JPH10110785A - 粘性ダンパー機構 - Google Patents

粘性ダンパー機構

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JPH10110785A
JPH10110785A JP26635096A JP26635096A JPH10110785A JP H10110785 A JPH10110785 A JP H10110785A JP 26635096 A JP26635096 A JP 26635096A JP 26635096 A JP26635096 A JP 26635096A JP H10110785 A JPH10110785 A JP H10110785A
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Yasuyuki Hashimoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘性ダンパー機構においてシール機能を高め
て大きな粘性抵抗を得る。 【解決手段】 粘性ダンパーにおいて、ドライブプレー
トとシールプレートは、円周方向に延び流体が充填され
る環状流体チャンバ17を形成する。曲がり板ばね19
は環状流体チャンバ17内に配置され、ドライブプレー
ト及びシールプレートとドリブンプレートとが相対回転
すると円周方向に圧縮される。1対のシート部材20
は、曲がり板ばね19の円周方向両側に配置されて曲が
り板ばね19を支持する。1対の板状シール24は、1
対のシート部材20のそれぞれの半径方向内側端に係合
する一端をそれぞれ有し、反対側のシート部材20に向
かって円周方向に延び環状流体チャンバ17の内周部を
シールしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘性ダンパー機
構、特に、トルクを伝達するとともに捩じり振動を減衰
するための粘性ダンパー機構に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば車輌においてエンジン側の部材
とトランスミッション側の部材との間にはエンジンのト
ルク変動を吸収するためのダンパー機構が設けられてい
る。ダンパー機構は、クラッチディスク組立体やフライ
ホイール組立体に組み込まれている。ダンパー機構は、
相対回転可能な第1回転部材及び第2回転部材と、両部
材が相対回転するときにその回転を制限するように配置
されたコイルスプリングと、両部材が相対回転するとき
に摩擦または粘性抵抗によりヒステリシストルクを発生
するヒステリシストルク発生機構とを含んでいる。
【0003】このようなダンパー機構では、エンジンの
燃焼変動に起因する微小捩じり振動を吸収するために、
広捩じり角・低剛性・小ヒステリシストルクの特性を必
要とする。そのために、従来よりコイルスプリングや板
ばねを円周方向に長く延ばしたばね部材が用いられてい
る。特開平6−174011号公報に開示されたダンパ
ー機構では、コイルスプリングに代えて曲がり板ばねを
用いている。曲がり板ばねは、一定の幅を有する細長い
板部材を波状に折り曲げて複数の直列ばね要素を形成し
てなる。曲がり板ばねは、第1回転部材と第2回転部材
とが形成する環状流体室内に配置され、第1回転部材か
ら第2回転部材にトルクを伝達する。捩じり振動が入力
され両部材が相対回転すると、曲がり板ばねは円周方向
に圧縮される。このとき、曲がり板ばねと環状流体室の
壁面との間の空間が圧縮され、流体が両部材の間の隙間
を通過することで粘性抵抗が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の粘性ダンパ
ー機構では、曲がり板ばねと環状流体室の壁面との間で
発生する粘性抵抗はあまり大きくない。しかし、一方で
フライホイール組立体に用いられる粘性ダンパー機構
は、捩じり角度の大きな範囲で大粘性抵抗を必要とす
る。その理由は、エンジンの低回転数領域(始動又は停
止時)における共振点を通過する際に、大きなトルク変
動が粘性ダンパー機構に伝達されるからである。この
際、低剛性の曲がり板ばねのたわみ角度は大きく、第1
回転部材と第2回転部材の相対回転角度は大きくなる。
このときは、大きな粘性抵抗を発生させて捩じり振動を
速やかに減衰するのが好ましい。
【0005】本発明の目的は、粘性ダンパー機構におい
て充分に大きな粘性抵抗を発生させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の粘性ダ
ンパー機構は、第1回転部材と第2回転部材と弾性部材
と1対のシート部材と1対の板状シールと粘性抵抗発生
部とを備えている。第1回転部材は、円周方向に延び流
体が充填されるチャンバを形成する。第2回転部材は第
1回転部材に相対回転可能である。弾性部材はチャンバ
内に配置され、第1回転部材と第2回転部材とが相対回
転すると円周方向に圧縮される。1対のシート部材は、
弾性部材の円周方向両側に配置されて弾性部材を支持す
る。1対の板状シールは、1対のシート部材のそれぞれ
の半径方向内側端に係合する一端をそれぞれ有し、反対
側のシート部材に向かって円周方向に延びチャンバの内
周部をシールする。粘性抵抗発生部は、チャンバ内に形
成されている。
【0007】請求項1に記載の粘性ダンパー機構では、
第1回転部材が回転すると、トルクは弾性部材を介して
第2回転部材に伝達される。第1回転部材に捩じり振動
が伝達されると、第1回転部材と第2回転部材とが相対
回転を行い、弾性部材が円周方向に圧縮される。このと
き、粘性抵抗発生部により所定の粘性抵抗が発生する。
1対の板状シールがチャンバの内周部をシールしている
