JP2003112991A - ガス発生剤組成物及びエアバッグ - Google Patents

ガス発生剤組成物及びエアバッグ

Info

Publication number
JP2003112991A
JP2003112991A JP2001309192A JP2001309192A JP2003112991A JP 2003112991 A JP2003112991 A JP 2003112991A JP 2001309192 A JP2001309192 A JP 2001309192A JP 2001309192 A JP2001309192 A JP 2001309192A JP 2003112991 A JP2003112991 A JP 2003112991A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
gas generant
gas
generant composition
gas generating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001309192A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3915462B2 (ja
Inventor
Shinsuke Takayama
晋介 高山
Kazuya Serizawa
一哉 芹澤
Katsuhiko Takahashi
勝彦 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2001309192A priority Critical patent/JP3915462B2/ja
Publication of JP2003112991A publication Critical patent/JP2003112991A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3915462B2 publication Critical patent/JP3915462B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な燃焼性能を有し、高温での経時安定性
に優れ、さらに実質的に有害な燃焼ガスを発生しないガ
ス発生剤組成物を提供する。 【解決手段】 (a)アンモニウム酸素酸塩、(b)粉
末状微結晶炭素及び(c)ガス発生剤組成物の自然分解
を抑制するための安定剤を含有し、かつガス発生剤組成
物の酸素バランスが、−0.50≦ガス発生剤組成物の
酸素バランス(g/g)≦−0.01を満たす範囲内に
あるガス発生剤組成物。さらにガス発生剤組成物から
(b)成分を除外したガス発生剤組成物の酸素バランス
が、0≦ガス発生剤組成物から(b)成分を除外した組
成物の酸素バランス(g/g)≦0.20の関係を満た
す範囲内にある請求項1に記載のガス発生剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば車両に搭載
され、人員保護のエアバッグを膨張させるためのガス発
生装置、あるいはシートベルトを巻き取るためのプリテ
ンショナーに使用され、作動時に燃焼ガスを発生するた
めに用いられるガス発生剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、安全性の高い非アジド系ガス発生
剤の研究開発が各方面でなされている。ガス発生剤とし
ては、良好な燃焼性能を有し、経時安定性に優れ、高い
ガス化率を有し、また実質的に有害なガスを発生しない
ものが要求されている。
【0003】ガス化率が高いことは、ガス発生装置に装
填できるガス発生剤の量を低減できるため、装置の小型
化、軽量化が可能となり、ガス発生装置の製造工数を低
減できる利点を有する。この要求に応じるため、完全燃
焼により残渣を発生しない酸化剤であるアンモニウム酸
素酸塩を主成分とするガス発生剤が各方面で研究されて
いる。とりわけ、低毒性・低危険性、かつ燃焼で有害ガ
スを生成しないという点から、硝酸アンモニウムが注目
されており、各方面で硝酸アンモニウムを主成分とする
ガス発生剤が研究されている。また硝酸アンモニウム
は、人員保護用のガス発生剤だけでなく、ロケットモー
ターに用いられる固体推進薬の酸化剤としても研究がな
されている。
【0004】一方、ガス発生装置に着目すると、高圧条
件下で燃焼させるシステムよりも、常圧下でも燃焼可能
なシステムの方がシステム全体を単純化できる。そのた
め、ガス発生剤としては低圧での燃焼性が良好であるも
のが求められつつある。
【0005】しかし、アンモニウム酸素酸塩は、金属硝
酸塩や金属過塩素酸塩などと比較すると酸化剤としての
反応性が乏しい。即ち、硝酸アンモニウム等のアンモニ
ウム酸素酸塩は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の硝
酸塩、過塩素酸塩に比べて熱分解の反応機構が複雑であ
り、酸化還元反応が途中の段階で中断しやすいためと考
えられ、それがアンモニウム酸素酸塩の酸化能力の低い
原因と考えられる。
【0006】例えば、硝酸アンモニウムでは、完全燃焼
により窒素ガス、水、及び二酸化炭素といった形態で燃
焼生成物が生成するが、完全燃焼しない場合は、硝酸ア
ンモニウムの分解生成物である窒素酸化物や硝酸がガス
発生装置外に放出される。酸化剤はガス発生剤の主要成
分であるため、正常なガス発生速度のパターンから大き
く逸脱し、さらに乗員が高濃度の酸性物質や有害な窒素
酸化物を被爆するため、自動車の衝突時に安全に乗員を
保護することができない恐れがあった。そのため、ガス
発生剤の燃焼性能を向上させる様々な試みがなされてい
る。具体的には、反応性の大きい還元剤と組み合わせた
り、より酸化能力の大きい酸化剤を併用したり、あるい
は燃焼触媒を添加することが行われてきた。
【0007】例えば、特開平7−215790号公報に
は、硝酸アンモニウム、熱可塑性エラストマー、還元剤
としてグリシジルアジドの重合生成物からなるガス発生
剤が開示されている。また、特開平10−130086
号公報には、硝酸アンモニウム又は硝酸カリウムなどで
相安定化した硝酸アンモニウム、還元剤としてアミノテ
トラゾール、及び賦形剤からなるガス発生剤が開示され
ている。
【0008】また、特開平10−265290号公報に
は、高分子系バインダーとして、ポリアクリル系高分子
化合物、ポリアセタール、ユリア樹脂、メラミン樹脂、
ケトン樹脂又はセルロース系高分子、硝酸アンモニウム
又は相安定化硝酸アンモニウム、及び金属の硝酸塩、亜
硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩から選ばれる補助酸化剤
を含有するガス発生剤組成物が開示されている。
【0009】また、特開平11−92265号公報に
