JPH10138362A - ラジアルタイヤのシングルステージ成形機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 汎用及び高性能双方のラジアルタイヤを小額
投資の下で高能率で切替え生産し得るシングルステージ
成形機を提供する。 【解決手段】 カーカスプライ部材の主成形ドラムと、
一対のビード補強部材をカーカスプライ部材表面の両側
端部に固定係合させるロック手段と、各ビードコア部材
より外側のカーカスプライ部材部分をビード補強部材の
周りに折返す手段とを有し、折返し手段は膨張可能な内
外二段重ねの円筒状サイドブラダを主成形ドラムの両側
に備え、複動シリンダのピストンロッド先端部に着脱自
在に取付けた、外側サイドブラダの最大膨張径より小さ
な内径の硬質材円筒部を有し、複動シリンダの作動によ
り円筒部の内部に膨張した外側サイドブラダを収容して
押し動かす押圧キャン装置を主成形ドラムの両側に着脱
自在として備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ラジアルタイヤ
のシングルステージ成形機、より詳細にはグリーン（未
加硫）ケース成形からグリーン（未加硫）タイヤ成形ま
での成形作業を一貫して同じ装置で実施するタイプの成
形機に関し、特に汎用自動車用空気入りラジアルタイヤ
から高度な部材成形精度を必要とする高性能空気入りラ
ジアルタイヤに至るまで、汎用及び高性能双方のタイヤ
生産比率の変動に対し新たに多額な設備投資を必要とせ
ず、小額な設備投資で同じ装置を用い、それぞれのタイ
ヤ種に最良に適合したグリーンタイヤを成形することが
可能なラジアルタイヤのシングルステージ成形機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】空気入りラジアルタイヤ（以下ラジアル
タイヤという）の未加硫タイヤ成形機はシングルステー
ジ成形機が主流を占め、ここにシングルステージとは、
いわゆる筒状グリーン（未加硫）ケースの成形及び膨径
の作業と、膨径グリーンケースの外周にベルト未加硫部
材及びトレッドゴム未加硫部材（以降未加硫部材を単に
部材と略す）を張合せる作業とを順次同じ成形機を用い
て一段階にて実施する成形タイプを指す。この作業を工
程順に図６〜８を用いて簡単に説明する。

【０００３】図６〜図８は、グリーンケースの成形開始
からグリーンタイヤの成形完了に至る間の各部材の張合
せ及び組立てのありさまを図６、７は幅方向に２分する
平面Ｅからの右半断面により、図８は全幅断面により線
図的に簡略図解した説明図である。すなわち図６に示す
ステップ１では、インナーライナゴム部材と、ゴムチェ
ーファ部材と一体に押出したサイドウォールゴム部材と
を主成形ドラムのドラム本体（図ではドラムと記す）及
びその両側に位置するサイドブラダに巻き取り、ステッ
プ２ではステップ１が終了した部材の表面に１枚以上の
カーカスプライ部材を上記同様に巻き取り、ステップ３
では、ステップ２が終了した張合せ部材の外側所定位置
に、セットリングによりビードフィラーゴム部材とビー
ドコア部材との合体ビード補強部材を矢印の向きに移動
させ固定した状態を示す。

【０００４】図７では２通りの成形タイプＡ、Ｂに分か
れる成形方法を示し、まず成形タイプＡについては、ス
テップ４Ａでは合体ビード補強部材の半径方向内側に位
置する拡径自在なビードロック装置を図の矢印の向きに
拡径させ、これによりビードコア部材に他の各部材を押
圧して固定係合し、ステップ５Ａではステップ４Ａに示
すビードコア部材のロック状態を保持した上でグリーン
ケース内部に低圧ガス（空気）を供給してこれを膨張さ
せると同時にドラム本体の両側に位置する内外二段重ね
円筒状サイドブラダのうち、まず外側サイドブラダに加
圧ガス（加圧空気）を導入して半径方向に膨張させ、ビ
ードコア部材より外側に位置する各部材を合体ビード補
強部材の周りに折曲げ、ステップ６Ａで内側サイドブラ
ダに加圧ガスを導入して半径方向に膨張させることによ
り外側サイドブラダを２分平面Ｅ側に押圧して折返しを
完成させる。この種の折返し形式は二重ブラダタイプと
呼ばれる。

