JPH10120787A - ポリエステルイミド、耐熱性樹脂組成物及び絶縁電線 - Google Patents
ポリエステルイミド、耐熱性樹脂組成物及び絶縁電線Info
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- JPH10120787A JPH10120787A JP27566996A JP27566996A JPH10120787A JP H10120787 A JPH10120787 A JP H10120787A JP 27566996 A JP27566996 A JP 27566996A JP 27566996 A JP27566996 A JP 27566996A JP H10120787 A JPH10120787 A JP H10120787A
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- Japan
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- equivalent
- polyesterimide
- heat
- resin composition
- acid
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- Pending
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- Organic Insulating Materials (AREA)
- Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 優れた耐熱性と高いはんだ付け性を示し、特
に耐軟化性が優れるポリエステルイミド、耐熱性樹脂組
成物及び絶縁電線を提供する。 【解決手段】 (A)飽和単環炭化水素基含有グリコー
ルを5〜50当量%含むアルコール成分と、(B)イミ
ド基含有ポリカルボン酸10〜70当量%及びグリセリ
ン1モルに対してトリメリット酸又はその無水物を3モ
ル反応させて得られるべきポリカルボン酸10〜50当
量%(但し、両カルボン酸の総計が20〜100当量%
となるように選ばれる)を含む酸成分とを加熱反応させ
てなるポリエステルイミド、このポリエステルイミドを
含有してなる耐熱性樹脂組成物及びこの耐熱性樹脂組成
物を導体上に塗布し、焼き付けてなる絶縁電線。
に耐軟化性が優れるポリエステルイミド、耐熱性樹脂組
成物及び絶縁電線を提供する。 【解決手段】 (A)飽和単環炭化水素基含有グリコー
ルを5〜50当量%含むアルコール成分と、(B)イミ
ド基含有ポリカルボン酸10〜70当量%及びグリセリ
ン1モルに対してトリメリット酸又はその無水物を3モ
ル反応させて得られるべきポリカルボン酸10〜50当
量%(但し、両カルボン酸の総計が20〜100当量%
となるように選ばれる)を含む酸成分とを加熱反応させ
てなるポリエステルイミド、このポリエステルイミドを
含有してなる耐熱性樹脂組成物及びこの耐熱性樹脂組成
物を導体上に塗布し、焼き付けてなる絶縁電線。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルイミ
ドの製造法、耐熱性樹脂組成物及びこれを用いた絶縁電
線に関する。
ドの製造法、耐熱性樹脂組成物及びこれを用いた絶縁電
線に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電気機器の小型化及び高性能化に
伴い、ワイヤーエナメルの要求される性能も高くなり、
耐熱性の高いワイヤーエナメルが求められている。ま
た、電気機器部品の生産性合理化のため、端末処理が容
易であるはんだ付け可能なワイヤーエナメルの需要が増
加している。これらの市場ニーズに対応して耐熱性が良
好で、かつはんだ付け性を有するポリエステルイミドが
開発され、実用化されている。しかしながら、上記のは
んだ付け性ポリエステルイミドは、はんだ付け性の付与
に伴い耐軟化性(軟化温度)が低下することから、耐熱
性の信頼性を向上するため、耐軟化性のレベルアップの
要求が強くなってきている。
伴い、ワイヤーエナメルの要求される性能も高くなり、
耐熱性の高いワイヤーエナメルが求められている。ま
た、電気機器部品の生産性合理化のため、端末処理が容
易であるはんだ付け可能なワイヤーエナメルの需要が増
加している。これらの市場ニーズに対応して耐熱性が良
好で、かつはんだ付け性を有するポリエステルイミドが
開発され、実用化されている。しかしながら、上記のは
んだ付け性ポリエステルイミドは、はんだ付け性の付与
