JPH10139738A - エチルアミン類の製造方法 - Google Patents

エチルアミン類の製造方法

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JPH10139738A
JPH10139738A JP8312873A JP31287396A JPH10139738A JP H10139738 A JPH10139738 A JP H10139738A JP 8312873 A JP8312873 A JP 8312873A JP 31287396 A JP31287396 A JP 31287396A JP H10139738 A JPH10139738 A JP H10139738A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】エチルアミン類の製造工程中の特にトリエチル
アミンの分離工程において、ジエチルアミンとトリエチ
ルアミンの沸点の中間の沸点を有する中間沸点成分がデ
カンターへ蓄積するのを一定範囲内に抑えること。 【解決手段】反応生成混合物からアンモニア、モノエチ
ルアミン、ジエチルアミンを分離した後、水、エタノー
ルおよびトリエチルアミンを含む混合物を第1塔で蒸留
し、塔底部からエタノールと水を排出させ、塔頂部から
留出する水、トリエチルアミン、一部エタノールを含む
留出液をデカンターで上層と下層に分液し、下層液は第
1塔へ循環し、上層液は第2塔で蒸留して塔頂からの留
出液を前記デカンターへ循環させ、塔底部からトリエチ
ルアミンを得るアミンの分離工程において、デカンター
の上層液の一部をエタノールとアンモニアの反応系へ循
環することを特徴とするエチルアミンの類製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エタノールまたは
アセトアルデヒドとアンモニアを反応させアミン類を製
造する際のエチルアミン反応粗液から、アミン類を分離
精製する工程に関するものである。
【0002】
【従来の技術】モノエチルアミン、ジエチルアミンおよ
びトリエチルアミン等のエチルアミン類を製造する方法
として、触媒を用いてアセトアルデヒド、アンモニアお
よび水素を反応させるアルデヒド法、また前記アルデヒ
ドの代わりにエチルアルコールを用いるエチルアルコー
ル法が知られている。これらの方法で得られるアミン類
の精製プロセスは、本質的には同じと言える。粗反応生
成混合物からアンモニア、モノエチルアミン、ジエチル
アミンを分離した後の、水、エタノールおよびトリエチ
ルアミン含有混合物の分離は、通常図1の実線で示した
フローで行われていた。即ち、水、エタノールおよびト
リエチルアミン含有混合物である仕込み液はラインAを
経て第1塔に供給され、この塔では塔底からエタノール
が水とともに排出される(ラインE)とともに、塔頂か
らは水との共沸でトリエチルアミン、一部エタノールが
ラインBから留出される。留出液はデカンターへ送液さ
れ、ここで上層(トリエチルアミンに富んだ層)と下層
(水層)に分液する。デカンター上層はラインDを経て
第2塔へ供給され、第2塔塔底からラインGとして粗ト
リエチルアミンを得ることが出来る。デカンター上層に
溶解している水、エタノールは第2塔の塔頂へたき上げ
られラインFを経て再びデカンターへリサイクルされる
ことで、他の中間沸点化合物と共に粗トリエチルアミン
中へ混入することを防止している。
【0003】ラインGで得られる粗トリエチルアミンは
高純度であればそのまま製品化される。また、高沸点不
純物の含有量が多い場合はさらに高沸点留分を除去して
製品化される。高沸点留分を除去する方法としては、第
2塔の塔底に近い箇所からのベーパーサイドカットによ
って製品を得ることもできる。例えば、特公昭61−2
6535号公報においては、デカンテーションで得られ
た上層液を蒸留して塔底生成物としてトリエチルアミン
を取り出し、塔頂生成物はデカンテーション装置へ戻す
ことが記載されている。また、特公平2−34937号
公報では、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エタノ
ール、水の混合物を多段液液抽出してトリエチルアミン
に富む抽出物を得ることを特徴としているが、その具体
例の説明においては、得られたトリエチルアミンに富む
抽出物は蒸留によって側流として製品化され、塔頂留分
は抽出器へ循環されている。
【0004】このように、従来のプロセスでは基本的に
