JPH10101881A - 組成物 - Google Patents

組成物

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JPH10101881A
JPH10101881A JP9286566A JP28656697A JPH10101881A JP H10101881 A JPH10101881 A JP H10101881A JP 9286566 A JP9286566 A JP 9286566A JP 28656697 A JP28656697 A JP 28656697A JP H10101881 A JPH10101881 A JP H10101881A
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acid
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 臭気物質に対して極めて優れたバリアー性を
示し、かつ柔軟性、装着成が良好で、さらにノイズの少
ない特性を有する組成物、とくに人口肛門バッグ用フィ
ルムに適する組成物を得ること。 【解決手段】 エチレン含有量20〜50モル%のエチ
レン−ビニルアルコール共重合体(A)、脱臭剤(B)
および酢酸ビニル、アクリル酸エステルおよびメタクリ
ル酸エステルから選ばれる少なくとも一成分を2〜25
モル%含有するエチレン系共重合樹脂(C)を含む組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極めて優れた臭気
バリアー性を示す組成物、とくに人工肛門バッグ用に適
する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】臭気物質に対してバリアー性の要求され
るプラスチックフィルムとしては、人工肛門バッグ用フ
ィルム、生ごみ他の悪臭廃棄物フィルム、魚介類、果
実、野菜等の保存包装用フィルムなどが挙げられる。
【0003】従来、人工肛門バッグ用フィルムは低密度
ポリエチレン、軟質ポリ塩化ビニル等の単層フィルムが
用いられてきた。しかし、ポリエチレン、軟質塩化ビニ
ル等の単層フィルムでは臭気バリアー性が十分ではな
く、装着中に内容物の臭気が外部に漏れ、本人に不快感
を与える。このため内容物の臭気を外部へ漏らさない臭
気バリアー性のあるフィルムが望まれている。そこで臭
気バリアー性のあるエチレン−ビニルアルコール共重合
体(以下EVOHと記す)あるいはポリ塩化ビニリデン
系樹脂をバリアー層とした多層フィルムを使用すること
が提案されている。EVOHをバリアー層として人工肛
門バッグに使用する方法は実開昭60−175248に
見られるがEVOHはアンモニアなど低分子アミン類に
対するバリアー性がやや不十分であり、また柔軟性、装
着感、ノイズ性もかならずしも十分とはいえず、現在E
VOHを臭気バリアー層とする人工肛門バッグは実用化
されていない。ポリ塩化ビニリデン系樹脂を用いる方法
は特表昭57−501631、特開昭60−13736
8に見られるが、現在市販されているポリ塩化ビニリデ
ン系の人工肛門バッグでも臭気バリアー性が十分満足さ
れておらず、臭気バリアー性の改善が求められている。
【0004】また、特開昭61−60732および特開
昭61−148236は鉄(II)化合物及び有機酸からな
る組成物(脱臭剤)を含有するプラスチックフィルムに
ついて、特開昭62−86031には有機酸(脱臭剤)
を含有する樹脂成形物について、特開昭62−2353
63、特開昭62−235364、特開昭62−235
365には亜鉛化合物と有機酸からなる組成物(脱臭
剤)を含有する樹脂組成物について記載されている。し
かし脱臭剤が脱臭し得る臭気には限界があり、臭気物質
の臭気を完全に遮断することは困難である。また、これ
までEVOHと脱臭剤の組み合わせについては全く知ら
れていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、臭気
物質に含まれる多くの臭気成分に極めて優れたバリアー
性を示す材料、とりわけプラスチックフィルムが望まれ
ていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】臭気バリアー層がEVO
H(A)のみでは臭気バリアー性が十分でなく、人工肛
門バッグ用フィルムとしては十分な臭気バリアー性が得
られなかった。しかし意外にもEVOH(A)脱臭剤
(B)および(C)酢酸ビニル、アクリル酸エステルお
よびメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一成
