JPH10112594A - 携帯無線通話機用ケース - Google Patents

携帯無線通話機用ケース

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JPH10112594A
JPH10112594A JP8297582A JP29758296A JPH10112594A JP H10112594 A JPH10112594 A JP H10112594A JP 8297582 A JP8297582 A JP 8297582A JP 29758296 A JP29758296 A JP 29758296A JP H10112594 A JPH10112594 A JP H10112594A
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JP
Japan
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case
conductive
communication device
wireless communication
portable wireless
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JP8297582A
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English (en)
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Eiji Shiroyama
英次 白山
Eiji Kusaki
英二 草木
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NEW SUPETSUKU SANGYO KK
Original Assignee
NEW SUPETSUKU SANGYO KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁波の漏洩がより少なくて人体への影響の
少ない携帯無線通話機用ケースを得る。 【解決手段】 皮革などでできた壁体2、3の内面には
導電性皮膜41、42が塗付されており、壁体2、3が
互いに接合されている個所において導電性皮膜41、4
2同士も接触している。これにより、この接合個所から
の電磁波の漏洩量は著しく減少する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、携帯無線通話機
用ケースに関し、特に携帯電話などの携帯無線通話機の
受発信中に発生する電磁波を減衰させて人体への影響を
少なくできる携帯無線通話機用ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、種々の電子機器が開発され、家庭
内にも電子レンジ、電子毛布、コンピュータなどの製品
が広く普及するに伴って、これらの製品から発生する電
磁波が人体に及ぼす影響が電磁波生体効果として問題と
なっている。
【0003】特に、携帯電話(簡易型携帯電話(PH
S)を含む)やトランシーバなどの携帯無線通話機につ
いては、電磁波の受発信中に頭部に接触させて使用する
ために頭部に多量の電磁波を被爆させることとなり、白
内障、自律神経系の障害、脳腫瘍、白血病などの病気を
引き起こすとして人体への影響が非常に大きいという認
識が高まっている。
【0004】そこで、例えば特開平8−78874号公
報には、図26に示されているようなシールドケースを
用いて携帯電話から発生する電磁波を遮蔽する技術が開
示されている。図26のシールドケースは、電磁波の遮
蔽体としての壁体261を鋼板などの導電材で形成する
とともに、壁体261に送話孔262、受話孔263を
設けて通話中の音の伝達を阻害しないようにしたもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載されたシールドケースには以下のような欠点が
あった。
【0006】第一に、携帯電話の全体、特に上面が壁体
261で覆われていないため、電磁波が露出部分から漏
れて所望の効果を達成することができなかった。第二
に、携帯電話の操作部が壁体261で隠されてしまうた
め、電話をかけるなどの操作をするのに携帯電話を取り
出すという煩雑な動作を必要とし、かつこれら操作中に
発生する電磁波を遮蔽することができなかった。第三
に、携帯電話用ケースとしては触感などの点で皮革やビ
ニールなどの絶縁性部材が好ましいにもかかわらず、上
記公報のケースは鋼材でできているため手触りが悪くか
つ携帯電話などを傷つけ易かった。
【0007】そこで、本願発明の主たる目的は、主とし
て絶縁性部材で形成されているとともに、電磁波の漏洩
がより少なく人体への影響の少ない携帯無線通話機用ケ
ースを提供することである。
【0008】また、本願発明の別の目的は、電磁波の漏
洩が少なく、かつ、携帯無線通話機を取り出すことなく
操作が可能な携帯無線通話機用ケースを提供することで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の携帯無線通話機用ケースは、複数の絶縁
性部材が互いに接合された部分を有する携帯無線通話機
用ケースであって、上記接合は、上記絶縁性部材の内面
にそれぞれ独立に施された第1の導電性部材同士が互い
に接触するようになされていることを特徴とする。
【0010】これによると、絶縁性部材の内面にそれぞ
れ独立に施された第1の導電性部材を電磁波の遮蔽のた
めに用いているため、ケース全体の形状がどのような複
雑な形状であってもその形状に合わせて携帯無線通話機
の周囲を確実に導電性部材で覆うことができる。また、
第1の導電性部材同士が互いに接触するように複数の絶
縁性部材が接合されているため、接合部分が電気的に導
通し、携帯無線通話機用ケースから漏洩する電磁波を全
体として少なくすることができる。さらに、絶縁性部材
の接合と導電性部材の接触とを一度の工程で行うことが
可能であるために、製造工程を簡略化することができ
る。なお、本明細書において「接触」とは、両者が直接
的に触れている場合だけでなく、両者の間に他の導電性
部材が介在し両者が電気的に導通している場合も含むも
のとする。
【0011】また、請求項2の携帯無線通話機用ケース
は、複数の絶縁性部材が互いに接合された部分を有する
携帯無線通話機用ケースであって、上記接合は、この接
合部分における電磁波の漏洩率を減少させることができ
るように、上記絶縁性部材の内面にそれぞれ独立に施さ
れた第1の導電性部材同士が互いに近接するようになさ
れていることを特徴とする。
【0012】これによると、絶縁性部材の内面にそれぞ
れ独立に施された第1の導電性部材を電磁波の遮蔽のた
めに用いているため、ケース全体の形状がどのような複
雑な形状であってもその形状に合わせて携帯無線通話機
の周囲を確実に導電性部材で覆うことができる。また、
第1の導電性部材同士が互いに近接するように複数の絶
縁性部材が接合されているため、接合部分にいわばコン
デンサが形成されることになりそのキャパシティブ・シ
ール効果により、携帯無線通話機用ケースから漏洩する
電磁波を全体として少なくすることができる。さらに、
絶縁性部材の接合と導電性部材の近接とを一度の工程で
行うことが可能であるために、製造工程を簡略化するこ
とができる。なお、本明細書において第1の導電性部材
同士をどの程度まで近接すればよいかは第1の導電性部
材の物性、携帯無線通話機の出力や周波数などにより異
なるが、後述の実施の形態でその一例について説明す
る。
【0013】また、請求項3の携帯無線通話機用ケース
は、電磁波の漏洩率が互いに異なる複数の領域が設けら
れていることを特徴とする。
【0014】これによると、請求項1、2の利点に加
え、例えば第1の導電性部材の形状などを適宜調整し、
通話時に人体の方向を向く領域の電磁波の漏洩率を低く
しておくことにより、電磁波の人体への影響を著しく低
減することができる。これは、電磁波がより遮蔽効果の
