JP3717091B2 - 摩擦抵抗発生機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦抵抗発生機構、特に、相対回転可能な2つの回転体の間で摩擦抵抗を発生させて捩じり振動を減衰するための摩擦抵抗発生機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば車輌においては、エンジン側の部材とトランスミッション側の部材との間にエンジンのトルク変動を吸収するためのダンパー機構が設けられている。ダンパー機構は、クラッチディスク組立体やフライホイールに組み込まれている。ダンパー機構は、互いに相対回転可能な入力側部材及び出力側部材と、両部材が相対回転するときにその回転を制限するように配置された弾性部材と、両部材が相対回転するときに摩擦によりヒステリシストルクを発生する摩擦抵抗発生機構とを含んでいる。
【0003】
摩擦抵抗発生機構は、たとえば複数のプレートが互いに圧接され、入力側部材と出力側部材とが相対回転するときに摺動摩擦抵抗を発生するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えばダンパー機構が設けられたフライホイール組立体では、エンジンの回転数の実用領域で発生する微小捩じり振動に対しては摩擦抵抗が小さい方が振動減衰に効果がある。また、車輌の発進及び停止時の低回転数領域で共振点を通過する際に生じる過大トルク変動に対しては、比較的大きな摩擦抵抗を発生させて振動減衰する必要がある。このように、捩じり振動の特性により異なる大きさの摩擦抵抗を発生させることが望ましい。
【0005】
また、ダンパー機構が設けられたクラッチディスク組立体では、エンジンの回転数の実用領域で発生する微小捩じり振動に対しては摩擦抵抗が小さい方が振動減衰に効果がある。ティップイン・ティップアウト(アクセルペダルを急に踏んだり離したりしたときに生じる車体の前後の大きな振動)による過大トルク変動に対しては比較的大きな摩擦抵抗を発生させて振動減衰する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、ダンパー機構に用いられる摩擦抵抗発生機構において、異なる種類の捩じり振動に対して適切なレベルの摩擦抵抗を発生させて捩じり振動を減衰することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の摩擦抵抗発生機構は、相対回転可能な2つの回転体の間で摩擦抵抗を発生させて捩じり振動を減衰するための機構であり、第1回転部材と第2回転部材とスライダと板状ばね部材とを備えている。第1回転部材は、円周方向に延びるチャンバの内壁面の少なくとも一部を形成する。第2回転部材は、第1回転部材に相対回転可能に配置され、チャンバ内に配置された係合部を有する。スライダは、チャンバ内に円周方向に移動可能に配置され、内壁面に近接する摩擦面と係合部に対向する反対側面とを有する円弧形状の本体と、本体の円周方向両側において係合部から円周方向に隙間をあけて配置された係止部とを有する。板状ばね部材は、スライダの反対側面に固定され、概ね円周方向に延び、円周方向両側部が円周方向中間部より反対側面から離れる方向に位置し係合部に当接可能である。円周方向両側部は、係合部に対して回転方向に隙間を確保して対向しており、係合部が当接すると弾性変形可能である。
【0008】
請求項1に記載の摩擦抵抗発生機構では、振幅の小さな捩じり振動に対しては、スライダは本体の摩擦面が第1回転部材により形成された内壁面に連れられて、第2回転部材の係合部に対して円周方向に相対移動を行う。このとき、スライダとともに移動する板状ばね部材は係合部に対して当接しないまたは僅かに当接するだけであるため、大きな摩擦抵抗は発生しない。振幅の大きな捩じり振動が伝達されると、捩じり角度が大きくなってスライダの係止部が係合部に当接すると、以後は第1回転部材とスライダとの間で摩擦抵抗が発生する。このとき、係合部が板状ばね部材の円周方向両側部の一方を弾性変形させる。すなわち、板状ばね部材は係合部とスライダとの間で圧縮された状態になる。この板状ばね部材の弾性力により、スライダ本体の摩擦面は第1回転部材が形成するチャンバ内壁面に強く圧接させられる。この結果、大きな摩擦抵抗が得られる。