ため、チャンバ内から流体が漏れにくくなっており、そ
のため大きな粘性抵抗を維持することができる。
【0008】請求項2に記載の粘性ダンパー機構では、
請求項1において、1対の板状シールは他端同士が半径
方向に重なっている。請求項2に記載の粘性ダンパー機
構では、第1回転部材と第2回転部材との捩じり角度が
大きくなるにつれて、1対のシート部材は互いに円周方
向に接近し、1対の板状シールは半径方向に重なった部
分が徐々に大きくなる。このように、粘性抵抗発生時に
チャンバの内周部のシール性が高くなる。
【0009】請求項3に記載の粘性ダンパー機構では、
請求項1または2において、第1回転部材はチャンバの
両側壁を形成する1対の円板状部を有している。第2回
転部材は第1回転部材の内周側に配置された環状部を有
している。この粘性ダンパー機構は1対の環状シール部
材をさらに備えている。1対の環状シール部材は1対の
板状シールの内周側に配置されており、一方は1対の円
板状部の一方の内周部と第2回転部材の環状部との間に
配置されている。1対の環状シール部材の他方は、1対
の円板状部の他方の内周部と第2回転部材の環状部との
間に配置されている。
【0010】請求項3に記載の粘性ダンパー機構では、
1対の環状シール部材によりチャンバの内周部のシール
機能がさらに高くなっている。板状シールは相対回転時
に1対のシート部材間で圧が発生すると半径方向内側に
変形して1対の環状シール部材にそれぞれ圧接される。
これにより、大きな粘性抵抗を維持することが可能であ
る。
【0011】請求項4に記載の粘性ダンパー機構は、第
1回転部材と第2回転部材と弾性部材と1対の環状シー
ル部材とを備えている。第1回転部材は、円周方向に延
びる流体チャンバの側壁を形成する1対の円板状部を有
している。第2回転部材は第1回転部材の内周側に配置
された環状部を有し、第1回転部材に相対回転可能であ
る。弾性部材はチャンバ内に配置され、第1回転部材と
第2回転部材とが相対回転すると円周方向に圧縮され
る。1対の環状シール部材は、一方が1対の円板状部の
一方の内周部と第2回転部材の環状部との間に配置さ
れ、他方が1対の円板状部の他方の内周部と第2回転部
材の環状部との間に配置されている。
【0012】請求項4に記載の粘性ダンパー機構では、
1対の環状シール部材によりチャンバの内周部のシール
機能が高くなっている。請求項5に記載の粘性ダンパー
機構では、請求項3または4において、1対の環状シー
ル部材は第1及び第2回転部材に対して半径方向に移動
不能である。また、この粘性ダンパー機構は制限部材を
さらに備えている。制限部材は、1対の環状シール部材
に両端が係止され、弾性部材に係合することで弾性部材
の半径方向外方への移動を制限している。
【0013】請求項5に記載の粘性ダンパー機構では、
1対の環状シール部材及び制限部材により弾性部材の半
径方向外方への移動が制限されている。ここでは、1対
の環状シール部材はチャンバの内周部のシール機能と弾
性部材の移動制限との2つの機能を有していることにな
る。請求項6に記載の粘性ダンパー機構では、請求項5
において、1対の環状シール部材は第1及び第2回転部
材に対して回転可能である。
【0014】請求項7に記載の粘性ダンパー機構では、
請求項5または6において、1対の環状シール部材には
円周方向に延びる切欠きが形成され、制限部材は両端が
切欠き内に挿入されている。請求項7に記載の粘性ダン
パー機構では、制限部材は1対の環状シール部材に対し
て相対回転可能であるため、弾性部材の円周方向たわみ
量が充分に確保されている。
【0015】
【発明の実施の形態】第1実施形態 構造 図1〜図3に示すフライホイール組立体1は、エンジン
側のクランクシャフト2からトランスミッション側のメ
インドライブシャフト(図示せず)にトルクを伝達する
ための装置である。このフライホイール組立体1には、
クラッチカバー組立体3及びクラッチディスク組立体1
4が取り付けられる。以下の説明では、図2及び図3の
左側をエンジン側とし、右側をトランスミッション側と
する。
【0016】フライホイール組立体1は、主に、第1フ
ライホイール4と第2フライホイール5と粘性ダンパー
6とから構成されている。第1フライホイール4は円板
状の肉厚の部材である。第1フライホイール4の内周部
は、円周方向に配置された複数のクランクボルト12に
よりクランクシャフト2の端面に固定可能である。第1
フライホイール4の内周面には、図示しないトランスミ
ッションのメインドライブシャフト先端を回転自在に支
持するための軸受13が設けられている。また、第1フ
ライホイール4の外周面には、リングギア11が固定さ
れている。さらに、第1フライホイール4の外周部に
は、トランスミッション側に突出する環状の突出部4a
が形成されている。
【0017】粘性ダンパー6は、主に、ドライブプレー
ト15とシールプレート16とドリブンプレート17と
1対の曲がり板ばね19と複数のシート部材20とから
構成されている。ドライブプレート15は、フライホイ
ール4のトランスミッション側に近接して配置された円
板状の部材である。ドライブプレート15の内周部は、
トランスミッション側に延びる内周突出部15aとなっ
ている。ドライブプレート15の半径方向中間部は、図
2及び3から明らかなようにエンジン側に凹む環状凹部
となっている。シールプレート16は、ドライブプレー
ト15のトランスミッション側に配置された円板状の部
材である。ドライブプレート15の外周部とシールプレ
ート16の外周部は互いに当接しており、複数のボルト
41により互いに固定されている。このようにして、ド
ライブプレート15とシールプレート16は第1回転部
材として機能する。また、プレート15,16の外周部