低い個所、つまり漏洩率の高い個所に集中する性質を利
用したものである。
【0015】また、請求項4の携帯無線通話機用ケース
においては、上記絶縁性部材に、上記第1の導電性部材
の施されていない領域が設けられている。
【0016】これによると、請求項3と同様に、絶縁性
部材のうち通話時に人体の方向を向かない領域には第1
の導電性部材を施さないようにすることにより、電磁波
の人体への影響を著しく低減することができる。これ
も、電磁波がより遮蔽効果の低い個所、つまり第1の導
電性部材の施されていない領域に集中する性質を利用し
たものである。
【0017】また、請求項5の携帯無線通話機ケース
は、上記携帯無線通話機用ケースに設けられた開口部を
塞ぐように透明シートが形成されており、上記第1の導
電性部材が、上記開口部において上記携帯無線通話機用
ケースの内部が目視可能となるように、上記絶縁性部材
の内面から上記透明シートの内面に連続して施されてい
ることを特徴とする。
【0018】これによると、請求項1〜4の利点に加
え、絶縁性部材に設けられた開口部を塞ぐように透明シ
ートが形成され、この透明シートにケースの内部が目視
可能なように第1の導電性部材が施されているため、携
帯無線通話機をケースから取り出すという煩雑な動作を
必要とせずに受信・発信操作を行うことができる。ま
た、透明シート部分を第1の導電性部材が覆っているた
めに、通話時に人体の方向を向くことが多い開口部から
の電磁波の漏洩を少なくすることができる。なお、本明
細書において「透明」とは透過率が100%に満たない
半透明の状態をも含むものとする。さらに、後述の請求
項6、7のように開口部に別の導電性部材を設ける必用
がないので、製造工程を簡略化できコストを低減するこ
とができる。
【0019】また、請求項6の携帯無線通話機用ケース
は、上記携帯無線通話機用ケースに設けられた開口部を
塞ぐように透明シートが形成されており、上記第1の導
電性部材と、上記携帯無線通話機用ケースの内部が目視
可能なように上記透明シートの内面に施された第2の導
電性部材とが互いに接触していることを特徴とする。
【0020】これによると、請求項5と同様、携帯無線
通話機をケースから取り出すという煩雑な動作を必要と
せずに受信・発信操作を行うことができる。また、第1
の導電性部材と第2の導電性部材とが互いに接触してい
るために、この部分において第1の導電性部材と第2の
導電性部材とが電気的に導通し、携帯無線通話機用ケー
スから漏洩する電磁波を全体としてより少なくすること
ができる。
【0021】また、請求項7の携帯無線通話機用ケース
は、上記携帯無線通話機用ケースに設けられた開口部を
塞ぐように透明シートが形成されており、上記第1の導
電性部材と、上記携帯無線通話機用ケースの内部が目視
可能なように上記透明シートの内面に施された第2の導
電性部材とが、これらの部材間における電磁波の漏洩率
を減少させることができるように互いに近接しているこ
とを特徴とする。
【0022】これによると、請求項5と同様、携帯無線
通話機をケースから取り出すという煩雑な動作を必要と
せずに受信・発信操作を行うことができる。また、第1
の導電性部材と第2の導電性部材とが互いに近接してい
るため、請求項2と同様にキャパシティブ・シール効果
により第1の導電性部材と第2の導電性部材との間から
漏洩する電磁波を少なくすることができる。
【0023】また、請求項8の携帯無線通話機用ケース
においては、上記第1の導電性部材は上記絶縁性部材の
内面に塗付された導電性皮膜であり、上記第2の導電性
部材は上記透明シートに塗付された導電性皮膜である。
【0024】これによると、導電性皮膜同士を熱圧着な
どにより簡単に接着することができる。なお、上記第1
および第2の導電性皮膜の表面に保護膜を設けると、携
帯無線通話機などとケース内面とが接触して塗付された
非常に薄い膜である導電性皮膜が剥離してしまうことを
防止できる。
【0025】また、請求項9の携帯無線通話機用ケース
においては、上記第1の導電性部材は上記絶縁性部材の
内面に取り付けられた金属製部材であり、上記第2の導
電性部材は上記透明シートに取り付けられた金属製部材
である。
【0026】これによると、導電性部材として導電性皮
膜よりも厚く形成することができる金属製部材を用いる
ため、電磁波遮蔽効果を向上させることができる。ま
た、金属製部材は絶縁性部材の内面に取り付けた後の曲
げ加工に対しても、導電性皮膜に比べて大きな耐性を有
しているため、曲げ部分の金属製部材が破壊されること
もなく、この曲げ部分で電磁波が多く漏洩することがな
い。さらに、導電性皮膜は皮革などの一部の絶縁性部材
には一般には塗付できないが、金属製部材はどのような
絶縁性部材にも取り付けることができる。なお、本明細
書において「取り付ける」とは、接着剤で接着すること
の他、糸で縫い付けるなどあらゆる方法で両者を固定配
置することをいうものとする。
【0027】また、請求項10の携帯無線通話機用ケー
スにおいては、上記第1の導電性部材は導電性繊維ネッ
トである。
【0028】これによると、絶縁性部材として触感に優
れた皮革やビニールなどの材料を用いた場合、一般に導
電性繊維ネットは絶縁性部材よりも強度が弱く弾性を有
しているので、外部からの力で絶縁性部材を変形させた
際、導電性繊維ネットもそれに合わせて変形するものの
速やかに元の形状に弾性復帰する。また、導電性繊維ネ
ットは絶縁性部材の内面に取り付けた後の曲げ加工に対
しても、導電性皮膜に比べて大きな耐性を有しているた
め、曲げ部分の導電性繊維ネットが破壊されることもな
く、この曲げ部分で電磁波が多く漏洩することがない。
さらに、導電性皮膜は皮革などの一部の絶縁性部材には
一般には塗付できないが、導電性繊維ネットはどのよう
な絶縁性部材にも取り付けることができる。
【0029】また、請求項11の携帯無線通話機用ケー
スにおいては、上記第1の導電性部材は導電性繊維ネッ
トであって、この導電性繊維ネットが2枚の透明シート
に挟み込まれている。
【0030】これによると、導電性繊維ネットが2枚の
透明シートに挟み込まれて三層構造体が形成されている
ため、導電性繊維ネットを含んだ三層構造体の構造的強
度を向上させることができる。従って、例えば縫製によ
り絶縁性部材に導電性繊維ネットを取り付ける場合であ
っても、応力により透明シートが変形してしまうような
ことがなくなる。
【0031】また、請求項12の携帯無線通話機用ケー
スにおいては、上記第2の導電性部材は導電性繊維ネッ
トである。これによると、請求項10と同様の利点が得
られる。
【0032】また、請求項13の携帯無線通話機用ケー
スにおいては、上記導電性繊維ネットの表面に暗色系の
皮膜が形成されている。
【0033】これによると、導電性繊維ネットの表面で
の外部光線の乱反射を防止することができるので、開口
部を通して携帯無線通話機の表示部などを視覚するのが
容易になる。
【0034】また、請求項14の携帯無線通話機用ケー
スは、複数の上記絶縁性部材のうちの少なくとも1つに
アンテナ通過孔が設けられており、上記アンテナ通過孔
の内周面を覆うように形成された金具が導電性部材と接
触している。
【0035】これによると、アンテナ通過孔の内周面を
覆うように形成された金具により、アンテナ通過孔から
漏洩する電磁波を減少させることができる。
【0036】また、請求項15の携帯無線通話機用ケー
スは、絶縁性部材からなり開口部を有するケース本体
と、導電性繊維ネットが2枚の透明シートで挟み込まれ
た三層構造体とを具備しており、上記ケース本体の内面
の少なくとも上記開口部の領域に上記三層構造体が施さ
れていることを特徴とする。
【0037】これによると、絶縁性部材に設けられた開
口部を透明シートと導電性繊維ネットと透明シートとの
三層構造体が施されているため、携帯無線通話機をケー
スから取り出すという煩雑な動作を必要とせずに受信・
発信操作を行うことができる。また、開口部の領域を導
電性繊維ネットが覆うことになるので、通話時に人体の
方向を向くことが多い開口部からの電磁波の漏洩を少な
くすることができる。また、導電性繊維ネットが2枚の