は、還元剤としてカーボンブラック又は活性炭粉末、相
安定化硝酸アンモニウムを必須成分とし、高分子系バイ
ンダーを任意成分として含有するガス発生剤組成物が開
示されている。さらに、特開平7−33578号公報に
は、還元剤として、3,3−ビスアジドメチルオキセタ
ン/テトラヒドロフランコポリマー、又は3,3−ビス
アジドメチルオキセタン/3−アジドメチル−3−メチ
ルオキセタンコポリマー、酸化剤として、硝酸アンモニ
ウム及び/又はシクロテトラメチレンテトラニトラミ
ン、及び0.01〜1.0重量%のカーボンブラック、
及び燃焼触媒として0.1〜3.0重量%の重金属から
なる無煙系コンポジット推進薬が開示されている。
【0010】しかしながら、特開平7−215790
号、特開平10−130086号、特開平10−265
290号の各公報に記載のガス発生剤組成物は、常圧域
で着火燃焼させるガス発生装置に用いるには、依然その
燃焼性能に大きな問題があった。即ち、低圧域での燃焼
性が悪いためガス発生速度が断続的となり、自動車の衝
突時に人員保護装置が確実に作動しない恐れがあった。
【0011】一方、特開平11−92265号公報に記
載のガス発生剤組成物は、燃焼性能は比較的良好なもの
であるが、経時安定性、即ちガス発生剤組成物が自動車
内に搭載されている期間における経時安定性が悪いとい
う問題があった。また、特開平7−33578号公報に
記載の無煙系コンポジット推進薬は、その用途がロケッ
トモーターの推進を目的としており、それゆえ上述のガ
ス発生剤に求められる性能を有する組成をなしていな
い。具体的には、酸素バランスが考慮されていない組成
のため、燃焼で有害なガスを発生する恐れがあり、ま
た、ガス発生剤組成物として用いるには燃焼性が悪かっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、良好
な燃焼性能を有し、高温での経時安定性に優れ、さらに
実質的に有害な燃焼ガスを発生しないガス発生剤組成物
を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アンモニウム酸素
酸塩、粉末状微結晶炭素、安定剤を含有し、かつガス発
生剤組成物の酸素バランスを特定の範囲に設計したガス
発生剤組成物が上記課題を解決できることを見出し、本
発明を完成するに至った。即ち、本発明は次に示すとお
りである。
【0014】第1の発明は、(a)成分:アンモニウム
酸素酸塩、(b)成分:粉末状微結晶炭素及び(c)成
分:ガス発生剤組成物の自然分解を抑制するための安定
剤を含有し、かつガス発生剤組成物の酸素バランスが、
−0.50≦ガス発生剤組成物の酸素バランス(g/
g)≦−0.01を満たす範囲内にあるガス発生剤組成
物。第2の発明は、さらにガス発生剤組成物から(b)
成分を除外したガス発生剤組成物の酸素バランスが、0
≦ガス発生剤組成物から(b)成分を除外した組成物の
酸素バランス(g/g)≦0.20の関係を満たす範囲
内にある請求項1に記載のガス発生剤組成物。第3の発
明は、(a)成分が硝酸アンモニウム又は相安定化され
た硝酸アンモニウムであり、(b)成分が活性炭及び木
炭からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、かつ
(a)成分と(b)成分との合計重量に対する(a)成分
の含有量の比率が70〜95重量%の範囲内である前記
第1の発明又は前記第2の発明に記載のガス発生剤組成
物。第4の発明は、さらに(d)成分として高分子系バ
インダーを含有する前記第1の発明乃至前記第3の発明
のいずれかに記載のガス発生剤組成物。第5の発明は、
さらに(e)成分として、含窒素化合物、固体有機酸、
有機酸塩及び有機酸の誘導体からなる群より選ばれる少
なくとも1種の燃料成分を含有する前記第1の発明乃至
前記第4の発明のいずれかに記載のガス発生剤組成物。
第6の発明は、さらに(f)成分として、硝酸アンモニ
ウムと異なる酸素酸塩を含み、かつ(f)成分と(a)成
分との合計重量に対する(a)成分の含有量の比率が5
0〜97重量%である前記第1の発明乃至前記第5の発
明のいずれかに記載のガス発生剤組成物。第7の発明
は、さらに(g)成分として、一酸化炭素を低減する触
媒を含有する前記第1の発明乃至前記第6の発明のいず
れかに記載のガス発生剤組成物。第8の発明は、前記第
1の発明乃至前記第7の発明のいずれかに記載のガス発
生剤組成物を用いてなるエアバッグ。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。本発明で用いる前記(a)成分のアン
モニウム酸素酸塩は、ガス発生剤組成物の酸化剤の主要
成分である。アンモニウム酸素酸塩は、完全にガス化す
ることから、高いガス化率やガス発生量を有する非アジ
ド系ガス発生剤として最も望ましい酸化剤である。
【0016】アンモニウム酸素酸塩としては、特に限定
されず、公知のガス発生剤として使用可能なもののいず
れもが使用でき、1種又は2種以上の混合物として使用
される。取扱い性(人体に対して有害性が少ないこと、
感度が高くないこと、ガス発生剤の実用温度範囲におけ
る融解あるいは分解しないこと)の点を考慮すると、好
ましくは、硝酸アンモニウム及び過塩素酸アンモニウム
である。そして燃焼で塩化水素など有害ガスを発生しな
い点をもさらに考慮すると、特に好ましくは、硝酸アン
モニウムである。硝酸アンモニウムは、その相転移によ
る体積変化が原因となりガス発生剤の性能が変化するこ
とを抑制するために、必要に応じて相安定化されていて
もよい。
【0017】(a)成分の形態は、成形性と燃焼性とか
ら粉末である。その平均粒子径は1〜1000μmの範
囲であることが好ましく、ガス発生剤組成物を成形した
物の機械的物性及び燃焼速度を考慮すれば2〜200μ
mの範囲であることがさらに好ましい。その平均粒子径
が1μm未満の場合、(a)成分自体の製造性、及びガ
ス発生剤組成物の製造性が悪化する傾向にある。一方、
平均粒子径が1000μmを超えると、成形物の機械的
物性が悪化し、しかも燃焼速度が低下する傾向にある。
【0018】(a)成分の含有量は、ガス発生剤組成物
中において、好ましくは、40〜94重量%、さらに好
ましくは、42〜92重量%である。40重量%未満で
はガス化率が低下し、94重量%を超えると燃焼速度が
低下する傾向にある。
【0019】次に(b)成分の粉末状微結晶炭素につい
て説明する。粉末状微結晶炭素はアンモニウム酸素酸塩
の分解促進効果を有し、燃焼触媒として機能する。また
自身も還元剤として寄与するため、ガス化率を向上させ
る機能を有している。その具体例としては、活性炭、コ
ークス、木炭、骨炭、獣炭、瀝青炭が挙げられる。これ
らの中では、アンモニウム酸素酸塩の分解促進効果や、
粉末状微結晶炭素に含まれる灰分などの不純物の割合が
小さい点から、好ましくは、活性炭、木炭である。そし
て粉末状微結晶炭素は、(a)成分が硝酸アンモニウム
