JPH10137770A - 硫酸含有排水の処理方法 - Google Patents

硫酸含有排水の処理方法

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JPH10137770A
JPH10137770A JP30473796A JP30473796A JPH10137770A JP H10137770 A JPH10137770 A JP H10137770A JP 30473796 A JP30473796 A JP 30473796A JP 30473796 A JP30473796 A JP 30473796A JP H10137770 A JPH10137770 A JP H10137770A
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water
sulfuric acid
membrane
calcium compound
waste water
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JP30473796A
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English (en)
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Hiroyuki Fujita
裕之 藤田
Mikio Nihei
幹夫 二瓶
Kiyohito Chikasawa
清仁 近沢
Tadashi Takadoi
忠 高土居
Takeshi Sato
武 佐藤
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Tohoku Electric Power Co Inc
Kurita Water Industries Ltd
Original Assignee
Tohoku Electric Power Co Inc
Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排煙脱硫排水等の硫酸含有排水にカルシウム
化合物を添加して生成した不溶物を膜分離処理するに当
り、膜の閉塞や膜の損傷等に起因する膜フラックスの低
下を防止する。 【解決手段】 硫酸含有排水にカルシウム化合物を加え
てpH4〜6で反応させた後、カルシウム化合物を加え
てpH6.5〜8で反応させ、膜分離処理する。第1段
目の反応を粒子径5〜50μmの硫酸カルシウム粒子の
存在下に行なう。 【効果】 粒子径5〜50μmの硫酸カルシウム粒子の
存在下に、カルシウム化合物を2段階で添加して、各々
所定のpHで反応させることにより、系内に最適な粒子
径のSSを発生させることができ、微小粒子径のSSに
よる膜の閉塞や粗大粒子径のSSによる膜の損傷による
膜フラックスの低下を防止して長期に亘り安定かつ効率
的な処理を継続できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硫酸含有排水の処理
方法に係り、特に、排煙脱硫排水にカルシウム化合物を
添加して膜分離処理する方法において、膜の閉塞や膜の
損傷による膜分離装置の透過流束(フラックス)の低下
を防止して、長期に亘り安定かつ効率的な処理を行う方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】硫酸含有排水の最も代表的なものとし
て、排煙脱硫排水がある。排煙脱硫排水は、SO4 :3
000〜10000mg/L(リットル),フッ素:1
00〜500mg/L,SS:10〜2000mg/L
等を含むものであり、一般に、中和槽にてカルシウム化
合物を添加して、硫酸イオンを硫酸カルシウム(CaS
4 ・2H2 O)として、また、フッ素をフッ化カルシ
ウム(CaF2 )として不溶化し、不溶化物を固液分離
することにより処理されている。ここで、カルシウム化
合物としては、フッ素の不溶化と価格の面から消石灰
(Ca(OH)2 ),生石灰(CaO)等が用いられて
いる。また、固液分離手段としては、沈殿法が実用化さ
れているが、MF(精密濾過)膜等を用いた膜分離手段
の適用も提案されている。
【0003】また、このような排煙脱硫排水の処理に当
り、スケール発生の防止を目的として、中和槽に固液分
離で得られた分離汚泥の一部を返送し、種晶作用によ
り、CaSO4 ・2H2 O,CaF2 ,SiO2 の析出
を促進させる方法も提案されている。
【0004】なお、特開平6−23371号公報には、
酸性フッ素含有排水にカルシウム化合物を添加して含有
されるフッ素をCaF2 として不溶化し、不溶化物を固
液分離する方法において、発生汚泥量の低減、CaF2
純度の向上、カルシウム化合物添加量の低減、及び処理
水水質の向上を目的として、反応槽を2段に設置し、前
段の反応槽に分離汚泥を返送し、後段の反応槽にカルシ
ウム化合物を添加する方法が提案されている。この方法
は、フッ素を不溶化して除去するものであり、硫酸の除
去については考慮されていない。
【0005】また、特開平2−164493号公報に
は、リン酸含有排水にカルシウム化合物を添加してリン
を不溶化し、不溶化物を固液分離する方法において、固
液分離性の向上、発生汚泥量の低減及び得られる汚泥の
脱水性の改善を目的として、反応槽を2段に設置し、各
反応槽にカルシウム化合物を添加して、前段の反応槽を
pH6.5〜7.0に調整し、後段の反応槽をpH8.
