JPH10120484A - 車両の乗員保護用ガス発生剤組成物及びその成形物並びに成形物の製造方法 - Google Patents

車両の乗員保護用ガス発生剤組成物及びその成形物並びに成形物の製造方法

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JPH10120484A
JPH10120484A JP27612896A JP27612896A JPH10120484A JP H10120484 A JPH10120484 A JP H10120484A JP 27612896 A JP27612896 A JP 27612896A JP 27612896 A JP27612896 A JP 27612896A JP H10120484 A JPH10120484 A JP H10120484A
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gas
gas generating
ammonium nitrate
weight
protecting
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JP27612896A
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English (en)
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Kazuya Serizawa
一哉 芹澤
Koji Ochi
弘二 越智
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NOF Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C06EXPLOSIVES; MATCHES
    • C06DMEANS FOR GENERATING SMOKE OR MIST; GAS-ATTACK COMPOSITIONS; GENERATION OF GAS FOR BLASTING OR PROPULSION (CHEMICAL PART)
    • C06D5/00Generation of pressure gas, e.g. for blasting cartridges, starting cartridges, rockets
    • C06D5/06Generation of pressure gas, e.g. for blasting cartridges, starting cartridges, rockets by reaction of two or more solids

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  • Combustion & Propulsion (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単位重量当たりの生成ガス量を多くすること
により、ガス発生器内のガス発生剤量を低減することが
でき、しかも燃焼残渣の発生を抑制してフィルターを簡
略化でき、ガス発生器の小型化を図ることができる車両
の乗員保護用ガス発生剤組成物及びその成形物を提供す
る。 【解決手段】 車両の乗員保護用ガス発生剤組成物は、
ニトロセルロース、ニトロ可塑剤及び硝酸アンモニウム
を含有する。硝酸アンモニウムの吸湿を抑制するため
に、硝酸アンモニウムをコーティング剤で被覆する。さ
らに、必要により安定剤、不揮発性溶剤又は帯電防止剤
を含有させる。ガス発生剤組成物の成形物は、ニトロセ
ルロース、ニトロ可塑剤及び硝酸アンモニウムを含有す
る混合物に有機溶剤を加えて塊状体とし、その塊状体を
押出装置により所定形状に押出し成形することにより製
造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばエアバッ
クを膨張させるためのガス発生装置に装填される車両の
乗員保護用ガス発生剤組成物及びその成形物並びに成形
物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両に装着されるエアバックを膨らませ
るためのガス発生剤としては、アジ化ナトリウムと各種
酸化剤とを主成分とするものが知られており、これを燃
焼させることにより窒素ガスを発生させ、エアバックを
膨張させる。
【0003】アジ化ナトリウムを主成分とするガス発生
剤は、燃焼によるガス成分としては清浄な窒素ガスだけ
を発生し、適度な燃焼速度及び比較的低い燃焼温度を有
するためガス発生剤としては好ましいものである。
【0004】しかし、アジ化ナトリウムは強い毒性があ
り、かつ酸や重金属と接触した場合には容易に反応しや
すいため、製造時や廃棄時に特段の注意を払う必要があ
る。また、アジ化ナトリウムを主成分とするガス発生剤
は、燃焼後には腐食性のナトリウムやナトリウム化合物
を多量に生成するため、廃棄時にこれらの処理まで実施
する必要がある。
【0005】このような問題を解決するため、従来より