であるときに燃焼触媒としての効果が特異的に著しくな
る特徴を有している。
【0020】一般に、アンモニウム酸素酸塩の分解が始
まると、反応で生じた窒素酸化物や硝酸が分解していな
いアンモニウム酸素酸塩を分解する自触媒反応により、
アンモニウム酸素酸塩の分解が促進されると考えられ
る。その際、粉末状微結晶炭素がアンモニウム酸素酸塩
の分解を促進する要因、特に初期燃焼を促進する要因と
しては、粉末状微結晶炭素を有する大きな比表面積や、
酸性及び塩基性の表面官能基を有することが挙げられ
る。
【0021】(b)成分の望ましい形態は、成形性と燃
焼性とから微細な粉末である。その平均粒子径は1〜5
00μmの範囲であることが好ましく、ガス発生剤組成
物を成形した物の機械的物性及び燃焼速度を考慮すれ
ば、2〜60μmの範囲であることがさらに好ましい。
その平均粒子径が1μm未満の場合、(b)成分自体の
製造性、及びガス発生剤組成物の製造性が悪化する傾向
にある。一方、平均粒子径が500μmを超えると、成
形物の機械的物性が悪化し、しかも燃焼速度が低下する
傾向にある。
【0022】(b)成分の含有量は、ガス発生剤組成物
中において、好ましくは、4〜20重量%、さらに好ま
しくは、5〜18重量%である。4重量%未満では燃焼
速度が低下し、20重量%を超えると燃焼で発生する一
酸化炭素が高くなり、またガス化率が低下する傾向にあ
る。
【0023】次に(c)成分のガス発生剤組成物の自然
分解を抑制するための安定剤について説明する。(a)
成分のアンモニウム酸素酸塩は、単独ではガス発生剤組
成物の実用温度範囲では化学的な経時安定性(熱安定
性)は良好であるものの、(b)成分を配合することに
より、(a)成分の分解が促進され、ガス発生剤組成物
の経時安定性が低下する傾向がある。そのため、(c)
成分として燃料成分としての効果も併せ持つ安定剤が配
合される。
【0024】安定剤としては、ガス発生剤組成物の経時
安定性を向上可能なものの全てが使用できる。例えば、
ジフェニルウレア、メチルジフェニルウレア、エチルジ
フェニルウレア、ジエチルジフェニルウレア、ジメチル
ジフェニルウレア、メチルエチルジフェニルウレアなど
のジフェニルウレア誘導体;ジフェニルアミン、2−ニ
トロジフェニルアミンなどのジフェニルアミン誘導体;
エチルフェニルウレタン、メチルフェニルウレタンなど
のフェニルウレタン誘導体;ジフェニルウレタンなどの
ジフェニルウレタン誘導体;レゾルシノールなどが挙げ
られる。
【0025】(c)成分の安定剤が粉体として用いられ
る場合の平均粒子径は、1〜500μmの範囲であるこ
とが好ましく、ガス発生剤成形物の機械的物性及び燃焼
速度を考慮すれば2〜60μmの範囲であることが更に
好ましい。平均粒子径が1μm未満ではガス発生剤組成
物の製造性が悪化する傾向にある。一方、平均粒子径が
500μmを超えると、成形物の機械的物性が悪化し、
しかも燃焼速度が低下する傾向にある。(c)成分の使
用量は、ガス発生剤の経時安定性が実用に耐え得る水準
となるまで配合できる。好ましくは、(b)成分に対し
て20〜200重量%であり、ガス発生剤の燃焼速度、
生成ガス中の一酸化炭素発生量、およびガス発生剤組成
物の実用的な経時安定性を考慮すると、30〜150重
量%であることがより好ましい。
【0026】次に、ガス発生剤組成物の酸素バランスに
ついて詳述する。硝酸アンモニウムなどのアンモニウム
酸素酸塩を酸化剤とするガス発生剤組成物では、酸素バ
ランスをゼロ以上とした組成設計では、前記したよう
に、低圧域ではアンモニウム酸素酸塩の完全分解(完全
燃焼)が達成されない恐れがある。一方、ガス発生剤組
成物の酸素バランスをマイナスにすることにより、燃料
成分として炭素を含む場合、一酸化炭素が高濃度で発生
することが考えられる。例えば、硝酸アンモニウムと粉
末状微結晶炭素(酸素バランスは−2.67(g/g)
と仮定)から構成され、各々の組成が86重量%と14
重量%である混合物(酸素バランスは−0.20(g/
g)となる。)が完全燃焼すると、理論計算上、発生ガ
ス1g中の一酸化炭素濃度はおよそ50000ppmと
なる。これは自動車衝突時の乗員への影響上、ガス発生
剤組成物の燃焼で生成する一酸化炭素濃度が15000
ppm以下であることが望ましいことを考慮すれば、ガ
ス発生剤組成物に使用することは困難と考えられる。そ
のため、ガス発生剤組成物は、一酸化炭素や窒素酸化物
等の有害ガス発生量を最小にし、燃焼速度を高めるた
め、一般的に酸素バランスはゼロ近傍に設定される。
【0027】それに対し本発明では、酸素バランスがゼ
ロとなる組成よりも(b)成分をさらに多く添加するこ
とで、ガス発生剤組成物の酸素バランスを特定のマイナ
ス範囲に設定していることが特徴である。ガス発生剤組
成物の酸素バランスが特定のマイナス範囲となるまで
(b)成分を過剰に加えることで、(a)成分と(b)
成分との接触面積、単位量の(a)成分に対する(b)
成分の表面積が増加し、燃焼時に(a)成分の完全分解
が促進される。それゆえ、低圧域においてもガス発生剤
組成物の燃焼性能が向上する上に、(a)成分の不完全
燃焼に起因する窒素酸化物や硝酸などの有害ガス発生量
が低減されることを見出した。即ち、実際に上記の混合
物が燃焼する場合に発生する一酸化炭素量は理論発生量
よりも少なくなった。この理由は、粉末状微結晶炭素
は、還元剤としての機能よりもむしろ硝安の分解触媒と
しての機能が高く、粉末状微結晶炭素を過剰に加えた組
成では、硝酸アンモニウムはより完全燃焼しやすくなっ
た一方で、活性炭は硝酸アンモニウムとの酸化還元反応
で二酸化炭素を生成するのに見合う分が反応し、未反応
の活性炭はそのまま燃焼残渣になったためと考えられ
る。
【0028】ここで酸素バランスとは、ある物質あるい
は混合物質が完全に酸化還元反応を起こし、CO2、H2
O、N2などの完全な酸化還元反応生成物を生成すると
した場合の酸素の過不足を表し、燃焼前の物質あるいは
混合物1g当たりのg数で表記する。具体的には、ある
物質の分子式、または混合物の平均分子式をCxy z
uで表すと、その完全燃焼の反応式は、下記数式
(1)
【0029】
【数1】
【0030】で表され、酸素バランスは、−(1/2)
(2x+y/2−z)×32÷(物質又は混合物の平均
分子量)(g/g)で計算される。ガス発生剤組成物の
原材料において、酸素バランスがプラスである物質は酸
化剤として作用し、酸素バランスがマイナスである物質
は還元剤として作用する。また燃焼前後で変化しない原
材料成分の酸素バランスはゼロである。具体例を挙げる
と、硝酸アンモニウムの酸素バランスは、0.20(g
/g)、過塩素酸アンモニウムの酸素バランスは、0.
34(g/g)である。また、粉末状微結晶炭素の酸素
バランスは、その表面官能基に基づく元素構成に依る
が、−2.50(g/g)〜−2.67(g/g)であ
り、一般的には−2.60(g/g)前後である。
