JPH10103008A - 蒸気タービンの静翼ヒーティング方法 - Google Patents
蒸気タービンの静翼ヒーティング方法Info
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Abstract
身から得るようにしてその蒸気供給系統をシンプル化
し、併せて静翼ヒーティングの蒸気量を低圧段部の蒸気
状態に対応して適正に調整制御し、タービン効率の向上
を図る。 【解決手段】動翼のエロージョン防止対策として、低圧
段動翼4aの前に位置する静翼4bを高温蒸気で加熱し
てその翼表面に液滴が発生するのを防ぐ静翼ヒーティン
グ方法において、高圧段前の軸封パッキン5から抽出し
た高温,低圧のリーク蒸気をヒーティング蒸気として利
用し、そのリーク蒸気を中空の静翼の内部に流して加熱
し、その排気蒸気を低圧段落に放流する。また、静翼に
導入するリーク蒸気量を、コントロール弁11を介して
センサ13で検出した蒸気状態に対応して制御するよう
にし、さらにリーク蒸気供給ラインの分岐ライン10a
を通じて静翼ヒーティングの停止時にはリーク蒸気を中
圧段部に導入する。
Description
翼に生じるエロージョンの防止対策として行う静翼ヒー
ティング方法に関する。
高温,高圧の主蒸気は、タービン内部で熱エネルギーが
運動エネルギーに変換され、タービンの運転条件によっ
ては低圧段落が湿り蒸気域になる。一方、前記の湿り蒸
気域で作動する低圧段落の動翼には、次記のような現象
でエロージョンが発生し易く、このエロージョン防止対
策が蒸気タービンの重要な技術課題の一つになってい
る。すなわち、低圧段落の動翼(例えば最終段の動翼)
の前に位置する静翼の表面には、湿り蒸気が衝突して集
積,あるいは凝縮して生じた水滴が水膜となって静翼の
表面を流れ、その翼の後縁から蒸気の流れにより引きち
ぎられて流出した水滴が大きな相対速度で動翼の流入端
に衝突して翼の表面を浸食し、損傷を与える。
りドレンキャッチャーと称する水滴分離構造をタービン
の各段落に設ける、あるいは低圧部の最終段,またはそ
の前段の静翼腹面にドレン溝を加工して水滴を除去する
方法のほかに、静翼ヒーティング法と称して、蒸気の湿
り度が大きくなる最終段の静翼を加熱し、静翼の表面温
度を周囲の蒸気圧に相当する飽和蒸気温度よりも高い温
度に維持することにより、静翼表面での蒸気の凝縮を防
いで極力乾燥状態に維持する方式などが知られている。
て、従来では補助ボイラなど蒸気タービン自身以外の系
統から抽出した蒸気を使用し、そのヒーティング蒸気を
中空翼として作られた静翼の内部に流して翼を加熱し、
その排気蒸気を静翼からそのままタービンの低圧段落へ
放流するようにした方式が知られている。
ィングの熱源として外部の蒸気源から得た蒸気をヒーテ
ィング蒸気としてタービンの低圧段の静翼に導入する場
合に、静翼から排出する蒸気をそのままタービン内の低
圧段落に放流すると、タービンロータを加速させる危険
ががあることから、その蒸気条件として比較的低圧で高
温な蒸気が求められる。
気系統から静翼ヒーティングに使用する蒸気を得る場合
には、蒸気の温度,圧力の面で前記条件に合った蒸気を
作り出さなけれはならず、結果としてヒーティング蒸気
の供給系統が複雑化して高価なシステムとなる。また、
低圧段部の蒸気状態は蒸気タービンの運転条件によって
変化し、例えば高出力運転時のようにタービンに多量の
主蒸気を導入する運転時では、低圧段落を流れる主蒸気
の状態が過熱域となって、動翼にエロージョンが生じな
い場合がある。しかし、従来の静翼ヒーティング方法で
は、タービンの運転条件に関係なくタービンの稼働中は
ヒーティング蒸気を常時供給しており、このために外部
の蒸気源から供給する蒸気が無駄に消費されていた。
であり、その目的は前記課題を解決し、静翼ヒーティン