0〜8.5に調整する方法が提案されている。この方法
は、リン酸をヒドロキシアパタイトとして不溶化して除
去するものであり、硫酸の除去については全く示唆され
ていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】硫酸含有排水にカルシ
ウム化合物を添加して、不溶物を膜分離処理する方法に
おいては、スケールの生成を防止すると共に、安定した
フラックスを維持するために、系内のSSを一定濃度に
制御する必要がある。
【0007】即ち、系内から引き抜いた余剰SS分の脱
水効率を考慮した場合、系内のSS濃度は高い方が好ま
しいが、過度にSS濃度が高くなると膜が閉塞してフラ
ックスが低下する。また、SS濃度が低過ぎてもスケー
ルが生成して膜が閉塞し易くなる。このため、系内のS
S濃度は所定の濃度で一定に保つ必要がある。
【0008】しかしながら、前述の従来法により、排煙
脱硫排水にCa(OH)2 等のカルシウム化合物を添加
して、不溶化物を膜分離により固液分離する場合、系内
のSS濃度を一定に保つことが困難で、生成する不溶化
物(汚泥)の結晶粒子の大きさや、不溶化反応の程度を
制御することができないために、次のような不具合が生
じていた。
【0009】即ち、粗大な汚泥の結晶粒子が析出し、こ
の粗大粒子が膜面に付与する物理的作用で膜が損傷した
り、不溶化物の結晶が膜面でも析出することにより、膜
が目詰りし、著しい場合にはスケール障害を起こしたり
する。
【0010】膜が損傷した場合には、薬品洗浄のような
化学的手法や、或いは物理的手法でも回復させることは
できず、膜交換が必要となるが、膜を頻繁に交換するこ
とは、膜コスト、装置の稼動効率、運転の安定性等の面
で不利である。
【0011】また、膜の目詰りにより透過水量(フラッ
クス)が低下した場合には、薬品洗浄を行うことが必要
になるが、例えば、数日間でフラックスが半減するよう
な場合には、頻繁に薬品洗浄を行う必要があり、薬品コ
スト、装置の稼動効率、運転の安定性等の面で不利であ
る。また、このように薬品洗浄の頻度が高い場合、膜の
交換頻度も高くなる。
【0012】本発明は上記従来の問題点を解決し、排煙
脱硫排水等の硫酸含有排水にカルシウム化合物を添加し
て硫酸を不溶化し、不溶化物を膜分離処理する方法にお
いて、膜の目詰りや膜の損傷を防止して、安定かつ効率
的な処理を行う方法を提供することを目的とする。
【0013】本発明は、また、この方法において、装置
の立ち上げ時及び運転中において、好適な粒子径のSS
を容易に発生させて系内のSS濃度を一定に維持するこ
とにより、膜の損傷や膜の閉塞によるフラックスの低下
を防止して、長期に亘り安定かつ効率的な処理を行うこ
とができる硫酸含有排水の処理方法を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の硫酸含有排水
の処理方法は、硫酸含有排水にカルシウム化合物を添加
してpH4〜6に調整する第1の工程、該第1の工程の
処理水に更にカルシウム化合物を添加してpH6.5〜
8に調整する第2の工程、及び該第2の工程の処理水を
膜分離装置に供給して膜分離処理し、透過水を処理水と
して系外へ排出する第3の工程を備えてなることを特徴
とする。
【0015】この方法においては、硫酸含有排水にカル
シウム化合物を添加して硫酸カルシウム(CaSO4
2H2 O)等の不溶化物を生成させるに当り、カルシウ
ム化合物を2段階に分けて添加する。
【0016】第1の工程で硫酸含有排水にカルシウム化
合物を添加してpH4〜6とすることにより、適当な反
応速度で適度な大きさの結晶粒子を析出させることがで
きる。これにより、第3の膜分離工程での膜の損傷が防
止される。
【0017】第2の工程で第1の工程の処理水にカルシ
ウム化合物を添加してpH6.5〜8とすることによ
り、未反応のスケール成分を効率的に析出させ、第3の
膜分離工程における膜面でのスケール析出を防止する。
これにより、膜の目詰りやスケール障害が防止される。
【0018】上記請求項1の方法によれば、従来の問題
点の大半は解決されるが、運転初期、即ち装置立上げ時
においては、更に解決すべき、次のような問題がある。
【0019】即ち、請求項1の方法を実施する場合、装
置の立上げ時には系内のSSを一定にするために、 SS成分として試薬や、排煙脱硫プロセスで生成す
