JPH10138292A - 成形品の製造方法及び同方法により製造された成形品 - Google Patents

成形品の製造方法及び同方法により製造された成形品

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JPH10138292A
JPH10138292A JP9300996A JP30099697A JPH10138292A JP H10138292 A JPH10138292 A JP H10138292A JP 9300996 A JP9300996 A JP 9300996A JP 30099697 A JP30099697 A JP 30099697A JP H10138292 A JPH10138292 A JP H10138292A
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resin
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和治 安田
Peter Stewart Alan
スチュワート アラン ピーター
Michael John Bevis
ジョン ベビス マイケル
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Brunel University
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各層の肉厚等の高次構造が制御された多層成
形品の提供。 【解決手段】 二種またはそれ以上の材料の溶融物を順
次キャビティ部分に充填して金型内でその一部分を固化
させて前記多重層構造を構成させるにあたり、第一の工
程として一の溶融材料をキャビティ部分に充填し、充填
した溶融材料のうちの金型面に接する部分を所定の厚さ
に固化させ第一の層を形成せしめ、第二の工程として別
の溶融材料を該キャビティに充填し、前記第一の溶融材
料の未固化部分をキャビティ外に押し出し、次いで第二
の溶融材料の一部を金型近傍より冷却固化させ第二の層
を形成せしめ、以下上記第二の工程と同様の操作を順次
繰返す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高次構造が制御され
た多層成形品を提供する成形方法、特に熱可塑性樹脂を
用いた射出成形方法に関する。また本発明は、多機能、
高機能性を有する成形品、特に射出成形品に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性樹脂の射出成形は、一般
に熱可塑性樹脂の可塑性を利用して金型内で樹脂混合物
を成形することを特徴とする技術に向けられたものであ
る。熱可塑性樹脂は溶融され、金型内に射出され、しか
る後に静的保圧下で金型内で冷却、固化され所望の成形
品を得ていた。近年、様々な要求特性に対し数多くの熱
可塑性樹脂が上市されている。
【0003】しかしながら更に多種多様の機能を有する
成形品が求められるに当たり、単一の材料では要求に対
応できない場合も生じている。このような問題に対し、
樹脂加工の分野では種々の樹脂の特性を生かした多層成
形、例えば押し出し成形における共押し出し、フィルム
成形におけるラミネート成形、ブロー成形における多層
ブロー成形などが多機能特性を満足させるための方法と
して開発されている。また射出成形の分野では、2種類
の樹脂を異なった二つのシリンダーで可塑化し、単一の
スプルー、又はランナーを介して両者の樹脂を同時に射
出充填し、二層成形品を作成するサンドイッチ成形法が
用いられている。また、一亘金型内で成形した成形品
を、別の型に移し、しかる後別異の樹脂と複合成形する
といった二色成形方法も用いられている。また金属材
料、フィルム等を射出成形以外の方法で作成し、これを
金型内に挿入しておき、この挿入物と金型との間に形成
されたキャビティに溶融樹脂を充填させてこれと複合成
形するといったインサート成形法も用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述の多層押し出し
や、多層ブロー、多層フィルム成形法では、複雑な形状
を有する成形品を作成するには限界があり、成形品も平
板、中空品、フィルム等と限定される。一方サンドイッ
チ成形は、射出成形本来の生産性は維持されるが、二種
類の樹脂を同方向に流動させて二層成形品を作成するた
めにスキン層とコア層の肉厚制御をうまく行うために高
度な技術を必要とし、また制御良く多層化させるために
使用できる材料の組み合わせにも大きな制約がある。一
般にスキン層が均一なサンドイッチ成形品を作成するに
は両樹脂の流動性の調整が必要で、流動性の極端に異な
る材料同士を多層化する事は困難である。更にサンドイ
ッチ成形では、二層成形品の製造は可能であるが、三層
以上の成形品を作成することは困難である。またインサ
ート成形では、上述のサンドイッチ成形のように材料の
組み合わせには大きな制約はないが、金型が複数個必要
であったり、金型内に予め作成しておいた材料をインサ
ートしなければならないといった手間がかかるため、生
産性の面からは、通常の射出成形や、サンドイッチ成形
に比べ劣る。また一般に成形品は二層成形品であり、三
層以上のものを作るとなるとその分だけ金型と手間が必
要となるため実用性に乏しいのが現状である。
【0005】通常の射出成形法では、可塑性材料の溶融
物は、一箇所の樹脂供給点から金型内に射出され、次い
で該単一供給点にはかなりの充填力がかけられることに
なる。
【0006】英国特許第2、170、142号明細書、
特公平4−3893号公報には、金型内に充填された溶
融材料にせん断力を固化過程においてかけるといった方
法が開示されている。この技術を用いれば、成形品内部
のミクロレベルの構造をかなり制御でき、成形品の機械
的特性を向上させることが可能となる。確かにこの技術
を用いれば、成形品内部のミクロモルフォロジーを制御
するのに有効であり、溶融樹脂の結合部に形成されるウ
エルドラインの強度を向上させたり、厚肉成形品のひけ
を解消するには大きな効果をもたらしている。しかしな
がら、この方法の場合には、金型内で異なる樹脂にせん
断力を加えて異なる材料からなる多層成形品を得るとい
った事はなされておらず、また簡単にはできなかった。
【0007】また相異なる二種の樹脂を同方向に流動さ
せて多層品を得るサンドイッチ成形においては、溶融樹
脂に周期的な充填力を作用させ、ひけ等を防ぐといった
技術が欧州特許公開第0191623号公報に開示され
ているが、これによっても各層の肉厚が制御された多層
成形品を得ることはなかなか困難であった。
【0008】樹脂混合物が早期に固化してしまう事を防
止する方法として金型温度を上げることがこれまで提案
されてきた。しかしながら、金型温度を上げると一般に
冷却時間が長くかかったり、完全に固化する前に金型か
ら取り出されたり、非常に寸法精度の悪い成形品が得ら
れるといった結果を生ずることがある。そこで、実際の
成形では、これらの矛盾した二つの条件の中で妥協した
温度が選択される。これらの問題を解決する一つの効果
的な射出成形技術として高周波誘導加熱を用いて金型表
面を予め加熱するといった方法が、特公昭58−405
04公報、英国特許第2、081、171号明細書では
提案されている。
【0009】しかしこの方法では成形品のスキン層は制
御できるが、成形品内部のミクロ構造を制御する事は困
難であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、高次構造
が制御された多層成形品を得る成形方法を提供すること
にあり、また、高次構造が制御された多層成形品を提供
する事にもある。
【0011】即ち本発明は、まず金型のキャビティに充
填させ次いで第一の溶融材料の一部金型表面から冷却固
化させながら第二の溶融材料を金型に充填させて、これ
により第一の材料を金型内で溶融させたままにしてお
き、次いで該材料の一部を金型近傍より順次固化させる
ことにより、二種類又はそれ以上の溶融材料をそれぞれ
金型の製品を形成させるべきキャビティ部分に異なる注
口より時間差を設けて充填し、多層化された成形品を得
ることを特徴とする成形方法を提供するものである。
【0012】好ましくは、二種またはそれ以上の異なる
材料からなり、各材料から形成された層が多重層構造を
構成してなる成形品の製造方法において、各独立した容
器(図示せず)に貯蔵されている前記二種またはそれ以
上の異なる材料の溶融物を順次金型のキャビティ部分に
充填して金型内でその一部分を固化させて前記多重層構
造を構成するにあたり、第一の工程として一の溶融材料
をキャビティの一端(例えば図3の21)からキャビテ
ィ部分に充填し、充填した溶融材料のうちの金型面に接
する部分を所定の厚さに固化させ第一の層を形成せし
め、第二の工程として別の溶融材料をキャビティの他の