は、複数のボルト42により、第1フライホイール4の
突出部4aに固定されている。なお、ドライブプレート
15とシールプレート16の外周部間には、Oリング2
8が配置されている。シールプレート16の内径はドラ
イブプレート15の内径よりも大きく、シールプレート
16の内周縁とドライブプレート15の内周部との間に
は環状の隙間が形成されている。ドライブプレート15
の環状凹部とシールプレート16との間には環状流体チ
ャンバ17が形成されている。この環状流体チャンバ1
7内にはたとえばグリス等の流体が充填されている。
【0018】ドリブンプレート18は、プレート15,
16に相対回転可能な第2回転部材として機能するもの
であり、環状部18aと、環状部18aから半径方向に
対向する2か所で半径方向外方に延びる係合部18b
(第2係合部)とからなる。環状部18aはドライブプ
レート15とシールプレート16の内周縁との間に一部
が配置されており、係合部18bは環状流体チャンバ1
7内に挿入されている。係合部18bは環状流体チャン
バ17より半径方向長さが短く、チャンバ17の外周側
内壁面(後述)と係合部18bとの間に大きな隙間が形
成されている。また、係合部18bは円周方向両端にお
いて軸方向に曲げられている。さらに、図4に示すよう
に、係合部18bの円周方向両側には、係合凹部18c
が形成されている。環状部18aの内周部には、複数の
ボルト43を介して第2フライホイール5の内周部が固
定されている。環状部18aと第2フライホイール5の
内周部は、ともに軸受44を介してドライブプレート1
5の内周側突出部15aに相対回転自在に支持されてい
る。
【0019】第2フライホイール5は、トランスミッシ
ョン側にクラッチディスク組立体14のフリクションデ
ィスクが押圧される摩擦面5aを有している。次に、環
状流体チャンバ17全体のシール構造について説明す
る。環状流体チャンバ17の両側壁は、プレート15,
16すなわち1対の円板状部により形成されている。環
状流体チャンバの外周側には、筒状の環状シール27が
配置されている。この環状シール27は、ドライブプレ
ート15とシールプレート16との継ぎ目部分を覆い、
環状流体チャンバ17の外周側内壁面となっている。ド
ライブプレート18の環状部18aとドライブプレート
15との間には、環状のサポートリング22(環状シー
ル部材)が配置されている。また、環状部18aとシー
ルプレート16との間にはサポートリング22が配置さ
れている。両サポートリング22は、ドライブプレート
15,シールプレート16及びドリブンプレート18の
いずれに対しても半径方向には移動不能にかつ回転は可
能に係合している。これらのサポートリング22は、図
10に示すように、筒部22aと、筒部22aの一端か
ら外周側に延びるフランジ22bとを有している。筒部
22aはプレート15,16と環状部18aとの間をそ
れぞれシールしている。また、フランジ22bはそれぞ
れドライブプレート15とシールプレート16に形成さ
れた溝に係合している。サポートリング22の他の構造
及び機能については後述する。軸受44は潤滑剤密封型
であり、その内部に潤滑剤を密封するとともに、ドリブ
ンプレート18の内周部とドライブプレート15の内周
突出部15aとの間をシールしている。さらに、シール
プレート16と第2フライホイール5との間には、環状
のシール部材29が配置されている。
【0020】以上に述べた環状流体チャンバ17内にお
いて、ドリブンプレート18の係合部18bに対応した
位置において、ドライブプレート15及びシールプレー
ト16には、係合プレート25(第1係合部)がそれぞ
れリベット26により固定されている。係合プレート2
5は、係合部18bより円周方向長さが短く、環状流体
チャンバ17内で内周側に寄っている。これらの係合部
18b及び係合プレート25により、環状流体チャンバ
17内は2つの弧状空間に区画されている。各弧状空間
内には、弧状に延びる曲がり板ばね19及び1対のシー
ト部材20が配置されている。
【0021】曲がり板ばね19は、図29〜図31に詳
細に示すように、所定の幅の板部材を波状に折り曲げた
ものであり、弧状に長く延びている。曲がり板ばね19
は、軸方向幅が環状流体チャンバ17とほぼ同じであ
り、軸方向端が両側壁面(ドライブプレート15,シー
ルプレート16)に当接または近接している。曲がり板
ばね11は、リング部51,52とレバー部53とから
なる複数の直列ばね要素を形成している。外周側リング
部51と内周側リング部52は円周方向に交互に配置さ
れている。両リング部51,52は支点55,56から
中央部に向かって徐々に厚みが小さくなる偏断面を有し
ている。なお、外周側リング部51は内周側リング部5
2より径が大きい。外周側リング部51と内周側リング
部52はレバー部53により接続されている。レバー部
53は各リング部51,52から見ると外方に向かうに
したがって隙間が広くなるように開いている。図31に
示すように、レバー部53は、リング部51の開環部付
近において円周方向に隙間のあいた外周レバー支点55
を有しており、内周側リング部52の開環部付近におい
て円周方向に隙間のあいた内周レバー支点56を有して
いる。レバー部53は、図30に示すように、中間部分
が両支点55,56側すなわち両端に比べて軸方向幅が
短くなるくびれ形状になっている。このレバー部53の
くびれ部分とプレート15,16との間の隙間を通って
流体は円周方向にスムーズに通過可能である。各レバー
部53に凹部54が設けられていることにより、レバー
部53における弾性エネルギーを蓄える能力が高くなっ
ている。
【0022】曲がり板ばね19の円周方向両端には、シ