分を2〜25モル%含有するエチレン系共重合樹脂
(C)を含む組成物からなるフィルムは、ほとんどの臭
気成分に対して臭気バリアー性が完全となるばかりでな
く、柔軟性、装着感も良好で、ノイズも少ないことを見
い出し、更にこの組成物の層を含むフィルムが、とくに
人工肛門バッグ用フィルムとして有用なることを確認し
た本発明を完成するに至った。このように、EVOH
(A)、脱臭剤(B)およびエチレン系共重合樹脂
(C)を含む組成物からなるフィルムは、人工肛門バッ
グ用フィルム以外にも色々な臭気に対して高いバリアー
性を有する画期的な新素材である。
【0007】本発明の組成物よりなるフィルムが、かく
も優れた臭気バリアー性を有する理由は十分明らかでな
いが、EVOHと脱臭剤が各種の悪臭成分に対する遮断
に相乗的な作用関係を有するものと理解される。
【0008】
【発明の実施の態様】以下、本発明をさらに詳しく説明
する。本発明において使用されるEVOH(A)は、エ
チレンと酢酸ビニルの共重合体中の酢酸ビニル単位を加
水分解したものであれば任意のものを含むものである
が、本発明の目的に適合するものとして、特にエチレン
単位の含有量が20〜50モル%、とりわけ27〜40
モル%、酢酸ビニル単位の鹸化度が96%以上、とりわ
け99%以上のものが挙げられ、メルトインデックス
(190℃、2160g)の値{ただし、融点が190
℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g荷重
下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶
対温度の逆数を横軸、メルトインデックスを縦軸(対
数)としてプロットし、190℃に外押した値}として
は0.2〜60g/10分の範囲が例示される。また、
本発明にいうEVOHは5モル%以下の範囲の共重合モ
ノマーで変性されていてもよく、かかる変性用モノマー
としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4
−メチル−1−ペンテン、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、
高級脂肪酸ビニルエステル、アルキルビニルエーテル、
N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド類
あるいはその4級化物、N−ビニルイミダゾール、ある
いはその4級化物、N−ビニルピロリドン、N,N−ブ
トキシメチルアクリルアミド、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメ
トキシシラン等を例示することができる。
【0009】本発明で用いられる脱臭剤(B)として
は、各種悪臭成分、とりわけアンモニア、トリメチルア
ミン、アセトアルデヒド、硫化水素、メチルメルカプタ
ン、硫化メチル、二硫化メチル、スチレン、フェノー
ル、n−吉草酸、イソ−吉草酸等に対し、脱臭効果のあ
る物質であり、その種類に特に制限はないが、有機酸
類、鉄(II)化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、
ケイ素化合物、鉄(II)化合物−有機酸組成物があげられ
る。またこれらの脱臭剤は単独で用いることもできる
し、また複数種の組成物として用いることもできる。亜
鉛化合物としては、ケイ酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、
塩化亜鉛、リン酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜
鉛、シュー酸亜鉛、クエン酸亜鉛、フマル酸亜鉛、ギ酸
亜鉛等があげられる。
【0010】またアルミニウム化合物としては、硫酸ア
ルミニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウ
ム、硫酸アルミニウムカリウムなどがあげられる。また
ケイ素化合物としては、二酸化ケイ素、オルソリン酸ケ
イ素、ピロリン酸ケイ素−I型、ピロリン酸ケイ素−II
型などのリン酸ケイ素化合物、活性シリカゲルなどが挙
げられる。また(II)化合物としては、2価の鉄イオンを
形成するものであれば任意のものが使用できる。例とし
ては硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄、臭化第一
鉄、ヨウ化第一鉄などの鉄(II)無機塩、没食子酸第一
鉄、リンゴ酸第一鉄、フマル酸第一鉄などの鉄(II)有機
