JP2911071B2 - ジッパー及び包装袋 - Google Patents

ジッパー及び包装袋

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JP2911071B2 JP21465691A JP21465691A JP2911071B2 JP 2911071 B2 JP2911071 B2 JP 2911071B2 JP 21465691 A JP21465691 A JP 21465691A JP 21465691 A JP21465691 A JP 21465691A JP 2911071 B2 JP2911071 B2 JP 2911071B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流通過程及び開封後の
保存時に、食品、医薬品、工業用薬品等に含まれる揮発
性あるいは不揮発性の微量成分の含量変化が、その商品
価値を大きく左右する場合に、これ等の変化を最小限に
押さえることが可能な包装袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ジッパー付きの包装袋は、最内層
にポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂層が使用さ
れ、ジッパー用咬合具にはそれら最内層樹脂との接着性
から低密度ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂が使
用されている。しかしこれ等最内層に使われる低密度ポ
リエチレンやポリプロピレン等の樹脂は、フレーバー成
分や揮発性薬効成分の遮断性が十分でなく、さらにフレ
ーバー成分や揮発性及び不揮発性薬効成分を収着しやす
いため、品質維持が十分ではなかった。
【0003】内容物の成分の透過防止には、遮断性に優
れたアルミニウム箔やエチレン−ビニルエステル共重合
体けん化物(以下EVOHと略称する)を中間層や外層
に積層した包装袋が採用されているが、最内層がやはり
前述と同じポリオレフィン層であるため、内容物の成分
の収着防止には効果がなかった。
【0004】一方、内容物の成分の収着防止と透過防止
にはEVOHやアクリロニトリルを主成分とする共重合
体やポリエステルを最内層とした包装袋が採用され効果
を発揮している。しかしこれ等の最内層樹脂には、前期
低密度ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂よりなる
ジッパー用咬合具が接着しないため、ジッパー付き袋は
得られていない。よってこれ等の最内層樹脂を用いた袋
では、流通段階での収着防止と透過防止には効果を発揮
する。しかし、一旦開封すると再度密封できないため、
透過防止効果はなくなり、開封後の長期保存には向かな
かった。
【0005】このように、流通過程に止まらず、開封後
においても、内容物に含まれる揮発性あるいは不揮発性
の微量成分の含量変化を最小限に押さえることが可能な
包装袋は未だ開発されておらず、業界では切望されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、流通過程に止まらず、開封後においても、内容物
に含まれる揮発性あるいは不揮発性の微量成分の含量変
化を最小限に押さえることが可能な包装袋が得られてい
ない点である。
【0007】
【課題を解決する為の手段】本発明者は、上記問題点の
認識の元に鋭意研究を重ねた結果、密度0.90g/c
3以下のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂を90〜4
0重量%と、密度0.93g/cm3以上のカルボン酸
変性ポリエチレン樹脂10〜60重量%の樹脂組成物よ
りなるジッパーが、l−メントールの収着量が5mg/
g以下である樹脂との接着性が良好で、該樹脂を最内層
とする包装袋に組込むことにより、従来の低密度ポリエ
チレンやポリプロピレン等よりなるジッパーを、ポリオ
レフィンを最内層とする包装袋に組込んだ物より、内容
物、とくに内容物のフレーバー成分や揮発性または不揮
発性の薬効成分の透過及び収着を格段に防止できること
を見出だし、本発明を完成するに至った。
【0008】以下、本発明を更に詳しく説明する。本発
明において、密度0.90g/cm3以下のカルボン酸
変性ポリエチレン樹脂とは、エチレンを主成分とし、プ
ロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、
オクテン−1、4−メチルペンテン−1、ブタ−1,3
−ジエン、ヘキサ−1,3−ジエン、ノルボルネン、5
−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−
ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等のオレフィンの
内の1種または2種以上のコモノマーとの共重合体に、
(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸等のα,β−
不飽和カルボン酸(無水物)をグラフト重合させたもの
等があげられる。また密度0.93g/cm3以上のカ
ルボン酸変性ポリエチレン樹脂とは、高密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン等のエチレンのホモポリマー
や、エチレンを主成分とし、プロピレン、ブテン−1、
ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチ
ルペンテン−1、ブタ−1,3−ジエン、ヘキサ−1,
3−ジエン、ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボ
ルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロ
ペンタジエン等のオレフィンや、酢酸ビニル(その一部
又はすべてがけん化物されていてもよい)、酢酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル等のエステルの内の1種または2種以上のコモノマ
ーとの共重合体に、(無水)イタコン酸、(無水)マレ
イン酸等のα,β−不飽和カルボン酸(無水物)をグラ
フト重合させたもの、及びエチレンを主成分とし、上記
オレフィン類や、エステル類の内の1種または2種以上
のコモノマーと、(メタ)アクリル酸、(無水)イタコ
ン酸、(無水)マレイン酸等のカルボン酸の内の1種ま
たは2種以上のコモノマーとの共重合体等があげられ
る。なお密度の調整は上記コモノマー成分の使用量、重
合条件、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)のグラフ
ト率などを適宜選択することによってなされる。
【0009】本発明において、密度0.90g/cm3
以下、好ましくは0.89g/cm3以下のカルボン酸
変性ポリエチレン樹脂を90〜40重量%、好ましくは
85〜60重量%と、密度0.93g/cm3以上、好
ましくは0.94g/cm3以上のカルボン酸変性ポリ
エチレン樹脂10〜60重量%、好ましくは15〜40
重量%の組成物を用いる事が重要である。密度0.90
g/cm3以下のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂が9
0重量%を越えると組成物の粘着性が増し加工性が悪く
なる。更に組成物が柔軟になり過ぎて、ジッパーの咬合
性も悪くなる。一方、密度0.90g/cm3以下のカ
ルボン酸変性ポリエチレン樹脂が40重量%未満では、
l−メントールの収着量が5mg/g以下である樹脂で
ある最内層との接着性が悪くなる。これ等組成物には、
スチレン−プロプレン−スチレンブロック共重合体、ス
チレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチ
レン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、及びそ
れらの水素添加物や、更にそれらにイタコン酸、マレイ
ン酸などのα,β−不飽和カルボン酸及びその無水物を
グラフト重合させたものを、本発明を阻害しない範囲で
ブレンドしても良い。なお、密度0.90g/cm3
下のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂としては、(極)
超低密度ポリエチレンのカルボン酸変性物が、密度0.
93g/cm3以上のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂
としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及
び直鎖状低密度ポリエチレンのカルボン酸変性物が好適
である。
【0010】本発明において、密度0.90g/cm3
以下のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂を90〜40重
量%と、密度0.93g/cm3以上のカルボン酸変性
ポリエチレン樹脂10〜60重量%との組成物は、ジッ
パーを成型する時に、押出機にドライブレンドで仕込ん
でも良いし、前もってブレンドペレット化した物をジッ
パーに成型しても良い。
【0011】本発明において、l−メントールの収着量
が5mg/g以下であり、最内層に用いられる樹脂と
は、30mlの共栓付き試験管の底にl−メントールを
1gをいれ、当該フィルム約20mgをl−メントール
に接触しないように吊し、ガラス性の共栓で密栓し、2
0℃,65%(相対湿度)において2週間放置後、その
フィルム2mgを切出し、石英チューブ中でヘリウム雰
囲気下120℃、10分加熱し、吸着しているl−メン
トールを脱離させ、揮発したl−メントールをPEG−
20M結合型のキャピラリークロマト(内径0.25m
m、長さ50m)で、ヘリウムをキャリアガスとし、4
0℃から170℃まで昇温し、ピーク面積より吸着量を
定量した時の値であり、ポリエステルやポリアミドやア
クリロニトリルやポリ塩化ビニリデンを主成分とする共
重合体やEVOHが例示されるが、EVOHが好適であ
る。
【0012】最内層に用いられる当該ポリエステルとし
ては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4
−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、4,4´−ジヒドロキシ
ジフェニル−2,2−プロパン、グリセリン、ペンタエ
リスリトール等の多価アルコール成分と、パラヒドロキ
シ安息香酸、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン
等のヒドロキシカルボン酸成分と、テレフタール酸、イ
ソフタール酸、各種ナフタリンジカルボン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル
酸、コハク酸等の多価カルボン酸及びそのエステル成分
を原料として得られるポリエステルがあげられる。この
うちの非晶性及び低融点のポリマーが好適である。
【0013】最内層に用いられる当該ポリアミドとして