【０００５】次に成形タイプＢについては、ステップ４
Ｂ、５Ｂは円筒状サイドブラダを一個とする他はステッ
プ４Ａ、５Ａと同じであり、ステップ６Ｂではドラム本
体の両側で待機していた押圧キャン装置の硬質、例えば
金属製円筒部を膨張したサイドブラダに向け矢印の方向
に移動させ当接させた後、さらに平面Ｅに向け移動を継
続させ、これによりサイドブラダはその一部を円筒部内
部に収容されながら平面Ｅに向け強制移動させられる結
果、膨張サイドブラダは半径方向内側に向く押圧力を発
生し、この押圧力により折返しを完遂させる。この種の
折返し形式はキャンタイプと呼ばれる。

【０００６】最後に図８では、ステップ６Ａ又は６Ｂの
何れかを経て完成したグリーンケースにベルト部材とト
レッドゴム部材とからなるトップ部材を適用してステッ
チング作業を施し、グリーンタイヤを完成させるステッ
プ７〜９を説明するものであり、まずステップ７では、
一対のビードロック装置を互いに矢印の向きに幅寄せさ
せ一対のビードコア部材相互間の間隔を狭めつつグリー
ンケースの内部に所定圧力の加圧ガス（加圧空気）を充
てんし、グリーンケースをトロイド状に膨張させ、その
外周に別途の副成形ドラムで環状に成形したトップ部材
をＯ（オー）リングと呼ばれる把持搬送装置により矢印
方向に搬送し位置合せした上でベルト部材内周面とグリ
ーンケース外周面とを粘着させる。

【０００７】ステップ８では一対の回転自在なステッチ
ングロールによりトップ部材を全体にわたりグリーンケ
ースに密着張合せてグリーンタイヤを完成させ、そして
ステップ９で、グリーンタイヤ内部に充てんしたガスを
排気しビードロック装置のロックリングを縮径して、把
持搬送装置によりグリーンタイヤを取り出す。上述した
ステップ１〜ステップ９までを同じ成形機により実施す
る装置を、シングルステージ成形機と呼んでいる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ラジアルタイヤの成形
ステップ１〜９は何れも製造品質に大きな影響を及ぼす
のは勿論であり、なかでも図７に図解したステップ４Ａ
〜６Ａ、４Ｂ〜６Ｂの折返し作業は製品タイヤ品質に殊
更に重要な影響を及ぼし、汎用ラジアルタイヤでは製作
コストで有利な二重ブラダタイプが採用される一方、高
性能ラジアルタイヤは二重ブラダタイプに比しより高精
度な折返しが可能なキャンタイプを使用する必要があ
る。

【０００９】しかしキャンタイプのシングルステージ成
形機は製作費用が二重ブラダタイプに比し著しく高価と
なるため、必要最小限度の機数に抑えるのは当然である
ところ、生産状況が週間乃至月間で大きく変動する現状
では、ときに高性能ラジアルタイヤの生産量増加を必要
とする場合が生じたとき、キャンタイプ成形機を新たに
調達しなければならず、そのためには莫大な投資費用を
要する上に長期間を要し、間にあわぬとなれば既存の二
重ブラダタイプ成形機に高額な改造費用と多大な工数と
を掛けても対処する必要があった。さらに最近は高性能
ラジアルタイヤの需要が増大する傾向を示しているた
め、この種のタイヤの成形に不適合な二重ブラダタイプ
成形機をキャンタイプに改造する必要に迫られている。