【0031】本発明で必須要件となるガス発生剤組成物
の酸素バランスの範囲は、−0.50≦ガス発生剤組成
物の酸素バランス(g/g)≦−0.01である。な
お、ガス発生剤の燃焼性、一酸化炭素の発生量、及びガ
ス化率を考慮すれば、ガス発生剤組成物の酸素バランス
は、−0.30≦ガス発生剤組成物の酸素バランス(g
/g)≦−0.03となるようにするのが好ましく、−
0.25≦ガス発生剤組成物の酸素バランス(g/g)
≦−0.05とするのがさらに好ましい。
【0032】ガス発生剤組成物の酸素バランスが、−
0.50(g/g)よりマイナス側の場合、燃焼で発生
する一酸化炭素濃度が高くなる傾向にあり、また(b)
成分で燃焼残渣として残る比率が高くなるため、ガス発
生剤のガス化率が低下する傾向にある。一方、酸素バラ
ンスが、−0.01(g/g)を超えると、ガス発生剤
組成物の燃焼性が悪化し、アンモニウム酸素酸塩の不完
全燃焼に伴う酸性物質や有害ガスの発生量が多くなる傾
向にある。
【0033】また、ガス発生剤組成物から(b)を除い
た組成物の酸素バランスの範囲は、0≦ガス発生剤組成
物から(b)を除いた組成物の酸素バランス(g/g)
≦0.20が好ましい。ガス発生剤組成物の一酸化炭素
の発生量、経時安定性、及び燃焼性を考慮すれば、0.
01≦ガス発生剤組成物から(b)を除いた組成物の酸
素バランス(g/g)≦0.15がさらに好ましい。そ
の酸素バランスが0(g/g)未満の場合、燃焼で発生
する一酸化炭素や、安定剤など還元剤成分の不完全燃焼
に起因する各種の燃焼生成物の濃度が高くなる傾向にあ
る。また、0.20(g/g)を超えると、(b)成分
の比率、あるいは安定剤の比率のいずれかを低くせざる
を得なくなるため、良好な燃焼性と良好な経時安定性が
両立できなくなる傾向にある。
【0034】ガス発生剤組成物において、(a)成分と
(b)成分との合計重量に対する(a)成分の含有量比
率は70〜95重量%が好ましい。(a)成分の含有量
比率が70重量%未満では燃焼で発生する一酸化炭素の
濃度が高くなる傾向にあり、またガス化率が低下する傾
向にある。一方、(a)成分の含有量比率が95重量%
を超えると、ガス発生剤組成物の燃焼速度が低下する傾
向にある。
【0035】ガス発生剤組成物に成形性を持たせ、酸素
バランスを調整するために、さらに(d)成分として高
分子系バインダーを添加することができる。高分子系バ
インダーとしては、例えば、ポリビニル系高分子、セル
ロース系高分子、ポリエステル系高分子、ポリウレタン
系高分子、ポリエーテル系高分子、熱可塑性エラストマ
ー類、ポリアクリル系高分子、ポリアミド、ポリイミ
ド、ケトン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、尿素樹
脂、多糖類、ゴム類、及びエネルギー性化合物結合剤な
どが挙げられる。
【0036】ポリビニル系高分子の具体例としては、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマ
ール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマ
ーなどが挙げられる。セルロース系高分子の具体例とし
ては、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセ
ルロース、セルロースアセテートナイトレート、セルロ
ースナイトレートカルボキシメチルエーテル、カルボキ
シメチルセルロース及びその塩、ヒドロキシメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、結晶性セルロースなどが挙げられる。
【0037】ポリエステル系高分子の具体例としては、
ポリエステル合成繊維、ポリエチレンテレフタラート、
不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。ポリウレタ
ン系高分子の具体例としては、ウレタン樹脂などが挙げ
られる。ポリエーテル系高分子の具体例としては、ポリ
プロピレンオキシド、ポリフェニレンオキシド、ポリエ
ーテルイミドなどが挙げられる。
【0038】熱可塑性エラストマー類の具体例として
は、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラスト
マーなどが挙げられる。ポリアクリル系高分子の具体例
としては、ポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリア
クリルヒドラジド、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸
誘導体、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどが
挙げられる。
【0039】ポリアミドの具体例としては、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、共重合ポ
リアミド、メトキシメチル化ポリアミドなどが挙げられ
る。
【0040】多糖類の具体例としては、可溶性デンプ
ン、グアガム、ペクチン、キチン、及びそれらの誘導体
などが挙げられる。ゴム類の具体例としては、アクリル
ゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、
バイトン、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチ
ルゴム、二トリルブタジエンゴム、フッ素ゴムなどが挙
げられる。
【0041】エネルギー性化合物結合剤の具体例として
は、グリシジルアジドポリマー、3,3−ビス(アジド
メチル)オキセタンポリマー、3−アジドメチル−3−
メチルオキセタンポリマー、3−ナイトレートメチル−
3−メチルオキセタンポリマーなどが挙げられる。
【0042】高分子系バインダーは、加圧成形時の結合
剤として、粉体の状態で用いられる場合と押出成形時の
バインダーとして用いられる場合とがある。押出成形に
よる製造方法の場合、高分子系バインダーを適切な溶剤
あるいは水に溶解させることが望ましい。特に(a)成
分が相安定化されていない硝酸アンモニウムの場合、そ
の相転移に伴う体積変化によるガス発生剤の粉化を抑制
するため、押出成形時のバインダーとして、高分子系バ
インダーを使用することが好ましい。高分子系バインダ
ーの配合量は、ガス発生剤組成物の総重量を基準にして
30重量%以下であり、好ましくは2〜25重量%であ
る。
【0043】さらに(e)成分として含窒素化合物、固
体有機酸、有機酸塩、及び有機酸の誘導体からなる群よ
り選ばれる1種又は2種以上の燃料成分をガス発生剤組
成物中に含有させることが望ましい。含窒素化合物は、
燃焼により窒素ガスを放出し、ガス発生量の増加に寄与
する。含窒素化合物としては、分子内に窒素原子を有す
