JP2010151056A - 蒸気タービン - Google Patents

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Abstract

【課題】復水損失を低減して、湿り損失の低減を図ることができる蒸気タービンを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る蒸気タービン200では、段落入口における蒸気条件が乾き域にあり、段落出口における蒸気条件が湿り域にあるタービン段落に、微小粒子を含む流体を供給する流体供給手段10を具備する。
【選択図】図2

Description

本発明は、湿り損失を低減可能な蒸気タービンに係り、特に湿り損失のうちの復水損失を低減可能な蒸気タービンに関する。
蒸気タービンの更なる性能向上を実現するためには、蒸気タービン特有の湿り損失を低減する必要がある。この湿り損失は、復水損失(微小水滴が発生する際の熱力学的損失)、制動損失(水滴が動翼に衝突することによる損失)、加速損失(蒸気が水滴を加速する際の摩擦損失)の大きく3つの損失に分類することができる。
従来の湿り損失の低減方法は、主に水分を除去することを目的としている。従来においては、例えば、動翼の遠心力によって外周壁面に飛ばされた水滴を効果的に分離して除去するドレンキャッチャ、ノズル内部を中空にしてノズル翼面と壁面に形成される水膜を吸引して粗大な水滴の発生を抑制するスリットやドレンセパレータなどを用いて湿り損失の低減を抑制していた(例えば、非特許文献1参照。)。
ターボ機械協会編「蒸気タービン」179頁〜180頁
しかしながら、上記した従来の湿り損失の低減方法では、水分を分離して除去するため、湿り損失の中の制動損失や加速損失の低減には寄与するが、水滴が発生する際に生じる復水損失を低減する効果は得られなかった。
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、復水損失を低減して、湿り損失の低減を図ることができる蒸気タービンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、静翼および動翼の翼列で構成される複数のタービン段落を備えた蒸気タービンであって、段落入口における蒸気条件が乾き域にあり、段落出口における蒸気条件が湿り域にあるタービン段落に、微小粒子を含む流体を供給する流体供給手段を具備することを特徴とする蒸気タービンが提供される。
本発明の蒸気タービンによれば、復水損失を低減して、湿り損失の低減を図ることができる。
以下、本発明の一実施の形態を図を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の流体供給手段10を備えた蒸気タービン200の断面図である。
図1に示すように、蒸気タービン200は、例えば、内部ケーシング210とその外側に設けられた外部ケーシング211とから構成される二重構造のケーシングを備えている。また、内部ケーシング210内にタービンロータ212が貫設されている。このタービンロータ212には、周方向に並んで複数のタービン動翼220が植設され、タービンロータ212の軸方向に複数段設けられている。また、内部ケーシング210の内側面には、タービンロータ212の軸方向にタービン動翼220と交互になるように、静翼として機能するノズル230が配設されている。このノズル230からなるノズル翼列と、このノズル翼列の直下流側のタービン動翼220からなる動翼翼列とによって、1つのタービン段落を構成している。
蒸気タービン200には、蒸気入口管214が接続されており、ここから低圧蒸気が直列に配列された各タービン段落へと導入される。
また、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落と、このタービン段落の上流側のタービン段落との段落間には、段落間の蒸気通路に、微小粒子を含む流体を供給する流体供給手段10が設けられている。
ここで、乾き域とは、h−s線図において飽和蒸気線よりも上方の領域をいい、湿り域とは、h−s線図において飽和蒸気線よりも下方の領域をいう。また、蒸気タービンにおける蒸気条件は、蒸気タービンにおけるh−s線図上の膨張線が、上記した乾き域にあるか、または湿り域にあるかで定められる。また、h−s線図上における膨張線は、タービン各段落における蒸気の状態量を示すもので、飽和蒸気線より上方の乾き域では圧力と温度から、飽和蒸気線より下方の湿り域では圧力と湿り度から、膨張線の位置を特定することができる。
なお、蒸気タービン200の構成は、上記した構成に限定されるものではない。例えば、タービン段落の数やケーシングなどの構成は適宜変更可能である。
