JP6769024B2 - ポリエステルイミド塗料、それを用いて形成される絶縁電線およびコイル - Google Patents

ポリエステルイミド塗料、それを用いて形成される絶縁電線およびコイル Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステルイミド塗料、それを用いて形成される絶縁電線およびコイルに関する。
回転電機(モータ)や変圧器などの電気機器にはコイルが用いられている。コイルは、導体上に絶縁層を形成した絶縁電線を巻回することにより作製されている。絶縁層の形成材料としては、耐熱性やコストの点からポリエステルイミド樹脂が用いられており、絶縁層は、例えば、ポリエステルイミド樹脂が有機溶媒に溶解するポリエステルイミド塗料を導体の外周上に塗布・焼付することにより形成される。
近年、モータ等に用いられる絶縁電線には、耐熱性だけでなく、モータ等の小型化や使用電圧の高電圧化にともない、種々の特性が求められている。
例えば、モータは、小型化にともない、絶縁電線を高い張力で伸長しつつ高密度に巻回して作製されており、絶縁電線には、負荷の大きな加工が施されるようになっている。そのため、絶縁電線には、過酷な加工を施したときでも、絶縁層が導体から剥離しないような高い密着性が求められている。
また例えば、モータは、使用電圧が高くなり、環境温度がより高くなるため、絶縁電線には、高温環境に曝されたときに、熱劣化により絶縁層と導体との密着性が低下しにくく、加熱後でも所望の高い密着性を維持できること、つまり耐熱劣化性に優れていることが求められている。
そこで、例えば、絶縁層の密着性を向上させる方法として、ポリエステルイミド塗料に、密着性向上剤としてメルカプタン類、チアゾール類、メラミン類、シアノ化合物類、フェニレンジアミン類を配合する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2012−204270号公報
しかしながら、特許文献1の方法によれば、絶縁層の加熱前の密着性(初期密着性)を向上できるものの、メルカプタン類などの密着性向上剤は加熱により分解しやすいので、絶縁層の密着性が加熱により低下しやすい。つまり、所望の高い初期密着性を得られるものの、耐熱劣化性が不十分であり、加熱後でも高い密着性を維持することが困難となっている。
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、導体との密着性および耐熱劣化性に優れるポリエステルイミド樹脂を形成できるポリエステルイミド塗料、それを用いて形成される絶縁電線およびコイルを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
芳香族ジアミンからなるジアミン成分(a1)、および酸無水物または酸無水物とジカルボン酸とからなる酸成分(a2)を反応させて生成されたイミド酸に、2価または3価以上のアルコールからなるアルコール成分(a3)を反応させ、前記イミド酸をエステル化させて生成されたポリエステルイミド樹脂(A)と、
炭素数が2〜6のグリコールからなる多価アルコール(B)と、
フェノール類を含む有機溶媒(C)と、を含有し、
前記多価アルコール(B)および前記有機溶媒(C)が溶媒成分として存在しており、
加熱による前記ポリエステルイミド樹脂(A)と前記多価アルコール(B)との反応によって前記ポリエステルイミド樹脂(A)に前記多価アルコール(B)に由来するOH基が導入される、ポリエステルイミド塗料が提供される。
本発明の他の態様によれば、
導体と、前記導体の外周上に配置され、ポリエステルイミド塗料から形成される絶縁層とを備え、
前記ポリエステルイミド塗料、芳香族ジアミンからなるジアミン成分(a1)、および酸無水物または酸無水物とジカルボン酸とからなる酸成分(a2)を反応させて生成されたイミド酸に、2価または3価以上のアルコールからなるアルコール成分(a3)を反応させ、前記イミド酸をエステル化させて生成されたポリエステルイミド樹脂(A)と、炭素数が2〜6のグリコールからなる多価アルコール(B)と、フェノール類を含む有機溶媒(C)と、を含有し、前記多価アルコール(B)および前記有機溶媒(C)が溶媒成分として存在しているものからなり、
前記絶縁層は、前記ポリエステルイミド塗料の加熱による前記ポリエステルイミド樹脂(A)と前記多価アルコール(B)との反応によって前記ポリエステルイミド樹脂(A)に前記多価アルコール(B)に由来するOH基が導入されたものからなる、絶縁電線が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、