る化合物であれば特に制限はされないが、分子中におけ
る窒素含有率が重量比で15%以上であるものが好まし
い。具体例としては、例えば、トリアミノグアニジン硝
酸塩、アミノグアニジン硝酸塩、ジアミノグアニジン硝
酸塩、硝酸ヒドラジン、ニトログアニジン、硝酸グアニ
ジンなどが挙げられる。
【0044】固体有機酸、有機酸塩、及び有機酸誘導体
は、アンモニウム酸素酸塩と反応しやすく、良好な燃焼
性を有する。固体有機酸、有機酸塩、及び有機酸の誘導
体としては特に限定されず、ガス発生剤として使用可能
なものであればいずれのものも使用できる。
【0045】具体例としては、例えば、蓚酸、尿酸、オ
キサミン酸、フマル酸、コハク酸、グルタミン酸、クエ
ン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、オロチン酸、
ビオルル酸、粘液酸、ヒドラゾジカルボンアミド、アル
ギニン、アスパラギン、グリシン、アロキサンチンなど
の固体有機酸;蓚酸カリウム、蓚酸ナトリウム、蓚酸
銅、蓚酸鉄、蓚酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナ
トリウム、酢酸銅、酢酸鉄、クエン酸ナトリウムなどの
有機酸塩;蓚酸モノアニリド、蓚酸モノアミド、オキサ
ミド、コハク酸アミド、コハク酸イミドなどの有機酸誘
導体が挙げられる。
【0046】前記(e)燃料成分は、複数の物質の混合
物としても使用可能である。燃料成分が粉体として用い
られる場合の平均粒子径は、1〜500μmの範囲であ
ることが好ましく、ガス発生剤組成物を成形した物の機
械的物性及び燃焼速度を考慮すれば2〜60μmの範囲
であることが更に好ましい。平均粒子径が1μm未満で
はガス発生剤組成物の製造性が悪化する傾向にある。一
方、平均粒子径が500μmを超えると、成形物の機械
的物性が悪化し、しかも燃焼速度が低下する傾向にあ
る。
【0047】(e)燃料成分と(c)成分の安定剤とを
併せた成分の配合量は、ガス発生剤組成物の総重量を基
準にして、40重量%以下であることが好ましく、着火
性、燃焼速度、及び生成ガス中に一酸化炭素が実質的に
生成しないことを考慮すれば2〜25重量%がさらに好
ましい。なお上記の最適な配合量は、燃料成分及び安定
剤の酸素バランスも考慮して定められる。
【0048】硝酸アンモニウムを主たる酸化剤とするガ
ス発生剤組成物において、その燃焼性能をさらに高める
ために、補助的に(f)成分として硝酸アンモニウムと
異なる酸素酸塩を添加してもよい。このような酸素酸塩
としては特に限定されず、ガス発生剤組成物として使用
可能なものであればいずれのものでも使用できる。具体
的には、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属な
どの酸素酸塩が挙げられるが、吸湿性が激しくないこ
と、有害性が小さいこと、熱安定性が良好であること
(ガス発生剤の実用温度範囲で融解あるいは分解しない
こと)の点を考慮すると、好ましいものは硝酸カリウ
ム、硝酸ナトリウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸カ
リウムである。
【0049】(f)成分の形態は成形性と燃焼性とから
粉末である。その平均粒子径は1〜1000μmの範囲
であることが好ましく、ガス発生剤組成物の機械的物性
及び燃焼速度を考慮すれば、2〜200μmの範囲であ
ることがさらに好ましい。その平均粒子径が1μm未満
の場合、ガス発生剤組成物の製造性が悪化する傾向にあ
る。一方、平均粒子径が1000μmを超えると、成形
物の機械的物性が悪化し、しかも燃焼速度が低下する傾
向にある。
【0050】ガス発生剤組成物の燃焼性向上及び硝酸ア
ンモニウムの相安定化効果を考慮すると、(f)成分と
してカリウムの酸素酸塩、この中でも特に、硝酸カリウ
ムが含まれていることが好ましい。相安定化された硝酸
アンモニウム中におけるカリウムの酸素酸塩の配合量
は、相安定化効果が発現される範囲および燃焼残渣が実
用上問題とならない範囲で適宜設定できる。具体的に
は、硝酸カリウムを用いる場合、好ましくは硝酸アンモ
ニウムが70〜98重量%、硝酸カリウムが2〜30重
量%であり、より好ましくは硝酸アンモニウムが75〜
96重量%、硝酸カリウムが4〜25重量%である。相
安定化された硝酸アンモニウムの製造方法としては、適
切な物理的方法、例えば硝酸アンモニウムと所定量の硝
酸カリウムとの両者が溶解した水溶液を、湯浴による加
熱下で蒸発・乾燥させることにより得られる。
【0051】ガス発生剤組成物において、(f)成分と
(a)成分との合計重量に対する(a)成分の含有量の
比率は、50〜97%であることが好ましい。ガス発生
剤のガス化率、燃焼速度、及び硝酸アンモニウムの相安
定化効果を考慮すれば、上記の比率は54〜92%の範
囲にあることがさらに好ましい。この比率が50%未満
ではガス化率が低下する傾向にある。また97%を超え
ると燃焼速度が低下する傾向にある。さらに硝酸アンモ
ニウムをカリウムの酸素酸塩で相安定化する場合は、相
安定化剤の配合比率が減少するため、硝酸アンモニウム
が十分に相安定化されなくなる恐れがある。
【0052】ガス発生剤組成物において、燃焼で発生す
る一酸化炭素の発生量をさらに低減するために、銅、亜
鉛、鉄、コバルト、マンガン、モリブデン、タングステ
ンから選ばれる遷移金属の酸化物、複酸化物、ならびに
モリブデン酸、モリブデン酸塩からなる群より選ばれる
少なくとも1種を、一酸化炭素を低減する触媒として添
加することができる。その中でも、酸化第二銅、二酸化
モリブデン、三酸化モリブデン、二酸化マンガン、モリ
ブデン酸、モリブデン酸アンモニウム及びモリブデン酸
コバルトが、特に好ましい。一酸化炭素を低減する触媒
の配合量は、ガス発生剤組成物の総重量を基準にして、
10重量%以下であることが好ましいが、燃焼残渣量の
低減を考慮すれば、5重量%以下がさらに好ましい。
【0053】本発明のガス発生剤組成物は、打錠機など
を用いた加圧成形か、あるいは溶剤(有機溶剤や水な
ど)を添加し均一に混合した後、押出装置による押出成
形にて所定の形状とすることが好ましい。成形体にする
ことにより、ガス発生剤組成物をガス発生装置に適した
形態とすることができる。押出成形による場合は、
(d)成分として適切な有機溶剤に溶解する高分子系バ
インダーを用いる必要がある。
【0054】さらに、ガス発生剤組成物に可塑性を付与
し成形性を向上させるために、可塑剤を配合してもよ
い。そのような可塑剤としては、高分子系バインダーと
相溶性のよいものであれば全て使用可能である。例え
ば、ジブチルフタレート、ジメチルフタレート、ジエチ
ルフタレートなどのフタル酸ジエステル可塑剤;リン酸
エステル、トリアセチン、アセチルトリエチルサイトレ
ートなどの脂肪酸エステル可塑剤;トリメチロールエタ
ントリナイトレート、ジエチレングリコールジナイトレ