次に、流体供給手段10の構成について説明する。
図2は、本発明に係る第1の実施の形態の流体供給手段10を備えた蒸気タービン200における、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落付近の断面を示す図である。ここで、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落を240a、このタービン段落を240aを構成するタービン動翼を220a、ノズルを230aと示す。また、タービン段落240aの直上流のタービン段落を240b、このタービン段落240bを構成するタービン動翼を220b、ノズルを230bと示す。
図2に示すように、流体供給手段10は、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落240aと、その直上流のタービン段落240bとの間の内部ケーシング210に形成された貫通口11と、この貫通口11の一端に接続され、微小粒子を含む流体を導く配管12とを備えている。微小粒子を含む流体を蒸気通路内に均一に分散させるため、貫通口11および配管12は、内部ケーシング210の周方向に所定の間隔をあけて複数設けられることが好ましい。
ここで、微小粒子を含む流体は、湿り蒸気、またはプラスチック系の微粒子(例えば、ポリスチレンやポリプロピレンの微粒子)を含む蒸気で構成される。微小粒子を含む流体を湿り蒸気で構成する場合、微小粒子は水滴である。この場合、湿り蒸気の湿り度が0.05以下であることが好ましい。湿り蒸気の湿り度が0.05以下であることが好ましいのは、湿り度が0.05を超えると、水滴が粗大水滴に成長しやすくなり、湿り損失やエロージョンが増加するからである。また、水滴の成長の容易性の理由から、湿り蒸気の湿り度の下限値は、0.01であることが好ましい。なお、湿り蒸気に含まれる水滴の平均粒径は、0.05μm〜2μm程度である。ここでいう平均粒径は、相対粒子量の50%径で定義されるメディアン径である。また、水滴の平均粒径は、例えば、水滴にレーザ光を照射して、水滴からの散乱光の強度や角度の情報によって測定することが可能である。
一方、微小粒子を含む流体をプラスチック系の微粒子を含む蒸気で構成する場合、蒸気として、湿り度が0.05以下の湿り蒸気、乾き飽和蒸気または過熱蒸気が用いられる。プラスチック系の微粒子の平均粒径は、0.1μm〜2μmであることが好ましい。この平均粒径の範囲が好ましいのは、平均粒径が0.1μmより小さい場合には、粒子の回収が困難になる可能性があり、2μmより大きい場合には、粒子の周りに付着する水滴によって100μm以上の粗大粒子に成長する確率が高くなり、エロージョンの原因となる可能性があるからである。なお、例えば、ポリスチレンなどのプラスチック系の微粒子の平均粒径は、例えば、微粒子にレーザ光を照射して、微粒子からの散乱光の強度や角度の情報によって測定することが可能である。また、ここでいう平均粒径は、相対粒子量の50%径で定義されるメディアン径である。なお、プラスチック系の微小粒子としては、粒子径のばらつきが小さく、種々の粒子径の製品が市販されているポリスチレン粒子やポリプロピレン粒子などを使用することが好ましい。
なお、微小粒子を含む流体をプラスチック系の微粒子を含む蒸気で構成する場合、配管12の一部、または配管12の上流側に、蒸気とプラスチック系の微粒子とを混合する混合部(図示しない)が備えられる。
上記した微小粒子を含む流体を流体供給手段10によって蒸気通路内に噴出するため、微小粒子を含む流体の圧力は、蒸気通路を流動する主蒸気の圧力よりも高く設定される。微小粒子を含む流体の圧力を、例えば、主蒸気の圧力の1.05倍以上に設定することが好ましい。また、上記した蒸気として、例えば、上流段落から抽気した蒸気などを用いることができる。
次に、第1の実施の形態の蒸気タービン200の動作について説明する。
蒸気入口管214を経て、蒸気タービン200内に流入した低圧の主蒸気は、各タービン段落のノズル230とタービン動翼220との間の蒸気通路を通り、タービンロータ212を回転させる。また、主蒸気が各タービン段落を通過する際、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落240aの上流側に設けられた貫通口11の他端から、配管12によって外部から導かれた微小粒子を含む流体が、蒸気通路内に噴出される。この噴出された微小粒子を含む流体は、主蒸気に混合し、タービン段落240aに流入する。また、膨張仕事をした蒸気は、排気され、復水器(図示しない)に導かれる。
