JP6443960B2 - 携帯電話カバー - Google Patents

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Description

本発明は、通話中の使用者に対する電磁波遮蔽機能を備えた携帯電話用のカバーに関するものである。
現在、携帯電話は多くの人々にとってなくてはならないツールの1つとなっており、普及の年齢幅も低年齢層まで拡がっている。一方、携帯電話から発生する電磁波の人体への悪影響も懸念されている。特に至近距離で強い電磁波に暴露される通話状態を長時間持続する場合、例えば頭部の電磁波吸収による加熱作用によるその脳や眼球への影響が挙げられる。携帯電話に起因する電磁波による健康リスクの更なる評価、研究が必要であるとされているのが現状である。
また、携帯電話のアクセサリーとして、携帯電話本体の汚れ、傷等の防止、衝撃緩和のためにカバーやケースが用いられているが、上記のような電磁波による健康リスクを懸念して、従来からこれらカバーやケースに電磁波を遮蔽する機能を付与した様々なものが考え出されている。
例えば、電磁波遮断ネットからなり携帯電話の一部分に被せる(例えば、特許文献1参照)あるいは携帯電話を収納する袋状のものや、電磁波遮蔽金属層を挟装したケース内に携帯電話を収容するもの(例えば、特許文献2参照)は数多くある。また、現在の普及型と言える所謂スマートフォンと呼ばれるタッチパネル式の多機能型携帯電話に対応したものとして、その背面部に装着される電磁波遮断効果を有する硬質部材からなるカバーも考えられている(特許文献3参照)。
実用新案登録第3156616号公報 特開2003−318584号公報 実用新案登録第3170216号公報
従来の携帯電話を収納する或いは部分に被せるカバーやケースは、いずれも携帯電話の使用時には取り外すものであるため、装着状態の不使用時から使用時への移行が煩雑であり、また通話使用しながらも人体側、特に頭部側に対する電磁波の遮蔽を良好に行えるものではなかった。また、携帯電話全体を収容する形態以外において、効果的な電磁波遮蔽素材の適用領域を実際に検証したものは全くなかった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、従来よりも格段に人体へ暴露する電磁波を低減させながらも通話使用に支障のない携帯電話カバーを提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る携帯電話カバーは、タッチパネル式多機能型携帯電話の表面を覆う前面部と前記携帯電話の一側面を覆う背表紙部と前記携帯電話の背面を覆う後面部とが一体的に連続した本体と、前記後面部の内側面上に前記携帯電話を保持する保持部とを備え、前記前面部が前記背表紙部を介して前記後面部に対して開閉方向に回動可能である略ブックカバー型の携帯電話カバーであって、
前記前面部のみに、携帯電話内蔵アンテナ中心が投影される点を中心とした40mm×40mm〜50mm×50mmの正方形領域にわたって、電磁波遮蔽部材層が配設されており、
前記電磁波遮蔽部材層は、導電性金属層を付与した繊維を製織してなるメッシュ織物の表面に黒色導電性金属皮膜が形成された導電性メッシュ織物からなり、繊維径30μmで織密度が1インチ当たり132網目数の可撓性を有する導電性繊維メッシュであることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明に係る携帯電話カバーは、請求項1に記載の携帯電話カバーにおいて、周波数800MHzまたは1.9GHzの電磁波遮蔽用であることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明に係る携帯電話カバーは、請求項1または2に記載の携帯電話カバーにおいて、前記本体は、表基材と裏基材とが重ね合わされて構成され、これら表裏基材の間に、前記電磁波遮蔽部材層が狭装されていることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明に係る携帯電話カバーは、タッチパネル式多機能型携帯電話の表面を覆う前面部と前記携帯電話の一側面を覆う背表紙部と前記携帯電話の背面を覆う後面部とが一体的に連続した本体と、前記後面部の内側面上に前記携帯電話を保持する保持部とを備え、前記前面部が前記背表紙部を介して前記後面部に対して開閉方向に回動可能である略ブックカバー型の携帯電話カバーであって、
前記前面部のみに、携帯電話内蔵アンテナ中心が投影される点を中心として短手方向幅20mm〜30mmで且つ長手方向全幅の長方形領域にわたって、電磁波遮蔽部材層が配設されており、
前記電磁波遮蔽部材層は、導電性金属層を付与した繊維を製織してなるメッシュ織物の表面に黒色導電性金属皮膜が形成された導電性メッシュ織物からなり、繊維径30μmで織密度が1インチ当たり132網目数の可撓性を有する導電性繊維メッシュであることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明に係る携帯電話カバーは、請求項4に記載の携帯電話カバーにおいて、周波数800MHzまたは1.9GHzの電磁波遮蔽用であることを特徴とするものである。