塩が挙げられ、このうち硫酸第一鉄、塩化第一鉄が好ま
しい。
【0011】また亜鉛化合物とケイ素化合物の組成物も
好適に用いられる。この組成物の具体的な例としては、
酸化亜鉛と二酸化ケイ素の比率が重量比で1:5〜5:
1の範囲からなる、大部分がアモルファスな構造を有し
ている、ケイ酸亜鉛の実質的に無定形微粒子が好まし
い。酸化亜鉛と二酸化ケイ素の比率は、好ましくは1:
4〜4:1の範囲、更に好ましくは1:3〜3:1の範
囲である。
【0012】また亜鉛化合物とアルミニウム化合物の組
成物も好適に用いられる。この組成物の具体的な例とし
ては、酸化亜鉛および/または炭酸亜鉛と硫酸アルミニ
ウムおよび/または硫酸アルミニウムカリウムの混合物
が好ましく、亜鉛化合物100重量部に対してアルミニ
ウム化合物1〜1000重量部、好ましくは30〜30
0重量部の割合で使用する。
【0013】また有機酸類としては、炭素数8以上の有
機酸、例えば脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ポリカルボ
ン酸、芳香族モノカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸が
好ましく、特に芳香族カルボン酸が好ましい。芳香族カ
ルボン酸の例としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、トリメリット酸、1,2,3−ベンゼントリカ
ルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、ピロ
メリット酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテ
トラカルボン酸、ジフェニルテトラカルボン酸、ジフェ
ニルエーテルテトラカルボン酸、アゾベンゼンテトラカ
ルボン酸あるいはこれらの無水物が挙げられ、これらの
中でベンゼントリカルボン酸、とりわけトリメリット酸
が好ましい。
【0014】鉄(II)化合物−有機酸組成物に用いられる
鉄(II)化合物としては、前記したとおりの水中に溶解し
て2価の鉄イオンを形成するものであれば任意のものが
使用できる。例として硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第
一鉄、臭化第一鉄、ヨウ化第一鉄などの鉄(II)無機塩、
没食子酸第一鉄、リンゴ酸第一鉄、フマル酸第一鉄など
の鉄(II)有機塩が挙げられ、このうち硫酸第一鉄、塩化
第一鉄が好ましい。
【0015】鉄(II)化合物−有機酸組成物に用いられる
有機酸としては水に可溶なものであればよく、例として
はアスコルビン酸、イソアスコルビン酸及びその金属塩
などのアスコルビン酸類、クエン酸、イソクエン酸、乳
酸、酒石酸、リンゴ酸などのカルボン酸類が挙げられ、
このうちL−アスコルビン酸が好ましい。
【0016】本発明で用いる鉄(II)化合物−有機酸組成
物は、両者が結合していることが好適であり、これは、
例えば両成分を一旦混合、溶解した水溶液を噴霧乾燥、
凍結乾燥等により乾燥、粉末化して調製できる。鉄(II)
化合物と有機酸の成分比率は重量比で1:0.01〜
1.0の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.02
〜0.80の範囲である。有機酸成分がアスコルビン酸
類の場合は鉄(II)化合物と有機酸の成分比率は重量比で
1:0.02〜0.30の範囲が好ましく、より好まし
くは1:0.02〜0.13、特に好ましくは1:0.
05〜0.13の範囲である。本発明において2種以上
の鉄(II)化合物あるいは2種以上の有機酸を併用して用
いても差し支えない。また鉄(II)化合物−有機酸組成物
には脱臭機能の安定化剤としてミョウバンを鉄(II)化合
物と有機酸の合計量に2〜20重量%添加することが好
ましい。ミョウバンとしては特に制限はないが、カリミ
ョウバン、アンモニアミョウバン、ナトリウムミョウバ
ンが好適である。
【0017】さらにまた、他の脱臭剤として、亜鉛化合
物とポリカルボン酸からなる組成物などの金属化合物を
安定化させた組成物、鉄(III)−フタロシアニン誘導体
などの生体酵素モデル化合物、キリ、ヒイラギ、モクセ
イ、ツワブキ、フキ、ライラック、シナレンギョウ、ク
リ、ハンノキなどの植物の樹木液または抽出成分、ゼオ
ライトなどのアルミノ珪酸塩、セピオライト、シロタイ
ル、バリゴルスカイト、ラフリナイトなどの含水珪酸マ
グネシウム質粘土鉱物、活性フミンサン、活性アルミ
ナ、活性炭なども使用できる。
【0018】前記した脱臭剤の中で酸化亜鉛、硫酸亜鉛
