JPH10100347A - 非熱可塑性ポリイミド耐熱性シートおよびその製造方法 - Google Patents

非熱可塑性ポリイミド耐熱性シートおよびその製造方法

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JPH10100347A
JPH10100347A JP27399896A JP27399896A JPH10100347A JP H10100347 A JPH10100347 A JP H10100347A JP 27399896 A JP27399896 A JP 27399896A JP 27399896 A JP27399896 A JP 27399896A JP H10100347 A JPH10100347 A JP H10100347A
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polyimide
polyimide precursor
thermoplastic polyimide
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thermoplastic
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Nagayasu Kaneshiro
永泰 金城
Hisashirou Eguchi
寿史朗 江口
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐熱性を有するとともに、高密度、高
強度のポリイミド耐熱性シ−トを提供する。 【解決手段】 非熱可塑性ポリイミドフィブリドからな
るポリイミド紙または非熱可塑性ポリイミド前駆体フィ
ブリドからなるポリイミド前駆体紙に、非熱可塑性ポリ
イミド前駆体溶液を付着させた後、前記非熱可塑性ポリ
イミド前駆体を閉環させる。これにより、非熱可塑性ポ
リイミドフィブリドからなるポリイミド紙の表面が非熱
可塑性ポリイミド樹脂で被覆されているポリイミド耐熱
性シ−トを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非熱可塑性ポリイ
ミド耐熱性シートおよびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドは耐熱性、電気的特性、耐侯
性などに優れており、フィルム、成形体料として有用で
あることが知られている。例えば、4,4′−ジアミノ
ジフェニルエ−テルとピロメリット酸二無水物から製造
されるポリイミドからは優れた耐熱性を有するフィル
ム、成形体が得られ、これらは電気絶縁用途などに広く
利用されている。
【0003】また、宇宙、航空分野では、機体の構造材
料として、金属板、繊維強化プラスチック、ハニカムコ
アなどを張り合わせた積層板が広く使われている。従
来、こういった積層板には高い強度を有するアルミニウ
ム箔製の耐熱性構造材料が使用されていたが、より軽
量、高強度かつ安価な耐熱性構造材料の開発が望まれ、
現在では、芳香族ポリアミド合成紙からなる耐熱性構造
材料が主流となっている。
【0004】しかし、航空機技術の高度化等に伴い、よ
り高い耐熱性を有するものが要求されるようになり、ポ
リイミドからなる耐熱性構造材料が検討されるようにな
った。特開平1−168442号公報、特開平3−18
2332号公報などにポリイミド製耐熱性構造材料を得
る方法について開示されているが、これらに用いられて
いるポリイミドはすべて熱可塑性であり、高い耐熱性を
得るには至っていない。さらに、耐熱性構造材料の作成
に適した非熱可塑性ポリイミド製シ−ト材が得られてい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑
み、本発明は、優れた耐熱性を有するとともに、高密
度、高強度のポリイミド耐熱性シ−トを提供することを
目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するものであって、非熱可塑性ポリイミドフィブリ
ドからなるポリイミド紙の表面は非熱可塑性ポリイミド
樹脂で被覆されていることを特徴とする非熱可塑性ポリ
イミド耐熱性シート、非熱可塑性ポリイミドフィブリド
からなるポリイミド紙または非熱可塑性ポリイミド前駆
体フィブリドからなるポリイミド前駆体紙に、非熱可塑
性ポリイミド前駆体溶液を付着させた後、前記非熱可塑
性ポリイミド前駆体を閉環させることを特徴とする非熱
可塑性ポリイミド耐熱性シートの製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0008】本発明の非熱可塑性ポリイミド耐熱性シー
トは、非熱可塑性ポリイミドフィブリドからなるポリイ
ミド紙の表面が非熱可塑性ポリイミド樹脂で被覆されて