【0009】
請求項2に記載の摩擦抵抗発生機構では、請求項1において、係合部は、第2回転部材と一体に形成された支持部と、支持部に回転可能に支持さればね部材の円周方向中間部に当接する回転部材とから構成されている。
請求項2に記載の摩擦抵抗発生機構では、振幅の小さな微小捩じり振動が入力されると、スライダは第1回転部材と一体回転し、第2回転部材に対して相対移動する。このとき、支持部に相対回転可能に係止された回転部材がばね部材の円周方向中間部によって回転させられながら円周方向に相対移動する。ここでは、回転部材は板状ばね部材に当接しているが、主に転がり摩擦が発生するのみであり、大きな摩擦抵抗は発生しない。振幅の大きな捩じり振動が入力されると、係合部を構成する回転部材が板状ばね部材の円周方向両側部の一方をスライダ側に弾性変形させていく。このように板状ばね部材がスライダと係合部との間で圧縮されることにより、スライダの摩擦面が第1回転部材が構成するチャンバ内壁面に強く圧接される。この結果、大きな摩擦抵抗が発生する。さらに、回転部材が予め板状ばね部材の円周方向中間部に当接していることにより、板状ばね部材の円周方向両側部の一方の弾性変形がスムーズに行われる。
【0010】
請求項3に記載の摩擦抵抗発生機構では、請求項2において、回転部材は支持部に対して円周方向に所定角度内で移動可能に係止され、板状ばね部材は弧状に湾曲している。
請求項3に記載の摩擦抵抗発生機構では、捩じり角度の小さな捩じり振動が入力されると、スライダは第2回転部材に対して円周方向に移動する。このとき、回転部材はスライダととともに円周方向に移動するが、第2回転部材の支持部に対して自ら回転しながら円周方向に移動するため、第1回転部材と第2回転部材との間は大きな摩擦抵抗が発生しにくい。振幅の大きな捩じり振動が入力されると、回転部材は支持部に対して円周方向移動不能に係止され、続いて回転体が板状ばね部材の円周方向両側部の一方をスライダの本体側に弾性変形させる。この結果、板状ばね部材の弾性力によりスライダ本体の摩擦面が第1回転部材の構成するチャンバ内壁面に強く圧接される。この結果、大きな摩擦抵抗が発生する。
【0011】
ここでは、回転部材が支持部に対して円周方向に所定角度内で移動可能に係止されているため、板状ばね部材をたとえば滑らかに湾曲させても微小捩じり振動伝達時に板状ばね部材が弾性変形しにくい。板状ばね部材が滑らかに湾曲した弧状形状である場合は、回転体がスムーズに板状ばね部材を弾性変形させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態としてのフライホイール組立体を示している。フライホイール組立体は、エンジンのクランクシャフト(図示せず)から伝達されたトルクを、クラッチディスク及びクラッチカバー組立体を介してトランスミッション側に伝達するための装置である。図1のO−Oがフラホイール組立体の回転軸線である。図1の左側をエンジン側とし図1の右側をトランスミッション側とする。また、図2において回転方向R1 をエンジンの回転方向(正側回転方向)とし、回転方向R2 を回転反対方向(負側回転方向)とする。
【0013】
フライホイール組立体は、入力側の第1フライホイール1と、この第1フライホイール1に軸受5を介して回転自在に支持された出力側の第2フライホイール6と、第1フライホイール1と第2フライホイール6との間に配置されたダンパー機構60とから主に構成されている。第1フライホイール1はエンジンのクランクシャフトに固定され、第2フライホイール6にはクラッチ7が装着されるようになっている。
【0014】
第1フライホイール1は、概ね円板状の部材であり、中心部に配置されエンジンのクランクシャフト(図示せず)にボルト18により固定されるボス部1aと、これに連続して形成され半径方向外方に延びる側板部1bと、側板部1bの外周側に連続して形成されたフライホイール部1cとから構成されている。ボス部1aはトランスミッション側に突出しており、その外周に軸受5を介して第2フライホイール6が回転自在に支持されている。また、軸受5はボス部1aのためにねじ22により装着されたプレート19により固定されている。側板部1bに対向して、ストッパープレート2が所定間隔を隔てて配置されている。ストッパープレート2はボルト33により側板部1bに着脱自在に固定されている。そして、側板部1b及びストッパープレート2間に、ダンパー機構60が配置されている。ダンパー機構60は、ピン等によってユニット化されており、ボルト3を取り外すことにより、側板部1bに対して容易に着脱可能である。