る石膏を添加する。 系内のSSが所定の濃度になるまで膜による濃縮を
行う。 のいずれかの方法を採用するが、の方法であると一般
に添加する石膏粒子の粒子径が不揃いのため通水直後よ
りフラックスが低下するため添加する石膏を所定の粒径
範囲に分級する必要があり煩雑な操作となる。また、
の方法では生成する石膏の析出速度が遅いため、膜面で
スケール化し、やはり通水直後よりフラックスが低下す
るという問題が生じる。
【0020】請求項2の硫酸含有排水の処理方法は、こ
のような問題を解決するためのものであり、粒子径5〜
50μmの硫酸カルシウム粒子の存在下に、硫酸含有排
水にカルシウム化合物を加えてpH4〜6の条件下に反
応させる第一工程と、第一工程流出液にカルシウム化合
物を加えてpH6.5〜8の条件下に反応させる第二工
程と、第二工程流出液を循環槽に導入し、該循環槽の液
を膜分離装置に供給して透過水と濃縮液とに分離する第
三工程と、第三工程の濃縮液を前記循環槽に返送する第
四工程と、を備えることを特徴とする。
【0021】粒子径5〜50μmの硫酸カルシウム粒子
の存在下に、カルシウム化合物を2段階で添加して、各
々所定のpHで反応させることにより、系内に最適な粒
子径のSSを発生させることができ、微小粒子径のSS
による膜の閉塞や粗大粒子径のSSによる膜の損傷によ
る膜フラックスの低下を防止して長期に亘り安定かつ効
率的な処理を継続できる。
【0022】なお、本発明で用いる粒子径5〜50μ
m、好ましくは5〜30μmの硫酸カルシウム粒子とし
ては、硫酸含有水に硫酸とカルシウム化合物を加えてp
H4〜6の条件下に反応させ、次いでカルシウム化合物
を加えてpH6.5〜8の条件下に反応させて得られた
ものが好適である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例について詳細に説明する。
【0024】図1,2は本発明の硫酸含有排水の処理方
法の一実施例方法を示す系統図である。
【0025】まず、図1を参照して本発明の請求項1の
方法について説明する。
【0026】図1に示す方法においては、排煙脱硫排水
等の硫酸含有排水は、まず、配管11より、pH計1A
を備える第1反応槽1に導入され、配管20,20Aよ
りCa(OH)2 等のカルシウム化合物が添加されてp
H4〜6、好ましくはpH4.5〜5.5程度に調整さ
れる。
【0027】この第1反応槽1における調整pHが4未
満であると、反応速度が遅く、CaSO4 の溶解量が多
く、析出量が少なくなる。pHが6を超えると、反応速
度は速いが、析出物が大きな粒子となり、後段の膜分離
工程において、粗大粒子が膜面を物理的作用で押しつぶ
すなどして、膜の損傷を引き起こす。
【0028】なお、本実施例においては、この第1反応
槽1に、後段の膜モジュール5の濃縮水が、配管16,
16Bを経て返送されている。このように、膜モジュー
ル5の濃縮水の一部又は全部を第1反応槽1に返送する
ことにより、析出反応を促進させ、系内の過飽和度を低
く保つことができ、膜分離工程でのスケール障害等のト
ラブルをより一層確実に防止することができるという利
点が得られるが、濃縮水の返送は必須ではなく、返送し
なくても良い。また、濃縮水を直接第1反応槽1に返送
する代りに、循環槽3内の液の一部を第1反応槽1に返
送するようにしても良い(図1の破線で示す配管2
1)。
【0029】第1反応槽1の流出水は、配管12より、
pH計2Aを備える第2反応槽2に導入され、配管2
0,20BよりCa(OH)2 等のカルシウム化合物が
添加されてpH6.5〜8に調整される。この第2反応
槽2における調整pHが6.5未満であると、未反応の
スケール成分が過飽和状態で溶解し、後段の膜モジュー
ル5の膜面等で次第に析出し、遂にはスケール障害を引
き起こす。また、pHが8.0を超えるとCaCO3
生成し、やはり膜面にスケール化してフラックスの低下
をきたす。
【0030】第2反応槽2の流出水は、配管13、循環
槽3、配管14、循環ポンプ4及び配管15を経て膜モ
ジュール5に導入される。この膜モジュール5の膜とし
ては、好ましくは限外濾過(UF)膜又は精密濾過(M
F)膜が用いられる。膜モジュールの形式には特に制限
はなく、チューブ型、平膜型等を用いることができる。
