも使用する
事ができ、これらは微粉末状ことに超微粒子状で用いら
れることが好ましく、例えば本願『請求項6』に示すよ
うに、『平均粒径0.1〜3μm』のものを挙げることが
できるが、これに限定されない。
【0017】本願第1及び第2の各ワニスにおいて、配
合される熱可塑性樹脂としては、芳香族又は脂肪族溶剤
に可溶なものが選択され、例えばアクリル樹脂、ポリス
チレン、ABS、アクリロニトリル樹脂、アクリロニト
リル−スチレン共重合樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げら
れる。
【0018】本願第1及び第2の各ワニスにおいて、本
願『請求項7』に示すように、炭酸カルシウム微粉末
は、炭酸カルシウム微粉末、ブタジエンゴム及び熱可塑
性樹脂の合計固形分に対して10〜90重量%の割合で
用いられる。10重量%に満たないときはエッチング処
理の簡便化が図れずかつ密着強度が十分ではなく、また
90重量%を越えるときは得られるワニスの膜強度が低
下する点で好ましくない。炭酸カルシウムの配合量は5
0重量%程度が好ましい。
【0019】本願第2ワニスにおいて、用いられるイソ
シアネート類は、本願『請求項3』に示すように、多価
アルコールとジイソシアネートとを反応させて得られる
ポリイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシ
アネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TD
I)等のジイソシアネート及びこれらを水素添加したも
のが好適に用いられる。
【0020】上記イソシアネート類は、本願『請求項
4』に示すように、熱可塑性樹脂に対して1〜30重量
%の割合で用いられる。イソシアネート類が1重量%よ
りも少ない場合は基材とメッキワニスの密着力の点で不
都合であり、また30重量%よりも多い場合はポットラ
イフの点で好ましくない。
【0021】本願第2ワニスは、ことに熱硬化性樹脂の
メッキ用前処理剤として効果を発揮するものであり、こ
の場合本ワニスは、1液タイプに構成されていてもよい
が、2液タイプに構成して提供する事もできる。この2
液タイプの構成としては、本願『請求項5』に示すよう
に、ブタジエンゴム及びイソシアネート類を熱可塑性樹
脂に配合し、得られる混合物を溶剤に溶解して調製され
た第1層用ワニスと、ブタジエンゴム及び炭酸カルシウ
ム微粉末を熱可塑性樹脂に配合し、得られる混合物を溶
剤に溶解して調製された第2層用ワニスとに調製するこ
とが挙げられる。
【0022】本願第1及び第2のいずれのワニスも、非
導電性物質の表面に刷毛塗り、ローラ塗り、スプレー塗
り、浸漬等の手法によって塗布する事ができる。また、
熱可塑性樹脂に対してワニス被膜を形成する場合は、本
願『請求項10』に示すように、『射出成形用金型の所
定部分に塗布した後射出成形する』ことが、熱可塑性樹
脂成形品の所定部分に成形と同時にかつ成形品と一体的
に貼着したワニス被膜を形成できる点で好ましいもので
ある。上記塗布又は射出成形によりワニス被膜形成後、
エッチング、センシタイジング、アクチベイティング等
の触媒付与並びに無電解メッキの各工程を順次行う事が
できる。本願第1及び第2ワニスは、クロム酸・硫酸等
の酸性エッチング液を用いるエッチング処理に最も効果
的であり、例えば、エッチング液温40℃で30秒程度
の浸漬で簡単にエッチング処理できるものである。
【0023】
【実施例】以下、本発明を図示実施例に従って説明する
が本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1〜3 表1に、ブタジエンゴムと炭酸カルシウム微粉末との混
合割合を変更した3種(=実施例No.1,2,3)の第1ワ
ニスについての配合割合を示す。
【0024】
【表1】
【0025】これら3種の第1ワニスの調製法は下記に
従った。調製法 ブタジエンゴムと炭酸カルシウム微粉末とアクリロニト
リル−スチレン共重合樹脂とを、溶剤であるメチルエチ
ルケトン(MEK)中に投入・撹拌して均一に溶解し、
本願の第1ワニスを調製した。
【0026】実施例4〜6 表2に示すように熱可塑性樹脂の種類を変更する以外
は、実施例1と同様の配合割合・調製法に基づいて3種