【0015】
第2フライホイール6は、概ね円板状の部材であり、中心部に配置されたボス部6aと、これに連続して形成され半径方向に延びる圧接部6bと、圧接部6bの外周側に連続して形成されたクラッチ取付部6cとから構成されている。ボス部6aはトランスミッション側に突出しており、その内周面が軸受5に支持されている。また、ボス部6aの外周部には、図2に示すように、ダンパー機構60の一部が連結される波型外歯14が形成されている。圧接部6bのトランスミッション側の面には、クラッチ7を構成するクラッチディスク11の摩擦フェーシングが圧接する摩擦面6dが形成されている。この摩擦面6dは、ボス部6aの同じ側の面より軸方向に突出している。第2フライホイール6には、摩擦面6dより内周側に、エンジン側とトランスミッション側とを貫通する貫通孔53が形成されている。
【0016】
クラッチ取付部6cの端面には、クラッチ7を構成するクラッチカバー組立体8が装着される。クラッチカバー組立体8は、カバー8a、プレッシャプレート9及びダイヤフラムスプリング10から構成されている。また、クラッチカバー8内にはクラッチディスク11が配置される。
次にダンパー機構60について説明する。
【0017】
ダンパー機構60は、1対の板状円板状部材から構成される出力側のドリブンプレート12(第2回転部材)を有している。ドリブンプレート12の内周部には、図2に示すように、第2フライホイール6のボス部6aに形成された波型外歯14に噛み合う波型内歯13が形成されている。この係合により、ドリブンプレート12と第2フライホイール6とが一体回転する。
【0018】
ドリブンプレート12には、図2に示すように、回転方向に所定の間隔で複数の窓孔15が形成されている。また、窓孔15に対応する位置には、側板部1b及びストッパープレート2においてそれぞれ凹部16及び17が形成されている。窓孔15及び凹部16,17内にはコイル形状のトーションスプリング20が回転方向圧縮可能に配置されている。トーションスプリング20は、その両端部に配置されたスプリングシート21を介して窓孔15の円周方向両端面に当接している(凹部16,17に関しても同様である)。なお、ドリブンプレート12は、後述の摩擦抵抗発生機構70の一部も構成している。
【0019】
以上の構成により、入力側の第1フライホイール1及びストッパープレート2は、トーションスプリング20を介してドリブンプレート12すなわち第2フライホイール6にトルク伝達可能に連結されている。
第1フライホイール1とストッパープレート2とが形成する環状空間内において、ドリブンプレート12の半径方向外方に、摩擦抵抗発生機構70が配置されている。摩擦抵抗発生機構70は、入力側部材と出力側部材とが相対回転するときに所望の抵抗を発生させるための機構である。摩擦抵抗発生機構70は、ハウジング30と、ハウジング30内に配置されたスライダ35とを有している。
【0020】
ハウジング30(第1回転部材)は、側板部1b及びストッパープレート2によって挟持された環状の部材(図3)である。ハウジング30は、円周方向に延びる複数の弧状ハウジング部材30Aから構成されている。ハウジング部材30Aは側壁30aとそこから軸方向に延びる内側環状突起30b及び外側環状突起30cからなる断面コの字形状であり、2個で合わさって断面四角形状の環状空間を形成している。ハウジング30は、各ハウジング部材30Aのダム部30dを重ね合わせた状態でピン挿通孔32にピン33を挿入することで、各ハウジング部材30A同士を半径方向及び軸方向に連結されて構成されている。また、前述のボルト3はピン33が挿入されていないピン挿通孔32を貫通している。これにより、ハウジング30は第1フライホイール1とともに入力側の部材として回転する。ダム部30dは前記環状空間の大半を閉鎖するように形成されているが、内側環状突起30cとの間に隙間を確保している。ハウジング30内は、円周方向に所定の間隔を隔てて複数のダム部30cにより、複数の弧状室(チャンバ)に分割されている。内側環状突起30bの軸方向間には隙間が形成され、これはハウジング30の半径方向内側開口となっている。内側環状突起30bはドリブンプレート12の外周部両面に形成された環状溝31に嵌合することにより、ハウジング30内を密封している。すなわち、ドリブンプレート12は外周縁がハウジング30内に配置されていることになる。