に伴い耐軟化性(軟化温度)が低下することから、耐熱
性の信頼性を向上するため、耐軟化性のレベルアップの
要求が強くなってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性が高
く、かつはんだ付け性に優れ、短時間ではんだ付けが可
能で、耐軟化性が良好なポリエステルイミドの製造法を
提供するとともに、得られたポリエステルイミドを含む
耐熱性樹脂組成物及びこれを用いた絶縁電線を提供する
ものである。
く、かつはんだ付け性に優れ、短時間ではんだ付けが可
能で、耐軟化性が良好なポリエステルイミドの製造法を
提供するとともに、得られたポリエステルイミドを含む
耐熱性樹脂組成物及びこれを用いた絶縁電線を提供する
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)飽和単
環炭化水素基含有グリコールを5〜50当量%含むアル
コール成分と、(B)イミド基含有ポリカルボン酸10
〜70当量%及びグリセリン1モルに対してトリメリッ
ト酸又はその無水物を3モル反応させて得られるべきポ
リカルボン酸10〜50当量%(但し、両カルボン酸の
総計が20〜100当量%となるように選ばれる)を含
む酸成分とを加熱反応させてなるポリエステルイミドに
関する。本発明は、また、このポリエステルイミドにお
いて、飽和単環炭化水素基含有グリコールが1,4−シ
クロヘキサンジオールであるポリエステルイミドに関す
る。本発明は、また、これらのポリエステルイミドを含
有してなる耐熱性樹脂組成物に関する。本発明は、さら
に、この耐熱性樹脂組成物を導体上に塗布し、焼き付け
てなる絶縁電線に関する。
環炭化水素基含有グリコールを5〜50当量%含むアル
コール成分と、(B)イミド基含有ポリカルボン酸10
〜70当量%及びグリセリン1モルに対してトリメリッ
ト酸又はその無水物を3モル反応させて得られるべきポ
リカルボン酸10〜50当量%(但し、両カルボン酸の
総計が20〜100当量%となるように選ばれる)を含
む酸成分とを加熱反応させてなるポリエステルイミドに
関する。本発明は、また、このポリエステルイミドにお
いて、飽和単環炭化水素基含有グリコールが1,4−シ
クロヘキサンジオールであるポリエステルイミドに関す
る。本発明は、また、これらのポリエステルイミドを含
有してなる耐熱性樹脂組成物に関する。本発明は、さら
に、この耐熱性樹脂組成物を導体上に塗布し、焼き付け
てなる絶縁電線に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において、前記ポリエステ
ルイミドのアルコール成分〔(A)成分〕中の必須成分
である飽和単環炭化水素基含有グリコールとしては、例
えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジエタノール、1,3−シクロペンタン
ジメタノールなどが挙げられ、これらを単独で又は2種
以上を組み合わせて用いることができる。これらのグリ
コールのうち1,4−シクロヘキサンジメタノールが好
ましい。飽和単環炭化水素基含有グリコールの使用量
は、(A)成分中の5〜50当量%、好ましくは10〜
40当量%、より好ましくは15〜30当量%とされ
る。この使用量が5当量%未満であると、得られるポリ
エステルイミドがはんだ付け性に劣るものとなり、50
当量%を超えると耐熱性が低下する。
ルイミドのアルコール成分〔(A)成分〕中の必須成分
である飽和単環炭化水素基含有グリコールとしては、例
えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジエタノール、1,3−シクロペンタン
ジメタノールなどが挙げられ、これらを単独で又は2種
以上を組み合わせて用いることができる。これらのグリ
コールのうち1,4−シクロヘキサンジメタノールが好
ましい。飽和単環炭化水素基含有グリコールの使用量
は、(A)成分中の5〜50当量%、好ましくは10〜
40当量%、より好ましくは15〜30当量%とされ
る。この使用量が5当量%未満であると、得られるポリ
エステルイミドがはんだ付け性に劣るものとなり、50
当量%を超えると耐熱性が低下する。
【0006】(A)成分中の飽和単環炭化水素基含有グ
リコール以外のアルコール成分としては、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール
等の2価アルコール、グリセリン、トリス−2−ヒドロ
キシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトール等