アジ化ナトリウムを用いないガス発生剤が多方面で研究
されている。例えば、特公昭58−20919号公報に
は、(イ)アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩
素酸塩又は過塩素酸塩である酸化剤78〜92重量%、
(ロ)酢酸セルロース7.9 〜17.2重量%、
(ハ)炭素を含有する燃焼調整剤0.1〜0.8重量%
からなるガス発生剤が開示されている。
【0006】また、特公平2−225159号公報に
は、水素を含むテトラゾール化合物と、酸素を含む酸化
剤とよりなるガス発生剤組成物が提案されている。酸化
剤としては、硝酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属若
しくはアンモニウムの塩又は過塩素酸塩が開示されてい
る。さらに、特公昭−57−57150号公報には、ア
ゾジカルボンアミドとオキソハロゲン酸塩とからなるガ
ス発生剤が開示されている。
【0007】加えて、近年エチルアルコール等の液体を
使用した流体燃料を含むガス発生剤が開発されている。
すなわち、特公平7−329692号公報には、流体燃
料及び酸化剤が燃焼する第一チャンバー、加圧貯蔵ガス
を含む第2チャンバー及び前記流体燃料及び前記酸化剤
の燃焼を開始させる開始手段を備えたガス発生器が開示
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記特公昭
58−20919号公報、特公平2−225159号公
報及び特公昭−57−57150号公報に開示されてい
るガス発生剤は、燃焼した際に塩化カリウムや金属酸化
物などの燃焼残渣が発生する。この燃焼残渣はエアバッ
クを損傷するため、予め捕集しておく必要がある。この
ため、ガス発生器内部にフィルターが必要となり、ガス
発生器を小型化する上で障害になるという問題があっ
た。
【0009】しかも、上記各公報に記載のガス発生剤
は、標準状態における生成ガス量が約0.39〜0.5
4リットル/gと少ないため、多くのガス発生剤をガス
発生器に備えることが必要となる。そのため、ガス発生
器を小型化する上で障害になるという問題もあった。
【0010】また、特公平7−329692号公報記載
のガス発生剤は、ボンベ内に酸素を含む加圧した気体を
使用するため取扱い上の問題があり、しかも構造が複雑
であるためガス発生器を小型化する上で障害になるとい
う問題があった。
【0011】この発明は、このような従来技術の問題に
着目してなされたものである。その目的とするところ
は、単位重量当たりの生成ガス量を多くすることによ
り、ガス発生器内のガス発生剤量を低減することがで
き、しかも燃焼残渣の発生を抑制してフィルターを簡略
化でき、ガス発生器の小型化を図ることができる車両の
乗員保護用ガス発生剤組成物及びその成形物を提供する
ことにある。
【0012】その他の目的とするところは、アジ化ナト
リウムを含有せず、かつ燃焼後に実質的に一酸化炭素を
生成しない車両の乗員保護用ガス発生剤組成物及びその
成形物を提供することにある。
【0013】さらに、その他の目的とするところは、容
易にしかも効率良く、所定形状のガス発生剤成形物を成
形できるガス発生剤組成物の成形物の製造方法を提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明の車両の乗員保護用ガス発生剤組成物
は、ニトロセルロース、ニトロ可塑剤及び硝酸アンモニ
ウムを含有するものである。
【0015】第2の発明の車両の乗員保護用ガス発生剤
組成物は、第1の発明において、前記硝酸アンモニウム
をコーティング剤で被覆形成したものである。第3の発
明の車両の乗員保護用ガス発生剤組成物は、第1又は第
2の発明において、さらに安定剤及び不揮発性溶剤を含
有するものである。
【0016】第4の発明の車両の乗員保護用ガス発生剤
組成物は、第1〜第3の発明のいずれかの発明におい
て、さらに帯電防止剤を含有するものである。第5の発
明の車両の乗員保護用ガス発生剤組成物の成形物は、ニ
トロセルロース、ニトロ可塑剤及び硝酸アンモニウムを
含有する混合物を所定形状に形成してなるものである。
【0017】第6の発明の車両の乗員保護用ガス発生剤
組成物の成形物の製造方法は、ニトロセルロース、ニト
ロ可塑剤及び硝酸アンモニウムを含有する混合物に有機
溶剤を加えて塊状体とし、その塊状体を押出装置により
所定形状に押出し成形するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施形態につい
て順次詳細に説明する。車両の乗員保護用ガス発生剤組
成物は、還元剤としてのニトロセルロースとニトロ可塑
剤及び酸化剤としての硝酸アンモニウムを含有する。
【0019】ニトロセルロースは、セルロースの硝酸エ
ステルで、窒素含有量が10〜14重量%の範囲内であ
ることが好ましく、12〜14重量%の範囲であること
がさらに好ましい。この窒素含有量が少なすぎるとガス
発生剤組成物の燃焼性が低下し、また吸湿性が増加する
傾向にある。逆に、窒素含有量が多すぎるとガス発生剤
組成物の耐熱性が低下し、また有機溶剤に溶けにくくな