一端(例えば図3の22)から該キャビティに充填し、
前記第一の溶融材料の未固化部分をキャビティ外に押し
出し、次いで第二の溶融材料の一部を金型近傍より冷却
固化させ、以下、所望の多重層を構成するまで前記第二
の工程と同様の操作を順次繰返すことを特徴とする前記
方法が提供される。例えば、二種類の樹脂をそれぞれの
シリンダー内で可塑化溶融し、それぞれの得られた溶融
樹脂を独立したスプルー、又はランナーを介して金型内
に充填する。この時金型内に充填される二種類の樹脂が
成形品のランナー又はスプルー部で結合するように射出
条件を設定する。即ち、成形品表面に生成するウエルド
ラインは、成形品の製品部分ではないランナーまたはス
プルー部分に位置するように成形を行う。このとき金型
に接する樹脂は直ちに冷却固化しスキン層を形成し、こ
のスキン層が最終的に得られる多層成形品の最外層であ
る第一層を形成する。次いで第二の層を形成させるため
に、さらに別異の溶融樹脂に金型内の製品部に該樹脂が
到達するような推進力を与えて金型キャビティを充填
し、その際に、好ましくは、それと同時に金型内に残っ
ている第一層形成に使用した未固化の溶融樹脂を、最初
に充填された方向と逆向きに移動するような負の推進力
を与える。このとき金型に充填された樹脂は、金型に近
い領域、即ち外側より固化し、第二層を形成する。更に
第二層の樹脂充填によって第一層の樹脂の供給部側に戻
された第一の溶融樹脂に、再び金型内の製品部に該樹脂
が到達するような推進力を与え、好ましくは、それと同
時に第二層を形成させるために金型内に充填された未固
化の溶融樹脂が、充填された方向と逆向きに移動するよ
うな負の推進力を与える。このとき金型に充填された樹
脂は、金型に近い領域、すなわち外側より固化し、第三
層を形成する。期待する特性発現のため該操作を更に繰
り返し、より多層の所望の物品を作製しても良い。最後
にこのようにして形成された物品の中心部分まで固化さ
せ、離型により所望の物品を得る事ができる。
【0013】本発明において溶融材料を金型内で往復運
動させるに際しては、キャビティ中における複数の領域
において溶融材料に周期的な力を加えることによってせ
ん断力を溶融材料に与える。この場合、このような少な
くとも二つの領域間の溶融樹脂にせん断力が発生するよ
うに、そのような少なくとも二つの異なった領域に与え
られる周期的な力には差をつける。
【0014】このような力の周期の一つが他の力の周期
の整数倍の場合、本発明の方法の好ましい特徴によれ
ば、溶融樹脂の少なくとも二つの領域にかかる周期的な
力は交互に作用(例えば180度の位相差をつけて作
用)させたほうがよい。
【0015】例えばこの周期的な力を発生させるのにピ
ストンを用いる場合、そのピストンが溶融成形材料を圧
縮するときの力は正の力であり、膨張させるときの力は
負の力である。本発明の好ましい態様によれば、本成形
法では一般的に使用されているよりも実質的に大きな
力、約4820bar(70,000p.s.i.)、
典型的には2750barから5520bar(40,
000p.s.i.から80,000p.s.i.)に
してもよい。
【0016】周期的な力は、制御された冷却と所望の効
果、例えば所望の多重層構造や配向性が得られるのに必
要な最低の時間適用される。これは金型キャビティの寸
法と成形材料組成物の特性により定まる。
【0017】また溶融成形材料を固化させる直前に周期
的な力を同位相で加え、金型キャビティに補助的な充填
力を与えてもよい。
【0018】金型内の溶融材料に往復運動を与えるせん
断力制御装置のその他の詳細は、英国特許第21701
42号明細書、特公平4−3893公報に開示されてい
るが、その内容は参照することにより本明細書中に取り
込まれているものとする。
【0019】また本発明の好ましい態様においては、多
重層構造を有する物品の成形には金型温度の制御が非常
に有効であることが判った。所望の多層成形品を作成す
るに際し、例えば、二種類の樹脂を用い、それぞれを金
型内で交互に移動させる場合には、金型の近傍から第
一、第二の樹脂を順次固化させる必要がある。本発明に
おいて溶融材料に熱可塑性樹脂を含む場合、第二層目以
降の層の形成時には金型表面温度が該樹脂の加熱変形温
度以下であることが好ましく、より好ましくは金型表面
温度が、熱可塑性樹脂の加熱変形温度の摂氏表示で2分
の1以下、更に好ましくは4分の1以下である。
【0020】以上の如く物品の二層目以降を形成すべき
溶融材料を冷却、固化させるには金型温度は低い方がよ
いが、ゲートシール等により溶融材料の再流動化が困難
になるという問題や、最外層であるスキン層が所望の厚
みより大きくなりすぎて、所望の層数を有する多重層構
造を有する物品(以下多層成形品と称することもある)
が得られないといったことが起こる。この問題を解決す
るには、スキン層形成時、即ち第一層が形成される時に
は金型温度を高くし、二層目以降が形成される際に金型
温度を急冷する事が望ましい。金型は、熱伝導度が非常
によい材質でできているため、スキン層は金型温度がか
なり高くても直ちに固化する。例えば非晶性樹脂を使用
した場合、該樹脂の加熱変形温度以下又はガラス転位温
度以下であれば、スキン層は直ちに固化する。スキン層
が樹脂で形成された場合、該層は断熱材として働くため
に、第二層目以降を効果的に形成するためには、金型温
度を十分に低くする必要がある。このため本発明の金型
冷却用には冷凍機を使用して得られるチラー水を用いて
もよい。
【0021】金型の急加熱の好ましい一例として、金型
内面は、英国特許第2,081,171号明細書に開示
されている高周波誘導加熱による方法に比べ低い温度に
まで加熱される。さらに具体的に述べると、第一の溶融
材料が金型内に充填されるときに該材料が固化できる温
度、例えば材料として熱可塑性樹脂を用いた場合、該樹
脂の加熱変形温度よりも低い温度まで金型内面を加熱す
ることが好ましい。該温度を採用することによって、多
層成形品の最外層である第一層の肉厚を制御でき、所望
の構造を有する物品を得ることができる。また第二層以
降の層を冷却、固化して形成する時に断熱材となる最外
層肉厚をなるべく薄くすることによって、一定の金型温
度で作成されうる多層成形品をよりさらに多層化された
成形品とすることが可能となる。
【0022】急加熱された金型は第一番目の溶融材料充
填後に直ちに徐冷する事が望ましいため、金型表面のみ
を選択的に加熱する方がよい。また作成する多層成形品
の所望の位置の層の肉厚を制御するために金型の特定部
分を選択的に急加熱してもよい。即ち、成形品の最外層
の特定部分を薄肉に制御したい場合に、その場所をあら
かじめ選択的に加熱しておいてもよい。
【0023】このような瞬間的な加熱は、赤外線加熱、
金型内への高温流体の導入、電気抵抗加熱、レーザー光
等を用いて達成することができる。しかしながら高周波
誘導加熱法によってもっとも好ましい瞬間的な加熱が達
成される。好ましい方法としては、金型内面のスキン層
の温度を急上昇させることである。実際の金型上昇温度
は、使用される樹脂の実際の成形温度や、成形品の寸
法、離型温度などを考慮して決められるが、上昇温度と
しては毎分80℃以上、好ましくは毎分480℃以上、
更に好ましくは毎分1200℃以上が推奨される。この
ような瞬間的加熱法を用いることによって、金型全体の
加熱と金型内部への伝熱を行うことなく、金型表面を急
加熱することが可能となり、その後の金型冷却の効率を
上げることができる。更に高周波誘導加熱を用いること
によって上述した高温加熱媒体による金型の汚染を防止
することもできる。高周波誘導加熱を用いる他の利点と
詳細な方法については、英国特許第2、081、171
号明細書や特公昭58−40504公報に記載されてい
る。
【0024】また第二番目以降の層の形成には、上記の
金型温度の制御以外にも樹脂移動速度の制御も重要であ
る。英国特許公報第1,270,142号明細書に記載
された方法では、一般に金型内で再流動化させる樹脂に
は交互、あるいは同時に絶え間なくせん断力を発生させ
るような周期的な力を加えるが、本発明の方法において
は確実に外側から樹脂等を固化させるために、実質的に
各溶融樹脂を流動させる間に溶融材料が金型内で確実に
固化層を形成するように、実質的に一時的に溶融材料の
流れが停止するようにしたほうがよい。
【0025】多層成形品のそれぞれの層の形成のための
該溶融材料の金型内での停止時間は、金型温度、溶融樹
脂を往復運動をさせるために与える力等によって変わっ
てくるため、一義的には決められないが、内部の層形成
ほど停止時間を長くとった方が良い。二層目以降の層の
形成には実質的な樹脂の停止時間は、溶融樹脂の移動に
要した時間の10分の1以上の時間、好ましくは2分の
1以上、更に好ましくは1倍以上が望ましい。すなわ
ち、例えば第二層を形成させるために溶融樹脂を一秒で
移動させたら、実質的に0.1秒以上、好ましくは0.