の3価以上の多価アルコールが挙げられる。耐熱性を向
上する点からは、3価以上の多価アルコールを多く用い
るのが好ましいが、3価以上のアルコールの量が多すぎ
ると、可撓性が低下するため、3価以上のアルコールの
使用量は、アルコール成分の30〜80当量%の範囲と
することが好ましい。
リコール以外のアルコール成分としては、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール
等の2価アルコール、グリセリン、トリス−2−ヒドロ
キシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトール等
の3価以上の多価アルコールが挙げられる。耐熱性を向
上する点からは、3価以上の多価アルコールを多く用い
るのが好ましいが、3価以上のアルコールの量が多すぎ
ると、可撓性が低下するため、3価以上のアルコールの
使用量は、アルコール成分の30〜80当量%の範囲と
することが好ましい。
【0007】(B)成分である酸成分に用いられるイミ
ド基含有ポリカルボン酸としては、例えば、化1〔一般
式(I)〕
ド基含有ポリカルボン酸としては、例えば、化1〔一般
式(I)〕
【化1】 〔ただし、式中、R1は3価の有機基、R2は2価の有機
基、R3は3価の有機基を表す〕で示されるイミドジカ
ルボン酸等が挙げられる。
基、R3は3価の有機基を表す〕で示されるイミドジカ
ルボン酸等が挙げられる。
【0008】一般式(I)で示されるイミドジカルボン
酸は、例えば、トリカルボン酸無水物2モルとジアミン
又はジイソシアネート1モルとを反応させて得ることが
できる。トリカルボン酸無水物とジアミン又はジイソシ
アネートとは、これらを反応させて予めイミドジカルボ
ン酸にして使用しても、これらを反応させないでそのま
ま使用してポリエステルイミドの合成時にイミドジカル
ボン酸としてもよい。トリカルボン酸無水物とジアミン
又はジイソシアネートとをそのまま使用する場合、ジア
ミン又はジイソシアネート1モルに対して、トリカルボ
ン酸無水物を2モル以上使用する。この場合、トリカル
ボン酸無水物の過剰分は、酸成分として使用される。従
って、許容される過剰分の上限は、酸成分の配合量によ
って決まる。
酸は、例えば、トリカルボン酸無水物2モルとジアミン
又はジイソシアネート1モルとを反応させて得ることが
できる。トリカルボン酸無水物とジアミン又はジイソシ
アネートとは、これらを反応させて予めイミドジカルボ
ン酸にして使用しても、これらを反応させないでそのま
ま使用してポリエステルイミドの合成時にイミドジカル
ボン酸としてもよい。トリカルボン酸無水物とジアミン
又はジイソシアネートとをそのまま使用する場合、ジア
ミン又はジイソシアネート1モルに対して、トリカルボ
ン酸無水物を2モル以上使用する。この場合、トリカル
ボン酸無水物の過剰分は、酸成分として使用される。従
って、許容される過剰分の上限は、酸成分の配合量によ
って決まる。
【0009】前記のトリカルボン酸無水物としては、例
えば、トリメリット酸無水物、3,4,4′−ベンゾフ
ェノントリカルボン酸無水物、3,4,4′−ビフェニ
ルトリカルボン酸無水物などが用いられる。ジアミンと
しては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノ
ジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m
−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどが
用いられる。ジイソシアネートとしては、例えば、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネートなどが用いられる。
えば、トリメリット酸無水物、3,4,4′−ベンゾフ
ェノントリカルボン酸無水物、3,4,4′−ビフェニ
ルトリカルボン酸無水物などが用いられる。ジアミンと
しては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノ
ジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m
−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどが
用いられる。ジイソシアネートとしては、例えば、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネートなどが用いられる。
【0010】イミド基含有ポリカルボン酸の使用量は、
酸成分の10〜70当量%、好ましくは20〜60当量