微小粒子を含む流体として、プラスチック系の微粒子を含む蒸気を使用したときに、プラスチック系の微粒子を回収する場合には、蒸気が復水器で復水した後に、復水中に含まれる微粒子を遠心力を利用した遠心分離槽などによって回収することができる。
次に、流体供給手段10によって蒸気通路に噴出された微小粒子を含む流体の作用について説明する。
まず、復水損失について説明する。
図3は、ウィルスン線と圧力変化の関係を、エンタルピ−エントロピ線図(以下、h−s線図という)上において示す図である。
一般に、蒸気タービンにおいて、乾き蒸気が膨張してh−s線図上の飽和蒸気線を越えて湿り域に到達しても、直ぐには蒸気の復水は生じない。なお、図3において、乾き域とは、飽和蒸気線よりも上方の領域をいい、湿り域とは、飽和蒸気線よりも下方の領域をいう。また、乾き蒸気が湿り域に到達しても直ぐには蒸気の復水は生じないのは、表面張力の影響に基づくもので、このような状態の蒸気を過飽和蒸気という。この過飽和蒸気の状態から蒸気の復水が始まる点をh−s線図上で結んだ線をウィルスン線と呼び、ほぼ等湿り度線と平行である。
ウィルスン線は、蒸気の圧力変化の大きさに影響され、図3に示すように、圧力変化(ΔP)が大きいほど過飽和状態は継続する。そのため、圧力変化(ΔP)が大きいほどウィルスン線は、湿り度の範囲が広い領域、すなわち、湿り域の飽和蒸気線から離れた領域に位置する。一方、圧力変化(ΔP)が小さい場合は、過飽和状態の範囲は狭くなるため、ウィルスン線は、湿り度の範囲が狭い領域、すなわち、湿り域の飽和蒸気線に近い領域に位置する。ここで、圧力変化(ΔP)は、次の式(1)で表わされる。
ΔP = −1/P×(dP/dt) …式(1)
ここで、dP/dtは、単位時間当たりの圧力の変化であり、Pは、タービン翼列の蒸気圧力である。
このウィルスン線上の状態において過飽和蒸気から復水が生じるとき、新たに発生する水滴核から気相への熱移動が行われる。そのため、気相のエントロピが増加して熱力学的損失となる。これを復水損失と呼ぶ。
上記したように、復水損失は、過飽和蒸気から復水が始まるとき、新たに発生する水滴核から気相への熱移動が行われ気相のエントロピが増加するために発生する。そこで、上記したように、本発明に係る蒸気タービンでは、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落240aにおいて水滴核が発生する前に、タービン段落240aの上流側から流体供給手段10によって微小粒子を含む流体を噴出して、タービン段落240aに流入する主蒸気中に微小粒子を分散している。
タービン段落240aに流入することで、蒸気条件が、乾き域から飽和蒸気線を通過して湿り域となった主蒸気は、微小粒子を核として、微小粒子の周囲に復水する。このように微小粒子の周囲に復水することで、主蒸気が過飽和状態となることを防止することができる。そのため、過飽和状態の主蒸気において水滴核が発生することで生じる復水損失の発生を抑制することができる。
上記したように、第1の実施の形態の蒸気タービン200によれば、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落の上流側から流体供給手段10によって蒸気通路内に微小粒子を含む流体を供給することで、主蒸気が過飽和状態となることを防止することができる。これによって、第1の実施の形態の蒸気タービン200では、復水損失の発生が抑制され、湿り損失の低減を図ることができる。
なお、第1の実施の形態の蒸気タービン200の構成は、上記した構成に限られるものではない。例えば、微小粒子を含む流体を蒸気通路内に均一に分散させる構成として、流体供給手段10を次に示す構成としてもよい。
図4は、他の構成の流体供給手段10を備えた蒸気タービン200における、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落付近の断面を示す図である。
図4に示すように、流体供給手段10は、蒸気通路内に挿入して設置される、微小粒子を含む流体を噴出する噴出口16を有する管状の供給管15を備えてもよい。供給管15の噴出口16は、タービン段落240aのノズル230aに対向するように形成されている。なお、噴出口16の向きは、これに限られるものではなく、噴出口16から噴出された微小粒子を含む流体が、蒸気通路を流れる主蒸気に均一に混合できる構成ならばよい。また、微小粒子を含む流体を蒸気通路を流れる主蒸気に均一に混合するために、供給管15は、噴出口16が、例えば、タービン段落240aのノズル230aの半径方向長さの中央に位置するように配置されることが好ましい。