【0021】
ドリブンプレート12の外周面とダム部30dの半径方向内側面との間にはわずかな隙間が確保されている。ハウジング30内の各弧状室内には、ドリブンプレート12から半径方向外方に延びる係合部36が挿入されている。
各弧状室内では、スライダ35が円周方向にスライド可能に配置されている。スライダ35は半径方向内方側が開口する箱状に形成された部材であり、全体がハウジング30の外周側内壁面30eに沿う円弧形状に形成されている。スライダ35の本体35aは、半径方向外方に形成されハウジング35の外周側内壁面30eに当接可能な摩擦面35Aを有している。本体35aの内周側は、反対側面35Bとなっている。スライダ35の円周方向両側は、係合部36に当接可能な係止部35bとなっている。係止部35bの半径方向内側部分には、円周方向に連通する開口部50が形成されている。
係止部35bの円周方向内側には、凹部35cが形成されている。凹部35cの半径方向内外には突出部35d,35eがそれぞれ形成されている。
【0022】
スライダ35の内側(反対側面35B側)には、概ね円周方向に細長く延びる板状ばね部材71が固定されている。板状ばね部材71は、捩じり角度の大きな範囲でスライダ35をチャンバ30の外周側内壁面に圧接させるための部材である。板状ばね部材71は、主に、円周方向中間部72と、円周方向中間部72の両側に形成された円周方向両側部73とを有している。中間部72は、スライダ35の本体35aの反対側面35Bにほぼ沿って延びている。円周方向両側部73は、端部が凹部35c内において突出部35eに当接している。すなわち、円周方向両側部73は円周方向中間部72より半径方向内側に配置されている。円周方向両側部73と中間部72との間には両者を連結する連結部74が設けられている。連結部74及び両側部73は中間部72から斜め方向に折り曲げられたように延びている。中間部72から見て、円周方向外側に開く角度は、両側部73が連結部74より大きくなっている。図4から明らかなように、連結部74及び両側部73は、ドリブンプレート12の係合部36に対して半径方向に係合可能になっている。また、係合部36と連結部74との間には角度θ1 及び角度θ2 が確保されている。この角度θ1 ,θ2 は実用運転領域における微小捩じり振動の動作角範囲内になっていることが望ましい。
【0023】
次に、上述の実施例の動作について説明する。
エンジンからトルクが入力されると、第1フライホイール1のトルクは、ダンパー機構60を介して第2フライホイール6に伝達される。ダンパー機構60においては、第1フライホイール1及びストッパープレート2がトーションスプリング20を押し、トーションスプリング20がドリブンプレート12を押すことでトルクが伝達される。
【0024】
運転中にトルク変動が入力されると、第1フライホイール1及び第2フライホイール2が相対回転し、このときトーションスプリング20が圧縮され、摩擦抵抗発生機構70で摩擦抵抗が発生する。この結果、捩じり振動が速やかに減衰される。
捩じり振動が入力された際の摩擦抵抗発生機構70の動作についてさらに詳細に説明する。なお、以下の捩じり動作の説明は、説明の便宜上、ハウジング30を他の部材に固定し、それに対してドリブンプレート12を回転させていく動作として説明する。
【0025】