は、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、テトラメチ
レンジアミン、エチレンジアミン、メタキシリレンジア
ミン等のジアミン成分と、δ−バレロラクタム、ε−カ
プロラクタム、ω−ラウロラクタム、ω−アミノウンデ
カン酸、ω−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸成
分と、各種ナフタリンジカルボン酸、テレフタール酸、
イソフタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン
酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸等の多価カルボ
ン酸成分を原料として得られるポリアミドがあげられ
る。このうちの非晶性及び低融点のポリマーが好適であ
る。
【0014】最内層に用いられる当該ポリアクリロニト
リルとしては、アクリロニトリルを主成分とし、スチレ
ンとの共重合体や、アクリロニトリルを主成分とし、
(メタ)アクリル酸エステル等の共重合成分とブタジエ
ンの弾性体より構成されているブロック共重合体があげ
られる。
【0015】最内層に用いられる当該ポリ塩化ビニリデ
ンとしては、塩化ビニリデンを主成分とし、(メタ)ア
クリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビニル等の
共重体があげられ、可塑剤安定剤等が添加されているこ
とが多い。
【0016】最内層に用いられる当該EVOHとして
は、エチレンとビニルエステルを、加圧下メタノールや
t−ブチルアルコールやジメチルスルホキシド等の溶剤
中で、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル
等の重合開始剤を用い公知の方法で重合させ、続いてア
ルカリ触媒または酸触媒でけん化して得られる物であ
る。ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニル等
の各種ビニルエステルが上げられるが、価格等の点から
は酢酸ビニルが、ガスバリアー性の点からはピバリン酸
ビニルが好ましい。
【0017】本発明において、EVOHとして、硼酸な
どの硼素化合物を硼素換算量で0.002〜0.6重量
%、好ましくは、0.009〜0.35重量%含まれて
いるものが、袋の熱封緘強度の点より好適である。硼素
化合物としては硼酸が最良であるが、トリクロルボロ
ン、トリフェニルボロン、トリメチルボロンあるいはこ
れらとエーテル、アミン類の配位物または硼素が酸素、
窒素の結合を介して数量体となったものも使用できる。
硼素化合物は重合工程、けん化工程、精製工程、乾燥工
程のどの工程で添加しても良い。
【0018】本発明において、EVOHとして、エチレ
ンとビニルエステル、ビニルシラン系化合物の共重合体
をけん化して得た、シラン含有量0.0005〜0.2
モル%、好ましくは、0.0007〜0.03モル%含
む物も、袋の熱封緘強度の点より好適である。
【0019】本発明において、EVOHのエチレン含有
量は20〜70モル%、好ましくは30〜60モル%、
ビニルエステル成分のけん化度は95モル%以上、好ま
しくは97モル%以上である。エチレン含有量が20モ
ル%未満では、熱溶融安定性が悪化するだけでなく、低
温熱封緘性に劣り、一方、70モル%を越えると十分な
ガスバリアー性が得られないし、非吸着性が悪化する。
一方、けん化度が95モル%未満は、非吸着性が悪化す
るだけでなく、EVOHの熱安定性が悪化し、得られる
膜面にゲルが発生しやすい。
【0020】本発明において、ビニルシラン系化合物と
しては、下記化1、化2および化3で示される、化合物
の中から選ばれた1種又は2種以上の物を好適に用いる
事が出来る。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】[但し、ここでnは0〜1、mは0〜2、
1は低級アルキル基、アリール基、またはアリール基
を有する低級アルキル基、R2は炭素数1〜40の直鎖
状または分岐状のアルコキシル基であり、該アルコキシ
ル基は酸素を含有する置換基を有していても良い。R3
は水素またはメチル基、R4は水素または低級アルキル
基、R5はアルキレン基または連鎖炭素原子が酸素もし
くは窒素によって相互に結合された2価の有機残基、R
6は水素、ハロゲン、低級アルキル基、アリール基、ま
たはアリール基を有する低級アルキル基、R7はアルコ
キシル基またはアシロキシル基であり、該アルコキシル
基またはアシロキシル基は酸素もしくは窒素を含有する
置換基を有していても良い。R8は水素、ハロゲン、低
級アルキル基、アリール基、またはアリール基を有する
低級アルキル基、R9は低級アルキル基である。]更に
詳しく述べれば、R1は炭素数1〜5の低級アルキル
基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数6〜1
8のアリール基を有する炭素数1〜5の低級アルキル
基、R4は水素または炭素数1〜5の低級アルキル基、
5は炭素数1〜5のアルキレン基または連鎖炭素原子
が酸素もしくは窒素によって相互に結合された2価の有
機残基、R6は水素、ハロゲン、炭素数1〜5の低級ア
ルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数
6〜18のアリール基を有する炭素数1〜5の低級アル
キル基、R8は水素、ハロゲン、炭素数1〜5の低級ア
ルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数