透明シートに挟み込まれて三層構造体を形成しているた
め、導電性繊維ネットを含んだ三層構造体の構造的強度
を向上させることができる。従って、例えば縫製により
絶縁性部材に三層構造体を取り付ける場合であっても、
応力により透明シートが変形してしまうようなことがな
くなる。
【0038】また、請求項15の携帯無線通話機用ケー
スは、あらかじめ形成された三層構造体をケース本体に
後から取り付けるという形で製造することが好ましい。
これにより、あらかじめ別工程で形成した三層構造体を
ケース本体に施すという簡単な工程だけで電磁波漏洩を
抑制する構造を得ることができる。
【0039】なお、本願発明において、上記第2の導電
性部材は、略均一に分布した多数の開孔を有していても
よい。これによると、第1の導電性部材と第2の導電性
部材との開孔率を変えることにより簡単に請求項3の構
成を実現することができる。
【0040】また、絶縁性部材からなるケース本体と、
略均一に分布した多数の開孔を有し、かつ、上記ケース
本体の内面に取り付けられた一体形成の第1の金属製部
材と、上記ケース本体に設けられた開口部を塞ぐように
形成された透明シートと、上記透明シートに内部が目視
可能なように取り付けられかつ上記第1の金属製部材と
互いに接触している第2の金属製部材とを備えており、
電磁波の漏洩率が互いに異なる複数の領域が設けられて
いることを特徴とする携帯無線通話機用ケースであって
もよい。
【0041】これによると、一体形成の第1の金属製部
材を電磁波の遮蔽のために用いるので、携帯無線通話機
の周囲を確実に導電性部材で覆うことができ、電磁波の
漏洩を少なくすることができる。また、ケース本体に設
けられた開口部を塞ぐように透明シートが形成され、こ
の透明シートに内部が目視可能なように第2の金属性部
材が施されているため、携帯無線通話機をケースから取
り出すことなく受信・発信操作を行うことができる。ま
た、第1の金属性部材と第2の金属性部材とが互いに接
触しているために、この部分において第1の金属性部材
と第2の金属性部材とが電気的に導通し、携帯無線通話
機用ケースから漏洩する電磁波を全体としてより少なく
することができる。また、通話時に人体の方向を向く領
域の電磁波の漏洩率を低くしておくことにより、電磁波
の人体への影響を著しく低減することができる。また、
導電性部材として導電性皮膜よりも厚く形成することが
できる金属製部材を用いるため、電磁波遮蔽効果を向上
させることができる。さらに、導電性皮膜は皮革などの
一部の絶縁性部材には一般には塗付できないが、金属製
部材はどのような絶縁性部材にも取り付けることができ
る。また、一体形成の第1の金属製部材の代わりに一体
形成の第1の導電性繊維ネットを用い、第2の金属製部
材の代わりに第2の導電性繊維ネットを用いるようにし
ても良い。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を好適な実施の形
態につき、図面を参照して説明する。
【0043】図1〜図7は、本願発明の第1の実施の形
態を説明するための図である。本実施の形態は、皮革な
どの絶縁性部材からなる携帯電話用ケースの内面に導電
性部材としての導電性皮膜を塗付した例である。
【0044】図1は、本実施の形態の携帯電話用ケース
の斜視図であり、図2はその分解斜視図である。図1〜
図2において、携帯電話用ケース1は、壁体本体2と右
壁体3と左壁体4とが接合されることにより、その概略
形状が形作られている。壁体本体2は、矩形の部材を4
カ所で同一方向に直角に折り曲げられて、いわば左右に
壁のない箱型形状をしている。なお、後述のように携帯
電話の出し入れを可能とするために底面のみ二重になっ
ている。壁体本体2の正面(携帯電話の操作部に対応す
る面)には開口部8が設けられており、その上下には受
話孔6aおよび送話孔6bがそれぞれ複数設けられてい
る。また、壁体本体2の上面の隅部には携帯電話のアン
テナを通過突出させるアンテナ通過孔7が形成されてい
る。
【0045】右壁体3および左壁体4は、長手方向の両
端近傍と幅方向の一端近傍とが同一方向に直角に折り曲
げられており、壁体本体2の左右に組み入れられること
により折り曲げられた部分と壁体本体2とが互いに対向
するようになっている。なお、壁体本体2の背面2a側
には右壁体3および左壁体4の折り曲げ部分がないた
め、壁体本体2との対向個所はない。
【0046】壁体本対2に設けられた開口部8には、ビ
ニールなどのシート状材料でできた透明フィルム5が開
口部8を塞ぐようにして形成されている。この透明フィ
ルム5は、開口部8よりも一回り大きい矩形をしてお
り、壁体本体2の内面と接着されることで壁体本体2に
固定されている。
【0047】図3に示すように、壁体本体2の2つの底
面2b、2cは互いに着脱可能な固定ボタン9a、9b
で固定することができる。また、壁体本体2の背面2a
には使用者がズボンやスラックスを着用した際、ベルト
を通してケース1を固定するための固定帯10が設けら
れている。固定帯10の端部には固定ボタン9a、9b
と同様の固定ボタン11a、11bが設けられている。
【0048】この携帯電話用ケース1に携帯電話を収納
する方法について説明する。図3のように、固定ボタン
9a、9bを外し、壁体本体2の背面2aを後方に引っ
張ると、背面2aがその上端を中心として回動し、ケー
ス1が開かれた状態になる。これにより、携帯電話12
をケース1の下部後方から収納および取り出し可能とな
る。
【0049】壁体本体2、右壁体3および左壁体4は、
皮革、人工皮革、樹脂製シートなどの絶縁性部材から構
成されている。このような絶縁性部材を用いるのは、一
般に導電性部材よりも手触りが良好であること、一般に
導電性部材よりも可撓性に優れているため携帯電話その
ものや外部の物品を保護するのに適していることなどの
理由による。
【0050】図4は、壁体本体2と右壁体3との接合部
分の拡大断面図である。図4に示すように、壁体本体2
および右壁体3の内面には厚さ20〜100μm程度の
導電性皮膜41、42がそれぞれ塗付されている(導電
性皮膜の詳細な塗付状態については後述する)。そし
て、導電性皮膜41、42は、壁体本体2と右壁体3と
が接合している幅3mm〜10mm程度の個所において
互いに接触している。この接触は壁体本体2と右壁体3
とを糸で縫い付けることや両者を熱圧着する(例えば温
度120℃〜200℃で圧力40kg/cm2 〜80k
g/cm2 の条件)などの方法により行われる。例えば
糸で縫い付けて接合を行うとより確実で信頼性が高い接
合を行うことができ、熱圧着で接合を行うと簡単に接合
を行うことができる。このように壁体本体2と右壁体3
との接合部分で導電性皮膜41、42を挟み込むように
して両者を接触させているため、壁体本体2及び右壁体
3の接合と導電性皮膜41、42の接触とを一度の工程
で行うことができる。ただし、導電性皮膜41、42同
士の接触は必ずしもこのように行う必要はなく、壁体本
体2と右壁体3との接合とは別工程で行うようにしても
よい。なお、詳しい説明は省略するが、壁体本体2と左
壁体4とも同様な接合がなされている。
【0051】また、本実施の形態においては、透明フィ
ルム5の内面にも、ケース1の内部に収納した携帯電話
の操作部が目視可能なように、具体的には開孔率30%
〜60%程度となるように多数の開孔が略均一に分布し
た例えばパンチング状またはメッシュ状に導電性皮膜が
塗付(印刷)されている。そして、透明フィルム5の内
面に塗付された導電性皮膜の上に、さらに開口部8を含
む壁体本体2の内面に塗付された導電性皮膜41が重畳
して塗付されることにより、これらの導電性皮膜は互い
に接触している(これと類似の例について図10で後述
する)。なお、導電性皮膜は透明フィルム5の外面に塗
布してもよく、また、透明フィルム5に塗付された導電
性皮膜と壁体本体2の内面に塗付された導電性皮膜41
とは、重畳以外のどのような形態で接触するようにして
もよい。
【0052】本実施の形態では、壁体本体2と右壁体3
と左壁体4とが互いに導電性皮膜が接触するように接合