などの亜鉛化合物、二酸化ケイ素、オルソリン酸ケイ素
などのケイ素化合物、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニ
ウムカリウムなどのアルミニウム化合物、亜鉛化合物と
ケイ素化合物の組成物、亜鉛化合物とアルミニウム化合
物の組成物、さらには有機酸、鉄(II)化合物−有機酸組
成物が特に好ましい。
【0019】脱臭剤の含有量は、配合する樹脂(EVO
H、またはEVOHの他の樹脂とのブレンド)に対して
0.1重量%以上、好適には0.2〜50重量%、さら
に好適には0.5〜10重量%である。0.1重量%未
満では、EVOHとの組合わせによる臭気バリアー性の
相乗効果が不充分となる。
【0020】本発明においてEVOH脱臭剤の組成物を
得る方法としては、バンバリーミキサー、短軸あるいは
二軸スクリュー押出機、プラベンダープラストグラフ等
を用いてあらかじめEVOHにブレンドする方法、直接
各種成形機に供給して成形機で混練しながら成形する方
法、一旦押出機で高濃度のマスターペレットを作製し、
1/10程度に希釈したものを溶融押出成形を行う方
法、さらにはEVOHの溶液に脱臭剤(とくに脱臭剤の
微粉末)を混合後、キャスト法によって製膜する方法な
どがあげられる。
【0021】また本発明の組成物において、特に柔軟
性、装着感が良好で、ノイズの少ない特性が要求される
場合がある。例えば、人工肛門バッグではフィルムが肌
に触れた時の不快感がなく、装着中のフィルムの屈曲、
擦過による音の発生がなく、他人に装着を気付かれない
ようなノイズの少ないフィルムの要求がある。またフィ
ルムに振動、屈曲がかかる用途では耐ピンホール性のあ
るフィルムが要求される。このような要求を満足させる
ためにEVOH(A)に、酢酸ビニル、アクリル酸エス
テル及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも
一成分単位を2〜25モル%含有するエチレン系共重合
樹脂(以下ブレンド樹脂と記す)(C)をブレンドする
ことが重要である。
【0022】ブレンド樹脂のコモノマー含有量が2モル
%未満ではEVOHの柔軟性効果に乏しく、25モル%
を超えるとEVOHとのブレンドにおいて熱安定性が不
良になり、ブレンド層にブツが発生する傾向があるので
好ましくない。エチレンと共重合されるアクリル酸エス
テルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリ
ル酸エイコシルなどが挙げられるが、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチルが好適であり、特にアクリル酸エ
チルが好適である。また、エチレンと共重合されるメタ
クリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メ
タクリル酸ドデシル、メタクリル酸エイコシルなどが挙
げられるが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル
が好適であり、特にメタクリル酸メチルが好適である。
【0023】これらのコモノマーは2種以上を用いるこ
ともできる。また前記以外の第3コモノマーを使用する
ことは、柔軟性が阻害されないかぎり自由である。ま
た、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、またはエチレン−メタクリル酸
エステル共重合体を二種以上同時にEVOHにブレンド
しても差し支えない。
【0024】EVOH(A)とブレンド樹脂(C)のブ
レンド率は任意に設定できるが、EVOHが多いほど臭
気バリアー性、ガスバリアー性が良好になり、ブレンド
樹脂が多くなるほど柔軟性が良好になる。臭気バリアー
性、ガスバリアー性と柔軟性の両面がバランスよく兼ね
備えた好ましい組成は(A)と(C)の合計量に対しE
VOH(A)が60〜95重量%、ブレンド樹脂(C)
が40〜5重量%の範囲である。さらに好ましくはEV
OH(A)が65〜80重量%、ブレンド樹脂(C)が
35〜20重量%の範囲である。
【0025】EVOHとブレンド樹脂のブレンド方法
は、バンバリーミキサー、単軸あるいは二軸スクリュー
押出機、ブラベンダープラスグラフ等を用いる方法があ
るが、各成分を直接各種成形機に供給して成形機で混練
しながら成形加工してもよい。またこれらを混練する
際、他の添加剤(各種樹脂、熱安定化剤、酸化防止剤、
可塑剤、着色剤等)を本発明の作用効果が阻害されない
範囲内で使用することは自由である。熱安定化剤として
