JPH10133405A - 電荷輸送性樹脂及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

電荷輸送性樹脂及びそれを用いた電子写真感光体

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JPH10133405A
JPH10133405A JP8286820A JP28682096A JPH10133405A JP H10133405 A JPH10133405 A JP H10133405A JP 8286820 A JP8286820 A JP 8286820A JP 28682096 A JP28682096 A JP 28682096A JP H10133405 A JPH10133405 A JP H10133405A
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resin
charge transporting
water
charge
integer
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JP8286820A
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English (en)
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Katsumi Nukada
克己 額田
Toru Ishii
徹 石井
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特性の安定した電荷輸送性樹脂及びこれを用
いた電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 電荷輸送性樹脂において、該電荷輸送性
樹脂を有機溶剤に溶解させ、その溶液から水溶性成分を
蒸留水にて抽出したときの抽出液のpHが該蒸留水のp
Hと0.5との和以下である。また、電子写真感光体に
おいて、この電荷輸送性樹脂を感光層中に1種以上含有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機電子デバイス
に用いる電荷輸送性樹脂と、それを用いた電子写真感光
体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルカルバゾール(PVK)や、
ポリシランに代表される電荷輸送性樹脂や、電荷輸送性
の低分子化合物を樹脂中に分散した低分子分散系の有機
半導体は、電子写真感光体や、有機EL素子及びヨウ素
等のアクセプターをドーピングした導電材料等のいわゆ
る有機電子デバイスに有用なものである。このうち、特
に有機電子デバイスの一つである電子写真感光体におい
ては、感光層を形成するために電荷輸送性樹脂や、電荷
輸送性の低分子化合物を分散させるためのポリカーボネ
ートに代表される樹脂が必須の材料として使用される。
また、有機電子デバイスのもう一つの例である有機EL
素子においても、発光時のジュール熱による融解や結晶
化等のモルホロジー変化を受けにくいことから、電荷輸
送性樹脂及び電荷輸送性の低分子化合物を絶縁性樹脂中
に分散させた低分子分散系のような、樹脂を使用するも
のが注目されている。
【0003】このうち、低分子分散系では、化合物の選
択範囲が大きく高性能のものが得やすいといったメリッ
トがあるものの、低分子を樹脂中に分散して用いるた
め、低分子化合物の熱によるマイグレーションが生じた
り、樹脂本来の機械的な性能が低下してしまう等、機械
的強度が本質的に弱いという欠点があった。
【0004】これに対し、電荷輸送性樹脂は、低分子を
混合する必要がなく、機械的強度を大きく改善できる可
能性があるため、現在盛んに研究されている。例えば、
米国特許第4,806,443号明細書には、特定のジ
ヒドロキシアリールアミンとビスクロロホルメートとの
重合によるポリカーボネートが開示されており、米国特
許第4,806,444号明細書には特定のジヒドロキ
シアリールアミンとホスゲンとの重合によるポリカーボ
ネートが開示されている。また、米国特許第4,80