されている。従って、接合部分が電気的に導通するため
電磁波が反射吸収され、この部分から電磁波が漏洩する
割合が大幅に少なくなる。これは、もし接合部分におい
て導電性皮膜が接触しておらずこれらの電気的な導通が
担保されていなければ、電磁波はその部分を通って漏洩
する性質を有しているからである。
【0053】また、本実施の形態では、壁体本体2と右
壁体3と左壁体4とを接合してケース1を形成している
ため、どのような形状のケースであっても比較的容易に
製造することが可能であるとともに、壁体本体2などの
内面に導電性皮膜を独立に塗付しているので、ケース全
体の形状が複雑な形状であってもその形状に合わせて携
帯電話の周囲を確実に導電性皮膜で覆うことができる。
【0054】さらに、本実施の形態では、受話孔6aお
よび送話孔6bが設けられているだけでなく、壁体本体
2に設けられた開口部8を塞ぐように透明フィルム5が
形成され、この透明フィルム5の内面に内部が目視可能
なように導電性皮膜が塗付されているため、携帯電話を
ケース1から取り出すことなく受信・発信操作を行うこ
とができる。また、壁体本体2に塗付された導電性皮膜
41と透明フィルム5に塗付された導電性皮膜とが互い
に接触しているために、この部分において導電性皮膜同
士が電気的に導通し、ケース1から漏洩する電磁波を全
体としてより少なくすることができる。
【0055】導電性皮膜41、42を形成するのに用い
る導電性インキとしては、エポキシ、アクリル系レジン
などの結合材に、粉末状の銀、銅、ニッケル、グラファ
イトなどの導電性フィラーを混合して電磁波遮蔽性を持
たせた材料を用いることができる。このような導電性イ
ンキを使用すると、導電性皮膜全体に導電性フィラーが
分散した状態になり、導電性皮膜の表面にもこれらフィ
ラーが浮き上がり導電性のある皮膜が形成される。な
お、壁体本体2などの絶縁性部材に皮革を使用する場
合、塗料やインキなどとの密着力が悪いという性質を皮
革が持っているため、皮革の内面にビニールシートなど
を形成して導電性皮膜との密着力を改善する部材を形成
した後に導電性皮膜を塗付することが好ましい。
【0056】図5(a)、(b)は、壁体本体2へ塗付
した導電性皮膜の詳細な状態の例を示す平面図である。
図5(a)において、壁体本体2の幅Lの接合領域51
にはその全面を被覆するように導電性皮膜41が塗付さ
れている。このように、接合領域51の全面に導電性皮
膜41を塗付することにより、導電性皮膜同士の接触面
積を大きくすることができて電磁波の漏洩を高い効率で
阻止することができるようになる。また、接合領域51
以外の非接合領域52には開孔率30%〜60%程度の
格子状に導電性皮膜41が塗付されている。図5(b)
の例は、非接合領域52に、開孔率30%〜60%程度
で円形の開孔が略均一に分布するように導電性皮膜41
が塗付されている他、図5(a)と同様である。なお、
導電性皮膜41に形成する開孔は、略均一に多数分布し
ていれば、菱形、三角形、六角形などどのような形であ
ってもよい。
【0057】導電性皮膜は、右壁体3、左壁体4および
透明フィルム5についても、図5(a)、(b)と同様
に塗付されている。この結果、透明フィルム5が設けら
れた開口部8の領域については、開口部8を含んで壁体
本体2の正面に塗付された導電性皮膜41と透明フィル
ム5に塗付された導電性皮膜とが重畳しているため、他
の領域よりも電磁波の漏洩率を低くすることができる。
従って、通話中に人体の方向を向く開口部8の領域から
漏洩する電磁波がより少なくなって、人体への影響を著
しく低減することができる。なお、壁体本体2の正面に
塗付された導電性皮膜41と透明フィルム5に塗付され
た導電性皮膜とを重畳させず、他の方法で両者を接触さ
せる場合には、あらかじめ導電性皮膜の開孔率を調整し
ておくなどの方法により、壁体本体2の正面に塗付する
導電性皮膜41および透明フィルム5に塗付する導電性
皮膜の電磁波の漏洩率を、他の領域よりも低くしておけ
ば同様の効果が得られる。また、透明フィルム5部分だ
けに独立して導電性皮膜を塗布することをせず、壁体本
体2の正面に塗付する導電性皮膜41と透明フィルム5
に塗付する導電性皮膜とを共有させて、これらを一体的
に形成するようにしてもよい。
【0058】なお、導電性皮膜は壁体本体2の背面2a
および下底面2bには塗付されていない。これは次の理
由による。まず、背面2aについては、通話時に人体と
は逆の方向を向くため、この部分から積極的に電磁波を
漏洩させて他の領域から漏洩する電磁波をより効果的に
減少させるためである。このように導電性皮膜が塗付さ
れていない領域を設けることで、ケース全体が導電性皮
膜で覆われているよりも人体への影響を少なくすること
ができる。また、下底面2bについては、携帯電話が収
納されている状態では上底面2cが携帯電話側に既に存
在するため、および右壁体3と接触させることが困難で
あるためである。
【0059】次に、導電性皮膜の表面に保護膜を設けた
例について説明する。図6(a)において、壁体本体2
上の導電性皮膜41表面には、透明の保護膜61が形成
されている。図6(b)には図5(a)に対応して導電
性皮膜41上に保護膜61を形成したときの平面図が示
されている。接合領域51には導電性皮膜同士の接触を
担保するために保護膜61は形成されていない。このよ
うに保護膜61を形成しておくことにより、携帯電話を
ケース1から出し入れする際、携帯電話と導電性皮膜4
1とが接触しても、非常に薄く剥がれ易い導電性皮膜4
1が剥離するような事態が生じにくくなる。なお、保護
膜はフェルト(商品名「ヒメロン」)などの一般的な保
護膜を用いて形成してもよい。
【0060】図7は、アンテナ通過孔7の内周面に鳩目
を形成した例を示す断面図である。図7において、アン
テナ71が突出している円形のアンテナ通過孔7の内周
面には、環状で断面がコの字型の金具(鳩目)72がか
しめられて固定されている。そして、金具72は壁体本
体2の内面において導電性皮膜41と接触している。図
6で説明した保護膜61は金具72と導電性皮膜41と
の接触を可能とするためにアンテナ通過孔7近傍では導
電性皮膜41を被覆しないように形成されている。この
ように、金具72を設けてアンテナ通過孔7の内周面を
覆い導電性皮膜41と接触させることにより、アンテナ
通過孔7から漏洩する電磁波を大幅に減少させることが
できる。これは、電磁波は金属孔を通過するときに大幅
に減衰する性質があるからである。
【0061】次に、本願発明の第2の実施の形態につい
て説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態と同様
の皮革などの絶縁性部材からなる携帯電話用ケースの内
面に導電性部材としての金属製ネットを取り付けた例で
ある。
【0062】本実施の形態の携帯電話用ケースの外形は
図1〜図3で説明した第1の実施の形態と同様であり、
ここではその説明を省略する。第1の実施の形態との相
違点は、壁体本体2などの内面に導電性皮膜が塗付され
ている代わりに、鉄製のネットが取り付けられている点
である。図8に一例として右壁体3に鉄製ネット81が
取り付けられている様子を示す。鉄製ネットが取り付け
られる場所は導電性皮膜が塗付される場所と同一であ
り、壁体本体2の背面2aと下底面2bには鉄製ネット
は取り付けられない。鉄製ネットを構成する鉄線の線径
は0.25mm〜0.5mm程度、鉄製ネットの開孔率
は30%〜60%程度である。
【0063】図9は、本実施の形態において壁体本体2
と右壁体3との接合の様子を示す拡大断面図である。図
9に示すように、壁体本体2および右壁体3の内面には
鉄製の鉄製ネット81、82がそれぞれ独立して例えば
接着剤により取り付けられている。そして、鉄製ネット
81、82は、壁体本体2と右壁体3とが接合している
幅3mm〜10mm程度の個所において互いに接触して
いる。この接触は壁体本体2と右壁体3とを糸で縫い付
けることなどの方法により行われる。なお、壁体本体2
と左壁体4とも同様な接合がなされている。
【0064】このように本実施の形態では、最大で0.