【0031】膜モジュール5の透過水は、配管17、逆
洗用処理水タンク6及び配管18より処理水として系外
へ排出される。この処理水は、必要に応じて溶存するC
ODや微量のフッ素を更に除去する高度処理を行った後
放流されるか、或いは、更に脱塩処理等を施して用水と
して再使用される。
【0032】一方、膜モジュール5の濃縮水は配管16
より抜き出され、一部が配管16Bを経て第1反応槽1
に返送され、残部は配管16Aより循環槽3に循環され
る。この循環槽3では、必要に応じて、配管19より汚
泥(SS)が引き抜かれ、脱水処理等で処分される。
【0033】なお、図示の如く、濃縮水の一部(又は循
環槽3内の液の一部)を第1反応槽1に返送する場合、
その返送量は排水流量に対して、50〜500%程度と
するのが好ましい。
【0034】膜モジュール5の膜は、このような処理を
所定時間行う毎に、コンプレッサ7により逆洗用処理水
タンク6内の処理水を加圧して配管17より逆流させる
ことにより逆洗する。
【0035】請求項1の方法によれば、カルシウム化合
物を2段階で添加して、各工程のpHを所定の値に調整
することにより、スケール成分の溶解量を十分に低減す
ると共に、粗大粒子の析出を防止する。従って、スケー
ル成分の膜面での析出によるスケール障害や粗大粒子の
流入による膜の損傷が防止される。
【0036】次に図2を参照して本発明の請求項2の方
法について説明する。なお、図2において、図1に示す
部材と同一機能を奏する部材については同一符号が付し
てある。
【0037】図2の方法においては、まず、立ち上げ時
に配管11より、処理する硫酸含有排水、例えば、スー
ツ分離型排煙脱硫排水(F,SiO2 ,Fe,Al等を
含む酸性排水)を導入して、第1反応槽1を満たす。一
方、第2反応槽2及び循環槽3は工業用水で満たし、循
環槽3内の工水を循環ポンプ4で、配管14,22,1
6,16Bを経て第1反応槽1に戻すようにする。そし
て、第1反応槽1に配管23よりH2 SO4 を添加する
と共に、配管20,20AよりCa(OH)を添加し
て、第1反応槽1内をpH4〜6に制御する。また、第
2反応槽2へは、配管20,20BよりCa(OH)
を添加して第2反応槽2内をpH6.5〜8に制御
する。
【0038】このようにして、第1反応槽1に添加した
2 SO4 及び排水中のH2 SO4を、Ca(OH)2
と所定のpHで2段階に反応させることにより、系内に
粒子径5〜50μmの硫酸カルシウム(CaSO4 )粒
子を形成することができる。
【0039】この前処理工程において、第1反応槽1へ
のH2 SO4 の添加量は、2〜20kg/m3・day程
度であることが好ましい。即ち、所望の粒子径の硫酸カ
ルシウム(CaSO4 ・2H2 O(以下、単に「CaS
4 」と記す。)粒子を所望の濃度で生成させるために
は、排水中のH2 SO4 (通常、排煙脱硫排水のSO4
濃度は3000〜10000mg/Lである。)のみで
は不足である。従って、第1反応槽1へは、2〜20k
g/m3・day程度のH2 SO4 の添加が必要となる。
このH2 SO4 添加量が2kg/m3・day未満では、
CaSO4 粒子の生成量が少なく、所定の濃度に達する
までに時間がかかり、効率が悪い。H2SO4 添加量が
20kg/m3・dayを超えると微細粒子が生成し、所
望の粒子径のCaSO4 粒子を形成し得ない。
【0040】前処理工程においては、第1反応槽1で、
添加されたH2 SO4 の約20〜60%が微細なSS
(CaSO4 粒子)を生成し、次いで、第2反応槽2に
おいて、この微細なSS粒子を核として残部のH2 SO
4 がSSとして析出する。
【0041】前処理工程において、第1反応槽1におけ
る調整pHが4未満であると石膏の生成量が少なく、第
2反応槽で50μmを超える粒子を主体とした石膏が生
成し、一方、pHが6を超えると第1反応槽で50μm
を超える粒子を主体とした石膏が生成する。また、第2
反応槽の調整pHが6.5未満では5μm未満の粒子が
大量に発生し、pHが8を超えると50μmを超える粒
子を主体とする石膏が生成する。
【0042】上記前処理工程において系内に生成させる
SS濃度は、排水処理工程における好適SS濃度と同様
に、1〜10%、特に4〜6%となるように制御するの
が好ましい。
【0043】なお、上記説明では、前処理工程におい