6〜18のアリール基を有する炭素数1〜5の低級アル
キル基、R9は炭素数1〜5の低級アルキル基であ
る。]化1で表されるビニルシラン系化合物としては、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシ
ラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジ
メチルエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ア
リルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシ
シラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジエ
トキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ビニル
トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルイソブ
チルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラ
ン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジブト
キシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニル
トリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキ
シラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニル
トリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキ
シラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニル
メトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウ
リロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラ
ン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン等が挙げられ
るが、経済的にみてビニルトリメトキシシランが好まし
い。
【0025】化2で表されるビニルシラン系化合物とし
ては、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメトキ
シシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリエ
トキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルト
リス(β−メトキシエトキシ)シラン、3−(メタ)ア
クリルアミドプロピルトリス(N−メチルアミノエトキ
シ)シラン、2−(メタ)アクリルアミドエチルトリメ
トキシシラン、(メタ)アクリルアミドメチルトリメト
キシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル
プロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルア
ミドプロピルトリメトキシシラン、N−(2−(メタ)
アクリルアミドエチル)−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)−オ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリ
ルアミドプロピルトリアセトキシシラン、2−(メタ)
アクリルアミドエチルトリアセトキシシラン、4−(メ
タ)アクリルアミドブチルトリアセトキシシラン、3−
(メタ)アクリルアミドプロピルトリプロピオニロキシ
シラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロ
ピルトリアセトキシシラン、N−(2−(メタ)アクリ
ルアミドエチル)アミノプロピルトリアセトキシシラ
ン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルイソブチルジ
メトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミドエチルジ
メチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプ
ロピルオクチルジアセトキシシラン、(メタ)アクリル
アミドメチルフェニルジアセトキシシラン、3−(メ
タ)アクリルアミドプロピルベンジルジエトキシシラ
ン、3−(N−メチル−(メタ)アクリルアミド)−プ
ロピルトリメトキシシラン、2−(N−エチル−(メ
タ)アクリルアミド)−エチルトリアセトキシシラン、
2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルモノ
クロルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド
−2−メチルプロピルモノハイドロジェンジメトキシシ
ラン等が挙げられるが、経済的にみて3−(メタ)アク
リルアミドプロピルトリメトキシシランおよび3−(メ
タ)アクリルアミドプロピルトリアセトキシシランが好
ましく、又酸又は塩基に対する安定性の点で2−(メ