1,517号明細書にはビスヒドロキシアルキルアリー
ルアミンとビスクロロホルメート又はホスゲンとの重合
によるポリカーボネートが開示されており、米国特許第
4,937,165号明細書及び米国特許第4,95
9,288号明細書には、特定のジヒドロキシアリール
アミン又はビスヒドロキシアルキルアリールアミンとビ
スクロロホルメートとの重合によるポリカーボネート又
はビスアシルハライドとの重合によるポリエステルが開
示されている。さらに、米国特許第5,034,296
号明細書には特定のフルオレン骨格を有するアリールア
ミンのポリカーボネート及びポリエステルが、米国特許
第4,983,482号明細書にはポリウレタンがそれ
ぞれ開示されている。さらに、特公昭59−28903
号公報には、特定のビススチリルビスアリールアミンを
主鎖としたポリエステルが開示されている。また、特開
昭61−20953号公報、特開平1−134456号
公報、特開平1−134457号公報、特開平1−13
4462号公報、特開平4−133065号公報及び特
開平4−133066号公報等には、ヒドラゾンや、ト
リアリールアミン等の電荷輸送性の置換基をペンダント
とした電荷輸送性樹脂及びそれを用いた感光体が提案さ
れている。特に、テトラアリールベンジジン骨格を有す
る電荷輸送性樹脂は、”The Sixth Inte
rnational Congress on Adv
ances in Non−impact Print
ing Technologies. 306,199
0”にも報告されているようにモビリティーが高く、実
用性の高いものである。
【0005】ところで、有機電子デバイスに使用する有
機材料においても、通常の無機半導体と同様に材料の純
度がその特性に大きく影響することがわかっているが、
樹脂は高分子であるため、通常の低分子の有機物に対し
てとられる再結晶、蒸留、カラム分離等の精製方法が適
用できず、特に電荷輸送性樹脂の場合、安定した特性の
樹脂を得にくいことが実用化の大きな障壁となってい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、特願平
6−151776号、同6−219599号、同6−3
29853号、同6−329854号、同7−2448
4号、同7−293761号等に新規な高性能電荷輸送
性樹脂を開示した。これら電荷輸送性樹脂は、前記の公
知電荷輸送性樹脂材料に比べ、モビリティーが高く、か
つ、機械的特性にも優れる材料であるが、一方で、その
電気特性が電荷輸送性樹脂の合成条件に著しく影響され
る。
【0007】本発明の目的は、電気特性に影響する要因
を明らかにすることによって、特性の安定した電荷輸送
性樹脂を提供し、ひいてはこの電荷輸送性樹脂を使用し
た特性の優れた電子写真感光体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らが、電荷輸送
性樹脂における不純物とその電気特性について検討した
結果、水溶性の不純物、特に、水溶性塩基性不純物(即
ち、水酸基)が樹脂の電気特性を著しく劣化させること
が明らかとなった。そして、この不純物量を特定の範囲
とすることで電気特性に優れた電荷輸送性樹脂を安定し
て生産できることを見い出し、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明に係る電荷輸送性樹脂は、該
電荷輸送性樹脂を有機溶剤に溶解させ、その溶液から水
溶性成分を水にて抽出したときの抽出液のpHが該水の
pHと0.5との和以下であることを特徴とする。
【0010】また、本発明に係る電子写真感光体は、感
光層中に1種以上の上記電荷輸送性樹脂を含有すること
を特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
なお、各一般式等において、官能基が同じである場合に
は、同じ符号を使用した。
【0012】本発明では、電荷輸送性樹脂として、一般
式(I−1)及び(I−2)のいずれかで表される構造
の1種以上を繰り返し単位の部分構造として含有する電
荷輸送性樹脂が挙げられる。
【0013】
【化3】
【0014】式中、R1 〜R6 はそれぞれ独立に水素、
アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原
子、又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。k,
lはそれぞれ0又は1を示す。
【0015】Tは炭素数1〜10の枝分かれしてもよい
2価の炭化水素基を示し、具体的には以下のものが例示
できる。
【0016】
【化4】
【0017】アリールアミン骨格はどちらの側と結合し
てもよく、例えば、T−5rと記した場合には構造T−
5の右側に、T−5lと記載した場合には、T−5の左
側に一般式(I−1)又は(I−2)が結合しているこ
とを示す。
【0018】Xは置換又は未置換の2価のアリール基を
示し、具体的には以下の基(7)〜(13)が例示でき
る。
【0019】
【化5】
【0020】ここで、R7 は、水素原子、炭素数1〜4
のアルキル基、置換若しくは未置換のフェニル基、又は
置換若しくは未置換のアラルキル基を表し、R8 〜R14
は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、置換若しくは未置換のフェニル基、
置換若しくは未置換のアラルキル基又はハロゲン原子を
表し、aは0又は1を示す。また、Vは下記の基(1
4)〜(23)から選択される。
【0021】
【化6】
【0022】ここで、bは1〜10の整数を示し、cは
1〜3の整数を示す。以上挙げた電荷輸送性樹脂のう
ち、より具体的には、一般式(II)、(III )、(IV)
及び(V)のいずれかで表される電荷輸送性ポリエステ
ル又は電荷輸送性ポリカーボネート樹脂を好適に使用す
ることができる。
【0023】
【化7】
【0024】式中、Aは、一般式(I−1)又は(I−
2)を表す。Bは−O−(Y’−O)m’−、又は、
Z’を示し、m,m’は1〜5の整数、nは0又は1を
表し、pは5〜5000の整数、qは1〜5000の整
数、rは1〜3500の整数をそれぞれ示し、q+rは
5〜5000の整数で0.3≦q/(q+r)<1であ
る。
【0025】Y、Y’、Z、Z’は2価の炭化水素基を
表し、具体的には、以下の基(24)〜(30)を挙げ
ることができる。
【0026】
【化8】
【0027】ここで、d、eは1〜10の整数を示し、
f、gは0、1又は2を示し、h、iは0又は1を示
す。
【0028】以下、一般式(I−1)の具体例を表1〜
6に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】次に、一般式(I−2)の具体例を表7〜
11に示す。
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】
【表9】
【0039】
【表10】
【0040】
【表11】
【0041】また、一般式(II)の具体例を表12及び
13に示す。
【0042】
【表12】
【0043】
【表13】
【0044】さらに、一般式(III )の具体例を表14
に示す。
【0045】
【表14】
【0046】また、一般式(IV)の具体例を表15に示
す。
【0047】
【表15】
【0048】一般式(V)の具体例を表16〜19に示
す。
【0049】
【表16】
【0050】
【表17】
【0051】
【表18】
【0052】
【表19】
【0053】次に、電荷輸送性樹脂の一般的な合成方法
について説明する。一般式(II)で示される電荷輸送性
樹脂は、下記一般式(VI)で示されるジエステル化合物
にHO−(Y−O)m −Hで表される2価アルコール類
を過剰に加え、チタンアルコキシド、カルシウム、コバ
ルト等の酢酸塩若しくは炭酸塩、又は亜鉛若しくは鉛の
酸化物等を触媒に用いてこれを加熱することによって合
成できる。エステル交換反応は2段階で進行し、まず
(VI)で示されるジエステル化合物の両端のアルコール
がHO−(Y−O)m −Hで示される2価アルコールに
交換され、次いで、2段階目の反応でポリマー化が進行
する。2価アルコール類の使用量は、一般式(VI)で示
されるジエステル化合物1当量に対して、2〜100当
量、好ましくは3〜50当量である。触媒の使用量は、
該ジエステル化合物1重量部に対して、1/10000
