JPH10127244A - 長期保存可能なゲル状食品 - Google Patents

長期保存可能なゲル状食品

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JPH10127244A
JPH10127244A JP8287182A JP28718296A JPH10127244A JP H10127244 A JPH10127244 A JP H10127244A JP 8287182 A JP8287182 A JP 8287182A JP 28718296 A JP28718296 A JP 28718296A JP H10127244 A JPH10127244 A JP H10127244A
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cream
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章一 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レトルト処理による褐変や褐変臭がなく、均
一な組織を有する長期保存可能なゲル状食品を提供す
る。 【解決手段】 クリーム、ゲル化剤、HLB11以上の
乳化剤からなり、かつたんぱく質の含有量が1.0重量
%以下であって、レトルト処理が施されてなる長期保存
可能なゲル状食品を第1の態様とするものであり、これ
により、本発明の目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レトルト処理され
たゲル状食品であって、レトルト処理による褐変や褐変
臭がなく、均一な組織を有する長期保存可能なゲル状食
品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、レトルト処理された長期保存
可能なプリンは既に知られている。こうしたプリンは、
一般的に全脂乳、澱粉、全卵、砂糖、脱脂粉乳、ゲル化
剤等の原料を適宜手段によって混合し、耐レトルト性の
成形容器に充填され、密封後レトルト処理される。
【0003】そして、当該プリンのゲル形成は、上記原
料の混合物を全卵中のたんぱく質の熱凝固によって達成
される。従って、従来のプリンでは、熱凝固性のたんぱ
く質の存在が必須であった。しかし、上記した原料から
なるプリンをレトルト処理した場合、たんぱく質および
糖類によるメイラード反応が起こり、当該プリンの表面
に褐変が顕著に現れ、また褐変臭が発生する、という問
題があった。
【0004】こうした点に着目し褐変や褐変臭のないプ
リン等のデザート類を製造する技術して、乳及び/又は
乳製品を含有する飲食品に、ルチンと、青色及び/又は
緑色の着色料を添加してなることを特徴とする、加熱処
理によっても黄色化や褐変が生じることなく加熱臭もな
い風味のすぐれた飲食品に関する技術がある(特開平5
−304887号)。しかし、この技術ではルチン由来
の発色により、デザート類の嗜好性を著しく損なうため
に、青色及び/又は緑色の着色料の添加を必須とするも
のであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、通常のプ
リンで使用される原料に着目し、レトルト処理による褐
変や褐変臭の原因になるたんぱく質の含有量を少なくす
ることにより、レトルト処理による褐変や褐変臭の発生
の防止を試みた。すなわち、プリン原料の内、全脂乳や
全卵、脱脂粉乳のようなたんぱく質を多く含む原料に変
えて脂肪置換クリームを使用し、ゲル形成はゲル化剤で
行なう方法を試みた。その結果、レトルト処理による褐
変や褐変臭の発生の防止には明らかに効果が認められた
が、得られるプリンの組織が不均一なものになり、見栄
えを損なうという現象に遭遇した。
【0006】本発明者は、上記見栄えの問題を解決すべ
く研究を行った結果、脂肪置換クリームとゲル化剤の組
合せに、更にHLB11以上の乳化剤を使用することに
より、レトルト処理による褐変や褐変臭がなく、また均
一な組織を有する見栄えのよいプリンを得ることができ
る、という知見を得た。
【0007】こうした知見を基に開発された本発明は、
レトルト処理による褐変や褐変臭がなく、均一な組織を
有する長期保存可能なゲル状食品を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、クリーム、ゲ
ル化剤、HLB11以上の乳化剤からなり、かつたんぱ