導体と、前記導体の外周上に配置され、芳香族ジアミンからなるジアミン成分(a1)、および酸無水物または酸無水物とジカルボン酸とからなる酸成分(a2)を反応させて生成されたイミド酸に、2価または3価以上のアルコールからなるアルコール成分(a3)を反応させ、前記イミド酸をエステル化させて生成されたポリエステルイミド樹脂(A)、炭素数が2〜6のグリコールからなる多価アルコール(B)、およびフェノール類を含む有機溶媒(C)を含有し、前記多価アルコール(B)および前記有機溶媒(C)が溶媒成分として存在しているポリエステルイミド塗料から形成される絶縁層と、を備え、前記絶縁層が、前記ポリエステルイミド塗料の加熱による前記ポリエステルイミド樹脂(A)と前記多価アルコール(B)との反応によって前記ポリエステルイミド樹脂(A)に前記多価アルコール(B)に由来するOH基が導入されたものからなる絶縁電線を用いて形成される、コイルが提供される。
本発明によれば、導体との密着性および耐熱劣化性に優れるポリエステルイミド樹脂を形成できるポリエステルイミド塗料、それを用いて形成される絶縁電線およびコイルが得られる。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面図である。
本発明者らは、上記課題について検討したところ、メルカプタン類などの密着性向上剤の代わりに、多価アルコールを用いるとよいことを見出した。すなわち、ポリエステルイミド樹脂および有機溶媒を含むポリエステルイミド塗料に多価アルコールを配合するとよいことを見出した。
この多価アルコールの作用については不明であるが、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、多価アルコールは2以上の水酸基(OH基)を有する化合物であり、多価アルコールを含むポリエステルイミド塗料を加熱すると、多価アルコールがOH基によりポリエステルイミド樹脂および導体のそれぞれと結合し、最終的には、絶縁層と導体との密着性を向上させるバインダとして作用するものと推測される。つまり、多価アルコールは、メルカプタン類などと同様に、絶縁層の密着性の向上に寄与し、密着性向上剤として作用すると考えられる。しかも、多価アルコールは、メルカプタン類などと比べて熱分解しにくいため、絶縁層の密着性を加熱後であっても高く維持することができる。
本発明は、上記知見に基づいて成されたものである。
以下、本発明の一実施形態のポリエステルイミド塗料、およびそれを用いた絶縁電線について説明する。
<ポリエステルイミド塗料>
本実施形態のポリエステルイミド塗料(以下、単に塗料ともいう)は、ポリエステルイミド樹脂(A)と、密着性向上剤としての多価アルコール(B)と、有機溶媒(C)と、を含有する。本実施形態の塗料は、加熱により、ポリエステルイミド樹脂(A)が重合して分子鎖が伸長すると同時に多価アルコール(B)と結合し、最終的に有機溶媒(C)が揮発することで、ポリエステルイミド樹脂からなる塗膜(例えば、絶縁層)となる。この塗膜は、多価アルコール(B)が結合することによりOH基が導入されているため導体との密着性に優れている。また、多価アルコール(B)は加熱により分解しにくいため、ポリエステルイミド樹脂からなる塗膜は、加熱による導体との密着性の低下が抑制されており、加熱後でも所望の高い密着性を維持することができる。
(ポリエステルイミド樹脂(A))
ポリエステルイミド樹脂(A)は、ジアミン成分(a1)、酸成分(a2)およびアルコール成分(a3)を反応させて得られるものである。例えば、ポリエステルイミド樹脂(A)は、ジアミン成分(a1)と酸成分(a2)である酸無水物とを反応させて得られるイミド酸に、酸成分(a2)であるジカルボン酸およびアルコール成分(a3)を反応させることにより得られる。
ジアミン成分(a1)としては、特に限定されないが、芳香族ジアミンを用いることが好ましい。芳香族ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、へキサメチレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等を用いることができる。
酸成分(a2)としては、酸無水物を用いることができる。酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)等の芳香族テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。この中でも、特にトリメリット酸無水物が好ましい。