ート、トリエチレングリコールジナイトレート、ニトロ
グリセリン、ビス−2,2−ジニトロプロピルアセター
ル/ホルマールなどのニトロ可塑剤;グリシジルアジド
可塑剤などが挙げられる。
【0055】可塑剤の配合量は、ガス発生剤組成物の総
重量を基準にして3重量%以下であることが好ましく、
生成ガス中に一酸化炭素が実質的に生成しないことを考
慮すれば2重量%以下がさらに好ましい。可塑剤の配合
量が3重量%を超えると、他組成の配合比率が低下する
ため、燃焼性が悪化し、また生成ガス中に一酸化炭素が
生成する傾向にある。
【0056】ガス発生剤組成物を打錠機で加圧成形する
場合、成形体の強度を優れたものとするために、必要に
応じて成形剤を添加することができる。そのような成形
剤は、アルミナ、シリカ、雲母、二硫化モリブデンなど
の無機系結合剤から選ばれる。また、成形時において原
料の流動性を改善するために、必要に応じてステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン
酸亜鉛、二硫化モリブデンなどから選ばれる成形助剤を
添加することができる。成形剤及び成形助剤の配合量
は、ガス発生剤組成物の総重量を基準にして、5重量%
以下であることが好ましく、ガス発生剤の燃焼性能を考
慮すれば4重量%以下がさらに好ましい。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば次のような優れた効果を
奏する。第1の発明によれば、アンモニウム酸素酸塩を
酸化剤とするガス発生剤組成物において、良好な燃焼性
能(燃焼速度、低圧燃焼性)、常圧域より燃焼させるガ
ス発生装置内においてガス発生剤の完全燃焼が実現でき
る。また良好な経時安定性を有する。第2の発明によれ
ば、第1の発明の効果に加えて、燃焼で発生する一酸化
炭素、安定剤や燃料成分の不完全燃焼に基づく各種の燃
焼生成物の濃度を抑制することができる。第3の発明に
よれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、まず酸化
剤の取扱い性を改善できる。また、粉末状微結晶炭素に
よる酸化剤の分解促進効果を大きくでき、さらに粉末状
微結晶炭素に含まれる灰分など不純物比率が減るため燃
焼残渣を低減できる。同時に、燃焼で発生する一酸化炭
素濃度、ガス化率の低下、あるいは燃焼速度の低下を抑
制することができる。第4の発明によれば、第1から第
3のいずれかの発明の効果に加えて、ガス発生剤組成物
の成形性向上、酸素バランスの調整といった効果を与え
ることができる。第5の発明によれば、第1から第4の
いずれかの発明の効果に加えて、ガス発生量の向上、酸
素バランスや燃焼速度の調整といった効果を与えること
ができる。第6の発明によれば、第1から第5の発明の
効果に加えて、硝酸アンモニウムを主酸化剤とするガス
発生剤組成物において、ガス化率の大きな低下を抑制し
つつ、燃焼性能をさらに高めることができる。第7の発
明によれば、第1から第6のいずれかの発明の効果に加
えて、燃焼で発生する一酸化炭素の発生量をさらに低減
することができる。第8の発明によれば、さらに、前記
のガス発生剤組成物を用いて少量で効率的にガスを発生
するエアバッグとすることができる。
【0058】
【実施例】以下に、具体例を挙げて、本発明を詳細に説
明する。なお、例中の%は、特記しない限り、全て重量
%を示す。但し、硝酸アンモニウムと硝酸カリウムとを
併用している実施例3〜6及び比較例3、4、6では、
次の手順で得られた相安定化された硝酸アンモニウムを
使用した。 1.相安定化された硝酸アンモニウムの製造方法 硝酸アンモニウムと硝酸カリウムとを蒸留水に溶解後、
90℃の湯浴中で水分を蒸発させ、さらに真空乾燥を行
う。次に、100メッシュの篩を通過させてガス発生剤
組成物の試作に供与した。この相安定化された硝酸アン
モニウムの平均粒径は125μmであった。
【0059】2.燃焼速度の測定方法 ガス発生剤組成物をストランドに成形し、窒素ガスによ
り1MPaに加圧された条件下で燃焼速度(mm/s)
を測定する。 3.燃焼後のpH及び燃焼ガス発生量の測定方法 粒状のガス発生剤組成物30gを、図1に示す構造のガ
ス発生装置の燃焼室内に装填したのち、60リットルタ
ンク内にガス発生装置を設置した後、電気着火によりガ
ス発生剤を燃焼させる。試験後、タンク内を1リットル
の蒸留水で洗浄した洗浄水についてpH値を測定する。
また、燃焼ガス中の窒素酸化物(表中、NOxと略
記)、一酸化炭素(表中、COと略記)濃度を、ガス検
知管を用いて測定する。なおpHは5〜9、窒素酸化物
濃度は1500ppm以下、一酸化炭素濃度は1.5%
以下を本試験の目標値とした。
【0060】なお、図1は試験に用いたガス発生装置の
断面を上面から見たものである。ガス発生装置の周囲は
厚み約3mm、外径約70mmのステンレス壁1で覆わ
れている。壁1には外形約3mmのガス噴出口2が開け
られている。図には示していないが、ガス発生装置の上
面及び下面は密閉された状態である。ガス発生装置の燃
焼室3は、内容積約40ミリリットルであり、燃焼残渣
を捕捉するための金網フィルターとガラスフィルターを
組み合わせたフィルター4が設置されている。燃焼室3
の内部には点火薬5(ボロン/硝酸カリウム)が装填さ
れ、さらに点火薬5には点火装置が接続されており、電
気着火によって点火薬5に着火し、次いでガス発生剤6
に着火させる仕組みになっている。
【0061】4.経時安定性の測定方法 粒状のガス発生剤組成物5gをサンプル瓶に詰め、10
7℃に調温された恒温槽中で400時間放置し、重量変
化を求める。なお、本試験の目標値は試験後においても
試料が分解しておらず、かつ試験前後の重量変化が5%
以下である。
【0062】実施例1 硝酸アンモニウム、活性炭、及びジフェニルアミンを表
1に記載した配合割合となるように均一に混合し、粉末
状の混合物を得た。次いで、打錠機を用いて直径7m
m、厚さ2mmのペレット状のガス発生剤組成物を得、
それを用いて燃焼後のpH値、発生ガス中の窒素酸化物
濃度や一酸化炭素濃度そして経時安定性試験を行った。
また別途、上記の混合物をストランドに成形し、燃焼速
度試験を行った。これらの試験結果を表1及び表2に示
す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】なお、表1、表2に使用した原料成分は以
下の通りである。 硝酸アンモニウム:平均粒径125μm、三菱化学
(株)製、 過塩素酸カリウム:平均粒径70μm、日本カーリット
(株)製、 活性炭:平均粒径25μm、二村化学(株)製、商品
名:CA、 木炭:平均粒径25μm、奈良炭化工業(株)製備長
炭、 瀝青炭:平均粒径25μm、中部電力(株)製、 ジフェニルアミン:平均粒径125μm、 酢酸セルロース:ジアセテート品、 ポリエステルエラストマー:東洋紡績(株)製、商品