く質の含有量が1.0重量%以下であって、レトルト処
理が施されてなる長期保存可能なゲル状食品を第1の態
様とするものであり、これにより、本発明の目的を達成
することができる。
【0009】本発明の第2の態様は、クリームが脂肪置
換クリームである本発明の第1の態様に記載の長期保存
可能なゲル状食品あり、これにより、本発明の目的をよ
り効果的に達成することができる。
【0010】本発明の第3の態様は、乳化剤の含有量が
0.05〜0.5重量%である本発明の第1の態様に記
載の長期保存可能なゲル状食品にあり、これにより、本
発明の目的をより効果的に達成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明におけるゲル状食品とは、
プリン、ババロア、ムース等のように外観上、不透明で
あるゲル状食品をいう。
【0012】こうした本発明のゲル状食品は、クリー
ム、ゲル化剤、HLB11以上の乳化剤からなるもので
あること、たんぱく質の含有量が1.0重量%以下であ
ること、レトルト処理が施されていることの要件をすべ
て満足するものであることが必要である。殊に、たんぱ
く質の含有量が1.0重量%以下であること、およびH
LB11以上の乳化剤を含むことが、本発明の目的を達
成する上で重要である。
【0013】本発明においては、通常プリン等で使用さ
れる全卵、牛乳、粉乳等のたんぱく質を多く含む原料の
使用を制限することによって、たんぱく質の含有量を少
なくすることを達成する。そのたんぱく質の含有量とし
ては1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下で
あることが本発明の目的を達成する上から重要となる。
たんぱく質の含有量が多くなってくると、レトルト処理
後の褐変現象が顕著に現れてくることになる。
【0014】全卵、牛乳、粉乳等の使用を制限すること
によって生ずる問題、すなわちプリン、ババロア、ムー
ス等のゲル状食品らしい色調の調整については、クリー
ムの乳白色、更には必要により適宜色素の添加によって
達成する。
【0015】使用するクリームは、耐レトルト性のもの
であれば特に限定されるものではない。一般に脂肪置換
クリームは通常のクリームよりも乳化力が強く、耐レト
ルト性においても優れているという点から、本発明の目
的を効果的に達成するためには脂肪置換クリームを使用
することが好ましい。
【0016】ここで脂肪置換クリームとは、クリーム中
の乳脂肪のほとんど又は一部を植物性の油脂と置換した
クリームや植物性油脂、水、糖類、乳脂肪、乳化剤、香
料等を混合して得られるクリームをいう。
【0017】ゲル状食品中におけるクリームの含有量
は、上記したゲル状食品中のたんぱく質の含有量および
当該脂肪置換クリーム中のたんぱく質の含有量との関わ
りにおいて、実施者が適宜決定すればよい。
【0018】ゲル形成は、ゲル化剤を使用し、冷却する
ことにより達成することになる。使用し得るゲル化剤と
しては、耐熱性のものであることが必要であり、カラギ
ーナン、ペクチン等を例示することができるが、最終の
ゲル状食品の組織の均一性という点からカラギーナンが
好ましく、更にはローカストヒーンガムと併用すること
が最も好ましい。ゲル形成を達成するためのゲル化剤の
量としては、0.5〜1.5重量%が好ましく、この量
が少なくなってくると、組織のムラが発生し易くなる、
食感が柔らかくなりすぎるという問題が生じてくる。反
対に、ゲル化剤の量が多くなりすぎると、組織のムラが
発生するということはないが食感が硬くなる、食感が糊
っぽくなるという問題が生じてくる。
【0019】上記したように本発明では、通常のプリン
等のように熱凝固性たんぱく質の凝固力によりゲルを形
成させるものではなく、冷却によってゲルを形成させる
ものである。従って、ゲル状食品の原料を適宜混合し、
成形容器に充填後レトルト処理を施してもゲル化するこ
とがない。その結果、通常のプリン等のように加熱凝固
時に巣が発生しないように慎重に処理するという手間を
必要としない。
【0020】次に、本発明で使用する乳化剤はHLB1
1以上のものであれば特に限定されず、例えばショ糖脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を例示する
ことができる。この乳化剤の存在は、レトルト処理後の
冷却によって得られるゲル状食品の組織の均一化を達成
する上で極めて重要なものである。乳化剤が含まれてい
ないか、あるいは乳化剤が含まれていてもHLB11未