る。
【0020】このニトロセルロースの配合量は、ニトロ
セルロース、ニトロ可塑剤及び硝酸アンモニウムの総量
に対して、5〜40重量%の範囲内であることが好まし
く、成形物の物性、吸湿性及びガス発生剤燃焼後の生成
ガス中の一酸化炭素の生成を考慮すれば10〜30重量
%の範囲内であることがさらに好ましい。このニトロセ
ルロースの配合量は、15〜20重量%の範囲が特に好
ましい。この配合量が5重量%未満では、ガス発生剤組
成物の成形が困難となる傾向にある。逆に、40重量%
を越えると成形物の吸湿性が高くなることにより取り扱
いが困難となり、さらにガス発生剤の燃焼後の生成ガス
中に一酸化炭素が生成する傾向にある。
【0021】また、ニトロ可塑剤はニトロ基を有する可
塑剤であり、その例としては、ニトログリセリン、ジエ
チレングリコールジナイトレート、トリエチレングリコ
ールジナイトレート、トリメチロールエタントリナイト
レート及びビス−2,2−ジニトロプロピルアセタール
/ホルマール等が挙げられる。これらのうち、ニトロ可
塑剤としての酸素バランスを考慮すれば、ニトログリセ
リンが最も好ましい。
【0022】ニトロ可塑剤の配合量は、ニトロセルロー
ス、ニトロ可塑剤及び硝酸アンモニウムの総量に対し
て、3〜30重量%の範囲内が好ましく、ガス発生剤の
成形物の物性、吸湿性及びガス発生剤燃焼後の生成ガス
中の一酸化炭素の生成を考慮すれば5〜20重量%の範
囲がさらに好ましい。このニトロ可塑剤の配合量は10
〜15重量%が特に好ましい。この配合量が3重量%未
満では、成形物の吸湿性が高くなることにより取り扱い
が困難となり、しかも生成ガス中に一酸化炭素が生成す
る傾向にある。逆に、30重量%を越えるとガス発生剤
成形物の物性が悪くなる傾向にある。上記のニトロセル
ロース及びニトロ可塑剤は、ガス発生剤を形成する各成
分を結合するバインダーとしての機能を発揮する。
【0023】さらに、硝酸アンモニウムは硝酸のアンモ
ニウム塩で、ナトリウム塩やカリウム塩ではガス発生剤
燃焼後に金属酸化物よりなる燃焼残渣が生成し、不適当
である。ちなみに、過塩素酸アンモニウムなどは、ガス
発生剤燃焼後に有害な塩酸が生じるため不適当である。
【0024】硝酸アンモニウムの平均粒子径は1000
μm以下であることが好ましく、ガス発生剤成形物の物
性を考慮すれば10〜200μmであることがさらに好
ましい。この平均粒子径は、50〜100μmの範囲が
特に好ましい。この硝酸アンモニウムの平均粒子径が1
000μmを越えると、バインダーとして機能するニト
ロセルロース及びニトロ可塑剤との混和性が悪いため、
成形物の強度などの機械的物性が低下する傾向にある。
【0025】また、硝酸アンモニウムは結晶構造が温度
により変化するという欠点を有している。そのような欠
点を抑制するため、相転移抑制硝酸アンモニウム(Phas
eStabilized Ammoniumnitrate )を使用することが望
ましい。この相転移抑制硝酸アンモニウムは、次のよう
にして得られる。まず、所定の温度に加熱した溶融槽内
にて溶融した硝酸アンモニウムに、例えば酸化亜鉛、酸
化ニッケル又は硝酸カリウム等を加えて混合する。次い
で、この混合物を溶融槽内で攪拌しながら冷却させるこ
とにより得られる。あるいは、溶融槽内で混合した後、
圧縮機からの圧縮空気で溶融物を噴霧させることにより
得られる。
【0026】さらに、硝酸アンモニウムの欠点である吸
湿による固結を抑制するために、カオリン等の固結防止
剤を加えた硝酸アンモニウムを使用することが製造上好
ましい。
【0027】硝酸アンモニウムの配合量は、ニトロセル
ロース、ニトロ可塑剤及び硝酸アンモニウムの総量に対
して、60〜80重量%の範囲が好ましく、ガス発生剤
の成形物の物性、生成ガス量及び生成ガス中の一酸化炭
素の生成を考慮すれば65〜75重量%の範囲がさらに
好ましい。この硝酸アンモニウムの配合量は、65〜7
0重量%の範囲が特に好ましい。
【0028】この配合量が60重量%未満ではガス発生
剤が燃焼したときの生成ガス量が少なく、しかも生成ガ
ス中に一酸化炭素が生成する傾向にある。また、80重
量%を越えると成形物の強度などの機械的物性が悪くな
る傾向にある。
【0029】ニトロセルロース、ニトロ可塑剤及び硝酸
アンモニウムの総量に対するニトロセルロースとニトロ
可塑剤の合計配合量は15〜40重量%の範囲が好まし
く、成形物の強度などの物性、生成ガス量及び生成ガス
中の一酸化炭素の生成を考慮すれば25〜40重量%の
範囲がさらに好ましい。ニトロセルロースとニトロ可塑
剤の合計配合量は、35〜40重量%の範囲が特に好ま
しい。ニトロセルロースとニトロ可塑剤を混合すると膠
化し、酸化剤である硝酸アンモニウム等の粉体と混合し
た際には粉体同士の隙間に入り込み、結合剤としての作
用も有する。
【0030】そのため、ニトロセルロースとニトロ可塑
剤の合計配合量が15重量%未満では、硝酸アンモニウ
ムの粉体成分を十分に被覆することができず、成形物の
強度などの機械的物性が悪くなる傾向にある。また、4
0重量%を越えると生成ガス中に一酸化炭素が生成する
傾向にあり、実質的に一酸化炭素が生成しない条件にす