5秒以上、更に好ましくは1秒以上樹脂をキャビティ内
に停止させ、第二層を形成する樹脂を金型に近い領域、
即ち外側から固化させることが望ましい。
【0026】金型内の溶融材料に単に連続的な周期的な
力を加えると、材料の配向性の制御には非常に有効であ
るが、層状の多層成形品を作成するには困難である。確
かに最外層である第一層は熱伝導度の優れた金属材料か
らなる金型に接触すると瞬時に固化するために二層成形
品は形成できる可能性が高いが、二層目以降は一層目の
樹脂層が断熱材となるために第二の溶融材料が充填され
ても第一層目に比べて瞬時に固化できないため、2種類
の材料が不規則に混合してしまったり、両樹脂がシェア
発熱によってなかなか固化せず、単に二種類の溶融材料
が往復運動を繰り返すといった現象が起こることがあ
る。
【0027】すなわち、本発明を達成するためには、上
述の金型温度と、溶融樹脂に加える力を制御する事が不
可欠である。その詳細な条件は、使用する樹脂や金型形
状、所望とする多層構造によって変わってくるため、単
純には規定はできないが、本発明の原理に従って試作す
ることにより、容易に所望の成形品を得ることができ
る。
【0028】また本発明の方法は、異なる二種類以上の
溶融材料をいったん金型に充填した後、各溶融材料をそ
れぞれの供給方向に逆流させるといった、これまでには
考え付かない手段を用いるものであり、更に供給口側に
戻ったそれぞれの溶融材料は成形中の成形品の多層化の
過程で再び使用されるか、あるいは次のショットの成形
品に利用できるので、生産性、経済性の点でも優れた方
法である。
【0029】本発明における熱可塑性樹脂とは、一般に
熱可塑性樹脂と称されるものすべてを含む。例えば、ポ
リスチレンや、ハイインパクトポリスチレン、ミディア
ムインパクトポリスチレンのようなゴム補強スチレン系
樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN樹
脂)、アクリロニトリル−ブチルアクリレートゴム−ス
チレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エ
チレン−プロピレンゴム−スチレン共重合体(AE
S)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレ
ン共重合体(ACS)、ABS樹脂(例えば、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン−α−メチルスチレン共
重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレ−ト−ブ
タジエン−スチレン共重合体)等のスチレン系樹脂、ポ
リメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹
脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチ
レン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフ
ィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エ
チレン塩化ビニル−酢酸ビニル−共重合体、エチレン−
塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレ
ンテレフタレート(PETP、PET)、ポリブチレン
テレフタレート(PBTP、PBT)等のポリエステル
系樹脂、ポリカーボネート(PC)、変性ポリカーボネ
ート等のポリカーボネート系樹脂、ポリアミド66、ポ
リアミド6、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂、ポ
リオキシメチレン共重合体、ポリオキシメチレンホモポ
リマー等のポリアセタール(POM)樹脂、その他のエ
ンジニアリング樹脂、スーパーエンジニアリング樹脂、
例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテ
ルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、
ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテル
ケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PS
U)等、セルロースアセテート(CA)、セルロースア
セテートブチレート(CAB)、エチルセルロース(E
C)等のセルロース誘導体、液晶ポリマー、液晶アロマ
チックポリエステル等の液晶系ポリマー、熱可塑性ポリ
ウレタンエラストマー(TPU)、熱可塑性スチレンブ
タジエンエラストマー(SBC)、熱可塑性ポリオレフ
ィンエラストマー(TPO)、熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー(TPEE)、熱可塑性塩化ビニルエラスト
マー(TPVC)、熱可塑性ポリアミドエラストマー
(TPAE)等の熱可塑性エラストマーなどが挙げられ
る。
【0030】本発明においては、成形工程において上述
のような熱可塑性樹脂を合成して使用してもよい。二種
もしくはそれ以上の熱可塑性樹脂を用い各溶融樹脂が固
化しないうちに往復運動させることによりブレンド体を
形成させ、これを使用して多層成形品を成形してもよ
い。熱可塑性樹脂には、例えば、着色剤、難燃剤、帯電
防止剤等の充填材及び/又は添加材及び/又は発泡剤等
を含有させてもよい。
【0031】熱可塑性樹脂組成物及び/又は成形材料に
添加する充填材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス
ビーズ、炭酸カルシウム、マイカ、アスベスト、金属等
の無機物も含まれる。
【0032】本発明における熱硬化性樹脂とは、十分な
熱によって硬化する一般に熱硬化性樹脂と称されるもの
すべてのものを指す。例えば、フェノール樹脂(P
F)、ユリア樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、不
飽和ポリエステル(UP)、エポキシ樹脂(EP)、ジ
アリルフタレート樹脂(DAP)、シリコーン(S
I)、ポリウレタン(PUR)、ポリイミド(PI)等
が挙げられる。熱硬化性樹脂は充填材及び/又は添加材
等を含んでもよい。熱硬化性樹脂は、触媒、硬化材等を
含んでもよい。
【0033】金属材料を含む材料及び低融点金属を溶融
材料として使用することもできる。
【0034】本発明において使用しうる金属材料として
は、一般に成形材料に充填材として用いられるものでよ
く、鉄、ステンレス、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属
単体、あるいはこれらの合金の粉体、中空体、フレーク
状、繊維状のもの又はこれらの金属の金属酸化物、金属
水酸化物のいずれでも使用できる。
【0035】本発明で溶融材料として使用できる低融点
金属とは、好ましくは融点が70〜420℃である金属
をいい、より好ましくは融点が70〜230℃である金
属、例えば、錫、亜鉛、ビスマス、鉛、カドミウム、ア
ンチモン、インジウム等の金属並びにこれらの合金等が
挙げられる。これらの合金には、融点が420℃を超え
ない範囲で、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル等の他の
金属を含んでいても構わない。
【0036】本発明による材料には、多層成形品のそれ
ぞれの層の相溶性、密着性を高めたり、付与するための
添加剤を入れたり、材料自体を改質しても良い。またそ
れぞれの層の間にバインダー等を挿入しても良い。
【0037】本発明において、成形された多層成形品、
例えば二層成形品を、そのコア部分を取り除くことによ
って中空体を作製するために使用することもできる。コ
ア部分を取り除く方法としては、低融点金属を使用した
場合、該金属を溶融除去しても良い。またコア部分の材
料に水溶性材料、例えばポリビニルアルコールのような
水溶性樹脂を用いた場合には、水にこれを溶解させ除去
しても良い。またコア部分の材料として特定の溶剤に溶
解する材料を用いた場合には、該溶剤に溶解させ除去し
ても良い。更にコア部分の材料に最外層と相溶性のない
材料を用いた場合、コア部材を機械的に引き抜いても良
い。好ましくは最外層と相溶性のない材料として、エラ
ストマーを使用すれば湾曲形状を有する中空成形品を製
造することもできる。更に好ましくは多層成形品の作成
と同時またはその後に、コア材料部分または最外層部分
とコア材料との間に高圧ガスを導入し、中空部品を作成
しても良い。該中空部品として、必要に応じてコア部分
を構成する全材料を抜き取って最外層のみの中空成形品
を作成してもよい。
【0038】本発明では複雑な形状でも所望の肉厚を有
し、及び/又は、内面が平滑な中空成形体を低コストで
作成することが可能である。得られた中空部には流体を
スムーズに流すことも可能で、マニホールド等の自動車
部品等にも利用できる。
【0039】本発明によれば、少なくとも二種類の材料
からなる環状多層成形品であって、隣接する材料の配向