1mm程度の厚さにしか塗付できない導電性皮膜よりも
厚く形成することができる鉄製ネットを用いるため、携
帯電話用ケースの電磁波遮蔽効果を向上させることがで
き、鉄製ネットの線径が大きいほど電磁波の遮蔽効果も
高くなる。また、鉄製のネットは壁体本体2などの内面
に取り付けた後の曲げ加工に対しても、導電性皮膜に比
べて大きな耐性を有しているため、例えば接合部分近傍
の曲げ部分の鉄製ネットが破壊されることもなく、この
曲げ部分で電磁波が多く漏洩することがない。さらに、
上述のように導電性皮膜は皮革などには直接塗付できず
あらかじめ密着性を改善する必要があるが、鉄製ネット
は皮革のほかどのような絶縁性部材にも例えば糸で縫い
付けることにより取り付けることができるという点でコ
スト面でも有利である。なお、鉄製ネットと同等の効果
を奏するものとして、パンチング板やラス板などを用い
ることも可能である。
【0065】本実施の形態の携帯電話用ケースの他の構
成は第1の実施の形態と同様であるが、例えば透明フィ
ルム5には導電性皮膜の代わりに鉄製のネットやパンチ
ング板を取り付けてよいし、取り付けなくともよい。図
10に透明フィルム5にパンチング板101を取り付け
た例を示す。この図10は、壁体本体2と左壁体4との
接合部分の拡大断面図であり、鉄製ネット82と鉄製ネ
ット83とが接触しており、透明フィルム5と鉄製ネッ
ト82との間には円形の開孔が略均一に多数分布したパ
ンチング板101が取り付けられている。これにより、
開口部8から人体の方向に漏洩する電磁波をさらに減衰
させることができる。また、カバー102は皮革、合成
皮革、ビニールなどからできており、接合部分の端部を
覆い隠し接合が剥がれるのを防止するとともに、ケース
の外観を美しく見せる役目がある。
【0066】次に、本願発明の参考例について図11を
参照して説明する。本参考例の携帯電話用ケースは、ケ
ース本体内に一体形成された金属製ネットを取り付けた
ものである。
【0067】図11において、皮革などからなるケース
本体111は図1のものとほぼ同形状に形成されてい
る。このケース本体は、複数の部材を接合して形成した
ものでもよいし、一体形成されたものであってもよい。
ケース本体111に開口部112やアンテナ通過孔11
3が設けられているのも図1と同じである。また、開口
部112を塞ぐように透明フィルム114が形成され、
後方から携帯電話を出し入れできる点でも図1のものと
同じである。
【0068】ケース本体111の内面には、絞り加工を
施すなどでケース本体111とほぼ同一形状となるよう
に一体形成された鉄製のネット115が、糸で縫い付け
るなどの方法により取り付けられる。鉄製ネット115
はケース本体111の開口部112と対応する位置にこ
れとほぼ同形状の開口部116を有している。鉄製ネッ
ト115を構成する鉄線の線径は0.25mm〜0.5
mm程度、鉄製ネット115の開孔率は30%〜60%
程度である。なお、鉄製ネット115の代わりにパンチ
ング板やラス板などを用いることも可能である。さら
に、透明フィルム114の内面にも図10で説明したよ
うな内部が目視可能なパンチング板(図示せず)が取り
付けられている。鉄製ネット115とパンチング板とは
開口部112の周辺において接触している。また、鉄製
ネット115とパンチング板とは互いに電磁波の漏洩率
が異なるように形成されている。
【0069】本参考例では、一体形成の鉄製ネット11
5を電磁波の遮蔽のために用いるので、携帯電話の周囲
を確実に導電性部材で覆うことができ、電磁波の漏洩を
少なくすることができる。また、ケース本体111に設
けられた開口部112を塞ぐように透明フィルム114
が形成され、この透明フィルム114の内面に内部が目
視可能なようにパンチング板が取り付けられているた
め、携帯電話をケースから取り出すことなく受信・発信
操作を行うことができる。また、鉄製ネット115とパ
ンチング板とが互いに接触しているために、この部分に
おいて鉄製ネット115とパンチング板とが電気的に導
通し、携帯電話用ケースから漏洩する電磁波を全体とし
てより少なくすることができる。また、通話時に人体の
方向を向く開口部112の領域の電磁波の漏洩率を低く
しておくことにより、電磁波の人体への影響を著しく低
減することができる。また、第1、第2の実施の形態で
用いた導電性皮膜よりも厚く形成することができる鉄製
ネット115を用いるため、電磁波遮蔽効果を向上させ
ることができる。さらに、上述のように導電性皮膜は皮
革などには直接塗付できずあらかじめ密着性を改善する
必要があるが、鉄製ネット115は皮革のほかどのよう
な絶縁性部材にも例えば糸で縫い付けることにより取り
付けることができるという点でコスト面でも有利であ
る。
【0070】ただし、本参考例では、鉄製ネット115
をケース本体111の形状に合わせて整形するのに、角
部分にアールを形成する必要があるとともに、絞り加工
を行う必要があり、その際角部分に電磁波が漏洩し易い
すき間ができるため、この部分を鉄線で縫い付けるなど
の必要が生じる。つまり、上記第1、第2の実施の形態
は、このような加工を行う必要がなく製造工程が簡易で
あるとともに、ケースの形状に大きな自由度があるため
デザイン的に色々な展開が可能であるという利点をも有
している。
【0071】なお、鉄製ネット115には開口部116
を必ずしも形成する必要はなく、これを形成しない場合
には鉄製ネット115とパンチング板との電磁波の漏洩
率が互いに異なるようにしなくとも、開口部112では
鉄製ネット115とパンチング板とが重畳するためにこ
の領域での電磁波の漏洩率は他の領域とは異なるものに
なる。また、鉄製ネットと同等の効果を奏するものとし
て、パンチング板やラス板などを用いることも可能であ
る。さらに、鉄製ネットの代わりとして、下述する導電
性繊維ネットを用いることも可能である。
【0072】本参考例の携帯電話用ケースの他の構成は
第1、第2の実施の形態と同様であり、鉄製ネット11
5はその背面には設けられていない。また、アンテナ通
過孔113の構造を図7のようにしてもよいのは勿論で
ある。
【0073】次に、本願発明の第3の実施の形態につい
て、図12〜図16を参照して説明する。本実施の形態
は、携帯電話用ケースの内側に導電性部材として導電性
繊維ネットを取り付けた例である。
【0074】図12(a)は本実施の形態の携帯電話用
ケースの正面図、図12(b)は側面図である。また、
図13(a)は図12(a)のXIII−XIII線で
の断面図、図13(b)は図13(a)の丸枠内の拡大
図である。また、図14(a)は図12(a)のXIV
−XIV線での断面図、図14(b)は図14(a)の
丸枠内の拡大図である。
【0075】図12(a)、(b)において、携帯電話
用ケース120は略直方体をしており、ともに略矩形を
した人工皮革製の2つの壁体121、122が組み合わ
され接合されることによって、その概略形状が形作られ
ている。壁体121の正面には開口部124が設けられ
ており、その上下には受話孔125aおよび送話孔12
5bがそれぞれ設けられている。開口部124は第1の
実施の形態と同様に透明フィルム129で塞がれてい
る。透明フィルム129の材料としては、塩化ビニル、
ポリエステル、ポリカーボネートなどが使用可能であ
る。また、壁体121の上面の隅部には携帯電話のアン
テナを通過突出させるアンテナ通過孔(図示せず)が形
成されている。
【0076】壁体121の背面には、使用者のベルトな
どにケース120を固定するための固定帯126がリベ
ットで取り付けられている。壁体122には、その幅方
向の中央から少しずれた位置にジッパ127が設けられ
ており、ジッパ127を開閉することにより携帯電話の
出し入れが可能になる。壁体121と壁体122とは互
いの端部において縫合により接合されている。この接合
部分は美観のためにエッジカバー128で覆われてい
る。
【0077】図13(a)、(b)、図14(a)、
(b)に示すように、壁体121の内面および透明フィ
ルム129の内面には、下記図15で詳述する導電性繊
維ネット131が縫合または透明な接着剤などの手段に
より、連続して取り付けられている。つまり、導電性繊
維ネット131は、開口部124およびその周辺領域で
は透明フィルム129の内面に取り付けられ、それ以外
の領域では壁体121の内面に取り付けられている。導
電性繊維ネット131は網目状であるため、後述するよ
うに、ケースの内部を目視可能なように構成されてい
る。なお、壁体122についてはジッパ127部分を除
いて導電性繊維ネット134が取り付けられている。ま
た、導電性繊維ネット131は受話孔125aおよび送
話孔125bの部分をも覆っている。
【0078】導電性繊維ネット131、134の内面に
は、透明フィルム129部分において透明フィルム13
2が、壁体121、122部分において保護シート13
3a、133b、133cがそれぞれ接着されている。
すなわち、開口部124およびその近傍においては、透
明フィルム129、132が導電性繊維ネット131を
挟み込む三層構造体が形成されている。透明フィルム1
32、保護シート133a、133b、133cは、導
電性繊維ネット131、134を保護するとともに携帯
電話を保護する役割をも兼ね備えている。なお、壁体1
21、121のそれぞれの端部には保護シートは取り付
けられておらず、導電性繊維ネット131、134が露
出することにより導電性繊維ネット131、134同士
が接触可能なようになっている。