ることはできない。ここで、実質的に一酸化炭素が生成
しない条件とは、生成ガス中に占める一酸化炭素の濃度
が5000ppm以下であることを意味する。
【0031】次に、ガス発生剤組成物中の硝酸アンモニ
ウムは、その吸湿を防止するためにコーティング剤で被
覆されていることが望ましい。そのようなコーティング
剤としては、硝酸アンモニウムの吸湿防止が可能なもの
であれば全て使用できる。例えば、ポリエチレングリコ
ール等のポリグリコール系ポリマー、ポリビニル系ポリ
マー及びパラフィンワックス等が挙げられるが、硝酸ア
ンモニウムの吸湿を防止できる効率を考慮すればポリエ
チレングリコールが最も好ましい。
【0032】また、ポリエチレングリコール自身の吸湿
性を考慮すれば、重量平均分子量6000〜20000
のポリエチレングリコールを使用することが好ましい。
コーティング剤の使用により硝酸アンモニウムの吸湿を
防止でき、そのため酸化剤である硝酸アンモニウムの取
り扱いが容易となる。さらに、コーティングされた硝酸
アンモニウムは、バインダーとの相溶性も改善されるた
め、成形物の強度などの機械的物性も向上する。
【0033】コーティング剤の使用量は、ガス発生剤組
成物中において通常0.5〜7重量%の範囲が好まし
く、硝酸アンモニウムへのコーティング効果を考慮すれ
ば1〜5重量%の範囲がさらに好ましい。このコーティ
ング剤の使用量は、1〜3重量%の範囲が特に好まし
い。
【0034】この使用量が0.5重量%未満では硝酸ア
ンモニウムの吸湿性が著しく大きくなる。また、7重量
%を越えるとコーティング剤としての効果は多大となる
が、他の成分の配合比率が低下するためガス発生剤の燃
焼性が悪くなり、さらに生成ガス中に一酸化炭素が生成
する傾向にある。
【0035】次に、ガス発生剤組成物中にはニトロセル
ロース又はニトロ可塑剤の自然分解を抑制するために安
定剤を配合するのが好ましい。そのような安定剤として
は、一般に用いられているニトロセルロース及びニトロ
可塑剤の自然分解を抑制する安定剤を全て使用すること
ができる。例えば、エチルセントラリット、ジフェニル
アミン等が挙げられる。ニトロセルロース及びニトロ可
塑剤に対する安定剤としての効率を考慮すると、エチル
セントラリットが最も好ましい。
【0036】このような安定剤を添加することによりガ
ス発生剤成形物の安定性が増し、ニトロセルロース及び
ニトロ可塑剤の自然分解を抑制でき、ガス発生剤の長期
にわたる使用が可能となる。
【0037】安定剤の添加量は、ガス発生剤組成物中に
おいて通常1〜6重量%の範囲が好ましいが、生成ガス
中の一酸化炭素の生成を考慮すれば1〜5重量%の範囲
がさらに好ましい。安定剤の添加量は、2〜4重量%の
範囲が特に好ましい。
【0038】この安定剤の添加量が1重量%未満ではニ
トロセルロースやニトロ可塑剤の自然分解を抑制する安
定剤としての効果が小さくなる傾向にある。また、6重
量%を越えると安定剤としての効果は多大となるが、他
の成分の配合比率が低下するためガス発生剤の燃焼性が
悪くなり、さらに生成ガス中の一酸化炭素が生成する傾
向にある。
【0039】次に、ガス発生剤組成物には可塑性を付与
し、成形性を向上させるため不揮発性溶剤を配合するこ
とが望ましい。そのような不揮発性溶剤としては、ニト
ロセルロースと相溶性の良いものであれば全て使用でき
る。例えば、ジブチルフタレート、ジメチルフタレー
ト、ジエチルフタレート等のフタル酸ジエステル、リン
酸エステル、トリアセチン、アセチルトリエチルサイト
レート等の脂肪酸エステルが挙げられる。
【0040】この可塑剤を添加することにより、ガス発
生剤組成物の可塑性が増大し、成形性が向上することか
ら成形物の製造が容易となる。不揮発性溶剤の添加量
は、ガス発生剤組成物中において通常0.5〜6重量%
の範囲が好ましく、生成ガス中の一酸化炭素の生成を考
慮すれば0.5〜5重量%の範囲がさらに好ましい。さ
らにこの不揮発性溶剤の添加量は、0.5〜3重量%の
範囲が特に好ましい。
【0041】不揮発性溶剤の添加量が0.5重量%未満
では、ガス発生剤組成物の成形性を向上させる効果が少
なくなる傾向にある。また、6重量%を越えると不揮発
性溶剤としての効果は多大となるが、他の成分の配合比
率が低下するため燃焼性が悪くなり、しかも成形物の強
度が低下し、その上生成ガス中に一酸化炭素が生成する
傾向にある。
【0042】次に、ガス発生剤組成物には成形物の帯電
を抑制し、その取り扱いを容易にするために、帯電防止
剤を加えることが望ましい。この帯電防止剤としては、
従来から知られている粒子表面の導電性を良くし、帯電
性を抑制できるものであれば全て使用できる。このよう
な帯電防止剤としては、例えばグラファイト、カーボン
ブラック等が挙げられる。
【0043】この帯電防止剤を添加することにより、ガ
ス発生剤成形物の帯電を効果的に抑制でき、成形物の製
造時や使用時における取り扱いを容易にすることができ
る。帯電防止剤の添加量は、ガス発生剤組成物中におい
て通常0.05〜3重量%の範囲が好ましく、生成ガス
中の一酸化炭素の生成を考慮すれば0.05〜2重量%
の範囲がさらに好ましい。帯電防止剤の添加量は、0.