本発明の携帯電話カバーによれば、電磁波遮蔽部材層が、保持部に収納された携帯電話の特定有効領域を覆うように該カバー本体の予め定められた領域にわたって配設されたものであるため、従来技術に比べて通話使用時に人体頭部側へ暴露する電磁波を大幅に削減しながらも、通信信号の送受信を維持して支障なく通話使用ができるという効果がある。
本発明の一実施例による携帯電話カバーの閉状態における概略構成図であり、(a)は全体斜視図、(b)は底面図、(c)は(a)のA−A断面矢視図である。 図1の携帯電話カバーの開状態を示す概略斜視図であり、(a)は携帯電話未収納状態、(b)は携帯電話収納状態をそれぞれ示す。 実施例における電磁波遮蔽実験を行った際の携帯電話短手方向に沿った送受信アンテナの配置および電磁波遮蔽部材層の配設位置を説明するための模式図であり、(a)はカバー低面図相当の模式図、(b)は前面部透過状態で示すカバー平面図相当の模式図である。 実施例における電磁波遮蔽実験を行った各電磁波遮蔽部材層の配設領域を示す模式図であり、(a)〜(h)はそれぞれ前記配設領域を小さくしていった状態であり、(i)は全領域配設でFR間が破断している場合、(k)は全領域配設でRB間が破断している場合についてそれぞれ示す。 実施例における電磁波遮蔽実験を携帯電話長手方向に沿った送受信アンテナの配置で行った際の状態を示す模式図であり、(a)はカバー底面図相当の模式図、(b)は前面部透過状態で示すカバー平面図相当の模式図である。
本発明は、携帯電話の表面を覆う前面部と前記携帯電話の一側面を覆う背表紙部と前記携帯電話の背面を覆う後面部とが一体的に連続した本体と、後面部の内側面上に前記携帯電話を保持する保持部とを備え、前面部が背表紙部を介して回動可能で後面部に対して開閉される略ブックカバー型の携帯電話カバーにおいて、少なくとも前記前面部の予め定められた特定領域にわたって、電磁波遮蔽部材層が配設されているものである。
本発明は、実施例で後述するように、本発明者による種々の検討、実験によって、通話時に携帯電話から発生し人体頭部側に暴露する電磁波を、従来のものより大幅に確実に低減させることができる有効領域として携帯電話に対する電磁波遮蔽部材層で覆うべき特定領域を見出した結果至ったものである。
即ち、本発明においては、まず、前記特定領域として、少なくとも、携帯電話内蔵アンテナ相当の送信アンテナ中心が投影される点を中心とした40mm×40mmの正方形領域の携帯電話表面相当を電磁波遮蔽部材層で覆うことによって、人体の耳相当位置で受信される電磁波が約75%以上も遮蔽されていることを確認し、本発明の携帯電話カバー本体の携帯電話表面を覆う前面部の内、前記特定領域に対応する携帯電話内蔵アンテナ中心の投影点を中心とした少なくとも40mm×40mmの正方形領域にわたって電磁波遮蔽部材層を配設したものである。よって、少なくとも前面部の該領域に電磁波遮蔽部材層が配設された本発明の携帯電話カバー内に携帯電話を収納状態で使用することによって、通話中に携帯電話から発生し人体頭部側に暴露する電磁波を約75%以上削減することができる。
あるいは、前記特定領域として、携帯電話表面相当の携帯電話内蔵アンテナ相当の送信アンテナ中心が投影される点を中心とした少なくとも長手方向全幅でかつ短手方向に20mm幅の長方形領域を電磁波遮蔽部材層で覆うことによって、人体の耳相当位置で受信される電磁波は70%以上も遮蔽されていることを確認し、本発明の携帯電話カバー本体の携帯電話表面を覆う前面部の内、前記特定領域に対応する携帯電話内蔵アンテナ中心の投影点を中心とした少なくとも長手方向全幅でかつ短手方向に20mm幅の長方形領域にわたって電磁波遮蔽部材層を配設したものである。よって、少なくとも前面部の該領域に電磁波遮蔽部材層が配設された本発明の携帯電話カバーに携帯電話を収納状態で使用することによって、通話時には携帯電話から発生し人体頭部側に暴露する電磁波を70%以上削減することができる。
さらに、携帯電話カバー本体における電磁波遮蔽部材層の配設領域を前記40mm×40mm正方形領域より拡くすることによって更なる高い電磁波遮蔽効果が得られることも確認されており、後述の実施例で示すように、携帯電話カバー本体の前面部の全面領域にわたって電磁波遮蔽部材層を配設することによって、90%もの電磁波を遮蔽できることが確認された。従って、携帯電話は各メーカーから種々の製品が提供されており、内蔵アンテナが1つとは限らず、その設置位置も必ずしも携帯電話の中心であるとも限らないことから、携帯電話カバーの前面部の全面領域にわたって電磁波遮蔽部材層を配設する構成とすることによって、電磁波遮蔽部材層の部分的配設よりも簡便な製造工程で各製品に対して広く優れた電磁波遮蔽効果を得ることができる。
また、携帯電話の全表面から一側面と全背面にまでおよぶ領域相当を電磁波遮蔽部材層で覆うことによって、約99%もの電磁波遮蔽率が得られることも確認されており、前面部と背表紙部および後面部を含む携帯電話カバー本体の実質的な全面領域、即ち、止め具や小開口等を設けるための部分を除くほぼ全面領域にわたって電磁波遮蔽部材層を連続的に配設する構成とした携帯電話カバーによれば、携帯電話の通話使用において、上記の如く非常に高い電磁波遮蔽効果を得ることができる。