タ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシ
シランおよび2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル
プロピルトリアセトキシシランが好ましい。
【0026】化3で表されるビニルシラン系化合物とし
ては、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリプロピ
オニロキシシラン、イソプロペニルトリアセトキシシラ
ン、ビニルイソプロピルジアセトキシシラン、ビニルメ
チルジアセトキシシラン、ビニルジメチルアセトキシシ
ラン、ビニルフェニルジアセトキシシラン、ビニルモノ
クロルジアセトキシシラン、ビニルモノハイドロジェン
ジアセトキシシラン等が挙げられるが、経済的にみてビ
ニルトリアセトキシシランが好ましい。
【0027】ビニルシラン系化合物と、エチレンおよび
ビニルエステルとの共重合、および生成した共重合体の
けん化は、公知の方法、例えば特開昭60−14430
4に示されている様な方法で実施可能である。該共重合
体は、けん化反応においてビニルアルコキシシラン単位
も部分的あるいは高度にけん化されてビニルシラノール
単位、そのアルカリ塩あるいはその相互縮合物に転換さ
れる。しかし前出の一般式化2で示されるビニルシラン
系化合物含有の該共重合体は、アルカリ性触媒によるけ
ん化反応においてビニルシラン系化合物単位のアミド結
合が分解するという事なく安定に保たれる。しかし、け
ん化反応時一般式化2で表されるビニルシラン系化合物
のシランに結合したアルコキシル基、カルボキシル基、
水素およびハロゲンも同時に部分的あるいは高度にけん
化され水酸基又はそのアルカリ塩に転換される。更にこ
の水酸基の一部は、けん化反応後得られたEVOHを乾
燥する際、乾燥条件によってこれ等の官能基同士を結合
させシロキサン結合を形成させても良い。シロキサン結
合を多く形成せしめた該EVOHは熱溶融性が悪化する
場合が見られるので、この様な場合にはビニルシラン系
化合物の含有量を調整するか、ビニルシラン系化合物単
位としてアルカリに対して著しく安定性の高い(メタ)
アクリルアミド−分岐アルキルシラン単位を有するEV
OHとする事が好ましい。
【0028】また、EVOHには更に少量のプロピレ
ン、ブテン−1、イソブテン、4−メチルペンテン−
1、ヘキセン−1、オクテン−1等のα−オレフィン、
イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン
酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全
エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物、ア
ルキルチオール類、不飽和スルホン酸、その塩等の共重
合成分を含んでいても差支えない。
【0029】また、EVOHはエチレン共重合比率やけ
ん化度の異なる2種類以上のEVOHの混合物であって
もよく、また、重合度の異なる2種類以上のEVOHの
混合物であってもよい。さらに、エチレン共重合比率や
けん化度や重合度が共に異なっていてもよいが、それら
の平均値が、前記EVOHの範囲に入っていることが重
要である。
【0030】また、l−メントールの収着量が5mg/
g以下である樹脂には、本発明を阻害しない範囲で、
酸、塩基およびそれ等の塩を添加しても良い。更に成形
物の滑り性改善の為に、酸化珪素や酸化アルミニウム等
を添加しても良い。更に酸化防止剤、色剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、可塑剤、架橋剤、無機充填剤、無機乾
燥剤、滑剤等の各種添加剤、各種ポリマー、高吸水性樹
脂等の各種樹脂を配合してもよい。
【0031】本発明において、最内層とカルボン酸変性
ポリエチレン樹脂組成物よりなるジッパーとの接合方法
としては、最内層に該樹脂組成物を異型溶融押出ししな
がら、溶融体の熱により直接接合する方法、及び該樹脂
組成物を異型溶融押出し、一旦巻き取ってから、最内層
とヒートシールする方法があるが、どちらの方法も採用
可能である。
【0032】本発明において、l−メントールの収着量
が5mg/g以下である樹脂よりなる単層の袋に、当該
ジッパーを接合させても良いが、最外層に二軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートフィルムや二軸延伸ナイロンフ
ィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層したほ
うが、袋の強度より望ましい。また中間層または外層
に、ガスバリアー性の良好なフィルムやアルミニウム箔
を積層しても良い。
【0033】この様にして得られたジッパーを有する包
装袋は、流通段階での収着防止と透過防止に効果を発揮
するだけでなく、一旦開封した後も再度密封することに
より、開封後の長期保存も可能となる。
【0034】以下実施例により、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれによってなんら限定を受ける
ものではない。
【0035】
【実施例】実施例1 20μの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東京セロフ
ァン紙(株)製「トーセロ OP U−1」)のコロナ
処理面に、ポリエステル系の接着剤(武田薬品工業
(株)製「A−385/A−50」)を固形分として3
g/m2塗布し、溶剤を蒸発させた後に、エチレン、酢
酸ビニルエステルおよびビニルトリメトキシシランの共