名:ペルプレンP-30B、 トリアミノグアニジン硝酸塩:平均粒径10μm、 蓚酸銅:平均粒径25μm、 二酸化マンガン:平均粒径12μm、 三酸化モリブデン:平均粒径10μm、 アルミナ:平均粒径0.3μm、Degussa製、商
品名:Fumed Aluminum Oxide
C。 また、表中の酸素バランス(g/g)は、ガス発生剤組
成物の酸素バランス(但し、括弧内に示した数値はガス
発生剤組成物から粉末状微結晶炭素を除外した組成物の
酸素バランスである。)を示している。
【0066】実施例2〜6、比較例1〜3、6 表1及び表2に記載した配合割合となるように実施例1
に準じた方法でガス発生剤組成物を作成し、実施例1と
同様に試験した。得られた各種の性能データを表1及び
表2に示す。
【0067】実施例7、8及び比較例4、5、7、8 表1及び表2に記載した配合割合となるように原材料を
配合し、全配合量に対して0.24倍重量のアセトン及
び0.06倍重量のエタノールとを加え、ウェルナー混
和機で均一に混合し、粘土状の混合物を得た。次いで、
この混合物を押出装置に装填した。押出装置には予め
5.4mmのダイス及び0.8mmのピンが取り付けら
れている。混合物は圧力をかけられてダイスを通りなが
ら押出され、7個の貫通孔を有する7孔状に成型され
る。この成型物を4mmの長さに切断し、乾燥すること
により粒状のガス発生剤組成物を得、それを用いて燃焼
後のpH値、発生ガス中の窒素酸化物濃度や一酸化炭素
濃度そして経時安定性試験を行った。また別途、上記の
混合物をストランドに成形し、燃焼速度試験を行った。
これらの試験結果を表1及び表2に示す。
【0068】表から明らかなように、酸化剤の主成分に
硝酸アンモニウムを用い、ガス発生剤組成物の酸素バラ
ンスがゼロの比較例1、4〜8のガス発生剤はいずれも
1MPaの圧力下では燃焼しなかった(即ち、立消えの
現象を示した。)。また、いずれもガス発生装置内での
燃焼後、pH値は5以下の強い酸性を示し、窒素酸化物
の発生量も2500ppm以上と高い値になった。これ
に対して、各実施例では、1MPaの圧力下で燃焼し、
またガス発生装置内での燃焼後、pH値、窒素酸化物発
生量、一酸化炭素発生量ともに目標値を満足した。
【0069】一方、比較例3では燃焼性能(1MPaで
の燃焼性、一酸化炭素,窒素酸化物の発生量)には問題
はなかったが、安定剤が含まれていないため経時安定性
に問題が見られた。これは比較例5でも同様であった。
これに対して、各実施例の経時安定性は、目標値を十分
に満たしたものであった。さらに、ガス発生剤組成物の
酸素バランスが、−0.5未満かつガス発生剤組成物か
ら粉末状微結晶炭素を除外した組成物の酸素バランスが
負である比較例2では、燃焼性能、経時安定性には問題
がなかったが、一酸化炭素の濃度がかなり高いものであ
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガス発生装置の内部を上から見た断面図であ
る。
【符号の説明】
1 ガス発生装置のステンレス壁 2 ガス噴出口 3 燃焼室 4 フィルター 5 点火薬(ボロン/硝酸カリウム) 6 ガス発生剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C06B 43/00 C06B 43/00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)成分:アンモニウム酸素酸塩、
    (b)成分:粉末状微結晶炭素及び(c)成分:ガス発
    生剤組成物の自然分解を抑制するための安定剤を含有
    し、かつガス発生剤組成物の酸素バランスが、−0.5
    0≦ガス発生剤組成物の酸素バランス(g/g)≦−
    0.01を満たす範囲内にあるガス発生剤組成物。
  2. 【請求項2】 さらにガス発生剤組成物から(b)成分
    を除外したガス発生剤組成物の酸素バランスが、0≦ガ
    ス発生剤組成物から(b)成分を除外した組成物の酸素
    バランス(g/g)≦0.20の関係を満たす範囲内に
    ある請求項1に記載のガス発生剤組成物。
  3. 【請求項3】 (a)成分が硝酸アンモニウム又は相安
    定化された硝酸アンモニウムであり、(b)成分が活性
    炭及び木炭からなる群より選ばれる少なくとも1種であ
    り、かつ(a)成分と(b)成分との合計重量に対する
    (a)成分の含有量の比率が70〜95重量%の範囲内
    である請求項1又は請求項2に記載のガス発生剤組成
    物。
  4. 【請求項4】 さらに(d)成分として高分子系バイン
    ダーを含有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載のガス発生剤組成物。
  5. 【請求項5】 さらに(e)成分として、含窒素化合
    物、固体有機酸、有機酸塩及び有機酸の誘導体からなる
    群より選ばれる少なくとも1種の燃料成分を含有する請
    求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のガス発生剤
    組成物。
  6. 【請求項6】 さらに(f)成分として、硝酸アンモニ
    ウムと異なる酸素酸塩を含み、かつ(f)成分と(a)成
    分との合計重量に対する(a)成分の含有量の比率が5
    0〜97重量%である請求項1乃至請求項5のいずれか
    1項に記載のガス発生剤組成物。
  7. 【請求項7】 さらに(g)成分として、一酸化炭素を
    低減する触媒を含有する請求項1乃至請求項6のいずれ
    か1項に記載のガス発生剤組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に
    記載のガス発生剤組成物を用いてなるエアバッグ。
JP2001309192A 2001-10-04 2001-10-04 ガス発生剤組成物及びエアバッグ Expired - Fee Related JP3915462B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001309192A JP3915462B2 (ja) 2001-10-04 2001-10-04 ガス発生剤組成物及びエアバッグ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001309192A JP3915462B2 (ja) 2001-10-04 2001-10-04 ガス発生剤組成物及びエアバッグ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003112991A true JP2003112991A (ja) 2003-04-18
JP3915462B2 JP3915462B2 (ja) 2007-05-16