いるものである。本発明の非熱可塑性ポリイミド耐熱性
シートは、折り曲げ、接着、組み立てなどにより各種の
形状をなしていてもよい。
【0009】本発明の非熱可塑性ポリイミド耐熱性シー
トを構成するポリイミド紙とは、非熱可塑性ポリイミド
フィブリドからなるものであって、非熱可塑性ポリイミ
ドフィブリドの他に短繊維、非熱可塑性ポリイミドフィ
ブリド以外のポリイミドフィブリドその他を含んでいて
もよい。ポリイミド紙に短繊維を含むことにより、強度
などの機械的特性が向上するなどの利点がある。
【0010】さらに、ポリイミド紙を構成する非熱可塑
性ポリイミドフィブリドとは、非熱可塑性ポリイミドの
繊維状又はフィルム状の粒子をいい、そのサイズはそれ
らの三次元方向のうちで2つの方向がミクロン程度の寸
法のものである。前記非熱可塑性ポリイミドフィブリド
の少なくとも一部が溶着していることが望ましい。
【0011】本発明の非熱可塑性ポリイミド耐熱性シー
トを構成する非熱可塑性ポリイミド樹脂は、ポリイミド
紙の表面の全部または一部を被覆するもので、ポリイミ
ド紙の内部の気孔の少なくとも一部をも埋めることもあ
る非熱可塑性ポリイミド樹脂である。
【0012】本発明の非熱可塑性ポリイミド耐熱性シー
トは、外表面が非熱可塑性ポリイミド樹脂で被覆されて
いるので、高い耐熱性を有するとともに、高密度、高強
度を有するものである。さらに、非熱可塑性ポリイミド
フィブリドの少なくとも一部が溶着している場合には、
一層、高い耐熱性を有するとともに、高密度、高強度を
示すものである。
【0013】本発明の非熱可塑性ポリイミド耐熱性シー
トの製造方法について、以下順次、説明することとす
る。
【0014】本発明において使用するポリイミド前駆体
紙は、非熱可塑性ポリイミド前駆体フィブリドからなる
ものであって、ポリイミド前駆体フィブリドを抄紙して
得られものであり、ポリイミド紙は、非熱可塑性ポリイ
ミドフィブリドからなるものであって、ポリイミド前駆
体紙を構成するポリイミド前駆体を加熱により閉環反応
を終結させて得られるものである。
【0015】このポリイミド前駆体フィブリドは、ポリ
イミド前駆体の繊維状又はフィルム状の粒子をいい、そ
のサイズはそれらの三次元方向のうちで2つの方向がミ
クロン程度の寸法のものである。ここで、ポリイミド前
駆体とは、閉環して非熱可塑性のポリイミドとなるもの
であって、好ましいものとしては全芳香族系のポリイミ
ド前駆体が挙げられ、下記の一般式(1)で表される繰
り返し単位を有するポリアミド酸のホモポリマ−又はコ
ポリマ−が特に好ましい。
【0016】
【化1】
【0017】ここで、Rは少なくとも一つの炭素6員環
を含む4価の芳香族残基を示す。4価のうち2価ずつ
は、その6員環内の隣接する炭素原子に結合している。
Rの具体例としては次のようなものが挙げられる。
【0018】
【化2】
【0019】特に、Rとしては次のものが好ましい。
【0020】
【化3】
【0021】また、一般式(1)においてR′は1〜4
個の炭素6員環を持つ2価の芳香族残基を示す。R′の
具体例としては次のものが好ましい。
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】また、特にR′としては、次のものが好ま
しい。
【0025】
【化6】
【0026】上記組み合わせよりなるポリアミド酸のう
ち、酸無水物成分がピロメリット酸二無水物、ジアミン
成分がジアミノジフェニルエ−テルに由来するポリアミ
ド酸に由来するものが、特に好ましい。ピロメリット酸
二無水物とジアミノジフェニルエ−テルに由来するポリ
アミド酸を閉環して得られるポリイミドはポリ(4,
4′−オキシジフェニレンピロメリットイミド)であ
る。
【0027】ポリイミド前駆体は、固有粘度[η]が
0.1以上、特に0.5以上であるものが好ましい。固
有粘度[η]が0.1未満では強度の高いものが得られ
ない傾向にある。固有粘度[η]は、例えば、ゲル透過
クロマトグラフィ−(GPC)などにより測定される重
合体の分子量と直接関係する値であり、N,N−ジメチ
ルアセトアミド溶媒中でポリイミド前駆体濃度0.5重
量%の重合体溶液が30℃で標準粘度計の一定容積の毛
細管を流れる時間と溶媒のみが流れる時間とを測定する
ことにより、次式を使用して計算することができる。こ
こで、cはポリイミド前駆体濃度である。
【0028】
【数1】
【0029】本発明で用いることができるポリイミド前
駆体フィブリドは、上記の条件を満足していれば、いか
なるものを用いることができるが、高い強度を有するポ
リイミド紙を得るためには次のようにして製造したポリ
イミド前駆体フィブリドを用いることが好ましい。
【0030】すなわち、好ましいポリイミド前駆体フィ
ブリドを得るには、ポリイミド前駆体の溶液を得、この
ポリイミド前駆体溶液を凝固液に剪断作用下で注入して
沈殿させ製造する。そのための装置としては、ミキサ