性が異なることを特徴とする環状多層成形品も提供され
る。本発明に係る多層成形品は、隣接する層の流動方向
が異なるために隣接する層の配向性が異なることを特徴
とし、衝撃強度等が特に優れた成形体が提供できる。ま
た本発明の多層成形品は、各層を流動性の大きく異なる
材料を用いて形成してもよく、従来方法によるサンドイ
ッチ成形品に比べて均一肉厚の各層を有する成形体が得
られる。またこれまでの技術では得ることのできなかっ
た様な最外層が薄い又は厚い成形体をも製造することが
可能である。
【0040】本発明における多層成形体は断面形状にお
いて、各層が所望の肉厚を有する環状構造であるが、環
状の一部が切断されていても良い。
【0041】また本発明による多層成形品は、厚肉品で
あってもひけ、そりを低減したものを提供できる。
【0042】本発明では多層成形品の中間層に金属層あ
るいは、金属材料を含む材料を用いることにより、電磁
波シールド特性を有する成形体を作成しても良い。一般
に導電性材料を含む熱可塑性樹脂を用いた成形品は、外
観上の問題が生じたり、材料代が高価であるといった経
済的な問題があるが、本発明による成形品は例えば環状
三層成形品において、電磁波シールド特性を有する金属
や導電性樹脂の中間層をもうける事によって、外観上は
表皮層により良好で、導電性材料の使用量も中間層のみ
に使用することによって比較的少量ですむといった経済
的効果も有する。
【0043】また本発明における多層成形品は、目的と
する特性、成形品形状等によって任意の数の層状構造成
形体として作成できるが、生産性、容易性から考えて好
ましくは2層から30層であること、更に好ましくは3
層から10層である。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、例として、図を参照しなが
ら本発明を以下に詳細に説明する。
【0045】図1A〜1Dは、本発明の成形方法の概念
図である。図2A〜2Dは、図1A〜1Dに示された各
段階における成形品断面の概略図である。図3は、本発
明に用いられる周期的なせん断力を発生させる装置が射
出シリンダーと金型の間に挟み込まれた装置の模式的な
概略図である。図4は、インダクター鋏み込み方式の高
周波誘導加熱方法による装置の金型付近部分の概略図を
示す。図5は、周期的なせん断力を発生させる装置が図
3とは異なる他の方式による装置の概略図である。図6
A〜6Eは、4種類の材料を用いて多層成形品を作製す
る場合の模式図である。図7は、周期的なせん断力を発
生させる装置が通常の射出成形機のシリンダーを利用す
る方式の概略図である。図8は、実施例1と4で用いた
ツインバレル射出成形機用のせん断力制御装置と金型の
模式図を示す。図9A〜9Dは、実施例1と4で実施し
た成形方法の概略図である。図10A〜10Dは、実施
例2、3及び5で実施した成形方法の概略図である。図
11は、実施例1、2、3、4及び5で作製した成形品
概略図である。図12は、実施例1に従って作成した成
形品における引っ張り試験時の応力−歪み曲線を記す。
図13A〜13Cは、実施例1、2及び3によって作成
した成形品断面の光学顕微鏡による観察結果を示す。図
14A〜14Bは、実施例4及び5によって作成した成
形品断面の光学顕微鏡による観察結果を示す。図15A
は、実施例6で作製した成形品の概略図であり、図15
BはA−A′切断面における断面図を示す。
【0046】図1A〜1Dは、本発明の成形方法の概念
図であり、図2A〜2Dには図1A〜1Dのそれぞれの
段階における成形品断面の模式図を示す。図1A〜1D
中では、成形中の金型の断面図を模式的に表示してあ
る。
【0047】まず図1A中段階1において、金型内に異
なる溶融材料A,Bが異なる入り口から異なるスプルー
又はランナーを通って充填される。この場合AとBは、
成形品の製品部分とはならないスプルー又はランナー内
で結合し、ウエルドラインをここで形成する。このよう
に溶融材料A,Bが図1A中aの位置で結合されるよう
に、A、Bの充填速度あるいは充填開始時間等を調節す
る。このとき成形品の製品部分となる図1A中cで示さ
れた金型キャビティには、図2Aの段階に示す様に、溶
融材料Bのみが充填され、金型に接する外側から固化が
進行する。
【0048】次いで図1B中の段階2に示す様に、金型
に充填された溶融材料Bが外側より所望の肉厚に固化す
るタイミングで溶融材料Aが金型キャビティ内に充填さ
れるような力を加える。金型内に溶融樹脂Aを充填する
に際し、金型キャビティ内に段階1で充填された未固化
の溶融材料BはBの供給口側に押し戻される。このとき
溶融材料Bが容易に押し戻されるようにBには負の力を
与えた方がよい。言い換えれば、溶融材料Aに与えられ
る力に対して180度の位相差を付けた力をBに与え
る。この力は、溶融材料Aが溶融材料Bを供給するため
の金型内のランナー又はスプルー(図1B中b)に到達
する様に与えられる。溶融材料A,Bに与える力は、圧
力で制御しても位置で制御しても良い。圧力制御の場
合、一般に単純な形状の成形品では、高圧ほど金型内の
溶融材料Bは素早く押し戻されるために、より最外層B
が均一な肉厚の成形品が得られる。好ましくは、所望の
位置まで溶融材料Aが到達したら、溶融材料A、Bの流
れが一時停止するように与えていた力を停止させるか、
あるいは実質的に溶融材料の動きが止まる様な力、例え
ば、実際には金型内の溶融材料が動かないような低圧、
またあるいは、金型内の溶融材料が動かない様な釣り合
いのとれた力をA、Bのいずれか又は両方にかける。こ
のとき、成形品断面が図2Bの段階2に示す二層構造を
有する多層成形品が形成される。この状態で成形品内部
まで冷却固化させれば、二層成形品が得られる。
【0049】次いで図1Cの段階3に示す様に、金型充
填されたAが外側から所望の肉厚に固化するタイミング
で溶融材料Bが金型キャビティ内に充填されるような力
を加える。金型キャビティ内に図1Bの段階2で充填さ
れた未固化の溶融材料Aは、図1Bの段階2においてA
の供給口側に押し戻される。このとき溶融材料Aが容易
に押し戻されるようにAには負の力を与えた方がよい。
言い換えるならば、溶融材料Bに与えられる力に対して
180度の位相差を付けた力をあたえる。
【0050】この力は、溶融材料Bが金型内のランナー
又はスプルー(図1B中a)に到達する様に与えられ
る。段階3においても金型内に充填された溶融材料Bが
確実に固化して材料Bの第三層めが形成するように次の
段階に移る前に一亘溶融材料の流動を停止させた方が良
い。このとき成形品断面が図2Cの段階3に示す三層構
造を有する多層成形品が形成される。
【0051】さらに図1Dの段階4に示す様に、金型に
充填された溶融材料Bが外側より所望の肉厚に固化する
タイミングで溶融材料Aが金型キャビティ内に充填され
るような力を加える。金型キャビティ内に図1Cの段階
3で充填された未固化の溶融材料Bは前記段階3でBの
供給口側に押し戻される。このとき溶融材料Bが容易に
押し戻されるようにBには負の力を与えた方がよい。言
い換えるならば、溶融材料Aにあたえられる力に対して
180度の位相差をつけた力をBに与える。この力は、
溶融材料Aが金型内のランナー又はスプルー(図1C中
b)に到達する様に与えられる。図1Dの段階4におい
ても金型内に充填された溶融材料Aが確実に固化して材
料Aの第四層目が形成するように次の段階に移る前に一
亘溶融材料の流動を停止させたほうが良い。このとき成
形品断面が図2Dの段階4に示す四層構造を有する多層
成形品が形成される。
【0052】以下同様にして所望の層数を有する多層成
形品を得ることができる。最後に充填した内部層を固化
させるにあたっては、A、B両材料に同等の充填力を与
えても良い。
【0053】成形品取り出し後、スプルー及びランナー
a、bを取り去り完成品を得る。上述の図1A〜1Dに
示した段階1から4の方法で作成した製品においては、
A、B材料の結合部分はすべて製品の一部とはならない
スプルー又はランナー内に存在するので、製品部におい
てはゲート部分以外は同数の層を成す製品が得られると
同時に、結合点の位置が多少ずれても製品部には大きな
品質の差がないといった生産性の利点もある。また所望
の特性、機能によっては故意に金型内の製品部内で両材
料を結合させても良いが、溶融材料が金型外に到達する
まで充填操作を行なうのは好ましくない。その理由は、
両材料の結合点を金型内に位置させることによって、次
の成形品を作成する時に材料A側の注入口からはAの
み、材料B側の注入口からはBのみの溶融材料を供給さ
せることができるためである。これは金型内で複数の材
料が不規則に混合されることを防ぎ、品質の安定した成
形品を作製することに役立つ。
【0054】図3は、本発明に用いられる周期的なせん
断力を発生させる装置が射出シリンダーと金型の間に挟
み込まれた装置の模式的な概略図である。2本のノズル
1、2はマニホールド3、4とブッシュ5、6とそれぞ
れ対をなし、ブッシュは、マニホールド内のそれぞれの
溝7、8につながり、さらにその溝は上流でそれぞれの
シリンダー9、10と連結し、該シリンダー9、10は
該シリンダーの軸方向に挿入された駆動可能なそれぞれ
のピストン11、12をそれぞれ備えている。一方それ
ぞれのシリンダーは、マニホールド3、4の出口にある
それぞれのノズル13、14と同軸方向に位置するチャ