そして、この広範囲での電磁波遮蔽部材層の配置においても、携帯電話の他方の側面領域および携帯電話長手方向の上下側面は遮蔽されないため、本発明の携帯電話カバーの保持部に収納された状態の携帯電話は、その操作表面が覆われたままでも通信信号の送受信が維持され、頭部側への電磁波暴露が殆ど抑えられながらも支障なく通話使用が行える。
なお、電磁波遮蔽部材層の配設構造としては、携帯電話カバーの本体を構成基材に重ねて設ける構成が最も簡便であり、該電磁波遮蔽部材層を本体製造工程で本体に対して一体的に装着すればよい。あるいは携帯電話カバーの本体とは別個にシート形態として製造し、着脱可能とすることも可能である。
電磁波遮蔽部材層としては、従来から電磁波遮蔽部材として用いられている各種導電性部材の厚みの小さいシート状のものが採用できる。例えば、金属薄板、金属箔層、金属線メッシュ、導電性繊維メッシュや導電性部材をポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムにメッシュパターンで印刷したもの等が挙げられる。
これらの電磁波遮蔽部材層は、摩耗、損傷等を受けやすい外部露呈状態を避けた配設が望ましい。例えば、携帯電話カバーの本体が表基材と裏基材とが重ねられて構成されるのであれば、その表裏基材の間に電磁波遮蔽部材層が狭装される構成とすればよい。この場合、見栄えも基材が主体となるため、製品のデザイン性に電磁波遮蔽部材が影響することがない。
さらには、電磁波遮蔽部材層が前面部全領域、あるいは本体のほぼ全面領域にわたって配設される場合、本体がほぼ同一外形の表基材と裏基材とを重ねて貼り合わせて構成するものであれば、表裏基材間に挟まれる電磁波遮蔽部材層も基材の前面部あるいは本体全体とほぼ同一外形となるため、全構成部材を各素材から同一型紙で打ち抜いたり、一度に重ねて貼り合わせることも可能であり、製造工程が簡便になる。
なお、電磁波遮蔽部材層が実質的に本体の全面領域にわたって配設される場合、携帯電話カバーの特に本体の製造時の加工容易性や前面部開閉の際の回動操作、折り曲げに対応できるように柔軟性を有するものが望まれる。この点で、導電性繊維メッシュやPETフィルムへの印刷物等、可撓性を有する導電性メッシュ構造が好適である。このような可撓性を有する導電性メッシュ構造であれば、前面部の開閉回動に伴う折り曲げが繰り返されても背表紙部との間に破断が生じ難く、非常に高い電磁波遮蔽率を得るための電磁波遮蔽部材層のカバー本体全面領域配設という構成において前面部と背表紙部との間の破断が生じることによる僅かな遮蔽率の低下も回避できる。
特に導電性繊維メッシュは、加工性、折り曲げにより良く対応できるが、具体的には、合成繊維又は天然繊維の外周に金属酸化膜を表面に有する導電性金属層を付与したものを製織した導電性メッシュ織物や、或いは、導電性金属層を付与した繊維を製織してなるメッシュ織物の表面に黒色導電性金属皮膜を形成した導電性メッシュ織物がある。導電性メッシュ構造においては、良好な電磁波遮断性能のためにある程度以上の高密度と均一性が望まれることは言うまでもない。
現状において、導電性繊維メッシュとして16〜50μmの線径で1インチ当たり最大325本の織密度のものまで実現されている。本発明における携帯電話カバーにおいては、このような高密度のものを利用することも可能であるが、1インチ当たりの網目数が132(132mesh/inch)以下という比較的低い密度範囲のメッシュでも、優れた電磁波遮蔽効果が得られる。
なお、本発明における携帯電話カバーは、電磁波遮蔽部材層の配置やその性能に支障を生じない限りにおいて、通常のカバーとして好ましいその他の機能を付与する形態を備えても良いことは言うまでもない。
例えば、携帯電話を保持する保持部としては、前面部が開けられた際に携帯電話の表面が露呈するように後面部の内側面上に携帯電話を保持できるものであれば様々なものが利用可能であるが、カバー製造工程が複雑になることのない簡便な構成が望まれる。
具体的には、携帯電話の外周側面が嵌合してその内部に収納部が形成される枠部を後面部の内側面上に設けたものが挙げられる。この枠部は、良好な保持状態が維持できるのであれば全周にわたって連続したものとする必要はなく、携帯電話の側面に設けられたマイクやスピーカー、ジャック、コネクター、操作ボタン等の各種機能部分を露出するための開口部や不連続領域を設けることができる。このような枠部内への収納によって、本発明の携帯電話カバーは、装着状態のままでの携帯電話の通常使用に適用できる。
また、携帯電話カバー本体の前面部においても、携帯電話の表面に設けられたカメラレンズや音響出力部を露出する開口部を形成できる。これらの開口部は比較的小さいもので済むため、電磁波遮蔽性能への影響は殆ど無視できる。
さらに、前面部の内側面を部分的に覆う素材を重ねることで各種カード等を差し込めるポケットを形成することも可能である。その他、前面部や後面部に硬さ、強度を付与するための芯材や補強層を重ねること、また装飾性を付与するための外装被膜を重ねることも可能である。