ート部材20が配置されている。このシート部材20
は、曲がり板ばね19の円周方向両端を支持するととも
にシールして、1対のシート部材20間で粘性抵抗発生
空間47を形成するための部材でもある。シート部材2
0には、外周側円周方向両端の外周側リング部51と内
周側リング部52とが当接している。さらに、シート部
材20には、最も円周方向外側の外周側リング部51か
ら延びるレバー部53も当接している。
【0023】シート部材20は、図6及び図7に示すよ
うに、2個の部材20A,20Bが軸方向から係合して
一体の部材を構成している。この実施形態では、第1部
材20Aと第2部材20Bはそれぞれに形成された孔3
6内に挿入されたピンにより互いに固定されている。図
4〜図7に詳細に示すように、シート部材20は環状流
体チャンバ17内においてほぼ半径方向全体にわたって
長く延びる部材である。また、シート部材20は、その
両側面及び内周面が環状流体チャンバ17を構成する内
壁面にわずかな隙間(第1チョーク隙間)しか形成しな
い大きさとなっている。さらに、シート部材20の外周
側には、スライダ21が配置されている。このスライダ
21は、図3から明らかなように、外周面が環状シール
27に当接あるいは僅かな隙間をもって配置されてお
り、軸方向両端がドライブプレート15及びシールプレ
ート16に当接または僅かな隙間をもって配置されてい
る。このようにして、シート部材20とスライダ21と
により、その円周方向両側の流体は連通が遮断され、第
1チョーク隙間のみを連通可能になっている。すなわ
ち、シート部材20とスライダ21は、円周方向両側の
空間を遮断し、第1チョーク隙間のみで流体を移動可能
にするシート部材として機能している。なお、シート部
材20とこのスライダ21とは一体のシート部材であっ
てもよいし、スライダ21を省略してシート部材20が
環状流体チャンバの外周側まで延びてシールしていても
よい。第1チョーク隙間は、シート部材20及びスライ
ダ21と環状流体チャンバ17との間の隙間には限定さ
れない。シート部材20に円周方向に連通する孔や表面
溝等をを設けて第1チョーク隙間としてもよい。
【0024】このようにして、各曲がり板ばね19の円
周方向両側の1対のシート部材20の円周方向間に粘性
抵抗発生空間47が形成されている。粘性抵抗発生空間
47は、1対のシート部材30が互いに接近するように
移動すると容積が小さくなる空間である。また、そのと
きに粘性抵抗発生空間47からは、第1チョーク隙間を
通って流体が円周方向両側の空間(後述)に流出する。
【0025】シート部材20は、係合部18bに対向す
る側に凹部20aを有しており、凹部20a内に係合部
18bが挿入可能になっている。シート部材20の凹部
20a内には、係合凸部35が形成されている。この係
合凸部35は係合部18bに形成された係合凹部18c
に対応している。なお、シート部材20に係合凹部が形
成され、係合部18bに係合凸部が形成されていてもよ
い。
【0026】シート部材20において、半径方向外側す
なわち係合部18b及び係合プレート25より半径方向
外側部分内には小粘性抵抗発生機構31が設けられてい
る。具体的に説明すると、シート部材20内には、円周
方向に延びるスライダ収容室32(第1通路)が形成さ
れている。スライダ収容室32の円周方向両側には、通
路33(第2通路)が形成されている。通路33は、ス
ライダ収容室32より面積が小さくその中心に設けられ
ている。図6〜図9から明らかなように、スライダ収容
室32及び通路33は断面がほぼ正方形となっている。
スライダ収容室32内には、開閉スライダ34(閉鎖部
材)が配置されている。開閉スライダ34はスライダ収
容室32内で円周方向に移動可能である。開閉スライダ
34は、図9に示すように、スライダ収容室32の各辺
に当接する複数の突起34aを有している。複数の突起
34a間の隙間34b(通過部)はスライダ収容室32
内で円周方向に流体が移動可能な通路となっている。通
路33と隙間34bが、粘性抵抗発生空間47とその円
周方向外側の空間との間で流体が通過可能な第2チョー
ク隙間になっている。開閉スライダ34は、この第2チ
ョーク隙間の円周方向両側に圧の差が生じると、スライ
ダ収容室32内を円周方向に移動する。また、開閉スラ
イダ34の中心部は、開閉スライダ34がスライダ収容
室32内で円周方向のどちらか側に最も移動した位置で
通路33を閉鎖する閉鎖部となっている。
【0027】各粘性抵抗発生空間47内には、曲がり板
ばね19及びシート部材20と、環状シール27(外周
側内壁面)との間に配置されたスライダ21が設けられ
ている。スライダ21は、図22〜図25に示すよう
に、粘性抵抗発生空間47の外周側内壁面に沿った形状
である。スライダ21は、スライダ本体21aと、回転
ピン21bとから構成されている。スライダ本体21a
は、円周方向に長く延びている。スライダ本体21a
は、軸方向寸法が環状流体チャンバ17とほぼ同じであ
り、軸方向両端がプレート15,16に近接又は当接し
ている。スライダ本体21aの外周面には、2本の溝2
1cが形成されている。この溝21cは軸方向に長く延
びさらに円周方向に所定の幅を有している。回転ピン2
1bは、各溝21c内に挿入され、スライダ本体21a
よりさらに半径方向外方に突出しており、環状シール2
7に当接している。すなわち、スライダ本体21aの外
周面と環状シール27との間には、スライダ21が最も
半径方向外方に移動した状態でも僅かな隙間が確保され
ている。さらに、溝21c内には、溝21cより深くさ
らに円周方向幅が広い凹部21fが形成されている。こ
れにより、この凹部21fに溜まる流体により、回転ピ
ン21b周辺が充分に潤滑される。回転ピン21bは、