%、より好ましくは30〜50当量%とされる。この使
用量が10当量%未満であると、得られるポリエステル
イミドのはんだ付け性が劣り、70当量%を超えると、
合成時に合成溶剤を多く用いなければ攪拌が困難とな
り、経済性に劣る。
酸成分の10〜70当量%、好ましくは20〜60当量
%、より好ましくは30〜50当量%とされる。この使
用量が10当量%未満であると、得られるポリエステル
イミドのはんだ付け性が劣り、70当量%を超えると、
合成時に合成溶剤を多く用いなければ攪拌が困難とな
り、経済性に劣る。
【0011】酸成分としては、さらに、グリセリン1モ
ルとトリメリット酸又はその無水物3モルとを付加反応
させて得られるべきポリカルボン酸を用いる。これは、
化2〔一般式(II)〕
ルとトリメリット酸又はその無水物3モルとを付加反応
させて得られるべきポリカルボン酸を用いる。これは、
化2〔一般式(II)〕
【化2】 (ただし、Rはトリメリット酸残基を示す)で表される
化合物である。
化合物である。
【0012】このポリカルボン酸は、上記のようにグリ
セリン1モルとトリメリット酸又はその無水物3モルを
反応させて得ることができる。この時の反応の条件には
特に制限はないが、グリセリンとトリメリット酸又はそ
の無水物とを無溶剤若しくはクレゾール等の溶剤中でエ
ステル化触媒、例えばテトラブチルチタネート、酢酸
鉛、酸化鉛等の存在下で170〜250℃に加熱してエ
ステル化反応を行う。反応の終点は、エステル化反応時
に生成する水の定量、分子量の測定、酸価の測定などに
より確認することができる。
セリン1モルとトリメリット酸又はその無水物3モルを
反応させて得ることができる。この時の反応の条件には
特に制限はないが、グリセリンとトリメリット酸又はそ
の無水物とを無溶剤若しくはクレゾール等の溶剤中でエ
ステル化触媒、例えばテトラブチルチタネート、酢酸
鉛、酸化鉛等の存在下で170〜250℃に加熱してエ
ステル化反応を行う。反応の終点は、エステル化反応時
に生成する水の定量、分子量の測定、酸価の測定などに
より確認することができる。
【0013】このポリカルボン酸の使用量は、酸成分の
10〜50当量%、好ましくは25〜35当量%とされ
る。この使用量が10当量%未満であると、耐熱性が充
分でなく、また、50当量%を超えると、可撓性が低下
する。
10〜50当量%、好ましくは25〜35当量%とされ
る。この使用量が10当量%未満であると、耐熱性が充
分でなく、また、50当量%を超えると、可撓性が低下
する。
【0014】酸成分において、イミド基含有ポリカルボ
ン酸及びグリセリンとトリメリット酸又はその無水物と
を反応させて得られるべきポリカルボン酸の使用割合
は、それぞれ上記使用量の範囲で、しかも両カルボン酸
の総計が20〜100当量%となるように選定される。
両カルボン酸の総計が20当量%未満であると、耐熱性
が低下する傾向がある。
ン酸及びグリセリンとトリメリット酸又はその無水物と
を反応させて得られるべきポリカルボン酸の使用割合
は、それぞれ上記使用量の範囲で、しかも両カルボン酸
の総計が20〜100当量%となるように選定される。
両カルボン酸の総計が20当量%未満であると、耐熱性
が低下する傾向がある。
【0015】本発明においては、上記のポリカルボン酸
以外にその他の酸成分として、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸ジメチル、トリメリット酸無水物、
無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸
などが含まれていてもよい。
以外にその他の酸成分として、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸ジメチル、トリメリット酸無水物、
無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸
などが含まれていてもよい。
【0016】アルコール成分と酸成分との配合割合に
は、特に制限はないが、可撓性及び耐熱性の点からは、
カルボキシル基に対する水酸基の当量比は、1.0〜
2.4、好ましくは1.2〜2.0、より好ましくは
1.4〜1.8とされる。ここで、酸無水物は、2個の
カルボキシル基を有するものとして当量を計算する。
は、特に制限はないが、可撓性及び耐熱性の点からは、
カルボキシル基に対する水酸基の当量比は、1.0〜
2.4、好ましくは1.2〜2.0、より好ましくは
1.4〜1.8とされる。ここで、酸無水物は、2個の
カルボキシル基を有するものとして当量を計算する。