【００１０】従って、この発明の請求項１乃至５に記載
した発明は、小額の投資費用で、かつ高度な切替え効率
で、汎用ラジアルタイヤと高性能ラジアルタイヤとの生
産比率の変動に対し機敏に対応することが可能なラジア
ルタイヤのシングルステージ成形機を提供することを目
的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の請求項１に記載した発明のラジアルタイ
ヤのシングルステージ成形機は、ラジアルカーカスプラ
イ部材を筒状に巻き取る回転自在な主成形ドラムと、一
対の、ビードフィラーゴム部材とビードコア部材との合
体ビード補強部材をビードコア部材の内周面側で、筒状
カーカスプライ部材表面の両側端部の所定位置に固定係
合させる合体ビード補強部材ロック手段と、各ビードコ
ア部材より外側に位置するカーカスプライ部材部分をそ
れぞれ合体ビード補強部材の周りに折返すカーカスプラ
イ部材折返し手段と、主成形ドラムを挟み該ドラムの回
転駆動部側と対向して位置し、ベルト部材及びトレッド
ゴム部材の少なくとも一方の部材を巻き取る回転自在な
副成形ドラムとを有するラジアルタイヤのシングルステ
ージ成形機において、上記カーカスプライ部材折返し手
段は、加圧ガスの注入によりそれぞれ膨張可能な内外二
段重ねの円筒状サイドブラダを主成形ドラムの両側に備
え、かつ複動シリンダと、そのピストンロッド先端部に
着脱自在に取付けた、上記外側サイドブラダの最大膨張
径に比しより小さな内径をもつ硬質材円筒部とを有し、
複動シリンダの作動により円筒部の内部に膨張した外側
サイドブラダを収容して押し動かす押圧キャン装置を主
成形ドラムの回転軸心方向両側に着脱自在として備え、
これにより内外二段重ねの円筒状サイドブラダの膨張に
よるカーカスプライ部材折返しと、外側サイドブラダの
膨張と押圧キャン装置の円筒部移動との連携動作による
カーカスプライ部材折返しとの何れかを選択自在として
成ることを特徴とする。

【００１２】ここで図６を参照して、ステップ１、２に
図解したように、主成形ドラムに最初に各種ゴム部材を
筒状に巻き取った上に一枚以上の所定枚数のカーカスプ
ライを筒状に巻き取るのは慣例に従うものとし、またス
テップ３に示すようにビードコア部材はカーカスプライ
の端縁より２分平面Ｅ側に位置させ、図７に図解した折
返し部分にカーカスプライの少なくとも１枚は含めるも
のである。

【００１３】さてこの折返し動作を行う二段重ね円筒状
サイドブラダ（以下二重サイドブラダという）は非作動
時に円筒状をなすもので、加圧ガス充てんにより主とし
て半径方向外側に向け膨張する、ゴムを主体とする弾性
体からなり、それ故外部からの強力な力の作用により変
形自在である。この外部からの力の作用は、成形タイプ
Ａの場合は内側サイドブラダの膨張により、成形タイプ
Ｂの場合は２分平面Ｅに向かう、押圧キャン装置の硬質
材円筒部、通常は金属円筒部である。

【００１４】折返しに際し特にビードコア部材周りのカ
ーカスプライの締め付け状態が十分緊密であるか又はや
や緩めであるかにより、製品時のカーカスプライの折返
し高さ精度に差が生じ、この点に関し二重サイドブラダ
それぞれが加圧ガスの膨張により剛性を増したとはい
え、金属円筒部と膨張した外側サイドブラダとの連係動
作による締め付けがより一層緊密となる点で押圧キャン
装置が有利である。このことが高性能ラジアルタイヤに
対するキャンタイプの適用を必要とする所以である。

【００１５】この発明の請求項１に記載した発明によれ
ば、二重サイドブラダタイプの折返し手段は常時備える
ものとして、これを汎用ラジアルタイヤの成形に適用す
る一方、主成形ドラムの両側に着脱自在に取付け可能な
押圧キャン装置を別途準備しておき、これを高性能ラジ
アルタイヤの成形時に取付ければ高精度な折返しが可能
となる。従って莫大な費用を要するキャンタイプのシン
グルステージ成形機を新規に製作せずとも、また二重サ
イドブラダタイプの成形機に多額な改造費用と長期間に
わたる改造期間とを要せずに、小額の投資費用で、僅か
な取付け、取外し時間で汎用及び高性能ラジアルタイヤ
の作り分けが可能となる。

【００１６】押圧キャン装置の簡便かつ高精度な成形機
への装着を可能とさせるため、請求項２に記載した発明
のように、押圧キャン装置の一方は、上記副成形ドラム
の回転軸を中空円筒としたその中空部にピストンロッド
を通して副成形ドラムの回転軸支持体に、押圧キャン装
置と副成形ドラムとの各中心軸線を合せるインローを介
して着脱自在とし、押圧キャン装置の他方は、主成形ド
ラムの回転駆動側の回転軸支持体に、押圧キャン装置と
主成形ドラムとの各中心軸線を合せる心出し案内ピンを
介して着脱自在とする。