また、酸成分(a2)としては、酸無水物とともにジカルボン酸を併用してもよい。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、またはそれらのアルキルエステルであるジメチルテレフタレート(DMT)、ジメチルイソフタレート等を用いることができる。
アルコール成分(a3)としては、イミド酸と反応してエステルイミドを形成できるような化合物であれば特に限定されない。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタノール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール;イソシアヌレート環を有するアルコールなどが挙げられる。イソシアヌレート環を有するアルコールとしては、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、トリス(3−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
(多価アルコール(B))
多価アルコール(B)は、ポリエステルイミド樹脂(A)を構成する成分ではなく、塗料中に有機溶媒(C)とともに存在する溶媒成分である。上述したように、多価アルコール成分(B)は、塗料の加熱の際にポリエステルイミド樹脂(A)と反応して結合することで、ポリエステルイミド樹脂からなる塗膜と導体との密着性を向上させる密着性向上剤として作用する。
多価アルコール(B)としては、塗料を加熱するときの反応性の観点からは、2価の脂肪族アルコールであることが好ましく、炭素数2〜6のグリコールであることがより好ましい。具体的には、多価アルコール(B)は、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびジエチレングリコールの少なくとも1つであることが好ましい。
多価アルコール(B)の配合量は、多価アルコール(B)および有機溶媒(C)の合計を100質量%としたとき、10質量%以上40質量%以下であることが好ましい。多価アルコール(B)は、塗料の加熱の際、ポリエステルイミド樹脂(A)と反応するものの、その一部は有機溶媒(C)と同様に揮発してしまう。そのため、多価アルコール(B)は、配合量が少ないと、塗料の加熱の際に揮発し、ポリエステルイミド樹脂(A)の残基と十分に反応できず、得られるポリエステルイミド樹脂の塗膜において導体との密着性を十分に得られないおそれがある。一方、配合量が過度に多いと、樹脂分の濃度が低くなり、結果として生産性の低下や、揮発量が多くなり、絶縁電線の外観不良に至るおそれがある。この点、本実施形態では、配合量を上記範囲内とすることにより、ポリエステルイミド樹脂の導体との密着性を高くするとともに、生産性の低下や外観不良を抑制することができる。
なお、多価アルコール(B)は、ポリエステルイミド樹脂(A)を構成するアルコール成分(a3)と同じであってもよく、異なっていてもよい。
(有機溶媒(C))
有機溶媒(C)としては、ポリエステルイミド樹脂(A)の合成を妨げないものが好ましく、例えば、クレゾールなどのフェノール類からなる有機溶媒や、プロピレンカーボネートとフェノール類との混合溶媒などを用いることができる。
<ポリエステルイミド塗料の製造方法>
次に、上述したポリエステルイミド塗料の製造方法について説明する。本実施形態のポリエステルイミド塗料の製造方法は、有機溶媒(C)中でジアミン成分(a1)、酸成分(a2)およびアルコール成分(a3)を反応させ、ポリエステルイミド樹脂(A)を生成する生成工程と、ポリエステルイミド樹脂(A)を含む有機溶媒(C)に多価アルコール(B)を添加する添加工程と、を有する。
(生成工程)
まず、有機溶媒(C)にジアミン成分(a1)および酸成分(a2)を溶解させ、その後、加熱して反応させることでイミド酸を生成する。反応に際しては、ジアミン成分(a1)と酸成分(a2)とをおおよそ1:2のモル比率で配合することが好ましいが、特性がえられる範囲で調整することは問題ない。
続いて、イミド成分を含む反応溶媒にアルコール成分(a3)を溶解させた後、これらを加熱により反応させてエステル化する。エステル化によりポリエステルイミド樹脂(A)を生成する。エステル化に際して、ポリエステルイミド樹脂(A)が所望の高い分子量とするには、例えば、アルコール成分(a3)とイミド酸とを、アルコール成分(a3)に由来するOH基とイミド酸に由来するCOOH基との比率((OH基)/(COOH基))が1.5以上2.5以下となるように反応させるとよい。
(添加工程)