グに使用する蒸気を外部の蒸気源から求めることなく、
蒸気タービン自身から得るようにしてヒーティング蒸気
の供給系統をシンプル化し、併せて静翼ヒーティングの
蒸気量を低圧段部の蒸気状態に対応して適正制御し、タ
ービン効率の向上が図れるようにした静翼ヒーティング
方法を提供することにある。
り次記の方法で達成することができる。 1)静翼ヒーティングに用いる蒸気として、タービンの
高圧段前の軸封パッキンから抽出した高温,低圧のリー
ク蒸気を利用し、そのリーク蒸気を中空翼としてなる前
記静翼の内部に流して加熱し、その排気蒸気をタービン
の低圧段落に放流するようにする。
トロール弁を介して静翼に導入し、かつ低圧段部の蒸気
状態を監視するセンサの検出信号を基に静翼に流すリー
ク蒸気量を制御するようにする。 3)前項2)において、リーク蒸気供給ラインの途中か
ら分岐してタービンの中圧段落に開口する分岐ラインを
設け、静翼ヒーティングの休止時には前記分岐ラインを
通じてリーク蒸気をタービン内部に導入する。
気のうち、高圧段前の軸封パッキン(ラビリンスパッキ
ン)から漏れ出るリーク蒸気を利用して静翼ヒーティン
グを行うことにより、タービンの保安上でロータを加速
させる危険が防げる。この場合に、ラビリンスパッキン
から漏れ出た高圧段前のリーク蒸気は比較的低圧な高温
蒸気であって静翼のヒーティング蒸気としては適正な条
件を備えている。また、リーク蒸気を利用することによ
り、蒸気タービン以外の外部の蒸気源(例えば補助ボイ
ラ)などからヒーティング蒸気を得る方式と比べてシン
プルな蒸気供給系統で対応できる。
静翼に流すリーク蒸気の流量をタービンの運転条件,つ
まり低圧段落の蒸気状態(温度,圧力)に対応してコン
トロールすることにより静翼ヒーティングが適正に行
え、併せて静翼ヒーティングの停止時にリーク蒸気を分
岐ラインを通じてタービンの中圧段落に導入すること
で、リーク蒸気の熱エネルギーがタービンの動力発生に
有効活用されてタービン効率が一段と向上するようにな
る。
づいて説明する。図1は本発明による静翼ヒーティング
方式を実施するリーク蒸気の供給系統図、図2(a),(b)
はヒーティングを行う静翼部分の詳細構造図である。各
図において、1は蒸気タービンのロータ、2,3,4は
それぞれ高圧段部,中圧段部,低圧段部、5は高圧段前
の軸封パッキン(ラビリンスパッキン)、6,7は高
圧,低圧側のグランドシールパッキン、8は主蒸気閉塞
弁、9は蒸気加減弁であり、高圧段前の軸封パッキン5
の出口側にはリーク蒸気抽出ポート5aが形成され、こ
こから引出したリーク蒸気供給ライン10がコントロー
ル弁11を介して低圧段部4の最終段動翼4aの前に位
置する静翼4bとの間に配管されている。また、リーク
蒸気供給ライン10の途中(コントロール弁11の上流
側)からは中圧段部3との間に分岐ライン10aが分岐
配管されている。なお、12はコントロール弁11の調
節部であり、タービン内部の低圧段部4における蒸気状
態を監視する温度・圧力センサ13の検出信号を基にコ
ントロール弁11の弁開度を制御し、ここを流れるリー
ク蒸気の流量を調節するようにしている。なお、コント
ロール弁11は絞りを内蔵した減圧流量制御弁である。
ィングを行う静翼4bは中空翼であり、その中空内部に
は仕切り壁を境に蒸気の往復流路が形成されている。ま
た、静翼4bの根元側の静翼ホルダ4b-1,先端側のシ
ュラウド4b-2も中空リングとして作られ、かつ静翼ホ
ルダ4b-1には周上に並ぶ各静翼4bの内部蒸気通路に
通じる蒸気導入室,排出室が画成されており、排出室は
最終段の動翼4aに向けて下流側に開放している。そし
て、静翼ホルダ4b-1の蒸気導入室に前記したリーク蒸
気供給ライン10が接続されている。
は、蒸気加減弁9を通じてタービン内部に導入した高
温,高圧(例えば120〜130ata)の主蒸気の一部が