エンジンの実用回転数領域における振幅の小さな微小捩じり振動が入力されると、ドリブンプレート12はチャンバ30に対して相対回転する。このとき、スライダ35は遠心力によりチャンバ30の外周側内壁面30eに圧接され、チャンバ30と一体回転する。そのため、スライダ35とドリブンプレート12との間で相対回転が生じる。捩じり振動の動作角度範囲がθ1 、θ2 の範囲にあると、ドリブンプレート12の係合部36が板状ばね部材70の連結部74または円周方向両側部73に当接しない。ここでは、大きな摩擦抵抗が発生せず、微小捩じり振動が効果的に吸収・減衰される。
【0026】
エンジンの低回転数領域における振幅の大きな大捩じり振動が入力されると、ドリブンプレート12がチャンバ30に対して例えば回転方向R2 側に移動する。係合部36は、板状ばね部材74に当接し、回転方向R2 側の連結部74及び円周方向両側部73を弾性変形させる。これにより、図5に示すように、係合部36はスライダ35の係止部35bに当接し、スライダ35をR2 側に移動させていく。このとき、スライダ35の摩擦面35Aとチャンバ30の外周側内壁面30eとの間で摩擦抵抗が発生する。特に、図5に示すように、板状ばね部材71の回転方向R2 側の連結部74及び円周方向両側部73が半径方向に圧縮されているため、板状ばね部材71の反発力により、スライダ35の本体35aの摩擦面35Aはチャンバ30の外周側内壁面30eに強く圧接されている。この結果、大きな摩擦抵抗すなわちヒステリシストルクが得られる。
【0027】
ドリブンプレート12がチャンバ30に対して回転方向R2 側に移動した場合にも、同様な効果が得られる。
第2実施形態
図6に示す摩擦抵抗発生機構70では、係合部36は、支持部36aとローラー80とから構成されている。支持部36aには、ローラー80を回転自在に支持するための凹部が形成されている。ローラー80はフライホイール組立体の回転軸方向に延び、回転軸線もフライホイール組立体回転軸と平行になっている。ローラー80は、半径方向外側部が板状ばね部材71の中間部72に当接している。
【0028】
微小捩じり振動伝達時には、ローラー80はドリブンプレート12とともに円周方向に移動する。このときローラー80は板状ばね部材71に当接して回転しながら円周方向に移動する。そのため、大きな摩擦抵抗は発生しにくい。振幅の大きな大捩じり振動が入力されると、図7に示すように、ローラー80は回転方向R2 側の連結部74及び円周方向両側部73を弾性変形させる。ローラー80による連結部74の弾性変形はスムーズに行われる。この理由は、ローラー80が板状ばね部材71に対して最も近接しているためである。
第3実施形態
図8に示す抵抗発生機構では、係合部36においてローラー84を支持する支持部82,83には、ローラー84から円周方向に角度θ1 ,θ2 だけ離れている。すなわち、ローラー84は、支持部81,82の間で所定角度だけ自ら回転しながら相対移動可能である。板状ばね部材71は、弧状に湾曲しており、その円周方向中間部内側面にローラー84が当接している。
【0029】
振幅の小さな微小捩じり振動(例えば角度θ1 θ2 内)が入力されると、ドリブンプレート12は、スライダ35及び板状ばね部材71に対して相対回転を行う。このとき、ローラー84は板状ばね部材72とともに円周方向に移動する。ここでは、ローラー84はドリブンプレート12の外周面83と板状ばね部材71に当接しているが、自ら回転しながら円周方向に移動するため、大摩擦抵抗は発生しにくい。
【0030】
振幅の大きな捩じり振動が入力されると、図8の状態から図9の状態に移行し、支持部81がローラー84に当接する。この状態からさらにドリブンプレート12が回転方向R2 側に回転すると、図9から図10の状態に移行し、ローラー84が板状ばね部材71の回転方向R2 側端部を徐々に弾性変形させていく。
板状ばね部材71が滑らかに湾曲された円弧形状であるため、板状ばね部材71の弾性変形がスムーズに行われる。また、板状ばね部材71からスライダ35へ作用する力は徐々に大きくなるため、スライダ35と内壁面30eとの間で生じる摩擦抵抗は徐々に大きくなる。
【0031】
このように板状ばね部材71を滑らかに湾曲させることができたのは、ローラー84をドリブンプレート12に対して微小捩じり角範囲内で相対回転可能にしたためである。ローラー84がドリブンプレート12側に固定されているケースで板状ばね部材71を滑らかに湾曲させしまうと、微小捩じり振動伝達時にも板状ばね部材が弾性変形し大きな摩擦抵抗を発生してしまう。