05〜1重量%の範囲が特に好ましい。
【0044】帯電防止剤の添加量が0.05重量%未満
では成形物の帯電を抑制する効果が低くなる傾向にあ
る。また、3重量%を越えると帯電防止剤としての効果
は多大となるが、他の成分の配合比率が低下するため燃
焼性が悪くなり、しかも生成ガス中に一酸化炭素が生成
する傾向にある。
【0045】次に、有機溶剤を用いた押出し成形法によ
る乗員保護用ガス発生剤の成形物の製造方法について説
明する。まず最初に、ニトロセルロース、ニトロ可塑
剤、硝酸アンモニウム及び必要によりコーティング剤、
不揮発性溶剤、安定剤又は帯電防止剤を所定量計量す
る。
【0046】この場合、硝酸アンモニウムの表面をコー
ティング剤によりコーティング処理する場合には、有機
溶剤とコーティング剤をポリ容器内に入れ、コーティン
グ剤を有機溶剤に溶解する。この場合、コーティング剤
は有機溶剤に溶解すればよいので、室温で溶解してもよ
いが、例えば有機溶剤の温度が30〜85℃となるまで
加熱して溶解を速めることもできる。その後、そのポリ
容器内へ硝酸アンモニウムを入れて撹拌しながら、混合
物の温度を加熱した場合には室温となるまで下げて硝酸
アンモニウム表面のコーティング処理を行う。
【0047】押出し成形法で用いられる有機溶剤として
は、ニトロセルロースを完全に溶解するもの全てが使用
可能である。この有機溶剤としては、例えばアセトン、
エチルアルコール、酢酸エチル等が挙げられる。これら
の混合溶液も使用可能である。例えば、アセトンとエチ
ルアルコールの混合溶液における混合割合は、重量比で
アセトン/エチルアルコール=90/10〜20/70
の範囲が好ましい。ガス発生剤組成物の成形性を考慮す
れば、重量比でアセトン/エチルアルコール=80/2
0〜40/60の範囲がさらに好ましい。
【0048】なぜならば、アセトンのみでは蒸発速度が
速いためガス発生剤成形物の製造が困難となり、逆にエ
チルアルコールのみでは窒素含有量の高いニトロセルロ
ースを完全に溶解することが困難となるからである。
【0049】その後、全ての原材料を混和機内に入れ、
それに前記有機溶剤を適量混和機内に加えて均一な混合
物を調製する。そして、均一に混合された混合物を押出
し装置に装填し、所定の圧力をかけ、ダイスを通しなが
ら押し出すことにより、ガス発生剤組成物は所定の形
状、大きさに成形される。
【0050】すなわち、ガス発生剤成形物の形状は、図
1(a)に示すような円柱体1、図1(b)に示すよう
な軸線方向に延びる貫通孔2を有する円柱体1、図1
(c)に示すような7個の貫通孔2を有する円柱体1、
図1(d)に示すような19個の貫通孔2を有する円柱
体1が挙げられる。さらに、図1(e)に示すような7
個の貫通孔2を有する異形柱体4、図1(f)に示すよ
うな19個の貫通孔2を有する異形柱体4、図1(g)
に示すような7個の貫通孔2を有する六角柱体5、図1
(h)に示すような19個の貫通孔2を有する六角柱体
5等が挙げられる。
【0051】また、このガス発生剤成形物の形状と大き
さは、用途により大きく異なるが、一般的には外径が
0.5〜50mm、長さが0.5〜50mm程度である。例
えば、自動車が衝突したとき、極短時間での作動を要求
されるプリテンショナー装置用ガス発生剤等には、外径
0.5〜5mm、内孔径0.1〜4mm、長さ0.5〜5mm
程度の図1(b)に示すような貫通孔2を有する円柱体
1が使用される。なお、プリテンショナー装置とは、自
動車用シートベルトに装着され、衝突時にガス発生剤が
点火されて燃焼し、その際発生する圧力によりシートベ
ルトを巻き上げて、体が前方に押出されるのを防止する
装置である。
【0052】成形性及びガス発生速度を考慮すれば、ガ
ス発生剤成形物の寸法で好ましいのは外径0.5〜2m
m、内孔径0.2〜1mm、長さ0.5mm〜2mmである。
成形物の表面から内孔までの厚みが0.15mm以下又は
長さが0.5mm未満では成形が困難となる傾向にある。
【0053】また、厚さが0. 5mmを越える場合又は長
さが2mmを越える場合、ガス発生速度が遅く、ガス発生
剤としての性能を十分に発揮できない傾向にある。例え
ば、プリテンショナー装置用ガス発生剤ほど速いガス発
生速度が要求されないエアバック用ガス発生剤には、外
径20〜50mm、内孔径3〜15mm、長さ20〜50mm
程度の図1(d)から図1(h)に示すものが使用され
る。要求されるガス発生速度を考慮すれば、好ましいの
は外径20〜30mm、内孔径5〜10mm、長さ30〜5
0mmである。外径20〜50mm、内孔径3〜15mm、長
さ20〜50mmの範囲を外れるとエアバック膨張のため
の性能を十分に発揮できない傾向にある。
【0054】また、アセトン、エチルアルコール、酢酸
エチル等の有機溶剤がガス発生剤中に多く含有されてい
ると燃焼性能の低下がみられるため、有機溶剤をできる
限り取り除くことが好ましい。乾燥終了時の有機溶剤分
は通常0.5重量%、水分は1.0重量%以下が好まし
く、成形後の取り扱いを考慮すれば、有機溶剤分は0.