【００１７】主副成形ドラムそれぞれの中心軸線を合せ
るのは勿論であり、よって押圧キャン装置の円筒部の中
心軸線も上記中心軸線に合せる必要があり、よって主成
形ドラムの回転駆動側の押圧キャン装置は、主成形ドラ
ムの回転軸支持体に容易かつ簡便に着脱自在に取付け可
能とした上で中心軸線合せを、請求項３に記載した発明
のように、２個の複動シリンダと、２本のガイドロッド
と、該ガイドロッドのそれぞれと摺動自在に係合する少
なくとも一対のブロックと、上記２個の複動シリンダと
２本のガイドロッドとのそれぞれに連結可能な円筒部と
を有し、かつこの押圧キャン装置は、各複動シリンダ及
び各ブロックそれぞれを主成形ドラムの回転軸支持体に
案内ピンの案内に従って固着した後、円筒部を各複動シ
リンダと各ガイドロッドとに連結する組立て分解構成と
する。

【００１８】また、押圧キャン装置の円筒部はタイヤの
各種サイズ、すなわち各種の主成形ドラムに対応可能と
するのが有利であるから、請求項４に記載した発明のよ
うに、一対の押圧キャン装置の円筒部は、先端部分と複
動シリンダのピストンロッドに連結する後端部分とを有
し、先端円筒部分を交換自在とするのが望ましく、これ
により短時間でのサイズ切替えに対応することができ
る。

【００１９】さらに副成形ドラムはベルト部材及びトレ
ッドゴム部材の少なくとも一方を巻き取ってバンド状と
するため回転自在とする一方、このドラム側に着脱自在
に取付ける押圧キャン装置は非回転とする必要があるの
で、請求項５に記載した発明のように、中空円筒回転軸
を有する副成形ドラムは、回転軸内部を軸支する一対の
軸受と、該軸受の内周面を固定して一方端を支持体に固
着した円筒とを介し支持体に連結するのが望ましい。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態の一
例を図１〜図５に基づき詳細に説明する。図１はこの発
明によるシングルステージ成形機１の概要を示す斜視図
であり、図１において、２は二重ブラダタイプの主成形
ドラム、３は主成形ドラム２を回転させる駆動装置、４
は主成形ドラム２の回転駆動軸、５は回転駆動軸４の支
持体であり、５ａは駆動装置３側の支持体部分、５ｂは
主成形ドラム２側の支持体部分である。

【００２１】主成形ドラム２を挟み駆動装置３と対向す
る側に、複数層のコード層よりなるベルト部材及びトレ
ッドゴム部材の少なくとも一方部材を、製品タイヤに近
い円周長さをもつリング状に巻き取る副成形ドラム６
と、副成形ドラム６を支持する支持体７と、副成形ドラ
ム６上に巻き取ったベルト部材とトレッドゴム部材の合
体トップ部材又はベルト部材のみ、トレッドゴム部材の
みを、縮径状態で把持し膨張したグリーンケースに適用
するトップ部材把持移動装置８とが位置する。副成形ド
ラム６を通り主成形ドラム２を経て回転駆動軸４に至る
直線Ｘはそれぞれの中心軸線である。

【００２２】トップ部材把持移動装置８は送りねじ９の
正回転駆動により主成形ドラム２の所定位置まで移動可
能であり、図示の位置は送りねじ９の逆回転駆動により
トップ部材を把持する待機位置にある。

【００２３】図１の上方左右に成形機１から取り外した
状態の押圧キャン装置２０、３０を示す。主成形ドラム
２駆動側に着脱自在に取付ける内側押圧キャン装置２０
は、中心軸線Ｘを挟む両側に一対の複動シリンダ２１
と、複動シリンダ２１それぞれのピストンロッドの先端
部に取付けた円筒部２２と、複動シリンダ２１を固定す
る固定具２３と、円筒部２２に連結し、少なくとも一対
（図示例は二対）のすべり軸受２４に軸受され中心軸線
Ｘ方向に移動自在な一対のガイドロッド２５とを備え
る。図示の円筒部２２はピストンロッドの先端部に取付
ける後端部分２２ａと、この後端部分２２ａに連結した
先端部分２２ｂとに分けた例である。