ンネル15、16に連結する。
【0055】それぞれのノズル13,14は、それぞれ
のスプルー、それぞれのランナー、バー形状の金型キャ
ビティ17を有する金型18と連結し、スプルー19、
20樹脂入り口21、22はそれぞれのマニホールド出
口ノズル13,14とそれぞれ連結する。
【0056】使用に際して成形装置を組立て、金型を一
般には、20℃から80℃の温度に通常の冷媒による温
度調節器で設定する。粒状のポリマー材料はフィードホ
ッパーから細長いキャビティに供給され、円筒状のバレ
ルヒーター(図示せず)によって加熱される。各容器
(図示せず)に貯蔵されている溶融ポリマー材料は、さ
らに加熱され、可塑化され、射出スクリューの回転によ
って十分に均一化される。溶融ポリマー材料が適切な粘
度になったら、射出スクリューの回転と下流への並進運
動によって溶融材料が、必要に応じて高周波誘導加熱に
よってあらかじめ所望の温度に加熱された金型内に射出
されるように推進力を与える。この時射出シリンダー2
3、24による射出速度には差をつける。例えば、23
のシリンダー側の樹脂で第一層(スキン層)を形成させ
るとき、23のシリンダーの動きを24のシリンダーよ
りも速く前進するようにシリンダーの動きの速度を設定
する。23のシリンダー側から射出された溶融ポリマー
材料はマニホールド3に入り、引き続いてシリンダー
9、ノズル13、スプルー19、金型キャビティ17、
スプルー20にこの順で進み、シリンダー24側から低
速で射出された溶融ポリマーと結合してランナー又はス
プルー20内で止められる。
【0057】それぞれのピストン11と12は、180
度の位相差をつけた同周期で往復運動を行なう。この往
復運動は、周期的な力を発生させ溶融ポリマー材料を金
型キャビティー、スプルー、マニホールド、チャンネル
15、16に継続的なせん断熱を発生させる往復せん断
力下で保持し、適切なマイクロプロセッサー制御(図示
せず)によって溶融樹脂材料の冷却速度を制御する。こ
の往復運動に際しては図1の解説で述べたように、それ
ぞれの溶融材料が金型キャビティ17内で層状に固化す
るように、必要な休止時間を往復運動間に設ける。
【0058】180度の位相差をつけた往復運動終了
後、金型内の成形品が実質的には固化しているが、ゲー
ト部が未だ固化していないときに、射出スクリューによ
る充填力を補うように、ゲートシールするまでの間、ピ
ストンを同位相に動かして、樹脂の充填力を保持しても
良い。
【0059】次いで成形品を金型より離型させ、射出ス
クリューを次の成形サイクルに備えて上流に移動しなが
ら次のショットで射出すべき溶融材料の計量を行う。
【0060】図4は、インダクター鋏み込み方式の高周
波誘導加熱方法による成形装置の金型付近部分の概略図
を示す。インダクター27は固定型金型と移動型金型の
間にロボット操作(図示せず)によって置かれる。高周
波が発振されると金型の表面温度は急上昇し、金型内部
は殆ど加熱されない。金型表面が所望の温度に達すると
金型は更に開かれ、インダクター27は、ロボット操作
によって固定型金型と移動型金型の間から取り出され
る。しかる後型締めされ、溶融樹脂A、Bが、それぞれ
の射出シリンダー4、5よりそれぞれのマニホールド
2、3を介して金型内に充填される。さらに図1A〜
D、2A〜Dに示す方法にて多層成形品を作成するが、
それぞれの溶融樹脂には図に示されるピストン11、1
2によってせん断力が与えられる。その他の高周波誘導
加熱装置と金型構成の詳細は特公昭58−40504号
公報、英国特許第2,081,171号明細書に記載さ
れている。その内容は本明細書中に参照することにより
取り込まれているものとする。図5は、周期的なせん断
力を発生させる装置が図3とは異なる他の方式による成
形装置の概略図である。
【0061】二つの該装置は、金型と樹脂を供給する射
出シリンダーとの間ではない位置に設置されている。該
装置は必要に応じて金型内に設置しても良いし、金型外
に設置しても良い。また該装置一個のみを金型と樹脂供
給のシリンダーの間に設置し、もう一つの該装置を金型
と樹脂を供給する射出シリンダーとの間ではない位置に
設置しても良い。
【0062】図6A〜6Eは、4種類の材料を用いて多
層成形品を作製する場合の模式図である。
【0063】4種類の材料A,B,C,Dがそれぞれの
供給口から金型内のそれぞれのランナー62、63、6
4、65を通ってキャビティ内に充填されるにあたり、
以下の過程を経て多層成形品が作製される。それぞれの
ランナーには、シャットオフ弁a,b,c,dを設置し
た方が望ましい。
【0064】先ず段階1において、シャットオフ弁aを
開放し、溶融材料Aを金型キャビティ66に充填する。
次いで段階2では、弁aを開放したまま、弁bを開け、
溶融材料Bを充填し、金型内に充填されていたAには負
の力を与え、段階1における供給口側にAを逆流させ
る。ここで、材料Bが固化して所望の肉厚の第二層を形
成するように金型温度と、溶融材料流動時間及び休止時
間を設定する。更に段階3では、弁aを閉じ、弁bを開
放のままで弁cを開け溶融材料Cを金型キャビティ内に
充填する。この時、金型内で未固化の溶融材料Bには負
の力をかけた方がよい。ここでも、材料Cが確実に固化
するように適切な溶融材料流動時間及び休止時間を設定
する。次いで、段階4では、弁bを閉じ、弁cを開放の
まま、弁dを開け、溶融材料Dを充填する。さらに必要
に応じて、5層以上の多層成形品を作製してもよい。
【0065】また所望の特性によって異なる樹脂をいか
なる順序で充填しても良いが、充填した溶融材料の未固
化部分は、充填の次の段階で該材料の供給方向に逆流さ
せる。
【0066】上記の方法に於いてもそれぞれの樹脂の結
合点をそれぞれのランナー又はスプルー内に位置するよ
うに成形させることによって、次のショットではそれぞ
れの供給口からそれぞれの材料のみが供給される。
【0067】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
【実施例】実施例1 本実施例では、図8に示す様に射出成形装置にせん断力
制御装置を装着し、図9A−9Dに示す方法にて成形を
行った。射出成形機は、2本の射出シリンダーを有する
2色成形機を用い、それぞれのシリンダーには汎用ポリ
スチレン(GPPS)と高密度ポリエチレン(HDP
E)をそれぞれのホッパーより供給し、射出成形した。
金型は鋼鉄製のものを用い、成形品形状は、厚さ4m
m、幅10mmのバー形状でISO規格(ISO52
4)によるものである。金型は、冷媒水を用いる一般の
温調機で20℃に温度設定した。
【0069】射出成形機のシリンダー温度は、樹脂温度
が双方とも210℃になるように設定した。それぞれの
樹脂はシリンダー内で加熱、可塑化され、次いでGPP
Sは、射出圧力100バール(油圧のゲージ圧力)、射
出速度を該射出成形機能力の20%の設定値で、HDP
Eは射出圧力100バール(油圧のゲージ圧力)、射出
速度を該射出成形機能力の70%で金型内にそれぞれの
マニホールドを通して充填された。該設定によって図1
1に示す様に、最外層のウエルドラインが成形品のラン
ナー部分(図11中A)に形成されるように成形した。
この時金型キャビティ内にはHDPEのみが充填され
た。
【0070】次いで直ちに図9Bの段階2で示すピスト
ンB、Cを同周期で180度の位相差をつけて、作動さ
せた。ピストンBにはGPPSを金型内に充填する様な
正の力を、ピストンCには未固化のHDPEが金型内よ
り押し戻される様な負の力を与えた。B、Cのピストン
は、それぞれ2秒間作動させ、その位置で2秒間停止さ
せた。
【0071】次いで図9Cの段階3で示すピストンB、
Cを同周期で180度の位相差をつけて、作動させた。
ピストンCにはHDPEを金型内に充填する様な正の力
を、ピストンBには未固化のGPPSが金型内より押し
戻される様な負の力を与えた。B、Cのピストンは、そ
れぞれ2秒間作動させ、その位置で3秒間停止させた。
【0072】更に図9Dの段階4で示すピストンB、C
を同周期で180度の位相差をつけて、作動させた。ピ
ストンBにはGPPSを金型内に充填する様な正の力
を、ピストンCには未固化のHDPEが金型内より押し
戻される様な負の力を与えた。B、Cのピストンは、そ
れぞれ2秒間作動させ、その位置で2秒間停止させた。
【0073】成形品の曲げ特性は、室温(23℃)、曲
げ速度3mm/minで3点曲げ試験を行うことにより
測定した。
【0074】成形品の引っ張り特性は、室温(23
℃)、引っ張り速度5mm/minで引っ張り試験を行
うことにより測定した。
【0075】衝撃試験は、成形品より短冊形状の試験片
を切り出し、ISO規格(ISO180)のA型ノッチ
をノッチングマシンにて付けたものを用いた。衝撃試験
は、アイゾット衝撃試験機を用いて室温(23℃)で行
った。
【0076】曲げ及び引っ張り試験の結果を表1に記
す。また引っ張り試験における歪み−応力曲線を図12
に示す。
【0077】また得られた成形品断面の顕微鏡観察の結
果を図13Aに示す。
【0078】実施例2 本実施例では、射出成形装置に高周波誘導加熱装置、せ
ん断力制御装置を装着して成形を行った。成形方法は、
図10A−Dに示す方法で行った。
【0079】射出成形機は、2本の射出シリンダーを有