て、水を、第1反応槽1、第2反応槽2及び循環槽3に
循環させているが、更に、循環槽3から、膜モジュール
5の原水室側に通水した(透過はさせない)後、第1反
応槽1に返送するようにしても良い。
【0044】また、上記前処理工程においては、被処理
硫酸含有排水を第1反応槽、第2反応槽及び循環槽に満
たしてもよい。又は工業用にかえて水道水やその他の産
業排水を用いても良い。
【0045】前処理工程において、系内に所定粒子径の
SS(CaSO4 )粒子が所定濃度で形成された後は、
前述の請求項1の方法と同様にして排水の処理を開始す
る。
【0046】即ち、排水を所定の流量で配管11より第
1反応槽1に導入して配管20,20AよりCa(O
H)2 を添加してpH4〜6で反応させる。この第1反
応槽1の流出液は配管12より第2反応槽2に導入し、
配管20,20BよりCa(OH)2 を添加してpH
6.5〜8で反応させる。このような2段反応により前
記前処理工程と同様の原理で、第1反応槽1において、
排水中のSO4 の一部がCaSO4 として析出し、次い
で、第2反応槽2において、第1反応槽1で析出したC
aSO4 粒子を核として、SO4 の残部が析出すること
により、SO4 が効率的に処理される。
【0047】第2反応槽2の流出液は、一旦循環槽3へ
送られ、そこから配管14,15を経て膜モジュール5
に導入し、透過水は配管17、逆洗用透過水タンク6及
び配管18を経て処理水として系外へ排出する。
【0048】一方、濃縮液は配管16,16Aを経て循
環槽3に返送する。なお、この濃縮液の一部は、配管1
6Bを経て第1反応槽1に返送しても良い。
【0049】上記排水処理工程において、第1反応槽1
のpHが4未満では反応速度が遅く、石膏の析出量が少
なくなる。一方、6を超えると析出物の粒径が50μm
を超えるようになる。また、第2反応槽2のpHが6.
5未満では未反応のスケール成分が過飽和の状態で溶解
したまま膜モジュール5に流入することとなり、これが
膜モジュール5内で次第に析出し、膜の閉塞を引き起こ
す。また、第2反応槽2のpHが8を超えると炭酸カル
シウムが析出し始め、膜面にスケールとして析出し、フ
ラックスの低下をきたす。
【0050】このような排水処理において、系内のSS
濃度は1〜10%、特に4〜6%の範囲となるように、
適宜、循環槽3より配管19を経てSSを引き抜く。
【0051】また、所定時間、例えば、5〜360分毎
に、コンプレッサ7で逆洗用透過水タンク6内の透過水
を配管17を経て膜モジュール5に逆洗させることによ
り膜の逆洗を行う。
【0052】このように、系内に5〜50μmのCaS
4 粒子が存在する状態で第1反応槽1においてCa
(OH)2 を添加してpH4〜6に制御し、更に、第2
反応槽2においてCa(OH)2 を添加してpH6.5
〜8に制御することにより、膜モジュール5の膜フラッ
クスの低下を防止して、長期に亘り、安定かつ効率的な
処理を行える。
【0053】なお、本発明において、添加するカルシウ
ム化合物としては、上記Ca(OH)2 の他、CaO,
CaCl2 (塩化カルシウム(CaCl2 )を用いる場
合は、pH調整のために水酸化ナトリウム(NaOH)
等のアルカリを併用する。)等を用いることができ、そ
の添加形態もスラリー状、粉体状等、いずれの形態であ
っても良い。
【0054】このような本発明の方法で処理対象となる
硫酸含有排水としては、フッ素、シリカ、鉄、アルミニ
ウム等が共存する酸性排水のスーツ分離型排煙脱硫排
水、スーツ混合型排煙脱硫排水、半導体製造排水等が挙
げられる。
【0055】
【実施例】以下に具体的な実施例及び比較例を挙げて本
発明をより詳細に説明する。
【0056】実施例1 図1に示す請求項1の方法に従って、排煙脱硫排水(p
H1.5,SS:173mg/L,SO4 :5300m
g/L,F:300mg/L,SiO2 :240mg/
L,Al:76mg/L)の処理を行った。
【0057】カルシウム化合物としては、Ca(OH)
2 を用い、第1反応槽及び第2反応槽において、pHが
各々表1に示す値となるように添加して、MF膜モジュ
ールで連続的に処理した。ただし、膜モジュールの濃縮
液は全量循環槽に循環し、循環槽内液の一部を第1反応
槽に返送するようにした(破線で示す配管20)。各部
の仕様、処理条件は下記の通りとした。