重合体をけん化して得た、シラン含有量0.01モル
%、エチレン含有量48モル%、酢酸ビニル成分のけん
化度99.5モル%のEVOHの25μmのフィルム
(l−メントール収着量0.4mg/フィルムg)を、
前記フィルムに貼合わせて複合フィルムを得た。
【0036】密度0.88g/cm3のカルボン酸変性
ポリエチレン樹脂(三井石油化学工業(株)製「アドマ
ー SF600」)80重量%と、密度0.94g/c
3のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂(三菱化成
(株)製「ノバテック 520H」)20重量%とを二
軸押出機でペレット化後、凸型断面と凹型断面を有する
別個のダイよりテープ状に溶融押出しながら、前記複合
フィルムのEVOH面に接着させたところ、ジッパーと
EVOHとの接着性は1.6kg/15mm幅と良好で
あった。
【0037】得られた袋10cm×10cmに、l−メ
ントール2gを入れ密封し、脱臭した共栓付きの500
mlガラス瓶に袋を入れた。一週間後、ガラス瓶の中の
匂いを嗅いだが、l−メントールの匂いは感じられず保
香性は良好であった。
【0038】比較例1 実施例1において、エチレン、酢酸ビニルエステルおよ
びビニルトリメトキシシランの共重合体をけん化して得
た、シラン含有量0.01モル%、エチレン含有量48
モル%、酢酸ビニル成分のけん化度99.5モル%のE
VOHの25μmのフィルムを、エチレン、酢酸ビニル
エステルの共重合体をけん化して得た、エチレン含有量
88.8モル%、酢酸ビニル成分のけん化度71モル%
のEVOHの25μmのフィルム(l−メントール収着
量7mg/フィルムg)に変更した以外は、実施例1と
同様に行った。
【0039】ジッパーとEVOHとの接着性は1.4k
g/15mm幅と良好であったが、一週間後、ガラス瓶
の中の匂いを嗅いだら、きついl−メントールの匂いが
し、保香性は不良であった。
【0040】実施例2 25μの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製
「エンブレム ON」)にポリエステル系の接着剤(武
田薬品工業(株)製「A−385/A−50」)を固形
分として3g/m2塗布し、溶剤を蒸発させた後に、エ
チレン、酢酸ビニルエステルの共重合体をけん化後、硼
素換算含有量0.02重量%添加して得た、エチレン含
有量44モル%、酢酸ビニル成分のけん化度99.5モ
ル%のEVOHの25μmのフィルム(l−メントール
収着量0.2mg/フィルムg)を、前記フィルムに貼
合わせて複合フィルムを得た。
【0041】密度0.89g/cm3のカルボン酸変性
ポリエチレン樹脂(三井石油化学工業(株)製「アドマ
ー SE810」)70重量%と、密度0.94g/c
3のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂(三菱油化
(株)製「モディック H−400C」)30重量%と
を、混練部のついた押出機を用い、凸型断面と凹型断面
を有する別個のダイよりテープ状に溶融押出して、凸型
部と凹型部を有するジッパーを形成し、前記複合フィル
ムのEVOH面にヒートシーラーを用いジッパーを接着
させたところ、ジッパーとEVOHとの接着性は1.8
kg/15mm幅と良好であり、実施例1と同様な保香
性の試験を行ったが、一週間後もl−メントールの匂い
は感じられず保香性は良好であった。
【0042】比較例2 実施例2において、密度0.89g/cm3のカルボン
酸変性ポリエチレン樹脂(三井石油化学工業(株)製
「アドマー SE810」)70重量%と、密度0.9
4g/cm3のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂(三菱
油化(株)製「モディック H−400C」)30重量
%の代りに、密度0.89g/cm3のカルボン酸変性
ポリプロピレン樹脂(三井石油化学工業(株)製「アド
マー QB551」)70重量%と、密度0.95g/
cm3のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂(三井石油化
学工業(株)製「アドマー HB030」)30重量%
に変更した以外は、実施例2と同様に行ったが、ジッパ
ーとEVOHとの接着性は0.3kg/15mm幅と不
良であった。
【0043】比較例3 実施例2において、密度0.89g/cm3のカルボン
酸変性ポリエチレン樹脂(三井石油化学工業(株)製
「アドマー SE810」)70重量%と、密度0.9
4g/cm3のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂(三菱
油化(株)製「モディック H−400C」)30重量
%の代りに、密度0.88g/cm3のカルボン酸変性
ポリエチレン樹脂(三井石油化学工業(株)製「アドマ
ー SF600」)30重量%と、密度0.94g/c
3のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂(三菱油化
(株)製「モディック H−400C」)70重量%に
変更した以外は、実施例2と同様に行ったが、ジッパー
とEVOHとの接着性は0.4kg/15mm幅と不良
であった。
【0044】実施例3 25μの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製
「エンブレム ON」)にポリエステル系の接着剤(武
田薬品工業(株)製「A−385/A−50」)を固形
分として3g/m2塗布し、溶剤を蒸発させた後に、多
価カルボン酸成分がテレフタル酸、ジオール成分がモル