3重量%以下、水分は0.5重量%以下がさらに好まし
い。この乾燥終了時の有機溶剤分は0.1重量%以下、
水分は0.2重量%以下が特に好ましい。この有機溶剤
分が0.5重量%又は水分が1.0重量%を越える場
合、ガス発生剤のガス発生速度や機械的物性が低下する
傾向がある。
【0055】以上のような実施形態により発揮される効
果について以下に記載する。 (1) 実施形態のガス発生剤組成物においては、酸化
剤としての硝酸アンモニウムと還元剤としてのニトロセ
ルロース及びニトロ可塑剤が効率良く反応し、燃焼残渣
が生成しないことから、ガス発生剤の単位重量当たりの
生成ガス量を多くすることができる。例えば、水、二酸
化炭素、酸素、窒素からなる無害な生成ガスを標準状態
において、約0.8〜1.0リットル/gと多量に発生
させることができる。 (2) ガス発生剤の生成ガス量を多くすることができ
るため、ガス発生器内に装填するガス発生剤の量を低減
させることができる。 (3) 酸化剤として硝酸アンモニウムを使用するの
で、金属酸化物のような燃焼残渣の発生を抑制でき、そ
れにより燃焼残渣を捕集するフィルターを簡略化するこ
とができる。 (4) 上記のように、ガス発生剤の量を少なくでき、
しかも燃焼残渣を濾過するフィルターを簡略化できるこ
とから、ガス発生器の小型化を図ることができる。 (5) ガス発生剤組成物にはアジ化ナトリウムが含有
されていないため、腐食性のナトリウムやナトリウム化
合物を生成するおそれはなく、取扱いが容易であり、し
かも酸化反応に必要な酸素を硝酸アンモニウムにより確
保できることから、実質的に一酸化炭素の生成を抑制す
ることができる。 (6) ニトロセルロース、ニトロ可塑剤及び硝酸アン
モニウムを含有する混合物に有機溶剤を加えて塊状体と
し、その塊状体を押出装置により所定形状に押出し成形
することにより、ガス発生剤の成形物を容易にしかも効
率良く製造することができる。 (7) 以上のような効果が得られるため、ガス発生剤
組成物及びその成形物は車両に装着される乗員保護用の
ガス発生剤として最適である。
【0056】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、この発
明のガス発生剤組成物、その成形物及び成形物の製造方
法について具体的に説明する。 (実施例1)窒素含有量13.15%のニトロセルロー
ス18.6重量%、ニトログリセリン15.4重量%及
び平均粒径が125μmの硝酸アンモニウム66.0重
量%の割合になるように調整した混合物に対し、酢酸エ
チルを50重量%加え、いわゆるウェルナー混和機で均
一に混合した。なお、ウェルナー混和機は、横方向に延
びる回転軸に支持された攪拌羽根により攪拌、混合する
装置である。
【0057】次いで、これを押出装置に装填した。押出
装置には予め3mmのダイスが取り付けられており、ガス
発生剤の成形物は圧力をかけることにより、このダイス
を通りながら押し出されて円柱状に成形される。この成
形物を1.5mmの長さに切断して乾燥することにより粒
状のガス発生剤成形物を得た。
【0058】このガス発生剤成形物を用いて、図2に示
す密閉ボンブ試験装置により燃焼時の生成ガス中の一酸
化炭素濃度及び燃焼残渣を求めた。そして、化学平衡計
算により、1gのガス発生剤組成物が燃焼した際に生成
する二酸化炭素、水、酸素及び窒素の標準状態における
合計容量を生成ガス量として表1に示した。 (一酸化炭素及び燃焼残渣の測定方法)まず、密閉ボン
ブ試験装置について説明する。図2に示すように、ボン
ブ本体6内には一定容積を有する燃焼室7が設けられ、
その燃焼室7にはガス発生剤成形物8が装填される。ボ
ンブ本体6の一端側には燃焼室7内にガス発生剤成形物
8を装填したり、密閉したりするための栓体9が装着さ
れ、ボルト10により着脱可能になっている。同じくボ
ンブ本体6の一端側には接続配線11を介して点火装置
12が接続されている。
【0059】燃焼室7内における栓体9の内端面には一
対の電極17が取付けられ、一方の電極17には前記一
方の接続配線11が接続され、他方の電極17はボンブ
本体6に電気的に接続されている。両電極17には接続
線を介して点火玉18が取付けられている。そして、点
火装置12を作動させることにより、接続配線11、電
極17などを経て点火玉18が点火し、燃焼室7のガス
発生剤成形物8を着火させて燃焼させるようになってい
る。
【0060】ボンブ本体6の上部にはガス抜き用のバル
ブ13が取着され、サンプリング管14を介して燃焼室
7と連通されている。このサンプリング管14とガス抜
き用のバルブ13から燃焼室7内のガスをサンプリング
し、その燃焼特性を評価できるようになっている。な
お、ボンブ本体6の他端側には圧力変換器15が取付け
られ、連通管16を介して燃焼室7と連通されている。
【0061】そして、栓体9を抜いた状態で燃焼室7内
にガス発生剤成形物8を装填比重0.1g/ccで装填
する。次いで、栓体9を閉めた後、点火装置12にて燃