【0058】排水流量:200L/日 第1反応槽容量:5L 第2反応槽容量:20L 循環槽容量:20L MF膜モジュール:内径5.5mm,長さ700mmの
MF膜が3本内蔵された膜モジュール1本 循環水流速:2.0m/秒 循環槽から第1反応槽への返送水量:400L/日 膜の循環水圧:1.0kg−f/cm 循環槽からの汚泥引抜き量:20L/日 透過水(処理水)量:5.0m3/2・日(定流量弁で
一定流量に調節) 膜モジュールは15分の通水運転毎に、2kg−f/c
2 に加圧した処理水を5秒間逆流させることにより逆
洗した。
【0059】このような処理において、膜の透過水量
を、循環水平均圧(原水側圧力)と処理水の圧力(透過
水側圧力)との差圧を0.5kg−f/cm2 ,温度2
5℃(粘性補正)における値に換算して標準フラックス
(m3 /m2 ・日)を求め、その経日変化を調べた。ま
た、この結果から、標準フラックスの低下速度を算出し
た。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】表1より、請求項1の方法によれば、フラ
ックスの低下を防止して、フラックスを安定に維持でき
ることが明らかである。
【0062】実施例2 図2に示す装置(第1反応槽容積:5L,第2反応槽容
積;20L,循環槽容積:20L,膜モジュール:膜面
積0.036m2 のチューブラー型MF膜モジュール)
により、請求項2の方法に従って排煙脱硫排水(pH:
1.7,SS:327mg/L,SO4 :3860mg
/L,F:183mg/L,SiO2 :209mg/
L,Al:68mg/L)の処理を行った。
【0063】まず、前工程として第1反応槽1に処理す
る排煙脱硫排水を満たし、第2反応槽2、循環槽3に工
水を満たした。第1反応槽1に96重量%硫酸を0.2
2L/day(硫酸として反応槽容量に対して2.0×
10-3kg/m3・day)で注入すると共に、Ca(O
H)2 を添加してpHを5.5とした。第1反応槽1の
流出液は第2反応槽2に導入し、第2反応槽2ではCa
(OH)2 を添加してpH6.5に制御した。この第2
反応槽2の流出液は循環槽3に導入した後、膜モジュー
ル5には通水せずに、循環ポンプ4で、バイパス配管2
2及び返送配管16,16Bを経て第1反応槽1に40
0L/dayの流量で返送した。この運転を3日間連続
して行ったところ、循環槽4内の液には、平均粒子径2
5μmのSS粒子、即ち、硫酸カルシウム粒子が5重量
%生成していたので、排水処理工程に移行した。
【0064】第1反応槽1への硫酸の添加を停止し、各
反応槽1,2のCa(OH)2 の添加によるpH制御を
継続した状態で排煙脱硫排水を200L/dayで第1
反応槽1に導入すると共に、循環槽3内の液を循環ポン
プ4で膜モジュール5に通水し、膜分離処理した。膜モ
ジュール5は、管内流速2m/secで循環させ、透過
水を5m3 /m2・dayで採水した。膜の逆洗は、透過
水を用いて15分に1回の割合で5秒間行った。
【0065】この処理工程における透過水量、透過水圧
力、循環水圧力及び温度から基準フラックス(m3 /m
2・day・25℃,0.5kgf/cm2 )を換算し、
通水時間と基準フラックスとの関係を求め、結果を表2
に示した。また、各通水時間毎の循環槽内のSS粒子の
平均粒子径を測定し、結果を表2に示した。
【0066】比較例1 実施例2において、硫酸による前処理工程を行う代りに
膜による濃縮を行って系内のSS濃度を所定濃度に高め
ることで、直接、排煙脱硫排水の処理を行ったこと以外
は同様にして運転を行い、同様に通水時間に対する基準
フラックス及びSS粒子の平均粒子径を求め、結果を表
2に示した。
【0067】
【表2】
【0068】表2より明らかなように、請求項2の方法
による実施例2では700時間の通水後においても、フ
ラックスの低下は6.1m3 /m2・dayで安定してい
たが、膜による濃縮で立ち上げる比較例1では同時間の
通水で、フラックスの低下量は13.1m3 /m2・da
yと非常に大きかった。この比較例1において、実験終
了後において、膜面を観察したところ、膜面に白いスケ
ールが付着していた。
【0069】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の硫酸含有排
