JP3069809B2 - 低密着性不導体材料のemiシールド用部分めっき方法 - Google Patents

低密着性不導体材料のemiシールド用部分めっき方法

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JP3069809B2
JP3069809B2 JP3302108A JP30210891A JP3069809B2 JP 3069809 B2 JP3069809 B2 JP 3069809B2 JP 3302108 A JP3302108 A JP 3302108A JP 30210891 A JP30210891 A JP 30210891A JP 3069809 B2 JP3069809 B2 JP 3069809B2
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一也 佐藤
利行 喜多
重光 川岸
和義 奥野
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Okuno Chemical Industries Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低密着性不導体材料の
EMIシールド用部分めっき方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】従来、湿式法によるプラスチ
ックの部分めっき方法としては、めっきレジストを用
い、めっきの不要な樹脂表面をマスクする方法、めっき
され易い樹脂とめっきされにくい樹脂とを2重形成して
めっきを行なう方法、予め触媒付与した樹脂と未処理の
樹脂をインジェクションする方法等が知られている。
【0003】しかしながら、これらの方法により得られ
るめっき被膜の密着性は極めて低いものである。また、
これらの方法では非常に手間や時間がかかり、コスト高
となり効率的な方法とは言えない。
【0004】
【問題点を解決するための手段】本発明は、EMIシー
ルドめっきを必要とする低密着性不導体材料上に、密着
性に優れ且つ外観が良好なめっき被膜を得ることを目的
とする。
【0005】本発明者らは、従来技術の問題に鑑み鋭意
検討した結果、めっき被膜の形成が困難な低密着性不導
体材料上に部分めっきを施すに際し、予め有機溶剤によ
り塗料化された樹脂を塗布してから無電解めっきを施す
場合には上記問題が解決できることを見出し、本発明を
完成した。
【0006】即ち、本発明は、低密着性不導体材料上の
めっきを必要とする部分に塗料化されたABS樹脂を塗
布し、次いで無電解めっきを施すことを特徴とする低密
着性不導体材料のEMIシールド用部分めっき方法に係
るものである。
【0007】以下、本発明につき詳細に説明する。
【0008】本発明の対象めっき素材である低密着性不
導体材料は、主に樹脂、その他甲殻類、木材等の密着性
の乏しい不導体であれば特に限定されない。尚、上記樹
脂としては塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピ
レン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタ
ン樹脂等の汎用プラスチックス、ポリアミド樹脂、ポリ
アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネ
ート/ABSアロイ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル
(ポリフェニレンオキサイド)樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂等の汎用エンジニアプラスチックス、ポ
リサルホン樹脂、ポリエーテルサイホン樹脂、ポリフェ
ニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ
エーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹
脂、液晶ポリマー等のスーパーエンジニアプラスチック
ス等を例示できる。
【0009】本発明においては、まず常法により洗浄さ
れた上記材料の表面上のめっきを必要とする部分に塗料
化された樹脂を塗布する。上記樹脂は塗料化できるもの
であれば制限されないが、ABS樹脂、エポキシ樹脂等
が好ましく、殊にABS樹脂は作業性及び経済性に優れ
ている。さらにABS樹脂としてはポリブタジエンにス
チレン・アクリロモノマーをグラフト重合させたものを