また、前面部と背表紙部および後面部にわたる横断面略コの字状の本体全面領域に電磁波遮蔽部材層を配設した本発明の携帯電話カバーであれば、上記のような前面部内側に設けられたポケットに、広く一般に普及している乗車カードや電子マネー用の非接触磁気ICカードを収納しておけば、近年問題となっているスキミングの危険を回避することも可能である。非接触ICカードは、リーダーからの電磁波を受けて起動し、反射電磁波に情報を載せて返すものであるため、スキミングのための外部からの電磁波をある程度遮蔽することによって、短時間でカード情報を盗まれコピーされる恐れはなくなるが、後述の実施例で示すように、本発明の携帯電話カバーであれば、非接触ICカードシステム用周波数の電磁波を高い遮蔽率で遮蔽することができ、ほぼ完全にスキミングを防止することもできる。
本発明の一実施例として、所謂スマートフォンと呼ばれるタッチパネル式多機能携帯電話用の電磁波遮蔽機能付きカバーを図1及び図2に示す。図1は、本携帯電話カバーの閉状態における概略構成図であり、(a)は全体斜視図、(b)は底面図、(c)は(a)のA−A断面矢視図である。また図2は、本携帯電話カバーの開状態を示す概略斜視図であり、(a)は携帯電話が収納されていない状態、(b)は携帯電話収納状態をそれぞれ示すものである。
本携帯電話カバー1は、略ブックカバー型であり、携帯電話40のディスプレイ操作面41を有する表面を覆う前面部3と携帯電話40の一側面を覆う背表紙部4と携帯電話40の背面を覆う後面部5とが一体的に連続してなる本体2を備え、後面部5の内側面上に、携帯電話40の保持部として携帯電話外周側面が嵌合する枠部6が設けられたものである。この枠部6内を収納部7として携帯電話40が嵌め込まれて収納保持される。
前面部3は、背表紙部4を介して回動可能で後面部5の収納部7に対して開閉可能であり、携帯電話40の収納状態のまま前面部3を開けば携帯電話表面が露出され、ディスプレイ操作面41が操作可能となる。尚、他の構成として、この前面部3と背表紙部4との境界部に凹溝型を付けて折り線を形成して前面部3の開閉を容易にしても良い。また、背表紙部4に柔軟性を持たせておけば、前面部3の開閉、さらには背面側への折り曲げをも容易にすることができる。
本体2は、携帯電話カバー製品の展開形態に相当する一体的部材を所定の2箇所で折り曲げることによって、前面部3と背表紙部4と後面部5とを横断面略コの字状或いはU字状に一体的に連続した状態で形成することができる。
この本体2となる部材の基本構成は、例えば、天然或いは合成皮革、また種々の布帛やラバー等の様々な素材から適宜選択されたものからなる表基材20と裏基材21とが重ねて貼り合わされるものであるが、本実施例においては、この2部材(20,21)の間に、導電性遮蔽部材層30として導電性繊維メッシュが前面部3から背表紙部4及び後面部5までにわたる本体ほぼ全面領域に挟装されている。
従って、携帯電話カバー1内に収納状態にある携帯電話40は、その表面と片側一側面および背面が電磁波遮蔽部材層30としての導電性繊維メッシュに覆われる。これによって、通話中に携帯電話40から人体頭部側へ暴露される電磁波が大幅に低減される。しかも携帯電話の他方側面や長手方向上下側面が電磁波遮蔽部材層で覆われていないため、通信信号の送受信に何ら支障なく、本携帯電話カバー1で頭部側への電磁波暴露を防止しながら通常の通話使用が続けられる。
なお、場合によっては、前面部3や後面部5に硬さを付与する芯材を更に表裏基材の間に介在させたり、内側に補強板を重ねることもでき、また前面部3の裏面を部分的に覆う重ね部材22によってカードCや紙幣Mを入れられるポケット13を形成することもできる。望ましくは前面部3を後面部5に解除可能に止める係止片8を設ける。また、前面部3や後面部5には、カメラやスピーカー等の対応位置に開口部9,10が形成されており、枠部6には、携帯電話の周側面に設けられたスピーカー、ジャック、コネクター、操作ボタン等の各種機能部分を露出する不連続領域11,12が設けられている。
ここで、この携帯電話に対する電磁波遮蔽部材層30による有効遮蔽領域として携帯電話の表面上のある最小領域を特定した根拠となった第1の電磁波遮蔽実験の結果を以下に示す。
本実験では、図3(a)の模式図に示すように、電磁波発生原である携帯電話内蔵アンテナに見立てた発信アンテナXに対して人体側の耳位置に見立てた受信アンテナYを16mmの間隔で配置し、これら送受信アンテナ(X,Y)に対して、携帯電話表面に当接する携帯電話カバー1の前面部3に相当する配置領域F、携帯電話側面を覆う背表紙部4に相当する配置領域R、携帯電話背面を覆う後面部5に相当する配置領域Bの設定で、各配置および異なる組み合わせ配置において電磁波遮蔽部材層30としての導電性繊維メッシュ(132mesh/inch)を設置し、各設定条件において送受信電磁波の変化量を測定して電磁波遮蔽性能とした。単位はdBで表し、標記の値は減衰分を示す。増加した場合はマイナス(−)表記とした。また、AdB=10log Sという関係から、シールドファクターとしてのS=10A/10が得られる。測定結果として電磁波遮蔽性能(dB)と共に、このシールドファクターと、電磁波の減衰度合1/Sのパーセンテージ表示で示される遮蔽率(%)を求めた。