【0079】導電性繊維ネット131と134とは、2
つの壁体121、122の接合部分において互いに接触
している。このように、導電性繊維ネット131、13
4同士がメタルコンタクトしているので、この接合部分
からの電磁波の漏洩を少なく抑えることができる。導電
性繊維ネットは製造工程を簡略化するためにケース20
の底面には形成されている一方で、ケース120の背面
には形成されていない。これは、第1の実施の形態と同
様に、電磁波を背面側から逃がして人体への電磁波の影
響をできるだけ少なくするためである。
【0080】図15(a)は導電性繊維ネット131の
拡大図であり、図15(b)は導電性繊維ネット131
を構成する繊維の拡大断面図である。図15(a)に示
すように、導電性繊維ネット131を構成する繊維は縦
横に網の目状に編み込まれている。図15(b)に示す
ように、導電性繊維ネット131の各繊維は、内側か
ら、導電性のある材料であるポリエステルモノフィラメ
ントの芯材151(直径0.03〜0.05mm)、銅
皮膜152(膜のメッキ厚5〜10μm)、アクリル樹
脂153(膜厚10μm前後)、カーボン皮膜154
(膜厚5〜10μm)の4層構造をしている。
【0081】芯材151の表面に銅皮膜152を電気鍍
金することにより、後述する芯材151による電磁波減
衰効果に加え、金属である銅の表面での電磁波反射効果
および銅表面で渦電流が発生することによる電磁波減衰
効果が得られる。芯材151の表面に鍍金する金属とし
ては銅以外に金、銀、ニッケルを用いることが可能であ
り渦電流発生量を大きくする観点からは貴金属を用いる
ことが好ましい。また、アクリル樹脂153は銅皮膜1
52を保護するとともに銅皮膜152と芯材151とが
密着するように機能している。また、カーボン皮膜15
4は黒色系であるために外部光線で発生する導電性繊維
ネットでの乱反射を吸収する役割がある。なお、カーボ
ン皮膜154の代わりに暗色系の皮膜を形成しても同様
の効果を得ることができるが効果としては黒色系の材料
を用いるのが最も好ましい。
【0082】次に、導電性繊維ネットの粗さと電磁波の
減衰率との関係について説明する。図16は、導電性繊
維ネットの粗さ(単位メッシュ:1インチの長さの間に
ある面内のふるいの目の数)を横軸に、電磁波減衰率を
縦軸にとったグラフである。また、横軸には導電性繊維
ネットを図12の開口部124に取り付けて携帯電話の
表示部を目視したときの鮮明度が、メッシュと関連付け
て示されている。なお、減衰率はケース120の開口部
124に測定器のアンテナを垂直に接触させるようにし
て測定した(携帯電話の出力600mW、周波数800
MHz)。
【0083】図16から明らかなように、70%以上の
電磁波減衰率を確保するためには、導電性繊維ネットの
粗さを50メッシュ以上にする必要がある。また、開口
部124において携帯電話の表示部を目視可能とするた
めには導電性繊維ネットの粗さを170メッシュ以下好
ましくは135メッシュ以下にする必要がある。つま
り、両方の要件を満たすようにするためには、導電性繊
維ネットの粗さを50〜170メッシュ、好ましくは5
0〜135メッシュにする必要がある。なお、好ましい
メッシュの範囲は導電性繊維ネットの各繊維の径や携帯
電話の出力などの条件によって変化するためこの数値範
囲はあくまでも一例である。
【0084】以上説明した本実施の形態の携帯電話用ケ
ースによると、開口部124の領域が1枚の導電性繊維
ネット131で被覆されているため、通話時に人体の方
向を向く開口部124からの電磁波の漏洩を少なくする
ことができる。また、第1の実施の形態のように開口部
に別の導電性部材を設けなくてよいので、製造工程を簡
略化できコストを削減することができる。
【0085】また、本実施の形態のように導電性繊維ネ
ットを用いることで、ケース本体の絶縁性部材として触
感に優れた皮革やビニール(合成樹脂)などの材料を用
いた場合、一般に導電性繊維ネットは皮革などよりも強
度が弱く弾性を有しているので、外部からの力で絶縁性
部材を変形させた際、導電性繊維ネットもそれに合わせ
て変形するものの速やかに元の形状に弾性復帰する。こ
の点、第2の実施の形態で説明した金属製ネットよりも
優れている。また、導電性繊維ネットは絶縁性部材の内
面に取り付けた後の曲げ加工に対しても、導電性皮膜に
比べて大きな耐性を有しているため、曲げ部分で導電性
繊維ネットが破壊されることもなく、この曲げ部分で電
磁波が多く漏洩することがない。さらに、第1の実施の
形態で説明した導電性皮膜は皮革などの一部の絶縁性部
材には一般には塗付できないが、導電性繊維ネットはど
のような絶縁性部材にも取り付けることができるという
利点もある。
【0086】次に、本願発明の第4の実施の形態につい
て図17〜図22を参照して説明する。本実施の形態
は、携帯電話用ケースの内側に導電性部材として取り付
けた導電性繊維ネット同士を近接させて電磁波の漏洩率
を減少させた例である。
【0087】図17(a)は本実施の形態の携帯電話用
ケースの正面図、図17(b)は側面図である。また、
図18(a)は図17(a)のXVIII−XVIII
線での断面図、図18(b)は図18(a)の丸枠内の
拡大図である。また、図19(a)は図17(a)のX
IX−XIX線での断面図、図19(b)は図19
(a)の丸枠内の拡大図である。図20(a)は図17
(a)のXX−XX線での断面図、図20(b)は図2
0(a)の丸枠内の拡大図である。
【0088】図17(a)、(b)において、携帯電話
用ケース170は上半分が後方に膨らんだ略直方体をし
ており、ともに略矩形をした人工皮革製の3つの壁体1
71、172、173が組み合わされ接合されることに
よって、その概略形状が形作られている。壁体171の
正面側および壁体171と172との間には開口部17
4、175がそれぞれ設けられており、その上下には受
話孔176aおよび送話孔176bがそれぞれ形成され
ている。開口部174、175は後述するように透明フ
ィルムと導電性繊維ネットとの三層構造体で塞がれてい
る。また、壁体171の上面の隅部には携帯電話のアン
テナを通過突出させるアンテナ通過孔(図示せず)が形
成されている。
【0089】壁体171の背面には、使用者のベルトな
どにケース170を固定するための固定帯177がリベ
ットで取り付けられている。壁体173には、その幅方
向の中央から少しずれた位置にジッパ178が設けられ
ており、ジッパ178を開閉することにより携帯電話の
出し入れが可能になる。壁体171、172、173は
互いの端部において接合され、美観のためにエッジカバ
ー179で覆われて縫製されている。
【0090】図18(a)、(b)、図19(a)、
(b)、図20(a)、(b)に示すように、開口部1
74、175の領域をも含んだ壁体171、172の内
面には、接合端部近傍をも含んで、透明フィルム18
2、184で導電性繊維ネット183が挟み込まれた三
層構造体181が縫合または透明な接着剤などの手段に
より連続して取り付けられている。透明フィルム18
2、184と導電性繊維ネット183とは透明な接着剤
で固着されており、また、導電性繊維ネット183が網
目状であるため、上述のようにメッシュを適宜選択する
ことでケースの内部を目視可能なように構成されてい
る。三層構造体181は受話孔176aおよび送話孔1
76bの部分をも覆っている。壁体173についてはジ
ッパ178部分を除いて導電性繊維ネット186が全面
に取り付けられており、接合端部近傍を除きその上に保
護シート185が設けられている。なお、壁体171の
背面側には三層構造体や導電性繊維ネットは施されてお
らず保護シート187のみが接着取り付けされている。
【0091】三層構造体181の外側の透明フィルム1
82は外部から導電性繊維ネット183を保護する役割
を有している。三層構造体181の内側の透明フィルム
184と保護シート185、187とは、携帯電話の表
面の保護と導電性繊維ネット183の保護との両方の役
割を有している。
【0092】このように、本実施の形態の携帯電話用ケ
ース170は、壁体171が三層構造体体181で被覆
されているためにケースが構造的に丈夫であり、また、
三層構造体181自体も強度が強くなるため例えば縫合
により壁体171、172に取り付ける場合であっても
応力により透明フィルム182、184が変形してしま
うことがなく、従って透明フィルム182、184の
「波打ち現象」を防止できるので透明フィルム182、
184での光線の乱反射が減少し携帯電話の操作部など
を目視し易くなる。また、本実施の形態では、透明フィ
ルム182、184と導電性繊維ネット183とが透明
な接着剤で固着されているために、例えば三者を糸で縫
合したときのように三者それぞれ独立に「波打ち現象」
が起こることがない。従って、三層を重畳していても乱
反射を単層の場合と同程度に抑制することができる。ま
た、本実施の形態の携帯電話用ケース170は、あらか
じめ形成された三層構造体181を取り付けるので、第
3の実施の形態のように保護シートを多く貼付する必要
もなく製造が容易である。なお、第3の実施の形態と同
様、導電性繊維ネットは製造工程を簡略化するためにケ
ース170の底面には形成されている一方で、ケース1
70の背面には形成されていない。
【0093】図18(a)などに示されているように、
導電性繊維ネット183と186とは、透明フィルム1
84を介して互いに近接している。例えば図20に示さ