環状シール27に当接した状態で溝21c内を回転しな
がら円周方向に移動可能である。
【0028】スライダ本体21aの内周部には、半径方
向内側に突出する2つの係合部21dが形成されてい
る。この係合部21d間には1つの外周側リング部51
が配置されている。これにより、スライダ21はその外
周側リング部51と一体に移動可能である。また、係合
部21dと両側の外周側リング部51との間には円周方
向に所定の隙間が確保されている。さらに、スライダ本
体21aは、両側2個の外周側リング部51の半径方向
外側に配置された支持部21eを有している。この支持
部21eは、曲がり板ばね19が円周方向に圧縮された
状態で両側の外周側リング部51を半径方向に支持す
る。
【0029】シート部材20の外周側に設けられたスラ
イダ21は前述のスライダ21とほぼ同様の構造であ
る。シート部材20に設けられたスライダ21は、シー
ト部材21に係合するとともに、最も円周方向両端に配
置された外周側リング部51に係合している。このスラ
イダ21は、シート部材20に相対回転不能に係合する
ための係合部21fを有している。なお、このスライダ
21は、前述したように、シート部材20とともに粘性
抵抗発生空間47の円周方向両端をシールしている。ス
ライダ本体21aと環状シール27との間には隙間が確
保されているが、回転ピン21がスライダ本体とほぼ同
じ軸方向長さを有して環状シール27に当接しているた
め、流体はスライダ21の半径方向外側において円周方
向両側にスムーズに流れにくくなっている。
【0030】各粘性抵抗発生空間47の内周部には、1
対の板状シール24が配置されている。板状シール24
は、環状流体チャンバ17の軸方向長さとほぼ同じ軸方
向幅を有しており、プレート15,16に当接してお
り、円周方向に弧状に延びる。各板状シール24の一端
は、半径方向外側に折り曲げられた係止部24aであ
り、係止部24aはシート部材20の半径方向内側端に
形成されたスリット38に嵌入している。図27及び図
28に示すように、板状シール24は他端が相手側のシ
ート部材20側に延び、一部が半径方向に重なってい
る。この板状シール24は、前述したサポートリング2
2の筒部22a外周面に当接している。1対の板状シー
ル24は、1対のシート部材20が円周方向に接近する
につれて、半径方向に重なった部分が長くなり、さらに
粘性抵抗発生空間47に発生する圧によりサポートリン
グ27に圧接される。板状シール24は、一方の端部が
シート部材20に支持されているだけなので、他方側端
部は変形しやすい。このようにして、粘性抵抗発生空間
47の内周部のシール性が高くなっている。
【0031】前述したサポートリング22のフランジ2
2bには、図10に示すように、1対の孔22dと円周
方向に延びる複数のスリット22c(切欠き)が形成さ
れている。両サポートリング22は、図示しないピンに
より互いに固定され一体回転するようになっている。こ
のピンは軸方向に延び両端が孔22dに挿入されてい
る。各粘性抵抗発生空間47内において、フランジ22
bには3本のスリット22cが形成されている。このス
リット22cは、円周方向両側のスリット22cが真ん
中のスリット22cに比べて長く形成されている。この
各スリット22cに対応して、ピン23(制限部材)が
配置されている。ピン23は、軸方向に長く延びてお
り、曲がり板ばね19の内周側リング部52内に挿入さ
れ、両端が軸方向両側のフランジ22bに形成されたス
リット22c内に配置されている。これにより、曲がり
板ばね19は半径方向外方への移動を制限されている。
なお、図1に示すように、円周方向両側のスリット22
c内のピン23は中立状態で円周方向外側に配置されて
いる。なお、ピン23は、フランジ22bに形成された
スリット22c内を円周方向に移動可能であるため、曲
がり板ばね19のたわみ角度は充分に広い。円周方向両
側のスリット22cが円周方向に長くしかもピン23が
スリット22cの円周方向外側に配置されているのは、
曲がり板ばね19では外周側の板ばね要素移動量が内周
側に比べて大きいためである。
【0032】以上に説明した環状流体チャンバ17内の
構造をさらにまとめて説明する。図18及び図19に示
すように、環状流体チャンバ17内は、それぞれ1対の
係合プレート25及び係合部18bにより1対の弧状空
間に区画されている。さらに、各弧状空間内は、円周方
向両端が1対のシート部材20によりシールされた粘性
抵抗発生空間47となっている。この粘性抵抗発生空間
47内に曲がり板ばね19がそれぞれ配置されている。
さらに、係合プレート25及び係合部18b付近の空間
すなわち隣接するシート部材20間には、それぞれ空間
48が形成されている。この空間48は、粘性抵抗発生
空間47の円周方向両側に配置された空間であり、粘性
抵抗発生空間47が縮小されるときに逆に拡大されてい
くものであり、そのときに粘性抵抗空間47から流体が
流れ込む空間である。
【0033】ドライブプレート15及びシールプレート
16の内壁面すなわち環状流体チャンバ17の両側壁面
には、各シート部材20に対応して流体通過凹部45が
形成されている。流体通過凹部45は、図12及び図1
5に示すように、シート部材20より円周方向長さが長
く、半径方向長さが短い。流体通過凹部45は、図19
に示すように、各粘性抵抗発生空間47内ではシート部
材20に対して一部は重なるもののその円周方向内側す
なわち係合部18b及び係合プレート25側と反対側に
変位している。この状態で、シート部材20により分け
られている粘性抵抗発生空間47と空間48とは、第1
チョーク隙間のみで流体が行き来可能となっている。
【0034】動作 クランクシャフト2が回転すると、第1フライホイール