第4実施形態
前記全ての実施形態ではチャンバ30内には何も充填されていないが、たとえばグリス等の粘性流体を充填してもよい。
【0032】
微小捩じり振動伝達時には、スライダ35の内外では開口50を通じて流体が移動する。このときに大きな粘性抵抗は発生しない。大捩じり振動伝達時において係合部36がスライダ35の係止部35bに当接すると、開口50が閉鎖された状態(図5、7、10)になる。この状態で捩じり角度がさらに大きくなると、スライダ35とその回転方向R2 側にあるダム部30dとの空間が縮小され、ダム部30dとドリブンプレート12の外周面との間の隙間を通って流体が流れる。このとき大きな粘性抵抗が発生する。
【0033】
この実施形態では、前述の摩擦抵抗に加えて大きな粘性抵抗を得ることができ、振幅の大きな大捩じり振動を速やかに減衰可能である。また、粘性流体が充填されていることにより、チャンバ30とスライダ35との間の抵抗が大きくなっている。その結果、係合部36がたとえば連結部74に当接した際に、連結部74や円周方向両側部73が弾性変形しやすい。
〔変形例〕
ダンパー機構60のチャンバは、チャンバ30ではなく第1フライホイール及びストッパープレートにより構成されてもよい。
【0034】
この摩擦抵抗発生機構は、フライホイール組立体に限定されず、他のダンパー機構に用いてもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係る摩擦抵抗発生機構では、捩じり角度の大きな範囲で板状ばね部材は係合部とスライダとの間で圧縮され、スライダ本体を第1回転部材が形成するチャンバ内壁面に強く圧接する。この結果、大きな摩擦抵抗が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が採用されたフライホイール組立体の縦断面概略図。
【図2】ダンパー機構の部分平面図。
【図3】抵抗発生機構の分解斜視図。
【図4】図2の部分拡大図。
【図5】抵抗発生機構の動作状態を示す、図4に対応する図。
【図6】第2実施形態における図4に対応する図。
【図7】第2実施形態の動作状態を示す、図6に対応する図。
【図8】第3実施形態における、図4に対応する図。
【図9】第3実施形態における動作状態を示す、図8に対応する図。
【図10】第3実施形態における動作状態を示す、図8に対応する図。
【符号の説明】
12 ドリブンプレート
30 チャンバ
35 スライダ
35a 本体
35b 係止部
35A 摩擦面
35B 反対側面
71 板状ばね部材
72 円周方向中間部
73 円周方向両側部

Claims (3)

  1. 相対回転可能な2つの回転体の間で摩擦抵抗を発生させて捩じり振動を減衰するための摩擦抵抗発生機構であって、
    円周方向に延びるチャンバの内壁面の少なくとも一部を形成する第1回転部材と、
    前記第1回転部材に相対回転可能に配置され、前記チャンバ内に配置された係合部を有する第2回転部材と、
    前記チャンバ内に円周方向に移動可能に配置され、前記内壁面に近接する摩擦面と前記係合部に対向する反対側面を有する円弧形状の本体と、前記本体の円周方向両側において前記係合部から円周方向に隙間をあけて配置された係止部とを有するスライダと、
    前記スライダの前記反対側面に固定され、概ね円周方向に延び、円周方向両側部が円周方向中間部より前記反対側面から離れる方向に位置し前記係合部に当接可能であり、前記円周方向両側部は、前記係合部に対して回転方向に隙間を確保して対向しており、係合部が当接すると弾性変形可能である、板状ばね部材と、
    を備えた摩擦抵抗発生機構。
  2. 前記係合部は、前記第2回転部材と一体に形成された支持部と、前記支持部に回転可能に係止され前記ばね部材の前記円周方向中間部に当接する回転部材とから構成されている、請求項1に記載の摩擦抵抗発生機構。
  3. 前記回転部材は前記支持部に対して円周方向に所定角度内で移動可能に係止され、前記ばね部材は弧状に湾曲している、請求項2に記載の摩擦抵抗発生機構。
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