れているように、開口部175の近傍においては、三層
構造体181と壁体173および導電性繊維ネット18
6との結合体とが接合されて、導電性繊維ネット18
3、186が近接している。本実施の形態では、この近
接部分の導電性繊維ネット183、186の間隙(すな
わち、透明フィルム184の膜厚)を0.3mm以下と
し、導電性繊維ネット183、186の重複寸法(両者
が重なり合う部分の幅)を2mm以上とすることが好ま
しい。このように、導電性繊維ネット183、186を
適宜近接させることで、導電性繊維ネット131、13
4同士を接触させた場合よりも若干効果は低下するもの
の、キャパシティブ・シール効果によりこの部分からの
電磁波の漏洩を少なく抑えることができる。以下、本実
施の形態における導電性繊維ネット183、186を近
接させる適当な数値範囲について、図21、図22を参
照して説明する。
【0094】図21は、導電性繊維ネット183、18
6の重複寸法(w:単位mm)を横軸に、電磁波漏洩率
を縦軸にとり、透明フィルム184の膜厚(t)ごとに
描いたグラフである。なお、漏洩率は導電性繊維ネット
183、186の近接面の延長上でカバー179に測定
器のアンテナを垂直に接触させるようにして測定した
(携帯電話の出力600mW、周波数800MHz)。
【0095】図21から明らかなように、30%以下の
電磁波漏洩率を確保するためには、導電性繊維ネットの
重複寸法に関係なく透明フィルムの膜厚を0.3mm以
下に設定しなければならないことがわかる。
【0096】図22は、透明フィルム184の膜厚
(t)を横軸に、電磁波漏洩率(図210と同様の測定
条件)を縦軸にとり、導電性繊維ネット183、186
の重複寸法(w:単位mm)ごとに描いたグラフであ
る。図22から明らかなように、30%以下の電磁波漏
洩率を確保するためには、透明フィルムの膜厚を0.3
mm以下に設定しなければならないことを勘案すると、
導電性繊維ネットの重複寸法を好ましくは2mm以上に
設定しなければならないことがわかる。なお、好ましい
透明フィルムの膜厚の範囲は導電性繊維ネットの各繊維
の径や携帯電話の出力などの条件によって変化するため
この数値範囲はあくまでも一例である。
【0097】以上説明した本実施の形態の携帯電話用ケ
ースによると、三層構造体181を壁体171、172
に施しているために、構造的に非常に強固なケースを得
ることができる。また、導電性繊維ネット183、18
6同士を適宜近接させることで壁体171などの接合部
分から漏洩する電磁波を効果的に減少させることができ
る。なお、例えば導電性繊維ネット183の開孔率を導
電性繊維ネット186の開孔率より小さくすることで、
第1の実施の形態で説明したように、通話中に人体の方
向を向く開口部174の方向から漏洩する電磁波をより
少なくすることができる。
【0098】次に、本願発明の第5の実施の形態につい
て図23〜図25を参照して説明する。本実施の形態
は、携帯電話用ケースの内側に導電性部材として取り付
けた導電性繊維ネット同士を開口部近傍において近接さ
せて電磁波の漏洩率を減少させた例である。
【0099】図23(a)は本実施の形態の携帯電話用
ケースの正面図、図23(b)は側面図である。また、
図24(a)は図23(a)のXXIV−XXIV線で
の断面図、図24(b)は図24(a)の丸枠内の拡大
図である。また、図25は図23(a)のXXV−XX
V線での断面図である。
【0100】図23(a)、(b)において、携帯電話
用ケース230は略直方体をしており、ともに略矩形を
した人工皮革製の3つの壁体231、232、233が
組み合わされ接合されることによって、その概略形状が
形作られている。壁体231と232との間には開口部
234が設けられており、その上下には受話孔236a
および送話孔236bがそれぞれ形成されている。開口
部234は後述するように透明フィルムと導電性繊維ネ
ットとの三層構造体で塞がれている。また、壁体231
の上面の隅部には携帯電話のアンテナを通過突出させる
アンテナ通過孔(図示せず)が形成されている。
【0101】壁体231の背面には、使用者のベルトな
どにケース230を固定するための固定帯237がリベ
ットで取り付けられている。壁体233には、その幅方
向の中央から少しずれた位置にジッパ238が設けられ
ており、ジッパ238を開閉することにより携帯電話の
出し入れが可能になる。壁体231、232、233は
互いの端部において接合され、美観のためにエッジカバ
ー239で覆われて縫製されている。
【0102】図24(a)、(b)、図25に示すよう
に、開口部234およびその近傍の領域には、透明フィ
ルム242、244で導電性繊維ネット243が挟み込
まれた三層構造体241が縫合または透明な接着剤など
の手段により取り付けられている。透明フィルム24
2、244と導電性繊維ネット243とは透明な接着剤
で固着されており、また、導電性繊維ネット243が網
目状であるため、上述のようにメッシュを適宜選択する
ことでケースの内部を目視可能なように構成されてい
る。
【0103】壁体231のケース230の背面に当たる
部分を除く領域(受話孔236aの部分を含む)と、壁
体232の全域(送話孔236bの部分を含む)とに
は、導電性繊維ネット249、250がそれぞれ接着さ
れており、接合端部近傍を除きその上から保護シート2
45、248がそれぞれ貼り付けられている。壁体23
3についてはジッパ238部分を除いて導電性繊維ネッ
ト246が全面に取り付けられており、接合端部近傍を
除きその上に保護シート247が設けられている。な
お、壁体231の背面側には三層構造体や導電性繊維ネ
ットは施されておらず保護シート245のみが接着取り
付けされている。
【0104】図24(a)などに示されているように、
導電性繊維ネット243と249、導電性繊維ネット2
43と250とは、ともに透明フィルム242を介して
互いに近接している。本実施の形態でも、第4の実施の
形態と同様に、これらの近接部分の導電性繊維ネット2
43と導電性繊維ネット249、250との間隙(すな
わち、透明フィルム244の膜厚)を0.3mm以下と
し、導電性繊維ネット243と導電性繊維ネット24
9、250との重複寸法(両者が重なり合う部分の幅)
を2mm以上とすることが好ましい。このように、導電
性繊維ネット243と導電性繊維ネット249、250
とを適宜近接させることで、導電性繊維ネット243、
249、250同士を接触させた場合よりも若干効果は
低下するものの、キャパシティブ・シール効果によりこ
の部分からの電磁波の漏洩を少なく抑えることができ
る。また、図25に示されているように、導電性繊維ネ
ット243と246も電磁波漏洩率が低く抑えられるよ
うに、透明フィルム244を介して互いに近接してい
る。
【0105】また、導電性繊維ネット250と246と
は、2つの壁体232、233の接合部分において互い
に接触している。このように、導電性繊維ネット25
0、246同士がメタルコンタクトしているので、この
接合部分からの電磁波の漏洩を少なく抑えることができ
る。
【0106】本実施の形態では、壁体を231、23
2、233の3部品から構成し、導電性繊維ネットを2
43、246、249、250の4部品から構成してい
るために、第3、第4の実施の形態よりも加工費は上昇
するが、壁体231、232間に開口部234を形成す
るので、第3、第4の実施の形態のように壁体に穴を開
けて開口部を形成するよりも壁体の材料ロスが少なく、
また、開口部234の領域だけに三層構造体241を取
り付けているので透明フィルムの材料ロスも少ない。従
って、第3、第4の実施の形態よりもコストダウンを図
ることが可能である。
【0107】また、本実施の形態の携帯電話用ケース2
30も、開口部234が三層構造体体241で塞がれて
いるためにこの部分が構造的に丈夫であり、また、三層
構造体241自体も丈夫であるため例えば縫合により三
層構造体241を取り付ける場合であっても応力により
透明フィルム242、244が変形してしまうことがな
く、従って透明フィルム242、244の「波打ち現
象」を防止できるので透明フィルム242、244での
光線の乱反射が減少し携帯電話の操作部などを目視し易
くなる。
【0108】以上本願発明の実施の形態を説明したが、
本願発明はこれら実施の形態に限られることなく、様々
な設計変更が可能である。例えば、第1、第2の実施の
形態において携帯電話用ケース1は3つの壁体2、3、
4を有しているが、2または4つ以上の壁体を有してい
てもよく、また、2以上の開口部8を設けてもよい。ま
た、携帯電話用ケース1の透明フィルム5と受話孔6
a、送話孔6bとは同一の面内にある必要はなく、これ
らが互いに逆の面に設けられていてもよい。
【0109】また、壁体を用いず、例えば三層構造体の
一方の透明フィルムを絶縁性部材とみたてて、三層構造
体どうしを接合して製造された携帯電話用ケースも本願
発明の範囲内である。さらに、第5の実施の形態の変形
例として、導電性繊維ネット243と249、243と
250とをそれぞれ接触させるとともに、導電性繊維ネ
ット250と246とを適宜近接させることでも同様の
効果が得られる。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、本願発明による
と、主として絶縁性部材で形成されているとともに、電
磁波の漏洩がより少なく人体への影響の少ない携帯無線
通話機用ケースを得ることが可能となる。