はジエチルアミンとトリエチルアミンの中間に沸点を持
つような化合物については、一部は第1塔の塔底から排
出されるが、大部分はデカンター上層に蓄積していた。
このような中間沸点化合物は反応で副生するものであ
り、通常はその生成量が微量なため、例えば、トリエチ
ルアミン製造量が少ない場合やトリエチルアミン製造期
間が短い場合には、デカンターでの蓄積濃度が大きくな
らないため問題になることはない。
【0005】しかしながら、近年トリエチルアミンの需
要が急速に増加してきていることから、アミン類をトリ
エチルアミン優位で製造することが要求されている。そ
して、アミン類をトリエチルアミン優位で製造する場合
には、中間沸点成分蓄積濃度が高くなり、最終的にはデ
カンターの分液不良を引き起こしたり、分液不良を起こ
す前に、デカンター蓄積不純物が第2塔の塔底に落ちて
しまい、トリエチルアミンへの混入を引き起こすことが
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エチ
ルアミン類の製造工程中の特にトリエチルアミンの分離
工程においてジエチルアミンとトリエチルアミンの沸点
の中間の沸点を有する中間沸点成分がデカンターへ蓄積
するのを一定範囲内に抑えることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上気課題
を解決するために、鋭意検討した結果、デカンター上層
液の一部を系外に抜き取り、さらに抜き取った上層液を
反応系の反応器へ循環することで、中間沸点成分がデカ
ンターに蓄積するのを一定範囲に抑えることができるこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。従来のプロ
セスでは、デカンター上層液の抜き取りは実施されてい
なかった。すなわち本発明は、水素雰囲気下、触媒を用
いてエタノールとアンモニアを反応させて得た水、アン
モニア、エタノール、モノエチルアミン、ジエチルアミ
ンおよびトリエチルアミンを含む反応生成混合物から、
各アミンを分離するエチルアミン類の製造工程中、該反
応生成混合物からアンモニア、モノエチルアミン、ジエ
チルアミンを分離した後、水、エタノールおよびトリエ
チルアミンを含む混合物を第1塔で蒸留し、塔底部から
エタノールと水を共に排出させ、塔頂部からは水、トリ
エチルアミン、一部エタノールを留出させ、この留出液
をデカンターで上層と下層に分液し、上層液は第2塔で
蒸留して塔頂からの留出液は前記デカンターへ循環さ
せ、塔底部からトリエチルアミンを得るアミンの分離工
程において、デカンターの上層液の一部を反応系へ循環
することを特徴とするエチルアミン類の製造方法を提供
する。
【0008】デカンターに蓄積される成分は、基本的に
はジエチルアミンとトリエチルアミンの沸点の中間に沸
点を有する化合物であるが、本発明者等がデカンター組
成を分析した結果、n−ブチルアミン、セカンダリ−ブ
チルアミン、N−エチルイソプロピルアミンなどが主な
化合物であることが分かった。デカンター上層液を反応
系へ循環することで、これらの化合物はそれぞれさらに
エタノールが付加したエチルブチルアミン、ジエチルブ
チルアミン、エチルセカンダリ−ブチルアミン、ジエチ
ルイソプロピルアミンなどのより高沸点を有する化合物
に転化することが明らかになった。デカンターに蓄積す
るような中間沸点を有する化合物を反応系へ供給するこ
とで、反応器においてさらに高級アミン化もしくはアミ
ン転換反応が生じて高沸点化合物に転化することを明ら
かにし、本発明を完成したのである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の具体例を図1に基づいて説明する。尚、図1は
主要な装置の概略のみを示している。反応系(図示せ
ず)で得られた粗反応生成物からアンモニア、モノエチ
ルアミン、ジエチルアミンを分離した後の、水、エタノ
ール、トリエチルアミンおよび微量の副生物を含む仕込
み液は、ラインAを経てエタノールを除去する目的の第
1塔に供給される。ここで、微量の副生物の主なもの
は、n−ブチルアミン、セカンダリ−ブチルアミン、N
−エチルイソプロピルアミン、エチルブチルアミン、ジ
エチルブチルアミン、エチルセカンダリ−ブチルアミ
ン、ジエチルイソプロピルアミン等の化合物が挙げられ
る。
【0010】第1塔は通常、常圧、塔頂温度70〜80
℃、塔底温度95〜105℃で運転され、塔頂部から水
を仕込んで抽出蒸留することで塔底から、ほぼ全量のエ