は、ハイドロタルサイト系化合物、金属石けん、鉛塩系
化合物、有機錫系化合物、ヒンダードフェノール系化合
物、ヒンダードアミン系化合物、スルフィド系化合物、
ホスファイト系化合物が用いられるが、ハイドロタルサ
イト系化合物が特に有効である。このような添加剤はE
VOHを単独で用いる場合にも配合できるし、さらに他
の層を構成する素材にも配合できる。
【0026】本発明の組成物は、該組成物を単層とする
フィルムとして使用されることもあるが、該組成物層の
片面または両面に保護層を設けまた多層構造体(例フィ
ルム)として使用されることが多いし、好ましい。ここ
で保護層とは、EVOH層に高度な臭気バリアー性を付
与し、さらにより優れた強度、柔軟性、さらにはより優
れた耐湿性、ヒートシール性を付与するものであり、そ
の保護材としては熱可塑性樹脂、とくに疎水性熱可塑性
樹脂、紙、不織布、布などがあげられる。
【0027】ところで熱可塑性樹脂としては、特に制限
はないが、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレン共重合体、ポリブテンなどのポリオレフィ
ンやエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エチル共重合体、アイオノマーなどのオレフィンを
主体とする共重合体などのヒートシール性の良好な熱可
塑性樹脂が好ましく、他にポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニルなども例として挙げられる。なおガスバリ
アー性樹脂としてポリエチレンテレフタレート、ポリア
ミドを使用する場合は熱可塑性樹脂として、ポリエチレ
ンテレフタレートやポリアミドと特性の異なる、たとえ
ばヒートシール性のより優れた、または柔軟性のより優
れた素材を選ぶことが好ましい。
【0028】柔軟性の要求される人工肛門バッグなどに
使用する場合は、先に述べたようにガスバリアー性樹脂
にブレンド樹脂を配合して柔軟性を付与するとともに、
保護層として、20℃でのヤング率が2.5kg/mm
2以下、とりわけ0.1〜2kg/mm2の範囲の熱可塑
性樹脂層が好ましい。ここで保護層のヤング率とは、保
護層を形成する樹脂の単層フィルムのヤング率をいう。
上述した物性を与える樹脂としては低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、またはエチレン−メタクリル酸
エステル共重合体などが挙げられ、とりわけ酢酸ビニル
含量5〜45重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、
アクリル酸エステル含量5〜45重量%のエチレン−ア
クリル酸エステル共重合体、またはメタクリル酸エステ
ル含量5〜45重量%のエチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体が好ましく、より好ましくは酢酸ビニル含量
が10〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、
アクリル酸エステル含量が10〜30重量%のエチレン
−アクリル酸エステル共重合体、またはメタクリル酸エ
ステル含量が10〜30重量%のエチレン−メタクリル
酸エステル共重合体である。
【0029】これらの樹脂にはポリオレフィン用のスリ
ップ剤、ブロッキング防止剤を必要に応じて添加でき
る。エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、またはエチレン−メタクリル酸
エステル共重合体の酢酸エステル成分、アクリル酸エス
テル成分またはメタクリル酸エステル成分が5重量%未
満では多層フィルムの柔軟性がやや劣り、45重量%を
超えると表面のスリップ性が不良になり、スリップ剤、
ブロッキング防止剤の添加によっても満足なスリップ性
が得られない。
【0030】層構成としては、保護層をP、EVOH組
成物層をG、脱臭剤をDとするとき、P/D含有G、P
/D含有G/P、D含有G/D含有G、D含有P/D含
有G/P、D含有P/D含有G/D含有Pなどがあげら
れる。さらに各層間には後述する接着性樹脂を適宜設け
ることもできる。
【0031】本発明の組成物からなるフィルム、さらに
は多層構造体(フィルム)の厚さは特に制限はないが、
通常EVOH組成物層が3〜50μ、好ましくは5〜3
0μ、保護層、とくに脱臭剤を含有する保護層が5〜3
00μ、好ましくは5〜150μ、全体の厚さは20〜
500μ、好ましくは60〜200μである。
【0032】本発明の組成物を使用して多層構造体を得