【0111】また、電磁波の漏洩が少なく、かつ、携帯
無線通話機を取り出すことなく操作が可能な携帯無線通
話機用ケースを得ることが可能となる。
【0112】例えば、外部発信を携帯電話が受信した場
合、携帯電話の受信ランプが点灯しベルがなる。本願発
明の携帯無線通話機用ケースは、携帯電話の表示部や操
作部がケース外部から目視可能であり、さらに目視可能
部分の乱反射を最小限に抑えることができるので、ケー
スの外部から受信ランプの点灯や液晶表示部の確認、受
信ボタンの操作などを行うことが可能となった。また、
電磁波を遮蔽する効果を有しているので、人体への悪影
響を軽減することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の実施の形態の携帯電話用ケー
スの斜視図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態の携帯電話用ケー
スの分解斜視図である。
【図3】本願発明の第1の実施の形態の携帯電話用ケー
スに携帯電話を収納する様子を示す図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態の携帯電話用ケー
スにおいて、導電性皮膜同士の接触の様子を示す拡大断
面図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態の携帯電話用ケー
スにおいて、導電性皮膜の塗付の様子を示す平面図であ
る。
【図6】本願発明の第1の実施の形態の携帯電話用ケー
スにおいて、導電性皮膜に保護膜を形成した様子を示す
断面図および平面図である。
【図7】本願発明の第1の実施の形態の携帯電話用ケー
スにおいて、アンテナ通過孔近傍の様子を示す断面図で
ある。
【図8】本願発明の第2の実施の形態の携帯電話用ケー
スにおいて、右壁体に鉄製ネットを取り付けた様子を示
す斜視図である。
【図9】本願発明の第2の実施の形態の携帯電話用ケー
スにおいて、鉄製ネット同士の接触の様子を示す拡大断
面図である。
【図10】本願発明の第2の実施の形態の携帯電話用ケ
ースにおいて、透明フィルムにパンチング板を取り付け
たときの鉄製ネットとの接触の様子を示す拡大断面図で
ある。
【図11】本願発明の参考例の携帯電話用ケースの分解
斜視図である。
【図12】本願発明の第3の実施の形態の携帯電話用ケ
ースの正面図および側面図である。
【図13】本願発明の第3の実施の形態の携帯電話用ケ
ースの断面図である。
【図14】本願発明の第3の実施の形態の携帯電話用ケ
ースの断面図である。
【図15】本願発明の第3の実施の形態で用いる導電性
繊維ネットの詳細を示す図である。
【図16】本願発明の第3の実施の形態で用いる導電性
繊維ネットの粗さと電磁波減衰率との関係を示すグラフ
である。
【図17】本願発明の第4の実施の形態の携帯電話用ケ
ースの正面図および側面図である。
【図18】本願発明の第4の実施の形態の携帯電話用ケ
ースの断面図である。
【図19】本願発明の第4の実施の形態の携帯電話用ケ
ースの断面図である。
【図20】本願発明の第4の実施の形態の携帯電話用ケ
ースの断面図である。
【図21】本願発明の第4の実施の形態で用いる導電性
繊維ネットの重複寸法と電磁波漏洩率との関係を示すグ
ラフである。
【図22】本願発明の第4の実施の形態で用いる導電性
繊維ネット間の間隙と電磁波漏洩率との関係を示すグラ
フである。
【図23】本願発明の第5の実施の形態の携帯電話用ケ
ースの正面図および側面図である。
【図24】本願発明の第5の実施の形態の携帯電話用ケ
ースの断面図である。
【図25】本願発明の第5の実施の形態の携帯電話用ケ
ースの断面図である。
【図26】従来の携帯電話用ケースの斜視図である。
【符号の説明】
1 携帯電話用ケース 2 壁体本体 3 右壁体 4 左壁体 5 透明フィルム 7 アンテナ通過孔 8 開口部 41、42 導電性皮膜 81、82、83 鉄製ネット

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の絶縁性部材が互いに接合された部
    分を有する携帯無線通話機用ケースであって、 上記接合は、上記絶縁性部材の内面にそれぞれ独立に施
    された第1の導電性部材同士が互いに接触するようにな
    されていることを特徴とする携帯無線通話機用ケース。
  2. 【請求項2】 複数の絶縁性部材が互いに接合された部
    分を有する携帯無線通話機用ケースであって、 上記接合は、この接合部分における電磁波の漏洩率を減
    少させることができるように、上記絶縁性部材の内面に
    それぞれ独立に施された第1の導電性部材同士が互いに
    近接するようになされていることを特徴とする携帯無線
    通話機用ケース。
  3. 【請求項3】 電磁波の漏洩率が互いに異なる複数の領
    域が設けられていることを特徴とする請求項1または2
    に記載の携帯無線通話機用ケース。
  4. 【請求項4】 上記絶縁性部材に、上記第1の導電性部
    材の施されていない領域が設けられていることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯無線通話
    機用ケース。
  5. 【請求項5】 上記携帯無線通話機用ケースに設けられ
    た開口部を塞ぐように透明シートが形成されており、上
    記第1の導電性部材が、上記開口部において上記携帯無
    線通話機用ケースの内部が目視可能となるように、上記
    絶縁性部材の内面から上記透明シートの内面に連続して
    施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1項に記載の携帯無線通話機用ケース。
  6. 【請求項6】 上記携帯無線通話機用ケースに設けられ
    た開口部を塞ぐように透明シートが形成されており、上
    記第1の導電性部材と、上記携帯無線通話機用ケースの
    内部が目視可能なように上記透明シートの内面に施され
    た第2の導電性部材とが互いに接触していることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯無線通
    話機用ケース。
  7. 【請求項7】 上記携帯無線通話機用ケースに設けられ
    た開口部を塞ぐように透明シートが形成されており、上
    記第1の導電性部材と、上記携帯無線通話機用ケースの
    内部が目視可能なように上記透明シートの内面に施され
    た第2の導電性部材とが、これらの部材間における電磁
    波の漏洩率を減少させることができるように互いに近接
    していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項
    に記載の携帯無線通話機用ケース。
  8. 【請求項8】 上記第1の導電性部材は上記絶縁性部材
    の内面に塗付された導電性皮膜であり、上記第2の導電
    性部材は上記透明シートに塗付された導電性皮膜である
    ことを特徴とする請求項6または7に記載の携帯無線通
    話機用ケース。
  9. 【請求項9】 上記第1の導電性部材は上記絶縁性部材
    の内面に取り付けられた金属製部材であり、上記第2の
    導電性部材は上記透明シートに取り付けられた金属製部
    材であることを特徴とする請求項6または7に記載の携
    帯無線通話機用ケース。
  10. 【請求項10】 上記第1の導電性部材は導電性繊維ネ
    ットであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の携帯無線通話機用ケース。
  11. 【請求項11】 上記第1の導電性部材は導電性繊維ネ
    ットであって、この導電性繊維ネットが2枚の透明シー
    トに挟み込まれていることを特徴とする請求項5〜7の
    いずれか1項に記載の携帯無線通話機用ケース。
  12. 【請求項12】 上記第2の導電性部材は導電性繊維ネ
    ットであることを特徴とする請求項6または7に記載の
    携帯無線通話機用ケース。
  13. 【請求項13】 上記導電性繊維ネットの表面に暗色系
    の皮膜が形成されていることを特徴とする請求項10〜
    12のいずれか1項に記載の携帯無線通話機用ケース。
  14. 【請求項14】 複数の上記絶縁性部材のうちの少なく
    とも1つにアンテナ通過孔が設けられており、上記アン
    テナ通過孔の内周面を覆うように形成された金具が導電
    性部材と接触していることを特徴とする請求項1〜13
    のいずれか1項に記載の携帯無線通話機用ケース。
  15. 【請求項15】 絶縁性部材からなり開口部を有するケ
    ース本体と、導電性繊維ネットが2枚の透明シートで挟
    み込まれた三層構造体とを具備しており、上記ケース本
    体の内面の少なくとも上記開口部の領域に上記三層構造
    体が施されていることを特徴とする携帯無線通話機用ケ
    ース。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005340383A (ja) * 2004-05-25 2005-12-08 Kyocera Mita Corp 画像形成装置

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