本実験における電磁波変化量の測定は、アジレント・テクノロジー株式会社製のE5061B ENA Series ネットワーク・アナライザを用い、100MHz〜3GHzの周波数帯域において5MHz毎に行った。その中で、現在携帯電話用として代表的な周波数である800MHzと1.9GHzとの2つについて電磁波遮蔽率を求め、その結果を前記周波数帯域での全測定値の平均値と共に結果を表1に記載した。なお、送受信アンテナ(X,Y)は、図3(b)の平面模式図に示すように、携帯電話の中心に合わせてセンタリング配置し、その配置方向は、携帯電話の短手方向相当に沿ったものとした。配置領域Fと配置領域Bの各短手方向の全幅はそれぞれ80mmであり、配置領域Rの短手方向全幅は15mmである。携帯電話長手方向の長さは全領域にわたって140mmである。
まず、図1に示した実施例による携帯電話カバー1のように本体2の全面領域に導電性繊維メッシュ30を配設した場合に相当する領域Fと領域R及び領域Bまでの全領域((F・80mm+R・15mm+B・80mm)×140mm)に導電性繊維メッシュ30を配置した場合、即ち図3(a)の模式図の配置状態(実験番号1)での測定を行い、これに対して、導電性繊維メッシュ30の配置領域を図4中の矢印方向に徐々に減らしながら測定を行った(実験番号2〜20)。対照として、電磁波遮蔽用として市販されているA社製及びB社製の2種の携帯電話背面装着型カバーについても測定を行った(実験番号24,25)。市販品の場合は、携帯電話装着状態に相当する後面部のみの配置、即ち図4(l)の模式図に示す領域Bのみの配置で実験を行った。この時、送受信アンテナ(X,Y)に対して中心を合わせた配置から上下10mmずつずらしながら測定したなかで最もシールド性能が高い値を選択して示した。結果は表1に示す通りである。なお、表中、遮蔽性能としての変化量がマイナス(−dB)の場合は、電磁波遮蔽効果が無く、むしろ電磁波が増加してしまったことを表している。
表1の結果から判るように、2種の市販品では、800MHzの電磁波に対してA社のもので最大45%、B社のもので約40%の遮蔽率が見られたが、1.9GHzの電磁波に対しては両市販品とも遮蔽どころか増加しており、A社のもので1.9倍に、B社のもので1.2倍にも増幅してしまっていた。もちろん両市販品では100MHz〜3GHz周波数帯での平均値でも遮蔽性能は見られなかった。即ち、A、B社製の市販品では、800MHzの電磁波に対してのみ遮蔽率50%にも満たないいくらかの遮蔽効果を有するに過ぎず、それ以外の広い周波数帯域でほとんど遮蔽性能が期待できないことが判った。これに対して、本実施例の領域Fと領域R及び領域Bの全領域に電磁波遮蔽部材層を配設した場合には、800MHzおよび1.9GHzの両電磁波に対して遮蔽率約99%という格段に優れた電磁波遮蔽効果が得られた。この結果は、電磁波が実に約1/100に減衰していることを示す。そして、前記周波数帯域の全測定値平均において、これらと同様の遮蔽性能の傾向が確認されており、800MHzに対してのみいくらかの遮蔽性能が見られただけの市販品とは異なり、この優れた電磁波遮蔽効果が本発明の携帯電話カバーにおいて広い周波数帯域にわたって期待できるものであることが明らかとなった。
次に、図4の模式図(a)〜(d)に示すように全面領域から後面部相当の領域Bの幅を開放側からR側(背表紙側)へ図中の矢印方向へ10mmずつ減らした各場合(F・80mm+R・15mm+B・70mm,60mm,50mm,40mm,30mm,20mm,10mm,0mm)で測定したところ、実験番号1〜9の結果に示すように、この領域Bの減少に伴って1.9GHzの電磁波に対する遮蔽率は若干の低下は見られたが、800MHzの電磁波に対する遮蔽率に殆ど変化はなかった。さらに、背表紙相当の領域Rを徐々に減らした場合(実験番号9〜13)も、同様の傾向にあり、電磁波遮蔽部材層の配設が前面部相当のF領域のみになった場合(実験番号13)において、1.9GHzの電磁波に対して91%の充分高い遮蔽率が得られ、800MHzの電磁波に対しては約98%と非常に高い遮蔽率が得られた。
したがって、前面部の全領域に電磁波遮蔽部材層が配設されていれば、後面部領域および背表紙領域への電磁波遮蔽部材層の配設の有無は電磁波遮蔽にあまり大きく影響しないことが明らかとなった。即ち、前面部の全領域に電磁波遮蔽部材層を配設し、携帯電話の表面さえ覆われていれば、充分に高い電磁波遮蔽効果が得られることが判った。
ここで、上記の実験に続いて補足実験1−bとして、A及びB社製市販品の使用形態である携帯電話背面への装着状態に相当する、本発明の携帯電話カバー本体の後面部のみに電磁波遮蔽部材層を配設した場合を検討してみた。即ち、本体後面部に相当する領域Bについて、短手方向幅を0mmからカバー開放側から背表紙側へ10mmずつ全面領域まで増加させていった各場合(B・0mm,10mm,20mm,30mm,40mm,50mm,60mm,70mm,80mm)で測定を行った(実験番号26〜34)。結果を表1−bに示す。