用いるのが好ましい。上記の塗料化で用いる溶剤として
は通常の有機溶剤が使用できるが、特にエステル類、芳
香族及びケトン系の少なくとも1種を用いるのが好まし
い。上記エステル類としては、例えば酢酸エチル、酢酸
ブチル、酢酸イソブチル等が挙げられる。上記芳香族と
しては、例えばトルエン、キシレン、シクロヘキサン等
が挙げられる。上記ケトン系としては、例えばアセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等が挙げられる。これらの有機溶剤の使
用濃度は通常50〜800ml/l程度、好ましくは200
〜500ml/lとする。
【0010】次に塗料化された樹脂(樹脂塗料)の塗布
は、刷毛塗り法、浸漬法、スプレー法等の常法に従って
塗布すれば良いが、このなかでも特にスプレー法がより
好ましい。塗布された樹脂塗料は常温で放置すると硬化
がはじまるが、60〜70℃程度で1時間程度強制乾燥
すると塗膜と素材との密着性の向上を図ることができ
る。
【0011】乾燥して室温で放置した後、常法に従いエ
ッチング処理を行なう。エッチング液としては、例えば
重クロム酸塩5〜35g/l 及び98%硫酸100〜10
00g/l からなる水溶液、無水クロム酸50〜500g/
l 及び98%硫酸150〜900g/からなる水溶液等の
クロム酸−硫酸水溶液が使用できる。処理条件は使用す
る樹脂やエッチング液の濃度等によって一様ではない
が、通常40〜70℃程度のエッチング液に1〜10分
程度浸漬すれば良い。
【0012】エッチング処理後、水洗し、酸処理を行な
う。この処理によって被めっき面に付着しているエッチ
ング液が除去される。酸処理の具体的な方法としては、
例えば35%塩酸20〜120ml/lの水溶液に常温で1
〜2分程度浸漬すれば良い。次いで、常法に従い触媒付
与及び活性化処理を行ない、水洗後に無電解めっきを施
す。無電解めっきは、無電解銅めっき液、無電解ニッケ
ルめっき液等の公知の無電解めっき液が使用でき、処理
条件も通常の方法で行なうことができる。さらに必要に
応じて電気めっきを行なうことも可能である。
【0013】
【発明の効果】本発明によればEMIシールドめっきを
必要とする低密着性不導体材料上に、密着性に優れ且つ
外観が良好なめっき被膜を形成させることができる。ま
た、上記材料のうち、めっき被膜を直接形成させるのが
特に困難であるポリカーボネート樹脂又はポリカーボネ
ート/ABSアロイ樹脂には特に有効である。
【0014】
【実施例】以下に実施例及び試験例を示し、本発明の特
徴とするところをより一層明瞭にする。
【0015】尚、本実施例におけるピーリング強度測定
は以下の方法により行なった。即ち、無電解めっき後、
硫酸銅めっきを電流密度3A/dm2 、25℃で90分行
ない、その後80℃で2時間乾燥し、室温で放置後、め
っき被膜に10mm幅の切れ目を入れてそのめっき被膜を
引張り試験機(「オートグラフSD−100−C」
(株)島津製作所製)を用いて樹脂に対して垂直に引っ
張りその密着力を測定した。
【0016】実施例1 ポリカーボネート樹脂(「レキサン920A」日本ジー
イープラスチック社製)の成形品上にトルエン20容量
%、酢酸エチル50容量%及び残部ABS樹脂からなる
樹脂塗料をスプレー法にて塗布した後、70℃で30分
間強制乾燥を行ない、試験片を得た。
【0017】次いで、無水クロム酸400g/l 及び98
%硫酸400g/l を含有する水溶液で60℃、5分間該
試験片をエッチング処理した。
【0018】水洗後、35%塩酸50ml/l水溶液に常温
で2分間浸漬し、酸処理した。さらに水洗後、塩化パラ
ジウム0.5g/l 、塩化第一スズ50g/l 及び35%塩
酸200ml/l水溶液を含有する触媒水溶液に25℃で3
分間浸漬し、水洗した後に98%硫酸100ml/l水溶液
にて40℃で3分間活性化処理を行なった。
【0019】水洗後、硫酸ニッケル25g/l 、クエン酸
20g/l 、次亜リン酸ナトリウム15g/l 及び塩化アン
モニウム5g/l の水溶液からなるpH8.5〜9.5の
範囲内に調整された無電解ニッケルめっき液に40℃で
8分間浸漬し、無電解めっきを行なった。
【0020】得られためっき被膜について、外観の評価
とピーリング強度測定を行なった。その結果を第1表に
示す。
【0021】実施例2 実施例1と同じ樹脂にキシレン40容量%、酢酸ブチル
30容量%及び残部ABS樹脂からなめ樹脂塗料をスプ
レー法で塗布した後、70℃で30分間強制乾燥を行な
い、試験片を得た。
【0022】以下、実施例1と同様にして試験片を処理
した。得られためっき被膜について、外観の評価とピー