【0017】本発明によれば、上記のアルコール成分と
酸成分とを加熱反応させることによりポリエステルイミ
ドを製造するが、その際の反応条件については特に制限
はなく、例えば、アルコール成分と酸成分とを上記の割
合でエステル化触媒の存在下に170〜250℃の温度
で加熱反応させることにより製造することができる。ま
た、合成時の粘度が高いため、例えば、フェノール、ク
レゾール、キシレノールなどのフェノール系溶剤の共存
下で合成を行うことが好ましい。合成に際しては、共沸
蒸留法により反応系から生成水分を速やかに除去するた
めに炭化水素類を使用することもできる。さらに、上記
反応を促進するために、テトラブチルチタネート等のチ
タン酸エステル、ジブチル錫オキサイド等の錫化合物、
酢酸亜鉛、酢酸鉛、プロピオン酸亜鉛等の有機酸金属塩
を添加することができ、これらの添加量は、反応成分の
合計量に対して2重量%以下とされることが好ましい。
酸成分とを加熱反応させることによりポリエステルイミ
ドを製造するが、その際の反応条件については特に制限
はなく、例えば、アルコール成分と酸成分とを上記の割
合でエステル化触媒の存在下に170〜250℃の温度
で加熱反応させることにより製造することができる。ま
た、合成時の粘度が高いため、例えば、フェノール、ク
レゾール、キシレノールなどのフェノール系溶剤の共存
下で合成を行うことが好ましい。合成に際しては、共沸
蒸留法により反応系から生成水分を速やかに除去するた
めに炭化水素類を使用することもできる。さらに、上記
反応を促進するために、テトラブチルチタネート等のチ
タン酸エステル、ジブチル錫オキサイド等の錫化合物、
酢酸亜鉛、酢酸鉛、プロピオン酸亜鉛等の有機酸金属塩
を添加することができ、これらの添加量は、反応成分の
合計量に対して2重量%以下とされることが好ましい。
【0018】上記のようにして得られるポリエステルイ
ミドは、耐熱性が高く、かつはんだ付け性に優れてお
り、はんだ付け可能なワイヤーエナメルとして有用な耐
熱性樹脂組成物を提供することができる。この組成物に
は、必要に応じて、テトラブチルチタネートなどの硬化
剤を添加することができる。硬化剤は、前記ポリエステ
ルイミドに対して2〜10重量%の範囲で使用すること
が好ましい。また、亜鉛、鉛、マンガン等の金属塩、例
えば、ナフテン酸亜鉛などを外観改良剤として添加する
ことができる。金属塩は、金属分で前記ポリエステルイ
ミドに対して0.05〜0.5重量%の範囲で使用する
ことが好ましい。本発明の耐熱性樹脂組成物を導体上に
公知の方法により塗布し、焼き付けることにより、可撓
性、耐熱性等の諸特性に優れ、かつ優れたはんだ付け性
を有する絶縁電線を得ることができる。
ミドは、耐熱性が高く、かつはんだ付け性に優れてお
り、はんだ付け可能なワイヤーエナメルとして有用な耐
熱性樹脂組成物を提供することができる。この組成物に
は、必要に応じて、テトラブチルチタネートなどの硬化
剤を添加することができる。硬化剤は、前記ポリエステ
ルイミドに対して2〜10重量%の範囲で使用すること
が好ましい。また、亜鉛、鉛、マンガン等の金属塩、例
えば、ナフテン酸亜鉛などを外観改良剤として添加する
ことができる。金属塩は、金属分で前記ポリエステルイ
ミドに対して0.05〜0.5重量%の範囲で使用する
ことが好ましい。本発明の耐熱性樹脂組成物を導体上に
公知の方法により塗布し、焼き付けることにより、可撓
性、耐熱性等の諸特性に優れ、かつ優れたはんだ付け性
を有する絶縁電線を得ることができる。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらによって制限されるものでは
ない。なお、実施例中の「%」は、特に断らない限り
「重量%」を意味する。
明するが、本発明はこれらによって制限されるものでは
ない。なお、実施例中の「%」は、特に断らない限り
「重量%」を意味する。
【0020】実施例1 温度計、攪拌機及びコンデンサを装着した1リットルの
4つ口フラスコに、グリセリン12.6g(20当量
%)、トリメリット酸無水物78.7g(60当量%)
及びクレゾール195.9gを入れ、窒素気流中で17
0℃に昇温して2時間反応させ、ポリカルボン酸(理論
値40当量%)を得た。次に、4,4′−ジアミノジフ
ェニルメタン71.0g(35当量%)、トリメリット
酸無水物137.7g(70当量%)、テレフタル酸ジ
メチル49.7g(25当量%)、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール22.1g(10当量%)、グリセリ
ン66.0g(70当量%)、エチレングリコール1