タノールを水とともにラインEから排出する。この際、
ラインAから持ち込まれた副生物の一部も塔底から排出
される。塔底から排出されたエタノール水溶液は、次の
蒸留塔(図示せず)においてエタノールを回収され、回
収されたエタノールは反応系へ再供給される。
【0011】第1塔の塔頂留出液はラインBを経てデカ
ンターへ供給される。留出液の組成は水とトリエチルア
ミン、少量のエタノールならびに副生物の残部である。
第1塔において塔頂から仕込まれる水の量が少ないと抽
出効率が悪くなるため、エタノールの塔底からの排出量
が減少しデカンターに蓄積されてデカンターでの分液性
を悪くする。このため、一定量以上の水仕込み量が必要
となるが、仕込量が多くなると第1塔での必要加熱蒸気
量が増加するし、次工程での塔底液からエタノールを回
収するための蒸留塔においても蒸気使用量が増加して用
役使用率が悪化するため経済的ではない。従って、通常
第1塔の塔頂から仕込まれる水の量は、第1塔へ仕込ま
れる水、エタノール、トリエチルアミンおよび微量の副
生物を含む仕込み液量の約0.3〜1.0倍(重量比)
が好ましい。
【0012】デカンターでは、上層(トリエチルアミン
層)5bと下層(水層)5aに分液される。デカンター
は通常、常圧、温度50〜90℃、好ましくは60〜7
5℃で運転される。トリエチルアミンと水は約20℃以
下になると均一となることから、デカンターでの分液性
を維持しながら安定運転するためには比較的高温で運転
する必要がある。少量のトリエチルアミン、エタノール
と微量の副生物と大部分の水からなるデカンター下層液
はラインCを経て第1塔に供給して処理される。デカン
ター上層液はラインDを経て第2塔へ供給される。デカ
ンター上層液組成は、少量の水、少量のエタノールと副
生物の残部およびトリエチルアミンである。先に述べた
副生物はデカンターでは上層に多く分配されるため、そ
の大部分はラインDを経て第2塔へ供給されることにな
る。
【0013】第2塔も通常、常圧、塔頂温度80〜90
℃、塔底温度90〜100℃で運転される。第2塔の蒸
留塔の目的は、水、エタノールとトリエチルアミンを分
離することである。塔頂へは水、エタノール、副生物と
ともにトリエチルアミンがたき上げられ、ラインFによ
りコンデンサー(図示せず)を経てデカンターに供給さ
れる。塔底からは、微量の水、微量のエタノール、微量
の副生物とトリエチルアミンがラインGを経て取り出さ
れる。本蒸留塔では水、エタノール、デカンター蓄積成
分が出来るだけ塔底に落ちてこないように運転する必要
があり、蒸留塔のたき上げ量をコントロールして運転す
る。
【0014】しかしながら、デカンター上層液の抜き取
り(点線H)を実施しない場合は、デカンターに副生物
が蓄積してくる。蓄積物の濃度が上昇すれば、最終的に
は第2塔の塔底からトリエチルアミンと一緒に抜き取ら
れる副生物濃度も上昇する。ある程度の濃度までは、用
役使用率を犠牲にして蒸留塔のたき上げを増加して副生
物が塔底に落ちないように運転することが可能である
が、副生物の蓄積が無くなるわけではないので、結局副
生物は高濃度でトリエチルアミンに混入することにな
る。
【0015】これに対して、本発明における点線Hのご
とく、トリエチルアミンに富んだ組成であるデカンター
上層液の一部を反応系へ供給する場合は、中間沸点成分
である副生物は反応器でより高い沸点を有する化合物に
転化するため、デカンターへの蓄積を抑えることができ
る。ラインHからのデカンター上層液の抜き取り量は、
蒸留塔内温度を監視しながらその量を調節する。抜き取
り量が少ない場合は、副生物の蓄積により蒸留塔内温度
の低下、即ちラインG、トリエチルアミンへの副生物濃
度の増加をまねく。上層抜き取り量が多すぎる場合は、
反応系への供給量が増加するため、反応器での負荷の増
大、用役使用量の増加につながるため経済性を損なう結
果をもたらす。通常、抜き取り量は第2塔への循環量の
約10〜20重量%が好ましい。
【0016】勿論、第2塔の後工程において粗トリエチ
ルアミン精製のための脱低沸塔が設置されていれば、粗
トリエチルアミン中の副生物濃度に依らず純度の高いト
リエチルアミン製品を得ることができるのであるが、設
備費が高くなるのは避けられない。これに対して、本発
明においては単にデカンター上層液の一部を反応系へ供
給するだけでトリエチルアミン低沸不純物が除去される
ため、後工程での脱低沸塔は不要となるため経済性のメ
リットは大きい。
【0017】また、エチルアルコールの代わりに、アセ