焼室7内のガス発生剤成形物8を着火する。ガス発生剤
成形物3の燃焼後、ガス抜き用のバルブ13から生成ガ
スを採取する。採取された生成ガスについてガスクロマ
トグラフィーを用いて一酸化炭素濃度を求めた。また、
ガス発生剤成形物8の燃焼後に栓体9を抜いて燃焼室7
中に残った燃焼残渣を捕集し、燃焼残渣量を求めた。 (実施例2〜6)表1に示した組成で、実施例1と同様
の方法によりガス発生剤組成物を各々製造し、同じ方法
で各々の特性を評価した。その結果を表1に示した。 (実施例7〜13)表1及び表2に示すガス発生剤組成
物中において1重量%のポリエチレングリコール(但
し、実施例8では7. 1重量%のポリエチレングリコー
ル)と、さらに硝酸アンモニウムに対して50重量%の
酢酸エチルとをポリ容器内に入れ、酢酸エチルの温度が
50〜60℃となるまで加熱し、ポリエチレングリコー
ルを溶解させた。
【0062】その後、そのポリ容器内へ平均粒径125
μmの硝酸アンモニウムを入れて撹拌しながら、混合物
の温度を常温となるまで下げて硝酸アンモニウムのコー
ティング処理を行った。
【0063】また、表1又は表2に示した組成におい
て、通常の硝酸アンモニウムの代わりにコーティング処
理した硝酸アンモニウムを使用する以外は実施例1と同
様の製造方法とし、また同じ方法で各々の特性を評価し
た。その結果を表1及び表2に示した。 (比較例1)表2に示した組成で、実施例1と同様の方
法によりガス発生剤組成物を製造し、同じ方法で各々の
特性を評価した。その結果を表2に示した。 (比較例2、3)表2に示した組成及び水とアセトンの
混合液をいわゆる品川式混和機にて均一に混合した。な
お、品川式混和機は上下方向に延びる回転軸に支持され
た攪拌羽根により攪拌、混合する装置である。得られた
湿った塊状体を32メッシュの絹網を用いて裏ごしして
乾燥することにより、ガス発生剤成形物として平均粒子
径約0.5mmの造粒物を得た。その造粒物を専用の金型
と手動式油圧プレス機を備えた押出装置を使用し、直径
6.5mm×高さ6mmの円柱状成形物を調製し、その成形
物について実施例1と同様の方法で評価した。その評価
結果を表2に示した。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】 表1及び表2に示した結果からわかるように、実施例1
〜13に示すガス発生剤組成物のガス発生量は0.8〜
1.0リットル/gであり、比較例1〜3に示すガス発
生剤組成物のガス発生量である0.4〜0.6リットル
/gに比べて非常に多量のガスを発生した。
【0066】さらに、比較例1〜3に示すガス発生剤成
形物は、燃焼後に燃焼残渣が32〜43%発生するのに
対し、実施例1〜13に示すガス発生剤成形物は燃焼後
に燃焼残渣を全く生じなかった。
【0067】また、硝酸アンモニウムの配合量が65〜
70重量%である実施例においては成形が容易であり、
また生成ガス中の一酸化炭素濃度は2000ppm以上
になることはなかった。一方、硝酸アンモニウムの配合
量が80重量%を越えた場合(実施例2及び5)は生成
ガス量、生成ガス中の一酸化炭素濃度及び燃焼残渣につ
いては問題ないが、成形物の強度などの機械的物性がや
や低下した。
【0068】さらに、硝酸アンモニウムの配合量が60
重量%未満になった場合(実施例3及び6)、成形物の
物性、生成ガス量及び燃焼残渣については問題ないが、
生成ガス中の一酸化炭素濃度が5000ppm近くに上
昇することがわかった。
【0069】従って、硝酸アンモニウムの配合量が65
〜70重量%で、ニトロセルロースとニトロ可塑剤の合
計量が15〜40重量%の範囲であれば製造が容易であ
り、しかも生成ガス中の一酸化炭素濃度は2000pp
m以上になることはなく、好ましいことがわかった。
【0070】また、硝酸アンモニウム表面をコーティン
グした場合(実施例7)、硝酸アンモニウムの吸湿を防
止できて取り扱いが容易となり、また成形物の物性も向
上した。
【0071】ただし、ポリエチレングリコールの配合量
が7重量%を越えた場合(実施例8)、エチルセントラ
リットの配合量が6重量%を越えた場合(実施例1
0)、ジエチルフタレートの配合量が6重量%を越えた
場合(実施例11)及びグラファイトの配合量が3重量
%を越えた場合(実施例13)、いずれも成形物の物
性、生成ガス量及び燃焼残渣については問題ないが、生
成ガス中の一酸化炭素濃度が5000ppm程度となっ
た。
【0072】なお、この発明は次のように形態を変更し
て具体化することも可能である。 (a) ガス発生剤組成物として、ニトロセルロース、
ニトロ可塑剤及び硝酸アンモニウムよりなる混合物に、
安定剤と不揮発性溶剤を配合した組成物とすること。 (b) ガス発生剤組成物として、ニトロセルロース、
ニトロ可塑剤及び硝酸アンモニウムよりなる混合物に、
帯電防止剤を配合した組成物としたり、ニトロセルロー
ス、ニトロ可塑剤及びコーティング剤でコーティングし
た硝酸アンモニウムよりなる混合物に、帯電防止剤を配
合した組成物としたりすること。