4にトルクが伝達され、そのトルクは、さらに粘性ダン
パー6を介して第2フライホイール5に伝達される。さ
らに、トルクはクラッチ連結状態でクラッチディスク組
立体14に伝達され、最後にトランスミッションのメイ
ンドライブシャフトに出力される。
【0035】粘性ダンパー6において、トルク伝達は以
下のように行われる。ドライブプレート15及びシール
プレート16が回転すると、係合プレート25がシート
部材20を押し、曲がり板ばね19を介してドリブンプ
レート18の係合部18bが押される。このようにし
て、プレート15,16からドリブンプレート18にト
ルクが伝達される。
【0036】粘性ダンパー機構6に捩じり振動(トルク
変動)が入力されると、プレート15,16とドリブン
プレート18とが周期的な相対回転を行い、曲がり板ば
ね19が円周方向に圧縮される。このとき、第1チョー
ク隙間、小粘性抵抗発生機構31や流体通過凹部45等
を流体が通過する。捩じり振動に対する粘性ダンパー6
の動作及び特性についてさらに詳細に説明する。たとえ
ば図1に示す中立状態でエンジンの実用回転数領域で生
じる微小捩じり振動が入力されたとする。このとき、曲
がり板ばね19は、各レバー部53はリング部51,5
2の中央部を支点としてたわむため、低い捩じり剛性が
得られる。さらに、小粘性抵抗発生機構31では、開閉
スライダ34はスライダ収容室32内で円周方向両側に
ピストン移動する。このとき、流体は主に小粘性抵抗発
生機構31のスライダ収容室32と通路33(第2チョ
ーク隙間)を通過する。すなわち、第1チョーク隙間に
は流体が全く又はほとんど流れない。言い換えると、図
20に示すように、粘性抵抗発生空間47と空間48と
の間で小粘性抵抗発生機構31を通じて流体が行き来す
る。さらに、図20の状態では、各粘性抵抗発生空間4
7内の回転方向R2側のシート部材20が流体通過凹部
45の中心位置にきている。この状態は、図13及び図
16から明らかなように、粘性抵抗発生空間47と空間
48とがシート部材20と流体通過凹部45との間の大
きな隙間を通って連通していることになる。このよう
に、図20の状態では小粘性抵抗発生機構31と流体通
過凹部45との両方により粘性抵抗発生空間47と空間
48とが連通しているが、これはいずれか一方のみでも
充分に効果がある。また、両方の連通するあるいは連通
を終了するタイミングや角度等は任意に設定可能であ
る。
【0037】さらに、たとえば図21に示すように、プ
レート15,16とドリブンプレート18との相対角度
が大きくなった状態でエンジンの実用回転数領域におけ
る微小捩じり変動が入力されると、図8に示すように小
粘性抵抗発生機構31内でスライダ収容室32と通路3
3との間を封鎖していた開閉スライダ34がスライダ収
容室32内で円周方向へのピストン移動を行う。この結
果、粘性抵抗発生空間47と空間48との間で小粘性抵
抗発生機構31の第2チョーク隙間を流体が移動する。
この結果、大粘性抵抗が発生せず、微小捩じり振動を効
果的に吸収できる。
【0038】また、各粘性抵抗発生空間47内では、流
体は、曲がり板ばね19のレバー部53と環状流体チャ
ンバ17の両側壁との間の隙間を通って円周方向に流れ
る。したがって、粘性抵抗発生空間47では大きな粘性
抵抗は発生しにくい。以上に説明したように、粘性ダン
パー6においては、たとえばエンジンの実用回転数領域
で生じる微小捩じり振動が伝達された場合には、必要以
上に大きな粘性抵抗が発生しない構造になっている。
【0039】さらに、粘性ダンパー6には微小捩じり振
動に対して大きな摺動抵抗が発生しない様々な工夫が設
けられている。図20に示す状態で、各粘性抵抗発生空
間47の回転方向R2側のシート部材20は、ドリブン
プレート18の係合部18aに対して円周方向に押圧さ
れている。この状態で、係合凸部35と係合凹部18b
とは互いに係合している。これにより、シート部材20
は半径方向外側に移動しにくくなっている。この結果、
シート部材20に設けられたスライダ21からの環状シ
ール27に作用する圧接力が小さくなっている。また、
曲がり板ばね19は、複数個所において内周側リング5
2がピン23により半径方向外方への移動を制限されて
いる。これにより、曲がり板ばね19は半径方向外方に
移動しにくくなっており、スライダ21から環状シール
27に作用する圧接力が小さくなる。
【0040】このように、環状流体チャンバ17に相対
回転する部材(曲がり板ばね19,シート部材20)の
半径方向外方への移動を制限しているため、それら部材
又はスライダ21とチャンバ17の外周側内壁面(環状
プレート27)との間の摺動抵抗が少なくなる。また、
各スライダ21においては、回転ピン21bが回転自在
にしかもスライダ本体21aに設けられた溝21c内で
円周方向に移動可能に設けられているため、スライダ2
1が環状プレート27に対して相対回転したときに、両
者間で生じる摺動抵抗は大幅に少なくなっている。
【0041】以上に述べたように、微小捩じり振動伝達
時においては、低剛性、小粘性抵抗、及び小摺動抵抗の
特性により、振動は効果的に吸収される。この結果、ト
ランスミッション側での歯打ち音等の騒音が抑制され
る。次に、エンジンの回転数が共振点を通過する際に生
じる大トルク変動(大捩じり振動)伝達時における粘性
ダンパー6の動作及び特性について説明する。大捩じり
振動が伝達されると、たとえば図19の状態からプレー
ト15,16とドリブンプレート18の捩じり角度が大
きくなり、図19→図20→図21の順に移行する。さ
らに、図20の状態から図19の状態に戻り、次にプレ
ート15,16はドリブンプレート18に対して反対側