トアルデヒドを用いるアルデヒド法によるエチルアミン
類の製造方法においても、エチルアミン類の生成物、中
間沸点成分の副生物はアルコール法の場合とほぼ同じで
ある。アセトアルデヒドは全量反応し、副生物としてエ
チルアルコールが生成することから、製造装置、アミン
類の分離についても前記のアルコール法が適用できる。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】(実施例1)図1に示す工程に従って操作
を行った。原料エタノールを180g/時の速度で供給
して得られた反応粗液から、アンモニア、モノエチルア
ミン、ジエチルアミンを分離除去した仕込み液Aを第1
塔に供給した。仕込み液Aの組成は、トリエチルアミン
(36.5重量%)(以下、%は重量%を表す)、エチ
ルアルコール(13.8%)、水(49.7%)で、そ
の流量は260g/時であった。第1塔ではエチルアル
コールを分離するため、塔頂から水650g/時を仕込
んで運転した。ラインEを経て塔底からは、エタノール
(4.4%)、水(95.6%)の混合物が815g/
時で抜き取られた。デカンター上層液(ラインH)は2
0g/時で抜き取り、反応系へ供給しながら運転した。
第2塔の塔底からは、トリエチルアミン(99.9
%)、水(0.04%)の混合物が75.5g/時で抜
き取られた。7日間運転を継続して、その間のデカンタ
ー上層の微量副生物の濃度変化を分析した結果を表1に
示す。デカンターでの副生物濃度は安定しており、副生
物の蓄積が抑えられることが分かる。
【0020】
【表1】
【0021】(比較例1)デカンター上層液(ライン
H)からの抜き取りを行わなかった以外は、実施例1と
同様に運転を実施し、同じくその間のデカンター上層液
中の微量副生物の濃度変化を分析した。結果を表2に示
した。実施例1に比べると、デカンターでの濃度が徐々
に上昇していることが分かり、高沸点化合物もほとんど
認められない。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】本発明における点線Hのごとく、トリエ
チルアミンに富んだ組成であるデカンター上層液の一部
を反応系へ供給することにより、中間沸点成分である副
生物は反応器でより高い沸点を有する化合物に転化する
ため、デカンターへの蓄積を抑えることができる。ま
た、後工程での脱低沸塔が不要となるため、経済性のメ
リットは大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエチルアミン類の製造方法に使用でき
るトリエチルアミンの分離プロセスの一例である。
【符号の説明】 1 水仕込みライン 2 水、エタノールおよびトリエチルアミン含有混合物
の仕込みライン 3 エタノール、水排出口 4 第1蒸留塔 5 デカンター 5a下層 5b上層 6 第2蒸留塔 7 上層液抜き出し口(反応系へ) 8 トリエチルアミン抜き出し口

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水素雰囲気下、触媒を用いてエタノールと
    アンモニアを反応させて得た水、アンモニア、エタノー
    ル、モノエチルアミン、ジエチルアミンおよびトリエチ
    ルアミンを含む反応生成混合物から、各アミンを分離す
    るエチルアミン類の製造に際し、該反応生成混合物から
    アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミンを分離
    した後、水、エタノールおよびトリエチルアミンを含む
    混合物を第1塔で蒸留し、塔底部からエタノールと水を
    排出させ、塔頂部から留出する水、トリエチルアミン、
    一部エタノールを含む留出液をデカンターで上層と下層
    に分液し、下層液は第1塔へ循環し、上層液は第2塔で
    蒸留して塔頂からの留出液を前記デカンターへ循環さ
    せ、塔底部からトリエチルアミンを得るアミンの分離工
    程において、デカンターの上層液の一部をエタノールと
    アンモニアの反応系へ循環することを特徴とするエチル
    アミン類の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のエタノールに代えてアセト
    アルデヒドを用いることを特徴としたエチルアミン類の
    製造方法。
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