(=実施例No.4,5,6)の第1ワニスを調製した。
【0027】
【表2】
【0028】以上のようにして得られた6種の第1ワニ
ス(=実施例No.1,2,3,4,5,6)を、熱可塑性樹脂
であるポリカーボネート樹脂成形品の表面に刷毛又はス
プレを用いてそれぞれ塗布し、十分に乾燥させた。次い
で、クロム酸400g・硫酸300g・水300gの混酸浴(40
℃に調整)に、上記各第1ワニスを塗布したそれぞれの
成形品を30秒程度ずつ浸漬してエッチング処理した。そ
の後、塩化第1スズの塩酸溶液〔SnCl2・2H2O…10g/l,H
Cl…40ml/l,残部は水〕でセンシタイジング処理し、次
いで塩化パラジウムの塩酸溶液〔PdCl2…1g/l,HCl…1
0ml/l,水…4000ml〕でアクチベイティング処理して触
媒を付与した後、下表に示すメッキ浴にて無電解メッキ
(ニッケルメッキ)を施した。
【0029】《メッキ浴》 NiCl2・6H2O 15 g/l NaH2PO2・H2O 10 g/l クエン酸ナトリウム 10 g/l CoCl2 0.5 g/l Na247・10H2O 3.0 g/l
【0030】なお、下記に本例の各処理時間例を従来例
と比較して示す。
【0031】以上のように、本発明の第1ワニスを塗布
してエッチング処理、センシタイジング処理及びアクチ
ベイティング処理した後に、無電解メッキを施すことに
より、各成形品への全処理時間が7分30秒程度と非常
に短縮化された。このメッキ処理時間の短縮は、ワニス
の熱可塑性樹脂被膜において炭酸カルシウム微粉末が混
入されている部分の表層が薄くなっていて、ここが混酸
によって破れ易く、破れた部分に混酸が侵入すると炭酸
カルシウム微粉末が瞬時に溶解され、それによりブタジ
エンゴムが素早くエッチングされ、そこにスズやパラジ
ウムが吸着され易くなるため、と考えられる。
【0032】上記実施例1〜6について、無電解メッキ
によるニッケルメッキ被膜の析出性を観察しかつ各メッ
キ被膜の密着性試験をそれぞれ行い、表1及び表2に記
す結果を得た。無電解ニッケルメッキ被膜の析出性につ
いては、ワニス塗布面全面に完全に析出したもの(◎)
ワニス塗布面のほぼ全面に析出したもの(〇)、ワニス
塗布面に斑に析出したもの(△)、ワニス塗布面に全く
析出しなかったもの(×)の4通りに分けて評価した。
また、無電解ニッケルメッキ被膜の密着性試験は、該ニ
ッケルメッキ被膜の上に約30μmのニッケル層を通常の
電解メッキにより形成し、この電気メッキニッケル層及
び無電解ニッケルメッキ被膜からなる全メッキ層を10mm
幅に切断して90°方向の剥離試験を行い、その剥離強度
(kg/cm2)により評価した。この剥離試験結果から理解
されるように、本願発明の方法により形成されたニッケ
ルメッキ被膜は、非常に強固に密着している。
【0033】実施例7 実施例1〜6で得られた各第1ワニスをそれぞれ射出成
形に利用した例について述べる。すなわち、上記各第1
ワニスをそれぞれの成形金型の雌型の表面に均一に塗布
して射出成形を行ったところ、得られた各成形品の表面
に均一にワニス被膜が転写・貼着されており、かつ、こ
のワニスが離型剤としても機能して成形品を簡単に型か
ら外すことができた。上記各成型品を、前記と同様のメ
ッキ浴に浸漬して無電解メッキを施した。このようにし
て得られた成形品の表面に形成された無電解メッキ被膜
は、非常に強固でかつ均一に貼着されていた。以上のこ
とから理解されるように、本願第1ワニスを射出成形に
利用することにより、成形品の全面や一部分など所定の
部分に均一かつ強固にしかも簡単にワニス被膜を形成す
ることができる。さらに、上記のようにしてワニス被膜
が貼着形成された成形品に対して、無電解メッキを簡単
に行うことができ、無電解メッキ被膜を所定部分に強固
に形成する事ができる。これは例えば所定形状の成形品
の所定部分に電磁波に対する完全なシールド効果を付与
できるものであることを意味する。
【0034】実施例8 本例は、上記実施例7と同様に射出成形に利用する他の
例について述べる。射出成形品が例えば便座である場
合、この便座の皮膚と接触する側に相当する射出成形金
型面の所定部分に均一に本願第1ワニスを塗布した後、
射出成形を行って所定面に均一にワニス塗膜が転写・貼