9.1g(20当量%)及びテトラブチルチタネート
0.4gを加えて再び窒素気流中で170℃に昇温して
2時間反応させた。次いで、得られた溶液を215℃に
昇温して6時間反応させてポリエステルイミドを合成し
た。得られた樹脂溶液にクレゾール404.0gを加
え、テトラブチルチタネート16.0g及びナフテン酸
亜鉛(金属分6%)3.3gを添加して不揮発分40%
のポリエステルイミド樹脂組成物を得た。
4つ口フラスコに、グリセリン12.6g(20当量
%)、トリメリット酸無水物78.7g(60当量%)
及びクレゾール195.9gを入れ、窒素気流中で17
0℃に昇温して2時間反応させ、ポリカルボン酸(理論
値40当量%)を得た。次に、4,4′−ジアミノジフ
ェニルメタン71.0g(35当量%)、トリメリット
酸無水物137.7g(70当量%)、テレフタル酸ジ
メチル49.7g(25当量%)、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール22.1g(10当量%)、グリセリ
ン66.0g(70当量%)、エチレングリコール1
9.1g(20当量%)及びテトラブチルチタネート
0.4gを加えて再び窒素気流中で170℃に昇温して
2時間反応させた。次いで、得られた溶液を215℃に
昇温して6時間反応させてポリエステルイミドを合成し
た。得られた樹脂溶液にクレゾール404.0gを加
え、テトラブチルチタネート16.0g及びナフテン酸
亜鉛(金属分6%)3.3gを添加して不揮発分40%
のポリエステルイミド樹脂組成物を得た。
【0021】実施例2 温度計、攪拌機及びコンデンサを装着した1リットルの
4つ口フラスコに、グリセリン12.6g(20当量
%)、トリメリット酸無水物78.7g(60当量%)
及びクレゾール195.9gを入れ、窒素気流中で17
0℃に昇温して2時間反応させ、ポリカルボン酸(理論
値40当量%)を得た。次に、4,4′−ジアミノジフ
ェニルメタン71.0g(35当量%)、トリメリット
酸無水物137.7g(70当量%)、テレフタル酸ジ
メチル49.7g(25当量%)、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール22.1g(10当量%)、グリセリ
ン47.1g(50当量%)、エチレングリコール3
8.1g(40当量%)及びテトラブチルチタネート
0.4gを加えて再び窒素気流中で170℃に昇温して
2時間反応させた。次いで、得られた溶液を215℃に
昇温して6時間反応させてポリエステルイミドを合成し
た。得られた樹脂溶液にクレゾール404.0gを加
え、テトラブチルチタネート16.0g及びナフテン酸
亜鉛(金属分6%)3.3gを添加して不揮発分40%
のポリエステルイミド樹脂組成物を得た。
4つ口フラスコに、グリセリン12.6g(20当量
%)、トリメリット酸無水物78.7g(60当量%)
及びクレゾール195.9gを入れ、窒素気流中で17
0℃に昇温して2時間反応させ、ポリカルボン酸(理論
値40当量%)を得た。次に、4,4′−ジアミノジフ
ェニルメタン71.0g(35当量%)、トリメリット
酸無水物137.7g(70当量%)、テレフタル酸ジ
メチル49.7g(25当量%)、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール22.1g(10当量%)、グリセリ
ン47.1g(50当量%)、エチレングリコール3
8.1g(40当量%)及びテトラブチルチタネート
0.4gを加えて再び窒素気流中で170℃に昇温して
2時間反応させた。次いで、得られた溶液を215℃に
昇温して6時間反応させてポリエステルイミドを合成し
た。得られた樹脂溶液にクレゾール404.0gを加
え、テトラブチルチタネート16.0g及びナフテン酸
亜鉛(金属分6%)3.3gを添加して不揮発分40%
のポリエステルイミド樹脂組成物を得た。
【0022】比較例1 温度計、攪拌機及びコンデンサを装着した1リットルの
4つ口フラスコに4,4′−ジアミノジフェニルメタン
74.7g(350当量%)、トリメリット酸無水物1
44.8g(70当量%)、テレフタル酸ジメチル13
5.8g(65当量%)、グリセリン51.2g(50
当量%)、エチレングリコール41.4g(10当量
%)、1,4−シクロヘキサンジメタノール24.0g
(10当量%)、クレゾール157.3g及びテトラブ
チルチタネート0.4gを入れ、窒素気流中で170℃
に昇温して2時間反応させた。次いで、得られた溶液を
210℃に昇温して8時間反応させてポリエステルイミ
ドを合成した。得られた樹脂溶液にクレゾール443.