リング強度測定を行なった。その結果を第1表に示す。
【0023】実施例3 実施例1と同じ樹脂にトルエン30容量%、酢酸イソブ
チル40容量%及び残部ABS樹脂からなる樹脂塗料を
スプレー法にて塗布した後、60℃で30分間強制乾燥
を行ない、試験片を得た。
【0024】以下、実施例1と同様にして試験片を処理
した。得られためっき被膜について、外観の評価とピー
リング強度測定を行なった。その結果を第1表に示す。
【0025】実施例4 実施例1と同じ樹脂にシクロヘキサン50容量%、酢酸
エチル20容量%及び残部ABS樹脂からなる樹脂塗料
をスプレー法にて塗布した後、60℃で30分間強制乾
燥を行ない、試験片を得た。
【0026】次いで、活性化処理までは実施例1と同様
の方法で行なった。水洗後、硫酸銅12g/l 、ロッセル
塩22g/l 、水酸化ナトリウム15g/l 、α,αジピリ
ジル5mg/l及びパラホルムアルデヒド15g/l の水溶液
からなる無電解銅めっき液に25℃で15分間浸漬し、
無電解めっきを行なった。
【0027】得られためっき被膜について、外観の評価
とピーリング強度測定を行なった。その結果を第1表に
示す。
【0028】実施例5 実施例1と同じ樹脂にキシレン50容量%、酢酸エチル
20容量%及び残部ABS樹脂からなる樹脂塗料をスプ
レー法にて塗布した後、70℃で30分間強制乾燥を行
ない、試験片を得た。
【0029】以下、実施例4と同様にして試験片を処理
した。得られためっき被膜について、外観の評価とピー
リング強度測定を行なった。その結果を第1表に示す。
【0030】実施例6 実施例1と同じ樹脂にトルエン30容量%、メチルエチ
ルケトン20容量%、酢酸ブチル20容量%及び残部A
BS樹脂からなる樹脂塗料をスプレー法にて塗布した
後、60℃で30分間強制乾燥を行ない、試験片を得
た。
【0031】以下、実施例4と同様にして試験片を処理
した。得られためっき被膜について、外観の評価とピー
リング強度測定を行なった。その結果を第1表に示す。
【0032】実施例7 実施例1と同じ樹脂にトルエン30容量%、アセトン2
0容量%、酢酸エチル20容量%及び残部ABS樹脂か
らなる樹脂塗料をスプレー法にて塗布した後、70℃で
30分間強制乾燥を行ない、試験片を得た。
【0033】以下、実施例1と同様にして試験片を処理
した。得られためっき被膜について、外観の評価とピー
リング強度測定を行なった。その結果を第1表に示す。
【0034】実施例8 実施例1と同じ樹脂にシクロヘキサン30容量%、シク
ロヘキサノン30容量%、酢酸イソブチル10容量%及
び残部ABS樹脂からなる樹脂塗料をスプレー法にて塗
布した後、70℃で30分間強制乾燥を行ない、試験片
を得た。
【0035】以下、実施例1と同様にして試験片を処理
した。得られためっき被膜について、外観の評価とピー
リング強度測定を行なった。その結果を第1表に示す。
【0036】比較例1 実施例1と同じ樹脂を用い、表面を洗浄後、めっき被膜
の不必要な部分にめっはレジストを印刷した。硬化後、
実施例1と同様の処理を行ない、無電解ニッケルめっき
後にめっきレジストを除去した。得られためっき被膜に
ついて、外観の評価とピーリング強度測定を行なった。
その結果を第1表に示す。
【0037】比較例2 実施例1と同じ樹脂を用い、表面を洗浄後、めっき工程
は実施例1と同様に処理し、無電解銅めっき後にエッチ
ングレジストをめっきが必要な部分に印刷して硬化後、
印刷されていない部分のめっき被膜を硫酸−過酸化水素
水系剥液にて剥離除去した。次いで水洗後、エッチング
リジストを除去した。得られためっき被膜について、外
観の評価とピーリング強度測定を行なった。その結果を
第1表に示す。
【0038】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−6277(JP,A) 特開 平3−202478(JP,A) 特開 平1−312080(JP,A) 特開 平3−271375(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/00 - 18/54

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低密着性不導体材料上のめっきを必要とす
    る部分に塗料化されたABS樹脂を塗布し、次いで無電
    解めっきを施すことを特徴とする低密着性不導体材料の
    EMIシールド用部分めっき方法。
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