【0073】さらに、前記実施形態より把握される技術
的思想について以下に記載する。 (1) 前記硝酸アンモニウムの配合量は、65〜70
重量%である請求項1に記載の車両の乗員保護用ガス発
生剤組成物。
【0074】このように構成した場合、ガス発生剤の燃
焼による生成ガス量を確保しつつ、一酸化炭素の生成を
抑制でき、しかもガス発生剤成形物の機械的物性を保持
することができる。 (2) 前記ニトロセルロースとニトロ可塑剤の合計配
合量は、15〜40重量%である請求項1に記載の車両
の乗員保護用ガス発生剤組成物。
【0075】このように構成した場合、ガス発生剤成形
物の形状保持などの物性を維持でき、生成ガス量を確保
しつつ、一酸化炭素の生成を抑制することができる。 (3) 前記硝酸アンモニウムは、結晶構造の変化を抑
制するための添加剤を配合した請求項1に記載の車両の
乗員保護用ガス発生剤組成物。
【0076】このように構成した場合、ガス発生剤成形
物の製造時に、硝酸アンモニウムの結晶構造の変化に伴
ない気泡が発生したり、成形物が脆くなったりするのを
抑制することができる。 (4) 前記添加剤は、酸化亜鉛、酸化ニッケル又は硝
酸カリウムである上記(1)に記載の車両の乗員保護用
ガス発生剤組成物。
【0077】このように構成した場合、上記(1)の効
果を確実に奏することができる。 (5) 前記硝酸アンモニウムは、吸湿による固結を抑
制するための固結抑制剤を配合した請求項1に記載の車
両の乗員保護用ガス発生剤組成物。
【0078】このように構成した場合、硝酸アンモニウ
ムの吸湿による固結を抑制でき、ガス発生剤成形物の製
造を容易にすることができる。
【0079】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば
次のような優れた効果を奏する。第1の発明の車両の乗
員保護用ガス発生剤組成物によれば、単位重量当たりの
生成ガス量を多くすることにより、ガス発生器内のガス
発生剤量を低減することができ、しかも燃焼残渣の発生
を抑制してフィルターを簡略化でき、ガス発生器の小型
化を図ることができる。
【0080】さらに、アジ化ナトリウムを含有せず、か
つ実質的に一酸化炭素の生成を抑制することができる。
第2の発明の車両の乗員保護用ガス発生剤組成物によれ
ば、第1の発明の効果に加え、硝酸アンモニウムの吸湿
を効果的に抑制することができる。
【0081】第3の発明の車両の乗員保護用ガス発生剤
組成物によれば、第1又は第2の発明の効果に加え、ニ
トロセルロース及びニトロ可塑剤の自然分解を抑制で
き、ガス発生剤を長期にわたって使用することができ、
可塑性を向上させてガス発生剤成形物の製造を容易にす
ることができる。
【0082】第4の発明の車両の乗員保護用ガス発生剤
組成物によれば、第1〜第3の発明のいずれかの効果に
加え、ガス発生剤成形物の帯電を抑制でき、その取扱い
を容易にすることができる。
【0083】第5の発明の車両の乗員保護用ガス発生剤
組成物の成形物によれば、ガス発生剤組成物より所望の
形状に賦形でき、第1の発明の効果を発揮することがで
きる。
【0084】第6の発明の車両の乗員保護用ガス発生剤
組成物の成形物の製造方法によれば、ガス発生剤組成物
の成形物を容易にしかも効率良く製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(h)は、ガス発生剤成形物の形状
例を示す斜視図。
【図2】 ガス発生剤の物性測定用の密閉ボンブ試験装
置を示す断面図。
【符号の説明】
8…ガス発生剤成形物。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニトロセルロース、ニトロ可塑剤及び硝
    酸アンモニウムを含有する車両の乗員保護用ガス発生剤
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記硝酸アンモニウムをコーティング剤
    で被覆形成した請求項1に記載の車両の乗員保護用ガス
    発生剤組成物。
  3. 【請求項3】 さらに安定剤及び不揮発性溶剤を含有す
    る請求項1又は請求項2に記載の車両の乗員保護用ガス
    発生剤組成物。
  4. 【請求項4】 さらに帯電防止剤を含有する請求項1〜
    請求項3のいずれかに記載の車両の乗員保護用ガス発生
    剤組成物。
  5. 【請求項5】 ニトロセルロース、ニトロ可塑剤及び硝
    酸アンモニウムを含有する混合物を所定形状に形成して
    なる車両の乗員保護用ガス発生剤組成物の成形物。
  6. 【請求項6】 ニトロセルロース、ニトロ可塑剤及び硝
    酸アンモニウムを含有する混合物に有機溶剤を加えて塊
    状体とし、その塊状体を押出装置により所定形状に押出
    し成形する車両の乗員保護用ガス発生剤組成物の成形物
    の製造方法。
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