水の処理方法によれば、排煙脱硫排水等の硫酸含有排水
にCa(OH)2 等のカルシウム化合物を添加し、生成
した不溶化物を膜分離処理により分離する方法におい
て、析出する結晶粒子の大きさを制御すると共に、スケ
ール成分を確実に析出させることにより、膜の損傷やス
ケール障害を防止することができる。
【0070】このため、 膜フラックスを長期間安定に維持できる。 薬品洗浄頻度が低減される。このため、洗浄のため
の薬品コスト等の洗浄コストが低減し、装置の稼動効率
も向上する。 膜寿命が長くなり、膜の交換頻度が低減される。こ
のため、膜コスト等の膜交換に要するコストが低減し、
装置の稼動効率も向上する。といった効果が奏され、安
定かつ効率的な処理を行える。
【0071】特に、請求項2の硫酸含有排水の処理方法
によれば、このような方法において、膜面のケーキ抵抗
増大による膜の閉塞や膜の損傷等に起因する膜フラック
スの低下をより一層確実に防止して長期に亘り安定かつ
効率的な処理を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1の硫酸含有排水の処理方法の
一実施例方法を示す系統図である。
【図2】本発明の請求項2の硫酸含有排水の処理方法の
一実施例方法を示す系統図である。
【符号の説明】
1 第1反応槽 2 第2反応槽 3 循環槽 4 循環ポンプ 5 膜モジュール 6 逆洗用透過水タンク 7 コンプレッサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近沢 清仁 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 (72)発明者 高土居 忠 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 (72)発明者 佐藤 武 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗田 工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸含有排水にカルシウム化合物を添加
    してpH4〜6に調整する第1の工程、 該第1の工程の処理水に更にカルシウム化合物を添加し
    てpH6.5〜8に調整する第2の工程、及び該第2の
    工程の処理水を膜分離装置に供給して膜分離処理し、透
    過水を処理水として系外へ排出する第3の工程を備えて
    なる硫酸含有排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 粒子径5〜50μmの硫酸カルシウム粒
    子の存在下に、硫酸含有排水にカルシウム化合物を加え
    てpH4〜6の条件下に反応させる第一工程と、 第一工程流出液にカルシウム化合物を加えてpH6.5
    〜8の条件下に反応させる第二工程と、 第二工程流出液を循環槽に導入し、該循環槽の液を膜分
    離装置に供給して透過水と濃縮液とに分離する第三工程
    と、 第三工程の濃縮液を前記循環槽に返送する第四工程と、
    を備える硫酸含有排水の処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項2の方法において、粒子径5〜5
    0μmの硫酸カルシウム粒子が、硫酸含有水に硫酸及び
    カルシウム化合物を加えてpH4〜6の条件下に反応さ
    せ、次いでカルシウム化合物を加えてpH6.5〜8の
    条件下に反応させて得られたものであることを特徴とす
    る硫酸含有排水の処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002035543A (ja) * 2000-07-21 2002-02-05 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 脱硫排水処理方法
JP2006272121A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Kurita Water Ind Ltd 水処理装置の立ち上げ方法

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