0gを加え、テトラブチルチタネート16.0g及びナ
フテン酸亜鉛(金属分6%)3.3gを添加して不揮発
分40%のポリエステルイミド樹脂組成物を得た。
4つ口フラスコに4,4′−ジアミノジフェニルメタン
74.7g(350当量%)、トリメリット酸無水物1
44.8g(70当量%)、テレフタル酸ジメチル13
5.8g(65当量%)、グリセリン51.2g(50
当量%)、エチレングリコール41.4g(10当量
%)、1,4−シクロヘキサンジメタノール24.0g
(10当量%)、クレゾール157.3g及びテトラブ
チルチタネート0.4gを入れ、窒素気流中で170℃
に昇温して2時間反応させた。次いで、得られた溶液を
210℃に昇温して8時間反応させてポリエステルイミ
ドを合成した。得られた樹脂溶液にクレゾール443.
0gを加え、テトラブチルチタネート16.0g及びナ
フテン酸亜鉛(金属分6%)3.3gを添加して不揮発
分40%のポリエステルイミド樹脂組成物を得た。
【0023】比較例2 温度計、攪拌機及びコンデンサを装着した1リットルの
4つ口フラスコに4,4′−ジアミノジフェニルメタン
83.9g(40当量%)、トリメリット酸無水物16
2.8g(80当量%)、テレフタル酸ジメチル12
3.4g(60当量%)、グリセリン70.5g(70
当量%)、エチレングリコール30.6g(30当量
%)、クレゾール157.1g及びテトラブチルチタネ
ート0.4gを入れ、窒素気流中で170℃に昇温して
2時間反応させた。次いで、得られた溶液を210℃に
昇温して8時間反応させてポリエステルイミドを合成し
た。得られた樹脂溶液にクレゾール443.0gを加
え、テトラブチルチタネート16.0g及びナフテン酸
亜鉛(金属分6%)3.3gを添加して不揮発分40%
のポリエステルイミド樹脂組成物を得た。
4つ口フラスコに4,4′−ジアミノジフェニルメタン
83.9g(40当量%)、トリメリット酸無水物16
2.8g(80当量%)、テレフタル酸ジメチル12
3.4g(60当量%)、グリセリン70.5g(70
当量%)、エチレングリコール30.6g(30当量
%)、クレゾール157.1g及びテトラブチルチタネ
ート0.4gを入れ、窒素気流中で170℃に昇温して
2時間反応させた。次いで、得られた溶液を210℃に
昇温して8時間反応させてポリエステルイミドを合成し
た。得られた樹脂溶液にクレゾール443.0gを加
え、テトラブチルチタネート16.0g及びナフテン酸
亜鉛(金属分6%)3.3gを添加して不揮発分40%
のポリエステルイミド樹脂組成物を得た。
【0024】試験例 上記の実施例及び比較例で得られたポリエステルイミド
樹脂組成物を、下記の焼付け条件に従って直径0.4mm
の銅線に塗布し、線速40m/分で焼付けを行ない、絶
縁電線をそれぞれ作製した。 焼付け条件 焼付け炉;熱風循環式横型炉(炉長3.3m) 炉温 ;入口/出口=500℃/500℃ 得られたワイヤーエナメルの一般特性(可撓性、耐熱衝
撃性、絶縁破壊電圧、劣化後の絶縁破壊電圧、軟化温度
及びはんだ付け性)をJIS−C3003に準じて測定
し、その結果を表1に示した。
樹脂組成物を、下記の焼付け条件に従って直径0.4mm
の銅線に塗布し、線速40m/分で焼付けを行ない、絶
縁電線をそれぞれ作製した。 焼付け条件 焼付け炉;熱風循環式横型炉(炉長3.3m) 炉温 ;入口/出口=500℃/500℃ 得られたワイヤーエナメルの一般特性(可撓性、耐熱衝
撃性、絶縁破壊電圧、劣化後の絶縁破壊電圧、軟化温度
及びはんだ付け性)をJIS−C3003に準じて測定
し、その結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示した結果から、実施例1及び2で
得られた樹脂組成物を用いて作製した絶縁電線は、比較