また、噴出口16に、微小粒子を含む流体を所定の噴射角で噴出する噴射ノズルを備えてもよい。この噴射ノズルを備えることで、微小粒子を含む流体が所定の噴射角で噴射されるので、蒸気通路を流れる主蒸気に微小粒子を含む流体をより均一に混合することができる。なお、供給管15を備えない、前述した流体供給手段10において、貫通口11の他端、すなわち貫通口11の蒸気通路側の端部に、上記した噴射ノズルを備えてもよい。また、噴出口16の個数は、1つに限られるものではなく、供給管15の管壁に複数の噴出口を形成してもよい。このように、噴出口を複数備えることによっても、蒸気通路を流れる主蒸気に微小粒子を含む流体をより均一に混合することができる。さらに、先端部が閉鎖され、管壁に複数の噴出口が形成された供給管15を、タービン段落240aのノズル230aの半径方向長さに亘って設けてもよい。
また、上記した他の構成の流体供給手段10は、微小粒子を含む流体を蒸気通路内に均一に分散させるため、内部ケーシング210の周方向に所定の間隔をあけて複数設けられることが好ましい。
上記した他の構成の流体供給手段10を備えた蒸気タービン200においても、第1の実施の形態の蒸気タービン200と同様に、主蒸気が過飽和状態となることを防止することができる。これによって、蒸気タービン200では、復水損失の発生が抑制され、湿り損失の低減を図ることができる。さらに、蒸気通路を流れる主蒸気に、微小粒子を含む流体をより均一に混合することができるので、復水損失の発生をより効果的に抑制することができる。
(第2の実施の形態)
本発明に係る第2の実施の形態の蒸気タービン200では、流体供給手段の構成が前述した第1の実施の形態の蒸気タービン200と異なる。そこで、ここでは、第1の実施の形態の流体供給手段10と異なる構成を有する流体供給手段20について主に説明する。
図5は、本発明に係る第2の実施の形態の流体供給手段20を備えた蒸気タービン200において、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落付近の断面を示す図である。図6は、図5のA−A断面を示す図である。なお、第1の実施の形態の蒸気タービン200の構成と同一部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
図5に示すように、流体供給手段20は、段落入口における蒸気条件が乾き域にあり、段落出口における蒸気条件が湿り域にあるタービン段落240aを構成するノズル230aに形成された、微小粒子を含む流体を噴出する噴出口21を備える。この噴出口21は、例えば、所定の幅を有してノズル230aの半径方向に延びるスリット状の開口で構成される。また、噴出口21は、ノズル230aの半径方向長さの中央部に形成されている。また、図6に示すように、噴出口21は、ノズル230aの背側および腹側に形成されている。また、背側に形成された噴出口21は、前縁側に形成され、腹側に形成された噴出口21は、後縁側に形成されている。
なお、噴出口21の形状および形成位置は、これに限られるものではなく、微小粒子を含む流体をノズル230aの周囲を流れる主蒸気中に噴出できる構成であればよい。さらに、噴出口21は、少なくとも1つ形成されていればよく、3つ以上形成されてもよい。例えば、蒸気通路を流れる主蒸気に、微小粒子を含む流体をより均一に混合するために、噴出口21をノズル230aの半径方向に亘って複数形成してもよい。
また、噴出口21は、タービン段落240aのノズル翼列を構成する複数のノズル230aのうち、少なくとも1つのノズル230aに形成されていればよいが、微小粒子を含む流体を蒸気通路内に均一に分散させるため、複数のノズル230aに形成されていることが好ましい。例えば、列設された複数のノズル230aの1つ置きに噴出口21を形成してもよい。また、列設されたすべてのノズル230aに噴出口21を形成してもよい。なお、ここでは、噴出口21の形状をスリット状とした一例を示したが、噴出口21の形状はこれに限られるものではない。例えば、複数の円形や矩形などの開口で構成されてもよい。また、形成された開口に、前述した噴射ノズルを備えてもよい。
図6に示すように、空洞となっているノズル230aの内部に導かれた微小粒子を含む流体は、噴出口21からノズル230aの周囲を流れる主蒸気中に噴出される。そして、第1の実施の形態の蒸気タービン200において説明した微小粒子を含む流体の作用と同様の作用を発揮し、蒸気条件が、乾き域から飽和蒸気線を通過して湿り域となった主蒸気は、微小粒子を核として、微小粒子の周囲に復水する。このように微小粒子の周囲に復水することで、主蒸気が過飽和状態となることを防止することができる。そのため、過飽和状態の主蒸気において水滴核が発生することで生じる復水損失の発生を抑制することができる。