Family

ID=19128384

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001309192A Expired - Fee Related JP3915462B2 (ja) 2001-10-04 2001-10-04 ガス発生剤組成物及びエアバッグ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3915462B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005336042A (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Daicel Chem Ind Ltd ガス発生剤組成物
WO2005123631A1 (ja) * 2004-06-17 2005-12-29 Nof Corporation ガス発生装置用の着火剤
JP2006076832A (ja) * 2004-09-09 2006-03-23 Nof Corp 硝酸アンモニウムの燃焼促進剤並びにそれを用いた火薬組成物及びガス発生剤
WO2007123120A1 (ja) * 2006-04-19 2007-11-01 Nipponkayaku Kabushikikaisha 火薬組成物及び火薬組成物成形体、並びにそれらの製造方法
JP2008538348A (ja) * 2005-03-31 2008-10-23 オートモーティブ システムズ ラボラトリィ、 インク. ガス生成組成物
US8034133B2 (en) 2004-05-31 2011-10-11 Daicel Chemical Industries, Ltd. Gas generating composition
WO2017212917A1 (ja) * 2016-06-09 2017-12-14 国立大学法人 東京大学 低温ガス発生剤組成物

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005336042A (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Daicel Chem Ind Ltd ガス発生剤組成物
JP4500586B2 (ja) * 2004-05-31 2010-07-14 ダイセル化学工業株式会社 ガス発生剤組成物
US8034133B2 (en) 2004-05-31 2011-10-11 Daicel Chemical Industries, Ltd. Gas generating composition
WO2005123631A1 (ja) * 2004-06-17 2005-12-29 Nof Corporation ガス発生装置用の着火剤
US7993475B2 (en) 2004-06-17 2011-08-09 Nof Corporation Firing agent for gas generating device
JP2006076832A (ja) * 2004-09-09 2006-03-23 Nof Corp 硝酸アンモニウムの燃焼促進剤並びにそれを用いた火薬組成物及びガス発生剤
JP2008538348A (ja) * 2005-03-31 2008-10-23 オートモーティブ システムズ ラボラトリィ、 インク. ガス生成組成物
WO2007123120A1 (ja) * 2006-04-19 2007-11-01 Nipponkayaku Kabushikikaisha 火薬組成物及び火薬組成物成形体、並びにそれらの製造方法
JPWO2007123120A1 (ja) * 2006-04-19 2009-09-03 日本化薬株式会社 火薬組成物及び火薬組成物成形体、並びにそれらの製造方法
WO2017212917A1 (ja) * 2016-06-09 2017-12-14 国立大学法人 東京大学 低温ガス発生剤組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP3915462B2 (ja) 2007-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7335270B2 (en) Gas generating composition and gas generator
US6468369B1 (en) Gas generating composition for air bag
US20060219340A1 (en) Gas generating system
KR101518316B1 (ko) 인플레이터 고체 배출량이 감소된 가스발생제 조성물
JP2007534587A (ja) ガス生成システム
JPH09503194A (ja) 低残留性のアジド化合物を含有していないガス発生組成物
JP2009530226A (ja) 銅錯体イミダゾール及び誘導体を用いたガス発生
US8097103B2 (en) Copper complexes with oxalyldihydrazide moieties
JP2002512167A (ja) 高酸素バランス燃料を有する火工品用ガス生成剤組成物
EP1142853B1 (en) Gas generator composition
JP4575395B2 (ja) 特に自動車の安全装置用の発火性ガス発生用組成物及び発火物
US6846373B2 (en) Gas-generating compositions
US7959749B2 (en) Gas generating composition
US20100109304A1 (en) Firing agent for gas generating device
JP3915462B2 (ja) ガス発生剤組成物及びエアバッグ
KR20010014303A (ko) 인플레이터용 엔핸서제 조성물
JP4013540B2 (ja) ガス発生剤組成物
US6139054A (en) Reduced smoke gas generant with improved temperature stability
KR100656304B1 (ko) 높은 산소 발란스의 연료를 포함하는 피로테크닉 가스발생제 조성물
US6113713A (en) Reduced smoke gas generant with improved mechanical stability
JP2002012492A (ja) プリテンショナー用ガス発生剤組成物
JP4332936B2 (ja) ガス発生剤組成物及びその成形物
JP4682543B2 (ja) ガス発生器用の着火剤
JP4244596B2 (ja) ガス発生器
JPH10120484A (ja) 車両の乗員保護用ガス発生剤組成物及びその成形物並びに成形物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040713

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060802

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060829

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061030

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20061030

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100216

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100216

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110216

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110216

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120216

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130216

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130216

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees