JPH10119424A - インクジェット記録用紙及びこれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用紙及びこれを用いたインクジェット記録方法

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JPH10119424A
JPH10119424A JP8283636A JP28363696A JPH10119424A JP H10119424 A JPH10119424 A JP H10119424A JP 8283636 A JP8283636 A JP 8283636A JP 28363696 A JP28363696 A JP 28363696A JP H10119424 A JPH10119424 A JP H10119424A
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ink jet
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ink
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JP8283636A
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Yoichi Saito
洋一 斎藤
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性インクによる印字において、高いインク
吸収性を有し、かつ、高い光沢度や透明性を有した、高
品位の画像形成を可能にしたインクジェット記録用紙及
びこれを用いたインクジェット記録方法の提供。 【解決手段】 支持体上に固体微粒子と親水性バインダ
ーを含有する少なくとも2層の空隙層を設けてなるイン
クジェット記録用紙において、支持体より離れた側の空
隙層に含有する固体微粒子(A)の平均粒径が、支持体
より近い側の空隙層に含有する固体微粒子(B)の平均
粒径より小さく、かつ前記空隙層の空隙容量の合計が2
0ml/m2以上であることを特徴とするインクジェッ
ト記録用紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インクを用い
て記録を行うインクジェット記録用紙及びこれを用いた
インクジェット記録方法に関し、更に詳しくはインク吸
収性、光沢性に優れたインクジェット記録用紙及びこれ
を用いたインクジェット記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、インクの微小液
滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シー
トに付着させ、画像・文字などの記録を行うものである
が、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点
を有している。この方式で従来から問題となっていたノ
ズルの目詰まりとメンテナンスについては、インク及び
装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、
ファクシミリ、コンピューター端末等、さまざまな分野
に急速に普及している。
【0003】このインクジェット記録方式で使用される
インクジェット記録用紙としては、印字ドットの濃度が
高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が
早く印字ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ
出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への
拡散が必要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかでぼや
けないこと等が要求される。
【0004】特にインク吸収速度が遅い場合には、2色
以上のインク液滴が重なって記録される際に、インクジ
ェット記録用紙上で液滴がハジキ現象を起こしてムラに
なったり、また、異なる色の境界領域でお互いの色が滲
んだりして画質を大きく低下させやすいために、インク
ジェット記録用紙としては高いインク吸収性を持たせる
ようにすることが必要である。
【0005】これらの問題を解決するために、従来から
非常に多くの技術が提案されている。
【0006】例えば、特開昭52−53012号に記載
されている低サイズ原紙に表面加工用の塗料を湿潤させ
たインクジェット記録用紙、特開昭55−5830号に
記載されている支持体表面にインク吸収性の塗層を設け
たインクジェット記録用紙、特開昭56−157号に記
載されている被履層中の顔料として非膠質シリカ粉末を
含有するインクジェット記録用紙、特開昭57−107
878号に記載されている無機顔料と有機顔料を併用し
たインクジェット記録用紙、特開昭58−110287
号に記載されている2つの空孔分布ピークを有するイン
クジェット記録用紙、特開昭62−111782号に記
載されている上下2層の多孔質層からなるインクジェッ
ト記録用紙、特開昭59−68292号、同59−12
3696号及び同60−18383号などに記載されて
いる不定形亀裂を有するインクジェット記録用紙、特開
昭61−135786号、同61−148092号及び
同62−149475号等に記載されている微粉末層を
有するインクジェット記録用紙、特開昭63−2527
79号、特開平1−108083号、同2−13627
9号、同3−65376号及び同3−27976号等に
記載されている特定の物性値を有する顔料や微粒子シリ
カを含有するインクジェット記録用紙、特開昭57−1
4091号、同60−219083号、同60−210
984号、同61−20797号、同61−18818
3号、特開平5−51470号、同5−278324
号、同6−92011号、同6−183134号、同7
−137431号、同7−276789号等に記載され
ているコロイド状シリカ等の微粒子シリカを含有するイ
ンクジェット記録用紙、及び特開平2−276671
号、同3−67684号、同3−215082号、同3
−251488号、同4−67986号、同4−263
983号及び同5−16517号などに記載されている
アルミナ水和物微粒子を含有するインクジェット記録用
紙等が多数知られている。
【0007】しかし、インク受容層がインクを吸収した
り保持するための空隙を多く有する層のみから構成され
る場合、空隙の多いインク受容層が空気との界面や皮膜
表面のミクロな凹凸を多く有することになり、インク受
容層への入射光が散乱されたり、透過が妨げられるため
に、光沢が出にくくなったり不透明になりやすい。
【0008】また、空隙を形成するため顔料自身の凹凸
や顔料の2次凝集体の凹凸による皮膜表面の平滑性が低
下して光沢が出にくい欠点がある。
【0009】そこで光沢を付与する目的で特開平7−1
01142号にはインク受理層に主成分として無定形シ
リカアルミナに代表される平均粒子径300nm以下の
コロイド粒子からなる光沢発現層を順次積層、同7−1
17335号にはこの後更にカレンダー処理することに
よって、高い光沢度を付与する技術が開示されている
が、この方法ではインク吸収性と光沢度が取り合いとな
り、充分とはいえなかった。
【0010】更に、空隙に浸透したインクに光が到達し
にくくなるため画像が白っぽくなり、色再現性及び色濃
度が低下する等の欠点を有しており、空隙の多いインク
受容層で高い光沢性や透明性を維持しつつ、色再現性や
色濃度の高い画像を得るのは困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の実態に
鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、水性イ
ンクによる印字において、高いインク吸収性を有し、か
つ、高い光沢度や透明性を有した、高品位の画像形成を
可能にしたインクジェット記録用紙及びこれを用いたイ
ンクジェット記録方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は以下
の構成により達成される。
【0013】1.支持体上に固体微粒子と親水性バイン
ダーを含有する少なくとも2層の空隙層を設けてなるイ
ンクジェット記録用紙において、支持体より離れた側の
空隙層に含有する固体微粒子(A)の平均粒径が、支持
体より近い側の空隙層に含有する固体微粒子(B)の平
均粒径より小さく、かつ前記空隙層の空隙容量の合計が
20ml/m2以上であることを特徴とするインクジェ
ット記録用紙。
【0014】2.前記支持体が疎水性支持体であること
を特徴とする前記1に記載のインクジェット記録用紙。
【0015】3.前記固体微粒子(A)が、平均粒径7
〜30nmのシリカ系微粒子であることを特徴とする前
記1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
【0016】4.前記固体微粒子(A)が平均粒径10
〜50nmの炭酸カルシウム微粒子であることを特徴と
する前記1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
【0017】5.前記固体微粒子(A)が平均粒径10
〜100nmのアルミナ又はアルミナ水和物微粒子であ
ることを特徴とする前記1又は2に記載のインクジェッ
ト記録用紙。
【0018】6.前記固体微粒子(B)が、平均2次粒
径1〜10μmのシリカ系微粒子であることを特徴とす
る前記1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録
用紙。
【0019】7.前記親水性バインダーの少なくとも1
種がポリビニルアルコール又はカチオン変性ポリビニル
アルコールであることを特徴とする前記1〜6の何れか
1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0020】8.前記1〜7の何れか1項に記載のイン
クジェット記録用紙に、水溶性染料を含有するインクジ
ェット記録液を用い最大吐出インク量が20ml/m2
以上となる条件で印字することを特徴とするインクジェ
ット記録方法。
【0021】以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】本発明のインクジェット記録用紙が有する
空隙層は親水性のバインダーと無機又は有機の固体微粒
子との間に形成される空隙から成る。
【0023】以下に固体微粒子による代表的な空隙の形
成方法を説明する。
【0024】(1)多孔質固体微粒子と親水性バインダ
ーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子
内や粒子間に空隙を形成する方法、(2)親水性バイン
ダーに対して概ね等量以上(好ましくは1.0倍以上)
の容積を有する固体微粒子と親水性バインダーを含有す
る塗布液を支持体上に塗布して固体微粒子の間に空隙を
作成する方法、(3)平均粒径が約0.1μm程度以下
の固体微粒子を塗布液調製時又は皮膜形成時に凝集させ
て2次粒子又は3次元構造を形成して空隙を作成する方
法。
【0025】本発明のインクジェット記録用紙における
空隙形成方法は前記の何れの方法によっても良いが、イ
ンクジェット記録用紙の光沢度をあまり低下させない方
法を用いることが好ましい。一般に方法(1)は、イン
ク吸収性に優れ、従来よりコート紙等で広く用いられて
いるが、多孔質固体微粒子は合成不定形シリカに代表さ
れるようにほとんどが2次凝集しているミクロンオーダ
ーの粒子径の大きな粒子で、この方法で得られた空隙層
だけでは十分な光沢性を得ることは困難であった。
【0026】インクジェット記録紙の最表面に親水性バ
インダーからなる膨潤層を形成させることによって、前
記膨潤層を被覆していない状態では空隙層自体の光沢が
多少低い場合であっても、表面膨潤層の存在により高い
光沢性を付与することができる。しかし、空隙層の凹凸
のサイズがあまりに大きすぎる場合には膨潤層による高
い光沢性付与は困難になり、また、この膨潤層に一時的
に吸収されたのち下層の空隙層に吸収されるため、イン
クの吸収速度が表面膨潤層へのインクの吸収速度が律速
となり遅くなる。表面光沢性向上のためこの表面膨潤層
を厚くすればするほどこの傾向は強くなり、インクの吸
収性は実質的に全体があたかも膨潤層である時と同程度
の吸収性しか示さなくなってしまう。
【0027】そこで、本発明においては、支持体上に少
なくとも2層の固体微粒子を含有する空隙層を設け、支
持体から離れた側の層に含有する固体微粒子(A)の平
均粒径が、支持体より近い側の層に含有する固体微粒子
(B)の平均粒径に比べ小さい粒子を使用した空隙層を
設けることにより、高いインク吸収性を維持したまま、
高い光沢性を付与できることを見出した。
【0028】ここで、固体微粒子(A)の平均粒径は固
体微粒子(B)のそれに比べ小さければ良いが、好まし
くは1/5、より好ましくは1/10である。
【0029】本発明のインクジェット記録用紙のインク
吸収のための空隙層の形成に好ましい方法としては、上
記(2)ないし(3)を支持体から離れた側(上層)の
空隙層として用いることである。
【0030】また2層の空隙層の間に中間層として膨潤
層を設けると、インク吸収速度はこの中間膨潤層が律速
となって、バインダー組成や厚みによっては遅くなるこ
とがあり、前記固体微粒子(A)を含有する層と前記固
体微粒子(B)を含有する層が隣接していることが好ま
しい。
【0031】インク吸収層が固体微粒子を含有する空隙
層で有る場合、固体微粒子としては従来インクジェット
記録用紙で公知の各種の無機又は有機の固体微粒子を用
いることが出来る。用いられる無機微粒子の例として
は、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜
鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸ア
ルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネ
シウム、合成非晶質シリカ、気相法シリカ、コロイダル
シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイ
ト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸
化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることが出来
る。
【0032】一方有機微粒子の例としては、ポリスチレ
ン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エス
テル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又は
これらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等が挙
げられる。
【0033】高い濃度を達成し、鮮明な画像を記録し低
コストで製造できる等の点から、本発明の固体微粒子
(A)は、シリカ微粒子、炭酸カルシウム及びアルミナ
水和物微粒子から選ばれる固体微粒子を用いることが好
ましい。
【0034】本発明に好ましく使用されるシリカ系微粒
子としては従来インクジェットで公知の各種のシリカ系
微粒子を使用することが出来、例えば、湿式又は気相法
で合成された合成シリカ、コロイダルシリカ、1次粒子
が凝集して2次粒子を形成している多孔質シリカ任意の
形状のシリカを使用することが出来る。その様な例とし
て、例えば特開昭55−51583号及び同56−14
8583号等に記載された合成非晶質シリカ、例えば特
開昭60−204390号に記載された気相法により合
成されたシリカ超微粒子、特開昭60−222282号
に記載されたフッ素を含有する合成不定形シリカ、特開
昭60−224580号及び同62−178384号に
記載されたシランカップリング剤により表面処理された
合成不定形シリカ、例えば特開昭62−183382号
及び同63−104878号に記載された球状シリカ、
特開昭63−317381号に記載されたNa2O含有
量が0.5重量%以上である合成シリカ微粒子、特開平
1−115677号に記載された比表面積が100m2
/g以上の合成シリカ微粒子、特開昭62−28678
7号に記載されたアルミナ表面処理された合成シリカ微
粒子、特開平1−259982号に記載されたCa、M
g又はBaで表面処理された合成シリカ微粒子、吸油量
が180ml/g以上の合成シリカ微粒子、特開昭57
−14091号に記載されたコロイダルシリカ、特開昭
60−219084号、特開平6−92011号、同6
−297830号及び同7−81214号に記載された
カチオン性コロイダルシリカ、及び特開平5−2783
24号及び同7−81214号に記載された数珠状に連
結した又は分岐したコロイダルシリカ等を挙げることが
出来る。
【0035】しかしながら、高い光沢性と高い空隙容量
を得るため、特に支持体より離れた側の空隙層には、平
均粒径が7〜30nmのシリカ超微粒子を用いることが
好ましい。このシリカ微粒子は表面をカチオン変性され
たものであってもよく、また、Al、Ca、Mg及びB
a等で処理された物であってもよい。
【0036】また、本発明のインクジェット記録用紙に
好ましく用いられる炭酸カルシウムとしては、例えば、
特開昭57−12486号、同57−129778号、
同58−55283号、同61−20792号に記載さ
れた特定に比表面積を有する軽質炭酸カルシウム、特開
昭63−57277号およぼ特開平4−250091号
に記載された針柱状炭酸カルシウム、特開平3−251
487号に記載された特定の針状1次粒子が凝集して2
次粒子を形成した炭酸カルシウム微粒子、特開平4−2
50091号及び同4−260092号に記載された特
定の吸油量を有する針柱状の斜方晶アルゴナイト炭酸カ
ルシウム、及び特開平7−40648号に記載された球
状沈降性炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0037】特に支持体より離れた側の空隙層には、粒
径が約0.1μm以下の炭酸カルシウム微粒子を使用す
ることが好ましく、特に平均粒径が10〜50nmの炭
酸カルシウム微粒子を使用することが好ましい。
【0038】更に、本発明に好ましく用いられるアルミ
ナ又はアルミナ水和物は、特に支持体より離れた側の空
隙層には、アルミナ又はアルミナ水和物の平均粒径が約
0.2μm以下が好ましく、特に10〜100nmで、
半径が3〜10nmの細孔を有し、この細孔容積の和が
0.2〜2ml/gである多孔質アルミナ又はその含水
物であることが好ましい。細孔容積の測定手段は、アル
ミナ又はアルミナ水和物の乾燥固形分に対して公知の窒
素吸着法により測定することが出来る。
【0039】アルミナ又はアルミナ水和物は結晶性であ
っても、非晶質であっても良く、また、形状は不定形粒
子、球状粒子、繊維状粒子など任意の形状の物を使用す
ることが出来るが、高い空隙容量を得るため、繊維状の
ものを用いることが好ましい。
【0040】また、本発明の固体微粒子(B)は、イン
ク吸収性、低コスト等の点から平均2次粒径が1〜10
μmのシリカ微粒子が好ましい。
【0041】本発明のインクジェット記録用紙の上記空
隙層は皮膜としての特性を維持するために親水性バイン
ダーを含有していることが必要である。
【0042】しかしながら、親水性バインダーの使用に
当たっては、親水性バインダーが膨潤して、インクの初
期の浸透時に膨潤して空隙を実質的に塞いでしまわない
ことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤
性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。特に
好ましい親水性バインダーは完全又は部分ケン化のポリ
ビニルアルコール又はカチオン変性ポリビニルアルコー
ルでる。
【0043】ポリビニルアルコールの中でも特に好まし
いのはケン化度が80以上の部分又は完全ケン化したも
のである。また、皮膜脆弱性を改良する観点から、ポリ
ビニルアルコールの平均重合度は500〜3500が好
ましく、特に好ましくは1000〜3500のものが用
いられる。
【0044】また、カチオン変性ポリビニルアルコール
としては、例えば特開昭61−10483号に記載され
ているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウ
ム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有
するポリビニルアルコールである。
【0045】また、前記空隙層中には他の親水性バイン
ダーを含有させることが出来るが、好ましくはそれらの
親水性バインダーは上記ポリビニルアルコール又はカチ
オン変性ポリビニルアルコールに対して概ね20重量%
以下であることが好ましい。
【0046】次に本発明のインクジェット記録用紙の空
隙層、特に支持体から離れた側の空隙層を形成する場合
において、好ましく用いられる前記方法(2)及び
(3)について、以下更に詳細に説明する。
【0047】前記方法(2)では、好ましくは空隙率を
150容量%以上にするのがよい。空隙率の上限は、充
填剤の種類や親水性バインダーの種類により一般に変化
するが、皮膜としての強度や脆弱性等から一般には20
0容量%以下である。
【0048】空隙率を100容量%以上とするために
は、固体微粒子と親水性バインダーの比率が特に重要で
あり、この方法では該固体微粒子の親水性バインダーに
対する重量比が10以上、200未満にすることが好ま
しい。この重量比が10未満では空隙容量が100%以
上得ることが困難となり、200以上の場合には皮膜の
脆弱性が劣化する。
【0049】この場合、特に前記の炭酸カルシウム微粒
子、アルミナ又はアルミナ水和物微粒子を使用すること
が好ましい。
【0050】前記方法(3)は軟凝集状態を形成して網
目構造を皮膜中に形成する方法で、好ましくは親水性バ
インダーを含有する水溶液中に分散状態にある1次超微
粒子が、接触点が比較的制限された状態でお互いに凝集
し合う状態を経由して形成される。このような軟凝集状
態は直線的もしくは分岐状に凝集体を形成したものが水
溶液中に分散された状態や、或いはこれらの凝集体が更
に凝集し合って水溶液中で3次元網目構造をとる状態が
含まれる。
【0051】何れの場合であっても、この水溶液を支持
体上に塗布乾燥することによって、形成された皮膜中に
微細な構造を形成することが出来る。
【0052】この様にして得られた皮膜中の微細な空隙
の大きさは、概ね1次粒子の大きさからそれらの数倍程
度の大きさであり、微細な大きさの空隙である特徴があ
る。
【0053】この様な軟凝集状態を形成する方法として
は、例えば1次粒子がお互いに凝集しにくく、安定に存
在できるような親水性ポリマーを含有する水溶液中に、
粒子の凝集を加速するような親水性ポリマーを極微量添
加して僅かに凝集を形成する方法、或いは1次粒子表面
と弱い結合が出来るような水溶性ポリマーを有する水溶
液中で形成される。
【0054】本発明では、特に、後者の方法が空隙の量
を比較的コントロールしやすく安定に形成しやすいこ
と、使用する微粒子の量に比較してより多い空隙量が得
られること、更には皮膜の光沢性がより高い皮膜が得ら
れることから好ましい。
【0055】この場合特に好ましいのは前記微粒子シリ
カを1次粒子として使用し、親水性バインダーとしてポ
リビニルアルコール又はカチオン変性ポリビニルアルコ
ールを用いる場合である。この場合、微粒子シリカ表面
のシラノール基とビニルアルコールの水酸基が弱い水素
結合を行い、軟凝集体が形成される。
【0056】この様な微粒子シリカとしては特に気相法
と呼ばれる合成方法で合成された微粒子シリカが好まし
く用いられる。
【0057】この方法で、親水性バインダーとして特に
好ましく用いられるポリビニルアルコールの重合度は1
000以上が好ましく、特に1500以上が皮膜にひび
割れを起こさないようににするために好ましい。
【0058】ここで、ポリビニルアルコールと上記シリ
カの比率は、概ね1:10〜1:1であり、好ましくは
1:7〜1:2の範囲である。
【0059】ポリビニルアルコールと微粒子シリカを用
いて軟凝集体を含有する皮膜を形成する方法について以
下に簡単に説明する。
【0060】pHを6〜8、温度約40℃に保ったポリ
ビニルアルコール水溶液(概ね5〜15%)中に、シリ
カ分散液(概ね5〜15%)を強撹拌しながら徐々に添
加し、添加終了後に超音波分散機や高速ホモジナイザー
などにより分散する。この場合必要に応じて各種の界面
活性剤を存在させてもよい。ついで、各種の添加剤を添
加後、塗布に必要な目標粘度に調整して支持体上に公知
の方法で塗布し乾燥することで上記空隙を有する皮膜が
得られる。
【0061】本発明において、皮膜の脆弱性を改良する
ために各種の油滴を含有することが好ましいが、その様
な油滴としては室温における水に対する溶解性が約0.
01重量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば流動パ
ラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフ
ェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えばスチ
レン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチル
メタクリレート、ヒドロキシルエチルメタアクリレート
などの重合性モノマーを1種以上を重合させた粒子)を
含有させることが出来る。その様な油滴は好ましくは親
水性バインダーに対して10〜50重量%用いることが
出来る。
【0062】本発明のインクジェット記録用紙の空隙層
の空隙容量の合計がインクジェット記録用紙1m2当た
り20ml/m2以上である。空隙容量の合計が20m
l/m2未満の場合、低インク量の吸収性は良好である
ものの高いインク量の印字の際にインクが溢れて画質を
低下させたり、或いは印字後の乾燥性が遅いなどの問題
が発生しやすい。
【0063】一方、空隙容量の合計の上限は特に制限さ
れないが、空隙層の乾燥膜厚は概ね50μm以下にする
ことがひび割れ等の皮膜の物理的特性を悪化させないた
めに必要であることから概ね40ml/m2以下であ
る。
【0064】従って、20ml/m2以上の空隙容量の
合計を達成するためには空隙層の空隙率を100容量%
以上にすることが好ましい。
【0065】ここで空隙容量とは、空隙層中の乾燥膜厚
から空隙層中のバインダーや各種の充填剤等の固形分の
容量の総量を差し引いた値であり、空隙率はこれら固形
分の容量に対する空隙量の割合を示す。
【0066】本発明においてはその効果に悪影響を与え
ない範囲で、膨潤性インク吸収層を設けても良い。この
場合にはインク液滴に対して高い膨潤性を示すことが必
要であるために、インク液膨潤性を示す親水性バインダ
ーがこの膨潤層の主たる構成として用いられる。好まし
く用いられる親水性バインダーとしては、例えば、ゼラ
チン又はゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン(平均
分子量が約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビ
ニルアルコール又はその誘導体、ポリエチレングリコー
ル(平均分子量が10万以上が好ましい)、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキ
ストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、
寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラ
ギーナン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、ア
ルギン酸、アラビアゴム、プルラン、特開平7−195
826号及び同7−9757号に記載のポリアルキレン
オキサイド系共重合性ポリマー、水溶性ポリビニルブチ
ラール、或いは、特開昭62−245260号に記載の
カルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマー
の単独又はこれらのビニルモノマーを繰り返して有する
共重合体等のポリマーを挙げることができる。これらの
親水性バインダーは単独で使用しても良く、2種以上を
併用しても良い。
【0067】膨潤層はインク液に対する早い浸透性及び
膨潤性を有していることが必要なために、膨潤層の親水
性バインダーとしては好ましくは、分子量が20万以上
のポリビニルピロリドン、分子量が約5万以上のポリエ
チレンオキサイド、分子量が10万以上のポリエチレン
オキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体、ヒ
ドロキシエチルセルロース、及びポリアクリルアミドか
ら選ばれる少なくとも1種を含有する。
【0068】また、安定高速塗布の観点から、可逆的に
ゾルゲル変換可能な親水性バインダーを一部使用するの
が好ましく、この点から、ゼラチン、ゼラチン誘導体、
及びκ−カラギーナンの少なくとも1種を使用するのが
好ましい。
【0069】本発明において、各種の公知の界面活性剤
を用いる事が出来る。インク液滴の拡がり度合いを比較
的広くするためには一般に表面張力を下げる界面活性剤
を使用するのが好ましく、なかでもアニオン系界面活性
剤及びフッ素系界面活性剤を使用するのが好ましい。
【0070】本発明のインクジェット記録用紙の任意の
インク受容性層中には、必要に応じて各種の添加剤を含
有させることが出来る。
【0071】例えば、特開昭57−74193号、同5
7−87988号及び同62−261476号に記載の
紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−8
7989号、同60−72785号、同61−1465
91号、特開平1−95091号及び同3−13376
号等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン
又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−4299
3号、同59−52689号、同62−280069
号、同61−242871号及び特開平4−21926
6号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、ク
エン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリ
ウム等のpH調整剤、消泡剤、ヂエチレングリコール等
の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、硬膜剤、帯電防止剤、マッ
ト剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0072】硬膜剤としては無機又は有機の硬膜剤を使
用することが出来、例えばクロムみょうばん、ホルムア
ルデヒド、グリオキサール、エポキシ系化合物、ビニル
スルホン系化合物、アクリロイル系化合物、s−トリア
ジン系化合物、N−メチロール系化合物、カルボジイミ
ド系化合物、及びエチレンイミノ系化合物等を使用する
ことが出来る。
【0073】本発明のインク記録面側の任意の構成層中
には、画像の耐水化剤として特開昭56−84992号
のポリカチオン高分子電解質、特開昭57−36692
号の塩基性ラテックスポリマー、特公平4−15744
号、特開昭61−58788号、同62−174184
号等記載のポリアリルアミン、特開昭61−47290
号記載のアルカリ金属弱酸塩等を一種以上用いることが
できる。
【0074】本発明のインクジェット記録用紙の支持体
としては、従来インクジェット用記録用紙として公知の
ものを適宜使用できる。
【0075】透明支持体としては、例えば、ポリエステ
ル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹
脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩
化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロ
イド等の材料からなるフィルムや板、及びガラス板など
を挙げられ、この中でもOHPとして使用されたときの
輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテ
レフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体
の厚さとしては、約10〜200μmが好ましい。
【0076】また、透明である必要のない場合に用いる
支持体としては、例えば、一般の紙、合成紙、樹脂被覆
紙、布、木材、金属等からなるシートや板、及び上記の
透光性支持体を公知の手段により不透明化処理したもの
等を挙げることができるが、基紙の少なくとも一方に白
色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する
樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテ
レフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイ
トペットが好ましい。支持体とインク受像層の接着強度
を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立っ
て、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが
好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必
ずしも無色である必要はなく、着色されたインクジェッ
ト記録用紙であってもよい。
【0077】これらの中でも本発明の支持体としては疎
水性支持体が好ましく、例えばポリエチレンテレフタレ
ート、ポリオレフィン樹脂被覆紙、ホワイトペットであ
る。
【0078】本発明の無機微粒子を含有する層を支持体
上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うこ
とができるが、ロールコート法、ロッドバーコート法、
エアナイフコート法、スプレーコート法、カーテンコー
ト法或いは米国特許第2681294号公報記載のホッ
パーを使用するエクストルージョンコート法等が好まし
く用いられる。
【0079】また、ゼラチンやゼラチン誘導体、κ−カ
ラギーナン等の様なゾルゲル変換可能な親水性バインダ
ーを用いる場合には、特開平6−64306号に記載さ
れているように支持体上に塗布後、冷却してゲル状態に
した後、コールドドライ法で乾燥する方法で行っても良
い。
【0080】本発明のインクジェット記録用紙を用いて
画像記録する際には、水性インクを用いた記録方法が用
いられる。
【0081】本発明で言う水溶性染料を含有するインク
ジェット記録液(以下、単にインクジェット記録液とも
いう。)とは、下記水溶性染料及び液媒体、その他の添
加剤から成る記録液である。水溶性染料としてはインク
ジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反
応性染料或いは食品用色素等の水溶性染料が使用でき
る。
【0082】インクジェット記録液の溶媒としては、水
及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等
のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコー
ル等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレング
リコール類;エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、
ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセ
リン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エ
チレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコ
ールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アル
キルエーテル類等が挙げられる。
【0083】これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、
ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセ
リン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモ
ノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエー
テル等は好ましいものである。
【0084】その他のインクジェット記録液の添加剤と
しては、例えばpH調製剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘
度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防
錆剤等が挙げられる。
【0085】インクジェット記録液はインクジェット記
録用紙に対する濡れ性が良好にするために、20℃にお
いて、25〜60dyn/cmが好ましく、より好まし
くは30〜50dyn/cmの範囲内の表面張力を有す
るのが好ましい。
【0086】本発明のインクジェット記録用紙を用いて
画像記録する際のインク吐出方式は、インクジェット記
録液を吐出可能なインクジェット記録方式であればよ
く、例えば「インクジェット記録技術動向」中村孝一編
著(日本科学情報(株)、1995)p.1〜14に記
載の連続噴射荷電制御方式やオンデマンド方式等の記録
方式を用いることができる。しかし、これらの中でもオ
ンデマンド方式の記録方式に適用して使用することによ
り、より大きな効果を得ることができる。
【0087】本発明におけるインク最大吐出量とは、本
発明に用いるインクジェットプリンターが通常のあらゆ
る画像を出力する時に使用しうる単位体積当たりのイン
ク体積量の最大値である。例えばカラー画像用のプリン
ターの場合、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各
単色の最高濃度を得るためのインク量を足し合わせたも
のが必ずしもインク最大吐出量ではない。インク最大吐
出量は、インクジェット記録液1滴の体積が既知で、画
像を形成するための液滴の配列方法が既知であれば計算
によって求めることができる。
【0088】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、