ケーシングの高圧室から軸封パッキン5を通じて漏出
し、リーク蒸気抽出ポート5aを通じてリーク蒸気供給
ライン10に取り出される。この場合にリーク蒸気は軸
封パッキン5(ラビリンスパッキン)を通過することで
圧力が15〜30ata 程度に低下する。
の低圧段部4に並ぶ前記静翼4bの周囲の蒸気状態(温
度,圧力)が温度・圧力センサ13を介して調節部12
で監視されており、その検出信号を基に静翼ヒーティン
グを必要とする湿り度の高い運転状態では、調節部12
から指令でコントロール弁11を開き、コントロール弁
で供給ライン10を流れるリーク蒸気を5ata 程度に減
圧した上で静翼4bの内部に流して翼自身を加熱し、そ
の排気蒸気を静翼ホルダ4b-1から最終段の動翼4aに
向けて放流する。これにより、静翼4bの表面温度が上
昇して主蒸気の凝縮による水滴の発生が無くなり、湿り
蒸気域でも最終段の動翼4aに対するエロージョンの発
生を防止できる。
低圧段部4を流れる主蒸気の状態が過熱蒸気域である運
転状態では、動翼4aにエロージョンの発生するおそれ
がないので、静翼ヒーティングが不要である。そこでこ
の場合には、調節部13の指令でコントロール弁11を
閉じて静翼4bへのリーク蒸気導入を停止するととも
に、リーク蒸気を供給ライン10の途中から分岐ライン
10aを通じてタービンの中圧段部3(主蒸気の圧力が
リーク蒸気の圧力よりも若干低い段落)に導入し、主蒸
気と合流して動力発生に使われる。これにより、タービ
ン効率が一段と向上する。
ィング方法によれば、静翼ヒーティングに用いるヒーテ
ィング蒸気を蒸気タービンの高圧前から軸封パッキンを
通じて漏れ出す比較的低圧で高温なリーク蒸気を利用す
ことで、従来のように外部の蒸気源からヒーティング蒸
気を得るようにした方式と比べて、ヒーティング蒸気の
供給系統がシンプル化するほか、タービン内に導入した
ヒーティング蒸気によりロータが加速する保安上の危険
も防げる。
ル弁を接続し、静翼ヒーティング時に導入するリーク蒸
気量を低圧段部における静翼周囲の蒸気状態に対応して
調整することにより、静翼ヒーティングが適正な条件で
行える。さらに、タービンの運転条件でエロージョン発
生のおそれがない過熱域の蒸気状態では静翼ヒーティン
グを停止するとともに、リーク蒸気を分岐ラインを通じ
てタービンの中圧段部に導入することで、タービン効率
の向上を図ることができる。
リーク蒸気の供給系統図
タービンの低圧段部の断面図、(b) はヒーティングを行
う静翼の部分断面斜視図
Claims (3)
- 【請求項1】動翼のエロージョン防止対策として、湿り
蒸気域で作動する低圧段動翼の前に位置する静翼を高温
蒸気で加熱し、該静翼の表面に液滴が発生するのを防ぐ
ようにした蒸気タービンの静翼ヒーティング方法におい
て、タービンの高圧段前の軸封パッキンから抽出した高
温,低圧のリーク蒸気を静翼のヒーティング蒸気として
利用し、そのリーク蒸気を中空翼としてなる前記静翼の
内部に流して加熱し、その排気蒸気をタービンの低圧段
落に放流するようにしたことを特徴とする蒸気タービン
の静翼ヒーティング方法。 - 【請求項2】請求項1記載の静翼ヒーティング方法にお
いて、リーク蒸気をコントロール弁を介して静翼に導入
し、かつ低圧段部の蒸気状態を監視するセンサの検出信
号を基に静翼に流すリーク蒸気量を制御するようにした
ことを特徴とする蒸気タービンの静翼ヒーティング方
法。 - 【請求項3】請求項2記載の静翼ヒーティング方法にお
いて、リーク蒸気供給ラインの途中から分岐してタービ
ンの中圧段落に開口する分岐ラインを設け、静翼ヒーテ
ィングの休止時には前記分岐ラインを通じてリーク蒸気
をタービン内部に導入することを特徴とする蒸気タービ
ンの静翼ヒーティング方法。
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