〜1重量部、好ましくは1/1000〜1/2重量部で
ある。反応温度は200〜300°Cとし、基−O−R
から−O−(Y−O)m −Hへのエステル交換終了後
は、HO−(Y−O)m −Hの脱離による重合を促進す
るため、0.01〜100mmHg程度、好ましくは
0.05〜20mmHgの減圧下で反応させることが好
ましい。また、HO−(Y−O) m −Hと共沸可能な1
ークロロナフタレン等の高沸点溶剤を用いて、常圧下で
HO−(Y−O)m −Hを共沸で除きながら反応させて
もよい。
【0054】
【化9】
【0055】式中、Rはアルキル基、置換若しくは未置
換のアリール基、又はアラルキル基を表す。
【0056】一般式(III )で示される電荷輸送性樹脂
は、上記一般式(VI)で示されるジエステル化合物にH
O−(Y−O)m −Hで表される2価アルコール類を過
剰に加え、チタンアルコキシド、カルシウム、コバルト
等の酢酸塩若しくは炭酸塩、又は亜鉛若しくは鉛の酸化
物を触媒に用いてこれを加熱することによって下記一般
式(VII )で示されるジオール化合物に変換した後、こ
れをCl−CO−Z−CO−Clで示される2価カルボ
ン酸ハロゲン化物等と反応させればよい。反応に使用す
る溶剤としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン
(THF)、トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナ
フタレン等が有効であり、その使用量は、電荷輸送性モ
ノマー1重量部に対して、1〜100重量部、好ましく
は2〜50重量部の範囲であり、ピリジンやトリエチル
アミン等の有機塩基性触媒を用いて重合する。有機塩基
性触媒の使用量は、電荷輸送性モノマー1当量に対し
て、1〜10当量、好ましくは2〜5当量であり、反応
温度は任意に設定できる。
【0057】
【化10】
【0058】一般式(IV)で示される電荷輸送性樹脂
は、下記一般式(VIII)で示されるジオール化合物に、
炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、ビスフ
ェノールビスカーボネート等の炭酸ジエステル類、テレ
フタル酸ジメチル、ビスフェノールのジエステル等のジ
エステル類を過剰に加え、チタンアルコキシド、カルシ
ウム、コバルト等の酢酸塩若しくは炭酸塩、又は亜鉛若
しくは鉛の酸化物を触媒に用いてこれを加熱することに
より合成できる。炭酸ジエステル類又はジエステル類の
使用量は、一般式(VIII)で示されるジオール化合物1
当量に対して、2〜100当量、好ましくは3〜50当
量である。触媒の使用量は、該ジオール化合物1重量部
に対して、1/10000〜1重量部、好ましくは1/
1000〜1/2重量部である。一段階めの反応(エス
テル交換反応)では、反応温度を200〜300°Cと
し、一般式(VIII)で示されるジオール化合物が消費さ
れた後は、重合を促進するため、0.01〜100mm
Hg程度、好ましくは0.05〜20mmHgの減圧下
で反応させることが好ましい。
【0059】
【化11】
【0060】一般式(V)で示される電荷輸送性樹脂
は、上記一般式(VI)で示されるジエステル化合物と、
下記一般式(IX)で示されるジエステル化合物とを所望
の割合で混合し、これにHO−(Y−O)m −Hで表さ
れる2価アルコール類を過剰に加え、チタンアルコキシ
ド、カルシウム、コバルト等の酢酸塩若しくは炭酸塩、
又は亜鉛若しくは鉛の酸化物等を触媒に用いてこれを加
熱することにより合成できる。2価アルコール類の使用
量は、一般式(VI)で示されるジエステル化合物と一般
式(IX)で示されるジエステル化合物との合計を1当量
としたときに、2〜100当量、好ましくは3〜50当
量である。触媒の使用量は、両ジエステル化合物の和を
1重量部としたときに、1/10000〜1重量部、好
ましくは1/1000〜1/2重量部である。反応温度
は200〜300°Cとし、基−O−Rから−O−(Y
−O)m −Hへのエステル交換終了後は、HO−(Y−
O) m −Hの脱離による重合を促進するため、0.01
〜100mmHg程度、好ましくは0.05〜20mm
Hgの減圧下で反応させることが好ましい。また、HO