着された便座(成形品)を得、この便座を、前記と同様
のエッチング、センシタイジング、アクチベイティング
の各処理及び同様のメッキ浴に浸漬して無電解メッキを
施すことにより所定面に無電解ニッケルメッキ被膜を形
成した後、更に通常の電気メッキにより銀メッキ層を形
成することができる。このようにして得られた便座は、
用事において皮膚と接触する部分に銀メッキ層が強固に
形成されており、銀による殺菌効果が十分に発揮される
と共に繰返しの使用によっても銀メッキ層が剥がれない
ものとなっており、衛生面、装飾面、実用面及び耐久性
のいずれをも満足するものとなっている。
【0035】実施例9〜11 本例は本願第2ワニスの1液タイプのものについて述べ
る。表3に、炭酸カルシウム微粉末の混合割合を変更し
た3種(=No.9,10,11)の第2ワニスについての配合
割合を示す。
【0036】
【表3】
【0037】上記各種の第2ワニスの調製法は下記に従
った。調製法 ブタジエンゴム、炭酸カルシウム微粉末、TDI及びア
クリロニトリル−スチレン共重合樹脂を、溶剤であるメ
チルエチルケトン(MEK)中に投入・撹拌して均一に
溶解し、本願の第2ワニスを調製した。
【0038】実施例12〜14 表4に、イソシアネート類の種類を変更した3種(=実
施例No.12,13,14)の第2ワニスについての配合割合
を示す。なお、調製は上記と同様の方法で行った。
【0039】
【表4】
【0040】実施例15〜17 表5に、イソシアネート類の配合量を変更した3種(=
実施例No.15,16,17)の第2ワニスについての配合割
合を示す。なお、この調製も上記と同様の方法で行っ
た。
【0041】
【表5】
【0042】以上のようにして得られた9種(=実施例
No.9,10,11,12,13,14,15,16,17)の第2ワニス
をそれぞれ、熱硬化性樹脂であるCFRP(=エポキシ
ーカーボン板)の表面に刷毛又はスプレを用いてそれぞ
れ塗布し、十分に乾燥させた。以下、エッチング処理、
センシタイジング処理、アクチベイティング処理、無電
解メッキについては第1ワニスを用いたときと同様に行
った。
【0043】以上のようにして得られた製品のメッキ層
について、第1ワニスと同様なニッケルメッキ層の析出
性及び剥離試験を行った。結果を表3〜表5に併せて示
す。
【0044】これらの結果から、各熱硬化性樹脂成形品
表面に対してメッキ層は非常に強固に密着していること
が分かる。従って、本発明の第2ワニスは熱硬化性樹脂
に対して無電解メッキの好適な前処理剤となる事が分か
る。
【0045】実施例18〜20 本例は、第2ワニスであって、第1層用ワニスとこの上
に塗る第2層用ワニスとの2液タイプからなるものにつ
いて述べる。下記表6に示す配合割合及びイソシアネー
ト類の種類により、第1層用ワニス及び第2層用ワニス
をそれぞれ調製した。なお、調製法は上記第1ワニス又
は第2ワニス(1液タイプ)のものに準ずる。
【0046】
【表6】
【0047】上記のようにして得られた2液タイプの3
種(=実施例No.18,19,20)の第2ワニスを用いて、
熱硬化性樹脂であるCFRPの表面にまず第1層用ワニ
スをスプレ塗装し、乾燥後、この上に第2層用ワニスを
スプレ塗装して乾燥させた。 以下、エッチング処理、センシタイジング処理、アクチ
ベイティング処理、無電解メッキについては第1ワニス
を用いたときと同様に行った。
【0048】以上のようにして得られた製品のメッキ層
について、第1ワニスと同様なニッケルメッキ層の析出
性及び剥離試験を行った。結果を表6に併せて示す。
【0049】また、比較例として、第1層用の組成にお
いてイソシアネート類を配合しないもの(比較例1)及
び第2層用の組成において炭酸カルシウムを配合しない
もの(比較例2)をそれぞれ調製し、これらについてニ
ッケルメッキ析出性及び剥離試験を行った。結果を表7
に示す。
【0050】
【表7】
【0051】これらの結果から、本願第2ワニスを塗布
したCFRP表面に対してメッキ層は非常に強固に密着
していることが分かる。この2液タイプの第2ワニス
は、1液タイプの第2ワニスに比して、広い範囲の熱硬
化性樹脂に対して好適に適用でき、かつメッキ層の密着
性もさらに良好なものであった。
【0052】なお、上記実施例はすべて樹脂成形品への
無電解メッキについて説明したが、セラミックス、ガラ
ス、紙、繊維等の非導電性物質についても同様にメッキ
処理できるものである。
【0053】
【発明の効果】本願発明の第1ワニス及び第2ワニスに
よれば、ワニスには塩基性である炭酸カルシウム微粉末
が添加されているので、クロム酸や硫酸によるエッチン
グ処理が瞬時にかつ均一に達成できると共に、エッチン
グ後の塗布面にはこの炭酸カルシウム微粉末による微細
な凹凸が形成されるのでこの微細凹凸によるアンカー効
果も作用して、非常に強固なメッキ層を形成する下地を
構成する事ができる。
【0054】本願発明の第1ワニスは、熱可塑性樹脂、
セラミックス、紙、繊維等の非導電性物質の表面に無電
解メッキ用下地層を好適に形成する事ができる。
【0055】本願発明の第2ワニスによれば、熱硬化性
樹脂、セラミックス、紙、繊維等の非導電性物質の表面
に無電解メッキ用下地層を好適に形成する事ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 175/04 C09D 175/04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非導電性物質の表面に無電解メッ
    キ層を形成するに先立って該表面の前処理に用いられる
    ワニスであって、 ブタジエンゴム及び炭酸カルシウム微粉末を熱可塑性樹
    脂に配合し、得られる混合物を溶剤に溶解して調製され
    てなる無電解メッキ用ワニス。
  2. 【請求項2】 イソシアネート類がさらに配合さ
    れてなる請求項1記載の無電解メッキ用ワニス。
  3. 【請求項3】 イソシアネート類が、多価アルコ
    ールとジイソシアネートとを反応させて得られるポリイ
    ソシアネート、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネー
    ト(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)等
    のジイソシアネート及びこれらを水素添加したものから
    選択される請求項2に記載の無電解メッキ用ワニス。
  4. 【請求項4】 イソシアネート類が、熱可塑性樹
    脂に対して1〜30重量%で用いられる請求項2又は3
    に記載の無電解メッキ用ワニス。
  5. 【請求項5】 ブタジエンゴム及びイソシアネー
    ト類を熱可塑性樹脂に配合し、得られる混合物を溶剤に
    溶解して調製された第1層用ワニスと、 ブタジエンゴム及び炭酸カルシウム微粉末を熱可塑性樹
    脂に配合し、得られる混合物を溶剤に溶解して調製され
    た第2層用ワニスとからなる請求項2〜4のいずれかに
    記載の無電解メッキ用ワニス。
  6. 【請求項6】 乾燥塗膜中のブタジエンゴム粒子
    が平均粒径2〜5μmであり、炭酸カルシウム微粉末が
    平均粒径0.1〜3μmである請求項1〜5のいずれかに
    記載の無電解メッキ用ワニス。
  7. 【請求項7】 炭酸カルシウム微粉末が、炭酸カ
    ルシウム微粉末、ブタジエンゴム及び熱可塑性樹脂の合
    計固形分に対して10〜90重量%で用いられる請求項
    1〜6のいずれかに記載の無電解メッキ用ワニス。
  8. 【請求項8】 非導電性物質が、熱可塑性樹脂、
    セラミックス、ガラス、紙から選択されるいずれかの材
    質で、かつ、成形品、繊維状物質、織布、不織布、粉体
    から選択されるいずれかの形態である請求項1〜7のい
    ずれかに記載の無電解メッキ用ワニス。
  9. 【請求項9】 非導電性物質が、熱硬化性樹脂で
    かつ成形品、繊維状物質、織布、不織布、粉体から選択
    されるいずれかの形態である請求項2〜7のいずれかに
    記載の無電解メッキ用ワニス。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれかに記載の
    ワニスを射出成形用金型の所定部分に塗布した後射出成
    形することにより得られる無電解メッキ用ワニス被膜付
    射出成形品
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