【００２４】副成形ドラム６側に着脱自在に取付ける外
側押圧キャン装置３０は、１個の複動シリンダ３１と、
そのピストンロッド３２の先端部に取付けた円筒部３３
とを備え、図示の円筒部３３はピストンロッド３２の先
端部に取付ける後端部分３３ａと、この後端部分３３ａ
に連結した先端部分３３ｂとに分けた例である。これら
内側及び外側押圧キャン装置２０、３０の成形機１本体
に対する取付けは中心軸線Ｘを回転軸線Ｘに合せるよう
に図示の矢印に従うが、これは以降の図２〜図５に基づ
き詳細に述べるとして、内側押圧キャン装置２０の取付
け位置のみを駆動装置３側の支持体部分５ａ、５ｂに破
線の囲みＰ、Ｑ、Ｒで示す。

【００２５】図２は装着前の内側押圧キャン装置２０の
側面と、主成形ドラム２の回転軸支持体５（５ａ、５
ｂ）及び駆動装置３の側面とを合せ示す取付け説明図で
あり、図３は図２に示す矢印III 方向から見た内側押圧
キャン装置２０の回転軸支持体５への取付け説明図であ
り、図４は図２に示す矢印IV方向から見た内側押圧キャ
ン装置２０の回転軸支持体５への取付け説明図である。

【００２６】図２〜図４を合せ参照して、一対の複動シ
リンダ２１の固定具２３は支持体５ａ、５ｂに固着した
４個の案内ピン２６と嵌まり合う穴２６ｈを有し、案内
ピン２６に穴２６ｈを係合させる心出しの下で位置Ｐ、
Ｑに固定具２３を取付けねじなどにより固定することに
より一対の複動シリンダ２１を支持体５ａ、５ｂに着脱
自在に固定する。取付けねじに対してタップ穴を設ける
のがよい。

【００２７】一方では一対のガイドロッド２５を摺動自
在に軸支する二対のブロック、この例ではすべり軸受２
４、２４ａのうち軸受２４は支持体５ａに設けた少なく
とも１個の案内ピン２７と隙間なく嵌まり合う穴を有
し、軸受２４ａは支持体５ｂに設けた少なくとも１個の
案内ピン２８と嵌まり合う穴を有し、案内ピン２７、２
８とこれらに嵌まり合う穴とが連係して軸受２４、２４
ａの心出しを行い、この心出しの下で軸受２４、２４ａ
を位置Ｒ、Ｓと図示を省略した位置（図２の左側矢印が
向かう表面位置）に残余の穴を介し取付けねじなどによ
り支持体５ａ、５ｂに着脱自在に固定する。取付けねじ
を受ける位置にタップ穴を設けるのが簡便である。なお
図２では支持体５ａ部分の図の反対側の固定具２３（図
３の右側固定具）の取付け位置Ｓを破線で一緒に示して
いる。

【００２８】複動シリンダ２１と、すべり軸受２４、２
４ａに係合する一対のガイドロッド２５とを個別に支持
体５ａ、５ｂに固定した後に円筒部２２の後端部分３２
ａを一対の複動シリンダ２１のピストンロッドと、一対
のガイドロッド２５とに連結する。その結果円筒部２２
の中心軸線は心出しした複動シリンダ２１とすべり軸受
２４、２４ａとにより確保することができ、かつ案内ピ
ン２６、２７、２８を設けることにより押圧キャン装置
２０の支持体５ａ、５ｂに対する装着は容易で短時間で
済む。以上述べた通り内側押圧キャン装置２０は一体物
ではなく、各構成部分に分けて準備しておく。

【００２９】次に図５は副成形ドラム６を支持する支持
体７の側面と、支持体７に装着直前の外側押圧キャン装
置３０の側面とを合せ示す取付け説明図である。外側押
圧キャン装置３０の複動シリンダ３１を図の矢印Ｖの方
向に進め、複動シリンダ３１は、その前方取付け部３１
ａと支持体７との間で、取付け部３１ａ先端部に設けた
心出し突出部３１ｂと、これを受け入れる支持体７の凹
部７ａとが形成するインロウ嵌め合いにより、副成形ド
ラム６の回転軸心Ｘと複動シリンダ３１の中心軸線とを
合せて支持体７に装着する。