表1−bの結果から判るように、領域Bのみの電磁波遮蔽部材層の配設では、半分幅以上で800MHzの電磁波に対して最大46%程度の遮蔽率が得られただけで、1.9GHzに対しては殆ど遮蔽性能は見られなかった。さらに100MHz〜3GHzにわたる周波数帯域での全測定値平均では全く遮蔽性能が得られず、この広い周波数帯域のうち、50%にも満たない遮蔽率であった800MHz以外の全ての電磁波に対して電磁波遮蔽効果が期待できないことが推察される。この結果から、携帯電話の背面側に電磁波遮蔽部材を配設することにはあまり効果が無いことも明かとなった。そしてこれは、前述のA及びB社製市販品の使用形態に相当するものであって、これら市販品の携帯電話背面装着という電磁波遮蔽方式では効果が低いことを示唆している。
図4の模式図(e)〜(h)に示すように、電磁波遮蔽部材層の配設が前面部全領域のみに相当する100%領域Fの80mm幅に対して、その幅を開放側に向かって図中の矢印方向へ10mmずつ減らした各配設条件(F・70mm,60mm,50mm,40mm,30mm,20mm,10mm)で測定した場合、表1の実験番号13〜20の結果に示すように、領域Fの短手方向幅が40mmまで減った時点で1.9GHzの電磁波に対する遮蔽率が50%程度まで低下した。しかしながら、領域Fの短手方向幅が50mmあれば、1.9GHzの電磁波に対して90%の遮蔽率、800MHzの電磁波に対しては95%の遮蔽率、と充分高い電磁波遮蔽効果が得られることが判った。この結果から、ある程度高い電磁波遮蔽効果を得るには、アンテナ中心の投影位置を含むある程度の幅領域を電磁波遮蔽部材層で覆う必要があることが想定される。これは、ある程度高い電磁波遮蔽効果を得るのにあまり影響のない領域が領域Fの開放側に存在することも示唆する。
そこで、第2の電磁波遮蔽実験として、本発明の携帯電話カバーの前面部領域に相当する領域Fのうち、電磁波遮蔽部材層の配設領域をアンテナ中心の投影位置を中心として短手方向で異なる幅領域に変化させながら、各場合の電磁波遮蔽性能を第1の電磁波遮蔽実験と同様に測定し、結果を表2に示した。各幅領域は、前記中心を含む携帯電話長手方向の中心軸に対して開放側の寸法を+、背表紙側の寸法を−として、短手方向全幅80mmである±40mmから徐々に幅を狭めて、±35mm,±30mm,±25mm,±20mm,±15mm,±10mm,±5mm,±0mmとした各場合において測定を行った(実験番号を26〜34)。いずれ場合も携帯電話長手方向の長さは全幅領域140mmにわたっており、それぞれ短手方向幅の異なる長方形領域である。
表2の結果から判るように、短手方向幅が狭まるに従って、徐々に電磁波遮蔽率が低下する傾向が見られたが、実験番号47の±5mm、即ち幅10mmまで狭まった場合に、特に1.9GHzの電磁波に対する遮蔽率が約26%と格段に低下していた。しかし、実験番号46の±10mmで短手方向幅が20mmある場合には、800MHzの電磁波に対して約83%の高い遮蔽率が得られ、1.9GHzの電磁波に対しても約71%と充分高い遮蔽率が得られていた。
この結果から、領域Fが相当する携帯電話カバー本体の前面部全面領域のうち、少なくともアンテナ中心が投影された位置を中心として短手方向に20mm幅で且つ長手方向全幅の長方形領域にわたって電磁波遮蔽部材層が配設されていれば、従来技術では得られなかった充分に高い電磁波遮蔽効果が得られることが明らかとなった。
ここで、上記第2の電磁波遮蔽実験では、電磁波遮蔽部材層の配設領域が前面部領域のうち長手方向に関しては全幅長にわたっていた。前述のように、携帯電話に対してアンテナ中心を含むある程度の領域が電磁波遮蔽部材層で覆われていればある程度の電磁波遮蔽効果が得られるだろうことが想定されることから、この長手方向に関しても、上下端側で電磁波遮蔽部材層の有無が電磁波遮蔽効果にあまり大きく影響しない領域があると考えられる。
そこで、第3の電磁波遮蔽実験として、本発明の携帯電話カバー本体の前面部に相当する領域Fのうち、アンテナ中心投影位置を中心として長手方向及び短手方向へのどの程度の距離範囲を電磁波遮蔽部材層で覆えば充分な電磁波遮蔽効果が得られるか、一辺の距離を変化させたそれぞれ異なる大きさの正方形領域の場合で電磁波遮蔽性能を測定し、結果を表3に示した。各正方形領域は、アンテナ中心投影位置である領域Fの中心位置を中心として最大正方形領域となる1辺80mmから70m,60mm,50mm,40mm,30,25mm,20mm,10mm,0mmとした場合までのそれぞれで測定を行った(実験番号50〜59)。
表3の結果から判るように電磁波遮蔽部材層が配設される正方形領域が小さくなるに従って、徐々に電磁波遮蔽率が低下する傾向が見られた。そして、800MHzおよび1.9GHzの両周波数の電磁波に対して遮蔽性能が5dB以上で70%を超える遮蔽率が得られるのは、一辺が40mmまでの場合であった。一辺が30mmになると、800MHzにおいては70%以上の遮蔽率が得られたが、1.9GHzでは遮蔽率が70%に達せず、またこれより小さい一辺20mmの正方形領域では50%にも至らなくなってしまう。電磁波遮蔽部材層配設領域がアンテナ中心に対して一辺40mmの正方形領域であった場合、800MHzの電磁波に対する遮蔽率は約84%と高く、1.9GHzの電磁波に対しても約75%もの遮蔽率が得られた。