−、ワ−リング混合機、ロ−タ−とステ−タ−を組み合
わせた流路攪拌装置等を用いる。
【0031】ここで使用する凝固液としては、ポリイミ
ド前駆体の貧溶媒であれば、いかなる溶媒を用いてもよ
いが、通常は典型的なポリイミド前駆体の貧溶媒である
水、もしくは水を70重量%以上含有する混合溶媒が利
用される。この混合溶媒中の水以外の溶媒としては、水
溶性を有するものならどのような溶媒を用いてもよい
が、水溶性エ−テル、水溶性アルコ−ル、水溶性ケトン
が好ましく用いられる。ポリイミド前駆体溶液に対する
凝固液の体積比は、1:5〜100が好ましい。
【0032】ポリイミド前駆体フィブリドを製造するた
めのポリイミド前駆体溶液としては、種々のものを使用
することができるが、ポリイミド前駆体と強く溶媒和し
ない溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを重
合反応させて得られるものが好ましい。ポリイミド前駆
体と強く溶媒和しない溶媒中でポリイミド前駆体溶液を
得るための重合温度は−30〜60℃が好ましく、−2
0〜40℃がより好ましい。重合反応は1〜200分が
好ましく、5〜100分がより好ましい。また、ポリイ
ミド前駆体溶液は、他の方法で製造したポリイミド前駆
体をこれらの溶媒に溶解して製造してもよい。ポリイミ
ド前駆体溶液におけるポリイミド前駆体の濃度は、0.
1〜60重量%が好ましく、1〜25重量%がより好ま
しい。
【0033】ポリイミド前駆体と強く溶媒和しない溶媒
における混合溶媒としては、水溶性エ−テル系化合物、
水溶性アルコ−ル系化合物、水溶性ケトン系化合物及び
水から選ばれる混合溶媒が好ましく用いられ、ポリイミ
ド前駆体と強く溶媒和しない溶媒における単独溶媒とし
ては、同一分子中にエ−テル基とアルコ−ル性水酸基を
有する水溶性化合物が好ましく用いられる。
【0034】前記水溶性エーテル系化合物としては、例
えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ト
リオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレング
リコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエ
チルエーテル等が挙げられ、特に好ましくはTHFであ
る。
【0035】また、前記水溶性アルコール系化合物とし
ては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノ
ール、2−プロパノール、tert−ブチルアルコー
ル、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、
1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオ
ール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセ
リン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プ
ロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等が
挙げられる。特に好ましくは、メタノール、エタノー
ル、エチレングリコールである。
【0036】また、前記水溶性ケトン系化合物として
は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げら
れ、特に好ましくはアセトンである。
【0037】前記溶媒の混合溶媒における溶媒の組み合
わせとしては、水溶性エ−テル系化合物と水、水溶性エ
−テル系化合物と水溶性アルコ−ル系化合物、水溶性ケ
トン系化合物との組み合わせが特に好ましい。
【0038】前記混合溶媒における溶媒の混合比率とし
ては、重量比で、水溶性エーテル系化合物と水の場合は
96:4〜79:21、水溶性エ−テル系化合物と水溶
性アルコ−ル系化合物の場合は90:10〜56:4
4、水溶性ケトン系化合物と水の場合は90:10〜6
5:35が好ましい。
【0039】また、前記単独溶媒の場合には、前述のよ
うに同一分子内にエーテル基とアルコール性水酸基を有
する水溶性化合物が用いられるが、このような溶媒とし
ては2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノー
ル、2−(メトキシメトキシ)エトキシエタノール、2
−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノー
ル、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレング
リコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テト
ラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレング
リコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリ
プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ
る。特に好ましくは、2−メトキシエタノール、ジエチ
レングリコ−ルモノメチルエ−テル、テトラヒドロフル
フリルアルコールである。また、同一分子中にエ−テル
基とアルコ−ル性水酸基を有する水溶性化合物と貧溶媒
とを組み合わせて用いることもできる。
【0040】本発明において使用するポリイミドポリイ
ミド前駆体紙は、前述のようにポリイミド前駆体フィブ
リドを抄紙することにより得られるが、さらに詳細に述
べることとする。すなわち、ポリイミド前駆体フィブリ
ドを水などの水性媒体に攪拌等の方法により均一に分散
させ、従来公知の天然パルプの抄紙の場合と同様に長網
式あるいは円網式の抄紙装置を用いて抄紙し、次いで、
常温で1〜100kg/cm2 の圧力下で圧搾脱水してポ
リイミド前駆体紙を得ることができる。
【0041】得られたポリイミド前駆体紙を150〜3
00℃の温度で0.5〜5時間加熱してポリイミド前駆
体を閉環させて、ポリイミド紙を得ることができる。
【0042】前記ポリイミド前駆体フィブリドの抄紙の
さいに、ポリイミド前駆体フィブリドのほかに短繊維、
場合によっては、さらにポリイミド前駆体フィブリド以
外のフィブリドその他を加えることも可能であり、この
場合には、同様にしてポリイミド複合紙を得ることがで
きる。
【0043】ここで使用する短繊維としては、ガラス繊
維、炭素繊維、有機系繊維、セラミック系繊維などが挙
げられ、水性媒体中での分散性の良好な短繊維がポリイ
ミド紙の製造に用いられる。この中で、パラフェニレン
ジアミンとテレフタル酸クロリドから製造されるパラ系
アラミド短繊維が好ましい。短繊維の繊維長は1〜20
mm、繊維径は5〜20μmが好ましい。
【0044】ポリイミド前駆体フィブリド以外のフィブ
リドとしては、水性媒体中で良好な分散性を示すもので
あれば、いかなるものでも用いることができる。この中
で、パラフェニレンジアミンとテレフタル酸クロリドか
ら製造されるパラ系アラミドフィブリドが好ましい。
【0045】前記ポリイミド前駆体紙のフィブリドを溶
着させて高強度、高密度のものを得る場合には、ポリイ
ミド前駆体を閉環させる前に次の処理を行うことができ
る。ポリイミド前駆体紙を湿潤状態で、または乾燥させ
た後、必要に応じて100〜300℃、1〜200kg
/cm2 で加熱プレスをした後、ポリイミド前駆体の良溶
媒もしくは良溶媒を含む混合溶媒を含浸させ、そのまま
乾燥し、あるいは常温で0〜100kg/cm2 の圧力下
で圧搾した後、乾燥し、ポリイミド前駆体紙を得ること
もできる。このとき、ポリイミド前駆体フィブリドの表
面の少なくとも一部が溶媒で溶解し、フィブリド同士が
互いに溶着することとなる。
【0046】ポリイミド前駆体紙に含浸させる溶媒とし
ては、ポリイミド前駆体の良溶媒を含むものであれば単
独及び混合溶媒のいかなるものでもよいが、特に好まし
くは、2、メトキシエタノ−ル、N−メチル−2−ピロ
リドン等を含むものである。
【0047】本発明のポリイミド耐熱性シ−トは、次の
ようにして得られる。まず、ポリイミド前駆体紙または
ポリイミド紙を非熱可塑性ポリイミド前駆体溶液に非熱
可塑性ポリイミド前駆体を浸漬、塗布等により付着させ
乾燥する。なお、ここで付着とは含浸も包含するもので
あって、ポリイミド前駆体溶液はポリイミド紙の表面の
みならず、内方へ浸透させることにより、一層顕著な効
果を奏することができる。また、付着操作は、所望の付
着量に到達するまで繰り返すことが望ましい。最後に、
150〜300℃の温度で0.5〜5時間加熱してポリ
イミド前駆体を閉環させて、耐熱性シ−トを得ることが
できる。
【0048】ここで、使用するポリイミド前駆体紙また
はポリイミド紙は折り曲げ、接着、組み立てなどにより
各種の形状をなしていてもよい。また、ここで使用する
非熱可塑性ポリイミド前駆体溶液としては、非熱可塑性
ポリイミド前駆体の溶液であれば、いかなるものを用い
てもよいが、ポリイミド前駆体フィブリドを製造するた
めのポリイミド前駆体溶液で説明したものが望ましく、
さらに溶液の回転粘度が10ポイズ以下、溶媒の沸点が
150℃以下であるものが好ましい。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、本発明において各特性値は次のようにして求
めた。 紙密度:JIS P8118に基づいて測定した。 紙強度:JIS P8113に基づいて測定した。
【0050】参考例1 ジアミノジフェニルエ−テル4.00gをTHF59.