ここで、前述したように、微小粒子を含む流体を噴出口21から蒸気通路内に噴出するため、微小粒子を含む流体の圧力は、蒸気通路を流動する主蒸気の圧力よりも高く設定される。例えば、微小粒子を含む流体の圧力を主蒸気の圧力の1.05倍以上に設定することが好ましい。また、上記した蒸気として、例えば、上流段落から抽気した蒸気などを用いることができる。
上記したように、第2の実施の形態の蒸気タービン200によれば、段落入口における蒸気条件が乾き域にあり、段落出口における蒸気条件が湿り域にあるタービン段落240aを構成するノズル230aに、微小粒子を含む流体を噴出する噴出口21を備えることで、主蒸気が過飽和状態となることを防止することができる。これによって、蒸気タービン200では、復水損失の発生が抑制され、湿り損失の低減を図ることができる。さらに、蒸気通路を流れる主蒸気に、微小粒子を含む流体をより均一に混合することができるので、復水損失の発生をより効果的に抑制することができる。
以上、本発明を一実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
本発明に係る第1の実施の形態の流体供給手段を備えた蒸気タービンの断面図。 本発明に係る第1の実施の形態の流体供給手段を備えた蒸気タービンにおける、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落付近の断面を示す図。 ウィルスン線と圧力変化の関係を、エンタルピ−エントロピ線図上において示す図。 他の構成の流体供給手段を備えた蒸気タービンにおける、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落付近の断面を示す図。 本発明に係る第2の実施の形態の流体供給手段を備えた蒸気タービンにおいて、蒸気条件が、段落入口において乾き域にあり、段落出口において湿り域にあるタービン段落付近の断面を示す図。 図5のA−A断面を示す図。
符号の説明
10,20…流体供給手段、11…貫通口、12…配管、15…供給管、16、21…噴出口、200…蒸気タービン、210…内部ケーシング、211…外部ケーシング、212…タービンロータ、214…蒸気入口管、220…タービン動翼、230,230a…ノズル、240a,240b…タービン段落。

Claims (8)

  1. 静翼および動翼の翼列で構成される複数のタービン段落を備えた蒸気タービンであって、
    段落入口における蒸気条件が乾き域にあり、段落出口における蒸気条件が湿り域にあるタービン段落に、微小粒子を含む流体を供給する流体供給手段を具備することを特徴とする蒸気タービン。
  2. 前記流体供給手段は、段落入口における蒸気条件が乾き域にあり、段落出口における蒸気条件が湿り域にあるタービン段落と、当該タービン段落の上流側のタービン段落との段落間に設けられ、前記段落間のタービン通路部に前記微小粒子を含む流体を供給することを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン。
  3. 前記流体供給手段が、前記タービン通路部に挿入して設置される、前記微小粒子を含む流体を噴出する噴出口が少なくとも1つ形成された管状の供給管を備えることを特徴とする請求項1または2記載の蒸気タービン。
  4. 前記流体供給手段が、段落入口における蒸気条件が乾き域にあり、段落出口における蒸気条件が湿り域にあるタービン段落を構成する静翼に形成された、前記微小粒子を含む流体を噴出する少なくとも1つの噴出口を備えることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン。
  5. 前記微小粒子を含む流体が、湿り蒸気であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の蒸気タービン。
  6. 前記湿り蒸気の湿り度が0.05以下であることを特徴とする請求項5記載の蒸気タービン。
  7. 前記微小粒子を含む流体が、プラスチック系の微粒子を含む蒸気であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の蒸気タービン。
  8. 前記蒸気が、湿り度が0.05以下の湿り蒸気、乾き飽和蒸気または過熱蒸気であることを特徴とする請求項7記載の蒸気タービン。
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