この結果から、領域Fが相当する携帯電話カバー本体の前面部のうち、少なくともアンテナ中心が投影された位置を中心として40mm×40mmの正方形領域にわたって電磁波遮蔽部材層が配設されていれば、従来技術では得られなかった充分に高い電磁波遮蔽効果が得られることが明らかとなった。
以上の第1〜第3の電磁波遮蔽実験の結果から、また、図1に示した構成の携帯電話カバー1における製造工程での容易性からみれば、携帯電話の表面全体を覆うことができるようにカバー本体の前面部の全面領域にわたって電磁波遮蔽部材層を配設する構成とすることが望ましく、この配設領域とすることによって、通話時に少なくとも90%という高い電磁波遮蔽効果が実現される。この数字は電磁波が約1/10に減衰していることを示している。
さらに、携帯電話の表面と一側面および背面とを覆うことができるようにカバー本体のほぼ全面領域にわたって電磁波遮蔽部材層を配設する構成とすることによって、通話時に99%という非常に高い電磁波遮蔽効果が実現される。この数字は電磁波が約1/100に減衰していることを示す。ただし、この非常に高い電磁波遮蔽効果は、表1の実験番号21としての背表紙部に相当する領域Rがない場合と実験番号22としての全面領域に電磁波遮蔽部材層が配設されてはいるが領域Fと領域Rとの間が破断している場合(図4の模式図(i)中の破断部Z)では、表1に示されているように1.9GHzの場合に遮蔽率が若干低下しているのが見られ、また実験番号23としての全面域配設でも領域Rと領域Bとの間が破断している場合(図4の(j)中の破断部Z)にはほとんど遮蔽率の低下がなかった。これらの結果から、電磁波遮蔽部材層は、カバー本体の前面部と背表紙部との間に破断なく連続的に配設されることが望まれる。即ち、電磁波遮蔽部材層としても、例えば本実施例の導電性繊維メッシュのように、回動、折り曲げに対応でき、長期の使用においても破断し難い柔らかく可撓性を有するものが好適である。
なお、以上の第1〜第3の電磁波遮蔽実験は、送受信アンテナ(X,Y)を携帯電話短手方向に沿った配置で行ったものであった。そこで、第4の電磁波遮蔽実験として、図5の模式図に示すように送受信アンテナ(X,Y)を携帯電話長手方向に沿った配置として、表1で示した電磁波遮蔽部材層配設領域の変更による電磁波遮蔽効果を検討した場合と同様の実験を行った。結果を表4に示す。
表4の結果から明らかなように、表1と同じ電磁波遮蔽部材層配設領域において表1より1.9GHzに関して部分的に若干低い電磁波遮蔽率が見られたが、全体的にほぼ同様の遮蔽効果が確認された。そして、前述の第1〜第3の実験結果に基づいて特定された電磁波遮蔽部材層の最小有効配設領域も同一であった。このとき、対照としたA社製及びB社製の市販品では、表1の場合より電磁波遮蔽性能が全体的に低く、A社製のものでは、1.9GHzに対してだけでなく800MHzに対しても電磁波に増加が見られた。
また、以上の実験においては、電磁波遮断部材層30として、繊維径約30μmで織密度が1インチ当たり132網目数(132mesh/inch)の導電性繊維メッシュを用いた場合を示した。これに対して、織密度が小さい90mesh/inchおよび68mesh/inchの導電性繊維メッシュを同じ配置領域として電磁波遮蔽効果を検討したところ、ほとんど差はみられなかった。遮蔽性能においては、ある程度の織密度と範囲であれば、その配設面積の影響に比べてメッシュの粗密による影響はほとんどないものと考えられる。
さらに、電磁波遮蔽部材層30として、導電性繊維メッシュ以外のものについても検討した。即ち、第5の電磁波遮蔽実験として、アルミニウム箔を電磁波遮蔽部材層とし、本体の前面部に相当する領域F全面(長手方向幅140mm,短手方向幅80mm)に配設した場合(実験番号91)、および前面部と背表紙部及び裏面部とにわたる本体全面に相当する領域(F80mm+R15mm+B80mm)に連続的に配設した場合(実験番号92)について、第1の実験と同様に、電磁波遮蔽性能を測定し、遮蔽率を求めた。結果は表5に示すとおりである。
表5の結果に示すように、電磁波遮蔽部材層がアルミニウム箔であっても、前面部全面相当に配設した場合は、800MHzの電磁波に対して約98%、1.9GHzの電磁波に対して約90%の遮蔽率が見られ、前面部と背表紙部および後面部とにわたる本体全面領域相当に配設した場合には、800MHzの電磁波に対して約99%、1.9GHzの電磁波に対して約98%、さらに100MHz〜3GHzの周波数帯域の全測定値平均でも約99%という非常に高い遮蔽率が見られ、導電性繊維メッシュの場合と同様の電磁波遮蔽効果が得られることが確認できた。従って、本発明の携帯電話カバーに配設される電磁波遮蔽部材層による電磁波遮蔽効果の優劣は、その素材自体およびメッシュ状や箔状等の形態によるものではなく、主に面積としての配設領域によって決定されることが明らかとなった。