る方法としては、共押出法、押出ラミネーション法、ド
ライラミネーション法、サンドラミネーション法などが
挙げられる。
【0033】多層構造体を得る際、EVOH組成物層と
保護層の層間接着力が十分でない場合には接着剤の使用
あるいは接着性樹脂層を設けることが好ましい。接着性
樹脂としては実用段階でデラミネーションを起こさない
ものであればよく特に限定されないが、共押出法におい
てはポリオレフィン系重合体、たとえばポリエチレン、
エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体(酢酸ビニル含量45重量%以下)、エチ
レン−アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル
共重合体(アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル
含量45重量%以下)にエチレン性不飽和カルボン酸ま
たはその無水物を化学的に(たとえば付加反応、グラフ
ト反応により)結合させて得られる変性ポリオレフィン
系共重合体が好ましく用いられる。これらの接着性樹脂
は層間に設けるのではなく、両層のいずれか、または両
層に配合することも可能である。
【0034】
【実施例】以下実施例により、本発明をさらに具体的に
説明する。
【0035】比較例1 エチレン含量が32モル%、ケン化度が99%、190
℃、2160g荷重の条件下でASTM D 1238
65Tに準じて測定したメルトインデックス(以下MI
と記す)が4.5g/10分のEVOHをn−プロパノ
ール/水=65/35(重量比)の溶媒に20℃で溶解
した。:次にアモルファス構造を有するケイ酸亜鉛(酸
化亜鉛と二酸化ケイ素の重量比が1:3で粒子径が平均
5ミクロン以下)の微粉末を、溶解樹脂(EVOH)に
対して3重量%になるように上記溶液に加え、激しく撹
拌混合した後、キャスト法により厚さ10μのEVOH
の単層フィルムを得た。次に1軸押出機により得た厚さ
30μの酢酸ビニル含量28重量%のエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体フィルムを2液硬化型ポリエステル系接着
剤を用いてドライラミネーション法により上記EVOH
のフィルムの両側に配することにより多層フィルムを得
た。
【0036】得られた多層フィルムについて膜面、酸素
ガス透過量(0TR)、臭気バリアー性、柔軟性、装着
感、ノイズ性の評価を以下のように行った。酸素ガス透
過量の測定はModern Control社製のOX
−TRAN 10−50Aを使用し、20℃、相対湿度
65%にて測定した。また臭気透過性、柔軟性、装着
感、ノイズ性の評価は、140mm×300mmの該積
層フィルムを2枚重ね、140mmの一辺と300mm
の二辺を幅5mmで熱シールした袋を用いた。臭気透過
性の評価は20℃、相対湿度65%にコントロールした
部屋で袋の中に臭気物質を入れ熱シールにより袋を密閉
した後、内容量500mlの広口ビンに袋を入れ栓をし
20℃、相対湿度65%の状態で24時間放置した後の
広口ビン内の臭気を官能検査により5点法により評価し
た。臭気物質としては1gのスカトール及び25%のア
ンモニア水溶液5ccを用いた。また柔軟性、装着感、
ノイズ性は実際に袋を腹部に装着し、以下表1のように
5点法で評価した。
【0037】
【表1】
【0038】表2に評価結果を示す。
【0039】比較例2 比較例1においてケイ酸亜鉛微粉末にかえて酸化亜鉛と
ミョウバン5:1(重量比)からなる微粉末(粒子径が
平均10ミクロン以下)を使用した以外は比較例1と同
様にしてキャスト法により厚さ10μのEVOHの単層
フィルムを得、このEVOHフィルムの両側にエチレン
−酢酸ビニル共重合体フィルムを、2液硬化型ポリエス
テル系接着剤を用いて積層し、多層フィルムを得た。得
られた多層フィルムについて比較例1と同様の評価を行
った。表2に評価結果を示す。
【0040】実施例1 酢酸ビニル単位の含量が28重量%(11モル%)のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体70重量部とアモルファス
構造のケイ酸亜鉛(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の重量比が
1:3で、粒子径が平均5ミクロン以下の微粉末)30
重量部を2軸押出機によりペレット化し、ケイ酸亜鉛の
マスターペレットを得た。エチレン含量が32モル%。
ケン化度が99%、MIが4.5g/10分のEVOH
70重量部とエチレン含量が89モル%、酢酸ビニル含