満の乳化剤では、本発明の目的を達成することはできな
い。
【0021】上記乳化剤の含有量としては、0.05〜
0.5重量%が本発明の目的を達成する上から好まし
い。この量が少なくなってくるとレトルト処理後の冷却
によって得られるゲル状食品の組織の均一化を達成する
ことが困難になってくる。一方、この量が多くなりすぎ
るとレトルト処理後の冷却によって得られるゲル状食品
の組織の均一化を達成するという効果上の差があまりな
いにも拘わらず乳化剤特有の苦みが出てきて風味上好ま
しくない。
【0022】本発明においては、上記した原料の他にグ
ラニュー糖やオリゴ糖等の糖類、各種香料、食塩、各種
ビタミン類等を適宜使用することができる。更には、カ
ルシウム強化のために炭酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム等を添加して
もよく、この場合、可溶性するものよりも不溶性のもの
の方がゲル状食品への風味上の影響がないという点から
卵殻粉末を使用することが最も好ましい。そして、カル
シウムの吸収を促進させるためにビタミンD、乳糖等を
添加使用することが好ましい。
【0023】クリーム、ゲル化剤、HLB11以上の乳
化剤からなるゲル状食品は、前述した如く乳白色である
ために、これに各種色素を使用することにより、実施者
の希望する色調にすることができる。例えば、ヘム鉄と
紅麹色素等の赤色色素との組合せによりココア風の色調
のものにすることができる。
【0024】
【実施例】グラニュー糖20重量部、カラギーナン0.
7重量部、ローカストビーンガム0.2重量部、くちな
し色素0.1重量部、HLB16のショ糖脂肪酸エステ
ル0.1重量部、食塩0.1重量部を粉体混合した後、
これに水49重量部を添加し、85°Cで10分間加熱
した。その後、シリコン(消泡剤)を適量添加した後
に、脂肪置換クリーム(乳脂肪分22.5%、植物性脂
肪分22.5%、水分50%、たんぱく質1.7%)2
5重量部を添加し、80°C達温で再加熱した。
【0025】その後、53,300パスカルの条件で脱
気処理を施し、香料1重量部を添加して均質化し、金属
製の成形容器に充填後、121°Cで20分間レトルト
処理し、その後、30°Cにまで冷却して本発明のプリ
ンを得た。よって得られたプリンのたんぱく質の含有量
は約0.44重量%であった。
【0026】これとは別に、HLB16のショ糖脂肪酸
エステルを添加しないこと以外はすべて上記方法と同一
の方法と条件で実施して比較用プリンを得た。
【0027】よって得られた各プリンの組織を35倍の
顕微鏡で観察した。その結果を図1および図2に示す。
図1が本発明のプリン組織を現す顕微鏡写真で、図2が
比較用のプリン組織を現す顕微鏡写真である。図1およ
び図2の対比から明らかなように、比較用のプリン組織
にはムラがあり組織が不均一になっているのに対し、本
発明のプリン組織はなめらかでムラのない均一なものに
なっている。
【0028】
【発明の効果】本発明のプリン等のゲル状食品では、た
んぱく質の含有量が少量に抑えられているために、レト
ルト処理による褐変や褐変臭がない。また、その組織も
なめらかで均一な組織を有している。また、食感も従来
のプリン等と遜色のない食感を有する。
【0029】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリン組織を現す顕微鏡写真である。
【図2】比較用のプリン組織を現す顕微鏡写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A23L 1/272 A23L 1/04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クリーム、ゲル化剤、HLB11以上の
    乳化剤からなり、かつたんぱく質の含有量が1.0重量
    %以下であって、レトルト処理が施されてなる長期保存
    可能なゲル状食品。
  2. 【請求項2】 クリームが脂肪置換クリームである請求
    項1に記載の長期保存可能なゲル状食品。
  3. 【請求項3】 乳化剤の含有量が0.05〜0.5重量
    %である請求項1に記載の長期保存可能なゲル状食品。
JP08287182A 1996-10-30 1996-10-30 長期保存可能なゲル状食品 Expired - Lifetime JP3111167B2 (ja)

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