従って、本発明の携帯電話カバーにおいては、少なくとも、以上の実験から特定された最小有効領域、即ち、前面部の携帯電話内蔵アンテナ中心の投影点を中心とした、40mm×40mmの正方形領域、あるいは同点を中心とした短手方向幅20mmで長手方向全幅の長方形領域にわたって電磁波遮蔽部材層が配設されていれば、通話中の使用者頭部に暴露される電磁波が少なくとも70%は遮蔽されるという、従来にない優れた電磁遮蔽効果が得られることが確認された。このような大幅な電磁波削減が実現できるという具体的な知見は本発明の実験において初めて得られたものである。
なお、本発明の携帯電話カバーとして、実施例の図2に示すように、前面部3の内側にポケット13を設け、各種カード類を収納できる構成とする場合、そのカードが現在広く普及している非接触ICカードであれば、外部リーダーからの専用周波数の電磁波を遮蔽できれば、非接触ICカードに対するスキミングを防止することもできる。
そこで、第6の電磁波遮蔽実験として、交通系カードシステム、電子マネーカードシステム、入出管理用IDカードシステム等、現在広く普及している非接触ICカードシステム用の13.56MHzの電磁波に対する遮蔽性能を、132mesh/inchの導電性繊維メッシュを電磁波遮蔽部材層として、第1の実験と同様に、図4に示したアンテナ短手方向配置で行った。結果を表6に示す。
表6の結果に示されるように、前面部から背表紙部及び後面部にわたりカバー本体全面に相当する領域((F・80mm+R・15mm+B・80mm)×140mm)に電磁波遮蔽部材層を配設した場合(実験番号102)において約90%の高い遮蔽率が得られた。しかも、前面部全面領域のみに電磁波遮蔽部材層を配設した場合(実験番号100)でも、約90%の遮蔽率が得られた。この結果から、送信アンテナと非接触ICカードとの間に電磁波遮蔽部材層が該カードより大きな面積で介在すれば、非接触ICカードシステム用の電磁波が該カードに達するのを阻止してその情報が読み取られるのを防止できることがわかった。但し、スキミング防止を想定した場合、送信アンテナはカバーに対して外側に位置することになるため、電磁波がカバーのどちら側から送信されてきてもこれを遮蔽できるように、カバー本体全面に亘って電磁波遮蔽部材層を配設した構成とするのが実際的である。
1:携帯電話カバー
2:本体
3:前面部
4:背表紙部
5:後面部
6:枠部
7:収納部
8:係止片
9,10:開口部
11,12:枠部の不連続部
13:ポケット
C:カード
M:紙幣
20:表基材
21:裏基材
22:重ね部材
30:電磁波遮蔽部材層
X:送信アンテナ
Y:受信アンテナ
40:携帯電話(スマートフォン)
41:ディスプレイ操作面
Z:破断部

Claims (5)

  1. タッチパネル式多機能型携帯電話の表面を覆う前面部と前記携帯電話の一側面を覆う背表紙部と前記携帯電話の背面を覆う後面部とが一体的に連続した本体と、前記後面部の内側面上に前記携帯電話を保持する保持部とを備え、前記前面部が前記背表紙部を介して前記後面部に対して開閉方向に回動可能である略ブックカバー型の携帯電話カバーであって、
    前記前面部のみに、携帯電話内蔵アンテナ中心が投影される点を中心とした40mm×40mm〜50mm×50mmの正方形領域にわたって、電磁波遮蔽部材層が配設されており、
    前記電磁波遮蔽部材層は、導電性金属層を付与した繊維を製織してなるメッシュ織物の表面に黒色導電性金属皮膜が形成された導電性メッシュ織物からなり、繊維径30μmで織密度が1インチ当たり132網目数の可撓性を有する導電性繊維メッシュであることを特徴とする携帯電話カバー。
  2. 周波数800MHzまたは1.9GHzの電磁波遮蔽用であることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話カバー。
  3. 前記本体は、表基材と裏基材とが重ね合わされて構成され、これら表裏基材の間に、前記電磁波遮蔽部材層が狭装されていることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電話カバー。
  4. タッチパネル式多機能型携帯電話の表面を覆う前面部と前記携帯電話の一側面を覆う背表紙部と前記携帯電話の背面を覆う後面部とが一体的に連続した本体と、前記後面部の内側面上に前記携帯電話を保持する保持部とを備え、前記前面部が前記背表紙部を介して前記後面部に対して開閉方向に回動可能である略ブックカバー型の携帯電話カバーであって、
    前記前面部のみに、携帯電話内蔵アンテナ中心が投影される点を中心として短手方向幅20mm〜30mmで且つ長手方向全幅の長方形領域にわたって、電磁波遮蔽部材層が配設されており、
    前記電磁波遮蔽部材層は、導電性金属層を付与した繊維を製織してなるメッシュ織物の表面に黒色導電性金属皮膜が形成された導電性メッシュ織物からなり、繊維径30μmで織密度が1インチ当たり132網目数の可撓性を有する導電性繊維メッシュであることを特徴とする携帯電話カバー。
  5. 周波数800MHzまたは1.9GHzの電磁波遮蔽用であることを特徴とする請求項4に記載の携帯電話カバー。
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