続いて、ポリエステルイミド樹脂(A)を含む反応溶媒に有機溶媒(C)を添加する。これにより、反応溶媒の温度を下げてエステル化を止め、ポリエステルイミド樹脂(A)の分子量の増加を止める。
続いて、反応溶液に多価アルコール(B)を添加することにより、ポリエステルイミド樹脂(A)、多価アルコール(B)および有機溶媒(C)を含むポリエステルイミド塗料を得る。なお、多価アルコール(B)は、多価アルコール(B)および有機溶媒(C)を合計100質量%としたとき、10質量%以上40質量%以下となるように配合するとよい。
<塗膜>
本実施形態の塗料は、加熱によりポリエステルイミド樹脂(A)および多価アルコール(B)が反応することで、ポリエステルイミド樹脂からなる塗膜となる。具体的には、加熱により、ポリエステルイミド樹脂(A)同士が重合し、分子鎖が伸長するとともに、その分子鎖に、OH基を有する多価アルコール(B)が反応して結合する。そして、イミド化することにより、塗膜となる。
塗膜を構成するポリエステルイミド樹脂は、分子鎖の末端や側鎖に多価アルコール(B)が結合しており、多価アルコール(B)に由来するOH基が導入されている。OH基は、極性基であるため、OH基が導入されたポリエステルイミド樹脂は、導体との密着性に優れると考えられる。
また、塗膜を構成するポリエステルイミド樹脂には、メルカプタン類やチアゾール類、メラミン類、シアノ化合物類、フェニレンジアミン類など、加熱により分解しやすい密着性向上剤が組み込まれていない。そのため、本実施形態のポリエステルイミド樹脂は、メルカプタン類などが組み込まれたポリエステルイミド樹脂と比べて、加熱後であっても高い密着性を維持することができる。
<絶縁電線>
続いて、上述のポリイミド塗料を用いて形成された塗膜として絶縁層を備える絶縁電線について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面を示す図である。
本実施形態に係る絶縁電線1は、上述したポリエステルイミド塗料から形成され、ポリエステルイミド樹脂からなる絶縁層12を導体11の外周上に備える。
導体11は、例えば、銅または銅合金などの金属材料から形成される。その導体径は、用途に応じて最適なものを適宜選択することができる。その断面形状は、図1に示す丸型に限定されず、例えば角型形状とすることもできる。
絶縁層12は、導体11の外周を被覆するように設けられており、上述した塗料を加熱して得られるポリエステルイミド樹脂で形成されている。絶縁層11の形成は、例えば、導体11上に塗料を所定の厚さで塗布し、高温度(例えば350℃以上)で所定時間加熱するといった一連の操作(塗布および加熱)を、絶縁層12が所定の厚さとなるまで複数回繰り返すことによって行われる。絶縁層12の厚さは、用途に応じて最適な大きさが選択される。塗料の塗布方法は、一般的に実施されている方法、例えばバーコータ、ローラー、スピンコータ、ダイスなどを用いて塗布する方法、が挙げられる。また、塗料の加熱温度や加熱時間は、塗料に含まれるポリエステルイミド樹脂(A)、多価アルコール(B)および有機溶媒(C)の種類に応じて適宜変更するとよい。
絶縁層12は、多価アルコール(B)に由来するOH基が導入されたポリエステルイミド樹脂から形成されているので、導体11との密着性に優れている。
また、絶縁層12は、メルカプタン類などの加熱により分解しやすい密着性向上剤を含まないポリエステルイミド樹脂から形成されているので、加熱された後でも所望の高い密着性を有する。つまり、絶縁層12は、耐熱劣化性に優れている。
このような絶縁電線1は、絶縁層12がポリエステルイミド樹脂からなり、耐熱性だけでなく、導体との密着性および耐熱劣化性にも優れているので、コイルに用いることにより、コイルを小型化および高効率化することができる。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
ジアミン成分(a1)、酸成分(a2)およびアルコール成分(a3)を構成成分とするポリエステルイミド樹脂(A)と、
密着性向上剤としての多価アルコール(B)と、
有機溶媒(C)と、を含有する、ポリエステルイミド塗料が提供される。
[付記2]
付記1のポリエステルイミド塗料であって、好ましくは、
前記多価アルコール(B)が、2価の脂肪族アルコールである。
[付記3]
付記1又は2のポリエステルイミド塗料であって、好ましくは、
前記多価アルコール(B)が、炭素数2〜6のグリコールである。
[付記4]
付記1〜3のいずれかのポリエステルイミド塗料であって、好ましくは、