に同様に捩じれていく。このような状態において、捩じ
り角度の大きな領域及び捩じり角度の小さな領域での動
作について説明する。
【0042】捩じり角度が大きくなっていくと、曲がり
板ばね19は、各外周レバー支点55と内周レバー支点
56とがそれぞれにおいて密着した状態になり、以後は
各支点55,56を支点としてレバー部53が変形す
る。このときには捩じり角度の小さな領域に比べて剛性
が高くなる。さらに、図21に示す状態では、粘性抵抗
発生空間47内の流体は、第1チョーク隙間を通って空
間48内に流れ込み、大きな粘性抵抗が発生する。すな
わち、この状態で流体通過凹部45及び小粘性抵抗発生
機構30は封鎖されている。ここでは、1対のシート部
材20により粘性抵抗発生空間47を形成しているた
め、大きな圧を粘性抵抗発生空間47に発生することが
でき、その結果大きな粘性抵抗を発生することができ
る。また粘性抵抗発生空間47の内周部は、板状シール
24とサポートリング22によりシールされているた
め、粘性抵抗発生空間47から流体が漏れにくくなって
いる。その結果、第1チョーク隙間で大きな粘性抵抗を
発生できる。
【0043】さらに、曲がり板ばね19の外周側におい
ては、図26に示すように、円周方向の一方に寄った回
転ピン21bが環状シール27に摺動する。この状態で
は、回転ピン21bの円周方向移動及び回転が制限され
ているため、環状シール27との間に大きな摺動抵抗が
発生する。以上に述べたように、大捩じり振動伝達時に
おいて図21に示すような大きな捩じり角度状態では、
剛性が高く粘性抵抗が大きくしかも大きな摺動抵抗が得
られる。これにより、共振点通過時の大捩じり振動を効
果的に減衰できる。
【0044】このような大捩じり振動伝達時において
は、捩じり角度の小さな領域でたとえば図20に示す状
態を通過する。すなわち、流体通過凹部45を通じて粘
性抵抗発生空間47と空間48とが連通する。このと
き、空間48内の流体は流体通過凹部45を通って粘性
抵抗発生空間47に戻される。このようにして、捩じり
角度の小さな領域で粘性抵抗発生空間47には流体が戻
されるため、粘性抵抗発生空間47内に流体が不足する
ような状態が起こりにくい。この結果、大捩じり振動に
対して大きな粘性抵抗を発生させることが長期間にわた
って可能となる。ここでは、シート部材20は、粘性抵
抗発生空間47と空間48との間で流体が円周方向両側
に連通するのを制限した状態で環状流体チャンバ17内
を移動するスライダ部材として機能している。
【0045】以上に説明した粘性ダンパー6は、円周方
向に曲がり板ばね19と粘性抵抗発生部(第1チョーク
隙間、小粘性抵抗発生機構31)を配置することにより
構造が単純で小型化している。さらに、粘性ダンパー6
は、第1フライホイール4及び第2フライホイール5は
別個のサブアッシーであるめた、製造や管理が容易であ
る。第2実施形態 図33〜図35に示すフライホイール組立体1は、第1
実施形態とほぼ同様の構造を有している。ここでは、特
に第1実施形態と異なる構造についてのみ説明する。図
から明らかなように、前記実施形態におけるスライダ2
1、ピン23、板状シール24が設けられていない。こ
のため、シート部材22の半径方向外側部が環状シール
27に当接し摺動するようになっており、シート部材2
2と環状流体チャンバ17の内壁面との隙間が第1チョ
ーク隙間になっている。また、曲がり板ばね19の外周
側リング部51が直接環状シール27に当接し摺動する
ようになっている。さらに、サポートプレート22は筒
状部分のみとなっている。このような実施形態において
も、粘性抵抗発生空間47を1対のシート部材20によ
り形成することにより、大きな粘性抵抗を得ることが可
能になっている。第3実施形態 図36及び図37に示すように、スライダ81の外周面
に複数の流体溜まり凹部81aを形成してもよい。この
流体溜まり凹部81aに流体が溜まることにより、スラ
イダ81と粘性抵抗発生空間の外周側内壁面との間が充
分に潤滑され、長期間にわたって大きな摺動抵抗が発生
しない状態を保てる。すなわち、曲がり板ばねの外周側
における摺動抵抗を小さくできる。
【0046】〔他の変形例〕第1実施形態で開示したス
ライダ21は、内部に流体が充填されていないダンパー
機構にも用いることができる。また、回転体としては円
柱形状に限定されず球であってもよい。粘性ダンパー6
は、フライホイール組立体以外の装置にも用いることが
可能である。たとえば、クラッチディスク組立体やトル
クコンバータのロックアップ装置にも採用できる。
【0047】さらに、フライホイール組立体において
も、第1フライホイール4とプレート15,16とを一
体の部材として形成してもよいし、ドリブンプレート1
8と第2フライホイール5とを一体の部材として形成し
てもよい。さらに、環状流体チャンバを構成する構造
は、実施形態のプレート15,16及びドリブンプレー
ト18の形状に限定されない。
【0048】隣接する流体通過凹部45同士は一体に形
成されて空間48全体にわたって延びていてもよい。弧
状空間及びばね部材は3つ以上でもよい。曲がり板ばね
の構造は前記実施形態に限定されない。また、曲がり板
ばねの代わりに他の種類のばねを用いてもよい。
【0049】
【発明の効果】本発明に係る粘性ダンパー機構では、1
対の板状シールがチャンバの内周部をシールしているた
め、チャンバ内から流体が漏れにくくなっており、その
ため大きな粘性抵抗を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態が採用されたフライホイ
ール組立体の一部を取り外した平面図。
【図2】フライホイール組立体の縦断面図。
【図3】フライホイール組立体の縦断面図。