する2色成形機を用い、それぞれのシリンダーには汎用
ポリスチレン(GPPS)と高密度ポリエチレン(HD
PE)を各々のホッパーから供給し、該ポリスチレンと
ポリエチレンとを射出成形した。金型は鋼鉄製のものを
用い、成形品形状は、厚さ4mm、幅10mmのバー形
状でISO規格(ISO524)によるものである。
【0080】高周波誘導加熱用のインダクターは、通常
の冷媒水を用いる温調機で20℃に温度設定された金型
内に、図10Aの段階1で示された位置に挿入され、周
波数20KHz、出力15KWで5秒間発振させた。高
周波を発振させたときのインダクターと金型移動側、固
定側表面との距離は、共に8mmであった。
【0081】射出成形機のシリンダー温度は、樹脂温度
が双方とも210℃になるように設定した。それぞれの
樹脂はシリンダー内で加熱、可塑化され、次いでそれぞ
れの溶融材料を、GPPSは射出圧力100バール(油
圧のゲージ圧力)、射出速度を該射出成形機の能力の2
0%の設定値で、HDPEは射出圧力100バール(油
圧のゲージ圧力)、射出速度を該射出成形機の能力の7
0%の設定値で、金型内にそれぞれのマニホールドを通
して図10Bの段階2に示すように充填した。該設定に
よって図11に示す様に、最外層のウエルドラインが成
形品のランナー部分(図11中A)に形成されるように
成形した。
【0082】次いで直ちに図9Aの段階1で示すピスト
ンB、Cを同周期で180度の位相差をつけて、作動さ
せた。ピストンBにはGPPSを金型内に充填する様な
正の力を、ピストンCには未固化のHDPEが金型内よ
り押し戻される様な負の力を与えた。B、Cのピストン
は、それぞれ2秒間作動させ、その位置で更に2秒間停
止させた。
【0083】さらにピストンB、Cを同周期で180度
の位相差をつけて、作動させた。ピストンCにはHDP
Eを金型内に充填する様な正の力を、ピストンBには未
固化のGPPSが金型内より押し戻される様な負の力を
与えた。B、Cのピストンは、それぞれ2秒間作動さ
せ、その位置で2秒間停止させた。
【0084】次いでピストンB、Cを同周期で180度
の位相差をつけて、作動させた。ピストンBにはGPP
Sを金型内に充填する様な正の力を、ピストンCには未
固化のHDPEが金型内より押し戻される様な負の力を
与えた。B、Cのピストンは、それぞれ2秒間作動さ
せ、その位置で2秒間停止させた。
【0085】成形品の曲げ特性は、室温(23℃)、曲
げ速度3mm/minで3点曲げ試験を行うことにより
測定した。
【0086】成形品の引っ張り特性は、室温(23
℃)、引っ張り速度5mm/minで引っ張り試験を行
うことにより測定した。
【0087】衝撃試験は、成形品より短冊形状の試験片
を切り出し、ISO規格(ISO180)のA型ノッチ
をノッチングマシンにて付けたものを用いた。衝撃試験
は、アイゾット衝撃試験機を用いて室温(23℃)で測
定した。
【0088】曲げ及び引っ張り試験の結果を表1に記
す。
【0089】また得られた成形品断面の顕微鏡観察の結
果を図13Bに示す。
【0090】実施例3 本実施例では、射出成形装置に高周波誘導加熱装置、せ
ん断力制御装置を装着して成形を行った。成形は図10
A〜10Dに示す手順で行った。
【0091】射出成形機は、2本の射出シリンダーを有
する2色成形機を用い、それぞれのシリンダーには汎用
ポリスチレン(GPPS)と高密度ポリエチレン(HD
PE)を各々のホッパーより供給し、射出成形した。金
型は鋼鉄製のものを用い、成形品形状は、厚さ4mm、
幅10mmのバー形状でISO規格(ISO524)に
よるものである。
【0092】高周波誘導加熱用のインダクターを通常の
冷媒水を用いる温調機で20℃に温度設定された金型内
に図10Aの段階1で示された位置に挿入し、周波数2
0KHz、出力15KWで5秒間発振させた。高周波を
発振したときインダクターと金型固定側、移動側表面と
の距離は、8mmであった。
【0093】射出成形機のシリンダー温度は、樹脂温度
が双方とも210℃になるように設定した。それぞれの
樹脂はシリンダー内で加熱、可塑化され、次いでそれぞ
れの溶融材料を、GPPSは射出圧力100バール(油
圧のゲージ圧力)、射出速度を該射出成形機の能力の2
0%の設定値で、HDPEは射出圧力100バール(油
圧のゲージ圧力)、射出速度を該射出成形機の能力の7
0%の設定値で、金型内にそれぞれのマニホールドを通
して図10Bの段階2に示すように充填した。該設定に
よって図11に示す様に、最外層のウエルドラインが成
形品のランナー部分(図11中A)に形成されるように
成形した。
【0094】次いで直ちに図10Cの段階3で示すピス
トンB、Cを同周期で180度の位相差をつけて、作動
させた。ピストンBにはGPPSを金型内に充填する様
な正の力を、ピストンCには未固化のHDPEが金型内
より押し戻される様な負の力を与えた。B、Cのピスト
ンは、それぞれ1.5秒間作動させ、その位置でさらに
1.5秒間停止させた。
【0095】さらにピストンB、Cを同周期で180度
の位相差をつけて、作動させた。ピストンCにはHDP
Eを金型内に充填する様な正の力を、ピストンBには未
固化のGPPSが金型内より押し戻される様な負の力を
与えた。B、Cのピストンは、それぞれ2秒間作動さ
せ、その位置で2.5秒間停止させた。
【0096】次いでピストンB、Cを同周期で180度
の位相差をつけて、作動させた。ピストンBにはGPP
Sを金型内に充填する様な正の力を、ピストンCには未
固化のHDPEが金型内より押し戻される様な負の力を
与えた。B、Cのピストンは、それぞれ2秒間作動さ
せ、その位置で6秒間停止させた。
【0097】さらにピストンB、Cを同周期で180度
の位相差をつけて、作動させた。ピストンCにはHDP
Eを金型内に充填する様な正の力を、ピストンBには未
固化のGPPSが金型内より押し戻される様な負の力を
与えた。B、Cのピストンは、それぞれ2秒間作動さ
せ、その位置で2秒間停止させた。
【0098】次いでピストンB、Cを同周期で180度
の位相差をつけて、作動させた。ピストンBにはGPP
Sを金型内に充填する様な正の力を、ピストンCには未
固化のHDPEが金型内より押し戻される様な負の力を
与えた。B、Cのピストンは、それぞれ2秒間作動さ
せ、その位置で2秒間停止させた。
【0099】成形品の曲げ特性は、室温(23℃)、曲
げ速度3mm/minで3点曲げ試験を行った。
【0100】成形品の引っ張り特性は、室温(23
℃)、引っ張り速度5mm/minで引っ張り試験を行
った。
【0101】衝撃試験は、成形品より短冊形状の試験片
を切り出し、ISO規格(ISO180)のA型ノッチ
をノッチングマシンにて付けたものを用いた。衝撃試験
は、アイゾット衝撃試験機を用いて室温(23℃)で測
定した。
【0102】曲げ及び引っ張り試験の結果は、表1に記
す。
【0103】また得られた成形品断面の顕微鏡観察の結
果を図13Cに示す。
【0104】比較例1 実施例1、2、3の比較のために以下の方法にて通常の
GPPSとHDPEの成形品を作製した。
【0105】比較成形品には、通常の一個のシリンダー
を有する射出成形機を用い、成形品は実施例1、2、3
と同じISO規格の成形品を作製した。
【0106】それぞれの成形条件を下記に示す。 (a)HDPE通常成形品 樹脂温度:210℃ 金型温度:20℃ 冷却時間:20秒 射出圧力:100バール(油圧のゲージ圧力) 保圧:40バール(油圧のゲージ圧力) (b)GPPS通常成形品 樹脂温度:210℃ 金型温度:20℃ 冷却時間:20秒 射出圧力:100バール(油圧のゲージ圧力) 保圧:40バール(油圧のゲージ圧力)
【0107】機械的特性の評価は実施例1、2及び3と
同様な方法、装置を用いて行った。機械的特性の結果は
表1に示す。
【0108】比較例2 さらに本実施例とは別の検討も行った。成形機、金型、
成形材料は、実施例3と同様なものを用い、実施例3と
比較して金型は、高周波誘導加熱によって予備加熱せ
ず、通常の冷媒水を用いる温調機で20℃に設定した。
それ以外の成形方法は、実施例3と全く同じ条件にて成
形を行った。実施例3では6層成形品が得られたのに対
して、金型全体を直接予備加熱した金型を用いて得られ
た成形品は4層成形品であった。
【0109】また高周波誘導加熱によって予備加熱せ
ず、金型温度を通常の冷媒水を用いる温調機で60℃に
設定し、他は実施例3と同様の条件を用いて成形を行っ
た結果、2層の成形品が得られた。
【0110】以上の結果から明らかな如く、金型温度の
制御が成形品の多層構造制御に有効である。
【表1】
【0111】実施例1、2及び3の曲げ弾性率は、GP
PSとHDPEの弾性率の間の値を示した。GPPS弾
性率は、HDPEに比べ約3倍もの値を示すことより、
GPPS層が厚く、かつ外側に位置するほど多層成形品
の弾性率は大きくなる。実施例1及び2は、ともに4層
であるが、実施例2では、金型を予備加熱して第一層を
薄く制御したために、第二層のGPPS層がより外側に
位置するために剛性がより高い成形品を作製することが
できた。図13A及び図13Bの成形品断面観察から、
実施例1の最外層が実施例2のものより厚いことから、
金型予備加熱が成形品肉厚制御に有効であることがわか
る。
【0112】実施例1、2及び3の曲げ強度もGPPS