前記多価アルコール(B)が、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびジエチレングリコールの少なくとも1つである。
[付記5]
付記1〜4のいずれかのポリエステルイミド塗料であって、好ましくは、
前記多価アルコール(B)を、前記多価アルコール(B)および有機溶媒(C)の合計の10質量%以上40質量%以下、含む。
[付記6]
本発明の他の態様によれば、
導体と、前記導体の外周上に配置され、ポリエステルイミド塗料から形成される絶縁層とを備える絶縁電線であって、
前記ポリエステルイミド塗料は、
ジアミン成分(a1)、酸成分(a2)およびアルコール成分(a3)を構成成分とするポリエステルイミド樹脂(A)と、
密着性向上剤としての多価アルコール(B)と、
有機溶媒(C)と、を含有する、絶縁電線が提供される。
[付記7]
本発明のさらに他の態様によれば、
導体と、前記導体の外周上に配置され、ジアミン成分(a1)、酸成分(a2)およびアルコール成分(a3)を構成成分とするポリエステルイミド樹脂(A)、密着性向上剤としての多価アルコール(B)、および有機溶媒(C)を含有するポリエステルイミド塗料から形成される絶縁層と、を備える絶縁電線を用いて形成されるコイルが提供される。
1 絶縁電線
11 導体
12 絶縁層

Claims (5)

  1. 芳香族ジアミンからなるジアミン成分(a1)、および酸無水物または酸無水物とジカルボン酸とからなる酸成分(a2)を反応させて生成されたイミド酸に、2価または3価以上のアルコールからなるアルコール成分(a3)を反応させ、前記イミド酸をエステル化させて生成されたポリエステルイミド樹脂(A)と、
    炭素数が2〜6のグリコールからなる多価アルコール(B)と、
    フェノール類を含む有機溶媒(C)と、を含有し、
    前記多価アルコール(B)および前記有機溶媒(C)が溶媒成分として存在しており、
    加熱による前記ポリエステルイミド樹脂(A)と前記多価アルコール(B)との反応によって前記ポリエステルイミド樹脂(A)に前記多価アルコール(B)に由来するOH基が導入される、ポリエステルイミド塗料。
  2. 前記多価アルコール(B)が、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびジエチレングリコールの少なくとも1つである、請求項1に記載のポリエステルイミド塗料。
  3. 前記多価アルコール(B)を、前記多価アルコール(B)および有機溶媒(C)の合計の10質量%以上40質量%以下、含む、請求項1または2に記載のポリエステルイミド塗料。
  4. 導体と、前記導体の外周上に配置され、ポリエステルイミド塗料から形成される絶縁層とを備え、
    前記ポリエステルイミド塗料、芳香族ジアミンからなるジアミン成分(a1)、および酸無水物または酸無水物とジカルボン酸とからなる酸成分(a2)を反応させて生成されたイミド酸に、2価または3価以上のアルコールからなるアルコール成分(a3)を反応させ、前記イミド酸をエステル化させて生成されたポリエステルイミド樹脂(A)と、炭素数が2〜6のグリコールからなる多価アルコール(B)と、フェノール類を含む有機溶媒(C)と、を含有し、前記多価アルコール(B)および前記有機溶媒(C)が溶媒成分として存在しているものからなり、
    前記絶縁層は、前記ポリエステルイミド塗料の加熱による前記ポリエステルイミド樹脂(A)と前記多価アルコール(B)との反応によって前記ポリエステルイミド樹脂(A)に前記多価アルコール(B)に由来するOH基が導入されたものからなる、絶縁電線。
  5. 導体と、前記導体の外周上に配置され、芳香族ジアミンからなるジアミン成分(a1)、および酸無水物または酸無水物とジカルボン酸とからなる酸成分(a2)を反応させて生成されたイミド酸に、2価または3価以上のアルコールからなるアルコール成分(a3)を反応させ、前記イミド酸をエステル化させて生成されたポリエステルイミド樹脂(A)、炭素数が2〜6のグリコールからなる多価アルコール(B)、およびフェノール類を含む有機溶媒(C)を含有し、前記多価アルコール(B)および前記有機溶媒(C)が溶媒成分として存在しているポリエステルイミド塗料から形成される絶縁層と、を備え、前記絶縁層が、前記ポリエステルイミド塗料の加熱による前記ポリエステルイミド樹脂(A)と前記多価アルコール(B)との反応によって前記ポリエステルイミド樹脂(A)に前記多価アルコール(B)に由来するOH基が導入されたものからなる絶縁電線を用いて形成される、コイル。
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