−(Y−O)m −Hと共沸可能な1ークロロナフタレン
等の高沸点溶剤を用いて、常圧下でHO−(Y−O)m
−Hを共沸で除きながら反応させてもよい。
【0061】
【化12】
【0062】界面重合又は溶液重合により合成した電荷
輸送性樹脂では、触媒として塩基を使用しているため、
水酸化アルカリ等の塩基性不純物が残留しやすい。ま
た、エステル交換により合成した電荷輸送性樹脂では、
使用した金属触媒の残留により電荷がトラップされ、残
留電位が生じるため、金属触媒を除去する必要がある
が、これを効率的に除去するには樹脂溶液を塩基で洗浄
することが特に有効である。
【0063】一方、触媒で使用された又は洗浄で使用さ
れた塩基が残留すると、電荷輸送性樹脂の加水分解が起
こるため、使用された塩基を除去する必要がある。この
場合、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等のような揮発性
の酸を使用して残留塩基を中和し、次いで樹脂溶液を水
洗して、塩及び酸を除去するのが一般的である。
【0064】さらに、塩基の除去が不十分であると、残
留塩基もトラップを形成し、電荷輸送性樹脂の特性が劣
化することが明らかとなり、これを防ぐためにも中和反
応を十分に行う必要がある。
【0065】ところで、中和反応は通常瞬間的に進行す
るが、樹脂溶液中の塩基を中和する場合には、樹脂溶液
の粘度が高いために酸の拡散速度が遅くなるためか、又
は塩基性不純物が電荷輸送性樹脂との間で何らかの錯体
を形成するためか、中和反応が除々に進行することがわ
かった。
【0066】そこで、中和反応を十分に行うには、樹脂
溶液を撹拌しながら、揮発性の酸による洗浄を1時間以
上、好ましくは2時間以上、より好ましくは10時間以
上行うことが好ましい。このとき、洗浄時の温度が高い
ほど樹脂溶液の粘度が下がり、酸の拡散速度も早くなる
ため好ましいが、該温度が高くなりすぎると、電荷輸送
性樹脂の加水分解を引き起こすため、該温度は、10〜
60°C、好ましくは15〜50°C、より好ましくは
20〜40°Cに設定する。樹脂溶液における樹脂と溶
剤の量比は樹脂1部に対して溶剤1〜100部の範囲と
することができ、5〜50部が好ましく、7〜30部が
より好ましい。溶剤が少ないと、粘度が高くなりすぎ、
また、溶剤が多いと、後処理で廃液が多くなる。
【0067】中和反応終了後、生成した塩と過剰の酸を
除去するために樹脂溶液を水で洗浄する。即ち、樹脂溶
液に水を加え、攪拌した後静置すると、電荷輸送性樹脂
を含む油相と塩及び酸を含む水相とに分離するので、該
水相を除去する。この操作を繰り返して、十分に樹脂溶
液を洗浄する。
【0068】次いで、樹脂溶液をアセトン、イソプロパ
ノール等の樹脂に対して貧溶媒中に滴下することによっ
て、電荷輸送性樹脂を析出させ、析出した電荷輸送性樹
脂を濾過し、洗浄し、乾燥させること等によって、電荷
輸送性樹脂を取り出すことができる。
【0069】本発明では、取り出された電荷輸送性樹脂
が、この電荷輸送性樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液の
水溶性成分を水にて抽出したときの抽出液のpHが該水
のpHと0.5との和以下のものであることが必要であ
る。この抽出液のpHが該水のpHと0.5との和を越
えると、トラップを形成しやすく、残留電位が残りやす
くなる。
【0070】また、この洗浄液の電気伝導度は50μS
/cm以下であることが好ましい。電荷輸送性樹脂を溶
解可能な有機溶剤としては、電荷輸送性樹脂の種類にも
よるが、例えば、塩化メチレン、トルエン、モノクロロ
ベンゼン、キシレン等を挙げることができる。
【0071】また、洗浄及び/又は抽出に使用可能な水
としては、蒸留水、イオン交換水、限外濾過水、超純水
等が挙げられる。
【0072】上記の電荷輸送性樹脂は、感光層を有する
有機電子デバイスに使用することができる。
【0073】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより詳細に説
明する。
【0074】電荷輸送性樹脂を以下のように合成した。合成例 1 3,3’−ジメチル−N,N’−ビス(3,4−ジメチ