とHDPEの強度の間の値を示した。実施例2及び3の
曲げ強度が実施例1より大きい理由も曲げ弾性率の場合
と同様である。
【0113】引っ張り強度もGPPSとHDPEの間の
値を示した。引っ張り強度は、GPPS層の総量に大き
く影響される。すなわちGPPS層の位置は引っ張り強
度に影響を与えない。このことから実施例3の引っ張り
強度が実施例2より小さかったのは、実施例3のGPP
S層の総量が実施例2より少なかったためである。
【0114】実施例1、2及び3の多層成形品の衝撃強
度は、GPPSよりも衝撃強度が大きいHDPEの強度
の4倍もの値を示した。これは層状構造によって、層界
面で衝撃エネルギーが吸収されるためであり、多層化の
大きな利点のひとつである。
【0115】また実施例1、2及び3の多層成形品は、
耐薬品性が良好であった。これは最外層が耐薬品性の良
好なHDPEであるためである。
【0116】以上の事より、GPPSとHDPEとを多
層成形することにより、両樹脂の特性を生かし、さらに
衝撃強度が両樹脂に比べかなり優れた成形品を得ること
ができることが明らかとなった。また本来相溶性のない
樹脂であるHDPEとGPPSを用いた場合でも、環状
多層構造とすることにより機械的に複合させることが容
易であることもこの成形品の大きな利点である。また金
型予備加熱による温度制御が多層成形品の構造制御に有
効で、所望の特性を有する成形体作製に効果がある。
【0117】このように樹脂の中で安価なポリスチレン
とポリエチレンを用いても成形品の高次構造を制御する
ことによって多機能、高機能物品を作製でき、これまで
の技術では達成することができなかったことを可能とし
た。
【0118】実施例4 本実施例では、実施例1の図8と同様に、射出成形装置
にせん断力制御装置を装着し、図9A〜9Dに示した手
順で成形を行った。射出成形機は、2本の射出シリンダ
ーを有する2色成形機を用い、それぞれのシリンダーに
は汎用ポリスチレン(GPPS)とハンインパクトポリ
スチレン(HIPS)を各々のホッパーから供給し、射
出成形した。金型は鋼鉄製のものを用い、成形品形状
は、厚さ4mm、幅10mmのバー形状でISO規格
(ISO524)によるものである。金型は、冷媒水を
用いる一般の温調機で20℃に温度設定された。
【0119】射出成形機のシリンダー温度は、樹脂温度
が双方とも210℃になるように設定した。それぞれの
樹脂はシリンダー内で加熱、可塑化され、次いでそれぞ
れの溶融材料をGPPSは射出圧力100バール(油圧
のゲージ圧力)、射出速度を該射出成形機の能力の20
%の設定値で、HIPSは射出圧力100バール(油圧
のゲージ圧力)、射出速度を該射出成形機の能力の70
%の設定値で金型内にそれぞれのマニホールドを通して
金型内に順次充填した。該設定によって図11に示す様
に、最外層のウエルドラインが成形品のランナー部分
(図11中A)に形成されるように成形した。
【0120】次いで直ちに図9Bの段階2で示すピスト
ンB、Cを同周期で180度の位相差をつけて、作動さ
せた。ピストンBにはGPPSを金型内に充填する様な
正の力を、ピストンCには未固化のHIPSが金型内よ
り押し戻される様な負の力を与えた。B、Cのピストン
は、それぞれ2秒間作動させ、その位置で1秒間停止さ
せた。
【0121】次いで図9Cの段階3で示すピストンB、
Cを同周期で180度の位相差をつけて、作動させた。
ピストンCにはHIPSを金型内に充填する様な正の力
を、ピストンBには未固化のGPPSが金型内より押し
戻される様な負の力を与えた。B、Cのピストンは、そ
れぞれ2秒間作動させ、その位置で3秒間停止させた。
【0122】さらに図9Cの段階4で示すピストンB、
Cを同周期で180度の位相差をつけて、作動させた。
ピストンBにはGPPSを金型内に充填する様な正の力
を、ピストンCには未固化のHIPSが金型内より押し
戻される様な負の力を与えた。B、Cのピストンは、そ
れぞれ2秒間作動させ、その位置で2秒間停止させた。
【0123】成形品の曲げ特性は、室温(23℃)、曲
げ速度3mm/minで3点曲げ試験を行うことにより
測定した。
【0124】成形品の引っ張り特性は、室温(23
℃)、引っ張り速度5mm/minで引っ張り試験を行
うことにより測定した。
【0125】衝撃試験は、成形品より短冊形状の試験片
を切り出し、ISO規格(ISO180)のA型ノッチ
をノッチングマシンにて付けたものを用いた。衝撃試験
は、アイゾット衝撃試験機を用いて室温(23℃)で行
った。
【0126】曲げ及び引っ張り試験の結果を表2に記
す。
【0127】また得られた成形品断面の顕微鏡観察の結
果を図14Aに示す。
【0128】実施例5 本実施例では、実施例2と同様な射出成形装置に高周波
誘導加熱装置、せん断力制御装置を装着し、図10A〜
10Dに示した手順に従い成形を行った。
【0129】射出成形機は、2本の射出シリンダーを有
する2色成形機を用い、それぞれのシリンダーには汎用
ポリスチレン(GPPS)と高密度ポリエチレン(HI
PS)を各々のホッパーから供給し、射出成形した。金
型は鋼鉄製のものを用い、成形品形状は、厚さ4mm、
幅10mmのバー形状でISO規格(ISO524)に
よるものである。
【0130】高周波誘導加熱用のインダクターを、通常
の冷媒水を用いる温調機で20℃に温度設定された金型
内に、図10Aの段階1で示された位置に挿入し、周波
数20KHz、出力15KWで5秒間発振させた。高周
波を発振させたときインダクターと固定側及び移動側金
型表面との距離は、共に8mmであった。
【0131】射出成形機のシリンダー温度は、樹脂温度
が双方とも210℃になるように設定した。それぞれの
樹脂はシリンダー内で加熱、可塑化され、次いでそれぞ
れの溶融材料をGPPSは射出圧力100バール、射出
速度を該射出成形機の能力の20%の設定値で、HIP
Sは射出圧力100バール、射出速度を該射出成形機の
能力の80%の設定値で、金型内にそれぞれのマニホー
ルドを通して図10Bの段階2に示すように充填した。
該設定によって図11に示す様に、最外層のウエルドラ
インが成形品のランナー部分(図11中A)に形成され
るように成形した。
【0132】次いで直ちに図10Cの段階3で示すピス
トンB、Cを同周期で180度の位相差をつけて、作動
させた。ピストンBにはGPPSを金型内に充填する様
な正の力を、ピストンCには未固化のHIPSが金型内
より押し戻される様な負の力を与えた。B、Cのピスト
ンは、それぞれ2秒間作動させ、その位置で3秒間停止
させた。
【0133】さらにピストンB、Cを同周期で180度
の位相差をつけて、作動させた。ピストンCにはHIP
Sを金型内に充填する様な正の力を、ピストンCには未
固化のGPPSが金型内より押し戻される様な負の力を
与えた。B、Cのピストンは、それぞれ2秒間作動さ
せ、その位置で3秒間停止させた。
【0134】次いでピストンB、Cを同周期で180度
の位相差をつけて、作動させた。ピストンBにはGPP
Sを金型内に充填する様な正の力を、ピストンCには未
固化のHIPSが金型内より押し戻される様な負の力を
与えた。B、Cのピストンは、それぞれ2秒間作動さ
せ、その位置でさらに2秒間停止させた。
【0135】成形品の曲げ特性は、室温(23℃)、曲
げ速度3mm/minで3点曲げ試験を行うことにより
測定した。
【0136】成形品の引っ張り特性は、室温(23
℃)、引っ張り速度5mm/minで引っ張り試験を行
うことにより測定した。
【0137】衝撃試験は、成形品より短冊形状の試験片
を切り出し、ISO規格(ISO180)のA型ノッチ
をノッチングマシンにて付けたものを用いた。衝撃試験
は、アイゾット衝撃試験機を用いて測定した。
【0138】曲げ及び引っ張り試験の結果を表2に記
す。
【0139】また得られた成形品断面の顕微鏡観察の結
果を図14Bに示す。
【0140】比較例3 実施例4、5の比較のために以下の方法にて通常のGP
PSとHIPSの成形品を作製した。
【0141】比較品成形には、通常の一個のシリンダー
を有する射出成形機を用い、成形品は実施例4、5と同
じISO規格のものを作製した。
【0142】それぞれの成形条件を下記に示す。 (a)HIPS通常成形品 樹脂温度:210℃ 金型温度:20℃ 冷却時間:20秒 射出圧力:100バール 保圧:40バール (b)GPPS通常成形品 樹脂温度:210℃ 金型温度:20℃ 冷却時間:20秒 射出圧力:100バール 保圧:40バール
【0143】機械的特性の評価は実施例4、5と同様の
方法、装置で行った。機械的特性の結果は表2に示す。
【表2】
【0144】実施例4、5の曲げ弾性率と曲げ強度は、
GPPSとHIPSとの間の値を示したのに対し、引っ
張り強度は、GPPSとHIPSのいずれの値よりも大
きかった。これより本発明による方法は、個々の層にお
ける樹脂の配向も制御して引っ張り強度を強化できるこ
とがわかる。
【0145】実施例4、5の多層成形品の衝撃強度は、
HIPSの強度の1.5倍もの値を示した。これは層状
構造によって、層界面で衝撃エネルギーが吸収されるた
めであり、多層化の大きな利点のひとつである。
【0146】また図14A及び図14Bに示す実施例5
の断面形状観察から、多層構造が必ずしも環状になって
いなくても機能を発現する事が判る。すなわち本法によ