【００３０】副成形ドラム６は中空回転円筒軸１４に固
着し、該回転円筒軸１４と支持体７に固着した固定円筒
軸１５との間に一対のころがり軸受１６を設け、副成形
ドラム６は回転駆動装置１３の駆動により回転自在であ
る。そのとき固定円筒軸１５の先端部に複動シリンダ３
１のピストンロッド３２を軸支するメタルブッシュ３４
を配設し、これによりより正確な心出しを可能とし、か
つ長いピストンロッド３２の撓みを最小限度に抑制す
る。

【００３１】複動シリンダ３１をインロウ嵌め合いを介
し支持体７に取付けた後、ピストンロッド３２の先端部
３２ａにスリーブ３３ｓを挿入して円筒部３３を装着す
る。そのとき円筒部３３のゆるみ止めピン（図示省略）
をスリーブ３３ｓに打ち込む。円筒部３３は先の円筒部
２２と同様に後端部分３３ａと、この後端部分２２ａに
連結自在な先端部分３３ｂとで構成するのが望ましく、
サイズの大小に応じて先端部分３３ｂを交換可能とす
る。

【００３２】以上述べたように、内外側押圧キャン装置
２０、３０は円筒部２２、３３とその他の部分とに分け
てシングルステージ成形機１の本体と別途に準備してお
き、あるときは二重ブラダで折返し作業を実施し、必要
に応じて簡便かつ僅かな装着時間で押圧キャン装置２
０、３０を取付けて外側ブラダとの連係動作でキャンタ
イプの折返し作業を実施することができ、この逆も全く
同様である。また円筒部２２、３３の先端部分２２ｂ、
３３ｂを交換可能とすれば多種のタイヤサイズに適用可
能である。

【００３３】グリーンケース及びグリーンタイヤの成形
ステップは図６、図７の成形タイプＡ又は成形タイプＢ
の両者及び図８に従い、唯一異なる点は図７に示す成形
タイプＢの場合でも内外二段重ねサイドブラダを備え、
キャンタイプ折返しの場合に内側サイドブラダを膨張さ
せない点である。これにより図７の図解した成形タイプ
Ａ又は成形タイプＢの両者を自在に選択することがで
き、よってシングルステージ成形機に対する投資を削減
可能であり、しかも汎用タイヤと高性能タイヤの生産比
率の変動に速やかに対応可能である。二次的効果として
成形機をコンパクト化することができる。

【００３４】

【実施例】乗用車用ラジアルタイヤのシングルステージ
成形機についての実施例では、内外押圧キャン装置２
０、３０の製作費用と、従来の二重ブラダタイプのシン
グルステージ成形機の改造費用とを合せた投資額は従来
タイプの改造費用の約１／３で済むことを確かめ、改造
工期も同様に従来の１／３で十分であった。

【００３５】

【発明の効果】この発明の請求項１〜５に記載した発明
によれば、二重ブラダタイプの主成形ドラムを備えるシ
ングルステージ成形機に組み立て式内外押圧キャン装置
を容易に着脱自在とする構成を有するので、小額の投資
費用で汎用ラジアルタイヤと高性能ラジアルタイヤとの
生産比率の変動に対し機敏に対応することが可能なラジ
アルタイヤのシングルステージ成形機を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明によるシングルステージ成形機の斜視
図である。