6gとメタノ−ル15.9gの混合溶媒に溶解し、3.
8℃に保った。この溶液にピロメリット酸二無水物4.
40gを一度に加えて1時間攪拌を続けたところ、ポリ
アミド酸の[η]が1.0であるポリアミド酸溶液が得
られた。
【0051】参考例2 参考例1で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度が
7.5%になるようにTHF/メタノ−ル(重量比4/
1)で希釈した。次いで、原液供給口、凝固液供給口及
びフィブリドスラリ−排出口を備えた連続式ホモミキサ
−(容量500ml、タ−ビン回転数9000r.p.
m)に前記ポリアミド酸溶液を原液供給口より供給速度
24ml/minで、水を凝固液供給口より供給速度9
60ml/minで連続的に供給し、凝固して得られた
フィブリドスラリ−をフィブリドスラリ−排出口から連
続的に取り出した。生成したフィブリドを濾別し、水1
リットルを加えて攪拌、濾別を3回繰り返した。
【0052】参考例3 参考例2で得たフィブリド0.8gを水500mlに分
散させ、15cm×15cmの大きさに抄紙した。これ
を30kg/cm2 の圧力で圧搾脱水した後、80℃で
乾燥した。これを170℃で1時間、300℃で1時間
加熱してイミド化した。得られたポリイミド紙は密度
0.57g/cm3 、強度2.89kg/mm2 であっ
た。
【0053】実施例1 参考例3で得られたポリイミド紙を、参考例1のポリア
ミド酸溶液に5分間浸漬した。これを引上げて乾燥した
ところ、質量が70%増加した。このシ−トを80℃で
5時間、300℃で5時間加熱してイミド化した。得ら
れた耐熱性シ−トは密度1.20g/cm3 、強度6.
61kg/mm2 であった。
【0054】参考例4 参考例2で得たフィブリド0.27g、パラアラミドパ
ルプ0.09g、パラアラミド短繊維(1.5d,6m
m)0.54gを水3.5リットルに分散させ、15c
m×15cmの大きさに抄紙した。100kg/cm2
の圧力で圧搾脱水した後、80℃で乾燥した。これを1
70℃、50kg/cm2 で30秒間熱プレスした後、
水/N−メチル−2−ピロリドン(重量比4/6)混合
液に1分間浸漬し、80℃で乾燥してポリイミド前駆体
紙を得た。これを170℃で1時間、300℃で1時間
加熱してイミド化した。得られたポリイミド複合紙は密
度0.42g/cm3 、強度5.50kg/mm2 であ
った。
【0055】実施例2 参考例4で得られたポリイミド複合紙を参考例1のポリ
アミド酸溶液に5分間浸漬した。これを引き上げて乾燥
したところ、質量が88%増加した。このシ−トを80
℃で5時間、300℃で5時間加熱してイミド化した。
得られた耐熱性シ−トは密度0.84g/cm3 、強度
6.76kg/mm2 であった。
【0056】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、ポリイミド紙の表面をポリイミド樹脂で被覆
することにより、優れた耐熱性を有するとともに、高密
度、高強度のポリイミド耐熱性シ−トを提供することが
可能となった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非熱可塑性ポリイミドフィブリドからな
    るポリイミド紙の表面が非熱可塑性ポリイミド樹脂で被
    覆されていることを特徴とする非熱可塑性ポリイミド耐
    熱性シート。
  2. 【請求項2】 非熱可塑性ポリイミドフィブリドからな
    るポリイミド紙または非熱可塑性ポリイミド前駆体フィ
    ブリドからなるポリイミド前駆体紙に、非熱可塑性ポリ
    イミド前駆体溶液を付着させた後、前記非熱可塑性ポリ
    イミド前駆体を閉環させることを特徴とする非熱可塑性
    ポリイミド耐熱性シートの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102747634A (zh) * 2012-07-27 2012-10-24 陕西科技大学 一种改性聚酰亚胺纤维纸的制备方法
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WO2019031506A1 (ja) * 2017-08-10 2019-02-14 東レ・デュポン株式会社 ポリイミド繊維紙

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