ルフェニル)−N,N’−ビス[4−(2−エトキシカ
ルボニルエチル)フェニル]−[1,1’−ビフェニ
ル]−4,4’−ジアミン100.0g、エチレングリ
コール200.0g及びテトラブトキシチタン0.8g
を2000mlのSUS316製容器にいれ、窒素気流
下で6時間加熱還流した。3,3’−ジメチル−N,
N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−N,N’−
ビス[4−(2−エトキシカルボニルエチル)フェニ
ル]−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン
が消費されたことを確認した後、容器内の気圧を大気圧
から0.5mmHgに減圧し、エチレングリコールを留
去しながら容器内温度を235°Cに上げ、この温度で
6時間反応を続けた。その後、容器内温度を室温まで冷
却した。このように合成した樹脂を塩化メチレン100
0mlに溶解し、この樹脂溶液を、0.5μmのPTF
E製メンブランフィルターを用いてろ過し、ろ液に1N
−水酸化ナトリウム水溶液20mlを加え、室温下(約
18°C)で1時間撹拌した。これにさらに1N−塩酸
40mlを加え、室温下で0.2時間撹拌した後、静置
し、分離した水相を除去した。さらに該樹脂溶液に蒸留
水500mlを加え、約30分間攪拌した後、静置し、
分離した水相を除去した。この水洗操作をさらに4回繰
り返した。その後、樹脂溶液を8リットルのイソプロパ
ノール中に滴下することによって樹脂を析出させ、析出
した樹脂をろ過し、イソプロパノール2リットルで洗浄
した後、乾燥したところ、97.5gの電荷輸送性ポリ
エステルを得た。
【0075】この電荷輸送性ポリエステル2gを20m
lの塩化メチレンに溶解し、80mlの蒸留水(pH
5.41、電気伝導度2.28μS/cm)を加え、室
温下で1時間撹拌した後、これを静置し、水相と油相と
に分離させた。次いで、水相を除去し、この水相のpH
を市販のpHメーター(デジタルミニpH計、673
型:柴田科学器械(株)製)で測定したところ、6.8
1であった。また、水相の電気伝導度は8.69μS/
cmであった。
【0076】合成例2〜8 1N−塩酸を加えてからの撹拌時間を表20のように変
えた以外は合成例1と同様に電荷輸送性ポリエステルを
合成し、水相のpHと電気伝導度を測定した。結果を表
20にまとめた。
【0077】合成例9 1N−水酸化ナトリウム水溶液の代わりに1N−アンモ
ニア水を用い、1N−塩酸を加えてからの撹拌時間を1
時間とした以外は合成例1と同様に電荷輸送性ポリエス
テルを合成し、水相のpHと電気伝導度を測定した。結
果を表20にまとめた。
【0078】
【表20】
【0079】表20より明らかなように、1N−塩酸を
加えてからの撹拌時間が長くなるにつれて水相のpHが
低くなり、塩基が十分に中和されていることがわかる。
これは樹脂溶液の粘度が高いために酸の拡散速度が遅く
なるため、又は、合成例9に示されるように、気化しや
すいアンモニアを使用した方がかえって水相のpHが高
いことから考えて、塩基性成分と樹脂との間で何らかの
錯体が形成されるために、中和反応が進行しにくくなっ
ているものと考えられる。 (実施例1)アルミニウム基板上にジルコニウム化合物
(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社
製)100部、シラン化合物(商品名:A1110、日
本ユンカー社製)10部、イソプロパノール400部及
びブタノール200部からなる溶液をワイヤーバーN
o.3で塗布し、150°Cにおいて10分間加熱乾燥
させ、膜厚0.5μmの下引層を形成させた。
【0080】次いで、クロロガリウムフタロシアニン顔
料10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレ
ックBM−S、積水化学社製)10部及び酢酸n−ブチ
ル500部を混合し、ガラスビーズと共にペイントシェ
ーカーで1時間分散した後、得られた塗布液を上記下引
層上にワイヤーバーNo.5で塗布し、100°Cにお
いて10分間加熱乾燥させて、膜厚1μmの電荷発生層
を形成させた。
【0081】次に、合成例4で得られた電荷輸送性ポリ