【図２】図１に示す成形機の主成形ドラム駆動側の側面
図である。

【図３】図２に示す主成形ドラム駆動側の矢印III から
見た背面図である。

【図４】図２に示す主成形ドラム駆動側の矢印IVから見
た正面図である。

【図５】図１に示す成形機の副成形ドラム駆動側の側面
図である。

【図６】シングルステージ成形機によるグリーンケース
前半の成形ステップの説明図である。

【図７】図６に示すグリーンケース後半の成形ステップ
の説明図である。

【図８】図７に示すグリーンケースからのグリーンタイ
ヤ成形ステップの説明図である。

【符号の説明】

１ シングルステージ成形機 ２ 主成形ドラム ３ 回転駆動装置 ４ 主成形ドラムの回転軸 ５ 支持体 ６ 副成形ドラム ７ 支持体 ７ａ インロウ凹部 ８ トップ部材把持移動装置 ９ 送りねじ １０ ベッド １３ 回転駆動装置 １４ 中空回転円筒軸 １５ 固定円筒軸 １６ ころがり軸受 ２０ 内側押圧キャン装置 ２１ 複動シリンダ ２２ 円筒部 ２２ａ 円筒部後端部分 ２２ｂ 円筒部先端部分 ２３ 固定具 ２４、２４ａ すべり軸受 ２５ ガイドロッド ２６、２７、２８ 案内ピン ３０ 外側押圧キャン装置 ３１ 複動シリンダ ３１ａ 取付け部 ３１ｂ インロウ心出し突出部 ３２ ピストンロッド ３２ａ ピストンロッド先端部 ３３ 円筒部 ３３ａ 円筒部後端部分 ３３ｂ 円筒部先端部分 ３３ｓ スリーブ ３４ メタルブッシュ Ｘ 回転軸心

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ラジアルカーカスプライ部材を筒状に巻
   き取る回転自在な主成形ドラムと、 一対の、ビードフィラーゴム部材とビードコア部材との
   合体ビード補強部材をビードコア部材の内周面側で、筒
   状カーカスプライ部材表面の両側端部の所定位置に固定
   係合させる合体ビード補強部材ロック手段と、 各ビードコア部材より外側に位置するカーカスプライ部
   材部分をそれぞれ合体ビード補強部材の周りに折返すカ
   ーカスプライ部材折返し手段と、 主成形ドラムを挟み該ドラムの回転駆動部側と対向して
   位置し、ベルト部材及びトレッドゴム部材の少なくとも
   一方の部材を巻き取る回転自在な副成形ドラムとを有す
   るラジアルタイヤのシングルステージ成形機において、 上記カーカスプライ部材折返し手段は、加圧ガスの注入
   によりそれぞれ膨張可能な内外二段重ねの円筒状サイド
   ブラダを主成形ドラムの両側に備え、かつ複動シリンダ
   と、そのピストンロッド先端部に着脱自在に取付けた、
   上記外側サイドブラダの最大膨張径に比しより小さな内
   径をもつ硬質材円筒部とを有し、複動シリンダの作動に
   より円筒部の内部に膨張した外側サイドブラダを収容し
   て押し動かす押圧キャン装置を主成形ドラムの回転軸心
   方向両側に着脱自在として備え、 これにより内外二段重ねの円筒状サイドブラダの膨張に
   よるカーカスプライ部材折返しと、外側サイドブラダの
   膨張と押圧キャン装置の円筒部移動との連携動作による
   カーカスプライ部材折返しとの何れかを選択自在として
   成ることを特徴とするラジアルタイヤのシングルステー
   ジ成形機。
2. 【請求項２】 押圧キャン装置の一方は、上記副成形ド
   ラムの回転軸を中空円筒としたその中空部にピストンロ
   ッドを通して副成形ドラムの回転軸支持体に、押圧キャ
   ン装置と副成形ドラムとの各中心軸線を合せるインロー
   を介して着脱自在とし、押圧キャン装置の他方は、主成
   形ドラムの回転駆動側の回転軸支持体に、押圧キャン装
   置と主成形ドラムとの各中心軸線を合せる心出し案内ピ
   ンを介して着脱自在として成る請求項１に記載した成形
   機。
3. 【請求項３】 主成形ドラムの回転駆動側の押圧キャン
   装置は、２個の複動シリンダと、２本のガイドロッド
   と、該ガイドロッドのそれぞれと摺動自在に係合する少
   なくとも一対のブロックと、上記２個の複動シリンダと
   ２本のガイドロッドとのそれぞれに連結可能な円筒部と
   を有し、かつこの押圧キャン装置は、各複動シリンダ及
   び各ブロックそれぞれを主成形ドラムの回転軸支持体に
   案内ピンの案内に従って固着した後、円筒部を各複動シ
   リンダと各ガイドロッドとに連結する組立て分解構成に
   成る請求項１又は２に記載した成形機。
4. 【請求項４】 一対の押圧キャン装置の円筒部は、先端
   部分と複動シリンダのピストンロッドに連結する後端部
   分とを有し、先端円筒部分を交換自在として成る請求項
   １、２又は３に記載した成形機。
5. 【請求項５】 中空円筒回転軸を有する副成形ドラム
   は、回転軸内部を軸支する一対の軸受と、該軸受の内周
   面を固定して一方端を支持体に固着した円筒とを介し支
   持体に連結してなる請求項１に記載した成形機。