比でエチレングリコール:ジエチレングリコール:シク
ロヘキサンジメタノール=65:2:33よりなるポリ
エステルの40μmのフィルム(l−メントール収着量
1mg/フィルムg)を、前記フィルムに貼合わせて複
合フィルムを得た。
【0045】密度0.90g/cm3のカルボン酸変性
ポリエチレン樹脂(三井石油化学工業(株)製「アドマ
ー SE800」)60重量%と、密度0.93g/c
3のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂(住友化学工業
(株)製「ボンダイン LX4110」)40重量%と
を二軸押出機でペレット化後、凸型断面と凹型断面を有
する別個のダイよりテープ状に溶融押出して、凸型部と
凹型部を有するジッパーを形成し、前記複合フィルムの
ポリエステル面にヒートシーラーを用いジッパーを接着
させたところ、ジッパーとポリエステルとの接着性は良
好であり、実施例1と同様な保香性の試験を行ったが、
一週間後もl−メントールの匂いは感じられず保香性は
良好であった。
【0046】実施例4 25μの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製
「エンブレム ON」)にポリエステル系の接着剤(武
田薬品工業(株)製「A−385/A−50」)を固形
分として3g/m2塗布し溶剤を蒸発させた後に、アク
リロニトリルを主成分とし、(メタ)アクリル酸エステ
ル等の共重合成分とブタジエンの弾性体より構成されて
いるブロック共重合体であるフィルム(タマポリ(株)
製「ハイトロン BX」)40μm(l−メントール収
着量0.03mg/フィルムg)を、前記フィルムに貼
合わせて複合フィルムを得た。
【0047】密度0.89g/cm3のカルボン酸変性
ポリエチレン樹脂(三井石油化学工業(株)製「アドマ
ー SF610」)70重量%と、密度0.94g/c
3のカルボン酸変性ポリエチレン樹脂(住友化学工業
(株)製「ボンダイン TX8030」)30重量%を
樹脂組成物に、30部のスチレン−ブタジエン系ポリマ
ー(旭化成工業(株)製「タフプレン−200」)を添
加し、二軸押出機でペレット化後、凸型断面と凹型断面
を有する別個のダイよりテープ状に溶融押出して、凸型
部と凹型部を有するジッパーを形成し、前記複合フィル
ムのポリアクリロニトリル面にヒートシーラーを用いジ
ッパーを接着させたところ、ジッパーとポリアクリロニ
トリルとの接着性は良好であり、実施例1と同様な保香
性の試験を行ったが、一週間後もl−メントールの匂い
は感じられず保香性は良好であった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明のジッパー付
き包装袋は、内容物、とくに内容物のフレーバー成分や
揮発性または不揮発性の薬効成分の透過及び収着を格段
に防止できるので、流通過程だけでなく開封後の保存時
に、内容物の含量変化を最小限に押さえる事ができ、パ
ップ薬、入浴剤、防虫剤、工業薬品、フレーバーが重視
される食品等に好適に適用できる。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度0.90g/cm3以下のカルボン
    酸変性ポリエチレン樹脂を90〜40重量%および密度
    0.93g/cm3以上のカルボン酸変性ポリエチレン
    樹脂10〜60重量%の樹脂組成物よりなるジッパー。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のジッパーを有し、かつl
    −メントールの収着量が5mg/g以下である樹脂層を
    最内層とする包装袋。
  3. 【請求項3】 l−メントールの収着量が5mg/g以
    下である樹脂が、エチレン含有量20〜70モル%、ビ
    ニルエステル成分のけん化度95モル%以上のエチレン
    −ビニルエステル共重合体けん化物である請求項2記載
    包装袋
  4. 【請求項4】 l−メントールの収着量が5mg/g以
    下である樹脂が、エチレン、ビニルエステルおよびビニ
    ルシラン系化合物の共重合体をけん化して得た、シラン
    含有量0.0005〜0.2モル%、エチレン含有量2
    0〜70モル%、ビニルエステル成分のけん化度95モ
    ル%以上のエチレン−ビニルエステル共重合体けん化物
    である、請求項2記載の包装袋。
  5. 【請求項5】 l−メントールの収着量が5mg/g以
    下である樹脂が、硼素化合物を硼素換算量で0.002
    〜0.6重量%含む、エチレン含有量20〜60モル
    %、ビニルエステル成分のけん化度95モル%以上のエ
    チレン−ビニルエステル共重合体けん化物である、請求
    項2記載の包装袋。
  6. 【請求項6】 密度0.90g/cm 3 以下のカルボン
    酸変性ポリエチレン樹脂を90〜40重量%および密度
    0.93g/cm 3 以上のカルボン酸変性ポリエチレン
    樹脂10〜60重量%からなる樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 カルボン酸変性ポリエチレン樹脂よりな
    るジッパーを有し、かつl−メントールの収着量が5m
    g/g以下で、エチレン含有量20〜70モル%、ビニ
    ルエステル成分のけん化度95モル%以上のエチレン−
    ビニルエステル共重合体けん化物からなる層を最内層と
    する包装袋。
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