【図4】図1の部分拡大図。
【図5】シート部材の平面図。
【図6】図5のVI矢視図。
【図7】図5のVII −VII 断面図。
【図8】ダンパー機構の一動作状態を示す、図4に対応
する図。
【図9】図4のIX矢視図。
【図10】サポートプレートの平面図。
【図11】図10のXI−XI断面図。
【図12】図1の部分拡大図。
【図13】粘性ダンパー機構の一動作状態を示す、図1
2に対応する図。
【図14】粘性ダンパーの一動作状態を示す、図12に
対応する図。
【図15】シート部材20と流体通過凹部との関係を示
すための概略断面図。
【図16】シート部材20と流体通過凹部との関係を示
すための概略断面図。
【図17】シート部材20と流体通過凹部との関係を示
すための概略断面図。
【図18】粘性ダンパーの平面図。
【図19】粘性ダンパーの概略を示すための模式平面
図。
【図20】粘性ダンパーの一動作状態を説明するための
図19に対応する図。
【図21】粘性ダンパーの一動作状態を説明するための
図19に対応する図。
【図22】スライダの正面図。
【図23】スライダの平面図。
【図24】スライダの背面図。
【図25】図1の部分拡大図。
【図26】スライダの一動作状態を示すための図25に
対応する図。
【図27】図1の部分拡大図。
【図28】シート部材と板状シールとを示す平面図。
【図29】曲がり板ばねの平面図。
【図30】曲がり板ばねの断面図。
【図31】図29の部分拡大図。
【図32】粘性ダンパーの一動作状態を示すための図3
1に対応する図。
【図33】第2実施形態におけるフライホイール組立体
の縦断面概略図。
【図34】フライホイール組立体の一部を取り去った状
態の平面図。
【図35】フライホイール組立体の部分縦断面図。
【図36】第3実施形態におけるスライダの正面図。
【図37】スライダの断面図。
【符号の説明】
1 フライホイール組立体 2 クランクシャフト 3 クラッチカバー組立体 4 第1フライホイール 5 第2フライホイール 6 粘性ダンパー 15 ドライブプレート 16 シールプレート 17 環状流体充填室 18 ドリブンプレート 19 曲がり板ばね 21 スライダ 22 サポートリング 23 ピン 24 板状シール 25 係合プレート 27 環状シール 31 小粘性抵抗発生機構 32 スライダ収容室 33 通路 34 開閉スライダ 45 流体通過凹部 47 粘性抵抗発生空間 48 空間

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円周方向に延び流体が充填されるチャンバ
    を形成する第1回転部材と、 前記第1回転部材に相対回転可能な第2回転部材と、 前記チャンバ内に配置され、前記第1回転部材と前記第
    2回転部材とが相対回転すると円周方向に圧縮される弾
    性部材と、 前記弾性部材の円周方向両側に配置されて前記弾性部材
    を支持する1対のシート部材と、 前記1対のシート部材のそれぞれの半径方向内側端に係
    合する一端をそれぞれ有し、反対側の前記シート部材に
    向かって円周方向に延び、前記チャンバの内周部をシー
    ルするための1対の板状シールと、 前記チャンバ内に形成された粘性抵抗発生部と、を備え
    た粘性ダンパー機構。
  2. 【請求項2】前記1対の板状シールは他端同士が半径方
    向に重なっている、請求項1に記載の粘性ダンパー機
    構。
  3. 【請求項3】前記第1回転部材は前記チャンバの両側壁
    を形成する1対の円板状部を有し、 前記第2回転部材は前記第1回転部材の内周側に配置さ
    れた環状部を有し、 前記1対の板状シールの外周側で、前記1対の円板状部
    の一方の内周部と前記第2回転部材の前記環状部との間
    と、前記1対の円板状部の他方の内周部と前記第2回転
    部材の前記環状部との間とに、それぞれ配置された1対
    の環状シール部材をさらに備えた請求項1又は2に記載
    の粘性ダンパー機構。
  4. 【請求項4】円周方向に延び流体が充填されたチャンバ
    の両側壁を形成する1対の円板状部を有する第1回転部
    材と、 前記第1回転部材の内周側に配置された環状部を有し、
    前記第1回転部材に相対回転可能な第2回転部材と、 前記チャンバ内に配置され、前記第1回転部材と前記第
    2回転部材とが相対回転すると円周方向に圧縮される弾
    性部材と、 前記1対の円板状部の一方の内周部と前記第2回転部材
    の前記環状部との間と、前記1対の円板状部の他方の内
    周部と前記第2回転部材の前記環状部との間とに、それ
    ぞれ配置された1対の環状シール部材と、を備えた粘性
    ダンパー機構。
  5. 【請求項5】前記1対の環状シール部材は前記第1及び
    第2回転部材に対して半径方向に移動不能であり、 前記1対の環状シール部材に両端が係止され、前記弾性
    部材に係合することで前記弾性部材の半径方向外方への
    移動を制限する制限部材をさらに備えている、請求項3
    または4に記載の粘性ダンパー機構。
  6. 【請求項6】前記1対の環状シール部材は前記第1及び
    第2回転部材に対して回転可能である、請求項5に記載
    の粘性ダンパー機構。
  7. 【請求項7】前記1対の環状シール部材には円周方向に
    延びる切欠きが形成され、 前記制限部材は両端が前記切欠き内に挿入されている、
    請求項5または6に記載の粘性ダンパー機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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