量が11モル%、MIが6.0g/10分のエチレン−
酢酸ビニル共重合体20重量部さらに前記ケイ酸亜鉛の
マスターペレット10重量部のブレンド物からなる、厚
さ10μの中間層と該中間層の両側に厚さ各25μの、
酢酸ビニル含量28重量%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体よりなる表面層を有し、各層間に厚さ5μの酢酸ビ
ニル含量20重量%、無水マレイン酸含量0.5重量%
の無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体か
らなる接着性樹脂層を介して配された全層70μの多層
フィルムを、3基の押出機、3種5層用多層ダイヘッド
を用いて共押出法により得た。中間層の組成物としては
あらかじめ押出機によりブレンドしたペレットを用い
た。得られた多層フィルムについて比較例1と同様の評
価を行った。表2に評価結果を示したようにこのフィル
ムは膜面、臭気バリアー性が非常に良好であり、さらに
柔軟性、装着感、ノイズ性も良好であった。
【0041】比較例3 10μのポリ塩化ビニリデン系フィルムを1軸押出機に
より得た中間層としてこのフィルムを使用した以外は比
較例1と同様にしてドライラミネーション法により3種
5層の多層フィルムを得た。得られたフィルムについて
比較例1と同様の評価を実施した。表2に評価結果を示
したようにこのフィルムは臭気バリアー性が不十分であ
った。
【0042】比較例4 比較例1で用いたEVOHの単層フィルム(脱臭剤含有
せず)を1軸押出機により得た。中間層としてこのフィ
ルムを使用した以外は比較例1と同様にしてドライラミ
ネーション法により3種5層の多層フィルムを得た。得
られたフィルムについて比較例1と同様の評価を実施し
た。表2に評価結果を示したようにこのフィルムは臭気
バリアー性が不十分であった。
【0043】比較例5 酢酸ビニル含量が28重量%(11モル%)のエチレン
−酢酸ビニル共重合体を用いて厚さ70μの単層フィル
ムを1軸押出機により得た。得られたフィルムについて
比較例1と同様の評価を実施した。表2に評価結果を示
したようにこのフィルムは臭気バリアー性が不良であっ
た。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明の組成物から得られるフィルム、
とりわけ多層フィルムは、臭気物質に対して極めて優れ
たバリアー性を示し、かつ柔軟性、装着成が良好で、さ
らにノイズも少ない特性を有しているので、とくに人口
肛門バッグ用フィルムとして有用である。さらに生ごみ
他の悪臭廃棄物用材料、魚介類、果実、野菜等の保存包
装用材料、遺体包装用材料などの臭気バリアー性材料と
して利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23:08)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量20〜50モル%のエチ
    レン−ビニルアルコール共重合体(A)、脱臭剤(B)
    および酢酸ビニル、アクリル酸エステルおよびメタクリ
    ル酸エステルから選ばれる少なくとも一成分を2〜25
    モル%含有するエチレン系共重合樹脂(C)を含む組成
    物。
  2. 【請求項2】 (A)と(C)の合計量に対し、(C)
    を5〜40重量%含む、請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 脱臭剤が、亜鉛化合物、アルミニウム化
    合物、ケイ素化合物、鉄(II)化合物および有機酸から選
    ばれる化合物の一種または複数種の組成物である請求項
    1または2記載の組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003025524A (ja) * 2001-07-18 2003-01-29 Gunze Ltd 積層延伸フィルム
JP2011174072A (ja) * 1999-06-30 2011-09-08 Dow Global Technologies Llc 本質的に非晶質の非塩素化ポリマーバリアフィルムおよびそのフィルムの使用方法
JP2017522100A (ja) * 2014-06-24 2017-08-10 ホリスター・インコーポレイテッドHollister Incorporated 消音特性を有する臭気バリア層を含む多層フィルム

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