エステル5部を、モノクロロベンゼン38部に溶解し、
得られた塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティング法
で塗布し、120°Cにおいて1時間加熱乾燥、膜厚2
0μmの電荷輸送層を形成させた。
【0082】このようにして得られた電子写真用感光体
を、富士ゼロックス(株)製のフラットプレートスキャ
ナー(商品名)にて−800Vに帯電させ、780n
m、0.25μW/cm2 で10秒間露光した後、その
表面電位を測定した。その結果を表21に示す。 (実施例2〜5)実施例1で使用された電荷輸送性ポリ
エステル5部に代えて、それぞれ合成例5〜8で得られ
た電荷輸送性ポリエステル5部を用いた以外は実施例1
と同様に電子写真用感光体を作製し、評価した。その結
果を表21に示す。 (比較例1〜4)実施例1で使用された電荷輸送性ポリ
エステル5部に代えて、それぞれ合成例1〜3、9で得
られた電荷輸送性ポリエステル5部を用いた以外は実施
例1と同様に電子写真用感光体を作製し、評価した。そ
の結果を表21に示す。
【0083】
【表21】
【0084】表21から、本実施例の電子写真用感光体
では、比較例の電子写真用感光体よりも露光後の残留電
荷が少なく、良好な電子写真特性を有していることがわ
かる。
【0085】
【発明の効果】本発明は、樹脂溶液の水溶性成分を抽出
した抽出液のpHを特定範囲以下とすることにより、電
子写真用感光体等の有機電子デバイスに有用な電荷輸送
性樹脂を提供することができる。
【0086】また、本発明は、上記電荷輸送性樹脂を使
用することにより優れた電子写真特性を有する電子写真
用感光体を提供することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶剤に溶解させ、その溶液から水溶
    性成分を水にて抽出したときの抽出液のpHが該水のp
    Hと0.5との和以下であることを特徴とする電荷輸送
    性樹脂。
  2. 【請求項2】 下記一般式(I−1)及び(I−2)の
    いずれかで表される構造の1種以上を繰り返し単位の部
    分構造として含有することを特徴とする請求項1に記載
    の電荷輸送性樹脂。 【化1】 [R1 〜R6 はそれぞれ独立に水素、アルキル基、アル
    コキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、又は置換若し
    くは未置換のアリール基を示し、Xは置換又は未置換の
    2価のアリール基を示し、k,lはそれぞれ0又は1を
    示し、Tは炭素数1〜10の枝分かれしてもよい2価の
    炭化水素基を示す]
  3. 【請求項3】 下記一般式(II)、(III )、(IV)及
    び(V)のいずれかで表される電荷輸送性ポリエステル
    又は電荷輸送性ポリカーボネート樹脂であることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の電荷輸送性樹脂。 【化2】 [式中、Aは、一般式(I−1)又は(I−2)を表
    し、Bは−O−(Y’−O)m’−又は、Z’を示し、
    Y、Y’、Z、Z’は2価の炭化水素基を表し、m,
    m’は1〜5の整数、nは0又は1を表し、pは5〜5
    000の整数、qは1〜5000の整数、rは1〜35
    00の整数をそれぞれ示し、q+rは5〜5000の整
    数で0.3≦q/(q+r)<1である]
  4. 【請求項4】 前記有機溶剤への溶解前に、酸で洗浄さ
    れたことを特徴とする請求項1、2及び3のいずれか1
    項に記載の電荷輸送性樹脂。
  5. 【請求項5】 前記有機溶剤への溶解前に、塩基、次い
    で酸で洗浄されたことを特徴とする請求項1、2及び3
    のいずれか1項に記載の電荷輸送性樹脂。
  6. 【請求項6】 感光層中に1種以上の請求項1、2、
    3、4及び5のいずれか1項に記載の電荷輸送性樹脂を
    含有することを特徴とする電子写真感光体。
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