る成形体は、内部構造が連続した層状構造でなくとも、
材料の流動方向に多層化し、所望の特性を発現するもの
であっても良い。
【0147】以上のことから、GPPSとHIPSの多
層成形品は、物性バランスの取れた成形品であり、安価
な材料を用いて所望の物性を有する成形体を容易に作製
できることがわかった。また相溶性の高い材料であって
も本発明の方法を用いることにより、多層成形品が作製
できる。
【0148】実施例6 本実施例では、通常の二色成形機を用いて成形を行っ
た。射出成形機は、2本の射出シリンダーを有する2色
成形機で、それぞれのシリンダーには汎用ポリスチレン
(GPPS)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(T
PO)を各々のホッパーから供給し、射出成形した。
【0149】成形品形状は、図15A及び図15Bに示
す厚肉成形品で、ランナー、スプルーを成形品の両端に
持つ形状でそれぞれのスプルーは別個のスプルーブッシ
ュにつながっている。スプループッシュは、二色成形機
の二本のシリンダーとノズルタッチにより連通される。
金型は、冷媒水を用いる一般の温調機で40℃に温度設
定された。
【0150】射出成形機のシリンダー温度は、樹脂温度
が双方とも210℃になるように設定した。それぞれの
樹脂はシリンダー内で加熱、可塑化され、次いでそれぞ
れの溶融材料をGPPSは射出圧力100バール(油圧
のゲージ圧力)、射出速度を該射出成形機の能力の80
%の設定値で、TPOは射出圧力100バール(油圧の
ゲージ圧力)、射出速度を該射出成形機の能力の25%
の設定値で、金型内にそれぞれの異なったスプルー、ラ
ンナーを通る様に充填した。該設定によって図9A−9
Dに示す様に、最外層のウエルドラインが成形品のラン
ナー部分に形成されるように成形した。
【0151】次いでTPOが金型内に充填されるように
保圧を該成形機の最大設定値の75%の設定値で6秒間
充填し、それと同時にGPPSが可塑化されているシリ
ンダーを、金型キャビティから溶融GPPSのバックフ
ローにより30mmバックさせた。さらに両樹脂に正の
保持圧力がかかるように、10秒間10%の保圧をかけ
た。
【0152】成形品を金型より取り出し、10分間大気
中に放置しコア材のTPOを冷却させた。その後、TP
Oを機械的に引き抜きGPPSの中空成形品を得た。
【0153】該成形品は中空部内面が平滑で、ひけ、外
観不良等がないものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1A〜1Dは、本発明の成形方法の概念図で
ある。
【図2】図2A〜2Dは、図1A〜1Dに示された各段
階における成形品断面の概略図である。
【図3】本発明に用いられる周期的なせん断力を発生さ
せる装置が射出シリンダーと金型の間に挟み込まれた装
置の模式的な概略図。
【図4】インダクター鋏み込み方式の高周波誘導加熱方
法による装置の金型付近部分の概略図。
【図5】周期的なせん断力を発生させる装置が図3とは
異なる他の方式による装置の概略図。
【図6】図6A〜6Eは、4種類の材料を用いて多層成
形品を作製する場合の模式図である。
【図7】周期的なせん断力を発生させる装置が通常の射
出成形機のシリンダーを利用する方式の概略図。
【図8】実施例1と4で用いたツインバレル射出成形機
用のせん断力制御装置と金型の模式図。
【図9】図9A〜9Dは、実施例1と4で実施した成形
方法の概略図である。
【図10】図10A〜10Dは、実施例2、3及び5で
実施した成形方法の概略図である。
【図11】実施例1、2、3、4及び5で作製した成形
品概略図。
【図12】実施例1に従って作成した成形品における引
っ張り試験時の応力−歪み曲線。
【図13】図13A〜13Cは、実施例1、2及び3に
よって作成した成形品断面の光学顕微鏡による観察結果
を示す。
【図14】図14A〜14Bは、実施例4及び5によっ
て作成した成形品断面の光学顕微鏡による観察結果を示
す。
【図15】図15Aは、実施例6で作製した成形品の概
略図であり、図15BはA−A′切断面における断面図
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 22:00 (72)発明者 ピーター スチュワート アラン イギリス国 ユービー8 3ピーエイチ ミドルセクス,アクスブリッジ (番地な し) ブルネル ユニバーシティ オブ ウエスト ロンドン内 (72)発明者 マイケル ジョン ベビス イギリス国 ユービー8 3ピーエイチ ミドルセクス,アクスブリッジ (番地な し) ブルネル ユニバーシティ オブ ウエスト ロンドン内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二種またはそれ以上の材料からなり、各
    材料から形成された層が多重層構造を構成してなる成形
    品の製造方法において、 各独立した容器に貯蔵されている前記二種またはそれ以
    上の材料の溶融物を順次金型のキャビティ部分に充填し
    て金型内でその一部分を固化させて前記多重層構造を構
    成させるにあたり、第一の工程として一の溶融材料を前
    記キャビティ部分の一端から該キャビティ部分に充填
    し、充填した溶融材料のうちの金型面に接する部分を所
    定の厚さに固化させ第一の層を形成せしめ、第二の工程
    として別の溶融材料をキャビティの他端より該キャビテ
    ィに供給し、先に充填した溶融材料の未固化部分をキャ
    ビティ外に押し出し、前記別の溶融材料を充填させ、次
    いですくなくともその一部を金型近傍より冷却固化させ
    次の層を形成せしめ、必要に応じ前記第二の工程を交互
    順次繰返すことを特徴とする前記方法。
  2. 【請求項2】 第一の層又は第二の層形成後、次に溶融
    材料を金型のキャビティ内に充填する際に、キャビティ
    内に流動性を保持したまま残存している先の充填溶融材
    料を該材料の供給方向にもどす請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記溶融材料を該材料の供給側に押し戻
    す際に、該材料が引き出されるような力を作用させる請
    求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 二種の材料を用いて前記第二の工程を順
    次繰り返し、成形品を製造する請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 各充填溶融材料を各工程においてキャビ
    ティ内で一亘停止させる請求項1〜4のいずれか一項記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 相隔った少なくとも2つの領域において
    各融溶材料を実質的に同じ周期で、かつ実質的に180
    度の位相差で流動させる請求項1〜5のいずれか一項記
    載の方法。
  7. 【請求項7】 融溶材料を流動させる力を作用させる少
    なくとも2つの手段を設け、該手段の少なくとも一つ
    を、該金型の樹脂供給入り口に近接させて設ける請求項
    1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 【請求項8】 融溶材料を金型キャビティに充填し、か
    つ押しだす力を、該金型に通じた導管と連絡したチャン
    バー内で作動する往復ピストン機構により該溶融材料に
    作用させる請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 金型をあらかじめ急加熱しておく請求項
    1〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. 【請求項10】 金型の急加熱を高周波誘導加熱により
    行う請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 金型の急加熱を、金型全体又は金型表
    面全体又は金型表面の一部に施す請求項9記載の方法。
  12. 【請求項12】 融溶材料がポリマー材料を含む請求項
    1記載の成形方法。
  13. 【請求項13】 ポリマー材料が熱可塑性樹脂である請
    求項12記載の成形方法。
  14. 【請求項14】 ポリマー材料が熱硬化性樹脂を含む請
    求項12記載の成形方法。
  15. 【請求項15】 多重層構造を有する成形品の少なくと
    も一層を構成する材料を取り除くことにより中空成形体
    を作成する請求項1又は2記載の方法。
  16. 【請求項16】 二種類又はそれ以上の材料からなる二
    層以上の多重層構造をしてなる成形品であって、相隣接
    する層の配向性が異なる事を特徴とする成形品。
  17. 【請求項17】 多重層構造が環状形状である請求項1
    6記載の成形品。
  18. 【請求項18】 環状形状の多重層構造が2層から30
    層である請求項16記載の成形品。
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