実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾重量%を示
す。
【0089】実施例1 100g/m2の原紙両面をポリエチレンで被覆した紙
支持体(厚さ140μm、記録面側のポリエチレン層中
に7重量%のアナターゼ型二酸化チタン含有し、記録面
の裏面側にバック層としてアルカリ処理ゼラチン1.2
g/m2と硬膜剤を含有する層を有する)上の記録面側
に、下記の〔塗布液−1〕を湿潤膜厚が125μmに成
るように塗布し乾燥した。
【0090】 〔塗布液−1〕 純水 980ml 平均粒径約2.5μmの微粒子シリカ 48.2g 平均重合度1700のポリビニルアルコール(ケン化度90%) 24.1g 界面活性剤−1 1.2g
【0091】
【化1】
【0092】ついでこの塗布層の上に以下の組成の塗布
液−2を湿潤膜厚100μmで塗布し乾燥して本発明の
インクジェット記録用紙−1を得た。このようにして得
られた皮膜の空隙容量の合計は24ml/m2であっ
た。
【0093】 〔塗布液−2〕 純水 980ml 平均粒径約7nmの微粒子シリカ 48.2g 平均重合度3500のポリビニルアルコール(ケン化度90%) 16.1g 界面活性剤−2 1.2g
【0094】
【化2】
【0095】次に、インクジェット記録用紙−1におい
て、〔塗布液−1〕及び〔塗布液−2〕を用いた各々塗
布液を以下のように変更したインクジェット記録用紙−
2〜10をインクジェット記録用紙−1と同様にして作
成した。
【0096】インクジェット記録用紙−2:〔塗布液−
2〕の塗布を行わず、〔塗布液−1〕のみで湿潤膜厚1
25μmで2回塗布を行った以外はインクジェット記録
用紙−1と同じ。(空隙容量の合計=約25ml/
2) インクジェット記録用紙−3:〔塗布液−1〕の湿潤膜
厚を80μm、〔塗布液−2〕の湿潤膜厚140μmで
塗布を行った以外はインクジェット記録用紙−1と同
じ。(空隙容量の合計=約24ml/m2) インクジェット記録用紙−4:〔塗布液−1〕の平均粒
径2.5μmのシリカの代わりに平均粒径1.4μmの
シリカを使用した以外はインクジェット記録用紙−1と
同じ。(空隙容量の合計=約23ml/m2) インクジェット記録用紙−5:〔塗布液−1〕の平均粒
径2.5μmのシリカの代わりに平均粒径0.1μmの
コロイド状シリカを使用した以外はインクジェット記録
用紙−1と同じ。(空隙容量の合計=約21ml/
2) インクジェット記録用紙−6:〔塗布液−1〕の界面活
性剤を2、〔塗布液−2〕の界面活性剤を1に変え、
〔塗布液−2〕を塗布した後〔塗布液−1〕を塗布した
以外はインクジェット記録用紙−1と同じ。(空隙容量
の合計=約24ml/m2) インクジェット記録用紙−7:〔塗布液−1〕及び〔塗
布液−2〕の湿潤膜厚を何れも80μmで行った以外は
インクジェット記録用紙−1と同じ。(空隙容量の合計
=約16ml/m2) インクジェット記録用紙−8:〔塗布液−1〕の平均粒
径2.5μmの微粒子シリカの替わりに平均粒径8μm
も微粒子シリカを使用した以外はインクジェット記録用
紙−1と同じ。(空隙容量の合計=約23ml/m2) インクジェット記録用紙−9:〔塗布液−1〕の平均粒
径2.5μmの微粒子シリカの替わりに平均粒径12μ
mも微粒子シリカを使用した以外はインクジェット記録
用紙−1と同じ。(空隙容量の合計=約24ml/
2) インクジェット記録用紙−10:〔塗布液−2〕の平均
粒径7nmも微粒子シリカの替わりに平均粒径50nm
のコロイド状子シリカを使用した以外はインクジェット
記録用紙−1と同じ。(空隙容量の合計=約23ml/
2) 得られた各々のインクジェット記録用紙について、セイ
コーエプソン株式会社製インクジェットプリンターMJ
−5100Cを用い、評価パターンを印字し以下の項目
の評価を行った。
【0097】(1)インク吸収容量: イエローとシアンの各インクの最大インク量の60%
の吐出時 イエローとシアンの各インクの最大インク量の60%
の吐出とマゼンタインクの最大インク量の30%を吐出
させた時、各々の場合のインクの溢れの状態を目視で観
察した。
【0098】〔インクの溢れ〕 ○:印字直後に全く溢れない △:印字直後には僅かに溢れているが約10秒以内に乾
燥する ×:印字直後に溢れており表面が乾燥するのに10秒以
上かかる。
【0099】(2)インク吸収性: イエロー及びシアンのそれぞれ最大インク量の30%
になるように均一に吐出させて記録し、ベタ部の赤色反
射濃度をマイクロデンシトメーター(アパーチュア=2
00μmφ)を用いて20点測定し、その濃度のバラツ
キの標準偏差を求め平均反射濃度で割った値を求めた。
インク吸収性が良好な場合には画像にムラが無くこの値
が小さくなるが、インク吸収性が低下するとこのお互い
のインク液滴同士がインクジェット記録紙上で互いにビ
ーディングを起こしてムラになりこの値が増加する。
【0100】(3)乾燥性:イエローとマゼンタの60
%印字部を印字後一定時間経過後、普通紙を重ねて放置
し、インクが普通紙に転写しなくなるまでの時間を求め
た。
【0101】(4)ドット直径:ブラックインクの単一
ドット直径(K)及び、イエローベタ印字部にブラック
の単一ドットを印字しその直径を顕微鏡で観察して求め
た(K/Y)。直径は、それぞれ20個のドットの面積
を測定しこれを円換算したときの直径の平均値として求
めた。(単位:μm) (5)光沢度:印字面を日本電色工業株式会社製変角光
沢度計(VGS−1001DP)を用いて75度光沢を
測定した。
【0102】得られた結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】表1の結果から、本発明のインクジェット
記録用紙−1、3、4、8は高いインク吸収容量、良好
なインク吸収性と乾燥性並びに高い光沢性を有し、か
つ、ドットサイズが小さく高品位インクジェット記録に
適していることがわかる。これに対して、支持体より離
れた側に平均粒径の大きな微粒子を用いたインクジェッ
ト記録用紙−6や平均粒径の大きな微粒子のみを用いた
インクジェット記録用紙−2はインク吸収性や乾燥性は
良好であるが、光沢性が大幅に低下し、しかもドットサ
イズが広く、インク液滴を微小化しても高品位な画像が
得にくい。
【0105】支持体に近い側に、支持体に遠い側の微粒
子の平均粒径の小さな微粒子を用いたインクジェット記
録用紙−5はインク吸収性の低下がみられる。インクジ
ェット記録用紙−7は空隙容量の合計が小さくインク吸
収容量が足りず高品位な画像は得られなかった。
【0106】また本発明の好ましい態様であるインクジ
ェット記録用紙に含有される微粒子より大きい平均粒径
の大きな微粒子を用いた本発明のインクジェット記録用
紙−9、10は、本発明の好ましい態様であるインクジ
ェット記録用紙にひして、光沢性が若干低い。
【0107】実施例2 実施例1において、〔塗布液−2〕を以下の〔塗布液−
2a〕に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジ
ェット記録用紙−1〜7と同様構成のインクジェット記
録用紙−21〜27を作成し、実施例1と同様にして評
価した。
【0108】 〔塗布液−2a〕 純水 960ml 微粒子炭酸カルシウム(平均粒径=約0.03μm) 76.9g 平均重合度1700のポリビニルアルコール(ケン化度90%) 9.6g 界面活性剤−1 1.2g また、〔塗布液−2a〕の平均粒径0.03μmの微粒
子炭酸カルシウムの替わりに平均粒径0.07μmの微
粒子炭酸カルシウムを使用した以外はインクジェット記
録用紙−21と同様にしてインクジェット記録用紙−2
8を作成した。
【0109】各々のインクジェット記録用紙の空隙用と
膨潤層膜厚は以下の通りであった。
【0110】インクジェット記録用紙−21:空隙容量
の合計=約26ml/m2 インクジェット記録用紙−22:空隙容量の合計=約2
5ml/m2 インクジェット記録用紙−23:空隙容量の合計=約2
5ml/m2 インクジェット記録用紙−24:空隙容量の合計=約2
5ml/m2 インクジェット記録用紙−25:空隙容量の合計=約2
3ml/m2 インクジェット記録用紙−26:空隙容量の合計=約2
6ml/m2 インクジェット記録用紙−27:空隙容量の合計=約1
9ml/m2 インクジェット記録用紙−28:空隙容量の合計=約2
5ml/m2 各のインクジェット記録用紙を実施例1と同様な評価を
行い、結果を表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】表2の結果から、無機充填剤として、微粒
子シリカに換えて微粒子炭酸カルシウムに置き換えても
実施例1同様の効果が得られることがわかる。
【0113】実施例3 実施例1において、〔塗布液−2〕を以下の〔塗布液−
2b〕に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジ
ェット記録用紙−1〜7と同様構成のインクジェット記
録用紙−31〜37を作成し、実施例1と同様にして評
価した。
【0114】 〔塗布液−2b〕 純水 200ml アルミナゾル(触媒化成工業(株)製、Cataloid AS−3) 750ml 平均重合度1700のポリビニルアルコール(ケン化度90%) 7.6g 界面活性剤−1 1.2g また、〔塗布液−2b〕のアルミナゾルの替わりに平均
粒径1μmのアルミナを使用した以外はインクジェット
記録用紙−31と同様にしてインクジェット記録用紙−
38を作成し実施例1と同様にして評価した。
【0115】各々のインクジェット記録用紙の空隙用と
膨潤層膜厚は以下の通りであった。
【0116】インクジェット記録用紙−31:空隙容量
の合計=約22ml/m2 インクジェット記録用紙−32:空隙容量の合計=約2
5ml/m2 インクジェット記録用紙−33:空隙容量の合計=約2
2ml/m2 インクジェット記録用紙−34:空隙容量の合計=約2
1ml/m2 インクジェット記録用紙−35:空隙容量の合計=約2
1ml/m2 インクジェット記録用紙−36:空隙容量の合計=約2
4ml/m2 インクジェット記録用紙−37:空隙容量の合計=約1
5ml/m2 インクジェット記録用紙−38:空隙容量の合計=約2
1ml/m2 結果を表3に示す。
【0117】
【表3】
【0118】表3の結果から、無機充填剤として、微粒
子シリカに換えて微粒子アルミナゾルに置き換えても実
施例1同様の効果が得られることがわかる。
【0119】本実施例では不透明で光沢のある紙支持体
を用いた場合について説明したが、透明性のある支持体
を用いることでスライドやOHP等の光学機器により記
録画像をスクリーン等への投影により観察するもの、カ
ラー印刷のポジ版を作成する際の色分解版、或いは液晶
等のカラーディスプレイに用いるCFM等の透過を利用
する用途に好適なインクジェット記録用紙を提供するこ
とができる。
【0120】また、本発明のインクジェット記録用紙に
ついて、主にインクジェット方式に用いる場合を説明し
てきたが、インクジェット方式以外にも水性インクを利
用する各種筆記用具やペンプロッター等の記録機器によ
る記録に好適に利用できる。
【0121】
【発明の効果】実施例で実証した如く、本発明のインク
ジェット記録用紙の構成及びこれを用いたインクジェッ
ト記録方法を用いれば、高い光沢性を維持しつつ良好な
インク吸収性が達成出来、しかもインク液滴が微小化し
ても高いインク吸収性を維持したままで記録紙上のドッ
トサイズの拡がりを小さくコントロール出来るために高
品位のカラー画像を記録することが出来る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に固体微粒子と親水性バインダ
    ーを含有する少なくとも2層の空隙層を設けてなるイン
    クジェット記録用紙において、支持体より離れた側の空
    隙層に含有する固体微粒子(A)の平均粒径が、支持体
    より近い側の空隙層に含有する固体微粒子(B)の平均
    粒径より小さく、かつ前記空隙層の空隙容量の合計が2
    0ml/m2以上であることを特徴とするインクジェッ
    ト記録用紙。
  2. 【請求項2】 前記支持体が疎水性支持体であることを
    特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 【請求項3】 前記固体微粒子(A)が、平均粒径7〜
    30nmのシリカ系微粒子であることを特徴とする請求
    項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 【請求項4】 前記固体微粒子(A)が平均粒径10〜
    50nmの炭酸カルシウム微粒子であることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 【請求項5】 前記固体微粒子(A)が平均粒径10〜
    100nmのアルミナ又はアルミナ水和物微粒子である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェッ
    ト記録用紙。
  6. 【請求項6】 前記固体微粒子(B)が、平均2次粒径
    1〜10μmのシリカ系微粒子であることを特徴とする
    請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録
    用紙。
  7. 【請求項7】 前記親水性バインダーの少なくとも1種
    がポリビニルアルコール又はカチオン変性ポリビニルア
    ルコールであることを特徴とする請求項1〜6の何れか
    1項に記載のインクジェット記録用紙。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れか1項に記載のイン
    クジェット記録用紙に、水溶性染料を含有するインクジ
    ェット記録液を用い最大吐出インク量が20ml/m2
    以上となる条件で印字することを特徴とするインクジェ
    ット記録方法。
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