例1及び2で得られた樹脂組成物を用いて作製したもの
と同程度のはんだ付け性を示し、さらに軟化温度が比較
例のものに比べて著しく高いことが分かる。
得られた樹脂組成物を用いて作製した絶縁電線は、比較
例1及び2で得られた樹脂組成物を用いて作製したもの
と同程度のはんだ付け性を示し、さらに軟化温度が比較
例のものに比べて著しく高いことが分かる。
【0027】
【発明の効果】請求項1又は請求項2におけるポリエス
テルイミドは優れた耐熱性と高いはんだ付け性を示し、
特に耐軟化性が優れる。請求項3における耐熱性樹脂組
成物は、優れた耐熱性と高いはんだ付け性を示し、特に
耐軟化性が優れる。請求項4における絶縁電線は、その
被膜が耐熱性にすぐれ、高いはんだ付け性を示し、特に
耐軟化性が優れるため信頼性が向上しており、ワイヤー
エナメルなどとして工業的に極めて有用である。
テルイミドは優れた耐熱性と高いはんだ付け性を示し、
特に耐軟化性が優れる。請求項3における耐熱性樹脂組
成物は、優れた耐熱性と高いはんだ付け性を示し、特に
耐軟化性が優れる。請求項4における絶縁電線は、その
被膜が耐熱性にすぐれ、高いはんだ付け性を示し、特に
耐軟化性が優れるため信頼性が向上しており、ワイヤー
エナメルなどとして工業的に極めて有用である。
Claims (4)
- 【請求項1】 (A)飽和単環炭化水素基含有グリコー
ルを5〜50当量%含むアルコール成分と、(B)イミ
ド基含有ポリカルボン酸10〜70当量%及びグリセリ
ン1モルに対してトリメリット酸又はその無水物を3モ
ル反応させて得られるべきポリカルボン酸10〜50当
量%(但し、両カルボン酸の総計が20〜100当量%
となるように選ばれる)を含む酸成分とを加熱反応させ
てなるポリエステルイミド。 - 【請求項2】 飽和単環炭化水素基含有グリコールが
1,4−シクロヘキサンジオールである請求項1記載の
ポリエステルイミド。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のポリエステ
ルイミドを含有してなる耐熱性樹脂組成物。 - 【請求項4】 請求項3記載の耐熱性樹脂組成物を導体
上に塗布し、焼き付けてなる絶縁電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27566996A JPH10120787A (ja) | 1996-10-18 | 1996-10-18 | ポリエステルイミド、耐熱性樹脂組成物及び絶縁電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27566996A JPH10120787A (ja) | 1996-10-18 | 1996-10-18 | ポリエステルイミド、耐熱性樹脂組成物及び絶縁電線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10120787A true JPH10120787A (ja) | 1998-05-12 |
Family
ID=17558705
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27566996A Pending JPH10120787A (ja) | 1996-10-18 | 1996-10-18 | ポリエステルイミド、耐熱性樹脂組成物及び絶縁電線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10120787A (ja) |
-
1996
- 1996-10-18 JP JP27566996A patent/JPH10120787A/ja active Pending
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